◎40番【井上睦子君】
 私も男女共同参画都市宣言について、自席で質問させていただきます。

 八王子市は、男女平等への取り組みとして88年の女性行政係の設置、そして89年の女性行動計画の策定以来、積極的に75年の国連婦人の10年以降、世界の女性の活動と連動しながら、取り組みがされてきたというふうに思います。

 そして、ことしの6月には、男女共同参画社会基本法、先ほどから議論になっておりますけれども、成立をし、ますます国や自治体の役割が問われ、期待をしているところです。こうしたときに、八王子市でも男女共同参画都市宣言をするということは、まちづくりの重点的な施策として男女共同参画を置くということでありまして、大変意義のあることだというふうに考えます。宣言については、賛成の立場から質問をしていきますけれども、それでは、宣言は宣言をしただけで終わらせないために、いわゆる精神的なものだけに終わらせないために、実効あるものとするために幾つかの点について質問をいたします。

 まず、宣言文の前文の中に、人が人として尊重され、生き生きと暮らせる男女共同参画社会の実現を目指しというふうに記されているように、先ほどの質疑からも明らかなように、まだまだ現実は男女共同参画、男女平等の目標への到達には不十分だという認識が、この宣言文の中にも示されていると思います。現実には、男性のみに、あるいは女性のみにという一方の性にさまざまな分野での仕事が偏っている。例えば、政治の分野ではまだまだ男性に、家事、育児の分野では女性のみにというように偏っている現実を、男女共同参画によって、お互いが責任を持ち利益を分かち合える社会をつくっていこうという目的での宣言だというふうに理解をしております。市当局は、この宣言の実現に当たって、その現状というものが先ほど示されましたけれども、どのような問題点を抱えていると認識して共同参画社会を目指すのかということを鮮明にしていただきたいと思います。1点目の質問です。

 2点目は、宣言の目的であります。先ほど来、保育行政、あるいは審議会への女性の参加率等をめぐって八王子市の現状が出されておりました。これを解決するために、今年度から実施をされている男女が共に生きるまち八王子プランの実行によってこれを実現していこうということでありますが、あえてこの精神的な文言である宣言を行うということについてその目的を明らかにし、この宣言によってどのような効果を期待しているのかということを明確にしていただきたいと思います。例えば、東京都内では4市、既に男女共同参画都市宣言がされているようでありますけれども、先行している市で具体的な効果が上がっているような例がありましたら、お示しをいただきたいと思います。

 3点目でありますが、男女共同参画社会基本法は、先ほど、前文のところが読み上げられましたけれども、第1条で目的、第2条で定義をしております。これは、男女共同参画社会の形成ということと、積極的改善措置というものはどういうものであるかということを定義をし、第3条で男女の人権の尊重、第4条で社会における制度または慣行についての配慮、第5条で政策等の立案及び決定への共同参画、第6条で家庭生活における活動と他の活動の両立というふうに各条文で明快に記されております。これが、今度の市長から示された宣言文の4項目と基本法の条文がどのように一致をするのかということをお示しをいただきたいと思います。これを示していただけるならば、基本法の理念が宣言の文言の中に鮮明にあらわされているということで、市民にもより基本法との一致の中で理解が得やすくなるというふうに思いますが、具体的に御説明をお願いいたします。

 4点目に、宣言というのは、先ほども申し上げましたように、精神的なものに終わってしまう危険性があります。例えば、八王子市は、親切都市宣言をしております。また、交通安全都市宣言、非核平和都市宣言もしておりますけれども、交通安全都市宣言は具体的な実効ある政策が伴わない限り、交通事故の多発など起こってくるわけであります。そのためには、宣言の4項目に沿った具体的な取り組みはどのように考えているのか、そのことをお示しをしていただきたいと思います。具体的には4項目に沿って重点施策をお述べいただきたいと思います。

 最後の質問でありますけれども、なぜ男女共同参画都市宣言をするのか、あるいは男女が共に生きるまち八王子プランをつくるのかということは、男性の間から非公式な場でよく言われます。女は十分に強くなった、家庭内では妻の方が地位は上だ、なぜこういったことを取り組まなければいけないのかということが聞こえてまいりますけれども、そういうことではないというふうに思います。この宣言は、女性の地位向上、あるいは政策決定の場への参加、参画ということを求めるだけではなくて、第3項目にもありますように、男性の地域や家庭への積極的なかかわりも求めています。先ほど、具体的に述べられたさまざまな問題点というのは、子育てに関すること、介護に関することとして挙げられましたけれども、この宣言をすることによって、男性にとっても利益があるのだというふうに私は思います。そのことについて、市当局はどのように認識をしているのか、この宣言は男性の暮らしや生き方にもどのような影響を及ぼしてくるのかということを御説明いただきたいと思います。

 1回目の質問です。以上です。             

 〔10番議員「議事進行」と呼び発言を求む〕

◎生涯学習部長【畑中俊和君】
 まず、現状の問題点の把握でございますが、家庭におきまして、女性が家事、育児の中心となっておる。また、社会や職場においては逆に男性の意思決定が中心になっている、こういう問題点があるというふうにとらえておるところでございます。

 それから宣言の目的と効果でありますけれども、男女共同参画社会を実現することは、男女平等を進める上で大変重要なことだろうというふうに思っております。この宣言は、そういう男女共同参画社会に向けて、市民と市の気持ちが盛り上がるように、そうした機運づくりをするものであります。

 それから条文との対比でございますが、まず、宣言は4項目ございまして、第1項目目の男女を尊重するという部分につきましては、基本法の第3条に対応しております。それから2項目、平等参画につきましては、基本法の第5条に対応しております。それから第3点目の責任を担うという部分につきましては、基本法の第4条及び6条に対応しております。最後の項目の、健康で安心した生活ができる、これにつきましては、八王子プランの中の課題に対応しております。したがいまして、この宣言が合理的であるというふうに考えておるところでございます。

 それから、具体的な取り組みでありますけれども、これは先ほどの御質問にもお答えいたしましたように、宣言を具体化したものが男女が共に生きるまち八王子プランでございますので、この実行に鋭意努めてまいるつもりでございます。

 それから最後の御質問でございますが、男にとってどういう意味があるかということでありますけれども、男性は、どうしても仕事が中心というのが現状だろうと思いますけれども、家族の一員として責任を担う、そういう意味で意義があるんだろうというふうに考えております。


◎40番【井上睦子君】
具体的に宣言文の第4項目について、それぞれ基本法との対比との中でお答えをいただきました。そういった意味では、基本法が求めている具体的な理念と、そしてそれを具体化する内容について対比をした内容だというふうに理解をいたします。したがって、宣言は、基本法を踏まえてつくられたと、男女共同参画社会基本法をぜひ宣言と一体のものとして今後施策を展開されるよう、期待をしたいというふうに思います。

 特に、先ほど、男性にとってどのような意味があるかということでありましたけれども、地域や家庭に男性が責任を持ってかかわることによって、人間らしい生活ができるというふうに思います。これは、男女共同参画審議会における答申に向けての審議会の途中段階で、平成10年6月に男女共同参画審議会基本問題部会が、この基本法をつくるに当たっての議論をまとめております。その中で、男女共同参画社会実現の必要性として、男性にとってこのような意味があるということを記しておりますので、読み上げたいと思います。男性にとってもライフスタイルの変更が必要となってきている。高度経済成長時代には、会社の人件費に余裕があり、終身雇用制度と年功序列の賃金制度が成立することができた。しかし、低成長経済や競争の激化でこれらの制度を維持することが困難な事態が予想されるようになってきた。確かに、このような制度のもとでは男性は会社人間と言われるように、会社に忠勤を励めば、家庭は安定をしていた。男は職場、女は家庭という役割分担で、家庭は経済的には成り立ち、仕事だけを生きがいと感じた男性も多くあったと思われる。しかし、今や、男性が従来のように職場だけに生きがいを求めることは、予想される雇用制度の変化、父親の子どもに対する家庭教育の必要性、長くなった退職後の人生、心の充足等を考えると、一般に困難または不適切となってきた。今後は、職場、家庭、地域社会で個人の実情に応じ、生活全体としてのバランスのとれた人生を送る必要があり、そのようなライフスタイルに生きがいを求めるべきだと思われる。

 これは、基本法制定に当たっての審議会の答申でありますけれども、男女共同参画社会の理念の中に家族的責任を掲げているのも、このような認識に基づくものであるというふうに審議会は論点整理をしています。したがって、男女共同参画という言葉の概念は、女性だけにとってその地位の向上や審議会への参加ということを高めるだけではなくて、男性の人生観も変えていく、そして、現在の雇用情勢の変化に対しても対応できるような生き方なのだということを提起をしているのだというふうに思います。その点について、これは、特に3項目にあるわけでありますけれども、ぜひそのことも頭に入れて施策の展開を今後お願いしたいというふうに思います。

 1つ言葉の問題として、私は常にひっかかっておりますのが、男女共同参画社会と男女平等社会ということは、これは概念としては同一なのか、同一ではないのかという問題であります。共同参画というのは、英訳をすればジェンダーイクオリティーというふうになりまして、これを対照和訳をすれば男女平等というふうになります。基本法は、憲法が上位法で、男女平等に関しては、憲法で男女平等という言葉が示されております。基本法では、ここは男女共同参画ということで、言葉が変わってまいります。この男女共同参画というのは、91年のときから出された言葉でありますけれども、ぜひどのようにこの言葉の概念としてはとらえているのか。新21プランの中では、男女平等社会実現のために男女共同社会がその過程なのであるというふうに示されていたというふうに思いますけれども、この男女共同参画都市宣言というふうに、明確な言葉の概念として市当局は男女平等とのかかわりの中で、どのようにとらえているのかということを明らかにしていただきたいと思います。

 2回目の質問を終わります。


◎市長【波多野重雄君】 
 この法律は国会で成立をしておりますので、この法律どおりの宣言をしていくと。言葉の違いはどうなのかということですが、これは全く同じ位置づけと私は考えております。


◎40番【井上睦子君】
 午前中の質疑の中で、男女共同参画と男女平等は同一であるという明快な市長の御答弁をいただきました。ぜひ憲法や基本法の理念にのっとって、具体的に男女平等行政が実行されるよう期待をしたいというふうに思いますが、最後に、東京都は基本法を受けて自治体の男女平等参画基本条例を整理しつつあります。来年の2月に上程をされて議会で成立をするという見通しだそうであります。こういった東京都の取り組みなどを参考にしながら、宣言とプランをより実効あるものとするために、八王子市としても男女共同参画条例なり、平等参画条例なりの制定に向けての検討を始めてはいかがかというふうに思いますが、その点について、今後の男女共同参画社会を形成するために、どのように市長は取り組んでいくのか、そして都条例と同様な趣旨の条例の制定に向けての考え方というものをお伺いして質問を終わります。


◎市長【波多野重雄君】
 この提案が満場一致で可決をされた後に、その御趣旨を踏まえて、十分市民対応にこたえるこの宣言の実行をしてまいりたいと考えております。