◎40番【井上睦子君】
 それでは、一般質問を行います。

 まず、保育行政の充実についてお伺いをいたします。

 保育所に入所を希望しながら、受け入れ枠から外れ、入所待ちの状態になっている待機児童の数などの東京都福祉局の調査「データで見る東京の保育」がことし4月発表されました。それによると、児童数は出生率の低下によって減少をしているものの、保育所に子どもを預けることを希望する家庭の割合がふえており、保育所に入れない事態が発生をしています。昨年の10月では待機児が都全体で1万 2,079人にも上っています。八王子市も例外ではありません。東京都のこの報告書によると、昨年4月の時点で、定員 8,024人に対し、入所児童数 7,484人、待機児童は 253人でした。保育園に入所を希望しても入れない場合、その多くが家庭で待っています。待機児の保護者の勤務状況を見てみますと、八王子市の場合、常勤、昨年の場合ですけれども、 430人、10月段階ですが、そのうち約50人がフルタイム、 180人が短期非常勤の職場、そして約 200人が求人を求めているという状況となっており、仕事への復帰、求職活動への影響が深刻であることを示しています。

 さて、具体的に八王子市の待機児童の状況について質問をいたします。

 まず、第1点目として、今年度の待機児童数は何人になっているのか。また、過去5年前と比較をして、どのような傾向にあるのかお答えをください。

 2点目として、さきの質問と関連をいたしますけれども、待機児童数の発生、増加の原因をどのようにとらえ、今後もこの傾向は続くと考えているのか。見通しをお示しください。

 3点目に、待機児童の多い地域、そして年齢層はどの点に集中をしているのかということについてお答えをいただきたいと思います。

 4点目に、認可外の保育施設である保育室、あるいは3歳未満児を自宅などで保育する家庭福祉員、保育ママというふうに呼ばれておりますけれども、この保育室や保育ママの状況は、八王子においてどのような状況になっているのかお答えをください。

 次に、多様な保育需要の対応についてお伺いをいたします。

 長時間通勤を余儀なくさせられている中で、延長保育は多くの保護者が求めています。以前にもこの問題については、エンゼルプランとの関係で質問したことがございますけれども、延長保育実施の保育園の内訳、公立、私立どのようになっているのかお答えをください。  次に、子どもが病気のために保育施設を休んだ日数は年16.2日、80%の家庭が親が仕事を休むことが多いとしています。東京都の調査によっても、32.4%の人々が子どもが病気のときも預かってくれる保育園が欲しいというのが希望として出てきています。子どもたちが病気の場合、特に長期にわたる場合など、仕事の都合がつかない、あるいは親戚や知人に頼める人がいないときなど、病児保育というのは大変保護者にとっては助かる制度でありますけれども、病児保育の実施園は都レベルでは今どのような状況なのか。八王子市においてはどのような方向性を持っているのかお伺いをいたします。

 最後に、国際化の進展に伴って、父親または母親が外国人あるいは両親ともに外国人という児童がふえています。保育に欠けるという状態であれば、市は外国籍のいかんにかかわらず受け入れているというふうに考えますけれども、外国籍を持つ子どもたちの入所児童数は何名になるのかお答えをいただきたいと思います。

 また、保育に欠ける状態ではなくても、友人をふやし、言葉を覚えたいという理由で保育園を希望しいてる子どもたちもいます。こうした子どもたちの受け入れに特別な配慮はできないのかお伺いをいたします。

 次に、教育行政についてお伺いをいたします。

 まず、思想、信条の自由と日の丸、君が代の問題についてであります。

 6月11日、政府は日の丸を国旗、君が代を国歌とする法案を国会へ提出をしました。これは2月、県教委の職務命令のもとで日の丸、君が代の扱いに悩んでいた広島県立高校の校長の自殺をきっかけに性急な法制化への動きと進んでいます。私はこのことに大変な危機感を感じるわけでありますが、法制化のねらいは、野中官房長官の、学習指導要領や校長の職務命令だけで対応させることが果たしていいのかという発言にもあらわれているように、法制化によって教育現場で日の丸、君が代の強制を強めようという意図があることが明らかであります。

 私は、この日の丸、君が代を国旗、国歌とする法制化には反対の立場であります。校長の自殺、あるいは法制化の論議、または埼玉県の所沢高校での入学式、卒業式での校長と生徒との対立等、この間日の丸、君が代をめぐる論議は改めて教育現場で極めて鋭く起こっているということを認識をします。そして、このことからわかることは、まず、日の丸、君が代を国旗、国歌とする法的根拠が現在ではないこと。教育現場への強制によって、教師、生徒、父母たちに良心の苦悩、混乱が生じていることを明らかにいたしました。

 日の丸については多様な思い、見解があります。日の丸、君が代を2600年を超す日本国家、または天皇の治世という明治時代につくり出した歴史に結びつけて、その歴史ゆえに日の丸、君が代を尊重するという立場から広く使用されてきたという立場から容認する。あるいは、侵略戦争の記憶、アジアの人々を抑圧した歴史と重ねて否定するという立場がさまざまにあります。また、君が代の「君」を政府統一見解として象徴天皇としたことに対し、国民主権あるいは民主主義の立場からあり得ないとする考え方など、国民間には日の丸、君が代について、あるいは国旗、国歌について、またそれを尊重することについてさまざまな考え方が存在するのは明らかであります。

 こうした中で、思想、信条の自由と日の丸、君が代の問題について、市教育委員会の見解をお伺いをしたいと思います。日の丸、君が代について、どのように評価するのか。国旗、国歌が必要かどうか。法制化が必要かどうかについては、すぐれて憲法に規定された思想、信条、良心の自由にかかわる問題であるというふうに考えますが、教育委員会はどのように考えられますでしょうか、お伺いをいたします。

 2点目に、この思想、信条の自由は憲法でも保障されているように、どこでも、だれにでも保障された権利であると考えますが、どのように考えますか、お伺いをいたします。

 3点目に、日の丸、君が代について自由に考え、みずからの意見を表明する権利が教育の場で保障されているかどうかということについてお伺いをいたします。子ども、保護者、教職員等それぞれが日の丸、君が代について、みずからの意見を表明する場というのが保障をされていますでしょうか、お答えをいただきたいと思います。

 4点目に、入学式、卒業式で日の丸を掲げること、君が代を歌うことを指導するのは、思想、信条の自由と対立するのではないでしょうか。この間の学校現場でのさまざまな問題がこのことを提起をしているのではないでしょうか。6月11日の政府の見解では、国旗、国歌の教育現場において意義を理解をし、それを尊重する心情と態度を育てる。国民として必要な基礎的、基本的な内容を身につけることを目的として教育では行われている、としています。つけ加えて、児童生徒の思想、良心を制約しようというものではないというのが教育における日の丸、君が代の指導に対する政府見解でありますけれども、私はこの政府見解の中で、国旗、国歌の意義を理解をし、それを尊重する心情と態度を育てるということと、児童、生徒の思想、良心を制約するということは相反する内容ではないかというふうに思いますけれども、改めて日の丸、君が代の指導に対する政府見解が明らかになりました。教育委員会はこのことをどのようにとらえているのかお伺いをいたします。

 5点目に、日の丸、君が代を私は教育の現場で強制することについて反対ではありますが、教育として取り扱うということは必要だというふうに考えております。本当に尊重する心情、態度を育てるためには、ただ歌わせる、ただ掲揚させるということではなく、日の丸、君が代の今日における歴史的な意味や経過、そしてさまざまに国民にある考え方を多面的に子どもたちが学習する機会が必要だと考えますけれども、市教育委員会はどのようにお考えでしょうか。

 さらに、最後になりますけれども、現実にはこの日の丸、君が代を教育として扱う、歴史的な反省に立って授業で取り上げているという学校は、八王子市内に存在をするのかということをお伺いをしたいと思います。  以上で1回目の質問を終わります。


◎福祉部長【三宅壮三君】
 保育園の待機児童の解消等について御質問をいただきました。

 まず、1点目の待機児童の推移でございますが、平成7年度と11年度の比較でございますが、平成7年度4月が 108名おりまして、本年4月は 348名であります。差は 240人の増となっております。

 また、これらの発生の原因、それから今後の傾向というふうなお話でございました。まず、その原因と考えられますのは、女性の社会進出がふえてきている。特に夫婦の共稼ぎが一般的となっており、また、最近における景気低迷の中で求職活動をする女性がふえているということが増加の原因ではないかというふうに思っております。また、結婚や出産後も共働きをしたいと考える女性が増加しており、今後このような待機児の数はふえる傾向にあるんじゃないかというふうに思っております。

 それから、待機児の多い地域でございますが、地域といたしましては、ニュータウン、由木地区と北野、由井地区が高い状況にあります。

 それから、年齢層でございますが、本年の4月現在の分でございますが、ゼロ歳児から1歳児及び2歳児の待機児童数は、全体の 348名に対しまして 227名、65.2%と、待機児の中で低年齢児の割合が高い状況にあります。

 それから、保育室、家庭福祉員の定員と原因の状況でございますが、現在、保育室は3室で、定員が60名で、受け入れ児童数は4月1日現在で25名であります。また、家庭福祉員につきましては現在9名で、受け入れ児童数は4月1日現在14名でございます。

 それから、延長保育でございますが、延長保育を実施している園でございます。平成9年度で3園がスタートいたしまして、平成10年度で13園、ことしの4月に17園が実施しております。なお、この実施園については、いずれも私立保育園でございます。

 それから、病後の保育の関係でございますが、現在、本市においては実施していないところでございますが、東京都内での実施状況につきましては、世田谷区あるいは狛江市、調布市、立川市の1区3市で行われておるというふうに聞いております。

 それから、外国人の保育の関係でございますが、外国人につきましては、現在保育園に75人入っております。外国人の受け入れ枠を確保することができるか。特別な配慮ができないかということの御質問もございました。現状待機児が多い中で、外国人の受け入れ枠を確保することは非常に難しいというふうに考えているところでございます。


◎学校教育部付参事【和田信行君】
 国旗、国歌と憲法で保障されている思想、信条の自由ということで御質問がありましたが、まず国旗、国歌について、大多数の国民がこの国旗、国歌については支持をしておりまして、また、国際社会が進展されている中、多くの公的な行事の中で国旗が掲揚され、国歌が斉唱されていると。こういった現状の中で、21世紀に生きる子どもたちにこういった国旗、国歌の指導をするということは、学校教育においても必要というふうに考えております。

 また、学校におきましては、学習指導要領というものに沿って行われているわけですけれども、この学習指導要領というのは、教育の一定の水準を確保するために法令に基づいて国が定めた教育課程の基準でありますので、各学校の教育課程の編成及び実施に当たっては、これに従わなければならないというふうに文部省の方も述べているところでありまして、各学校ではこの学習指導要領に基づいて教育課程を編成、実施をしているところであります。「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」と、その学習指導要領の中に記されておりまして、こうした中で各学校においては国旗、国歌の指導をしているわけですが、こうした指導は児童生徒の内面まで立ち入って強制しようとする趣旨のものではなく、あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくものと理解しております。よって、国旗、国歌を学校教育の中で指導、実施していくことは個人の思想、信条の自由を侵すものではないと考えます。

 また、卒業式において国旗、国歌について意見表明をすることができるのかという御質問がありましたけれども、児童の権利条約等にも意見表明権というのはありますけれども、学校教育組織として集団として行われるものに対して、意見は言っても、学校で決めた問題すべての行事の中で1人1人の子ども、生徒が意見表明をしてばらばらな行動をとるということは、学校教育上好ましくはないというふうに判断をいたします。

 また、教育としてこの国旗、国歌の指導をどのようにしているか。歴史的な面での指導をしているかということですが、小学校の1年生から中学校の3年生まで国旗、国歌についての指導は、その発達段階に応じてなされなくてはならないというふうに思います。音楽の授業で君が代、国歌についての指導もしなくてはならないわけですが、残念ながら多くの音楽の授業の中でこの国歌の指導が行われていないという現状がありますが、実際に卒業式を前にした音楽の授業の中でこの君が代の歌詞についてもきちんと指導するということは必要かと思います。法制化の問題も出ていましたけれども、こちらの法制化の方の問題がどういうふうに進展するか、まだ微妙なところがありますけれども、この歌詞についてもやはりきちんとした指導はすることは必要だろうというふうに考えます。

 また、社会科等の授業の中で戦争中にどういうことが行われたかというようなことについても、事実に基づいて指導するということは必要と考えます。それにしても、その発達段階に応じた指導ということを考えていかないと誤解が生じるかなというふうに思っております。


◎40番【井上睦子君】
 それでは、2回目の質問を行います。

 まず、保育行政についてでありますけれども、先ほど待機児の問題が出ました。待機児の解消策について都の報告書は、地域の需要に合わせた定員数、年齢別受け入れ枠の確保をするように求めております。特に年齢別の受け入れ枠の見直し、施設整備や分園設置によって適正な定員を確保するということ。あるいは年度途中で需要が発生する産休、育休明けの緊急度の高い児童への対応、これは定員を超えた受け入れということを提案をしています。また、需要に応じたサービス、これは延長保育など最も保護者が求めるサービスを行うようにということ。3点目には、幼稚園や学校の余裕教室を活用するようにという内容。4点目には、保育室、家庭福祉員の活用をするということで解決策を提示をしています。残念ながら東京都の財政支援ということは明記をされておりませんで、極めて低年齢児については財政負担が重いわけですから、東京都の財政支援というものが解決策に挙がるならば、こうした問題は一気に解決をするというふうに思いますけれども、残念ながらありません。ぜひこれは市当局からも待機児解消のためには都からの財政支援ということも求めていただきたいというふうに、これは要望をしておきます。

 さて、過去5年前との比較として数値が示されました。飛躍的に増大をし、今後もその傾向は続くだろうというふうに思われます。そして、特に待機児の多い由木地域あるいは由井、北野地域などについて具体的な対策が必要でありますし、また、ゼロ歳、1歳、2歳という低年齢児の定員の枠の拡大についても対策が必要であります。このようにふえ続ける待機児童に対して、市当局はこれまでどのような対策をとってきたのかお伺いをします。そしてまた、今後どのように対応するのかお伺いをしたいと思います。

 東京都の報告書の中で八王子市の状況が、昨年4月の入所状況でありますけれども、示されています。定員 8,024人に対して、入所児童は 7,484人。これは定員児童数を満たしておりませんけれども、待機児童が 253人というふうに発生をしております。待機児童が発生しているのはゼロ歳児、あるいは4歳児以上、これは定員の枠が余っているにもかかわらず待機児が発生をしている。あるいは1歳、2歳、3歳児は定員の枠を超えて入所児童があるにもかかわらず、待機児童数も発生をしているというふうになっています。これは需要と供給のアンバランスが招いた数字ではないかと思います。特に公立の保育園の状況を見てみますと、定員に満ちているのはみなみ野保育園と石川保育園でしかありません。あとは特に4歳、5歳児で定員割れを起こしています。これは今ゼロ歳、1歳、2歳という低年齢児について定員枠が必要であるにもかかわらず、状況としては4歳、5歳児という定員枠を拡大をしていて、行政側が適切に需要に合った供給をしていないということになるのではないでしょうか。

 先ほどの御答弁の中でも、延長保育や、あるいはゼロ歳児保育、ゼロ歳児保育をしているのは、公立保育園ではみなみ野保育園でしかありませんけれども、必要な保育サービスの多くを私立保育園に担ってもらっているという状況があります。ぜひ公立保育園も需要に応じた、フレキシブルに変わっていく体制を確立をしてほしいというふうに思います。丁寧に地域や年齢を地域別、年齢別に分析をして、公立保育園のゼロ歳児保育の実施園などを早急に検討すべきだというふうに思いますけれども、この点についてどのような対策を考えるのかお伺いをいたします。

 なかなか公立保育園でのゼロ歳児保育が実現をいたしません。長房第二保育園については実施の方向があるようでありますけれども、他園について、例えば子安保育園などは駅に近くて需要も多い地域だというふうに思いますけれども、そういった保育園でのゼロ歳児、あるいは低年齢児保育の受け入れ枠の拡大、または要望の高い延長保育の実施など、今後の対応策をお伺いをしたいと思います。

 保育園待ちの子どもたちがふえ続けているということは、ここ1ヵ月間東京都の報告書が出て、かなりの新聞で取り上げられました。5月28日の朝日新聞は武蔵野市の取り組みを紹介しています。武蔵野市は、保育園が満員のために、市内外の無認可保育室や保育ママを利用する家庭には、ゼロ歳児、2歳児は1人2万円、3歳児は 6,100円の補助金を出しています。そして、私立、公立の全園でゼロ歳児保育と、夜7時15分までの延長保育を実施。今年度までの5年計画で市の予算で国基準よりふやしていた3歳から5歳児の保育士を低年齢児に回すことで、ゼロから2歳児の定員を公立園で16人、私立認可園で5人ふやし、保育ママも今年度1人ふやしたということで、公立保育園でのあらゆる努力が続いています。しかしながら、4月の待機児は 100人というところで、なかなか1自治体で解決ができないというような問題でもありますけれども、これまで八王子市の保育行政は、特に大変な部分については私立の保育園にお願いをする、依存をするという傾向が強くて、公立保育園を有効に活用するという取り組みが極めておくれていたというふうに思います。

 今、各公立保育園の定数を見てみますと、60から85人、千人町 100人、それから元八王子 100人といふうにばらつきはありますけれども、多くが定員 100人のところを、子どもたちの減少によって定員を減らしてきたという経過があります。施設の改修あるいは人手の配置をすれば、ゼロ歳児保育や低年齢児の保育というのは可能なのではないでしょうか。質問が先ほどと同じになりますけれども、武蔵野市のこうした取り組みをしっかりと参考にして、公立保育園のいわゆる需要に合った供給体制をつくっていくという方向について御答弁をお願いをしたいと思います。

 さらに、保育室や家庭福祉員への武蔵野市の補助あるいは横浜市でも行われておりますけれども、少しでもそちらの方に役割を担ってもらう誘導策としても市としては努力をすべきではないかというふうに思いますが、その点についてもどのようにお考えでしょうか、御答弁をお願いをいたします。

 次に、教育行政の問題についてお伺いをいたします。

 日の丸、君が代の問題については、先ほども議場からさまざまにやじといいますか、飛んだように、極めて考え方の違う問題であります。先ほど教育委員会の方から御答弁がありましたけれども、学校現場において日の丸、君が代を掲げること、歌うことを指導するのは思想、信条の自由と対立するものではないというふうな御見解でしたが、それ以前に私は3つの問題について質問をいたしました。

 1つは、戻りますけれども、正確に答えていただきたいと思います。教育委員会が答えたのはその点のみでありまして、私は、日の丸、君が代は極めて思想、信条の自由にかかわる問題であるというふうに考えるが、教育委員会はどのように考えるかということです。これは学校現場での云々かんぬんではなくて、今議論している法制化の問題も含めて、どのように1人の人間が思うか、考えるか、評価をするかということは思想、信条の自由にかかわる問題だというふうに思いますが、どのように考えていらっしゃるかお伺いをいたします。

 2点目には、思想、信条の自由はだれにでも、どこでも保障された権利だというふうに考えるが、それはどのように考えるかということです。

 3点目は、卒業式、入学式において子どもたちの意見表明権の権利があるかということでしたが、私が質問をいたしましたのは、教育の場で保障されているかということについてお聞きをいたしました。その点について明解な御答弁をいただきたいと思います。

 先ほど、例えば卒業式、入学式で子どもたちが日の丸、君が代について意見を表明するということは、集団の行為から外れることであるので、それは許されないというような御答弁であったというふうに思いますけれども、それでは、良心にまで踏み込んで強制するものではないということをどのように教育委員会は担保されるのでしょうか。そのような御答弁をされたというふうに思いますし、政府見解も、児童生徒の思想、良心を制約しようというものではないというふうにありますけれども、卒業式、入学式で例えば日の丸、君が代については賛成できない、歌えないという子どもたちがいた場合に、そのことを保障することもまた教育ではないかというふうに思いますけれども、このことを許さない教育というのは、思想、良心の制約につながらないのかお伺いをいたします。

 次に、教育内容と学習指導要領の問題であります。

 先ほども学習指導要領に日の丸、君が代が学校行事などで行われることを明記してあるというふうにおっしゃっておられました。第1回定例会、高木議員が石川中の問題を取り上げての質問の中で、和田主幹は、学習指導要領は、目標や内容から逸脱しない限りの範囲で工夫は認められているというふうに答弁をしています。これは教育とは子どもたちの状況や地域の実情によって柔軟に対応すること。授業はさまざまに発展すること。それらを予想しての弾力性を持っているという内容であるととらえてよいのか、確認の意味でお伺いをいたします。

 2点目に、卒業式、入学式での日の丸、君が代の問題について、最終的に校長の判断として日の丸を掲げること、君が代を歌うことを怠った場合において、これは学習指導要領の逸脱になるかどうかという点についてお伺いをいたします。

 1996年の東淀川高校の日の丸処分での大阪地裁の判決は、本件国旗掲揚条項の文言は、入学式や卒業式などにおいてもその意義を踏まえて国旗を掲揚するとともに国歌を斉唱するよう指導するものとするとなっていて、指導しなければならない等より強い拘束性や強制力を伴うような表現が使用されていないのであるが、中飛ばしますが、大阪府下の公立高校における国旗、国歌の掲揚、斉唱の実態を見てもわかるとおり、指導の内容や程度は各地の実情等に合わせて実施することができる余地を残しているというものであることができるのであって、学習指導要領は大綱的基準であることも明らかであるとの判決を出しています。

 これは東京都の人事委員会の見解も同様であるというふうに考えますが、学習指導要領に規定をされていても、校長の判断によって国旗を掲げること、君が代を歌うことをしなくても、学習指導要領を逸脱したと言えないというふうに考えていいかどうか確認をいたします。

 さて、学校で行われるさまざまな教育活動の最終的な目標というのは、学習指導要領では、生きる力をはぐくむことというふうに規定をされています。教育基本法の前文では、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成が目標となっておりますし、教育基本法の目的の条項では、人格の完成を目指して、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を目的とするというふうになっております。このことは、みずから考え、そして生きる力を獲得する。そしてその力をはぐくむ教育は、あらゆる教科、領域を通じて達成されるものだというふうに思います。そのために学習指導要領は弾力性があり、柔軟性があるというふうに私は理解をしております。最終的に私たちが物事を考え、生きる力をつかんでいくということは、思想、信条の自由を獲得するということでもあります。

 第1回定例会で、先ほども申し上げました高木議員の石川中の問題について、家庭科の教師の行動、これは高木議員が再三、偏向教育者というふうに発言をされておりました。私はこのことに異議を唱えまして動議を提出をいたしましたけれども、残念ながら否決をされた経過がありますが、極めて遺憾だったというふうに思っております。

 高木議員の質問に対して、和田主幹は、中学校の家庭科の範囲を逸脱して問題も多いというふうに発言をしています。それでは何が問題であったのかということを、あれから時間がたっておりますので、どのような調査になっているのか。何が問題であったのか。本当に高木議員の言う偏向教育ということが行われていたのかどうかということを、その事実を明らかにしていただきたいというふうに思います。

 配付をしたプリント、そして授業の発展の中で、みずから考え、判断して生きていくことを考える授業は教育の目標や学習指導要領の目指すところであるというふうに思いますけれども、その点についてお答えをいただきたいというふうに思います。

 2点目ですけれども、日の丸、君が代についての思想、信条の自由の問題についてであります。これは子どもたちにも保障されているというふうに私は考えますが、教育委員会は明確にそのことは明らかにされませんでした。そのことをきちんと考えようということが偏向教育と言えるのかどうか明らかにしていただきたいと思います。

 さて、3月の高木議員の質問の中で、卒業式が異常な光景であった云々というようなところがありまして、議事録を再三読んでみますと、マインドコントロールの総仕上げとかというような表現がされております。高木議員の質問の後の横田議員の一般質問の冒頭の中では、父母の1人として参加をした横田議員は、高木議員の言うような卒業式だとは思えなかったと。極めて感動的な卒業式であったというふうに議事録からは読み取れるわけでありますけれども、このような事実と異なる発言が議場の中で交わされたということは私は問題だというふうに思いますが、教育委員会は、当時の三宅部長もこの卒業式には参加をしておりました。石川中の卒業式が異常な光景と言えるような卒業式であったのかどうか、教育委員会はそこを確認したのかどうかお伺いをいたします。きちんとした正確な事実が明らかにならないで、予断と偏見に満ちたことが伝わっていくということは問題だというふうに私は考えます。

 次に、石川中の家庭科教員について、偏向教育の教師であるとか、地域の人々がさまざまなことを言っているというような内容が挙げられました。このことも事実かどうかということを私は知りたいというふうに思いますけれども、1つの考え方に基づいて1つの学校評価をする。あるいは卒業式の状況について、ある一定の子どもの評価をするということは慎まなければいけない行為だったというふうに思います。教育基本法の第10条は、教育への不当な介入を禁止をしています。これは戦前の教育がさまざまな政治的な圧力なり何なりから守れなかった。そして、戦争への道を歩んでしまったという経験の反省からになっておりますけれども、私たちは最大限教育の内容が法律に基づいて、そしてその学校現場を構成する子どもたちや教員の総意に基づいて行われることを支援をしなければならないというふうに思うわけですけれども、こういった会議録を読み返してみても、残念だなというふうな感想を持っております。

 さて、国旗、国歌に対するさまざまな見解があることは先ほど紹介をいたしました。アメリカの状況というものを私たちは参考にしなければならないというふうに思います。昨日の朝日新聞の夕刊に米谷ふみ子さんが、米国旗を宣誓、それを拒否した話として、日の丸、君が代と教育ということの文章を寄せています。息子の通った学校、米谷さんはアメリカ在住でありますけれども、アメリカで育った子どものことですが、毎日国旗に宣誓をすることが規則とされていた。敗戦後日本にやってきた進駐軍が、旗というものは布きれに過ぎない。あんなものに敬礼するのは偶像を崇拝しているのと同じだと言っていたことに感銘を受けていた私は驚いた。息子には私の意思を伝え、自分の意見で判断して、したかったら宣誓したらいいのよと言っていた。息子はしなかった。小学校3年生の時の先生は、自分の確固とした意見を通すことは、民主主義の標本であるとクラスで褒めてくれた。が、ほかの先生は違っていた。毎年先生が替わるたびに私が校長室に呼ばれて担任の文句を伝達された。そのたびに私は進駐軍の話をした。息子はあんな無意味な行為はしたくなかったんだと言った。だが、ある先生は最後まで頑張った。それで、私はアメリカには多くの宗教があって、そのおきてで国旗に宣誓をしない子どもがいるのを知っていたので、教育委員会に電話をして尋ねると、憲法上個人の信条を守らねばならないから強制はできないという返事で落ち着いた。訴えられると困るということもあるのだろうというふうに、アメリカの経験を語っています。どんな子どもたちにも自分の確固とした意見を通すことというのは民主主義の標本であるといったことの経験を私たちの国も学ばなければならないというふうに思います。

 日本の文部省は何が教育であるのかを熟慮したことがあるのだろうか。むやみやたらに形式を押しつけようとするよりも、子どもたちにあらゆる意見を聞かせ、それを判断させ、何事にもひるまず自分の意見を自由に発表し、討論し、何が真実であるかを見出せる場をつくるのが教育ではないか。そしてそういうふうに指導できる先生を養成するのが教育で最も大切なことではないかというふうに問題提起をしています。

 石川中での問題が第1回定例会で大変問題になりました。しかし、私は、子どもたちが自由に考え、みずからの考え方を発展をさせていく過程の授業としてあった授業だったというふうに考えております。その点について市教育委員会の見解をお伺いをして、質問を終わります。


◎福祉部長【三宅壮三君】
 保育児の待機児の解消等の質問でございますが、平成11年度におきまして、これは新設も含めた保育園の人員増ということでありますが、ゼロ歳児で18人、それから1歳児で23人、2歳児で30人、それから3歳児で31人、4歳、5歳児で44人、合計 146名の定員増をしたところでございまして、私どもとしましても、この待機児の解消というのは緊急な課題というふうにとらえておりますので、今後市としましても、保育園の増築、改築などの施設整備による受け入れ枠の拡大を図ること、また、国が示した定員の弾力的運用を受けて、受け入れ体制のある保育園については定員を超えての受け入れをお願いしていくというふうなことを考えておるところでございます。

 それから、公立保育園での低年齢児の保育の関係でございますが、既存の保育園では建設時にゼロ歳児保育を計画していなかったために、乳児室あるいは調乳室だとか、沐浴室などがない状況にありまして、非常に物理的に困難なところがございます。既設の設備の建て替えの折にはそうしたことが可能になるように設計計画を検討していきたいというふうに考えておるところでございます。

 それから、保育園の延長保育の問題でございますが、延長保育につきましては、保育者の需要の高い園、あるいは利便性のある園を見込んで選定をしておりまして、今後についても地域の需要動向を配慮しながら延長保育の拡充に努めていきたいというふうに思っております。

 また、公立の保育園の延長保育の実施につきましても、まず私立保育園での拡充を図りながら、公立保育園における延長保育の需要の把握に努めていきながら検討していきたいというふうに思っております。

 それから、公立保育園の見直しの中で、待機児の多い1歳児の定員枠の問題が出ましたけれども、10年度において1、2歳児の定員枠を41名拡大して、平成11年度においても5名拡大しております。これにつきましても、今後低年齢児の待機児童解消に向けて努力していきたいというふうに思っております。

 それから、保育室や家庭福祉員の充実を図る考えはあるかということでございますが、低年齢児保育の充実を図るために、保育室や家庭福祉員の活用を進めていきたいというふうに思っているところでございます。


◎学校教育部付参事【和田信行君】
 思想、信条の自由等の問題が出ていましたけれども、教育委員会としましては、学校教育の場で国旗、国歌についての指導をすることは、個人の思想、信条の自由を侵すというものとは考えていないということは先ほど申し上げたとおりであります。

 また、意見表明権の問題ですが、児童生徒が自分は国旗、国歌は反対だという意見表明をすることそのものをすべて制止をしているということではないというふうに思います。表明する権利そのものはあるというふうに考えます。ただ、学校教育の場で児童生徒が歌わないとか、歌えないというような話になったときに、国旗とはどういう役割を持っているのか、これからの国際社会においてどういう役割を持っているのか、世界の国々ではどのように自国の国旗、国歌を愛しているのかと、こういった問題について児童生徒にわかりやすく指導するのが教育的な指導だろうというふうに考えます。

 また、学校長の判断でこの国旗、国歌を中止、制止、やめることができるかというような御質問だったと思いますが、公教育の小中学校の学校長の立場で、個人の主義主張はともかく、学校長の立場で、個人の主義主張で国旗、国歌に反対するというような学校長はいないかと思います。個人の主義主張はどうであれ、公教育の学校長の立場というものがあるわけで、それに沿って学校長が判断をしているものと考えます。

 また、石川中学校の件ですが、家庭科教師が家庭科の時間にいろいろと使用したプリント、授業内容に問題があるということで調査を進めてまいりました。現在のところもまだ報告書を都教委に提出するに当たりまして、事前のやりとりをまだ重ねているという状況であります。この具体的なことについては、まだ調査の段階ということで、差し控えたい部分もありますけれども、実際にそのプリントに書かれているものがどうであるのか。また、家庭科の授業がどのように計画されて行われたのかといったようなことについて時間がかかっておりますが、調べているという状況です。

 今回のこの石川中の件につきまして、この教師の指導につきましては、極めて不適切な指導を行ったものと認識しておりまして、東京都教育委員会には厳重な処分がなされるよう強く今後も求めていきたいというふうに考えています。

 それから、石川中学校の卒業式のことですが、問題があったのか、なかったのかということですが、石川中学校の3月に行われました卒業式では、国旗が式場内には掲揚されませんでした。これは全中学校の中で1校だけです。式場の外の校庭のポールに掲げられていただけと。そして、国歌についても、式次の中で国歌斉唱というものに対して、これができませんで、式の始まる前の段階で卒業生が入場する前に流したという、こういった状況でありました。これは他の中学校の卒業式と比べましても、普通の形での卒業式ではなかったというふうに認識をしております。

 また、偏向教育というような話がありましたけれども、国旗、国歌について歴史的な認識を指導するということも必要ではありますけれども、これが最初から国旗、国歌を否定するという、反対するという指導ではなくて、今後、現在また未来にわたって国旗、国歌を尊重するという姿勢で指導するということが必要なんだろう。初めから反対ということは、学習指導要領で指導するものというふうに言われているものに対して、公立学校の教員としてあるまじき行為であろうというふうに思います。教育委員会としましては、今後、各学校が国旗、国歌に関する指導が、学習指導要領に基づき適切に行われるように、今後も指導してまいりたいと考えております。

(「議長、答弁漏れ」と呼ぶ者あり)

◎40番【井上睦子君】
 正しく答弁がされていません。私が質問をしたのは、学校長の主義主張によって日の丸、君が代を揚げる、揚げなかったということではなくて、さまざまな事情に照らし合わせて揚げなかった場合、これは学習指導要領の違反となるか、ならないかということの見解を聞いたのです。それについて正しく答弁をしていただきたいと思います。


◎学校教育部付参事【和田信行君】
 3月の卒業式、4月の入学式等でも国旗、国歌の指導については、各学校遺漏のないようにという通知を出しておりましたので、各学校長が職員会議等で卒業式、入学式の国旗、国歌の指導について教員に要請をしていたわけですが、何校かの学校ではできなかった学校もありました。教育委員会としましては、卒業式、入学式の国旗、国歌の指導について学校長とも緊密に連携をとりまして指導してきたところですけれども、最終的に判断するのは学校長でありまして、それについて処分をするというようなことは実際問題としてしておりません。