◎40番【井上睦子君】
 それでは、一般質問を行います。

 まず、改正住民基本台帳法についてお伺いしたいと思います。

 昨年8月、すべての住民票に住民票コードをつける改正住民基本台帳法が成立いたしました。住民基本台帳ネットワークは2002年に稼働することとなっています。さて、住基ネットのシステムの概要でありますが、縦のネットワークと横のネットワークがあります。縦のネットワークとは、住民票コードと住所、氏名、性別、生年月日と移動履歴の6情報を本人確認情報として、各市町村から都道府県に、そこから指定情報処理機関へとデータを送信することを指します。これは16省庁92事務を初め、法律で定める機関等に本人確認情報として提供されます。横のネットワークとは、縦のネットワークに流れる6情報を含むすべての住民票記載事項、これは13項目ありますけれども、13項目を市区町村間で相互送信し合うことで広域交付や転出入届に使用されるものを言います。サービス拡大に用いられるというシステムです。

 法案成立後も、実務を担当している市町村に対する自治省の情報提供は少なく、やっと説明会が開かれるに至って、システムの構築や実務上の問題がわかってきたという状況です。

 昨年2月には、特別区長会が、自治大臣に対して制度の導入と運用に関し検討すべき事項が残されている上、財政措置が明確化されていないなど、実施主体である市区町村にとって影響が大きいことが予想される。特別区長会では、本法案については、実際に住民情報を管理し、事務を担当する各自治体の意見を十分に尊重されて、慎重に検討していただきたいという強い要望書が出されております。これは、制度に対する懸念、問題点の指摘として大きく受けとめられました。

 また、ことし6月、杉並区長は、議会の質問に対して、すなわち今回の住民基本台帳ネットワーク化については、自治権と財政自主権の観点から慎重に対応すべきだという議会での質問に答えて、区長は、個人情報保護上の危惧はぬぐえず、さらにそれに伴う財政負担の大きさや住民の利便性、区の事務処理の面などでの問題点も多く、御指摘のように、慎重に対応すべきものと答弁し、全国紙でも報道されました。7月の全国担当者説明会にも杉並区は欠席したというふうに報道されております。

 本市では、準備に向けて、ネットワークの構築に向けて、情報基本化計画にも示され、準備が進んでいますけれども、いま一度、費用対効果、そして、プライバシーの保護の観点から検証していく必要があると私は考えています。

 まず、費用対効果についてお伺いいたします。

 国は、国全体のシステムの構築に 400億円、経常経費に 200億円と見込んでいます。本市の場合、どの程度の費用がかかるのか、お伺いします。

 本市の現在の住民基本台帳システムの電算化というのは、営々と市が一般財源で築き上げてきたシステムでありますけれども、この改正法によって既存の住基システムを変更しなければなりません。そして、データを移行し、また、コミュニケーションサーバと呼ばれるものも設置しなければなりませんし、住民票コードを1人1人の市民に対してつけていくわけですが、あなたは何番ですよという通知もしなければなりません。そして、住基カードも発行しなければなりません。こうした設備、ネットワークシステムの構築に対する経費及び事務経費はどの程度かかるのか、具体的にお示しいただきたいというふうに思います。

 次に、財源の問題であります。財源は地方交付税で算定されるというふうになっておりますけれども、国からの財源保障はどの程度見込まれるのでしょうか。また、不交付団体への財源保障は確保されているのか、お伺いいたします。

 次に、住民や行政にとってどのようなメリットがあるのかということについてお伺いいたします。法審議の中でも、転出入届の簡略化、事務の効率化ということが言われています。改正法による行政実務上のメリットは本当にあるのでしょうか。あるいはデメリット、事務の煩雑化ということが逆に改正によって行われないのか、その点について市はどのような検討をしているのか、お伺いをいたします。  次に、個人情報の保護の問題についてお伺いいたします。

 縦のネットワークでは6情報が、横のネットワークでは13情報が電気通信回線を行き交うことになります。通信回線から情報が漏れるということについての可能性は大だというふうに思いますけれども、改正法は従事職員への重い罰則を課しているにすぎません。改正法で個人情報の保護は万全と言えるとお考えでしょうか。お伺いいたします。

 さらに、オンライン回線からの情報漏れを防ぐ手段として、専用回線と暗号化の2つを採用すると国会の答弁の中では説明されてきました。しかし、ことし7月に開催された全国担当者説明会では、全国ネットワークを構成する専用回線は、高いセキュリティーを保持しつつ、経費圧縮の観点から、仮想専用回線を使用するという資料が指定情報処理機関に指定されています地方自治情報センターから配付されました。専用回線と仮想専用回線とは全く違ったものであります。専用回線は物理的にも新たな回線を敷き、住基の情報だけが行き交うという回線ですが、仮想専用回線は、ふだんはほかの人との共有型回線ですけれども、特別の契約をした人のデータが通るときには専用回線のようになる仕組みで、半共有型の回線であると言われています。国会答弁と異なることを決めるということは、指定情報機関の指定の規定に違反するものだというふうに思うわけでありますけれども、仮想専用回線でプライバシーは守れるのでしょうか。お伺いいたします。

 コンピュータの導入は、行政の個人情報処理能力を拡大し、情報の高度利用を可能にした、その反面、個人情報の目的外使用の危険性や情報の正確さを確保する必要性を高めてまいりました。そのことによって、八王子市でも住基の電算化を契機として、その後の市民のプライバシー保護への意識の高まりの中で、八王子市個人情報保護条例が制定されています。この個人情報保護条例の中では、第12条で目的外使用及び外部提供を制限しておりますし、第13条でオンライン結合による提供の制限をしています。第12条、第13条の趣旨をお示しください。そして、改正法との整合性を図ることができるのか、お答えいただきたいというふうに思います。

 次に、国勢調査についてお伺いいたします。

 1920年以来5年ごとに行われている国勢調査は、ことし2000年で17回目になりますが、10年に1度は大規模な調査があり、ことしはその年に当たります。統計法の第4条、人口に関する全数調査が根拠法でありますけれども、氏名、電話、配偶者の有無、学歴、1週間に仕事をしたかなど、どう考えても人口調査の範疇を大きくはみ出すような項目となっています。調査項目は5年前の17項目から22項目にふえています。これらの項目は国勢調査令の第5条で定められていますけれども、国は、国勢調査の目的として、衆議院、地方自治体の議員定数、また地方交付税の算定基準、福祉対策、経済計画、将来人口の推計等、役立たせるということを挙げています。ところが、人口総数ならば、5年に1度ではなくて、むしろ毎年の住民基本台帳からとっている場合が多く、人口は簡単につかめます。選挙人名簿は住民票からつくっていますから、なぜ衆議院や地方自治体の議員定数を国勢調査で算出するのか、わかりません。また、長らく言われてきています衆議院選挙における1票の格差問題は、一向に解決せず、かえって拡大している現状です。果たして国勢調査は社会経済システムの改革、そして、政策づくりに反映されているのか、疑問であります。

 そこで、国勢調査の内容と目的について質問いたします。

 市は、法定受託事務としてこの国勢調査を行うという役割にありますけれども、今回の調査項目の特徴及び指導員、調査員数、調査区域数、そして、この調査にはどれくらいの経費を要しているのか、お答えをください。さらに、目的として、先ほど述べましたように、各種行政施策の基礎資料を得ることを目的とするというふうにされていますけれども、本当に政策に反映されているのでしょうか。反映されている事例を挙げていただきたいというふうに思います。

 前回、95年調査のときには、調査員の多くの方から、大変な苦労をした。何回足を運んでも会えない。特に学生の多く住むワンルームマンション、アパートの調査には苦労したというお話をたくさん伺いました。また、調査される側からは、近所の人が調査員で、家族のすべてがわかるので嫌だ。決して気持ちのいいものではないという声がありました。

 前回の調査時、プライバシーアクションという市民団体が、国勢調査にかかわる電話相談で1番多かった苦情が、調査員が顔見知りだったということでした。大半の調査員は国や自治体の研修や指導に従ってプライバシーを守り、対応に気を使っているというふうに思われますけれども、市民のプライバシー意識の向上は、このような苦情として出てきているのだというふうに思います。

 また、相談の内容として、拒否できるのか、密封をあけられないのか、郵送、持参ができないかなど、自分のプライバシーを人に知られたくない、知らせたくないという相談内容が圧倒的な多数を占めたということです。

 そこで、お伺いいたしますが、本市で95年、前回の調査では、どのような相談や苦情が調査員または調査を受ける側の市民から市の方へあったのでしょうか。事例を挙げてお答えをいただきたいというふうに思います。

 また、プライバシー保護の観点から、調査用紙を紙にくるんで出すという封入が95年の中でも行われました。本市の封入率などを明らかにしていただきたいというふうに思いますし、実務上の問題点、例えば調査員の確保の困難性などなかったのか、お伺いいたします。  5年ごとの国勢調査のたびに私はプライバシーに配慮することを求めてまいりました。市民団体の粘り強い運動の成果もあって、全国83万人を超える調査員全員に世帯のプライバシーを守るためにという個人情報保護マニュアルが作成されました。また、密封用のシールもすべての調査票に今回の調査からつくようになりました。郵送、持参も認められています。

 このことからも明らかなように、調査の最大の問題点はプライバシーに関してであります。プライバシーという用語は、もともと私生活を他人に干渉されない、そっとしておいてほしいという意味で使われていましたけれども、高度情報社会の今日、自分の情報を自分がコントロールするということを意味しています。この両方の意味において、国勢調査は大きな問題を持っています。先ほど述べましたような多くの疑問や問題点のある国勢調査でありますけれども、プライバシー保護のため、自治体が独自の対策を講じることは可能であります。

 国分寺市では、10月1日に実施されます国勢調査に対して、市独自の調査員の研修用のマニュアルを作成する。あるいは、市独自で封筒を作成する。調査員の担当区は、原則としてその住所から一定の距離をとる。クロス調査と言われるそうですが、そういった体制。あるいは、全戸配布のチラシ。これは、10月1日は国勢調査の日でありますけれども、あなたのお宅に調査員が伺いますというふうに書かれてありまして、調査票に記入された内容は統計調査の目的以外には絶対に使用しません。また、調査員には法律により、秘密を守る義務がありますので、安心してありのままを御記入ください。調査員に調査票を見られたくない方は、調査票と一緒に配られる調査票記入の仕方という用紙に封入して提出していただければ、調査員は絶対に開封いたしません。市へ直接郵送または御持参いただいても構いませんというふうに、プライバシーを守るという姿勢を市のチラシで出しています。そして、御不明な点は下記までお問い合わせくださいとして、国分寺市の担当窓口、そして、総務庁の担当窓口、東京都の担当窓口、3本の電話番号が記されています。

 このようにプライバシーへの配慮を市独自の観点から行っているわけでありますけれども、市としては個人情報の保護のためにどのような取り組みをするのか、また、この間してきたのか、お伺いいたします。

 さらに、調査の段階で、先ほど申し上げましたプライバシーを自己情報のコントロールという点から考えれば、本人の意思で調査拒否、そして、調査項目の未記入ということもあるわけでありますけれども、その場合、記入することを強要すべきではないというふうに私は考えておりますけれども、市は、調査員に対してどのような指導、研修をしているのか、お伺いいたします。

 さらに、相談、苦情窓口の体制の問題をお伺いいたします。

 10月1日を期日として調査が行われますが、9月下旬から10月上旬にかけて調査票の配布、収集が行われます。さまざまな相談や苦情が寄せられると考えますが、相談や苦情への対応はどのようにするのか、相談の体制、あるいは土日の体制、または電話の台数等、お知らせいただきたいと思います。

 最後に、外国人や障害者への対応についてお聞きいたします。

 日本語が堪能ではない外国人や障害を持った方たちに対して調査への協力を得られる場合、どのような配慮をして調査を行うのか、お伺いいたします。

 また、オーバーステイの外国人への対応についてでありますが、国勢調査員は一般職、非常勤の国家公務員としての身分を持つわけでありますけれども、オーバーステイの外国人だというふうにわかったときに、それは報告義務があるのでしょうか。市は報告を望むというふうに指導、研修しているのか、お伺いいたします。この辺の問題については、調査員と調査される側とのトラブルに発展しかねない問題でありますので、私は、慎重な対応、国勢調査員としての役割だけをするべきだというふうに思いますが、その点をお伺いして、1回目の質問を終わります。


◎市民部長【池田丈三君】
 住民基本台帳ネットワークシステムの関係につきまして、順次お答え申し上げます。

 本市のシステム構築に幾らかかるかという点でございますが、国は、御質問者がおっしゃっておりますように、コストに見合う効果があるというふうにしておりますけれども、各市町村につきましては、今年度いっぱいの中で影響度調査を行うことになっております。市によりまして既存の住基システムの対応が違っておりますので、一定の費用は現在まだ出ておりません。本市もこれから作業に入りまして、その中で構築費用やその他法改正に伴う事務経費などの算定を行うところでありますので、現段階では全体経費やその効果については明確になっておりませんので、御理解いただきたいと思います。ただ、現在把握している主な経費項目は次のとおりであります。影響度調査費、コミュニケーションサーバ等設置費、既存の住基システムの改修費、あるいは住民票のコード通知費。これにつきましては、国の方の考えでは、1世帯 184円というように見積もっておりますので、本市の場合は21万世帯で約 3,700万円になるのかなというふうに考えております。その他事務経費等でございます。

 また、これらの導入経費にかかわる国の財源措置の関係でございますが、普通交付税で地方財政措置がなされることになっております。ただ、詳細については現在の段階では明らかになっておりませんので、御理解いただきたいと思います。

 また、不交付団体への保障は確保されているのかという点につきましては、私どもが聞いておりますのは、普通交付税措置というふうに聞いておりますので、その上から言えば、不交付団体の保障といいますか、それはないというふうに現段階では思っております。

 次に、住基ネットワークのメリットでございますけれども、これにつきましては他の議員の御質問の中でもお答えいたしましたが、住民サイドで申し上げれば、住民票がどこの市町村でもとれるようになるというようなこと、転入、転出手続が転入先で1回で手続ができるというようなこと、あるいは資格申請や受験等の行政手続の際に住民票の添付の省略が可能になるというようなこと。あるいは、このカードを利用して身分証明書等の利用とか、施設利用カードとしてのサービスも受けられることになるというようなことと思っております。

 行政の事務上のリスク、デメリットといいますか、そういう点でございますが、まだ全体の経費がわかっておりませんが、相当の導入経費の負担が予想されますので、その点はデメリットである。また、ICカードの有効期限が5年ということになっておりますので、更新時についても相当の費用が生じるというふうにも思っているところであります。また、今までになかった、当然のことですが、住民票の広域交付等の事務が増加するということになると思っております。

 次に、改正法でのプライバシーの保護の問題でございますけれども、システム面につきましては、ICカードや暗証番号によるコンピュータ操作者の厳重な確認、通信相手となるコンピュータとの相互認証、専用回線上の本人確認情報の暗号化、ほかにもございますが、そういったシステム上の配慮がなされているというふうに考えておりますし、また、制度面では本人確認情報の提供先や利用目的を法律により具体的に限定している。関係職員に対する秘密保持の義務づけ、民間部門の住民票コードの利用禁止、運用面では情報保護管理者の設置、安全確保等のための委員会の設置、監査等の管理体制に関する措置、このような措置がとられているというふうに考えております。

 また、仮想専用回線の関係でございますが、全国ネットワークは、システム面といたしまして、IP−VPN回線という仮想専用回線を利用するわけですが、これは市町村、都道府県及び全国センターをデジタル専用回線を用いて結び、それぞれの拠点の交換装置は多重化装置等、住民基本台帳ネットワークシステム専用の交換装置で構成され、他の回線から完全に隔離されたシステムと聞いており、プライバシーの保護等がとられると理解しております。

 最後に、八王子市個人情報保護条例の関係でございますが、第12条の趣旨ということでございますが、情報の収集の目的の範囲を超えた個人情報の利用及び外部への個人情報の提供を禁止する原則、原則の適用除外による利用または外部への提供及び本人への通知義務、並びに外部へ提供するときの制限措置についての定めが趣旨だというふうに思っております。

 また、13条につきましてはオンライン結合の関係でございますが、このオンライン結合での情報の提供方法は、相手方の必要性により、実施機関が保有する個人情報に随時にアクセスすることを可能にし、実施機関としてはチェックすることなく、その個人情報を不可視の状況で提供してしまうことになります。これを防止するための原則が趣旨として定められているのかなというふうに思います。

 そこで、この条例と住民基本台帳ネットワークシステムとの関連でございますけども、12条につきましては第2号で法令等に定めがあるときは外部提供ができることになっておりますし、また、13条の関連では、個人情報について必要な保護措置が講じられている場合で、審議会の意見を聴いて、必要かつ適切と認めた場合に限り、提供もできることになっております。本システムについては法的にもそのような措置が十分とられているというふうに思っておりますので、的確な対応を私どもも図っていきたい、このように思っております。


◎総務部長【村山博夫君】
 それでは、国勢調査についてお答えいたします。

 まず、特徴でございますが、先ほどお話がありましたように、提出する際の封入シールの使用等がございます。それと、調査項目が17項目から22項目になったということ。あるいは、調査事項の中に、例えば5年前の居住地とか、教育の状況、就業時間等の調査項目が追加されております。また、先ほどのお話がありましたように、個人情報の関係で、新たに保護のマニュアルというのを作成しております。  このような調査がどのように反映されているかということでございますが、先ほどいろいろお話がありましたとおり、公職選挙法、あるいは地方自治法、あるいは地方税法等の住民税の均等割の関係、あるいは先ほど論議がございました地方交付税の算定の基礎数値といいますか、これら直接、間接的に広く活用されております。

 3点目の問題点等でございますが、調査に関する苦情等につきましては、文書で寄せられたのは前回7件ほどございましたが、そのほか電話ではかなりあったというふうに報告を受けております。内容的には、先ほど議員さんがおっしゃいましたとおり、調査員の人選、あるいは提出の方法、調査員の指導の徹底、記入の方法、調査の必要性、この辺のところが内容でございます。

 それから、封入率でございますが、八王子の場合は1万 1,297件で、約6%でございます。

 調査員の確保等の困難性ということでございますが、これにつきましては特に大きな問題はないというふうに聞いております。

 国分寺がやっております独自の周知ということでございますが、八王子につきましては、個人情報の保護の必要性といいますか、研修の徹底、あるいは先ほどお話がありましたように、事前に全戸配布いたしまして、今の提出方法等の説明文を配布しております。そこには連絡先等も記入してございます。

 調査拒否の関係でございますが、これにつきましては国でも調査拒否は認めておりません。調査拒否を認めるという法改正の方向には至っていないというふうに思っております。

 体制でございますが、体制につきましては、既に対策本部を設置してございます。土日の対応もいたしております。それから、本庁舎の本部に電話3台を常時備えておりまして、あと各事務所にも電話を設置しております。各事務所につきましてはすべての電話が対応可能ということでございます。

 最後に、外国人の対応でございますが、外国人の対応につきましては、調査票の外国語の対訳集を17ヵ国語を補充しております。これに基づきまして調査をお願いしようということでございます。

 オーバーステイにつきましては、特に国の方に報告するというような指示は今のところ来ておりません。


◎40番【井上睦子君】
 それでは、2回目の質問をいたします。  まず、住民基本台帳についてであります。費用の関係については、現在、影響度調査を行っているというところであり、具体的には算出されていないということでありました。1世帯 184円という国の試算が正しいのかどうか、極めて疑問のあるところです。国は 400億円というふうに言っておりますが、それは4年前の研究会での数値でございまして、専門家の間では、この 400億円というのは、過小評価された金額ではないかというふうに言われています。ぜひ本市の場合の経費を積み上げていっていただいて、実際のところ、どの程度の費用が住民基本台帳の改正によってかかるのかということの精査をお願いしたいというふうに思います。

 さらに、住民のメリット、行政側のメリットで、広域交付の問題や転出入の届け出が1回で済むというようなこと、またはICカードの問題が言われましたけれども、住民票の広域交付で本当に便利になる人は確かにいるわけでありますけれども、費用対効果から見れば極めて悪いということは明白だというふうに思います。市川市がコンビニでの住民票の写しのサービスを実施していますけれども、利用率はわずか 0.6%だというふうに言われていますし、各種事務手続も簡易になるということですが、例えば、本籍が省略されている住民票の写しでは、免許証やパスポートはとれません。本籍の記載が必要、あるいは続柄が必要な事務手続は約68項目にも上りまして、実際に住民票の広域交付が費用との絡みで見て、具体的な住民側のメリットになるということは言い切れないのではないかというふうに思います。

 初日の一般質問の中でも、他の議員から、費用対効果に対する否定的な考えがIT革命の中で慎重にならなければいけないのではないかというふうな趣旨で展開されておりましたが、私も同感であります。本当に費用対効果が得られるのか、ぜひお伺いしたいというふうに思いますけれども、費用が今年度中に算出された中で、再度、このシステムを導入するかどうか、コスト意識を強調される黒須市長ですから、再検討が必要だというふうに思いますが、事務方はどのように考えていらっしゃるのか、お伺いをいたしたいと思います。  次に、個人情報の保護の問題であります。

 仮想専用回線の問題で、体制としては万全であるというようなお答えだったというふうに思いますけれども、仮想専用回線は専用回線に比べて経費が安いというところで、国会答弁とは違った中で出てきたシステムであります。これは暗号化を用いて情報を流すわけでありますけれども、ハッカーの技術が次々と進めば、これにたえるシステムをつくるというイタチごっこが情報革新の中では言われています。暗号化の技術をより高度化していかなければ、このシステムはもたないのではないかというふうにも思いますし、技術の高度化にかかる経費は自治体にはね返ってまいります。プライバシーとコスト、セキュリティーの問題で、本当にこの仮想専用回線は大丈夫なのでしょうか。7月に説明があって、十分な検討がまだ行政ではされていないかというふうに思いますが、ぜひその辺の再検討も必要だというふうに思いますが、その点についてもお伺いをしたいというふうに思います。

 次に、個人情報保護条例との問題でありまして、12条は上位法に定められていればよいというので、問題はないというような考え方でした。13条の問題であります。ということは、審議会がプライバシー、セキュリティーの問題から結合を認めない場合には、ネットへの不参加もあり得るというふうに理解してよいのかどうか、お伺いをいたします。上位法でネットワークへの参加を法律が求めているわけですが、個人情報保護条例13条では、審議会がその参加を認めなければ、参加できないわけです。したがって、この点において地方自体の自治権というものは保障されているというふうに考えてよろしいか、確認をしたいというふうに思います。上位法に定められているからといって、審議会も必ず結合を認めるというような結論を出さなければいけないということではないということを明確にしていただきたいというふうに思います。

 先ほど紹介いたしました杉並区長は、7月15日の朝日新聞の論壇に個人情報を守れぬ住民台帳ネットとして投稿をしています。まず、その一部を紹介いたしますと、場合によっては参加しない選択肢もあり得ることを議会答弁は意味するというふうに前置きをして、どのような真意かということを、1つは、費用対効果の問題であるというふうに言っております。希望者に交付されるICカードを用いれば、全国どこでも住民票がとれ、転居の際にも転入届だけで済むというが、財政逼迫の折、巨額の費用を投じる見返りにしては余りに小さ過ぎないだろうか。

 住基ネットは住民の居住を確認するための利用に限定するという条文は法案を通す方便で、いずれ再改正して、納税者番号や運転免許証番号、金融機関の顧客番号など、ほかの個人番号と連動させようというのなら、行革や企業支援の経済効果は、費用を上回るだろう。ただし、それでは国民総背番号制度にほかならず、今度は政府や企業による個人のプライバシー侵害が広がる危険が生じてくるというふうに言われておりまして、例えば、中山前建設相が吉野川の可動堰をめぐり、約束していた地元住民との対話を、相手の逮捕歴を理由に拒否した1件が記憶に新しいとして、国民総背番号制度が動き出し、個人情報が広範囲に漏れ始めれば、この種の差別は珍しくなくなるかもしれないと言っております。

 さらに、セキュリティーの維持の問題であります。国家安全保障上の懸念はさらに強いとして、住基ネットで集積された個人情報が、万が一にも日本を敵視する外国に流出したらどうなるだろう。米国防総省や米中央情報局のシステムがハッキングされたニュースさえ耳にする。我が国の区市町村ネットがそれらより強固なセキュリティーを維持できるとは考えにくいというふうにして、費用対効果、プライバシー、そして、セキュリティーの面から、この問題を少し立ちどまり深く考えてみる勇気を持つことが後々の世代への責任であるというふうに締めくくっております。

 この杉並区長の提起を、杉並区と同様の住民基本台帳事務を担う立場として、市はどのように受けとめているのか。杉並区の不参加もあり得るとする論文でありますけれども、こうした問題提起をどのように受けとめているのか、お伺いしたいと思います。  次に、国勢調査の問題についてお伺いいたします。

 今回の調査は、御答弁にもありましたように、22項目であります。この項目の中には、家計の収入の種類や住居の種類、住宅の建て方、住宅の床面積の合計、教育、就業地など、どのように考えても人口調査の範囲を超えている内容です。これは国勢調査令で決められているので、法律そのものが問題でありますけれども、配偶者の有無などでは、回答の未婚、有配偶者、死別、離別とあわせて考えると、人によっては調査の設問の中でも最も答えたくない、触れられたくない設問の1つではないでしょうか。この項目は将来人口の推計に関連するものでしょうけれども、厚生省が毎月行っている人口動態統計調査があり、出生、死亡、婚姻、離婚の各種届け出からの調査資料があります。他の統計調査にかわる項目は国勢調査の項目の中にたくさんあります。私は、調査は私生活に踏み込み過ぎているというふうに思いますし、この調査が本当に政策に反映されているかも疑問であります。

 89年の調査の時点では、政策に反映されているというふうに答えているのは37.9%となって、この調査への信頼が後退してきています。また、統計調査の結果は、第1次では来年10月、第2次では2002年1月というふうになっておりまして、最終的には4年後に調査結果が出るということになっておりまして、社会の変化に対応して、古いデータになってしまいます。こうして見てくると、国勢調査の内容そのものについて抜本的な改革が必要だと考えています。国の法律ですから、市が具体的に答えてすぐ変わるというものではありませんが、法定受託事務として市は国勢調査を実施する立場にあります。調査項目については、他に多くの調査が実施されているものについては重複を避け、項目の簡素化を目指すべきだというふうに思いますけれども、市はどのようにお考えでしょうか。お伺いいたします。  調査員の苦労についてはさきに紹介いたしました。配布と収集に、プライバシーの保護という近隣とのあつれきなどに苦労しています。今回の調査についても、調査員の数はお答えがありませんでしたけれども、約 3,000名というふうに聞いておりますが、ある町会長さんは、町会長が率先して引き受けなければ、調査員を受けてくれる人がいないと嘆いておられました。比較的早く調査員の選考ができたというふうに担当者からお伺いいたしましたが、町会レベルでは相当大変であったようであります。

 また、昨今、大変悲しい、残念なことでありますけれども、女性が交際相手に殺される、あるいは動機がはっきりしなくて殺されるということがたびたび起きています。10年前には調査員が殺害される事件が起きました。夜遅くなって、調査票をとりにいったとき、こうした事件が起こらないかとも心配であります。実施概要でも、安全確保について記されておりますが、横浜市では全調査員に警報器を持たせたということも実際にありました。95年の市民団体の電話調査には、こんな内容も寄せられました。調査員だが、もうこの調査は破綻している。不在世帯も拒否世帯もふえているし、身の危険を感じることもある。もうやりたくない。調査員になったけれども、もう2度とやりたくない。アパートやマンションなどの世帯名簿は不動産屋などから教えてもらった。昼間の不在世帯を訪問するのに夜10時から11時になってしまうので、本当に大変だった。これは本市ではありませんけれども、市の指導員に一緒に行ってもらいたいと頼んだら、断られたなどという苦情が出てきています。調査員の負担の重さや安全性、そして、プライバシー保護の観点から、調査員制度は限界に来ているのではないでしょうか。郵送方式への切りかえなど、調査方法の見直しが必要ではないのでしょうか。現場の実務を担当していらっしゃる立場からお考えをお伺いしたいというふうに思います。

 今回の調査における市としてのプライバシー保護についてでありますけれども、調査員の研修を徹底しているという答えでありました。個人情報保護マニュアルも配られて、調査員がしてはいけないことというのが明記されておりまして、そのことをしっかりと守っていただきたいというふうに思いますが、今からでは調査区域も調査員も決まっているというふうに思いますけれども、プライバシーの侵害がないように、そして、調査員の安全が守られるようにお願いをしたいというふうに思います。

 国勢調査でのプライバシーに関する相談、苦情で、失業中だけれども、そのことを知られたくない。何で職業を調べるのだろうか。知人が調査員をしているが、あのうちはああだこうだと話しているのを聞き、なるほど、こういう形でプライバシーが漏れていくのがよくわかったという相談があります。今回、全世帯に対してシールを配布し、封入、密封するというプライバシー保護策がとられました。これは調査に対して同意して協力する、あるいは拒否することへの第一歩だと言えます。国勢調査では国民すべてに申告の義務が課せられており、拒否することは、先ほどの答弁にありましたように、認められておりません。それどころか、申告をしない、申告を妨げた者は罰せられると定められています。すなわち、申告を義務づけ、罰則を設ける強権的な法制度だと、ある意味では言えます。今日、プライバシーの概念が自分の情報を自分でコントロールすることと発展してきたことを考えれば、拒否権が認められてよいと考えますし、実際に国立市では記入を拒否した場合に強要はしないという議会答弁が出ております。調査は、対象者、市民の同意を求めることが必要だというふうに思いますけれども、ぜひそういった方向での調査員への指導をお願いしたいと思いますが、その拒否の問題についてプライバシーの自己情報のコントロールという点から、再度御答弁をいただきたいというふうに思います。

 以上で2回目の質問を終わります。


◎市民部長【池田丈三君】
 費用対効果の関係で本当に効果が得られるのだろうかという点でございますけれども、確かにシステム導入経費やその他の費用は決して小さなものではないというふうに考えておりまして、今日の厳しい財政状況の中では相当重い負担になるというふうに認識しております。そういう中で、本当に今進めていくのかという点でございますが、これは法律に定められたことでもありますので、今後、他の市町村の動向等を十分見きわめ、問題点を整理して進めていきたい、こんなふうに考えているところでございます。

 また、仮想専用回線の関係、プライバシーの関係でございます。確かに国は当初専用回線を使用するとしておりましたけれども、これについてはネットワークの変更にも柔軟に対応できないということから、現在では仮想専用回線ということになっているわけです。これは一般回線を利用しておりますけれども、データを暗号化技術でカプセル化いたしまして、外からはのぞかれないような安全対策が講じられていると思っております。また、コスト的にも一般回線を利用するため、専用回線よりも安く利用できる、このように承知しているところでございます。

 また、個人情報保護条例の審議会の関係でございますけども、私ども、今、御質問がありましたような点、審議会で断られるというようなことについては想定しておりません。改正住民基本台帳法で数々の個人情報保護措置がとられていますので、そのようなことはないのではないかというふうに思いますし、また、そうならないように御提案するということが必要かと思います。ただ、セキュリティー対策は大変重要な課題と思っておりますので、今後も十分担当課長会等で議論を重ねていきたいと思っております。

 最後に杉並区の不参加の問題でございますけれども、確かに今回の住基ネットワークシステムにつきましては経費の面や運用面で対応すべき問題があるというふうには承知いたしております。杉並区の報道は、このような問題の問題提起と受けとめております。御質問者の御意見や、今議会でも初日に2人の議員さんからそれぞれ御意見もいただいておりますので、これらにつきまして十分真摯に受けとめ、参考とさせていただき、私ども、東京都の市民課長会等で協議いたしまして、都を通じて国の方にも働きかけていきたい、こんなふうに考えております。


◎総務部長【村山博夫君】
 1回目の答弁で答弁漏れがございましたので、ここでまた答弁させていただきます。

 調査員数等でございますが、まず、指導員数が 391人、調査員数が 3,755人、調査区域数でございますが、 4,026、予算につきましては約2億 7,500万円でございます。

 それから、22項目の調査項目が統計調査の範囲を超えているのではないかということでございますが、国の考え方といたしましては、人口に関する全数調査の中には、今調査項目でございます男女の別や年齢、あるいは在学状況、就業状況、この辺も含まれているというふうな考え方で国はいるようでございます。いずれにいたしましても、範囲を超えているという考え方もございますので、これにつきましては統計審査会等で論議される課題であるというふうに思います。

 調査方法で、郵送の方法等もということで、今後、調査方法、回収方法が改善されるべきじゃないかということでございますが、郵送方法につきましては、漏れや重複など、正確な統計をとることができない。あるいは、全世帯の訪問と調査趣旨、記入説明が直接行えるということで、現在の方法の方がやりやすいということで、郵送の方針というのは余り国は考えてないというところでございます。

 それから、拒否権のことでございますが、今回のこの国勢調査につきましては法に基づく全国統一の統計調査でございますので、住民の方によくその趣旨を説明し、御理解を得るということで、実施したいと思いますが、その辺のさまざまな個人情報等の保護に関します意見がございますので、今回につきましても、プライバシーに配慮されたシールの封入やマニュアルの作成も国は変えてきておりますので、今後、この辺も含めて、検討されるのではないかというふうに思います。いずれにいたしましても、プライバシーの保護に関しまして一層の啓発と理解の徹底を図るように、これから努めていきたいというふうに思います。


◎40番【井上睦子君】
 それでは、最後の質問を市長にしたいというふうに思います。

 2つの問題を通じて、プライバシーの問題であります。国勢調査については拒否権も含む改正が必要なのではないかというふうに思いますが、国勢調査の抜本的な改革の方向性について市長はどのように考えているのか。さらに、住民基本台帳については費用対効果の面、主としてプライバシー、セキュリティーの面から導入は慎重であるべきということを考えておりますけれども、市長は杉並区長の提起も受けながら、今どのような見解をお持ちか、お伺いして、質問を終わりたいと思います。


◎市長【黒須隆一君】
 40番、井上睦子議員の私に対する質問にお答えいたします。

 まず、住民基本台帳のネットワーク化への参加については慎重さが必要ではないか、こういう趣旨の質問でございます。ネットワーク構築の費用や負担割合、また日程や運用面での諸問題、すなわち、お話しございました財源の問題、あるいは費用対効果の問題という点については、いまだ課題があるというふうに認識はいたしております。ただ、デジタルネットワーク社会の急速な進展の中で、行政においても、住民サービス向上や行政改革のために、行政の高度情報化の推進は不可欠であるというふうに思っています。今回の全国ネットワークシステムはこうした状況にこたえるための基礎となるものと考え、全国市町村と歩調を合わせて本市においても推進していくものでございます。今後、活用の範囲というものは十分に拡大されるものだというふうにも考えております。このシステムが、個人情報が守られた上で合理的かつ有効に活用されるよう、今後対応してまいりたいと思います。

 なお、都の情報によりますと、杉並区のネットワーク化への参加というものには了承されたというふうにも伺っております。

 また、市長会については、青木立川市長を中心に、市長会の会長でございますけれども、統一行動するということを確認される予定だというふうにも聞いております。

 次に、国勢調査についてでございますけれども、国勢調査は、言うまでもなく人口、世帯、産業構造等の実態を明らかにし、国や地方公共団体における各種行政施策の基礎資料を得ることをその目的としております。今回の調査に際して、国は、プライバシー保護の観点から、調査票の封入提出にかかわる説明の明確化を図る等により、国民の理解と協力を確保しつつ、調査を実施する考えであります。本市におきましても、個人情報の保護に一層留意しつつ、法の趣旨に照らして、正確かつ円滑な調査を行う必要があると考えております。

 法改正につきましては、国の判断にゆだねる所存でございます。

 以上です。 。