◎40番【井上睦子君】
 それでは、2001年度八王子市一般会計予算及び各特別会計予算並びに関連する諸議案について、社民・生活者ネットを代表して質疑を行います。

 まず、財政再建についてお伺いをいたします。

 財政再建推進プランが提出をされました。その中では、3年間で約 270億円の削減をするとしています。人件費の抑制や福祉施策の新たな展開、そして地方債残高の縮減や補助金の見直し、施設の維持管理の見直し、さらには投資的事業の抑制、各特別会計の健全化など、さまざまな項目が示されておりますけれども、市民生活に大変厳しい影響を与えると予想されるさまざまな施策も出されております。特に国保税の値上げ、保育料の値上げ、あるいは下水道料金の生活保護者への全面的な減額が見直しをされ、一定の負担が導入をされるのが新年度予算の内容であります。

 また、受益者負担の適正化ということで歳入の確保が言われております。使用料や受益者負担率の設定、そしてごみの有料化の問題など、市民に負担を強いる内容も出てきています。これらことし新年度予算では、市民生活への影響、すなわち市民が負担の増加をしなければいけない総額はどのようになるのかお示しをいただきたいと思います。

 同時に、この3ヵ年の計画の中で使用料及び利用料の値上げだというふうに思いますが、あるいはごみの収集の有料化ということも断定的に政策として示されております。これによって市民が負担をしなければならない金額というのは幾らになるのかもお示しをいただきたいと思います。

 極めて市財政が厳しいときというのは、市税の収入が伸びないということになります。その市税収入が伸びないという原因は、市民のふところ事情も極めて厳しいということの証明にほかなりません。財政再建をこのような使用料や利用料の値上げ、あるいは新年度では国保税や保育料への値上げによって一部を賄おうとするのは、政策的な判断として私は誤っているというふうに考えますけれども、現在の市民生活の状況について市長はどのように認識をされているのかお伺いをしたいと思います。

 次に、財政再建の中でも特に重要なのは大規模事業の見直しの問題であります。3ヵ年の計画の中でも投資的事業の抑制ということで、3ヵ年 161億円の削減を提案をしておりまして、実施計画をその中で見直しをするというふうにされております。この現行の実施計画の中からでさえ、 161億円を捻出できるとすれば、これはどこから捻出をした 161億円の金額であるのか、まずお示しをいただきたいと思います。

 そして、旧市長時代、旧の21プランの中では、八王子のまちづくりの中心は圏央道を中心とした業務核都市構想というのがまちづくりの中心的な課題として常に言われてまいりました。川口リサーチパークや左入の物流センターなど、そしてそれの基盤整備としての北西部幹線などに基盤整備のお金を投入することによって、八王子のまちの産業、自立都市としての成長が見込めるというのが旧21プランの考え方でありましたし、新21プランもその考え方を継承をしているというふうに思います。しかし、ここ1年間の市長の発言や、そして次々と打ち出されてくる新しい政策の中には、こうした圏央道を中心としたまちづくりからの転換を図っているというふうに思えます。推進プランの中では、新21プランの再構築も視野に入れてということで、実施計画の見直しが提案をされております。また、後に触れます地域産業の活性化の問題でも、地域産業振興会議の提言の中では、かつての計画は触れられておりません。これはかつてのそういった圏央道や、そしてそれにまつわる北西部中心の業務核都市というものについては既に忘れ去って、まちづくりとしては決別をし、転換をしたということなのかどうかということを明らかにしていただきたいと思います。そうすれば、北西部幹線など約 440億円、現実にはそれ以上の市財政の投入が必要だろうと言われている大規模事業の見直しをしなければいけないのではないかと私は思います。3ヵ年の推進プランの中ではさまざまな工夫あるいは市民への負担転嫁の中で財政再建を行おうという方向が出ておりますけれども、実際には大規模事業、いわゆる公債費をかなり投入をしなければいけないような事業については見直しがされてないのではないかと考えるわけです。財政再建の手法としては、まずこうした大規模事業の見直しから着手をすべきではないかというふうに思いますが、その点についてもお答えをいただきたいと思います。

 次に、福祉政策の転換の問題についてお伺いをいたします。

 福祉分野での一律現金給付型制度を見直して、在宅自立支援型サービスの転換を図るという名目のもとに、従来のサービスが高齢者、障害者、子どもの各分野で廃止をされています。受給対象者は増加するのに、在宅福祉型へ転換することによって、事業費は減少し、さらに市単独分については、2001年度で1億 6,000万円、2002年度で2億 7,000万円、2003年度で3億 3,000万円と削減をされてまいります。これは自立支援型への転換ではなく、サービスの切り捨てです。高齢者、障害者、子どもたちはどのような影響を受けるのでしょうか。高齢者にとっては敬老金の廃止、入院見舞金条例の廃止、障害者にとっては障害児福祉手当、あるいは特定疾病の患者の福祉手当の一部廃止、また、子どもにとってはひとり親家庭の入学祝い金の廃止などが挙げられています。このことが新たなサービスとして展開されるのであれば、それもその高齢者や障害者、子どもたちにとって喜ばしいサービスであれば理解はできますけれども、予算の推移を見る限りにおいては、市単独分、いわゆる自治体が独自性を持って行ってきた施策がすべて切り捨てられるという印象を持つわけです。高齢者や障害者、子どもたちはどのように負担の増加を強いられるのか。そして、本当に必要なサービスが用意をされているのかお伺いをいたします。

 次に、福祉施策の展開に伴って設置をしなければならない権利擁護のシステムについてお伺いをいたします。

 社会福祉の基礎構造改革によって社会福祉法が制定されました。さまざまな面で福祉分野での変化が起こっています。施設の入所なども措置制度から、福祉サービス利用方式へと転換をしました。利用者の選択権、すなわち自己決定権を保証するということと同時に自己責任も伴うという流れに福祉が変化をしてきています。サービス利用者と事業者である行政やサービスを提供する法人や団体との対等な関係の確立と同時に、利用者の権利擁護の仕組みが必要となっています。現金給付型から在宅サービスへの質的な転換を図ろうとするならば、まして権利擁護の仕組みが必要となってまいります。既に中野、三鷹、各区市では福祉オンブズマン制度があり、毎年オンブズマンが市の施策についての意見書を出し、改善が図られています。福祉全般に対する利用者の権利擁護のシステムの必要性についてどのように考えているのかお伺いをいたします。

 次に、介護保険についてお伺いをいたします。

 スタートして約1年経過をした介護保険は、当初の見込みを下回る利用率になっています。本市のサービス利用者等実態調査の中間報告でも、負担額が気になりサービスの利用を控えている人が16.2%もいます。所得との関係を詳細に調べてみる必要がありますが、全国の傾向では所得の高い人ほど利用度が高く、低い人ほど利用度が低いという傾向があります。これは所得の低い層への利用料や保険料の減免策や援助策が求められているあかしでもあります。第1段階層への援助策についてどのようにお考えかお伺いをいたします。  次に、オンブズマン制度について伺います。

 この制度については、一昨年出されました市民の直接請求の高齢者介護基本条例に明記をされており、私たちの会派もこの実現について強く求めてまいりました。現在、市は介護サービス相談員のモデル事業を行い、介護保険運営協議会で内容について検討をされています。市はモデル事業をどう評価し、今後どのような形でオンブズマン制度を正式に立ち上げようとしているのかお答えください。

 また、サービス評価についても、これも高齢者介護基本条例で提案をされた内容です。事業者が民間事業も参入してくる中では、サービスの質を確保するために極めて重要な制度でもあります。ことしの1月、私どもの会派は北九州市の介護保険制度について視察をしてまいりました。北九州市では、市でサービス評価の基準をつくり、在宅支援サービス事業者の評価を既に行っています。民間事業者は自信があったのだけれど、その評価の結果としては厳しい指摘がされております。専門分野のメンバーからの指摘に、サービス内容の改善点が明らかになり、このサービス評価は有益であるということが話されました。本市でもサービスの質の向上の観点から、早急な取り組みを求めたいと思いますが、お考えをお伺いをいたします。

 次に、市民参加についてお尋ねをいたします。

 私は、昨年の市長の所信表明に対する質問において、市長が公開質問状に回答した本質的な市民参加というものについてお伺いをいたしました。ここ1年、審議会の市民公募、会議の公開など、市民参加については前進をしてきたと私は評価をいたします。昨年の答弁の中では、住民投票制度に対しては否定的な考え方を示されました。そして、本質的な市民参加については明確な御答弁はありませんでした。市長の考える本質的な市民参加、すなわち市民参加の理念について再度お伺いをいたしますが、明確な答弁を期待をいたします。  また、その考え方を指針や基準ではなく、市民参加基本条例などに高めていくことについてどのようにお考えでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

 次に、NPOとの連携についてお伺いをいたします。

 NPOは、98年の法成立以来、多くの団体が設立をされてまいりました。医療や保健福祉の分野、あるいはまちづくりの活動を担っています。また、雇用を創出するものとなってもいます。NPOは市の仕事を請け負う委託先としても候補の1つでありますけれども、直営や民間事業者に比べて委託単価が安いから委託をするという傾向にあるという危惧を私は持っております。NPOの社会的意義とNPOとの連携について、市は今後どのように取り組むのかお伺いをいたします。

 次に、地域産業の活性化についてお伺いをいたします。

 元気なまち八王子が市長の公約であります。産業政策として、八王子市地域産業振興会議の中間提言は首都圏情報産業特区・八王子構想を提言をいたしました。さて、この構想は実現可能な提案であるのか、私はいささか疑問を持っております。以前の研究開発団地と言われるような川口リサーチパーク構想は全国にもありました。それと同様、画一の計画が各地で出されている中で、八王子の優位性はどこにあるのでしょうか。SOHOの成功で知られている三鷹市では光ファイバーが既に導入をされていて、他市を圧しているというふうにも思いますし、ITは情報技術でありまして、これからは何も生産をしないわけです。この首都圏情報産業特区・八王子構想の実現をするために市長はどのように取り組むのか。そして、この実現の可能性についてはどのように考えているのかお伺いをいたします。

 また、中心市街地の活性化の問題は、本市にとっても大変重要な課題としてこの1年さまざまな議論がかわされてまいりました。小規模な小売店が元気があるということは、まちづくりに大変重要でありますし、商業の占める割合は大変大きいというふうに言えます。しかし、大規模小売店舗立地法によって、中小企業の保護を念頭に置いた国の産業政策から地方のまちづくり政策へと商業政策の焦点は大きな変化をいたしました。この変化も逆に言えば大規模小売店舗を規制をしない、あるいは出店に当たっては環境を整えるという法律の趣旨は、逆に中心市街地の活性化と相矛盾するのではないかというふうに思います。消費者はやはり安くて大量に商品のある郊外型の大店舗に流れる傾向があります。この2つを共存するためには、大規模小売店への一定の規制が必要なのではないでしょうか。このままの規制緩和の流れの中では、中心市街地、いわゆる小規模な小売店の活性化というのは望めるのかどうか。その点についてお伺いをいたします。

 次に、男女平等行政についてお伺いをいたします。

 一昨年、男女共同参画社会基本法が制定をされて以来、各地で条例づくりが進んでいます。県段階では東京、埼玉、山口、三重の4県、市町村では出雲市など6市1町で制定をされています。宮城県では議員提案を目指して素案をまとめ、論議中とのことです。埼玉県では、男女共同参画推進条例に基づいて設置をされた男女共同参画苦情処理委員会が県教育局に対して、県民からの訴えを調査して、男女混合名簿の早期実現に向け、強力な指導と働きかけをすべきと意見表明書を出し、ことし5月までに是正その他の措置について報告を求めています。このことは、条例ができたことで具体的な平等への取り組みが促された1つのよい例と言えます。私はこうした例からも、男女平等基本条例や、あるいは男女平等推進条例など、市民参加で制定していくことが必要であると考えています。こうした条例の制定について、現在の女性プラン見直しの中で検討するとの考え方を市は示していますが、全国で各地域の実情や市民の意見を反映した特色ある条例づくりが始まっています。こうした各地の条例制定についてどのような評価をしているのかお聞きをいたします。

 また、本市での制定の意義について、また意義があると考えるならば、具体的な方法、例えば女性問題協議会で条例内容を検討するのかなどお答えをいただきたいと思います。

 次に、ドメスチック・バイオレンスへの対応の問題についてお伺いをいたします。

 被害者である女性たちが長い間の沈黙を破り、家庭内における妻や恋人への暴力の実態が明らかになってきています。1999年に総理府が初めて行った全国調査によると、 4.6%、20人に1人の女性が夫やパートナーから命の危険を感じるぐらいの暴行を受けたという結果が出ています。また、医師の治療が必要とならない程度の暴行を受けたことがあると回答した女性は14.1%、7人に1人にも上っています。この調査によって家庭内の暴力が日常的に蔓延し、深刻な状況にあることが明らかになってまいりました。現実に家庭内の暴力による被害件数は増加をし、命を奪われる女性もいますし、いまや一刻の猶予もならない事態に直面をしています。こうした事態を重視して、男女共同参画審議会は、女性差別の意識に根差した構造的な問題であると位置づけて、新たな法制度や保護、相談体制の整備を検討するように求めています。また、参議院の共生社会に関する調査会に設けられた女性に対する暴力に関するプロジェクトチームにおいても、超党派で議論が重ねられた結果、配偶者からの暴力防止及び被害者の保護に関する法律案の骨子が発表され、議員提案で国会に提出されるというふうにも聞いております。

 本市でも夫からの暴力、また、それが背景にある深刻な相談が増加をしています。暴力によって心身ともに傷つき、誇りを奪われた女性の保護と自立への援助は急務となっています。こうした中で、婦人相談員、母子相談員の役割は極めて重要です。また、緊急一時保護施設であるシェルターや、自立のためのステップアップハウス、継続的なカウンセリングを受けられる場、就労支援など、夫や恋人からの暴力を受けた当事者女性の緊急対応から社会復帰するまでを視野に入れた対応が求められていますが、全く不足しているのが現状であります。本市として女性の暴力に対してきちんとした取り組みをするためには、援助者である母子相談員や婦人相談員の市職員としての常勤職員化、そしてまた民間シェルターや自立支援施設など、民間との協力や財政的な援助などが必要不可欠であります。市は夫や恋人からの暴力に苦しむ女性たちへの援助策について、今後どのように取り組むのかお伺いをいたします。

 次に、教育行政についてお伺いをいたします。

 まず、教科書についてお尋ねをいたします。

 現行歴史教科書は、日本の近現代史全体を犯罪の歴史として断罪し筆を進めている安易な自虐史観であるとし、歴史は事実ではなく物語である、過去の人々がどう考えていたかを学ぶことであるとする自由主義史観に立つ新しい歴史教科書をつくる会の指導で編集されている中学歴史教科書が大きな問題となっています。日本の歴史学者や市民、また韓国や中国などのアジア諸国から歴史を歪曲するものとの批判が続出をしています。金大中大統領は、最大の抗日独立運動であった三・一運動の記念行事において、日本が正しい歴史認識を持ち、近隣諸国と未来指向的な友好関係をさらに発展させるために努力することを期待するとして、新しい歴史教科書をつくる会が指導した教科書に間接的に言及し、懸念を示すほどに、歴史教科書をめぐって外交問題、国際問題になっています。昨日の新聞報道によると、このつくる会指導の教科書は 137ヵ所の修正を受け入れ、検定合格の見通しであると伝えています。つくる会の主張は、韓国併合は合法的に行われた、南京事件については、戦争中だから何がしかの殺害があったとしても、ホロコーストのような種類のものではないなど、日本の過ちを正当化する内容であり、事実に基づいた正しい歴史認識ではありません。

 昨年、市民団体と社会科が専門である和田参事との話し合いの中で、つくる会の主張する教科書は検定を合格しないだろうとの考えを参事は示されました。そこでまず教育長にお伺いをいたします。歴史教科書をつくる会の主張と歴史観は当然教育長は教育者として御存じと考えますが、私は誤った歴史認識と断じますけれども、どのように評価をされているのかお伺いをいたします。

 家永裁判で裁判長を務めた大野正男裁判官は、個別意見の中で、我が国の近現代史において近隣諸国の民衆に与えた被害を教科書に記述することは自国の歴史を辱めることでは決してないとの見解を示しています。教育長は、歴史の事実を教科書に記すことについてどのような考えをお持ちであるかお伺いをいたします。

 さて、つくる会の会長である西尾幹二氏著の「国民の歴史」が大量に各教育委員会や学校に配布をされたということが中野区などでは大変大きな問題になりました。また、検定合格をしていない教科書の内容見本、「歴史への招待」のパンフレットの学校現場への配布、あるいはつくる会の会長の西尾幹二氏と理事の藤岡信勝氏が書いた「国民の油断」という文庫本の教育委員会への贈与など、独占禁止法や教科書協会の宣伝規制で禁じられていることを行っているという報道もされています。本市では教育委員会や教育委員、学校現場につくる会から、あるいはつくる会の関係者からこのような本やパンフレット等は送られてきているのか。配布をされているのかお伺いをいたします。

 次に、教科書採択についてお伺いをいたします。

 2002年度の新教育課程に対応した教科書選定のために、新教科書の採択検討委員会が設置をされます。八王子市では前回の採択から、小中学校全校から1名の調査委員が出ていたものが、1教科16名以内となり、教育現場の意見が尊重されにくくなっています。97年の規制緩和計画に関する政府の閣議決定では、教科書採択について、より多くの教員の意向を調査研究に反映させる、そして将来は学校単位の採択を検討することが盛り込まれています。中野区は今回の採択から新しい方式を取り入れています。中野区の方式は、小中学校ごとに教員の意見をまとめる。教科書展示会場に意見箱を設置して住民の声を聞く。その上で、公募で選んだ区民も含めた選定調査委員会の論議を経て区教委が決定をするという試みでありますし、同時に、中野区の規則は、公正を保障するという意味で、不当な働きかけを公表するなど、その採択の過程の透明性に心を配ったものとなっています。

 本市の採択制度についても、特定の教科書と絡んだ運動に惑わされることなく、教科書を用いる現場教師の意見や保護者の意向が十分に反映される採択制度でなければなりません。そのためには、検討会への全校からの教員の参加や、公募の市民参加を保障すべきと考えますが、市教委はどのようにお考えでしょうか。2002年度の教科書採択に当たっての御見解をお伺いをいたします。

 また、将来の学校単位の採択についての考えを、これはより現場の意向を反映させることになりますけれども、学校単位の採択についての考え方をお伺いをいたします。

 次に、子どもの権利条約の精神を生かす取り組みについてお伺いをいたします。

 子どもの権利宣言が子どもすこやか宣言となり、明確に子どもの権利を尊重するという市としての決意をあらわすことにならなかったのはとても残念であります。児童育成計画を逸脱したものであります。しかしほんの少しの救いは、2月15日の広報で、子どもの権利条約の精神に基づき、子どもの権利が侵害されることなく、1人1人が健やかに育つことができるよう取り組むこととしていることであります。新年度では子ども会議やシンポジウムが計画をされていますが、これは児童課の担当となっています。子どもたちは1日の多くの時間を学校で過ごしています。教育委員会としては、宣言を契機として、学校の中にある子どもの権利の侵害の問題、すなわちいじめや不登校、虐待などはもちろん、校則や服装、これは子どもたちの息苦しさとなっていないかなど検証しなければなりません。また、学校行事や運営について子どものたちの意見が反映されているのかなど、教師や学校の指導において反省すべき点はないのか。どのような検証をしていくのかという取り組みをお伺いをしたいと思います。

 子どもの権利宣言、これは子どもすこやか宣言となったわけでありますけれども、福祉部の方ではさまざまな取り組みが計画をされているようでありますが、新年度予算の中では教育委員会の取り組みが明確に見えてまいりません。こうした学校の中での子どもたちの権利を尊重するということについての具体的な取り組みがあるとすれば、お答えをいただきたいと思います。

 また、子どもの権利を学ぶ機会はどのように保障されているのかということを伺います。

 川崎市は、昨年12月に全国に先駆けて家庭や地域での子どもの権利について総合的に明文化した子どもの権利に関する条例を全会一致で可決をいたしました。条例制定の過程で学校現場から、子どもに今必要なのは権利ではなく責任としつけだとか、権利なんか認めたら、校則が維持できないという声があったそうです。しかし、中学の校長会である先生が子どもたちだけに責任を言うのは無理ではないか。権利を教え、その中で責任も考えさせていくという取り組みが必要ではないかという発言を契機に、子どもに権利を学ばせる機会を保障すべきというふうに川崎市の学校現場は変わったそうであります。校長の言葉を紹介しますと、「今の子どもたちに権利より責任だというのは無責任過ぎるのではないかと思う。ちゃんと権利を学ばせた上で責任感がないというのならわかる。しかし、私たち中学の現場はどれだけ子どもと権利で向き合ってきたのか。権利を避けて、権利を学ぶ機会を保障しないで責任だけを言うのはおかしいのではないか」というふうに言われたそうであります。まだまだ権利について学校現場ではアレルギーやわがままを助長するといった誤解があるとすれば、まずその考えを捨てることが大切であるというふうに申し上げたいというふうに思いますが、子どもの権利を学ぶ機会というのは本市ではどのように保障されているのかお伺いをいたします。

 次に、住民基本台帳ネットワークの問題についてお伺いをいたします。

 この問題を一般質問でも私は費用対効果の問題、そしてプライバシー保護の問題として大変に問題があるとして取り上げてまいりました。新年度予算の中では、杉並区だけが住基ネットの予算計上をしておりません。2月1日の広報すぎなみでは、自由と誇りを愛すればこそとして、やはり市長がプライバシーへの懸念、そして全国どこでも住民票の写しが取れるサービスを初期投資 400億円、毎年の経費 200億円もの税金をかけて実施する必要があるのかということを区民に問いかけています。そして、プライバシーの問題では、国民総背番号制への懸念も明らかにしながら、住基ネットへの市民のアンケートをとることによって杉並区の方向性を決めようとしています。本市では、新年度 9,900億円の予算が計上をされておりますけれども、今後住基ネットを稼働させるために本市ではどのくらいの予算が必要であるのか。そして、その予算に見合う効果は本当に期待をできるのかということと、仮想回線でありまして、プライバシー保護の問題は極めて心配なところがありますが、その点について十分に守られるのかどうかお伺いをいたします。

 次に、下水道事業についてお伺いをいたします。

 財政再建推進プランの中にも下水道の特別会計の健全化に向けての取り組みが幾つか記されております。しかし、これは細々とした経費の節減でありまして、大胆な再建に向けての切り込みにはなっておりません。毎年50億円程度の公債を発行しながら巨大な下水道をつくり続けるというその政策を転換しなければ、下水道財政の再建はできないのではないかというふうに思いますが、その点について市長のお考えをお伺いをして、代表質疑を終わります。


◎教育長【成田一代君】
 ただいまの井上議員の教育長への御質問に以下お答えいたします。

 まず、歴史の教科書についてでございますが、過去が現在をつくり、現在が未来をつくっております。その中に過去の歴史を学ぶことは大変重要なことだと考えております。そして、その歴史を学ぶための教科書は史実に忠実でなければならないと考えます。  次に、私の歴史観についてでございますけれども、教科書は客観的かつ公正で、適切な教育的な配慮がなされることがまず必須であります。ですから、歴史学者によってさらに真実の追究をしてほしいと願っております。

 そして、つくる会からの御本あるいは資料についての送付、これについて御質問がありましたけれども、教育委員、教育委員会、学校現場等について報告をいただいておりませんので、ないと認識しております。

 そして、次には教科書採択についての基本的な考え方ですが、教科書採択権者としての立場と責任を自覚し、東京都教育委員会の指導、助言のもとに八王子の実態に即した採択を行う所存です。

 最後になりますが、子どもの権利条約の精神を生かす取り組みについての御質問でございます。教育委員会の基本方針の中に、児童の権利に関する条約等の趣旨を尊重して、学校教育全体を通して互いにかけがえのない人間として尊重し合う態度を育てることを明示しております。その精神を基本的な考えとして、私どもは人権尊重教育、道徳教育、男女平等教育等々、あらゆる指導の場を通してみずから考え、判断し、行動に責任を持てる力や豊かな心を育てる教育を推進しており、今後もそのように進めてまいりたいと考えております。


◎市長【黒須隆一君】
 40番、井上睦子議員の質問にお答えをいたします。

 まず、財政再建を行うに当たっての市民への負担ということでありますが、財政再建はまず内部努力と職員1人1人の意識改革を行うことでありまして、市民サービスへのしわ寄せというのは私は本筋ではないというふうに思っております。財政再建推進プランでは、受益者負担の適正なあり方を示しているのでありまして、財源不足の解消としての方策ではありません。また、ごみの有料化につきましても、市民に負担を求めるというよりも、ごみの減量化の視点からとらえているものであります。

 なお、保育料と国民健康保険税の改定、下水道使用料の一部見直しにつきましては、一定のルールの中で行うものでありまして、財政再建推進プランとは別問題としてとらえております。

 次に、現在の市民生活の状況についてお尋ねをいただきました。

 現在の市民生活の状況というのは大変厳しいというふうに、これは当然のことながら理解をいたしております。失業率も 4.9%と依然大変高い率でありますし、また市内の商店街の活気などから見ましても、あるいはまたいろいろな機会にお会いする市民の皆さんから聞く話につきましても、大変厳しいということを私も認識をいたしております。言うならば、依然閉塞感に満ちておりまして、明るい生活実態にはないというふうに思っております。ただ、格差というものはかなり出てきているんじゃないかなというような感じがするんですね。厳しい厳しいと言いながらも、例えば海外旅行へ行かれる人とか、あるいはまた大変高い買い物をされる方というふうなものも一定程度おられるわけでございまして、そういう点では若干格差というものも出てきているのかなというふうな感じもいたしております。  また、投資的経費であります 161億円の抑制につきまして、これは新八王子21プランの再構築も視野に入れました中で、13年度に策定する実施計画の中で対象事業を見きわめていきたいというふうに考えております。

 まちづくりについてでございますけれども、圏央道中心のまちづくりから転換をしたのかということでございますけれども、必ずしもそうではありません。やはり圏央道が2つのインターチェンジを伴って八王子へ来るのは間違いないことでありまして、圏央道を活用する産業振興というのは当然考えていかなければいけない。ただそれだけではないということですね。やはり中心市街地の活性化、あるいはまたITを中心とした新しい分野への積極的な取り組み、こういったものも同時に必要だということであります。

 また、業務核都市構想につきましても、これは多摩地域の中核都市として大変重要なものだというふうに私は考えております。

 それから、福祉政策についてのお尋ねでありますが、まず、高齢者、障害者、子どもへの影響と新たなサービスについてお尋ねをいただきました。

 少子・高齢化が進んでおることは御承知のとおりでございまして、市民の福祉や健康に対するニーズが多様化、高度化する中、限られた恵まれない人たちに対して一律に提供する従来の福祉サービスから、市民が必要なときに必要なサービスを選択できる福祉へと転換が求められているというふうに私は認識をいたしておりまして、こうした市民の多様な要望にこたえていくため、現金給付型に偏りがちな福祉政策から、在宅福祉サービス自立支援型の福祉へと構造転換を図る必要があるというふうに考えております。

 また、新たな施策につきましては、市民の要望であります住みなれた地域で安心して暮らし続けるために必要な福祉サービスの提供にこたえるものでありまして、これまでの現金給付の受給者に対しましても新しい形で市民の選択にかなうサービスを提供していけるというふうに考えております。

 また、福祉のオンブズマンを設置する考え、これは権利擁護のシステムづくりという点でお尋ねをいただきましたが、福祉全体の第三者的な苦情解決機関につきましては、現在行っております介護サービス相談員モデル事業の成果を踏まえて検討してまいりたいと考えております。

 それから、介護保険に関する御質問でありますが、オンブズマンにつきましては、現在、今述べました介護相談員モデル事業を実施中でございまして、介護保険運営協議会でも御審議をいただいているところでございます。したがって、方針が決まり次第実施をしていきたいというふうに考えております。

 サービスの評価に対する考え方でございますけれども、現在東京都のサービス評価制度検討委員会におきまして、また国でも介護保険サービス選択のための評価のあり方に関する検討会においてそれぞれ検討しているところでございまして、それらの結論を踏まえ対応を考えていきたいと思います。

 続きまして、市民参加につきましてでありますが、市民参加につきましては、先般審議会などの市民公募制度を確立をいたしまして、市政への積極的な市民参加を推進をいたしております。今後も政策形成過程に市民が参加できるような仕組みづくりに積極的に取り組んでまいりたいと思います。

 また、NPOとの連携についてでありますが、NPO団体等が活動しやすい環境を整備し、市民サービスの向上を図るため、昨年6月に庁内に民間非営利活動団体との共同のあり方研究会を設置をいたしました。活動費の補助や場の提供、交流の機会の必要性などを含めて、NPOとの協働と支援のあり方について現在検討を行っております。

 また、昨年の7月には市民を対象といたしました市政世論調査を、8月にはNPO等の市民活動団体を対象に実態調査を実施したところであります。市ではこうした調査結果やNPO団体等の意向や実態を踏まえながら、13年度の早い時期にNPOとの協働についての方向性を打ち出していきたいと考えております。

 次に、地域産業の活性化についてでありますが、首都圏産業情報特区・八王子構想について、実現への可能性というような御質問でございますけれども、ITを活用した産業振興やまちづくりが全国の自治体で検討され始めているということは承知をしておりますし、八王子がこれらに負けないような、言うならば八王子らしさというようなものをどう出していくかということが私は重要なことだというふうに思っております。本市におきましては、私は多様な人材、あるいは多数の大学、バランスのとれた産業、文化などの資源が豊富に私は存在をしているというふうに思っております。これらを十分に生かしていくことによって八王子らしさに結びつくものだというふうに確信をいたしております。

 次に、大店立地法の関係で、規制緩和が進む中での地元商店街の活性化への対応ということでありますが、大型店の出店は市民の利便性の向上といった側面もありまして、そういう中で、これからは地元の商店街の方々も地域に合わせた商業のあり方というふうなものをよくとらえて努力をしていただくことも重要なことだというふうに思っております。それに対しまして市としても積極的に側面支援をさせていただきたいと考えております。そういう努力が元気なまち八王子の実現につながっていくことだというふうに確信を持っております。

 男女平等行政につきましてですが、条例の制定についてでありますが、男女が共に生きるまち八王子プランに基づいて男女平等施策というものを実施をいたしておりますが、社会情勢の変化に適切に対応するために、平成14年度に新たに協議会を設置をして、計画を見直す予定にいたしております。条例につきましては、その見直しの中で検討する考えであります。

 また、もう既に条例を制定をいたしました他市に対する評価ということでございますけれども、それぞれの自治体の経緯を踏まえて行政展開の1つとして条例制定したものだというふうに認識をいたしております。

 次に、ドメスチック・バイオレンスに対する本市の取り組みでございますけれども、本市におきましては、女性への暴力に関する相談は福祉部で母子相談員が主に担当しておりますが、平成13年度からは婦人センターで新たに女性のためのカウンセリングを実施するため、生涯学習部を中心として相談のネットワークをつくり、相談体制を充実する考えであります。

 また、相談員を専門職として市独自で配置することは、現状では困難というふうに考えておりますが、暴力の被害に遭った女性へのケアなどについては、新たなネットワークを十分活用して、関係者が連携することで適切な対応を図ってまいりたいと考えております。  住民基本台帳システムネットワークについての御質問でございますが、まず、費用対効果についてでございますが、システム開発経費につきましては、相当の費用がかかるものと認識しております。現状では、試算をいたしますと、2億 8,000万円ぐらいかかるんじゃないかというふうに試算をいたしておるところでございます。しかし、これによりまして行政面での効率化や市民の利便性の向上が図れるなどの効果が期待できるものというふうに考えております。

 また、プライバシーの保護につきましてですが、ハード面では、一般回線でありますが、仮想専用回線を使用し、データを暗号化技術でカプセル化し、外からのぞかれない安全対策を講じております。ソフト面では、安全確保等のための指定情報処理機関に委員会の設置や、都道府県知事は監査等の管理体制の処置を講じるというふうになっておりますし、また、本人確認情報の保護で提出先や利用目的の限定、秘密保持の義務づけ等の処置を講ずることになっております。

 最後に、財政再建推進プランにおける下水道事業の経営改善についての御質問でございますが、平成19年度には下水道使用料が公債費を上回る見込みでありまして、長期的には一般会計からの繰入金を抑制し、初期投資について一定の解消が可能となり、経営改善が図れるものであります。入るをはかりて出るを制し、1日も早い水洗化を促進をしてまいりたいと考えております。