◎【40番井上睦子議員】
  それでは、社民・生活者ネットを代表して、ただいま上程されました議案に対し質疑をいたします。

 まず、第72号議案、一般会計補正予算及び第79号議案、八王子市特定疾病患者福祉手当支給条例の一部を改正する条例設定についてであります。

 特定疾病患者福祉手当は、難病生活を送る患者の経済的な支えとなっています。現在、東京都が認定をしている特定疾病患者4万 8,000人のうち、約3万 1,000人が肝硬変や肝がん移行者を含めたウイルス肝炎患者であります。今回の提案では、都の見直しによって、B型、C型の慢性肝炎や肝硬変、肝がん、ヘパトームを福祉手当から削除することになっています。現在の福祉手当の総受給者数及び慢性肝炎、肝硬変・ヘパトームのおのおのの受給者数をまずお知らせいただきたいと思います。

 そして、毎年どの程度このウイルス肝炎の認定患者が新たに今まで認定されてきたのかもお伺いをいたします。

 東京都は、1974年から、東京都単独で、所得に関係なく入院患者は自己負担分月1万 4,000円で、通院患者には自己負担分月 2,000円で、それを超える医療費は東京都が助成をしてまいりました。しかし、先ほども御答弁があったように、希少ではなくなった、原因究明が進んだ、治療方法が進歩したという理由で、ことし10月から、難病対策として行っているウイルス肝炎患者の医療費助成を廃止し、ただ住民税非課税の所得の低い入院、通院患者約 6,000人と、低所得者ではないものの高額医療費のかかる通院患者約 150人については、激変緩和措置として、ことし10月から3ヵ年に限り、現在と同額の助成を継続をするとしています。

 低所得ではない入院患者約 8,000人は、東京都が導入する新制度で月3万 7,200円を自己負担とし、それを超す医療費を東京都が負担するとなっています。それ以外の患者、都全体では約1万 6,000人に対する助成は撤廃をされることになりました。本市では、説明資料によりますと、対象疾病患者は 1,170人、そのうち非課税世帯等は 270人で、 900人が今回削除される対象となっていますが、東京都が導入する新制度では助成を受けることができる人数を把握できているようでしたらお知らせください。

 そして、どんな助成も受けられない人数についてもお知らせいただきたいと思います。

 さらに、東京都が医療費の助成廃止にかわって新たに行う肝炎対策の目的と内容についてお示しをいただきたいと思います。

 東京都の見直しにより、10月から、ウイルス肝炎は難病ではなくなります。一般疾病となりました。しかし、発症原因がわかり、治療方法がある程度確立しても、患者の治療が必要な状態は変わりません。C型肝炎の場合、ウイルスを除去できる現時点では唯一の治療方法と言われるインターフェロンの投与をしても、3割の人しか除去できない。すなわち、7割の人が肝がんへの移行を抑えるために、長期の治療を強いられているといった患者の困難な状態はなくなったわけではありません。さらに、入院費の医療費助成の新制度はあるものの、自己負担額は大幅に負担増となり、通院患者には3年の経過措置以外は受けられません。経済的負担は増すばかりです。

 加えて、長引く不況の中で受診を控えて病気が悪化することも懸念されるのではないでしょうか。市はウイルス肝炎患者のこのような闘病の実態や経済的負担の実態についてどのように認識をしておられるのでしょうか、お伺いをいたします。

 東京都が特定疾病から一般疾病というふうに宣言をしても、患者の状態というのは変わらないのではないでしょうか、お答えをください。

 患者の困難性は変わらず、東京都の医療費助成の廃止によって経済的にはより負担増となるにもかかわらず、それに追い打ちをかけるように、今回福祉手当を廃止をするという判断を市がしたわけです。立川市は、3年間は既存の患者には課税非課税を問わず支給をするということでありました。こうした原則撤廃の方向での判断をした根拠をお伺いをいたします。

 東京都は医療費助成の新たな制度を先ほど申し上げましたようにつくりましたが、これは、特定疾病ではないにしても、ウイルス肝炎患者に対しては対策が必要との判断からです。難治性疾患の患者に対する新たな制度を本市として確立をする考えはないのかお伺いをいたします。

 次に、第80号議案、八王子市土砂等による土地の埋立て等の規制に関する条例の一部を改正する条例設定について伺います。

 残土処理については、各地域で無届けなどの問題が発生し、自然破壊が進行しています。その解決は大変難しいことを私自身実感をしております。今回の改正を評価するものであり、無謀な残土処理の歯どめになることを期待をして、何点かお伺いをいたします。

 まず、本市の残土処理の現状についてでありますけれども、適正に処理をされているもの、あるいは無届けで行われているもの、それに対して指導を行ったり、改善命令を出したり、停止命令を出したり、また、原状回復命令を出したりして、担当部署は御苦労されているというふうに思いますが、本市の残土処理の現状についてどのようになっているのか、まずお伺いをいたします。

 2点目には、今回、改正になりますその背景についてお伺いをしたいというふうに思いますが、土地所有者の責務等を明らかにいたしました。この背景、具体的な事例などがあれば挙げてお示しいただき、そして、この条例目的の改正をお答えいただきたいというふうに思います。

 次に、第20条の2、土地所有者への防災工事命令についてお伺いをいたします。最終的には、条例の規定をするとおり、土地所有者の適正な維持管理の義務があるというふうに考えます。ただ、ここで問題があるとすれば、防災工事命令を出す場合、問題が発生する事態は2つの場合が想定をされます。土地所有者が同意をして事業主がずさんな残土処理をした場合、また、土地所有者の同意なく事業主が残土処理をした場合であります。発生する起因は事業主であるにもかかわらず、最終的に土地所有者に防災命令を出すことには、土地所有者の不満も出てくるのではないかというふうに思いますけれども、事業者に原因があったとしても、最終的には土地所有者に防災工事命令を出せる法的な根拠とその考え方をお示しいただきたいと思います。

 次に、第23条、罰則についてですが、今までこの罰則を適用した事例があるのでしょうか。また、罰則の強化がもたらす効果についてお答えをいただきたいと思います。  以上で終わります。


◎【和田武雄健康福祉部付参事】
 私の方から、特定疾病患者福祉手当の支給状況につきまして回答申し上げます。

 福祉手当の支給状況でございますが、総支給人員は71疾病を対象に 2,700名となっております。慢性肝炎、肝硬変・ヘパトームにつきましては 1,170名、どの程度ふえているかということですが、月に平均7名程度ということでございます。

 それから、東京都の新制度の人数でございますが、私どもの方では把握しておりません。

 それから、都の新制度の目的、内容ということでございますが、これにつきましては、この慢性肝炎につきましては、早期発見、早期治療ということで、東京都はそこに光を当てているものというふうに私どもは考えております。

 それから、一般疾病となっても治療費等に変更はないということでございますが、確かに慢性肝炎、肝硬変・ヘパトームが一般疾病に位置づけられましても、病状ですとか治療費に変化はないと思います。しかしながら、原因が解明され、治療法も一定程度確立したことによりまして、一般疾病との位置づけを東京都でしたわけですが、こうしたことを考えますと、他の一般疾病にかかっている方もいらっしゃるわけでございます。そうなりますと、慢性肝炎、肝硬変・ヘパトームについてだけ特別に扱うということは公平性に欠けるんではなかろうかということでございます。

 それから、撤廃の理由でございますが、当該手当を東京都が実施しております難病医療費助成制度と同一の疾病患者を対象に支給をしております。東京都が慢性肝炎、肝硬変・ヘパトームの2疾病につきまして、希少性がない、原因が解明されている、治療法も一定程度確立しているという理由で、難病医療費助成の対象疾病から14年10月1日から除外する改正を行っている状況を勘案しまして、経過措置としまして、非課税世帯に属している方につきましては、3年間の医療費助成が受けられると東京都はしているわけでございます。これを受けまして、私どもも東京都と同様に非課税世帯に属している方への3年間の経過措置を設けた上で、支給対象疾病から除外をした、こういうことでございます。


◎【窪田和朗都市整備部長】
 私の方からは、第80号議案につきまして御説明申し上げます。

 まず、今回条例の一部改正をお願いしているのは、本市内におきまして残土の不法投棄、これが後を絶ちません。そこで、事業者の違法行為から引き起こされる災害から市民を守る立場ということで、今回条例の改正をお願いしているところでございます。順次お答えいたします。

 まず、市内の残土処理の状況でございますが、市内の残土の処理と無許可の条件につきましては、本条例で今まで28件の事業を許可してまいりました。近年の経済情勢を反映してか、違法、不法な建設残土の不法投棄が市民の生活環境を脅かすことから、社会問題化しつつあります。本条例に基づく停止命令や原状回復命令等の行政処分をした違反件数は3件ございます。

 1件目は、宮下町 124番地ほか停止命令が平成13年4月18日でございます。原状回復命令が平成13年の5月11日でございます。

 それから、2件目が堀之内1087の1ほかでございます。停止命令が平成12年2月14日、原状回復命令が平成12年5月29日でございます。

 それから、3件目が堀之内1112番の1ほかでございまして、これは停止命令が平成12年12月22日に発令してございます。

 それから、この改正の背景と目的でございますが、平成3年4月1日より、本条例を施行し、生活環境の保全及び災害の防止に努めてまいりました。しかしながら、近年違法な建設残土の不法投棄が後を絶たず、依然として適正さを欠く建設残土処分が行われています。

そこで、事業の許可を受けるに当たり、事業主が土地所有者から事業に対する同意を得ることを条例上に規定することによりまして、事業主及び土地所有者の事業に対する責任と認識を深めること、それから、違反行為に対する罰則を強化することによりまして、建設残土が適正に処分されるよう改正を行うということでございます。

 3点目でございますが、土地所有者に対する命令の根拠でございます。憲法29条第2項の公共の福祉に適合する合理的な財産権の制限等の必要性という観点から、民法第 717条で定める土地の工作物等の占有者及び占有者責任、それから、宅地造成等規制法第16条、改善命令に定める宅地造成に伴う災害の発生のおそれが著しいものがある場合等でございまして、事業主が市の命令に従わず是正工事を施行しない場合に限って、事業区域で事業に伴う災害の発生のおそれが著しいと認めるときは、土地所有者に状態責任を求めることができるということでございます。

 4点目でございますが、罰則の強化の効果でございます。これにつきましては、事業主や土地所有者に対して、事業化に向けて十分注意を払ってもらうとともに、両者に責任を認識してもらうことにより、不法、違法な事業に対する抑止の効果を期待するものでございます。