◎40番【井上睦子君】
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それでは、2回目の質問を行います。
まず、総合防災訓練についてであります。
図上訓練に参加した東京都の内容、概要としては示されましたが、一方で、同時並行的に自衛隊も 1,200名が参加して、図上訓練を行っていたというような報道が読売新聞に出ているわけですけれども、自衛隊の図上訓練はどのように行われたのかということについて市は把握しているのかどうか。把握しているとすれば、それをお示しいただきたいというふうに思います。これは、ビッグレスキュー2001の全体の中で、八王子市は八王子市として参加したわけですが、八王子市は全体像をどのように把握しているかということにもかかわってくるというふうに思いますので、そこについてお答えをいただきたいというふうに思います。
さて、多くの市民には理解されたというような答弁でありましたけれども、当日もおかしいのではないかというような街頭での宣伝とか、あるいは監視団というようなゼッケンというものをつけた人たちというものもたくさん見ましたし、南多摩高校の中でも見ました。ということは、そういう批判に対してもきちんとした考え方というものを市は持たなければいけないというふうに思いますし、その批判についてどのようにきちんと受けとめるかということが、私は、真摯に受けとめるかということが必要だろうというふうに思います。
果たして今回のビッグレスキューの中で自衛隊はどのような役割を果たしたのか、そして、何のために参加したのかということを、私は疑問に思っています。市民や研究者の中には、昨年の石原発言、そして、自衛隊の動きについて、自衛隊の参加目的は、治安維持訓練だとする指摘があります。昨日、総務部長は、佐久間議員の自衛隊は防災訓練をしているのかという問いに対して、通常の訓練の中でのノウハウがあると答弁をいたしました。これは、通常の訓練というのは、自衛隊は軍事的な訓練を受けているわけですから、そのことのノウハウが防災訓練の中でも活用できるという意味だったろうと思います。これは、すなわち軍事訓練と防災訓練とはコインの表と裏の関係にあるということを示した答弁ではなかったかというふうに思います。
昨年、大江戸線で約 200名弱の自衛隊員が木場まで移動しましたけれども、その半数は地上に上がってこず、地下で演習していたのではないかというような指摘もあります。自衛隊が何のために防災訓練に参加したのかということを考えてみますと、八王子の駅前で訓練がありました高層ビルからの救助ということは、自衛隊にとっては対ゲリラの突入訓練でもあるということも考えられますし、それは石原都知事が昨年自衛隊員を前に発言したように、市街戦の訓練であるとも受け取られます。
また、横田基地で航空自衛隊、あるいは県警も参加して、輸送の訓練が行われたということでありますけれども、横田基地の航空管制塔には自衛隊の職員も参加したというふうな都の職員の証言もあります。
東京都の参与であり、自衛隊OBの志方俊之さんは、昨年のビッグレスキューを総括した本で「自衛隊に誇りを」という本を出していますけれども、その中で、市街戦の演習なしに日本は守れない。近代戦争は軍隊だけでするものではない。国家とか地方自治体、市民の協力が不可欠であると語り、ビッグレスキューがあたかも近代戦争のための市街戦演習であったかのようなことを語っています。
このことを考えれば、主催する市の方として、また、参加した市の方として、自衛隊の参加というのは純粋な防災訓練であったかもしれませんけれども、自衛隊の意図というのは、治安維持訓練という意図があったのではないかというふうに考えることもできるわけです。そうすると、これは大変大きな問題です。防災訓練と治安維持の訓練は、本質的に異なってまいります。本市は、東京都の総合防災訓練に合同で参加いたしました。自衛隊の参加について志方参与は、先ほど紹介いたしました本の中で、そのような発言をしているわけですけれども、そのことをどのようにとらえるのでしょうか。そして、こうした今回の防災訓練の中に、指摘をされるような治安維持の訓練、あるいは自衛隊が本務として持つ軍隊としての訓練、市街地での演習という側面はなかったのかどうか、お伺いをしたいというふうに思います。
2点目に、自衛隊は人命救助に本当に役立つのかということについてお伺いいたします。先ほど自衛隊の役割に市民の生命、財産を守る、そして、人命救助を期待するというような答弁がございました。阪神大震災のとき、出動した各部隊や組織がどのように生存者を救出したかというデータがあります。自衛隊は 1,600名動員されて、 165名を救出し、これは 100名で1名の生存者を救出している。消防レスキューは 7,500名が動員され、助けた数は 1,387人で、 5.4名で1人。また、神戸商船大学の寮生 250名は 100名の救出を行い、 2.5名で1人というふうに、この人命救助に貢献した組織というのは、自衛隊としては、そんなに能力を発揮していないということが言われています。自衛隊の主たる任務は防衛の出動であり、人命救助という訓練は日ごろの訓練の中ではしていないわけです。こうした中で、本市が最も期待する生命、財産を守るということに自衛隊は本当に役に立つのかどうか、そのことをお答えをいただきたいと思います。
例えば、自衛隊の日ごろの訓練は、昨日、総務部長もお答えになりましたように、防災訓練という訓練ではなくて、日ごろの軍事的な訓練を受けているわけです。それは、防衛と治安維持という2つの訓練にほかなりません。防衛庁が作成した、これは90年に修正されておりますけれども、南関東災害派遣計画の中で、自衛隊の活動は、まず第一に、航空機による空中偵察や艦艇による被災地の偵察、そして、2点目には、要人の緊急輸送や交通統制の警察支援、3点目には、人命救助については、可能な限り救助活動を実施するというふうな計画になっています。これは自治体が自衛隊に求める役割と、自衛隊が防災訓練におけるみずからの役割とすることのずれを大きくあらわしています。このことは、先ほども繰り返しになりますけれども、過去の震災や災害における自衛隊は、最も必要とされる人命救助や財産の保全が、消防レスキューや民間の救助隊に比べて劣っていたということがありますし、自衛隊の防災時における能力というのは、日ごろの軍事訓練のノウハウ以上のものを持たない限界があるというふうに言えるのではないかというふうに思いますけれども、そのことについてどのようにお考えでしょうか。昨日の佐久間議員の答弁には、佐久間議員は、消防レスキューに力を入れるべきだということを主張されましたけれども、私もそうだというふうに思います。専門的に防災における訓練をされた組織が大きな期待を持てるのではないかというふうに思いますが、その点についてお答えいただきたいと思います。
次に、盛土の問題についてお伺いいたします。
先ほど92年と97年の防災計画において、阪神大震災は造成地における盛土部分の安全性を示したので、その記述はなくなった。そして、八王子市は一般的には強固な地盤であるというような安全宣言がされました。しかし、阪神大震災では、地盤によって被害に差が出ていることが報告をされています。これは確かにきちんとした造成をし、盛土の土の質によって安全であるということも一方ではあったかもしれませんけれども、例えば倒壊率が50%を超えたJR三宮駅周辺の場所では、最大深度約20メートルの埋没谷が見つかっています。そこは、大変倒壊率が高かったということです。地震に弱いと思われる水分を多く含んだ地層を軟弱地盤というふうに位置づけていますけれども、その地下のボーリングデータを公開している地盤調査の会社があります。これはジオテックという会社でありますけれども、そこの分析では、かつての谷筋が何百年もの間に埋まった埋没谷や、暗渠と言われる河川の跡は軟弱な場合が多いというふうに分析をされております。ジオテックのデータはホームページで公開されておりますけれども、八王子市内にも多くの軟弱地盤が存在しています。これは補強を要する地盤というところで、かなり細かくたくさんのデータが出されています。このデータを見ると、決して八王子市の地盤は安全とは言えないのではないかというような疑問を持ってまいります。
市は、防災計画の中で、東京都が開発している地盤情報というものを公開し、市でもそのことをきちんと整備をし、災害の危険度に対する情報の公開や整備促進に努めたいというふうに97年の防災計画では記していますけれども、まだその体制は整っていません。市は公共事業や民間の開発事業においても、地質調査のデータを持っているわけですから、東京都のデータの情報公開ということを待つまでもなく、そのデータを整理するということによって、再度地盤の安全性を調査していただきたいというふうに思います。地盤のデータベースを市独自でつくり、危険度を示すハザードマップを作成して、市民に危険防止を促すということをきちんとすることが必要ではないでしょうか。そうすれば、市民は地盤の性質を納得した上で土地を選択しますし、地震への対策を立てることになります。このように、経験からして地盤が安全だということではなくて、きちんとしたデータベースと、それをハザードマップという形で市民に情報の公開をすることが必要だというふうに思いますが、どのようにお考えでしょうか。ちょうどことしと来年度、防災計画の修正に取り組むということですから、この計画をぜひ防災計画の中に入れていただきたいというふうに思いますが、お考えをお伺いいたします。
そして、八王子市の水防計画は毎年出されておりますけれども、これは宅地造成法の違反や残土条例の違反によって土砂の流出対策が必要な地域が示されております。本年度は10地区が明らかにされておりますけれども、この擁壁の工事や流出災害対策への進捗率は、この10件のうちほとんどがゼロ%で、進んでいません。一昨年夏の大雨で、残土条例に違反した堀之内の土地は土砂流出が起こり、近隣の地主へ大変な迷惑をかけ、被害を出しております。こうしたことを防ぐためにも、ぜひ宅造法や残土条例に違反した地域については強い指導をすること、そして、危険な箇所であるということを市民へ情報提供することが必要だというふうに思いますが、このことの取り組みについてお伺いいたします。
次に、配偶者からの暴力防止の問題についてお伺いいたします。
2年間のデータを出していただきましたけれども、婦人相談や女性のためのカウンセリングの中で、夫からの暴力に苦しむ女性たちの姿が浮き彫りになってまいりました。このことは、今後も増加していくという傾向があるというふうに思います。しかし、法が整備され、10月から施行されるその中で、現在の市の体制としては不十分ではないかというふうに思います。99年まで母子相談員1人、婦人相談員1人という2人体制で、女性の相談あるいは暴力の問題には取り組んでまいりました。しかし、東京都からの派遣が2000年から、常勤ではありますけれども、母子相談1人という体制になっています。相談の件数は増加傾向にありながらも、体制としては減少しているという状況にあります。より支援を求めてくる女性の増加が考えられるという状況の中で、ぜひとも婦人相談員の増員が求められますし、同時に相談支援体制の強化という視点からも、これが大変必要だというふうに思います。この婦人相談員の増員、体制の強化ということについて、法が成立し、そして、地方自治体が法に定められた責務を担っていくためには必要なことだと考えますが、どのようにお考えか、お伺いいたします。
次に、三多摩市長会は、都への要望事項の中で、夫からの暴力に対応した緊急一時保護施設の充実等を求めています。シェルターの整備や、またシェルターの広域的な利用は、緊急の課題でありますけれども、今ある施設の活用、転用も視野に入れるべきだというふうに思います。八王子市内には、中野町に婦人補導院があります。これは売春防止法の更正施設としての機能を持っていますけれども、現在入所者はゼロ名。毎年1名程度というふうに聞いています。年間の予算は 6,000万円というふうにも伺っておりますけれども、時代のニーズに合わなくなった施設はぜひシェルター的な機能を持つ施設として転用をするべきだというふうに考えます。これは国の施設ですけれども、自治体として国にこのことを提案するということについてのお考えをお伺いいたします。
また、配偶者からの暴力防止法は、第26条において、民間の団体に対する援助を努力義務としています。三多摩地域でも、市民の組織によってシェルターが運営され、また、相談活動などが行われています。市内でもそうした志を持つグループの今後の活動が期待されているわけです。行政の不足する部分を補完するという関係ではなく、民間の市民団体との関係や援助のあり方についてどのようにお考えか、お伺いいたします。
最後に、ストーカー被害者支援要綱の強化の問題についてお伺いいたします。
7月、ストーカー被害者を保護するために、住民票の閲覧、写しの交付を規制する要綱が実施されています。練馬区に続く2番目の取り組みをした自治体として新聞にも報道されましたけれども、こうした取り組みを評価したいと思います。しかし、このストーカー被害者支援要綱では、夫からの暴力を受けた被害者の支援としては、残念ながら役に立ちません。住民票の異動の際もそうでありますけれども、あわせて、本籍地に対して住民票を異動する場合、附票通知も義務づけられています。附票は、夫婦とその子どもを単位とする戸籍ごとにつくられ、住民票の異動があるたびに新住所、異動日等を追記していきます。戸籍附票の写しの場合には、同籍者、直系尊属など請求理由を明らかにする必要はなく、請求することができます。これは、夫からの暴力から逃げている女性が何らかの理由で住民票を移すときに、夫が戸籍の附票の写しを求めて、妻の居所を追求するということを可能にしています。ストーカー被害者支援要綱ではそのことは防止をできませんので、夫からの暴力の被害者が、加害者である夫からのそうした追求から保護されるような支援要綱をぜひとも強化する必要があるというふうに思いますけれども、どのように対応していくのか、お伺いして、2回目の質問を終わります。
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