◎40番【井上睦子君】
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おはようございます。初日の1番目ということで頑張ってやらせていただきたいと思います。それでは、介護保険制度がスタートしての課題ということで一般質問を行います。
介護保険が始まって2ヵ月がたちました。1ヵ月時点での毎日新聞社の自治体アンケートによれば、制度の周知、サービスの質の確保が大きな課題であり、政府への要望は、要介護認定の1次判定ソフトの見直しとなっています。また、同じ時期の朝日新聞の利用者アンケートによれば、既にサービスを受けていた人々の在宅サービス利用料についての不満や、痴呆症の場合の認定やサービスが実態に合わない。また、ケアマネジャーやヘルパーが期待にこたえていないなどが出されています。問題点も課題も自治体の数だけ、利用者の数だけあると言えます。よりよい制度とするために、4つの問題点について提案をしてまいりたいと思います。
さて、こうした課題に対し、利用者の権利擁護のシステムとして、私はオンブズパーソン制度の導入を強く求めてまいりました。市民から2万 8,000名の署名をもって直接請求されていた高齢者介護基本条例は、大変残念ながら、5月25日の厚生水道委員会で否決という結果になりました。その審議過程の中で、委員からは、高齢者介護基本条例が提起していたオンブズパーソン制度について、支持する意見が多く出されていました。市も、設置の時期は明確に示すことはできないが、検討に着手したとの答弁をしています。
オンブズパーソン制度に対する市長意見、波多野前市長の意見ですが、介護保険法による救済措置があり、別途に条例による不服申し立て制度が創設、運用されることは無用な混乱を生じるため、適当ではないという前市長の意見を、事実上撤回するものとして私は受けとめましたけれども、そのように理解してよいのか、まずお答えをいただきたいと思います。
そして、検討に着手したという答弁について、オンブズパーソンの必要性についてどのような認識に至ったのか、どのような考え方の変化が市当局の中にあったのか、お答えをいただきたいと思います。
検討に着手したオンブズパーソンの内容についてお伺いをいたします。
高齢者介護基本条例では、任命について、登録団体の推薦を受けた者の中から市長が候補者を選び、議会の承認を受けて任命をする。そして、機能として、介護保険及び老人福祉サービスについて問題の解決に当たる。また、各サービスの改善、新制度の必要性について、市長に要望等の提出ができる。また、権利擁護のため問題がある場合は、当事者への勧告、または市長への要請を行うとしています。
また、権限として、必要とする者から情報を得ることができますし、市長の責務としては、オンブズパーソンからの要望を尊重して、その実現に努めなければならないと、直接請求の中では条例の中に書いてあります。
以上のように、市民の願うオンブズパーソンは対象として老人福祉サービスと介護認定、介護サービスについて、勧告権などの強い権限と機能を持つ制度を願っています。国は介護相談員、東京都は高齢者福祉施設苦情解決制度について報告書を出したり、提言をしたりしています。市はこうした制度を参考にしているとも伺っておりますけれども、市が検討しているオンブズパーソン制度の任命、そしてその持つ機能、権限等について検討が進んでいるとすれば、具体的にお示しください。
また、制度の導入に当たっては、広く市民の意見を反映させたものにするために、庁内の担当部署のみで検討するのではなく、学識経験者や市民、そして福祉や医療、介護にかかわる専門家が参加する検討委員会の設置をすべきだと思いますけれども、その御見解をお示しください。
次に、費用負担への援助についてお尋ねいたします。
介護保険の導入によって、利用料の1割を負担しなければならなくなりました。所得の低い利用者にとっては、以前より負担が重くなり、一方、所得の高い利用者にとっては、負担が軽くなっているというケースが出てきています。
利用料の負担が大変な高齢者は、在宅サービスにおいて要介護度のいっぱいのサービスを受けないで、自粛する傾向にあるといわれています。すなわち、利用料の負担ができる範囲でサービスを受けているわけです。また、介護度だけのサービスで不足する場合、追加してサービスを組むと、全額自己負担となります。この負担がなかなか厳しいという声も届いています。
生活保護世帯の場合、保険料、利用料も生活保護でカバーされますが、生活保護受給資格のボーダーラインの所得の人たちの困難さがあります。今までの措置制度では、中間所得層にとっては厳しい制度でありましたけれども、このような状況にはなかったわけです。介護保険制度の持つ所得の低い人に対する逆進性が、問題点があらわれてきていると思います。
このように、所得の低い利用者、世帯が利用料負担に苦しんでいるということを、市はどのように承知をしているか、お伺いをいたします。
高齢者介護基本条例には、介護保険の給付、及び老人福祉サービスの種類、また水準は人間としての尊厳を保ち、希望を持って生き得るものとするとの原則がうたわれていました。しかし、現実は、老後の生活は金次第と言っても過言ではないという実態があると思います。市は、介護が必要となった高齢者の生活の質が、金銭によって、所得水準によって左右されてもよいとお考えでしょうか、お伺いをいたします。
次に、財産管理、具体的にはリバース・モーゲージについて伺います。
リバース・モーゲージ制度は、逆不動産担保融資と訳されているわけですが、1981年に武蔵野市が最初に始めました。高齢者が日常生活資金を得るために、所有する土地や建物などの不動産を担保に提供して、年金や一時金の形で融資を受ける仕組みです。アメリカでは制度化をされています。
武蔵野市の場合は、武蔵野市福祉資金貸付条例に基づき、不動産を担保にして必要な資金を貸し付け、貸し付けの対象は、福祉公社の行う有償在宅サービスの費用や、生活費、医療費等で、担保物件の価格を限度に貸し付けが受けられています。
ほかに、練馬区や神戸市などでも、また府中市や調布市などでも導入されている制度です。
市は、このリバース・モーゲージについて、どのような評価をしているのでしょうか。市として制度の導入等についてはどのように考えているのか、お伺いいたします。
前より仕事がきつくなったのに、収入は二、三割減った。日曜や夜間の手当、交通費の支給が廃止された。施設職員の数が減り、仕事が忙しくなったと、現場で働くホームヘルパーさんや施設職員からの声をたくさん聞くようになりました。施設運営も、措置制度より介護報酬が低くなり、経営が苦しくなってきている。その分、働く人たちへのしわ寄せが来ているのではと思われますけれども、施設やサービス事業者、ヘルパー、また施設職員からそのような苦情や訴えなど、市はどの程度把握をしているのか、まずお伺いをいたします。
次に、交通バリアフリーの実現についてお伺いいたします。
ことし5月10日、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動円滑化促進法、通称交通バリアフリー法が成立いたしました。この法律は、移動するときの身体の負担を軽減することによって、移動の利便性や安全性を向上させることを目的としています。そのために、鉄道事業者等が駅や空港などを新設したり、大規模改築したりするときに、エレベーターやエスカレーター、そして誘導警告ブロックの設置などを義務づける内容になっています。
また、駅やバスターミナルの周辺地区を重点整備地区に指定して、歩道の拡幅や段差の解消などを進めることが盛り込まれています。
交通バリアフリー法は、障害者の中で身体障害者を対象として、精神障害者や知的障害者は対象外となっている点や、新設、大規模の改築についてのみ義務化となっている点において、本当に実効性があるのかという疑問があります。さらに、重点整備地区についての指定も、1日に 5,000人以上の利用者があることなど、果たして目に見えるほどの実効性があるのかとも思われます。
補助金についても、国、都、事業者おのおの3分の1で、政策的な誘導は可能なのだろうかとも疑問になるわけですけれども、市は法律の成立をどのように評価しているのか、お伺いいたします。
さらに、法律の実効性についてお伺いいたします。
衆議院の運輸委員会での質疑において、既存施設は義務化されていません。努力目標となっている点が大いに問題になりました。既存施設のバリアフリー化が、駅などでは最大の課題であるわけです。政府は、地方自治体にかなりの主導権を持たせているので、自治体が頑張ればこれは実現できるというふうに答えています。その部分を紹介いたしますと、今回のこの法律、御承知のとおり、地方自治体にかなりの主導権を持たせております。その地方の方々が本当にその必要性を訴えられまして、また、自治体を動かして、自治体が重点整備地区に指定して、一体的な推進構想、いわゆる基本構想を提示したときには、そしてそれが合意されたときには、これは既存のものであったとしても、そこに組み込まれている以上、半ば義務化されることになるわけでございますから、地方自治体が主導的に動くことによって既存の駅なども十分に整備されていくというふうに政府委員は答えています。
バリアフリー化への市町村の役割が、政府の答弁から考えれば、大変大きくなってくるというのが、この法律の内容のようでありますけれども、この法律を受けて市は交通バリアフリーの基本構想の策定についてどのように取り組むのか、お伺いいたします。
次に、交通権、移動の自由の保障ということについてお伺いいたします。
交通バリアフリー法には、この交通権の理念は盛り込まれませんでした。アメリカでは1973年のリハビリテーション法の成立によって、アメリカ政府からの補助金をもらっている交通事業者に対して、障害を持つ人を差別してはいけないという法律になっています。それによって、障害を持つ人の移動の制約をしない、逆に言えば、移動する自由を保障するという考え方が定着しており、アメリカはバリアフリーが進んでいるといわれます。
地域福祉計画の中でも、今回、障害者計画の中に、移動手段の確保などが明記されて、市も一定、この方向で取り組んでいるというふうには思いますが、この交通権、移動の自由を保障するという考え方については、どのようにお考えでしょうか。こうした地域福祉計画の中にも流れているものとして受け取ってよろしいのか、確認をいたします。
次に、市内の駅舎等の問題についてお伺いいたします。
JR、京王各駅18駅ございます。また、多摩都市モノレールが開通して3駅追加されました。多摩都市モノレールの新駅は、エレベーターやエスカレーター、そしてホームへの転落防止から防護さくなども設置されておりますけれども、京王各駅やJR各駅の中でバリアフリー、移動の自由を保障するさまざまな課題が、まだたくさんあります。八王子駅ではエスカレーターやエレベーターの設置が、ここ数年、皆さんの努力で進んでまいりましたけれども、まだまだ課題があります。今回の補正予算でも、南口の調査費などつけられておりますけれども、市は18駅についてどのような課題があると認識しているのか、お示しをしていただきたいと思います。
最後に、バスの問題についてお伺いいたします。
車いすを利用する障害者の皆さんにとって、鉄道、電車よりもバスの移動の方が困難であるというふうにお聞きをいたします。それは、ノンステップバスといって、車いす対応ができるバスがなかなか走っていない、あるいはどこを走っているのかわからないという状況があるわけですけれども、今、八王子市内を走っている西東京バスや京王バスの中に、ノンステップバスあるいはワンステップバスはどの程度走っており、車いす利用者の人たちが利用しやすい環境にあるのかどうか、お尋ねをして1回目の質問を終わります。
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