◎40番【井上睦子君】
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1999年度八王子市一般会計及び各特別会計決算に対し、社民・生活者ネットを代表し、反対の立場から意見を申し上げます。
10月、市は本決算を含め、過去11年間の決算、財政状況を分析した財政白書を公表し、赤字団体転落への危機として財政危機宣言をし、市民に大きな衝撃を与えました。財政危機の要因や再建に向けては今議会でも大きな議論となっています。
財政危機の要因について、おくれた都市基盤の整備や多様な市民ニーズに対応した公共施設建設に対する積極的な地方債の活用や国の減税政策など、数多くの要因を白書は挙げております。しかし、財政悪化の主たる要因は、市税収入に比べて多大な投資的事業を行い、市税収入以外の財源、すなわち大量の地方債の発行に原因があります。89年には、歳出総額と市税の構成割合が60.4%であったものが、最悪のとき、94年度では49.6%まで落ち込み、99年度は53.9%でしかありません。こうした過大な投資、すなわち税収の動向や大規模事業、駐車場事業や下水道事業などの見直しや精査の不十分さなどが財政運営上の失敗、今日の財政危機を招いたと断言できます。したがって、99年度の決算は旧21プランの延長線上にあり、財政危機宣言をせざるを得ない深刻な事態に陥っているということから、反対の理由の第1が挙げられます。
さて、99年度の決算は、歳入 3,030億 114万円、歳出 3,018億 2,550万円で、繰越し財源を差し引いた実質収支は11億 6,456万円ですが、このうち一般会計の実質収支は8億 1,292万円の黒字となっています。しかし、決算委員会でも明確に財務部長から答弁があったように、前年度の実質収支を差し引いた単年度収支は5億 8,120万円の赤字決算となっています。各財政の力を示す指数、財政力指数は 1.037、経常収支比率は94.1%、公債費比率は15.8%で、いずれも財政の硬直化を示しています。
経済不況や国の補助金削減、あるいは減税策という全国共通に地方財政を苦しめる、そうした要因がある中で、八王子市と同じようにベッドタウンとしてまちづくりの進んできた町田市は、公債費比率 7.1%と、そして1人当たりの地方債の現在高、これは普通会計ベースでありますけれども、八王子市が40万円であったのに対し、町田市では19万円にとどまっています。このことからも本市の財政運営上の問題を指摘することができます。
また、下水道の特別会計の市債残高は 997億 5,300万円、一般会計、各特別会計合わせて 3,182億 6,400万円となり、今後も増加傾向にある市債残高への早急な手だてが求められています。市税収入の割合も51.2%と前年度に比べて 0.9%のマイナスとなりました。新21プランで想定していた市税の伸び率 2.8%とは大きな隔たりが生じ、この見通しの甘さや社会状況の変化と歳入の減少に応じた実施計画の見直しを適宜行ってこなかったことは大いに反省すべきであります。
99年度は経済不況の中、リストラなどの雇用不安、そして老後の生活不安など市民の暮らし、そして生活への不安が増大した年でありました。こうした中で、行政に対してはこうした不安にこたえる生活の安定や安心がまず第一に求められておりました。しかし、こうした市民要求には十分にはこたえられていないのが99年度の行政の結果でありました。
例えば、保育園の待機児の解消は遅々として進まず、あるいは公立保育園でのゼロ歳児保育の実現もまだ図られておりませんし、介護保険導入への準備期間としてありましたけれども、地方分権の試金石としての介護保険への取り組みも他市に誇れるものというふうにはなかなかなっておりませんし、十分に老後の不安にこたえるような準備はされませんでした。あるいは、小さな団体はNPOとして今後も活躍が期待はできますけれども、外国人への日本語のボランティア、あるいは労働相談など、小さな団体で市民生活のために頑張っている団体への補助金カットがされたのも99年度でありました。
さらに、政策の特徴的なことを言えば、小学校給食の民間委託の問題が挙げられます。これはデリバリーの中学校給食とあわせて、教育としての学校給食という点から最善の方法かという疑問が2年間を経過した中でも私どもは解決をしておりません。委託料の今後の増高は、本当に市の健全な財政運営につながるのかという疑問がございますし、同時に今持っている市の例えば学校の給食施設を教育だけではなく、福祉部門にも広げて老人給食など、資源と施設を活用していくという政策転換が求められるというふうに考えております。
また、北口の駐車場の経営難の問題、あるいは夕やけ小やけ文化農園の経営の問題など、大規模な事業、その採算性も考えずに行って来、そしてその運営においても多大な困難を来した年度でもありました。
さて、下水道の問題については、決算特別委員会でも触れましたけれども、今後もこの計画を続行していくならば、10年後は 1,000億円以上の市債を抱えることになってしまいます。これは極めて政策転換が必要な部門でありまして、99年度にはこの政策転換は図られておりません。市民生活、最も暮らしの中に安心を求めている市民の要望にこたえていくためには、こうした大規模事業の大胆な転換が今後とも必要だというふうに思います。
以上、述べた理由によって、財政危機宣言をせざるを得ない11年度の決算状況、これが私ども決算に反対をする第1の理由であり、第2点目としては先ほど述べましたように、市民生活に十分にこたえられた市政運営が行われてこなかったという意味において反対をいたします。
以上で討論を終わります。
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