◎【40番井上睦子議員】
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それではまず、パブリックコメント制度の導入についてお伺いをいたします。
パブリックコメント制度は、99年1月1日から、国の全省庁で導入をされています。この制度は、各省が基本的な政策の立案を行うに当たって、政策などの趣旨、原案等を公表して、専門家や利害関係人、その他国民から意見を求め、これを考慮しながら、最終的な意思決定を行うという仕組みです。今日では、地方自治体でも導入され始め、県や幾つかの市で制度化されています。7月に、会派で大阪府の池田市を視察した際、市の公共施設に池田市の男女共同参画推進条例骨子案が配付されておりました。これは、案に対する市民意見を約1ヵ月にわたって募集をしているものです。9月議会で上程をし、審議をするというふうな計画であると聞いておりました。
これは、政策形成過程を市民に公開し、参加を保障する制度として、そして、公正で透明な市政運営のために、大変有効な制度だと考えます。本市では、市民参加のシステムとして、アンケート調査や検討会、審議会の市民公募枠を設定し、あるいは基本構想の策定に当たっては市民会議を設けました。また、数々の基本計画の策定に当たっては、意見募集などが行われています。
これまで行われてきた市民意見の反映策は必ずしも制度化されたものではなく、担当所管の私的な判断のもとで行ってきたように思われますが、どのような取り組みをし、政策の決定にどのような効果があったのかお示しいただきたいと思います。
横須賀市では、昨年9月、横須賀市市民パブリックコメント手続条例を制定をしています。条例の目的としては、市政への市民の参画の促進をすること、そして、市の説明責任を果たすこと、このことによって、公正で民主的な一層開かれた市政が推進できるとしています。
パブリックコメント手続をやる対象の案件については、
1点目には、基本的な制度や条例案、市民の権利、義務に関する条例案、市民生活または事業活動に直接かつ重大な影響を与える条例案の制定改廃を対象としています。
2つ目には、市民生活または事業活動に直接、そして重大な影響を与える規則や要綱の制定と改廃が対象となっています。
3つ目は、基本的な政策を定める計画や、個別行政分野の基本的な計画、これからの実施計画の策定、改定です。
4つ目は、市の基本的な方向性等を定める憲章や宣言等の策定や改定。
そして、5点目として、条例中の見直し規定に基づき見直しを行った結果、当該条例を改正しないこととする決定についても、手続の対象としています。
意見の提出方法は、直接提出をする、あるいは郵送する、ファクシミリ、電子メールで提出をするという方法になっておりまして、政策等の案の公表は、市のホームページや市政情報のコーナー、また、市議会議員へ送付をされることになっています。政策等が決定をしたならば、議会に議案として提出をする。あるいは議会に政策として報告をする。市民に対しては、意見に対する市の考え方、修正内容の公表をして、ホームページや市政情報コーナーで公表をするという手続になっております。この手続は、議員にとっても、政策の意思決定の過程が透明化され、市民の意見を踏まえたより十分な審議が可能となってまいります。
横須賀市では、ことし4月から、14件について、この手続を適用しています。うち4件は、意見が1件もありませんでしたが、建築物等の紛争調停に関する条例素案には 818人から1万 2,902件の意見が出されています。
パブリックコメント制度は、欧米では古くから実施をされています。行政運営への参加が推進されるなどの効果が上がっている一方で、迅速な行政執行という観点からは、かえって非効率だという指摘もあります。しかし、地方分権時代、市民との協働による行政運営は不可欠であります。そのために、私は、パブリックコメント制度を導入すべきだと考えます。市も行革大綱などの中で課題としていますが、この制度をどのように評価をしているのか。また、導入についての考えをお答えいただきたいと思います。
次に、住基ネットの危険性について伺います。
8月5日、多くの市民が不安を抱く中、住基ネットが稼動しました。離脱は法律違反との政府見解を無視して、プライバシー保護の立場から、6市区町が接続を見送り、 400万人を超える空白をもたらす波乱のスタートとなりました。6市区町のうち、完全離脱は、杉並区、国分寺市、福島県矢祭町、横浜市は、市民が参加するか否かを決める選択方式をとることになっています。さらに、9月11日には、中野区が国からの回答には安全確保策が確認できないとして、住基ネットを切断をしました。また、全国で住民票コードを返却した人の数は1ヵ月で2万人を超えるとも報道をされています。
稼動後もトラブルは続いています。 200の自治体が住基ネットを庁内LANに接続していたなど、そういったトラブルが続出をしています。こうした報道や各自治体の動向は、ますます市民の間に不安を広げているばかりです。
私は、住基ネットに対し強い懸念を持ち、反対の立場から、6月議会でも質問いたしました。住基ネットへの参加について、個人情報保護法制ができない中での稼動は見合わせるべきだとの質問に対し、国会審議の結果を踏まえ、各市の動向も見きわめて、本市の対応をみずから決定していくと、明確に参加すると、市長は答弁を6月時点ではされておりません。東京都の中でも、2自治体が不参加をし、そして、個人情報保護法制が未成立の中、また、稼動前後には、市民からの不安の声、反対の声は世論調査では7万にも上っていましたけれども、なぜこうした中で本市は参加をしたのか、その理由を明らかにしていただきたいと思います。
住基ネット稼動後、市はホームページで、参加理由やセキュリティーに対しての考え方を明らかにし、市民からの意見を募りました。市民からの反対の意見など、具体的にどのように届いているのかお答えをください。
稼動前後して、住基ネットについて、たくさんの市民から電話があり、話す機会も多くありました。市民の反対意見は、大きく分けて2つあります。1つは、基本的に民主主義社会において、11けたの番号を人間につけること自体、人間の尊厳を冒涜するという考え方です。BSE対策で、牛には10けたの番号がつけられたように、国民総背番号制への道を開き、国家による管理監視社会へと突き進んでいくという危険性を強く感じています。ドイツでは、人間を商品の在庫管理のように番号をつけることは人権侵害で、憲法違反という判決が出され、共通番号化は導入をされていません。
2つ目の意見は、プライバシー保護が不十分で、個人情報の漏えいや不正使用の危険性が大きいということです。個人情報保護法が未成立であることのへ不安、ネットワークシステムへの不信が強くあります。
こうした2つの代表的な反対意見に対して、市はどのように考えているのかお伺いをいたします。
市は、ホームページ上で、住基ネットシステムについて、技術的に絶対はあり得ず、また、操作担当者の不正行為など人為的行為も想定する必要があるとして、セキュリティー会議を設置をしています。予測される危険性あるいは不測の事態とは具体的にどのような危険な事態を想定し、対策を立てているのか明らかにしてください。
そしてまた、その危険な事態にだれが責任を持つのか、責任の所在を明らかにしてください。
八王子市個人情報保護条例第1条では、市の実施機関が保有する個人情報の開示、訂正、削除及び利用等の中止を請求する権利を保障すると明記をされ、自己情報のコントロール権が保障をされています。プライバシーの概念は、私生活上の秘密を他人に知られたくない、そっとしておいてほしいという消極的な意味にとどまらず、自己に関する情報の流れをコントロールするという積極的な意味で理解をされ、発展してきました。市の条例は、この発展した考えを取り入れたものです。
住基法は、だれでも写しの閲覧ができるように、自己情報のコントロール権は保障されていません。プライバシーの概念において、おくれた法律であると考えますが、この住基法について、市はどのようにプライバシーの概念において認識をしているのかお伺いをいたします。
しかし、閲覧によって知り得た事項、すなわち個人情報を使用するに当たって、個人の基本的人権を尊重するよう努力義務を課し、市町村長は不当な目的によることが明らかなときには、請求を拒むことができるとも住基法はしています。現在、市で行っているストーカーやDV被害者保護の対策は、申し出があれば非開示とするという対応です。これは、一部で自己情報のコントロール権を認めています。9月議会でも、住基法は個人が自己の住基情報の提供をコントロールできないと考えるが、しかし、個人の基本的人権を尊重するよう努めなければならないと定めているので、具体例についてはその精神にのっとり、慎重で的確な対応を図りたいと部長は答弁をしておられます。であるならば、市民が提供先での不正利用、提供途中でのネット上での漏えいの危険があり、人権侵害になると考えられれば、中止や切断、削除などを求める情報のコントロール権は保障されてもよいのでないでしょうか。御見解をお示しいただきたいと思います。
住民票コードは、8月の下旬、世帯単位で発送されました。これは、プライバシーに関する認識の低さのあらわれです。仲のよい安定した家族関係を築いていても、コード番号は知られたくないものです。また、特にDV被害で家を出て別に生活をしている場合、コードは夫のところに通知をされます。そのコードが今後どのように利用されるのかによっては、被害が出ることも予想をされます。
また、世帯主あてに送られてくることに、世帯構成員である個人を軽視しているという批判もありました。プライバシーや個人の尊重という視点からは、個人あてに送付すべきではなかったのかお伺いしますが、なぜ世帯単位に送ったのでしょうか、お答えください。
次に、教育委員会の機能についてお伺いをいたします。テーマは、教育委員会は機能をしているかということであります。
教育委員は、1952年には公選制でした。しかし、1956年の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の成立によって、公選制から任命制になり、戦後目指した教育行政の民主化、分権化、一般行政からの独立という3原則は後退を余儀なくさせられました。87年の臨教審答申は、教育委員会の形骸化を指摘をしています。また、98年には、教育の地方分権を進める目的で、第16期中教審答申が出され、若干自治体の権限が拡大をされていく。そういった法改正が行われました。こうした変化はあっても、教育委員会が独立した機関として、教育委員会制度本来の役割を果たし、機能しているか、疑問に思うところです。
教育基本法第10条は、教育は不当な支配に屈することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。教育行政はこの自覚のもとに教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならないとしています。こうした機能として教育委員会はあるのかどうか、その点をお伺いをしたいと思います。
まず、教育委員の活動についてお聞きをいたします。教育委員は、人格が高潔で、教育、学術、文化に関し識見を有する方々ですが、毎月の定例会のほか、日常的にはどのような活動をされているのでしょうか、お答えください。
市民の教育に対する希望や考えを直接に話し合う場などの設定をされているのでしょうか、お知らせください。
教育委員会定例会は、毎月第4水曜日に行われています。定例会は原則公開ですが、議案によっては秘密会になります。傍聴に行った市民からは、本当に知りたいことが聞けないという声が出ています。地方教育行政法第13条第6項は、教育委員会の会議は公開する。ただし、人事に関する事件、その他の事件について、これを公開しないことができると規定され、限定的に非公開が認められています。どのような議案の場合、非公開となっているのかお答えください。
また、市議会提出議案等の意見聴取にかかわる予算や条例などについては非公開となっていますが、プライバシーにかかわること以外については、政策形成の過程を透明化する視点からも、公開をしてよいのではないかと私は考えますが、その点について見解をお示しください。
定例会とあわせて開催されている懇談会はどのような役割を持っているのでしょうか、お聞かせください。
例えば、昨年の8月、懇談会では、9月に提出をする議案関連のものが議題として出されていました。これは懇談会です。通常は、議会提出にかかわる議案については、意見聴取として定例会で行われているようですが、懇談会と定例会で行うことの違いというのはどこにあるのか。これは、私はいただいた資料の中でしかわからないわけですが、お示しいただきたいと思います。
さて、近年、教育委員会でも請願の審査が頻繁に行われるようになりました。これまで行った請願は何件で、採択したもの、不採択したもののその件数や主たる内容についてお答えをしてください。
そして、採択したものについて、教育委員会はどのように対応しているのかお知らせください。
教育委員会の職務権限は多岐にわたりますが、予算については市長の権限になります。実質的な権限は市長にあり、細部にわたる教育内容や学校運営に関することは文部科学省の指導に従うという形で、形骸化が制度的にも指摘をされ、教育委員は名誉職的になっているという批判が今なお全国で言われています。教育基本法にある教育は不当な支配に屈しない、そして、教育の中立性や独立性を保持をするということも求められていますが、先ほど述べたように、現行法のもとで根本的な問題もあるわけですが、本市の教育委員会としては、教育委員会の独立性や自主性をどのように確保し、発揮してきたのかお答えをください。
以上で1回目の質問を終わります。
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