◎40番【井上睦子君】
 それでは、最後になりましたけれども、市長の所信表明に対して社民・生活者ネットを代表して質問をいたします。

 黒須市長は、4期16年間支えてきた波多野市政を否定し、センセーショナルにマンネリ、閉塞市政打破を訴えて市長に就任されました。私は前市政の何を改革するのか、あるいは何を継承するのかを市政全般についてお伺いしたいと思います。

 各会派からの代表質問を聞いていて、それに対する市長の答弁は、果たして前市政と何が変わったのかなという疑問を持ちました。例えば、第三セクター、外郭団体を整理統合し、有効活用しますということは、選挙公報にも法定ビラにも出されたわけであります。市民の中では、波多野市政とは違った改革のできる市長としての期待もあったろうかというふうに思いますが、御答弁の中では、整理統合はしないと。60歳以上の定年退職者に対しては職場を確保する意味があるのだというような答弁であったと思います。

 市長は1ヵ月間、就任をされて以来、市役所を覆う閉塞感、あるいは危機意識のなさ、あるいはお役所体質ということを所信表明の中で述べられましたけれども、しかし、市長の答弁を聞いてみますと、そういうお役所体質的なところの答弁を受け継いでいる、継承しているのではないかなという疑問を持ったわけであります。市長がこれから改革すべき相手は、市の職員、管理職の面々であるかもしれません。

 前置きはそのくらいにいたしまして、まず、市政運営の基本的な考え方についてお伺いをいたします。

 所信表明では、危機意識、コスト意識の徹底、スピードの重視を市政運営の基本姿勢として挙げられました。そして、基本構想である新八王子21プランについては、基本構想の理念、都市像の基本施策は考えを一にするが、個別施策については必要に応じて見直すという立場であります。このことから考えるならば、市政改革の重点課題としては、それはいわゆる政策の転換ではなくて、市政運営上の手法、コストやスピード意識を持って行うということでしかないのではないかという、前市政との比較、違いを感じ取るわけでありますけれども、改めてお伺いをいたします。マンネリ、閉塞市政の打破は、手法ではなくて、政策の転換でなければならないというふうに思いますし、選挙公報や法定ビラでは私どもはそのように理解をしたわけでありますけれども、黒須市長の市政改革の重点課題というのは、政策としては何になるのかということを明確にお答えいただきたいと思います。

 また、次に、新21プランと前市政の評価についてお聞かせをいただきたいと思います。新市長は何の改革者として登場し、波多野市政のどんなところは継承するのかということを明らかにしていただきたいと思います。

 2点目に、地方分権についてお伺いいたします。

 昨年、地方自治法は抜本改正となりました。2000年は地方分権の幕あけの年と言えます。旧内務官僚が戦後再編した戦前からの中央集権型の政治、つまり、国が市町村長や知事を国の機関として手足のごとく動かす機関委任事務の仕組みが廃止されました。原則的には、自治体は自分たちの仕事に関してはすべて条例設定できるというようになりました。こうした地方分権の時代、自治体が政策を競う時代となりました。子育てがしやすい、高齢者の福祉が充実しているまちへ市民は移り住む、すなわち、まちを選択する時代にもなってまいりました。そうした中で、自治体の政策能力を高めることが問われています。

 前市政ではトップダウン方式でありまして、有能な職員たちの力が発揮できなかったと私は感じています。市長もボトムアップということで、職員からの政策というものを期待しているというふうに思いますが、2月24日の日本経済新聞は、地域再生への道ということで、3日間にわたってシリーズを組みました。その中で一橋大学の教授の関満博さんは、自治体が政策形成能力と実行能力を身につけることが最大の課題となってきたとして、三鷹市の例を挙げています。この三鷹市を現在最も輝いている市町村の1つとして評価をしているわけでありますが、その内容とは、十数年前に結成された市役所の若手を中心にした自主研究会が、次第に市民や商工業者、専門家を集め、 300人ほどの政策集団として発展をしてきた。その中で、ごみ処理や福祉などのテーマごとに分科会をつくり、独自に研究を深め、市長に政策提案をする流れを形成してきたということであります。

 そして、その分科会の担当、いわゆる提案した職員は、責任者としてその政策実現のためにめどがつくまでは異動できないということが行われているということであります。

 これはボトムアップ方式、あるいは市民をも巻き込んだ自治体の政策づくり、そしてそのことが地域の経済の再生へとつながるということが、るる展開をされているわけであります。

 こうした能力が地方分権の時代に問われていると私は思います。国や東京都の指導、上位計画だけに従ったまちづくりだけではなく、よく地域を知り、そして暮らしている市民の力が地域の経済の再生をも促すということのあかしでありますけれども、市長は新たな地方分権時代の自治体の政策能力をどのような方法で高めていくのか、お伺いをしたいと思います。

 地方分権に関して2点目として市民参加についてお伺いをいたします。

 地方分権、地方自治の一層の発展のためには、市民の市政への積極的な参加が不可欠であります。地方自治法第12条以下には、住民の権利が規定をされています。条例の制定や改廃を請求する権利、自治体の事務の監査を請求する権利、議会の解散や議員、執行部の解職を請求する権利などです。地方自治の主役は、言うまでもなく住民であると規定をされているわけです。

 今日では、より成熟した多様化した市民社会を反映して、住民投票などの取り組みが各地で活発に行われています。先ごろ行われた吉野川の河口堰の問題、あるいは市町村合併をめぐって、あるいは原発の立地をめぐって市民の直接的な民主主義の試みが全国各地で展開されています。これは、市長と議会が市民のある1つの問題の政策をめぐって相違する場合に、こうした市民の行動が起きているわけであります。

 市長は、市長選のときに、市長選立候補者公開討論会の公開質問状の回答に、住民参加というテーマでのアンケートの答えで、住民参加を図るため、住民参加基本条例などの策定をお考えですかという問いに対して、どちらとも言えないというふうに答えていらっしゃいます。補足説明として、住民参加、市民参加の言葉ばかりが先行している現状を改め、本質的な市民参加と、市民の代表である議会審議に重点を置きたいという考え方を明らかにしていらっしゃいます。

 また、住民参加を図るためにも、政策決定後の情報ではなく、政策実施の可否を検討する段階での情報を公開していく考えをお持ちですかとの問いには、はいと答えておられます。

 政策実施の可否を検討する段階での情報を公開するという回答と姿勢は、評価をしたいというふうに思います。しかし、本質的な市民参加と、市民の代表である議会審議に重点を置きたいという中で、若干、私どもとの市民参加をめぐるとらえ方が異なるのかなというふうに思いますが、市長の言う本質的な市民参加とはどのようなことを指すのか、お伺いをしたいと思います。

 また、市政への市民の積極的な参加を保障するためのシステムとして、審議会への市民公募の拡大、あるいは特別な市民の中に争点がある問題については、住民投票という形で市民の意見を反映していく住民投票条例の制定など、直接的な市民参加の問題については、どのようにお考えか、お伺いをいたします。

 次に、中核市移行の問題についてであります。多くの会派から中核市の問題については質問が出ました。私も凍結ということを支持したいと思いますし、財政が好転しない以上、中核市推進で走ることは極めて問題があるというふうに思います。

 それでは、中核市推進室が現在置かれているわけでありますけれども、この推進室をどのように扱うのか。私は、一たん廃止をして企画政策室などで中核市推進についての問題も扱えばいいということを考えておりますけれども、スピードと危機管理、そしてコスト意識ということを唱えられる市長は、中核市推進室を今後どのようになさるのか、明らかにしていただきたいと思います。

 次に、財政再建についてであります。

 財政状況の実態をつぶさに目にするにつれて、覚悟はしていたものの、状況は極めて厳しいとの認識を示していらっしゃいます。経常収支比率95.1%、公債費比率15.3%、これは自治体の危険水域を越えた数値であります。財政の問題は市長選の争点でもありました。私が12月議会で、前市長時代、財務の担当者に、八王子の数値はレッドカードではないのかということをただしましたけれども、十分留意をしている程度であるというお答えでありました。新市長は極めて厳しい認識だというふうにおっしゃいますけれども、市長の八王子市の財政に対する危機意識というのはどの程度のものなのかということを明らかにしていただきたいと思います。いわゆるレッドカードの状態であるのかどうかということであります。

 次に、財政再建の方向についてであります。箱物行政との決別ということが、選挙公報や法定ビラでも大々的に宣伝をされました。南口の地下駐車場、総合保健センターの凍結ということが、新しい市長らしさということで市民の中にも評判を呼んでいますけれども、一方で国際大会ができるスタジアムの建設、あるいは美術館、野外音楽堂の建設、これは夢であるというふうにおっしゃいましたけれども、それでは、市長の任期中4年間、これは夢であって、実施計画には計上されないのかどうか、お伺いをいたします。

 箱物行政との決別ということを唱えながら、夢としてスタジアムの建設や野外音楽堂の建設などを掲げることというのは、政策としては矛盾をするというふうに思いますけれども、その辺のお考えをお聞かせください。

 スタジアムの建設などについては、体育協会の新年会で、早々、市長が夢を語られたわけでありますが、教育長からは、財政が厳しいのでそんなに簡単にはいかないというふうに、見解が違ったという場面もありましたけれども、その点についてお答えをいただきたいと思います。

 また、大規模開発の問題についてであります。財政再建の方向としては、北西部幹線、道路の必要性は認めるけれども、市道の位置づけで財政上の問題があるというようなお答えが、他の会派の質問に対する答弁でありました。したがって、必要性はあるけれども、財政が好転しない中では、北西部幹線の建設の着手には至らないということであるのかどうか、明確にしていただきたいと思います。財政再建を果たさなければ、約 440億円というふうに言われている北西部幹線の建設というのは、逆に財政への大きな負担を伴うと思いますけれども、その点についてのお考えをお示しください。

 さて、次に、財政の構造改革を徹底するということであります。その手法についてお伺いをいたします。大分県竹田市や神奈川県では、中期財政計画を定めております。3年間の歳入、歳出を見積もって3年ごとのローリングをしていますし、事業の優先順位を再検討して、起債を起こすことを制限しているわけでありますけれども、これが大分県の竹田市などでは成功しているということが挙げられています。

 八王子市は、基本計画を持ちますけれども、実施計画は、建物、箱物の3年間のローリングであって、全体的な財政の歳入、歳出を計画的に立てるという財政計画を持っておりません。財政の構造改革のためには、そうした起債のコントロールをするというような計画、中期財政計画などのような手法で徹底的な改革を進めていかなければならないというふうに思います。市長の所信表明演説を読むと、サービス内容の縮小によって財政を切り詰めるということしか想像できないわけでありますけれども、財政再建、財政の構造改革の手法について私は中期的な財政計画を立て、そのことによって起債総額を規制するというような手法を用いることを提案したいと思いますが、市長の具体的な手法をお聞かせください。

 さて、7年後には地方債の許可制度が廃止になります。市町村は東京都の許可が必要でありましたけれども、2007年度からは事前協議制に変わり、地方債の自由化が始まります。今、国債の格づけがされておりまして、日本の国債は下がったというふうにいわれておりますけれども、地方債の格づけが始まり、自治体の財政状況によっては起債のときの利率が、財政状況がよければ低く、悪ければ高いという、金融ビッグバンに対応して、地方財政も新たな自由化の波の中に投げ入れられていきます。そのためにも財政の構造改革というのは急務でありますけれども、そのためのコントロールの能力を持つために、どのようなことをお考えになっていらっしゃるのか。来るべき厳しい時代に市長はどのように再建をされようとするのか。先ほどの提案と含めて御所見をお伺いいたします。

 次に、分権時代の税財源の問題についてお伺いをいたします。

 分権法の問題点として挙げられるのは、財源が移譲されないということです。さきの市長の答弁にもありましたし、早期に税財源の移譲が進められる必要があるとの認識も示されております。税財源の改革については、東大の教授である神野直彦さん、法政大学の金子勝さんなどが、所得税という基幹税制を地方に移譲する、すなわち、地方所得税の導入論というのを、ここ1年ぐらい展開をしておられます。具体的には、新たな地方税源として、国の所得税の比例税率部分を住民税に移すこと、住民税の税率はできるだけフラットにし、地方自治体に一定幅で税率操作権を与えること、国の所得税の移譲額に見合う補助金を削減する。この改革によっては増税を伴わないということを原則とするというようなことを発表されておりますし、全国知事会では、地方消費税の配分を地方に重点的にするようにという取り組みをしています。

 市長は所信表明の中で、市長会を通じ、国に積極的に働きかけていくという認識を示されておりますけれども、それでは、積極的に働きかけていく中身というのはどのようなものであるのか。全国知事会や神野さん、金子さんなどの地方所得税の導入論など、どのような御見解をお持ちなのか。地方分権の時代、税財源の移譲について市長の御所見をお伺いしたいと思います。

 また、東京都知事が提案した外形標準課税案は、地方自治体の財源確保の論議に火をつけました。港区では、たばこの自動販売機を港区に置いている区外の業者に課税するということを検討中だと報道されています。これは法定外普通税として検討されているわけですが、税収と徴税コストからこれが成立するかどうかは未定であるということであります。新年度からは、使途を限定した法定外目的税も新設されますけれども、これは研究をするというような答弁だったというふうに思います。

 自治体の機能を高めるためには、新たな税というものも考えなければならないと思いますが、入るを量るという観点から、法定外普通税あるいは法定外目的税についてはどのようにお考えか、再度お伺いいたします。

 次に、行政改革について伺います。

 市役所には残念ながら逼迫した危機感が十分に感じられない。意識の問題だけではなく、従来からのシステムそのものに原因がある。市役所全体の体質改善を重要な課題と受けとめる、というふうに所信表明演説ではされました。それでは、市役所全体の体質改善とはどのようなことを指すのか、お伺いをしたいと思います。

 次に、環境と開発行政についてお伺いいたします。

 業務核都市構想の継承を表明されました。業務核都市構想は、新21プランの基本をなすまちづくりでありますけれども、四全総時代のこの構想が、今日の経済低迷と産業構造が情報通信へと転換をしている中で、果たして成功するのか疑問であります。市長は法定ビラの中でも、業務核都市構想を推進してきた前市政を、限りなく続く大型店舗の撤退、経済政策の無策として、業務核都市構想を含んだ21プランを批判しています。このこともあわせて考えてみると、現在の経済情勢、そしてここ10年来の推移から、どのように業務核都市構想、これは成功するというふうに見通しを持っているのかどうか、お伺いいたします。

 また、圏央道、リサーチパーク、流通業務拠点の開発をめぐって、常に環境、自然保護との間で市民間に意見の二分が起きています。開発をめぐる環境破壊や、汚染のデメリット、経済的効果のメリット、どちらを選択するのかがいつも問われています。私たちの会派は、経済効果よりも環境を優先すべきだと、こうした業務核都市をめぐる開発構想には反対をする立場をとっておりますが、自然環境保護と開発についてどのような考え方を持っておられるのか、お伺いいたします。

 さて、具体的なことをお伺いいたします。リサーチパークが数年間、凍結されています。法定ビラでは、川口地区のリサーチパーク構想の見直しを掲げておられます。先ほどの議会答弁の中では、公団がどのような考え方を持っているのか探るということでありましたけれども、今後の見通しをどのように、最終的には見直しという方向で考えていらっしゃるのかどうか、お伺いいたします。  黒須市長を応援した議員の中でも、リサーチパークよりも他の開発へ進んだ方がいいのではないかという方向転換を求める質疑が、以前、議会でもされたことがございましたけれども、市長はその見直しの方向というものをどのように考えるのか、その内容についてお示しをいただきたいと思います。

 次に、福祉行政についてお伺いいたします。

 所信表明では、医療と高齢者のための施策について触れられています。3月の初旬には議会にも提出されるであろう地域福祉計画は、高齢者、障害者、子どもの3分野にわたる総合的な福祉計画であります。これは、前市長時代に策定されたものでありますけれども、黒須市長は地域福祉計画に対してどのように評価をしているのか、お伺いいたします。新たに市長らしさを加えるとすれば、どのような点なのでしょうか。お知らせください。

 また、介護保険制度に見られるように、少子・高齢化社会を迎えて、福祉の構造改革、福祉の市場化の流れが急速な勢いで進んでいます。今まで福祉サービスの提供者は社会福祉法人などに限られていましたけれども、民間の産業が参入してきます。サービスの質は守れるのか、利用者の人権は侵害されないかなど、利用者の権利擁護のシステムの確立が急がれています。権利擁護システムとして、日野、三鷹、中野では、福祉オンブズマンの制度が導入されています。介護保険については、これは高齢者福祉サービスをも含む高齢者介護基本条例の直接請求では、オンブズパーソン制度や、そしてサービス評価制度が提案され、利用者の権利擁護のシステムが市民としても高い市民要望であるということが明らかになっています。

 先ほどの答弁では、総合的な窓口を設けるというところでありましたけれども、より一歩進んで、市長に対し、意見具申までできるオンブズパーソン制度、あるいは客観的なサービス評価ができる制度へ発展させていく必要があると思いますが、福祉の構造改革の時代、福祉の市場化の時代、利用者の権利擁護制度の確立について、市長はどのようにお考えなのか。不可欠な制度としての認識がおありかどうかをお伺いいたします。

 次に、人権と平和についての取り組みについて伺います。

 まず、男女平等への取り組みについてであります。積極的な表明をされておりますけれども、先ほど紹介いたしましたアンケートの中で、市長は男女平等基本条例の制定については、制定をする、はいというふうに答えていらっしゃいます。東京都や埼玉県、出雲市が策定をされておりますけれども、確認の意味で、男女平等基本条例の制定の考え方と、制定するとするならば、どのようなタイムスケジュールになるのか、お伺いいたします。

 次に、平和行政についてお伺いいたします。

 非核平和都市宣言をしている市の市長として、今後、平和行政に対してはどのような取り組みをしていくのか、お伺いいたします。横田基地の撤去、縮小の問題、あるいは憲法の改正をめぐってさまざまに平和をめぐる情勢というのは議論がございますけれども、平和行政に対する市長の御見解をお伺いいたします。

 最後に、教育の問題についてであります。

 子どもの権利条約が94年に国会で批准をされて以来、子ども観は、子どもの最善の利益を優先するということで確立をされてまいりました。子どもの利益を最善する学校教育の実現について御見解をお伺いいたします。

 さらに学校給食について、先ほどの同様のアンケートでは、小学校給食の廃止に賛成というふうに答えていらっしゃいます。中身は市が責任を持つ方法を考えたいとの補足説明がありますが、将来的には小学校給食の廃止をお考えなのかどうか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。

 以上で代表質問を終わります。


◎市長【黒須隆一君】
 40番、井上睦子議員の質問に対する答弁をさせていただきます。

 まず、冒頭でありますけれども、北西部幹線と財政という見地から御質問がございました。北西部幹線は私は必要な道路だというふうに思っています。ただ、市の財政との関係を考えますと、かなり厳しいと思います。そのことは十分認識をしておりまして、将来的には、これは市道ということではなくして、国あるいは東京都の財政支援というものを受けられるような位置づけというものができないかどうか、これは考えていきたいというふうに思います。

 それから、市政改革の重点課題という御質問をいただきました。何を重点として改革をするのかということでありますけれども、まず、第1には、硬直化した財政の再建であります。財政の構造改革を徹底的に進めて、新しい時代に適合する体質をつくり上げていきたい、このように思っております。

 それから、もう1つは、徹底した行政改革への取り組みであります。職員定数の適正化、民間活力導入による効率的行政運営などの改革を、全職員とともに進めていきたいと思っています。

 それから、新21プランと前市政との関係ということでありますけれども、私は前市政のすべてを否定するものではありません。これは継承すべきものというのは、きちんと継承していく。必ずしもすべて誤っていたというふうには全く思っておりませんから、ですから、継承していくものは継承していきたい。ただ、時代の変化というものは、このように急速な社会環境の変化というのがあるわけですから、それに適合できるような、改めるところは改めていくことは必要なことだと。先ほども御答弁申し上げたとおりであります。

 それから、地方分権についてということで、自治体の政策能力という点から、ボトムアップの体制をどう保障するのか、こういう視点からの御質問をいただきました。私は地方分権によって自治体の自主性、自立性が高められるとともに、政策能力の向上が求められているということは十分に理解をいたしております。そこで、組織全体として政策能力をどう高めていくか、また、それを可能とする人材をどう育成していくかが課題だというふうに思います。組織としては、ただ単に企画部門の強化というものだけにとどまるものではなくて、政策形成、政策決定、政策の実施、政策の評価の各段階で適切に機能し得る組織機構をつくり上げることであります。そのためには、スタッフ組織の構築、プロジェクトチームの積極的な活用などが必要だというふうに思っています。

 また、職員には、個々の知識や技術では専門性が期待されると同時に、日常の事務にも政策的な観点から取り組んでいくような態度や意識が必要でありますので、職員提案制度の実施、研修の充実、自発的な政策研究会の支援などを行っていきたいと思います。

 先ほど、三鷹市の例のお話がありましたけれども、私は若い職員の皆さんの能力というようなものは大変大きく期待をいたしております。ぜひ、若い方々の視点を変えた行政のあり方、あるいは課題への対応力というようなものを期待をしながら、それを引き出せるような、そういう環境づくりに取り組ませていただきたいと思います。

 それから、現在の政策能力に対する評価ですけれども、これはまだ就任して1ヵ月余りでございますので、率直に言って評価の段階にはございません。これから研修等を通して政策形成能力の向上を図っていきたいというふうに思います。

 それから、市民参加についての考え方ということでありますけれども、公開質問状に述べさせていただいたとおりでありまして、どちらかというと、住民参加あるいは市民参加の言葉ばかりが先行している現状を改めて、本質的な市民参加と、市民の代表であります議会の皆様方の審議に私は重点を置いていきたいというふうに思います。

 住民投票制度についてもどう考えるかという御質問があったと思いますけれども、地方自治は間接民主制が基本でありまして、住民投票という直接民主の制度で政策決定するのは、時には議会制民主主義の否定につながりかねないというふうに私は思います。議会や首長の責任回避になる場合もあるというふうにいわれております。そもそも住民投票の前提として、十分な情報公開が行われていなければ、住民投票制度による合理的な決定を行うことは難しいと考えておりますので、私は積極的に情報を公開していきたい。これは公約でも示しております。

 中核市推進室は今後どうするのかという御質問がございました。今年度末をもって組織は廃止したいと思います。今後、中核市関連事務につきましては、企画政策室に所管させる方針であります。

 財政の構造改革について御質問をいただきました。本市の財政の実態というものについて、前任市長は、レッドカードかイエローカードかの質問に対して、留意する程度と答えているけれども、黒須はどう考えているのかと、こういうことですね。これは私は財政については非常に厳しいというふうに考えております。ですから、レッドカードかと言われれば、レッドカードが適切な表現かどうかわかりませんけれども、極めて厳しい状況だというふうに私は認識をいたしております。

 御承知のとおり、市債の現在高が 3,148億円にも達しているわけでありますし、そういう点からも非常に厳しいというふうに思います。  それから、入るをはかって出ずるを制すという経営の原則に立ち返って、行財政改革の強力な推進による経費の削減や、事業の優先順位の再検討などによって財政構造の改革を徹底的に進めていきたいというふうに思います。

 それから、自治体の格づけへの対応という観点からの質問がございました。地方分権一括法におきまして起債の許可制度が廃止され、原則協議制度となっておるわけでありまして、平成17年度までは現行の許可制度を維持することとされております。御承知のとおりです。その時点で各自治体の格づけの問題が起こって、財政状況によっては借入利率等への影響が出てくることが予測されます。当面、推移を見ていくことといたしますけれども、財政再建を進めていく中で格づけの問題も考慮に入れながら、適債事業の厳選、起債現在高の圧縮に向けて努力をしていきたいというふうに思います。

 それから、夢としてではあるけれども、体育館や野外音楽堂の建設をするということは、矛盾をしているじゃないか、また、体協の会場での教育長との見解が違っていたではないかと、こういう御質問、御指摘もございました。私は暗い話題ばかりでは、市民は希望が持てないんじゃないかと思うんですね。ですから、厳しい状況というものはきちんと理解をしていくことは必要であるというふうに思いますけれども、市民に夢を感じさせる、これは政治家としての重要な役割じゃなかろうか、そのように感じております。ですから、積極的に夢は持っていきたいと思います。

 それから、教育長との見解の相違でありますけれども、これは立場が違いますから、私は政治家としての立場として私の考え方をお話をさせていただいた、こういうことでありますから、ぜひ理解をしていただきたいと思います。

 それから、分権時代の税財源については、どのように考えているのかということでございますけれども、これは、このたびの地方分権における財政面の改正は、法定外普通税の許可制度の廃止と、法定外目的税の創設、地方交付税の算定方法の簡素化と、地方公共団体の意見申し出制度の創設、地方債許可制度の廃止などが挙げられておりますけれども、十分な財政措置がとられていないというふうには理解をいたしております。そこで、国と地方の税収割合、あるいは歳出割合のギャップ、すなわち地方への歳出規模と地方税収入との乖離を縮小するという観点から、早期に地方への税財源の移譲を進めることがどうしても必要と私は考えております。ですから、国に対しては市長会を通して地方税財政制度の改革を強く訴えていきたい、このように考えております。

 また、行政改革につきまして、職員の体質改善というものはどのようなことかというふうに、具体的に何であるのかという御質問をいただきました。地方分権の時代に合わせて、職員が意識改革として危機管理、コスト意識を持って時代の変化に臨み、スピードをもって事の解決に当たる。そしてまた、組織機構の改革として、時代のニーズに対応できる柔軟な実働組織にすること。そしてまた、適材適所の人事と人材の育成をきめ細かな対応をもって行っていきたい、こういうふうに考えております。

 それから、業務核都市構想は継承するのか、考え方を聞きたいということでありますけれども、これは本市が首都圏の中核都市として自立していくためには、職住が近接したまちづくりの実現を目指しておりまして、基本的には業務核都市構想を継承するという考えであります。

 また、リサーチパーク計画を見直す考えがあるのかということでありますけれども、これは先ほども御答弁申し上げましたけれども、見直さざるを得ないというふうに思っています。本来でしたらば、これは住宅・都市整備公団の政策の一環でありますから、もっとずっと早い時期にリサーチパーク計画は具現化をしていなかったらおかしいというふうに思っているんですね。しかし、全くそれが放置されたままだということであります。これはやはり、現状ではもう見直さざるを得ないというふうに私は理解をいたしております。

 それから、開発と自然保護の接点をどこに見出すのかというお話もございました。潤いのある都市環境に欠かせない豊かな自然やみどりを保全することは、重要であると考えており、自然環境に配慮した計画的な開発により調和を図ってまいりたいというふうに思っております。これは開発と自然保護というのは、私は必ずしも調和しないものではないと思います。そういう視点から取り組ませていただきたいと思います。

 福祉行政について、新地域福祉計画に対する認識についてお尋ねがございました。新地域福祉計画については、地域福祉計画審議会と協力委員会議の設置、アンケート調査、中間のまとめに対する市民の意見募集などを通じ、多数の市民から貴重な意見、提言を受け、市民参加による計画づくりが進められてきた経緯があるというふうに伺っております。新計画は、今後の本市の福祉行政を展開する上で必要となる施策の方針や事業が的確に盛り込まれており、時代の要請にも沿った内容と私は評価をいたしております。

 それから、福祉オンブズマンを設置する考えがあるのかということでございますけれども、福祉サービスに対する苦情や要望を公平、公正に処理する仕組みづくりにつきましては、必要であると考えております。当面は、介護保険サービスに対応するため、先ほどもお答え申し上げましたけれども、高齢者の総合相談窓口を設置させていただきたいと思っています。そして、高齢者からの相談や苦情に対して、専門家が経験者が迅速に対応して、その解決が図れるように取り組みたいと思います。

 次に、男女平等への取り組みについてでありますが、私がアンケートに答えて、男女平等基本条例を制定するというふうに答えているが、その確認をしたいということでありますが、条例につきましては、現在、都議会の方でこの第1回定例会で制定されるやに伺っております。東京都の方で条例が制定された後で、この内容を見させていただいて、十分調査、研究し、検討してまいりたいと思います。

 それから、平和行政への取り組みという観点から、平和に対する市長の認識についてということでございますが、まちづくりの基本は、平和で人が人として大切にされ、安全で健康に暮らすことができる地域社会の実現を図ることだというふうに考えております。

 そこで、この平和についてでありますが、本市は昭和57年6月29日に市議会において決議されました非核平和都市宣言に基づいて、平和啓発事業を展開してきております。平和の重要性については、十分認識しているところであり、この宣言の趣旨を踏まえて、平和と市民の幸せを願うという基本的な立場で行政を進めてまいりたいと思います。

 それから、教育について、子どもの権利を大切にした教育の実現について、御質問がございました。子どもの権利を大切にした教育についての基本的な認識についてでございますが、児童の権利に関する条約の趣旨を踏まえ、児童の人権に十分に配慮し、1人1人を大切にした教育が進められることが大切と認識しております。また、子どもの人権を守る意味での、例えばオンブズパーソン制度などについては、今後の検討課題としてまいりたいと考えております。

 それから、学校給食についてでありますが、今回の市長選挙に当たりまして、公開質問状の中で、小学校給食の廃止について賛成をしているが、学校給食の必要性についてどのような認識を持っているかという質問であります。私は、この質問の内容を、現在行われている直営による給食と理解をして、これにつきましては廃止といいますか、やり方を変えるべきだという意味で賛成したものでありまして、学校給食そのものの必要性を否定したものでは全くありません。理解をしていただきたいと思います。