◎40番【井上睦子君】
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それでは2回目の質問を行います。
まず財政問題についてでありますけれども、財政白書が発表されたとき、各紙が一斉に取り上げています。11月1日の毎日新聞では、財政悪化の要因を白書で指摘されていた点に触れて、ない金は借金で賄えばいいという背伸びをした開発整備が原因だとの指摘もあるが、これまでの施策の反省、検証は盛り込まれなかったというふうに財政白書の指摘をしているわけです。私も財政白書を読んでみますと、財政の数値を一般的な財政分析をする手法でもって行われているだけであって、八王子的な問題というものをきちんと検証するということにはなっていません。そして、これまでの施策の反省も示されていないというふうに毎日新聞では指摘されていますけれども、先ほどの部長の答弁においても、やはり都市基盤整備が未整備であったというのが八王子的な特質としての問題であるということで、財政運営上の反省というものは全く示されていないわけであります。
全国が同じような状況を抱え、そして八王子的な特質を持つ自治体もあるわけであります。町田市などは、やはり人口急増をした都市として同様の経過をたどっていますけれども、公債費比率としては、先ほどお示ししたように大変低い数値になっているわけです。そのことを考えると、やはり八王子の過去10年間における財政運営上の問題というものを真摯に見詰めなければならないと思います。
ここで黒須市長にかわられて、市長は予算委員会の中だったと思いますが、前任市長といえども社会の経済状況の変化には速やかな対応ができなかったということが結果としては挙げられるのではないかということが指摘されたというふうに思います。財政状況が厳しくなる、それは経済不況や減税政策など不可避的なものもありますけれども、その中で良好な財政運営をやっていくことが、逆に地方財政の手腕として求められてきたことだったと思います。そのことが一切、財政分析を行った中でも反省点として出てこないということが、本当に財政再建と財政危機を脱し切れるのかという危惧を私は持つわけであります。主たる財政悪化の要因というのは、市税収入と乖離した多額の歳出、そして市債を大量に発行したということにあると思います。借金体質に陥ってしまったという反省をしっかりと行わなければならないと思います。
98年度の決算の中では、監査委員から、財政は望ましい指標から乖離しているというふうに指摘されていたにもかかわらず、昨年12月議会で私が財務部長に、八王子市の財政状況はレッドカードなのかというふうに問いただしたところ、それは留意を要する程度という答弁に終始いたしました。多分、財政が深刻な状況に陥っているという共通認識は、1年前に既に幹部職員の中にはあったと思いますが、前任市長がみずからの財政運営の誤りを認めることになるという理由から、部長は留意をするという程度でしか答弁ができなかったのではないかというふうに想像をいたします。こうした昨年の現実を考えるならば、市長という職が絶対的な権力者であること、そして他方、市長の暴走なりを制する職員、特に幹部職員の役割が大であるというふうにも私は思うわけであります。
したがって、過去10年間の財政運営について真摯に、何が問題であったかということを明らかにすることが財政再建への一歩だと思うわけでありますけれども、そのことについて、幹部職員として過去10年間の波多野市政にもかかわっていらっしゃった畑中助役はどのように総括をしていらっしゃるのか、幹部職員を代表して御見解をお伺いしたいと思います。
財政白書が出され、そして財政状況が赤裸々に明らかに情報公開されたことは、市政の転換を示すものとして評価をするわけですけれども、こうした同じ轍を踏まないためには、市長と職員、そしてまた幹部職員がきちんとした討論をしながら、誤りのない財政運営をしていかなければならないという教訓ではないかと思っております。畑中助役の教訓をお伺いしたいと思います。
さて、実施計画の策定の問題であります。市税収入と歳出総額の大幅な差の拡大というのは、実施計画の策定においても、客観的で正確な数値が必要だということを示しています。今回の計画では、投資的事業と非投資的事業をあらわし、そして文章も加えられ、一定の工夫が見られますし、前回より、より詳細な財政計画が示されています。しかし、大分県の竹田市の中期財政計画などを見ますと、例えば公共施設の整備計画などでは、財源の内訳が、国や県、地方債、一般財源など詳細に出されておりますし、公債費比率など各財政の指標も明らかにされております。これはかなり念入りな調査の中で出てきたことだと思いますし、今回の実施計画も、下水道など特別会計の財政計画は示されていないわけです。普通会計しか示されていないわけでありますけれども、下水道もまた 1,000億円の借金を抱えているという状況からすれば、実施計画の中でもこうした特別会計の財政計画も示されるべきではないかというふうに私は思うわけです。より誤りのない財政運営を行っていくために、実施計画の策定の仕方についてはより工夫と改善が求められると思いますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
次に、扶助費の問題についてであります。扶助費は検証をしていないということでありました。今、大きな問題となっているのは、都の補助金がなくなった場合、その部分を市がどのように負担をするのか、あるいはしないのかということが扶助費についてはテーマのようでありますけれども、白書を読む限りにおいては、扶助費市単独事業部分のカットであり、あるいは保育料など受益者負担の増加という点が見られるわけであります。
私は財政運営の悪化は市民が原因ではないとするならば、極力、市民に負担を転嫁しないという方法で乗り切らなければならないと思います。使用料、手数料の値上げによって、実施計画の中では来年度増収分になるのは4億円程度でしかありません。これでは基本的な財政再建にはならないわけであります。扶助費については徹底的な検証と、そして市民が政策的な問題として何を望んでいるのかということもあわせて見なければ、安易に扶助費を削減するということはできないのではないかと思いますけれども、その点について、今後、扶助費をどのように検証し、考えていくのかということをお示しいただきたいと思います。
私は財政再建の要となるのは、投資的な経費、特に大規模事業の削減や凍結によってしか生じないと考えております。地方債の厳選とは、政策の選択でもあります。どのような政策に重点を置き、置かないのかをあわせて明らかにすべきであります。
白書は、財政が厳しいこと。財政再建団体への転落もあり得る。だから、市民よ、利用料の値上げも、扶助費のカットも我慢してほしいというようなメッセージを流しているにしかすぎないと思います。厳しい中でも、市民要望に沿ったどのような政策を行っていくのか、そしてどのような政策を選択しないのかということを市民に明示すべきではないでしょうか。
特に下水道事業については、先ほどお答えがありました。実施計画が3ヵ年通じて88%ですから、その部分の削減はしているけれども、新21プランのように平成20年度 100%完成を目指すというような答弁でありました。しかし、白書でも触れているように、市債は現在の 1,000億円、そして平成20年度では 1,170億円になるというふうに、減少するどころか市債は増大するのであります。
また、市税収入が新21プランより減少傾向にある中で、総額が減少している状況から考えれば、平成20年度 100%実施ということは、数字上からも明らかに困難であります。市民要望だからと下水道だけに予算を振り分けるということであるならば、予算を振り分け、地方債を発行し続けるとすれば、財政の健全化は望めません。
都市計画マスタープランでは、下水道事業について市民からさまざまな要望が寄せられています。例えば、普及率 100%を目指した下水道は問題。合併浄化槽とのバランスある施設配置が経済的に妥当である。下水道の普及による河川浄化。できるところから、着工しやすいところからでよいが、道路や鉄道との立体交差化事業に取り組まれてよい。あるいは、下水道整備により住民の負担がふえるのは、高齢者が多い地域では望ましくない。また、下水道の 100%整備をすると、河川の水量の減少が問題になるというような指摘もあって、下水道整備が 100%市民の声ではないということも明らかであります。
また、下水道の整備をめぐっては、税金のむだだという裁判が起こされています。例えば神奈川県の葉山町、これは住民が差しとめ訴訟を起こしておりますし、軽井沢でも、町財政への悪影響などを理由に事業の差しとめを求めました。裁判は97年に町に、健全な財政運営に配慮するという努力目標を課して和解をしているわけですけれども、こうした住民からの差しとめ訴訟というのは、岐阜や三重でも起こっているようであります。
財政が厳しい、どのように健全化を図るのかといったときに、下水道の抱える市債というものもしっかりと検証しなければ、住民の信頼というのは得られない時代になっているのではないでしょうか。そういった意味で、下水道などの見直しも必要だと思いますけれども、行政内部での徹底的な討論、そして水循環の視点からも合併浄化槽の導入等も考えられてよいと思いますが、そのことについて再度お伺いをしたいと思います。
北西部幹線の問題でありますけれども、これは以前からも指摘をされております。 440億円の事業費というのは、実際的にはもっと過大になるのではないかというようなことも指摘されており、事業の精査も必要だというような市長の答弁もあったかと思います。今後、本当に北西部幹線が市財政への多大な負担となっていかないのかどうか、その辺をどのように判断しているのか、再度お伺いをしたいと思います。
最後に、緑の基本計画についてお伺いをいたします。
緑の基本計画は、1年半の間にほとんど進んでいません。今後は早急に、できるところからの取り組みをしてほしいと考えています。緑の基本計画の特徴は、市民参加でつくられ、計画の推進も市民との協働での展開が必要という点であります。市内では多くの市民や市民団体が、八王子ニュータウンや多摩ニュータウン、あるいは丘陵部での里山活動、公園の管理活動、自然観察会など、さまざまな活動をしています。こうした市民の人たちと協力できることは多くあります。ことしから始まったマルベリーブリッジの花づくりもその1つの例でありますけれども、グリーンマフラー計画のデータベースづくりや、公園、里山活動への協力関係の組識づくりから始めるべきであります。そのような答弁がありましたけれども、ぜひ来年度には実施をしてほしいというふうに思います。
財政状況が厳しい中で、実施可能な実施計画をつくっていくという答弁でありました。それでは、来年度中に実施計画の着手に入れるのかどうか、その時期について明確にお答えをいただきたいと思いますし、財政状況が悪いという中で、市民へ実情を話しながら、専門的な知識を持つ市民の方々も多いと思いますが、その人たちとの協力関係の確立から始めていくべきであります。
さて、調整区域の開発の抑制の問題についてです。実施計画でも山間部や丘陵地の市街化調整区域の開発は厳しく抑制をするというふうに明記されておりますけれども、実際のところ、これはなかなか抑制できないという状況であります。1番有効な方法は、公有地化の問題です。しかし、緑地保全地域として指定をして、都への買い上げを求めても、都も財政が厳しい状況にある中で、実現不可能という事態にもなっています。その意味で、市の緑化基金は過去一定の役割を果たしてまいりました。しかし、ことしの3月31日現在、緑化基金は8億 5,900万円でしかなく、数年にわたる返済をすれば、底をつくという実情であります。
緑の基本計画でも緑化基金の充実を挙げていますけれども、市みずからの努力と、市民や企業の協力を得て充実を図るとしています。実効あるみどりの保全策としての基金は存続をさせるべきであり、基金への繰り入れや、市民や企業の寄附を積極的に求めていくべきだと思いますが、市は今後の緑化基金の役割及び充実についてどのように考えているのか、お聞きをして2回目の質問を終わります。
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