◎40番【井上睦子君】
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それでは、まず財政悪化を招いた波多野市政として、財政運営についてお伺いをしたいと思います。
98年夏ごろから東京、大阪、神奈川の大都市圏の自治体で財政危機宣言が出されるようになりました。そして地方財政の危機が表面化をしてまいりました。この原因は、共通して景気の落ち込みに見る法人関係税の大幅な落ち込み、また、大阪や東京などではバブル期のビッグプロジェクトの破綻、箱物行政の起債、あるいはランニングコストの増大ということが原因として言われています。現在、地方財政は総額 150兆円、国民1人当たり 125万円の赤字を抱える深刻な状況に陥っています。市町村の半分は、本市もそうでありますけれども、公債費比率が危険水域の15%を超えています。
まず最初にお伺いをいたしますが、こうした全国の自治体の財政の危機、厳しさの要因は、バブル経済の破綻、あるいは政府の経済政策の失敗による景気低迷ということも指摘をされますけれども、地方財政のシステムをめぐる問題としてどのようにとらえていらっしゃるかお伺いをいたします。
次に、国はここの経済対策として、緊急経済対策などを矢継ぎ早に出しておりまして、自治体への公共事業への誘導を進めております。平成10年度でも都計道の用地取得などでこの経済対策の費用が使われておりますけれども、この間国の経済対策によって使用した財源というものはどういうものがあるのか。そして、それは地方財政、私どもの市の財政の1つの圧迫への要因になっていないかどうか、確認の意味でお聞きをいたします。
さて、本市の財政状況についてであります。来年1月の市長選挙は、財政問題も大きな争点になると考えます。16年間の波多野市政の行財政運営は、市民に本当に幸福をもたらしたのか。昨日の他の議員に対する答弁では、市民センターを15館つくりました。夕やけ小やけ文化農園も、経営はうまくはいっていませんけれども、ロマンを持ってつくりました。駐車場もつくりました。下水道は66%になったと胸を張ってお答えになっていらっしゃいました。しかし将来への負担、ツケはどうなっているのかなど厳しく選挙では問われることになると思います。波多野市長に対する4人の対立候補は、市政の転換を図りたいとする候補者ですから、市長の財政運営に対して厳しい批判が予想をされます。この16年間市長はどのように財政運営を総括し、五選に臨もうとする今日、今後の財政運営についてはどのような方向性を持っているのかということを伺いたいと思います。
私は市長選に1票を投じる有権者の1人としてお伺いをしたいと思いますので、お答えをお願いいたします。
まず、12月1日の広報で、厳しい財政状況のもと計画事業を効率的に執行しますということで、平成10年度の八王子市の決算の状況が明らかになりました。監査意見では、望ましい数値とは極めて乖離した状況という指摘が2年間連続して付されております。こうした今日の八王子市の財政状況はイエローカードであるのか、あるいはレッドカードであるのか、どちらの認識を持っているのか、まずお答えをいただきたいと思います。
財政構造の弾力性を示す各指標は、財政力指数が平成10年度では 1.076、実質収支比率では 1.4%、経常収支比率では95.1%、経常一般財源では94.4%、公債費比率は15.3%と、すべて望ましい指標からも低くなってきております。こうした中、27市中公債費比率は国分寺市に続いて15.3%でありますし、地方債の残高というのは、広報にも出ておりますけれども、一般会計で 1,918億円、全会計では 3,148億円。これは一般会計で1人当たりの借金にすると38万円、全会計では62万円にも上るということになります。先ほど申し上げました経常収支比率では、昭和60年、市長が就任して間もなく、これは89.4であったものが、平成元年には72.9、平成10年には、95.1というふうに、バブル経済によって一定望ましい指標に近づくわけですけれども、その後10年間上昇をし続けております。これは在任中最悪の数値であります。公債費比率もまた同様に、平成元年までは落ちますけれども、元年以降10年までは伸び続け、今日危険水域を超えたというふうになっています。市債残高も先ほど述べましたように、これは広報の資料では平成4年度から7年間で全会計では2倍の伸びとなっています。
そこでお伺いをいたしますが、財政の硬直化、市債の増大は波多野市政16年間の中で最も悪い状況となりました。この要因についてお伺いをいたします。全国的な問題については1点目でお伺いをしておりますので、八王子市の財政運営、個別具体の要因としてどのようにお考えになっているのかお答えをください。
次に、資産と負債を明らかにする試みとして、バランスシートも広報で公開をされました。こうした意味で財政を積極的にとらえ、今後の運営に生かしていくということで市民に公表することは評価をしたいと思います。しかし、このバランスシートについては、有料道路は売却できても、在来型の公道の地価を積算し、道路を資産とみなす計算をしても、道路を売り払うことはできない。その上地価が高いため、膨大な資産となってあらわれるという指摘や、公園や文化遺産、森林なども自治体では売却できない。したがって、自治体は公園や道路を売り払うことができる企業とは異なり、企業会計方式のバランスシートでは地方財務では無理があるのではないかというふうに指摘をする意見もございますけれども、この平成9年、10年、バランスシートの作成によって八王子市の財政の中で明らかになった問題点、また、そこから学び得ることというものがあればお示しをいただきたいと思います。
また、バランスシートは財政の健全性の維持に役立つものとなるのかどうか。まだ分析というのは試みの段階でありますので、私も断定的なことは申し上げられませんけれども、2年間この分析を続けてきて、当局はどのように考えていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
次に、個別施策についてお伺いをいたします。
まず、下水道の問題であります。
先ほども触れましたように、平成10年度では66%の普及率になりました。昭和60年では32.6%でありましたから、約2倍の普及率だということになります。しかし、地方債残高も昭和60年では 231億円でありましたけれども、平成10年度では 939億円と、これは4倍の伸びとなっています。普及率が高くなっても、地方債残高がより増大をしていくという状況は、手放しで評価できないのではないでしょうか。一般会計、平成10年度の下水道決算を見ましても、決算総額 199億円のうち、一般会計からの繰り入れ52億円、地方債80億円であります。これは毎年一般会計から約50億円、決算全体に占めては26%から30%の繰入額になっております。一般会計からの繰り入れや、地方債の活用によって普及率を上げたということもできるわけでありますけれども、今後、経済の低成長のもと、新21プランでは 2.4%の財政の伸びしか計画をされていないわけですが、この 939億円の負債は後年度の事業にどのような影響を与えるのか心配であります。その点について、今後の財政計画の見通しについて、下水道に関してですけれども、お答えをいただきたいというふうに思いますし、平成20年度 100%を目指すというこの計画は実際に実現をできるのかどうか。実現をしても、一般会計からの繰り入れや地方債の増大によって同様な事業を行うとすれば、やはり他の施策への影響が大きく出てくるというふうに考えるわけですが、その辺財政運営との関係でどのような見通しを持っていらっしゃるかお伺いをいたします。
次に、区画整理の問題でございます。
午前中も具体的に御質問がございましたが、私は新21プランの中での全体的な計画、これは財政上の事業費ですね、そしてそこから負担が発生する負債についてお答えをいただきたいと思います。
同様に、都市計画道路についても、新21プランでの見通しをお示しください。
最後に、業務核都市構想の問題です。
これは新21プラン、旧21プランを通じて基本構想の根底になっている1つは産業政策でもありますけれども、この構想が果たして財政上メリットをもたらすのかどうか。あるいはデメリットになるのではないかという危惧を一貫して私は持っております。決算委員会の中では、他の議員から業務核都市構想関連の事業費として、投資額は、基盤整備として 1,068億円ということが示されておりましたけれども、行政としては業務核都市を実現していくためにどの程度の基盤投資としての投資額が必要であるのか。そして、そこから市財政へ税収という形で返ってくるものはどの程度であるのか。あるいは、人口や企業の張りつき、あるいはさまざまにかかる生活関連の費用を含めて、一般会計から歳出をしていく民生費など義務的経費はどの程度変化をするのか。そういった見通しを持って新21プランの計画に当たられたのかどうか。その辺について詳細にお示しいただきたいと思います。
次に、八王子観光協会の横領事件の問題についてお伺いをいたします。
ことしの5月に発覚をいたしました観光協会の元八王子市職員の1億円の横領事件というのは、市民の市政への信頼というものを大きく裏切るものでありました。11月16日には元市の職員が逮捕されるということによって、本当に市にとっては汚名を残す結果となりました。
まずお伺いをしたいのは、8月の臨時議会以降の経過と、観光協会の対応についてであります。
まず、8月19日に告訴をされました。11月16日に逮捕という経過になっているわけですが、新聞報道の中では、ある新聞には、協会の告訴の中で、被害額としては 2,700万円ということが言われておりますし、警察の逮捕の理由としては、94年4月から95年2月にかけて百数十万円の着服をしたということが言われております。市から出された事件の経過報告の中では、被害金額は 9,880万円。94年度には 550万円の着服金額ということが示されているわけですが、この新聞報道との金額の差というものはどういう理由によるものなのか。どちらが正確なのかということをお伺いしたいと思います。
2点目には、 9,880万円横領したとされておりますけれども、協会への返済の見通しであります。 4,000万円の土地、不動産の所有権を移転をし、残りについては計画的に支払いをするという念書が入っているということでございましたけれども、どうなっているのか。あるいは、協会側はどのようにそれを処理しているのかということをお聞きをしたいと思います。
3点目に、8月の臨時議会では観光協会のあり方が大きく問われました。今回の事件を契機に、観光協会自身の監査機能が不十分であったこと。あるいは駐車場の管理委託をめぐって、アルバイト職員の給料の不正受給、あるいは工事契約をめぐる問題、ずさんな会計処理の問題、大変多くの問題が指摘をされたわけですが、観光協会は、議会での論議を受けとめながら、市と共通をする仕事を担うパートナーとしての信頼に足り得る社団法人としてどのように体制を確立しようとしているのか。役員体制の責任と刷新の方向性とを、8月の臨時議会以降観光協会はどのような形で受けとめ、それを市民に対して明らかにしているのか報告をしていただきたいと思います。
次に、綱紀粛正委員会と、着服事件の概要と再発防止策ということで出された2つの各報告書についてお伺いをいたします。
これは11月16日、いずれも総務企画、文教経済委員会で出されたものでありますけれども、この報告書には日時も発行者名もありません。委員会では参考資料程度の扱いの文書でしかありませんでした。行政が出す文書というのはこういう形式なのかなとも思いますが、私たちが求めましたのはよりきちっとした行政報告という形で、そして、それも観光協会の横領事件を契機として綱紀粛正委員会も活動をしたわけでありますけれども、一体のものとなってそして事件の全体像を明らかにし、その中から指摘された問題点を、会計事務に限らず、どのように再発防止策をとっていくのかという、総括的な報告書が欲しかったと思うのでありますけれども、期待した内容とは若干違いましたので、とても残念に思っているところです。
それでは、まず綱紀粛正委員会の報告書についてお伺いをいたします。
臨時議会でも指摘をされました採用経過と長期にわたる同じ部署への配置、あるいは地公法の35条、職務専念義務違反の問題など含めて、どのように問題を総括したのかということがありませんので、その点どのように考えているのかお伺いをいたします。
具体的対応策は2項目のみでありまして、規程等をちゃんと守ること、そして特定の担当者へ事務が集中しないことということでしかありませんでした。極めてあの報告書を読む限りにおいては、この大きな問題を軽微に受けとめているというふうにしか思えなかったわけでありますけれども、人事におけるさまざまな問題点が議会から指摘をされたわけでありますが、それに対してどのように総括をしているのかお伺いいたします。失礼、今言ったのは、着服事件の概要と再発防止策、経済部が出した分ですね。
次は、綱紀粛正委員会の報告についてであります。
綱紀粛正委員会の報告の中では、全職場、外郭団体合わせて 296件の指摘事項、改善するべき事項があったということでありまして、これは余りにも件数が多くて、いつでも問題が起こり得る状態だというふうに受けとめたわけでありますけれども、市当局はこの結果についてどのように受けとめたのか。そして、 296件、約 300件にも上る指摘事項が発生するその原因についてもどのように受けとめているのかお伺いをいたします。
次に、住民監査請求に関する監査の結果について質問をいたします。
これは11月12日、住民からの監査請求に対する結果報告として出されました。いわゆる住民の請求については理由がないという結論であります。報告書の内容について少し御説明をいただきたいというふうに思います。まず1点目でありますけれども、これは報告書の2ページに記されております事実関係の確認のところです。当該元職員に対する職務命令というのは、昭和44年7月1日に市職員に採用されたときに、所属の上司である商工観光課長から口頭で観光協会の会計事務をやるよう命令を受けたというふうになっております。そのときの「その際に」ということでありますけれども、その後上司はいろいろかわっているというふうに思いますが、その直属の上司が異動した後も新たな上司によってその命令は継続をされていたのかどうか。変更されなかったのか。あるいは観光協会の業務にかかわることを中止しなさいというようなことが指示をされていなかったのかどうか。その辺監査委員の方は確認をされているのかどうかまずお伺いをいたします。
2点目でありますけれども、これは報告書の8ページです。協会の事業は全体として市の観光行政と一体となって実施をされており、住民の福祉の増進に寄与するものとして、公務と同一視できる程度の高度な公共性、公益性を有しているものと認めることができるというふうに結論が出されておりますけれども、これについて、公務と同一視できる程度の高度な公共性、公益性を有しているというふうに判断された根拠なり、その議論の経過について御説明をいただきたいと思います。
次に、地公法35条に定める職務専念義務との抵触の問題でありますけれども、その結論は9ページになりますが、当該免除措置が欠けていたことは、公務の秩序の観点からすれば不適切であったが、違法とまでは言えないというふうに判断をされたことについて、議論の経過を御説明いただき、そして、ではどのような対応が適切であったのかということについて言及できるならばお示しをいただきたいと思います。
以上で1回目の質問を終わります。
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