◎40番【井上睦子君】
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それでは、まず堀之内地区ののり面工事についてお伺いいたします。
堀之内地区は自然豊かな多摩丘陵に雑木林があり、農業や酪農が営まれている里山です。辛うじて多摩ニュータウンの開発から逃れ、自然度の高い地域ですが、近年、残念ながら開発や丘陵の改変が激しく行われています。ことし一、二月ごろから多摩テック南側谷戸ののり面の工事が始まりました。1日約60台ものダンプカーが出入りし、大型重機によって整地工事が行われています。大量の残土が搬入され、2つの谷戸が埋め尽くされ、尾根を1つ削り取ってしまうという状態になっています。さらに、8月14日の大雨で残土が水田に流れ込み、稲の3分の1が埋まって、残土の中のごみが稲に絡みつき、農家は大きな被害を受けました。
この堀之内地区の残土処理ともいうべき工事についてお尋ねいたします。
まず、工事概要についてお尋ねいたします。具体的に工事目的と内容、この工事の事業主、工事施工者、事業区域の面積、また工期、あるいは搬入された残土の量、そして、その残土はどこから排出されたものなのか、明らかにしていただきたいと思います。
加えて、これは地権者の合意があってこの工事は進んでいるのかどうか、お伺いいたします。
2点目に、こののり面の工事に対しては、市民からの通報などもあり、2月ごろから市と都に対応のお願いをしてきているわけですけれども、都と市の対応について両者の言い分が食い違っておりまして、現在まできちんとした規制や指導がされていないのが現状です。市の考え方は、東京都が宅地造成規制法等で指導すべき内容であるという一方、東京都は八王子市が残土条例で規制すべきであるというふうに、この間、食い違っておりまして、きちんとした対応がされておりませんでした。
そこでお伺いいたしますが、事業者あるいは工事施工者への市の対応は、工事が始まって以来、どのような対応をしてきたのか、お伺いいたします。
さらに、東京都とはどのような協議をしてきたのか。そして、東京都は事業者あるいは工事施工者に対してどのような指導をしてきたのか、お伺いをいたします。
さらに、なぜ残土条例がこの工事に関しては適用されていないのか、お伺いをいたします。
残土条例の第1条の目的には、環境の保全を目的として適用する。そして第3条では適用範囲、 500平米以下であれば適用できるというふうになっておりますけれども、実際には今日まで、市は残土条例として対応してこなかったわけですが、なぜそのような、ある意味では事業者側が一方的に残土を運び込みながら、8月14日の大雨で流出してしまうというような事態に至るまで、きちんとした規制や指導ができなかったのか、その考え方をお伺いいたします。
そして、今後の方向性として、現実に残土が水田に流出する。そして斜面に埋め立てられていた土が流出しているわけでありますから、きちんとした残土条例で対応しなければいけないと思いますけれども、今後の方向性についてはどのように考えているのか、お伺いいたします。
次に、介護保険の導入に向けて質問をいたします。
介護保険対策室が9月から行っている介護保険の説明会は、毎回多くの市民の参加があって、市民の関心の高さを感じますけれども、介護認定の作業がいよいよ10月からスタートいたします。自分の望む介護が受けられるのか、あるいは要介護認定されるのかという不安が市民の中にはあります。6月議会でも介護認定審査会の情報公開と、本人の情報の開示を求めました。改めてお尋ねをいたします。審査会の会議録については要点筆記ということを検討中という答弁でありました。結論は出たのでしょうか、お伺いをいたします。
また、個人情報保護条例に基づいて本人情報の開示は行うという答弁でありました。調査事項の本人への開示については、個人情報保護条例の手続を踏まなくても、原則として公開するという基本的な姿勢が必要だというふうに考えますけれども、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。再度お尋ねをいたします。
また、認定についての不服は東京都の介護保険審査会が対応することになっています。苦情等に対応する相談の窓口は市にも設けるということでしたけれども、不服申し立てを市で受ける。そして再審査をするという機能まで持たせることが必要だというふうに思います。武蔵野市は独自に相談調整を行う専門員を置き、認定の不服に対して市で対応するとしています。市町村は要介護状態区分の変更の認定ができるという介護保険法の規定を広く解釈すれば、地元で調整できる。市の窓口に来た人に対して都庁に行ってくれとは言えないというのが、武蔵野市長の新聞紙上でのコメントでありました。本市でも不服申し立てに対応できるようにすれば、市民にとっては極めて迅速で、そして信頼のできるものになりますけれども、このような武蔵野市のようなやり方で不服に対して対応するのかどうかということをお尋ねいたします。
2点目に、療養型病床群と保険料の問題についてお伺いをいたします。
市は保険料を 3,000円から 3,500円と試算をしています。上乗せや横出しサービスによっても、この保険料は変動いたします。どの程度の保険料とサービスで市民の合意が得られるか。きちんとした選択できる情報提供が必要であります。
介護保険料に大きく影響するのは、施設サービス、特に療養型病床群です。1ヵ月の介護費用としては43万 1,000円という利用料が示されました。療養型病床群の割合が大きくなれば、保険料も高くなってまいります。国は施設サービス利用者数の推計について、参酌標準を示しました。高齢者人口比 3.4%として、施設利用者の割合は特別養護老人ホーム8、老健施設7、療養型病床群5という8対7対5という割合としています。
本市の介護保険事業計画ではおのおの利用者数をどのように設定をしているのか、お伺いいたします。
さらに保険料との関係で、療養型病床群についてはどのような考え方で対象者数を設定したのか、お伺いいたします。
3点目に、低所得者層への対応についてでありますけれども、介護保険は今までの措置から選択する制度への大きな転換をしました。これによって、所得の高い人は利用料負担などを軽減され、サービスを利用しやすくなりますけれども、所得の低い人にとっては保険料や利用料の負担は大きく、サービスを受けたくても受けられない状況が発生することが懸念されます。法律では保険料を、第1号被保険者の保険料でありますが、第1から第5段階の所得別階層で設定しています。八王子市の場合、この5段階に占める第1号被保険者の人口あるいは人口割合をお答えいただきたいと思います。
そして、第1から第5段階の各階層は、平均年収、大体どのくらいになるのか、おわかりになればお示しをいただきたいと思います。
さらに、所得の低い人に対する対応策としては、八王子市は基本的にはどのような考え方で進めているのか、お伺いをいたします。
最後に、女性に対する暴力禁止、保護についてお伺いをいたします。
家庭内での夫やパートナーからの暴力は、今まで私的な問題として公になりませんでした。潜在化していました。しかし、昨年、東京都が実施した女性に対する暴力の調査によって、精神的な暴力は55.9%、2人に1人、身体的な暴力は33%、3人に1人、性的な暴力では20.9%の人が暴力を受けていること、また受けたことがあるということが明らかになりました。そして、夫やパートナーからの暴力も犯罪であるという意識が社会全体に広がる契機となりました。
市の発行している女性広報誌ぱれっとでも特集が組まれ、男性にとっては行ってはいけない行為、女性にとっては1人で悩まなくて社会的に救済するシステムがあるということが認知されるようになっています。
ことし8月、東京都女性問題協議会は、男女平等参画基本条例の基本的な考え方について、性別による権利侵害の禁止項目の中で、次のような見解を示しました。女性に対するセクシャル・ハラスメントや暴力は、女性の活動を束縛し、自信を失わせ、男女平等参画を阻害するものである。近年、夫から妻への暴力被害が社会的に認識されつつある。しかし、現実には家庭の中で起きた事柄については警察などが介入する際にも制約があり、実際に起きている暴力の実態に十分対処できていない。これらを考慮すると、条例でその禁止を明記し、人権侵害であるとの認識を高めることには大きな意義があるとして、条例に、夫から妻への暴力は人権侵害であり、行ってはならないと規定することを求めています。
また、本年4月には厚生省から、夫等からの暴力により保護を必要とする女性への対応についての通知が出されました。これは婦人保護事業の対象者として、夫等からの暴力を受けている女性を位置づけ、母子支援施設の広域入所、子どもを伴わない女性の緊急一時保護も可能とするなど、婦人保護事業のより積極的な取り組みができるように改正されました。
そこで、本市の夫などからの暴力に対する相談、対応の実情についてお尋ねをいたします。
まず第1点目として、本市としては家庭内暴力を禁止するための啓発等をどのように行っているのか。そして、それはどのような効果としてあらわれてきているのか。全体的な取り組みをお聞かせください。
2点目に、過去5年間、母子相談や婦人相談の件数、そしてその中で家庭内の暴力に関する相談件数の推移と、その傾向についてお示しください。そして、具体的な相談内容と保護援助など、問題解決についてどのように対応しているかもお示しいただきたいと思います。
さらに、子安母子館はここ数年、2世帯から3世帯の入居にとどまっていましたけれども、厚生省通知では広域入所、あるいは子どもを伴わない女性に対する宿泊も可能、いわゆる暴力から逃れてきた人の緊急一時保護を可能とするようになりました。子安母子館では、現在、どのような入所状況であるのか。そして、厚生省通知の言うような対応がとられているのか、お答えください。
最後になりますけれども、母子相談、婦人相談の相談体制についてお伺いをいたします。本市では母子相談員、婦人相談員がおのおの1名配置されています。女性を取り巻く社会的な問題や、そして人権への視点をきちんと持って、きめ細かな相談と支援がされており、女性からは高く評価をされています。急増しつつあるこうした問題にきちんと対応するためには、相談体制の充実が望まれますけれども、本市の場合、母子相談員、婦人相談員はどのような身分で配置をされているのか。そして、配置の体制はどのような基準でなっているのか、お示しをいただきたいと思います。
以上で1回目の質問を終わります。
◎都市整備部長【平野辰郎君】 堀之内地区ののり面工事についてでございます。工事の概要でございますが、この地区は2業者が入って事業を行っておりまして、西側部分につきましては、駐車場ののり面防災工事ということでございます。事業面積は約 3,000平方メートル、搬入土量については把握されておりません。工期につきましては、平成11年1月から平成11年12月までということになっております。
もう一方、東側の方でございますが、この事業名は駐車場及び資材置き場ののり面防災工事ということでございまして、事業面積は約 3,000平方メートル、搬入土量については把握されておりません。工期につきましては、平成11年3月から平成13年3月というふうになっております。
それから、土地の所有者の了解でございますけれども、西側につきましては、事業者に確認いたしましたところ、文書契約をしているとのことでございますが、東側につきましては口頭の約束というふうに聞いております。
それから、土砂の出所のところでございますけれども、業者からの聞き取りによりますと、ニュータウン方面あるいは町田市の方面、それから東側工事につきましては市内の工事現場からの土砂であるというふうに聞いております。
それから、市の対応でございますが、この工事につきましては、東京都の宅地造成等規制法に基づきますのり面防護工事ということで、東京都が指導するということになっておりましたので、市民からの苦情等につきましては、東京都に指導をお願いするとともに、それらの結果については市民の方に説明をしてきたところでございます。都との協議につきましては、数回行っておりまして、規制法ののり面工事であることから、東京都が指導していくということで確認がなされてきたところでございます。それに基づいて東京都がいろいろ技術的なことについても指導をしてきたものでございます。
残土条例の適用ができなかったかということでございますけれども、東京都とのお話の中でも、ただいま申し上げました宅地造成等規制法ののり面防護工事ということでございまして、東京都が指導するということでございます。市の残土条例の中では、他の法令等の許可、認可等を受けたものについては対象外ということになっておりますので、かけておりませんでした。
それから、今後の方向ですけれども、ただいま御質問者もおっしゃられましたとおり、東側部分につきましては、大雨によりまして、その防護工事の土砂が流出いたしました。そのときから東京都といろんな論議をしてまいりまして、東京都では、ここまで崩れて大きくなったものについてはのり面工事とは言えないというふうな話が出まして、事業者の方から新しい図面が提出されました。これによりますと、東京都は新しい計画はのり面防護工事とは言いがたいという見解を示しまして、八王子市土砂等による土地の埋立て等の規制に関する条例、いわゆる市の残土条例ですけれども、これへの移行の要請がございました。私ども、それを受けまして、事業者に新しい事業計画図を持参して説明するよう指導いたしまして、その内容の説明を受けまして、市条例への移行について業者と協議を開始し、指導しているところでございます。
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