◎40番【井上睦子君】
 それでは、請願第11号、八王子市が、建設省に対し、八王子都市計画道路3・3・2号線浅川トンネルについて以下の2点を求める請願について、社民・生活者ネットを代表して、賛成の立場から討論を行います。

 請願者は、3・3・2号線の浅川トンネル拓大坑口から80メートルに位置する高尾紅葉台自治会長でございます。高尾紅葉台自治会では、3・3・2号線の計画がみずからの住環境に直接の影響を及ぼし、被害を受ける住民として、騒音や大気汚染、交通量の自主的な調査や分析、また研究活動などを行っています。

 3・3・2号線は、97年に都市計画が決定をされた後、建設省は98年度、浅川トンネル13ヵ所のボーリング調査と弾性波テストを行っています。現在、トンネル検討委員会を設け、浅川トンネルの設計に着手をし、本年度には終了する。そして、説明会を開催する予定と伝えられています。

 請願は、浅川トンネルについて地質調査の追加と調査結果の即時公開を求めるものであります。浅川トンネルの1メートルの至近距離に位置する紅葉台は、トンネルの安全性、住宅への影響を最も心配しており2点の請願に至ったわけであります。

 紅葉台西公園隣の東京都の水道タンクは、浅川トンネル上り線に位置しております。この水道タンクを 5,000トンから2万 5,000トンに拡張する計画のため、東京都水道局はボーリング調査を行いました。東京都のボーリング調査の結果、次のようなことが明らかになっています。

 1点目として、れきや砂、粘土が固まらない状態、未固結の不安定な層である崖錐堆積物がトンネルのコース上にある可能性が明らかになりました。この崖錐堆積物というのは、極めて不安定な層であるので、地力、地盤とならないということが言われています。

 2点目に、地盤として弱いと言われる破砕層がボーリング調査柱状という結果の中から明らかになっておりまして、破砕層が多く発見をされています。

 3点目として、紅葉台住宅南側の地層は、水平に年代を追って異なった地質が積み重なって形成されたという一般的な地質ではなく、地層が縦に褶曲していることが明らかになりました。これは東京都が想定地質断面図ということで情報を公開しております。

 したがって、ボーリング調査の視点をふやし、安全性の根拠をしっかりと求めたいという住民の願いは正当なものであると言えます。

 最も心配されるのは、2万 5,000トンに拡張される水道タンクの真下35メートルをトンネルは通過する予定ということについてであります。大震災によってタンクに亀裂が入った場合、トンネルが耐え得る地質なのかどうか、しっかりとしたデータが必要であります。しかし、建設省は水道タンクの下は調査をしておりません。委員会審議では、市の答弁によりますと、13地点の中のナンバー5と振られた調査地点が最も近く、その距離は正確ではないが、おおむね20メートル。10メートル、20メートル離れていても変化はしない、地層は 100メートル、 200メートルで見ていくというふうに答弁をして、ナンバー5の調査地点と水道タンクとの距離については標準的なトンネル構造からの推察でしか答弁されておりません。建設省に正確な数値を問い合わせた結果の20メートルということにはなっておりません。

 住民が地図から測量すると、建設省が示した調査地点から、短くて約70メートルはあるとのことです。安全性をめぐって、ナンバー5の調査地点と水道タンクの距離は委員会審議の中で最も質疑が集中をした点でありますが、正確に答弁する準備ができていなかったことは極めて問題だと思います。市民の立場を代表する市として、市民の疑問にきちんと責任を持って答えられる準備を強く求めたいと考えますし、また、強く反省を求めます。

  100メートル、 200メートルという地層で見ていって余り変化はしないというふうにしておりますけれども、先ほど申し上げた東京都のボーリングデータの結果、柱状を見てみると、破砕質等、そして、地層が変化をしていることがわかります。より正確で細やかな調査がこのことからも必要だと思います。

 また、安全性についても、市としては安全である根拠は言えない、事業者が責任を持って言うとしながらも、ボーリング調査は技術的にも検討されて妥当、追加の調査の必要性はないと明言しました。調査の追加は、安全性の根拠を明らかにするために住民は求めているのです。安全であるとはっきり言えない市が、追加調査が必要ないとなぜ言えるのでしょうか。市としての建設省寄りの態度を感じてなりません。

 98年3月、昨年ですが、八王子市が建設省に対して、都市計画道路3・3・2号線について住民に納得のいく回答を求める請願の賛成討論のとき申し上げたことをまた再度言わなければなりません。3・3・2号線の評価書案に対する八王子市長の意見は、第1に、市と協議しながら住民の意向を十分に配慮した上で事業を進めていただきたいというふうに建設省に対して要望しています。建設省もまた回答として、調査または工事の内容について、地元の皆様に説明をし、御理解と御協力を得られるよう努めると回答をしています。請願の趣旨は、住民の環境への不安、特に浅川トンネルの安全性について明確で納得のいくような情報の公開と追加の調査ということを、八王子市が責任を持って建設省に要請をしてほしいというものであります。このことは、評価書案に対する八王子市の意見及び建設省の回答からも妥当だと言えるのではないでしょうか。

 さらに、調査結果の公開、データの情報公開についてでありますが、9月1日の請願提出後、9月3日に、建設省は、10月28日に情報を公開する、ボーリング調査の結果、そして弾性波テストの結果を公表すると確約をしました。しかし、委員会の審議後、建設省はデータの公開の日程を11月11日に変更をしてきております。98年度に実施をし、調査が終了したものを、約半年以上にもわたって再三要請をして、やっと公開をするという状況はやはり残念に思います。1日も早い情報公開が求められています。国では情報公開法が制定をされました。国が持つ情報を市民にしっかりと公開をし、そして、説明責任もしっかりと担うという法律の趣旨であります。

 また、昨年、道路審議会は、道路政策変革への提言として、パブリック・インボルブメント、計画策定段階で参加の機会を確保する方式を打ち出しました。また、市町村からの要請を受け付けるというふうに、国と市町村、地方公共団体及び国民、市民との共同での意思決定のシステムづくりへ建設省も政策転換をしています。

 こうしたら点から考えても、影響を受ける市民として追加調査と情報公開を求めるのは当然であり、そのことを市が、市民からの要請を受けて建設省に対して要望するのは極めて妥当でありますし、建設省のこうした共同意思決定のシステムという方針にも沿うものであります。

 委員会では、紹介議員が3・3・2号線の推進者ではない、あるいは土地トラストの地権者もいるなどとの理由で、3・3・2号線反対の請願であるかのような意見もありました。しかし、紅葉台自治会は、現在の環境を守る、公害のおそれのある現計画の見直しを求め、環境対策を実施させるという考え方であります。決して反対のための請願ではありません。

 また、住民の気持ちは十分理解をするが、公の利益のためには私は我慢をすべき。本来なら反対だが、心苦しいけれども不採択という意見もありました。公の利益のために、私が我慢をしてきたために、道路公害が各地で起き、命と環境は危機に瀕してきました。また、震災での高速道路の大きな崩壊という事故をも迎えました。請願は、私、紅葉台自治会の人々の疑問に対して、住民も不安なく安全に暮らせるのかという安全性を確保するために、追加調査と情報公開の2つを求めているのであります。このことに議会としてこたえるのは当然ではないでしょうか。

 加えて、請願者の名誉のためにつけ加えておきますけれども、委員会審査の中で、都のボーリングデータを代用するというのは、参考にしながらを取り違えているという請願者が誤ったとらえ方をしたような答弁がございました。しかし、5月28日、相武国道との話し合いの中で、東京都の水道タンクでのボーリング調査のデータについては、その東京都のデータで十分足り得るというふうに国は答えています。したがって、誤解したということではないということをぜひ議員各位には御承知おきいただきたいというふうに思います。

 以上で請願11号に対する賛成討論を終わりますけれども、市民の切なる願い、自分たちの安全性をしっかりと確認をしたいという本請願に、議員各位の御賛同をお願いをいたします。