◎40番【井上睦子君】
 一般質問、最後になりますけれども、私も冒頭、各議員が御発言なさいましたように、アメリカでのテロ事件に対して、その犠牲となられた多くの皆さんに心から哀悼の意を表したいと思います。

 それでは、最後になりますけれども、一般質問をさせていただきます。

 9月1日、ビッグレスキュー東京2001、首都を救えとして、多摩地区を中心に、東京都総合防災訓練が行われました。ことしも昨年より規模は小さいものの、自衛隊の陸海空3軍約 2,000名、車両約 400台、航空機34機も動員されて行われた総合防災訓練でありました。昨年のビッグレスキューは、銀座を装甲車が走り、 200名近い自衛隊員が大江戸線で移動する。あるいは、昨年4月9日には、自衛隊の練馬駐屯地で、自衛隊員を前に、石原都知事は、大災害時には三国人が騒擾事件を起こす、皆さんは治安維持の面にも心がけてほしいと発言し、そして、陸海空3軍を使った災害時の大救済演習は、北朝鮮とか中国に対するある意味での威圧にもなる。相手は災害でも、ここでは市街戦ですよと語った。そういったことが、このビッグレスキュー、昨年の2000は軍事的な演習の意味を持ったものではなかったかというふうに大きな批判が上がった訓練でもありました。

 ことしのビッグレスキューについても、8月15日の広報には、自衛隊の参加は市民には伝えられず、例えば、北口のJR八王子駅の自由通路では、迷彩服の自衛隊の人たちがブースを展示していました。知らなかった人たちは、ぎょっとしたというようなことも、私は市民から聞いています。防災訓練や防災計画は市民の生命や財産を守るために大変重要なことです。そのためにも、本当に自衛隊は防災に役立つのかという視点から質問をしていきたいと思います。

 まず、ことしのビッグレスキューにおける自衛隊のかかわり、参加の状況についてお伺いいたします。まず1点目に、7月17日、18日に、都庁では4区市との連携をして、図上訓練が行われました。東京都の図上訓練のシナリオを委託された業者は、自衛隊のOBが多く占める総合防災ソリューションだというふうに自衛隊の機関紙には書いてあります。同時並行して、自衛隊も東部方面隊防災指揮所演習を行ったとされています。これは、7月8日の読売新聞ですけれども、都は、都心が大地震に襲われたと想定した連続32時間の図上訓練を17日、18日に自衛隊と合同で実施する。自衛官約 1,200人に都庁、警視庁などの職員を加えた計 2,000人が参加する前例のない規模の図上訓練となるというふうに報道をしています。7月17日、18日は東京都の図上訓練、そして、市も並行して図上訓練が行われました。同時に、自衛隊でも 1,200名の隊員が参加して、その図上訓練が行われたというふうに報道されておりますけれども、それぞれの図上訓練の内容についてお示しをいただきたいと思います。こうした経緯や報道を見てみると、事実上、自衛隊の指揮のもとにこの図上訓練が行われたのではないかというような疑問を持つわけでありますけれども、その点についても市はどのように把握しているのか、お答えいただきたいと思います。

 2点目に、9月1日、本市での自衛隊の防災訓練への参加の内容及び参加人数についてお答えいただきたいと思います。

 3点目には、今回の訓練の特徴として、横田基地の利用がありました。横田基地ではどのような訓練が行われたのか、明らかにしてください。そして、同時に、震災時、横田基地は利用可能な施設なのかどうか、その点については市はどのように考えているのか、お伺いいたします。

 4点目に、防災訓練及び災害時、本市が自衛隊に期待する役割はどのような役割であるのか、明確にお答えいただきたいと思います。

 5点目には、市民からの自衛隊参加に対する反対の声や申し入れ等の問題についてお伺いいたします。9月2日の東京新聞は、南多摩高校での迷彩服の陸上自衛隊員が炊き出しを実施したということについて、市内の男性は、迷彩服は自分の姿を隠すためのもの。訓練に参加するんだったら、別の格好をすべきだ。高校生を参加させたことにも危機感を感じると話し、教諭の1人は、教師のほとんどが訓練には反対していた。始業式ができず、4日に先延ばしになったことで、授業に影響が出るし、自衛隊が学校内に入ることにも違和感を感じる。保護者からの抗議も多かったと疑問を投げかけたと報道をされています。南多摩高校は始業式を4日に先延ばしにしましたし、2日間をかけてグラウンドの整備に費用もかかったというふうに聞いておりますけれども、教育施設としての配慮はできなかったのかどうか、お伺いをしたいというふうに思います。南多摩高校を防災訓練の場所に使うというのは、八王子市が東京都に要請したという経緯がありますので、その点についてお伺いいたします。

 先ほど申し上げましたように、防災訓練に対する自衛隊の参加については、市民の中には、賛否両論ありますし、市民からの懸念の声、疑問の声というものを市はどのように受けとめているのか、お伺いいたします。

 次に、軟弱地盤の問題についてお伺いいたします。

 92年の地域防災計画では、第3章地域の防災特性についてという部分において、本市は丘陵地の占める面積が大きく、市街地の拡大は丘陵地の人工改変によって行われてきた。このような発展の形態が地震災害の発生状況に強い影響を与えている。丘陵部の人工改変地域にある建物、地下埋設管、道路などは、いずれも地震の被害を受けやすい状況に置かれている。造成地の盛土地盤には、地震を増幅する性質があり、また、それ自体が崩壊、亀裂、沈下などの被害を受けやすいと記しておりまして、丘陵地の人為的な改変部分の監視を強化するということを対策として挙げています。しかし、97年の修正された地域防災計画では、地質、地形の概要を記していても、丘陵部の盛土部分についての地震において危険性があるという記述はなくなり、土砂災害発生の可能性があることのみを指摘しています。丘陵部における盛土部分の地盤の安全性については認識がどのように変化したのか、お伺いをいたします。

 また、9月2日に市民団体は、多文化共生の防災実験というのを八王子駅の南口の広場で行いました。その中で、市民の人たちが地盤についての調査をし、本当の防災の中で自分たちの住むまちは安全なのかというパネル展示も行われていました。その中で、中央高速の安全の問題について疑問を持つパネルが展示されました。先ほども申し上げましたように、92年の防災計画の中では、盛土部分が極めて地震に弱い地盤として、注意を喚起しています。中央高速の部分も横川地区などは盛土部分の上に橋脚が立っており、そういった意味では、阪神・淡路大震災のとき、高速道路が崩れるというような事故もありましたけれども、それと比較して、果たして中央高速は安全なのかどうかというような疑問が投げかけられておりました。八王子市としては中央高速の安全性についてどのような考え方なのか、どのように把握をしているのか、お知らせをしていただきたいと思います。

 同時に、丘陵部の盛土部分についての危険性の指摘が97年の防災計画の修正の中では消えているわけですが、では、市内の地盤の安全性について総体的にはどのように考えているのか、お示しいただきたいと思います。

 次に、配偶者からの暴力防止及び被害者への支援の問題についてお伺いいたします。

 ことし4月13日、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律が成立し、10月から実行されます。今まで家庭内での暴力は個人的なこと、また、性別役割分業に基づく男性優位社会の構造の中で、男性から女性への暴力をある程度は許容されることとして、見過ごされてきました。さらに、被害女性本人や家族が、被害を受けたことを恥ずかしいと感じたり、世間体を考えることで、潜在化する傾向がありました。昨年の上半期のデータによりますと、妻の殺人容疑で夫が検挙された事件は65件、妻の殺傷罪で夫が検挙された事件は 326件というふうになっており、これは社会的な問題であるということが言えますし、総理府の調査でも、20人に1人の女性が命にかかわるような暴力を夫から受けたという調査データも出ています。

 配偶者からの暴力防止法は、明確に前文で配偶者からの暴力は犯罪となる行為であるとし、通報や相談、保護、自立支援等の体制を整備いたしました。この防止法では、被害者が命や身体に重大な危害を受けるおそれが多いときには保護命令を新設しています。暴力を振るう夫が妻につきまとい、周囲を徘徊することを禁じる6ヵ月の接近禁止命令や、同居している家からの退去を命じる2週間の退去命令が定められています。また、都道府県は、配偶者暴力相談支援センターを設置し、配偶者保護のための相談、援助を行うことが求められています。さらに、地方自治体は、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護する責務を有することも定められました。

 暴力防止法は、93年の女性に対する暴力撤廃宣言から始まった国際的な女性の人権運動の中で、参議院の女性議員が超党派で議員立法を目指して、ついに成立に至ったものですが、法制定を求めてきた被害者やその援助に当たってきた人たちからは、まだまだその法の不十分性も指摘をされています。例えば、暴力を規定するのは身体に対するものだけであって、精神的、あるいは経済的な暴力は指さないということの規定や、被害者の規定が引き続き暴力のおそれがなくてはならないなど、暴力が継続していないと被害者とは認定されないこと、あるいは配偶者暴力相談支援センターの事業の内容が、相談や指導、一時保護、情報提供、援助等の業務のうち1つでも果たせばよいということなど、センターの総合的な調整機能がさほど明確に法律の中に規定されていないことなど、まだまだたくさんの不十分性が指摘をされています。しかし、先ほど述べましたように、夫からの暴力、配偶者からの暴力が犯罪であるというふうに規定をしたこの法律は、夫からの暴力は女性の人権の問題であるということをようやく認知したことや、今まで売春防止法の拡大解釈をして行われてきた婦人相談所や婦人相談員の事業に法的な根拠が与えられたことは前進であるというふうに評価をしています。

 市は、配偶者からの暴力防止法の成立の中で、この意義をどのようにとらえているのか。また、地方公共団体の責務も第2条において規定をされておりますけれども、自治体としての役割をどのように担っていくのか、お伺いしたいと思います。そして、この法を実行していく担当所管はどこになるのか、お答えください。

 2点目に、東京都や国の調査、あるいは夫からの暴力の問題への社会的な関心の高まりの中で、今まで潜在化してきた暴力の問題、あるいは女性の支援について、ここ数年、相談が急増しているとも聞いています。母子相談、婦人相談の状況、あるいは市が行っている女性のためのカウンセリング、相談事業の件数や援助内容をここ数年の傾向としてお示しいただきたいと思います。  以上で1回目の質問を終わります。


◎総務部長【村山博夫君】
 ビッグレスキュー東京2001についてお答えいたします。

 まず、図上訓練の都の訓練の内容でございますが、把握している範囲でお答えさせていただきたいと思います。

 東京都では、発災直後に災害対策本部を設置いたしまして、各区市町村、OB、関係機関から報告される被害状況や応援要請等に対し、都がどのような対応あるいは調整を行うかという判断、調整力を養成するために行われたというふうに聞いております。今回の訓練には、警察、消防、それと自衛隊やライフライン等、各防災機関及び都の一部の局につきましては、連絡員を本部に派遣してもらいまして、それらを通じて、都災害対策本部と各関係機関に設置された対策本部が実際に相互調整を行うなど、実践的な訓練を行ったというふうに聞いております。

 それから、八王子での自衛隊の訓練内容でございますが、八王子駅前の会場では、陸上自衛隊によります被災状況調査、あるいは応急救護訓練、航空自衛隊の被災状況調査とヘリによる救出訓練、海上自衛隊のヘリコプターによる被災状況調査等が行われたわけでございまして、南多摩では陸上自衛隊による給食訓練が行われ、自衛隊の参加人員は延べ 136人というふうになっております。

 それから、横田基地の訓練の内容でございますが、航空自衛隊や北海道警あるいは宮城県警による広域援助隊の物資空輸が実施されまして、また、航空機による負傷者の搬送訓練も行ったところでございます。

 この施設が利用可能かどうか、市の考え方ということでございますが、昨年は羽田空港が緊急物資の基地ということになっておりました。今回は三多摩を想定しておりますので、当然ながら近くに飛行場がないということで、横田基地を使ったというふうに思います。そういう面では、緊急物資の輸送には必要じゃないかというふうに思いますけれども、今後の利用可能かどうかということにつきましては、今回の訓練等の検証を都がこれから実施するということでございますので、その中で示されるというふうに思っております。

 それから、自衛隊に市は何を期待しているかということでございますが、当然ながら、市としては市民の生命、財産を守るという責務がございますので、本市の災害対策本部の職員や警察、あるいは消防団とか消防署といった力だけで対応できない、このような大規模な災害には、多くの人員、装備、ノウハウを持っている自衛隊に派遣要請を行うということが必要であろうというふうに考えておりまして、当然ながら、人命救助、あるいは応急救護、物資の緊急輸送、避難所生活における各種の活動など、幅広い活動を期待しているところでございます。

 それから、南多摩高校、教育施設を使ったということで、その配慮はということでございます。いざ、大災害が起きた場合につきましては、当然本市の避難場所になるわけでございまして、昼間災害が起きれば、先生とか生徒がボランティアとして活躍するというのは当然の成り行きじゃないのかなというふうに考えております。

 また、訓練に反対する市民の声をどうとらえているかということでございますが、今回の訓練は、各防災機関、学校あるいは自主防災組織を初め、多くの地域の住民の理解と協力を得て、防災計画にのっとりまして行ったわけでございます。今回の自衛隊の参加につきましても、当日、訓練に参加した市民の方々、あるいは見学された市民の方々、大部分の方々には自衛隊の参加について、十分に理解を得られたというふうに私は思っております。南多摩高校の父母からの反対はなかったというふうに聞いております。


◎都市整備部長【茂木和憲君】
 私からは、軟弱地盤についてお答えいたします。

 まず1点目に、丘陵地の造成は危ないという内容でございますが、92年の八王子市地域防災計画の中では、危ないという表現でございますが、これは一般的な内容でありまして、その後97年に改正している中では削除されております。その意味合いは、平成7年の阪神大震災がございますが、この中で、六甲山の山ろくにあります造成地等が、適正な造成を行っているものについては心配なかった、軽微な被害で済んだということから、一般的な表現は消されたものでございます。また、宅地造成につきます防災マニュアルが、現在さらに強化されている内容でございます。

 また、市内の地盤の安全性、市内の地盤についての総体的な見解でございます。八王子市は、ごらんのとおり、高尾山の岩、中心市街地の砂れき、こういうことから、数メートル掘れば、10メートル掘れば、強固な地盤がございます。このことから、新潟地震等の液状化を起こすような東京湾河口のような状況の被害を受けにくい地盤であるというふうに考えております。


◎生涯学習部長【小林昭代君】
 配偶者からの暴力防止と支援についての御質問にお答えします。

 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律は、御質問者からもいろいろ御指摘がありましたいろいろな声があることは承知をしておりますけれども、夫婦げんかとして取り扱われることが多く、個人的な問題として潜在化していたこのことを、配偶者からの暴力は犯罪であると明確に規定したことは、法制定に向けての関係者の努力とあわせて大きな意義があるというふうに思います。したがいまして、市の役割についても、法律に定められているとおり、暴力防止に関する啓発や被害者からの保護、相談について、その役割と責任があると考えております。ただ、この制度の中核となります配偶者暴力相談支援センターを設置することになっている東京都から、いまだにきちんとした説明がありませんので、今後、東京都と市の役割を明らかにする中で、女性への暴力のないまちづくりに努めるつもりでおります。

 それから、所管ですけれども、男女平等施策を担当しております生涯学習部が被害者の保護を行う健康福祉部と連携して対応することになるわけですけれども、被害者の方、相談者の方に適切な対応ができるよう、東京都や他の市との連携がとりやすい体制づくりが必要であるというふうに考えております。

 それから、相談についてですが、平成13年度から生涯学習部で行っております女性のための相談の回数を倍増するあるいは婦人センターで新たにカウンセリングを開始するなどの体制強化を図っております。相談件数については、総計で申し上げますが、暴力に関する相談件数、平成11年度、75件、12年度、 114件ということになっております。


◎都市計画管理室長【窪田和朗君】
 私の方から中央道の橋脚に対する地盤について御答弁申し上げます。丘陵部の盛土ということも含めまして、総論の中でお答えしたいと思います。

 JH、日本道路公団八王子管理事務所が管理する高井戸−上野原間は、強度的に良好な地盤であるそうでございます。中央道の橋梁下部工の基礎形式は主にくい基礎で、支持地盤まで達していることから、下部工基礎の安全性に問題がないというふうに公団八王子管理事務所から聞いているところでございます。


◎40番【井上睦子君】
 それでは、2回目の質問を行います。

 まず、総合防災訓練についてであります。

 図上訓練に参加した東京都の内容、概要としては示されましたが、一方で、同時並行的に自衛隊も 1,200名が参加して、図上訓練を行っていたというような報道が読売新聞に出ているわけですけれども、自衛隊の図上訓練はどのように行われたのかということについて市は把握しているのかどうか。把握しているとすれば、それをお示しいただきたいというふうに思います。これは、ビッグレスキュー2001の全体の中で、八王子市は八王子市として参加したわけですが、八王子市は全体像をどのように把握しているかということにもかかわってくるというふうに思いますので、そこについてお答えをいただきたいというふうに思います。

 さて、多くの市民には理解されたというような答弁でありましたけれども、当日もおかしいのではないかというような街頭での宣伝とか、あるいは監視団というようなゼッケンというものをつけた人たちというものもたくさん見ましたし、南多摩高校の中でも見ました。ということは、そういう批判に対してもきちんとした考え方というものを市は持たなければいけないというふうに思いますし、その批判についてどのようにきちんと受けとめるかということが、私は、真摯に受けとめるかということが必要だろうというふうに思います。  果たして今回のビッグレスキューの中で自衛隊はどのような役割を果たしたのか、そして、何のために参加したのかということを、私は疑問に思っています。市民や研究者の中には、昨年の石原発言、そして、自衛隊の動きについて、自衛隊の参加目的は、治安維持訓練だとする指摘があります。昨日、総務部長は、佐久間議員の自衛隊は防災訓練をしているのかという問いに対して、通常の訓練の中でのノウハウがあると答弁をいたしました。これは、通常の訓練というのは、自衛隊は軍事的な訓練を受けているわけですから、そのことのノウハウが防災訓練の中でも活用できるという意味だったろうと思います。これは、すなわち軍事訓練と防災訓練とはコインの表と裏の関係にあるということを示した答弁ではなかったかというふうに思います。

 昨年、大江戸線で約 200名弱の自衛隊員が木場まで移動しましたけれども、その半数は地上に上がってこず、地下で演習していたのではないかというような指摘もあります。自衛隊が何のために防災訓練に参加したのかということを考えてみますと、八王子の駅前で訓練がありました高層ビルからの救助ということは、自衛隊にとっては対ゲリラの突入訓練でもあるということも考えられますし、それは石原都知事が昨年自衛隊員を前に発言したように、市街戦の訓練であるとも受け取られます。

 また、横田基地で航空自衛隊、あるいは県警も参加して、輸送の訓練が行われたということでありますけれども、横田基地の航空管制塔には自衛隊の職員も参加したというふうな都の職員の証言もあります。

 東京都の参与であり、自衛隊OBの志方俊之さんは、昨年のビッグレスキューを総括した本で「自衛隊に誇りを」という本を出していますけれども、その中で、市街戦の演習なしに日本は守れない。近代戦争は軍隊だけでするものではない。国家とか地方自治体、市民の協力が不可欠であると語り、ビッグレスキューがあたかも近代戦争のための市街戦演習であったかのようなことを語っています。

 このことを考えれば、主催する市の方として、また、参加した市の方として、自衛隊の参加というのは純粋な防災訓練であったかもしれませんけれども、自衛隊の意図というのは、治安維持訓練という意図があったのではないかというふうに考えることもできるわけです。そうすると、これは大変大きな問題です。防災訓練と治安維持の訓練は、本質的に異なってまいります。本市は、東京都の総合防災訓練に合同で参加いたしました。自衛隊の参加について志方参与は、先ほど紹介いたしました本の中で、そのような発言をしているわけですけれども、そのことをどのようにとらえるのでしょうか。そして、こうした今回の防災訓練の中に、指摘をされるような治安維持の訓練、あるいは自衛隊が本務として持つ軍隊としての訓練、市街地での演習という側面はなかったのかどうか、お伺いをしたいというふうに思います。

 2点目に、自衛隊は人命救助に本当に役立つのかということについてお伺いいたします。先ほど自衛隊の役割に市民の生命、財産を守る、そして、人命救助を期待するというような答弁がございました。阪神大震災のとき、出動した各部隊や組織がどのように生存者を救出したかというデータがあります。自衛隊は 1,600名動員されて、 165名を救出し、これは 100名で1名の生存者を救出している。消防レスキューは 7,500名が動員され、助けた数は 1,387人で、 5.4名で1人。また、神戸商船大学の寮生 250名は 100名の救出を行い、 2.5名で1人というふうに、この人命救助に貢献した組織というのは、自衛隊としては、そんなに能力を発揮していないということが言われています。自衛隊の主たる任務は防衛の出動であり、人命救助という訓練は日ごろの訓練の中ではしていないわけです。こうした中で、本市が最も期待する生命、財産を守るということに自衛隊は本当に役に立つのかどうか、そのことをお答えをいただきたいと思います。

 例えば、自衛隊の日ごろの訓練は、昨日、総務部長もお答えになりましたように、防災訓練という訓練ではなくて、日ごろの軍事的な訓練を受けているわけです。それは、防衛と治安維持という2つの訓練にほかなりません。防衛庁が作成した、これは90年に修正されておりますけれども、南関東災害派遣計画の中で、自衛隊の活動は、まず第一に、航空機による空中偵察や艦艇による被災地の偵察、そして、2点目には、要人の緊急輸送や交通統制の警察支援、3点目には、人命救助については、可能な限り救助活動を実施するというふうな計画になっています。これは自治体が自衛隊に求める役割と、自衛隊が防災訓練におけるみずからの役割とすることのずれを大きくあらわしています。このことは、先ほども繰り返しになりますけれども、過去の震災や災害における自衛隊は、最も必要とされる人命救助や財産の保全が、消防レスキューや民間の救助隊に比べて劣っていたということがありますし、自衛隊の防災時における能力というのは、日ごろの軍事訓練のノウハウ以上のものを持たない限界があるというふうに言えるのではないかというふうに思いますけれども、そのことについてどのようにお考えでしょうか。昨日の佐久間議員の答弁には、佐久間議員は、消防レスキューに力を入れるべきだということを主張されましたけれども、私もそうだというふうに思います。専門的に防災における訓練をされた組織が大きな期待を持てるのではないかというふうに思いますが、その点についてお答えいただきたいと思います。

 次に、盛土の問題についてお伺いいたします。

 先ほど92年と97年の防災計画において、阪神大震災は造成地における盛土部分の安全性を示したので、その記述はなくなった。そして、八王子市は一般的には強固な地盤であるというような安全宣言がされました。しかし、阪神大震災では、地盤によって被害に差が出ていることが報告をされています。これは確かにきちんとした造成をし、盛土の土の質によって安全であるということも一方ではあったかもしれませんけれども、例えば倒壊率が50%を超えたJR三宮駅周辺の場所では、最大深度約20メートルの埋没谷が見つかっています。そこは、大変倒壊率が高かったということです。地震に弱いと思われる水分を多く含んだ地層を軟弱地盤というふうに位置づけていますけれども、その地下のボーリングデータを公開している地盤調査の会社があります。これはジオテックという会社でありますけれども、そこの分析では、かつての谷筋が何百年もの間に埋まった埋没谷や、暗渠と言われる河川の跡は軟弱な場合が多いというふうに分析をされております。ジオテックのデータはホームページで公開されておりますけれども、八王子市内にも多くの軟弱地盤が存在しています。これは補強を要する地盤というところで、かなり細かくたくさんのデータが出されています。このデータを見ると、決して八王子市の地盤は安全とは言えないのではないかというような疑問を持ってまいります。

 市は、防災計画の中で、東京都が開発している地盤情報というものを公開し、市でもそのことをきちんと整備をし、災害の危険度に対する情報の公開や整備促進に努めたいというふうに97年の防災計画では記していますけれども、まだその体制は整っていません。市は公共事業や民間の開発事業においても、地質調査のデータを持っているわけですから、東京都のデータの情報公開ということを待つまでもなく、そのデータを整理するということによって、再度地盤の安全性を調査していただきたいというふうに思います。地盤のデータベースを市独自でつくり、危険度を示すハザードマップを作成して、市民に危険防止を促すということをきちんとすることが必要ではないでしょうか。そうすれば、市民は地盤の性質を納得した上で土地を選択しますし、地震への対策を立てることになります。このように、経験からして地盤が安全だということではなくて、きちんとしたデータベースと、それをハザードマップという形で市民に情報の公開をすることが必要だというふうに思いますが、どのようにお考えでしょうか。ちょうどことしと来年度、防災計画の修正に取り組むということですから、この計画をぜひ防災計画の中に入れていただきたいというふうに思いますが、お考えをお伺いいたします。

 そして、八王子市の水防計画は毎年出されておりますけれども、これは宅地造成法の違反や残土条例の違反によって土砂の流出対策が必要な地域が示されております。本年度は10地区が明らかにされておりますけれども、この擁壁の工事や流出災害対策への進捗率は、この10件のうちほとんどがゼロ%で、進んでいません。一昨年夏の大雨で、残土条例に違反した堀之内の土地は土砂流出が起こり、近隣の地主へ大変な迷惑をかけ、被害を出しております。こうしたことを防ぐためにも、ぜひ宅造法や残土条例に違反した地域については強い指導をすること、そして、危険な箇所であるということを市民へ情報提供することが必要だというふうに思いますが、このことの取り組みについてお伺いいたします。

 次に、配偶者からの暴力防止の問題についてお伺いいたします。

 2年間のデータを出していただきましたけれども、婦人相談や女性のためのカウンセリングの中で、夫からの暴力に苦しむ女性たちの姿が浮き彫りになってまいりました。このことは、今後も増加していくという傾向があるというふうに思います。しかし、法が整備され、10月から施行されるその中で、現在の市の体制としては不十分ではないかというふうに思います。99年まで母子相談員1人、婦人相談員1人という2人体制で、女性の相談あるいは暴力の問題には取り組んでまいりました。しかし、東京都からの派遣が2000年から、常勤ではありますけれども、母子相談1人という体制になっています。相談の件数は増加傾向にありながらも、体制としては減少しているという状況にあります。より支援を求めてくる女性の増加が考えられるという状況の中で、ぜひとも婦人相談員の増員が求められますし、同時に相談支援体制の強化という視点からも、これが大変必要だというふうに思います。この婦人相談員の増員、体制の強化ということについて、法が成立し、そして、地方自治体が法に定められた責務を担っていくためには必要なことだと考えますが、どのようにお考えか、お伺いいたします。

 次に、三多摩市長会は、都への要望事項の中で、夫からの暴力に対応した緊急一時保護施設の充実等を求めています。シェルターの整備や、またシェルターの広域的な利用は、緊急の課題でありますけれども、今ある施設の活用、転用も視野に入れるべきだというふうに思います。八王子市内には、中野町に婦人補導院があります。これは売春防止法の更正施設としての機能を持っていますけれども、現在入所者はゼロ名。毎年1名程度というふうに聞いています。年間の予算は 6,000万円というふうにも伺っておりますけれども、時代のニーズに合わなくなった施設はぜひシェルター的な機能を持つ施設として転用をするべきだというふうに考えます。これは国の施設ですけれども、自治体として国にこのことを提案するということについてのお考えをお伺いいたします。

 また、配偶者からの暴力防止法は、第26条において、民間の団体に対する援助を努力義務としています。三多摩地域でも、市民の組織によってシェルターが運営され、また、相談活動などが行われています。市内でもそうした志を持つグループの今後の活動が期待されているわけです。行政の不足する部分を補完するという関係ではなく、民間の市民団体との関係や援助のあり方についてどのようにお考えか、お伺いいたします。

 最後に、ストーカー被害者支援要綱の強化の問題についてお伺いいたします。

 7月、ストーカー被害者を保護するために、住民票の閲覧、写しの交付を規制する要綱が実施されています。練馬区に続く2番目の取り組みをした自治体として新聞にも報道されましたけれども、こうした取り組みを評価したいと思います。しかし、このストーカー被害者支援要綱では、夫からの暴力を受けた被害者の支援としては、残念ながら役に立ちません。住民票の異動の際もそうでありますけれども、あわせて、本籍地に対して住民票を異動する場合、附票通知も義務づけられています。附票は、夫婦とその子どもを単位とする戸籍ごとにつくられ、住民票の異動があるたびに新住所、異動日等を追記していきます。戸籍附票の写しの場合には、同籍者、直系尊属など請求理由を明らかにする必要はなく、請求することができます。これは、夫からの暴力から逃げている女性が何らかの理由で住民票を移すときに、夫が戸籍の附票の写しを求めて、妻の居所を追求するということを可能にしています。ストーカー被害者支援要綱ではそのことは防止をできませんので、夫からの暴力の被害者が、加害者である夫からのそうした追求から保護されるような支援要綱をぜひとも強化する必要があるというふうに思いますけれども、どのように対応していくのか、お伺いして、2回目の質問を終わります。


◎総務部長【村山博夫君】
 2回目の質問にお答えしたいと思います。

 自衛隊の図上訓練について把握しているかということでございますが、本市としては把握しておりません。今回は、東京都にも伺ったところ、東京都も具体的な内容について把握していないということを聞いております。いろいろ資料を見た中で、私の想像するところでは、阪神・淡路大震災のときに、自衛隊も反省点などを責任者が述べておりますが、自衛隊の派遣要請が遅かったというような議論もございました。また、それに対しまして、救援体制のおくれというのも、自衛隊は確かにあったというふうに述べています。その中では、何が原因かといいますと、兵庫県あるいは警察との連絡システムが不十分であった。それと、実際に即した訓練というのをしていなかった。こういうことが、例えば、地理がわからなかったり、どこを通ったらいいか、あるいは車で出動した場合に、渋滞に巻き込まれて、なかなか被災地に到着できないというような、そういうような反省を述べております。そういう面を含めまして、自衛隊では、実際の訓練、偵察訓練、こういうことを実施したというふうに私は考えております。

 それと、反対する人には、何回もお見えになりましたが、今回の訓練の趣旨等について十分に説明をしましたけれども、残念ながら、見解が違うということで、なかなか理解されなかったということでございます。

 それと、自衛隊の救助のノウハウでございますが、災害のたびに皆さんもテレビの報道をごらんいただいて、ある程度自衛隊の能力といいますか、ノウハウというのは、一般市民は認知されているのではないかなというふうに感じております。そういうことから、うちの方としては、できるだけ自衛隊の派遣については、大震災については期待をしていきたいというふうに思っておりますが、たまたま今の阪神・淡路の活動状況というのは、資料がありますので、ちょっと申し上げますと、阪神・淡路の自衛隊の出動人数というのは、3ヵ月間で延べ 167万人が出動しているということでございます。それから、昨年の東海の集中豪雨の場合では、2週間で延べ1万人の隊員が行方不明者の捜索、救助、医療支援、緊急輸送の物資の輸送等、災害活動を行っているということでございますので、そういう面では大変頼りになる機関であるというふうに思います。

 それと、3年に1度国が調査しております自衛隊防衛問題に関する世論調査を見てみますと、これは平成12年に行ったものですが、自衛隊がこれまで役立ってきたことは何かという質問に対しまして、災害派遣あるいは国際貢献、国際平和維持活動、あるいは外国からの侵略の防止、不発弾の処理、国内の治安維持、こういう質問に対しまして、この回答では、 5,000人ほどの調査をしたということでございますが、全体では87.2%が災害派遣等に役立っているというふうに答えております。また、今後、力を入れていく面では、回答者の67.5%が災害派遣というのを挙げているということでございます。こういう意味から言いましても、自衛隊の派遣には、相当国民も期待をしているのではないかというふうに考えております。


◎都市整備部長【茂木和憲君】
 私から軟弱地盤についてお答えいたします。

 先ほどの八王子に軟弱地盤があり、安全ではないんじゃないかというお話でございますが、これは地域防災計画に載っております液状化判定結果図ですね。恐らくこのことかと思うんですが、この中には確かに本当にポイント、ポイントで、ところどころにそういう軟弱というような表現がされております。土の性質にはある条件では確かに液状化するようなものもございますが、先ほどお話ししましたように、例えば阪神の三宮みたいに、目の前が海で、河口といいますか、そういうところにある軟弱な土と違いまして、八王子は数メートルから10メートル掘りますと、大変かたい地盤になります。こういうことから、造成または家をつくる場合でも極めて危険な状態であるという地盤ではないと考えております。

 次に、東京都の地盤情報、今のに関係しまして、公表があり、また、市のデータをハザードマップとして整理する必要があるんじゃないかということでございますが、東京都の地盤情報システムというのがございます。これは、東京都が公共施設、公共事業によりまして収集した地盤の情報を東京都の土木研究所が収集した内容でございます。これは、行政による利用につきましては提供してもらっておりますが、民間利用につきましては都へ伺って閲覧するということで公開されております。また、八王子市のものにつきましては、そちらでもわかりますが、先ほどの市の防災計画の中にも載せてございまして、市民の方も閲覧できますという内容でございます。

 それから、土砂の流出の関係につきまして、たしか堀之内等につきまして違法な残土の投棄がございまして、これについては強い指導をしております。改善命令等も出してやっております。

 また、市民への情報の提供でございますが、これは近隣の方々、また、東京都とも打ち合わせをしまして、情報交換を行いながら、改善に向けて強い対応をしている状況でございます。


◎生涯学習部長【小林昭代君】
 婦人相談員の配置、相談体制の支援についての御質問ですが、相談については、先ほど答弁をしましたように、今年度充実を図り、さらに女性からの相談を担当している相談員のネットワークをつくって、よりよい相談体制づくりに取り組んでいるところです。ただ、それで十分だとは考えておりません。法の施行後、相談や保護の件数が増加することが予測されますので、東京都と調整し、現状での実践を踏まえて、その対応を考えたいと思っています。

 次に、中野町にあります婦人補導院をシェルター的なものに活用できないかということでございますけれども、婦人補導院は売春防止法に基づく国の施設であり、現在は入所者がいないと聞いてはおりますけれども、その転換については国の判断するところだと考えております。

 また、民間団体への補助について、今後、被害者の保護などを目的として活動する市民団体などとは協力関係をつくる中で、できる範囲での支援を検討したいと思っております。

◎市民部長【池田丈三君】 お話がございましたように、ストーカーによる住民基本台帳の一部の写しの閲覧及び住民票の写し等の交付制度の不当な利用を防止するため、本年7月から要綱を定め、ストーカー被害者への支援に努めているところでございます。ただ、住基法の考え方には、原則的には、台帳の一部の写しの閲覧あるいは住民票の写し等の交付につきましては、何人にもしなければならないという建前がございまして、ストーカー被害者への保護を図る要綱の制定は、ある意味で、この住基法の建前とのせめぎ合いといいますか、相反する部分がございます。しかしながら、私ども少しでも被害者保護に努力したいということで、7月から要綱による支援を開始いたしましたので、御指摘の附票の関係での不備、このことにつきましては、今後さらに調査研究いたしまして、充実に努めていきたいと考えているところでございます。(「答弁漏れです。総務部長ですけれども、今回の防災訓練に治安維持的な要素はなかったのかどうかというところが抜けています」と呼ぶ者あり)


◎総務部長【村山博夫君】
 先ほど来お話をしてまいりましたけども、あくまでも今回の訓練につきましては、本市の地域防災計画に基づいた訓練、実際的な訓練だというふうに認識をしておりますので、それと、実際の訓練を見た方々が、果たしてあれを治安維持の訓練というふうには、私は思わない、そういうふうに考えております。

◎40番【井上睦子君】 防災訓練の問題でありますけれども、先ほど自衛隊の図上訓練については把握をされていないということが明らかになりました。先ほど自衛隊への災害派遣に87.2%が評価し、今後も67.5%が期待するというデータが示されましたが、逆に言えば、これは、自衛隊は国を守る軍隊としての機能は期待をされていないということは、別組織として災害救援の組織に再編成して自治体が活動を要請するということが妥当なのではないかというふうに思いますが、市長のお考えをお聞きします。

 そして、同時に、女性の暴力を防止するために、本市としてどのように取り組んでいくのか、その決意をお伺いして、質問を終わります。


◎市長【黒須隆一君】
 40番、井上睦子議員の2点の質問にお答えいたします。

 まず、ドメスチック・バイオレンスに対する認識でございますけれども、配偶者からの暴力は犯罪であるという認識に立ちまして、人権の擁護と男女平等の実現を図るためには、暴力を防止し、被害者の救済を十分に行う必要があるというふうにも、私も認識をいたしております。そのためには、状況を見ながら、相談、あるいはまた指導体制を強化するなど、適切な対応を図ってまいりたいと考えております。

 災害時の自衛隊の出動についてですけれども、これは、随分考え方が、見解といいますか、違いますね。私は、御質問者は自衛隊に対する思想的な理由から過度のアレルギーを持っておられるんじゃないかな、そういうふうな感じもいたしましたけれども、現実の問題として、災害時には自衛隊の出動というのは絶対に必要だ。特に大災害時ですね。今まで多くの災害が起きておりますけれども、例えば水害、あるいは山の崩落とかございますけれども、そういった大型の災害のときには、これはもう自衛隊の装備、あるいは動員力、あるいは訓練の密度というようなことも含めて、だれもが期待しているんじゃないですか。

 過日も、あのときも私も石原知事と最後まで行動をともにしていたわけですけれども、当然のことながら、自衛隊反対という人たちがおりました。そうしましたら、一般の市民の方が、ああいう人たちは家の前にでも大地震のときには自衛隊の救助はお断りしますって書いておけばいいのにねって、そういう発言をされていた一般の市民がおりましたけれども、そのくらいに、一般市民は認知をしているんじゃないでしょうか、今までの実績からしても。

 現実の問題として、それじゃ、この前の阪神大震災に自衛隊が行かなければよかったというふうに、御質問者はお考えになっているのかなというふうに私は今お聞きをしておったんですけれども、実際にあれは、あのときの知事が、大地震が起きるということを全く想定しておらなかったというようなところから、自衛隊に救助の要請をできなかった。こういうことも救助体制がおくれたということの1つの原因になっているというふうにも言われているわけで、そういうことを考えましたら、これはやっぱり自衛隊の役割というのは認めなきゃいけないんじゃないでしょうか。当然、災害時には消防署、あるいは消防団、警察、あるいはライフラインに関連する企業、あるいは民間団体等、それぞれの立場でそれぞれの役割を果たすということじゃないですか。自衛隊も、否定をしたところで、私は、だれも喜ぶ人はいないんじゃないかなというふうに思っております。

 私は、多分、御質問者もごらんになったと思うんですけれども、高層ビルからの訓練のときは、消防のレスキューに比べて、自衛隊のレンジャーは倍の速さじゃないですか。あれを見たって、やっぱり訓練の度合いが違うということを、私は改めて、実は感じたんです。今、最後に御質問をいただきましたけれども、自衛隊の組織の再編成を行って、災害救助のための専門部隊を組織した方がいいと思うがって、これは私が判断することじゃなくて、国策にかかわる問題ですから、私がお答えすべきものではないというふうに思っております。ただ、今、財政面、あるいは人的にも余裕があるとは思えませんので、新たに組織化するということは非常に厳しいというふうに思っております。それよりも、現組織の中で有効に活動してもらうことが適当であるというふうに考えております。そういう視点からも、今後とも自衛隊とは密に連携を図っていきたい、このように思っています。