◎【40番井上睦子議員】
 お疲れのことだと思いますが、もう少し御辛抱ください。

 それでは、より充実した高齢者福祉のためにとして一般質問を行います。

 介護サービス相談支援事業がスタートして半年が経過しました。この制度は、市民が99年に直接請求した高齢者介護基本条例の中でも、利用者の権利保障の観点からオンブズパーソン制度として強く要求された制度です。ふれあい訪問相談員が施設や在宅での利用者からの話を聞いて、不平、不満を未然に防ぐことに事業の趣旨がありますが、この半年間どのような相談や苦情の内容があり、それは専門委員会の方にどのような形で上がっているのか。そしてどのように解決をされてきているのか。そして、半年間の成果について、この制度の評価についてまずお伺いをしたいと思います。

 介護保険制度が始まって2年が経過をいたしました。制度の周知、定着から、ケアプランやサービスの質の向上により一層の力を注がなければいけない時期に来ています。ケアマネジャーは利用者の残存能力を生かし、自立した生活を援助するために、限られた費用の中で最適な介護サービスを受けられるようケアプランをつくり、事業者間の調整を行う専門職で、制度のかなめと言われています。ケアマネジャーの報酬が低いなど、保険者だけでは解決できない問題もありますが、ケアマネージャーの能力を高め、最適なケアマネジメントを行うために市はどのように役割を果たしているのでしょうか。現場や利用者からは一度もケアプランが変更されていない、あるいは事業者の利益を優先させるために自立を損なうほどの過剰なサービスが行われているとの指摘や、ケアマネジャーは忙しくて、モニタリングやケアカンファレンスの時間がとれないなど、多くの問題が指摘されています。そこでお伺いいたします。市はケアマネジャーの質と仕事について、現状とその問題点をどのように把握をしているのかお知らせください。

 そして、ケアプランの質的管理をどのように行っているのかお知らせください。

 質的向上に向けた体制はどのように今取り組んでいるのかお伺いいたします。

 次に、基幹型・地域型在宅支援センターの役割と連携についてお伺いいたします。

 新地域福祉計画では、基幹型在宅介護支援センターは、サービス調整機能を持ち、在宅介護支援センターの統括や調整機能を持つこと、そして相談助言機能を持つとされております。事業者について、指導や監督の役割をも持っています。基幹型在宅支援センターは、まさに保健福祉の推進拠点となっています。基幹型在宅福祉センターが社協委託で1ヵ所整備をされましたが、まだ設置されてからの日が浅く、広い市域を対象としてとらえるので、十分な機能を果たしていないように私には思われますが、基幹型、そして地域型在宅支援センターそれぞれの役割及びその機能と、現在どのような連携が行われているのかということをお伺いいたします。

 また、基幹型在宅支援センターが後期計画の中で2ヵ所整備される予定です。現在、新基本構想・基本計画が策定中でありますが、財政難による事業の見直し、縮小も予想されますが、基幹型在宅支援サービスセンターの整備に影響があってはならないと考えますが、今後の整備年次計画についてお示しください。

 さらに、基幹型在宅介護支援センターは、事業所に対してこれまでどのような指導、監督を行ってきたのかお答えいただきたいと思います。

 次に、入札、委託契約の信頼を確保するためにお伺いいたします。

 自治体の財政再建、人件費削減のため、民間委託がさまざまな形をとって進んでいます。公社や社協、民間企業、社会福祉法人、NPOなど多様な委託先があり、契約方法も一般競争入札、指名競争入札、随意契約、対象が限られておりますが競り売りと、法では規定をされています。公共工事の入札手続については、予定価格の事前公表と入札参加事業者名の掲示・現場説明会の廃止、また、試行として最低制限価格を事前公表するなど、透明性の確保について前進している点については評価をいたします。しかし一方で、昨日、3月26日付の朝日新聞では「揺らぐ自治体は安定」という見出しで、外注先の社員に手薄な身分保障として、自治体の仕事の委託先で働く人々の身分が不安定であることが紹介をされています。清掃業務委託の競争入札で他の清掃会社が落札したため解雇された女性の例、公用車の運転手として働く男性は、請負会社から支払われる賃金は月20日、1日8時間の労働で手取り約14万円、残業手当も支給されず、労働者派遣法違反に当たる働かされ方をしているということが紹介をされていました。

 本市でも、市の財政危機を理由に、委託契約単価の減少傾向もあります。予算審査の厚生水道分科会では、ごみの不燃物収集委託契約の金額が下がったために事業者は経営難に陥っていることが指摘されました。また、コミュニティ振興会が委託をされて管理している市民センターの職員については、新年度より一時金のカットや退職金の廃止など、労働条件が下がり、さらに2003年度には 103万円までの働かされ方をするという労働条件の切り下げが行われています。造園業で働く人、水道工事店で働く人たちの苦しい声も届いています。そこで、本市の入札契約の現状についてお伺いいたします。国、自治体が発注する委託契約の金額は65兆円とも言われておりますけれども、入札、あるいは随意契約の金額は本市では幾らになっているのかお知らせいただき、そして今後も増加傾向にあるというふうに思いますが、その点についてもお知らせください。

 また、委託先で働く労働者の現状についてはどのように把握をしているのでしょうか。新聞に報道されているような事例や苦情、訴えは市の方に届いているのかどうかお答えください。

 また、行政は公の役割として、委託先の労働者の公正で適正な賃金や労働条件を確保していく道義的な責任を持っていると考えますが、業者に入札契約について課している条件をお示しください。

 1999年に地方自治法施行令の一部改正によって、支出の原因となる自治体契約について、価格その他の条件が当該普通地方公共団体にとって最も有利なものを落札者とすることができるという総合評価競争入札の制度が新たに導入されました。総合評価方式は、価格以外の条件が最も有利なものに優先性を認めています。これまでは入札契約制度において有利とは、契約が安価ということでありました。他の条件が加わったこと、それに優位性が認められたことは、市長の政策的な価値判断を反映させる可能性が出てまいりました。例えば神奈川県では、来年の春、茅ヶ崎に県の衛生研究所をつくります。その建設と維持管理の入札に際し、研究所から出る廃棄物の再資源化などの環境対策と、視覚障害者用の電話交換機に対応するための障害者法定雇用率を落札の評価項目に入れました。また、東京都も昨年11月、若者の交流の場ユースプラザの整備事業で、運営委託会社にボランティアを活用できる工夫があるかなどを盛り込んだ落札者決定基準を発表し、こうした総合評価を入札に取り入れる動きが出てきています。こうした総合評価競争入札制度によって、社会的に価値ある政策を誘導する可能性を持つと私は考えておりますが、本市はこの総合評価競争入札制度についてはどのような見解を持っていらっしゃるのかお伺いをして、1回目の質問を終わります。


◎健康福祉部付参事【船引元子君】
 介護サービス相談支援事業についてお話しがございました。

 訪問ふれあい員につきましては、2月までの報告になりますが、 525件、そのうち苦情は6件ございました。訪問ふれあい員が解決したものにつきましては、1人で散歩に出ていて、砂利に足をとられて転倒した。そのことにつきましては、施設と協議をして、今後はボランティア等の付き添いを対応してくださるということになりました。また、施設に入って大事なものがなくなってしまうというような訴えに対して、大事なものは自分でしっかり管理しようねと話して、本人が納得したというようなことがございました。

 また、介護サービス相談支援事業の成果ということでございますが、先ほど議員さんもおっしゃいましたように、介護保険給付及び介護保険を補完する各種サービスの利用者や、家族からのサービスに関する不満等を早期に対応し、利用者の利益の擁護やサービスの質の向上を図ることを目的とした制度ですが、利用者の声を反映させたり、傾聴活動により話を聞くことにより、孤独感の解消など、地味ではございますが、制度利用者に本制度が浸透しつつあり、事業の成果は上がっていると感じているところでございます。

 それから、ケアマネジャーの質の向上という件でございますが、ケアプランの質の向上を市としてどのように行っているかということでございますが、ケアマネジャーのレベルアップを図ることが最も大切であると考えておりまして、このためにケアマネジャーの研修を平成13年度は3回実施しておりまして、ケアプラン作成の指導を行い、質の向上を図っているところでございます。

 ケアマネジャーの質について、現状と問題点ということでございますが、ケアマネジャーは資格試験をパスしてから、かつ実務研修を履修した者が従事できるものでございますので、一定の質は確保されているものと考えております。しかし、その人の技術、知識、経験、利用者などの声を上手に引き出せる力などによりまして、わずかでしょうが差は出てくるであろうと考えているところでございます。質の向上に向けた体制はということでございますが、国は基幹型ケアマネジメントリーダーを配置して、ケアマネジャーに対する支援の充実を図ることといたしておりますことから、本市もこれに倣い、ケアマネジメントリーダーを配置して機能の充実を図ってまいります。

 基幹型、地域型在宅支援センターの役割と連携の現状、今後の整備計画についてでございますが、基幹型の役割につきましては、先ほど議員さんもおっしゃっていらっしゃいましたように、地域型在宅支援センターの統括、支援、それから介護予防、生活支援サービスの総合調整、介護サービス機関の指導、支援などがございます。市内全域にわたって在宅の保健福祉サービスを中立的な立場で調整するものでございます。基幹型の役割につきましては、地域の高齢者の実態の把握、福祉サービスの利用調整、保健福祉サービスの情報提供、利用方法の周知、訪問、電話等により各種相談に総合的に応じることなどでございます。連携につきましては、毎月支援センター連絡会を開催しているほか、地域ケア会議も開催し、連体を図っているところでございます。今後の整備計画につきましては、新地域福祉計画の中で平成17年度以降、西部圏域及び東南部圏域に1つずつ基幹型の設置を予定をしております。また、地域型につきましては、平成17年度に長房地区に開設を予定しているところでございます。

 基幹型の事業所への指導状況につきましては、現状、基幹型におきましては、事業所への指導は現在は行っていないところでございます。しかし、事業所の集まりであります居宅介護支援事業者連絡会には、市が出向き、情報提供や指導、助言等を行っているところでございます。


◎財務部長【下田豊君】
 委託契約の関係でお答えいたします。  まず、財務部契約課で契約しているものに限らせていただきますが、13年度で契約額が37億 8,600万円。このうち競争に付したものが19億 3,700万円、1社特命の随意契約が18億 4,900万円でございます。今後の増加の傾向についてでございますが、私どもといたしましては、極力1社随契のものについてはなるべく減らしていきたい、このように考えております。ただ、その割合につきましては、その年度年度の実施する内容、それによって1社随契なり、競争のもの、その辺の増減はあろうかと考えております。

 それから、働いている方々の現状、それから賃金、労働条件の関係でございますが、御案内のとおり、非常に景気の状況がよくございませんので、多くの業種また業界で大変厳しい経営状況にあろうかと考えております。しかしながら、賃金等の労働条件につきましては、市の委託業務だけではなくて、民間の業務もその業者の方はなさっていると思いますし、幾ら支払うかとか、その労働条件につきましては、それぞれの業者の経営上のことにも属しますので、私どものところで個々の状況について把握するのは困難と考えております。  それから、市の方に労働者の方だと思うんですが、苦情が寄せられているかどうかという件に関しましては、私どもには寄せられておりません。

 それから、入札に当たって業者に課している条件でございますが、下請未払い、それから事故、法律違反など、不正、不誠実な行いがないようにということの条件は付しているところでございます。

 それから、東京都等で行っている総合評価競争入札につきましてでございますが、本市はこれと同じではございませんけれども、13年度におきまして、財務会計システムの構築、また基本計画の策定事務におきまして、プロポーザル方式を採用したところでございます。このプロポの方式は業者の価格だけで業者決定するんではなくて、業者の施行体制、従事者の能力、ノウハウ、それから業務に対する感性、これらを考慮いたしまして、本市が契約によって求める成果、それがよりよいものになるように判断をしてこの方式を採用したものでございます。御質問者のおっしゃっている総合評価方式、13年度本市で採用いたしましたプロポーザル方式と似通った点があるかと考えておりまして、総合評価競争入札、それにつきましてもメリット、デメリットがございますし、これから我々のところで行う契約、いろいろな形態が出てくると思いますので、よりよい成果が得られるもの、その場合にどの方式でいったらいいのか、御質問者のおっしゃる方式


◎40番【井上睦子君】
 それでは、高齢者福祉についてまずお伺いいたします。

 介護サービス相談支援事業について、一定の成果が上がっているというような御答弁がございました。まだまだ半年ですので、相談内容や苦情の問題について、どのように政策につなげていくかということはまだこれからだというふうに思いますが、ぜひ八王子市の高齢者の相談窓口で上がっている相談や苦情、あるいは在宅支援センターに届いている苦情、また専門委員まで上がっている苦情や相談など、精査をしながら、政策につなげていく努力をしていただきたいというふうに思いますが、その点についてお考えをお知らせください。

 また、先ほど申し上げました利用者からの苦情、あるいは家族から、または介護スタッフから、事業者から相談や苦情がさまざまなルートで市の方に上がってきているというふうに思いますが、解決が困難な問題については、この専門委員会に上げて解決の道筋をつけていくことも必要だというふうに考えています。今はふれあい訪問相談員から上がってくる問題だけだというふうに思いますが、多様な問題をここで解決をしていくというようなルートを確立することも必要だというふうに思いますが、それについてはどのようにお考えでしょうか。

 さらに、新年度は訪問相談員の数も増大されてまいります。何が問題であるのかということを的確に把握する能力と力量をつけるためには、研修の強化が必要だというふうに思いますが、それについてはどのような準備をされているのかお伺いいたします。  次に、ケアマネジャーの質的な向上あるいは基幹型の強化の問題についてお伺いいたします。

 昨年10月に長寿社会開発センターが行ったケアマネジャーとケアマネジメントの実態調査によると、ケアプランに組み込まれているサービスの種類数では、1種類が約49%となっていました。これはケアマネジャーでなくてもできるという批判もあります。2種類が26.9%、5種類以上使っているのは 2.5%という結果でありまして、ケアプランが本当に適切に作成をされているのかどうかということは課題であるというふうに思います。また、サービス担当者会議を月1度も開催されていない事業者は23.4%となっており、月1回程度定例会が持たれているのは事業者の3割程度にしかなりません。このことは、ケアの内容について担当者できちんとした論議がなされているのかどうか、点検がなされているのかどうかというような疑問も持たざるを得ません。こうしたことから、モニタリングやケアカンファレンスが十分であるのかといった実態も明らかになってきています。これは全国の統計でありますので、本市にそのまま当てはまるかどうかは疑問でありますけれども、ただ、先ほど参事からは個々の小さな相違はあるかもしれないけれども、一定の質は確保されているというふうなお話がありましたが、私はぜひ実態調査をすべきだというふうに思っております。ケアマネジャーが所属する事務所のサービスのみを優先したりという事例も聞きますので、ぜひ長寿社会開発センターが行ったようなケアマネジメントに関する実態調査を行うべきではないでしょうか。厚生労働省は、新年度からケアプランのチェックを自治体に求める考えだと報道されています。実態調査やケアプランのチェックについては、ぜひ体制を確立していただきたいというふうに思いますが、その準備についてお伺いいたします。

 また、ケアマネジメントの質を向上させるためには、公的な基幹型在宅介護支援センターの能力や体制の強化を図り、指導力が求められます。もちろん地域型にもこうした力量は求められますけれども、居宅介護支援事業所を併設し、地域全体を視野に入れて高齢者と家族の生活を支える地域型には別の役割があります。基幹型の在宅介護支援センターがケアマネジメントリーダーとして力量をつけていくべきですが、その方策についてお答えをいただきたいというふうに思います。

 また、基幹型は現在社協の委託となっておりますけれども、市が介護保険の質に責任を持つという意味で直営で担うのがいいのではないかというふうに私は思うわけですけれども、その点についてはどうでしょうか。

 最後に、行政の責任についてお伺いいたします。

 介護保険の導入によって、高齢者の福祉の大部分は介護保険に移行されました。事業所間の自由競争と利用者の自己責任に基づいてサービスの選択は利用者の自己決定にゆだねられています。行政のかかわりは事務的な手続に縮小されてまいりました。しかし、良質なサービス提供の指導、監督など、行政の責任が回避されたわけではなく、より重要になってまいります。社会保障審議会での介護給付分科会では、市町村が基幹型に地域ケア会議などについても丸投げをしており、行政にもケアマネジメントリーダー養成講座を受講させるべきだとの意見も出ています。介護の質の確保については、行政は委託先にすべてを任せるのではなく、どのように責任を果たしていくのかお答えいただきたいというふうに思います。

 次に、入札と委託契約の問題についてお伺いいたします。

 人件費の削減を目的とした業務委託は、必然的にそこで働く労働者の賃金や労働条件が自治体の職員より低くなります。自治体が発注する公共事業や業務委託は地域の雇用や産業の育成にもなり、地域で働く人々の生活向上に寄与する性格を持っています。何もかも自由競争に任せてよいということにはなりません。自治体の仕事は税金で行うものであり、税金を公正に使う義務が自治体にはあります。そして、同時に委託や発注工事によって地域の労働者の労働条件の健全な水準を維持すること、そして公正な労働条件を確保することという義務を負っています。こうした考えは国際的にはILOの94号条約、公契約における労働条項に関する条約で示されています。残念ながら日本はまだ批准をしておりません。また、公共工事においては、賃金等を確保するために公契約条例あるいは公契約法の提案が建設労働者の組合等で提起をされています。この条例あるいは法は、税金から支出される公共事業費の内訳を明確にし、賃金分として積算された金額がピンはねされることなく適切に現場労働者の賃金として確保される仕組みを求めています。このことは労働者だけではなく、事業主や企業にとっても大きなメリットがあります。公共工事を受注する建設業者や企業にとっても、建設コストの大半を占める労務費に歯どめがつくられることによって、受注価格や下請単価の引き下げにならない公正な競争条件が整備され、企業の経営安定が図られます。また、地域の住民にとっては、適切な労務費の確保によってきちんとした工事が保証され、良質な社会資本が整備をされるという内容の法律や条例案が提案をされています。また、最低制限価格制度のない清掃業務や事務作業などの労務提供型の業務委託などは、例えば生涯学習センターの清掃委託が6万円で落札されたように、税の支出が削減されても賃金が不当に圧縮される可能性が高くなるようなダンピングの傾向もあります。

 アメリカでは90年代になって、生活賃金条例が相次いで制定をされました。現在は70の自治体に広がっています。これは80年代、アメリカでは正社員の解雇が相次ぎ、低賃金の不安定な労働者が急増したことに対し、賃金を底上げするために94年、フィラデルフィア市で制定をされたものです。その内容は、自治体と契約する企業は生活できる賃金を支払うこと、そして補助金を受ける事業体でも生活できる賃金を支払うということを定めたものです。日本でも生活賃金条例をモデルに、公正な入札と契約基準をつくる動きが法政大学の武藤博己教授らによって呼びかけられています。不況が続き、雇用不安や失業率の増大の中で、自治体が委託先で働く労働者の公正な労働条件を確保するために、こうした条約や条例について市はどのように評価をし、委託先で働く人たちの公正な条件の確保という自治体の責任についてどのような見解をお持ちかお伺いいたします。

 さらに、自治体と契約する企業、事業者に対して、市は先ほど一定の条件を示されましたけれども、埼玉県などでは労働基準局などがビルメンテナンス業等における労働関係法令の遵守についてというものを発し、委託料に占める人件費の積算額は最低賃金額をはじめ、労働基準法等関係法令に定める基準を満たす金額であることなど、厳しく業者を指導しておりますし、同時に、口頭などで会社交代の場合、雇用の引き継ぎなどを要請をしています。このように各自治体の中では委託労働者の身分の安定のために一定の歯どめをかける要請をしているわけでありますけれども、市としても労働者の権利擁護のための条件を契約において課すことについては、私は必要だというふうに思いますが、その見解についてお伺いいたします。

 次に、総合評価競争入札制度についてであります。

 一定13年度プロポーザル方式を導入したということがありました。市が求める成果というだけではなくて、八王子市のまちづくりの方向、政策誘導をするという意味でも私は使えるのではないかというふうに思っております。例えば福岡県の福間町というのは、昨年12月、男女がともに歩むまちづくり基本条例を制定いたしました。これは4月1日から施行されますけれども、条例の中には事業者の責務として、事業者等が町と工事請負などの契約を希望し、業者登録をする場合は、男女共同参画の推進状況を届け出なければならないと明記をしております。これは大変反響があって、すぐ町内の業者からうちには女性社員がいない、入札に参加できないのではないかというふうに問い合わせてきたりして、これは男女平等措置の報告だけにして、町民の不安をあおらないように、男女平等を考える機会づくりから始めたということで、小さな町でも大きな波及効果があると町長は話しておられます。

 こうした総合評価の競争入札の基準の中に男女平等の視点や、あるいは福祉の視点、これは東京都が行いましたけれども、障害者の法定雇用率を達成しているかどうか、あるいは環境の視点、環境政策に対して企業としてはどのような取り組みがあるのかといった社会的な貢献度を入れることによって政策を実現していくことが可能になるのではないかというふうに思いますし、市内外の企業や事業所を優良企業として育成していくということにもつながってくるのではないかというふうに思いますが、この点について、市長は入札制度について、透明性の確保については努力をされておりますが、より一層拡大をした形で労働者の労働条件を公正に守るということ、さらには福祉や環境、平等といった人権条項にも配慮をして入札基準をつくっていくといった取り組みが、より産業政策としても、雇用政策としても、八王子市の社会の質を上げていくことになるのではないかというふうに思うわけです。こうした制度を本市でも導入することについてはどのようにお考えになるのか、最後にお聞きをいたしまして、一般質問を終わります。


◎健康福祉部付参事【船引元子君】
 介護サービス相談支援事業につきましてでございますが、苦情解決方法と、見えてきた問題を市としてどうするのかということでございますが、訪問ふれあい員をサービス相談支援会議に招き、苦情に至る経過や状況を聞くとともに、サービス相談調整員が必要により施設等に出向いて事情聴取を行うなど、公平、中立の立場で解決に向けて審議を行っているところでございます。相談支援会議で事業者等に指導、助言をした場合は、市といたしましても事業者が指導等に従えるよう相談に乗るなど、できるだけ側面から支援していきたいと考えているところでございます。

 訪問ふれあい員の研修の件でございますが、国がさわやか福祉財団に介護相談養成研修事業を委託しておりますので、訪問ふれあい員の質向上のために、今後も養成研修に派遣していきたいと考えているところでございます。  また、訪問ふれあい員の意識統一のため、訪問ふれあい員の意見交換会を実施しておりますし、訪問ふれあい員と相談調整員との意見交換会の実施の予定を立てているところでございます。

 地域支援センターに上がった苦情など、介護相談支援事業につなげるのかというようなお話しだったと思います。地域型支援センターに寄せられました苦情は、原則といたしまして、高齢者相談課に寄せられることになっております。支援センター、高齢者相談課の窓口に寄せられた苦情を含め、必要に応じて専門家で構成するサービス相談支援会議に結びつけていきたいと現在は考えているところでございます。

 ケアマネジメントの実態調査についてでございますが、実態調査につきましては、現在は考えていないところではございますが、不定期に抽出方法などにより調査、チェックすることは時には必要かと考えているところでございます。

 基幹型の体制強化につきましては、保健福祉の分野においてリーダーシップが発揮できるよう、専門職やケアマネジメントリーダーを配置しております。今後とも研修等に積極的に参加して、レベルアップを図り、体制の強化を考えていきたいと思っているところでございます。

 社協の委託の件でございますが、国は直営が望ましいとは言っておりますが、各市の実状に合わせ、社会福祉協議会などへの委託は適当と判断しているところでございます。基幹型の職員はその業務内容から、看護師、社会福祉士等の専門職である必要がございます。専門職を雇用し、受託能力が十分あると判断できる本市社会福祉協議会への委託は妥当であると考えているところでございます。

 行政の責任をどのように果たしていくのかということでございますが、介護サービスが利用者に公平、中立に提供できるよう、ケアマネジャー及びサービス提供事業者に対し、今後もさらに研修、情報提供などを行うことが不可欠であると考えております。このためには基幹型はもちろん、地域型支援センターの機能をより充実させることが必要と考えておりまして、それの実現に向かって努力していきたいと思っているところでございます。


◎財務部長【下田豊君】
 委託先労働者の労働条件に関しての御質問でございますが、確かに入札結果によっては低い価格のものも見受けられます。ただ、業者によっては市の対象施設の近隣に他の施設を受注していて、作業員のやりくりが可能であったり、あるいは企業全体の中で採算を図ったりしている例もございますし、また最低賃金の定めもありますから、契約金額が低いからといって労働条件が守られていないと判断するのは一概には言えないことだと思っております。


◎市長【黒須隆一君】
 40番、井上睦子議員の私に対する質問にお答えをいたします。

 入札について、総合評価競争入札の導入を検討してみたらと、こういう御提案でございますけれども、地方公共団体の契約の本旨は、最少の経費で最大の効果を上げ、市民の税金をむだなく使う。そしてあわせて公平、公正に執行することだというふうに考えております。環境や人権、労働に配慮した企業を育成していくことは、これは市行政全体に与えられた命題であるというふうに考えております。現在も契約に当たりましては諸法規を遵守することを条件としておるわけでございます。しかし、契約行為の中で現在以上のレベルアップを求めることは、これは必然的に契約金額の増加にもつながりますし、また、先ほど神奈川県の施設建設の例、あるいは埼玉県のビルメンの例等のお話もございましたけれども、これは地元業者に現在それまでの力がある業者は私はまずないと思うんです。ですから、都レベル、国レベルの仕事ならばいいんじゃないかなというふうに思いますけれども、そういう面で慎重な対応が必要だというふうに考えております。今後の課題にさせていただきたいと思います。