◎【40番井上睦子議員】
 それでは、まず母子家庭の支援についてお尋ねをいたします。

 長引く不況の中、生活に困窮する母子家庭の命綱である児童扶養手当がことし8月から大幅に削減されました。98年の全国母子世帯調査によれば、母子世帯は全国で94万世帯。離婚などの生別母子世帯の平均年収は、児童扶養手当を含んでも 216万円でしかありません。同年の一般世帯の平均収入 658万円の約3分の1に過ぎません。こうした収入の低い母子家庭の生活を支援するための児童扶養手当は、現在約71万世帯が受給をしています。子ども1人の場合月額4万 2,370円、これは年収 204万円の方です。あるいは一部支給としては、 360万円の年収では2万 8,350円の児童扶養手当が支給されています。母子家庭の85%が働いていますけれども、この手当によって少ない賃金で何とかやりくりしているのが実態です。しかし、厚生労働省は受給者の増加を理由に、所得57万円から1万円上がることに 1,870円の減額をし、養育費も自己申告制で80%所得に算入し、さらに減額を強いてきました。この減額に対して貸付金で対応し、激変緩和をとっています。同時に認定業務が都から市に移管をされました。来年度からは支給5年の後は半額までこの児童扶養手当が切り下げられ、それと引きかえに自治体ごとに就労支援を行う、貸付金も充実をするという改悪案が今国会で成立いたしました。児童扶養手当の予算は年額約 2,600億円。来年度は受給者の約半分の33万人が手当を削られ、来年度予算では 120億円を削減する予定だということです。こうした削減は、パートしかなく、月給約11万円、家賃6万 5,000円で暮らす母子3人が珍しくない母子家庭にとって大変大きな打撃となっています。

 本市の場合、児童扶養手当の受給者数はどのくらいいらっしゃるのか。そして今回の手当の改定によって児童扶養手当額が減額する受給者数、あるいは増加する受給者数についてお答えいただきたいと思いますし、総額の増減についてもお示しください。

 そして、今回の改悪制度が母子家庭にどのような影響を与えると市では考えておられるのかお答えいただきたいと思います。

 減額の激変緩和策として導入された貸付金の対象者数、そして今年度予算はどの程度であるのかもお示しいただきたいと思います。

 離婚した母子家庭への偏見はまだ残念ながら残っています。児童扶養手当の支給に関して、非婚の母には支給ができない、養育費をもらっていたら手当はもらえないなど、まだ間違った窓口対応が全国で後を絶たないと当事者から報告をされています。また、勝手に事実婚の疑いをかけて、不正受給と決めつける例もあります。本市の場合、児童扶養手当を受給していて、事実婚の疑いが生じた場合の基準と、本人への説明、納得の方法についてはどのように行っているのかお答えいただきたいと思います。

 また、支給に関して、異議申し立て方法と、その権利についてどのように広報しているのかお知らせください。

 次に、障害者の自立と社会参加を進める支援費制度となるためにお伺いいたします。

 福祉の基礎構造改革によって、98年の保育所の選択制の導入、2000年の介護保険制度導入と社会福祉法の成立、そして来年2003年度には障害者福祉施策の支援費制度への移行が行われます。これは戦後の社会福祉制度を支えてきた措置制度から、利用、契約制度へと大きな転換を福祉政策が遂げようとしています。しかし、一方では民間でできるものは民間でを基本とした社会福祉分野における公共サービス部門の見直しを進め、福祉の市場化、福祉サービスの民間への移譲、そして市場原理にゆだねるということが起こっています。支援費制度は、これまでの施設収容を基本とした障害者の保護政策から、障害者が自己選択、自己決定に基づいて地域の中で暮らすことを基本とした自立支援に政策を転換するということを理念としたものであります。具体的には施設生活者にとっては地域生活へ移行する支援をしていくということを理念としています。厚生労働省はパンフレットで、この新しい制度では利用者である障害のある人が事業者との対等な関係に基づき、みずからサービス提供者を自由に選択し、契約によってサービスを利用することとなります。これにより障害のある人の個人としての尊厳を重視した21世紀にふさわしい福祉サービスの利用制度となることを目指していますと説明をしています。

 この理念を実現するためには、市が主体となり、生活寮などへの地域生活の基盤を整備し、地域生活にスムーズに移行するための仕組みづくりが行われなければなりません。私はこの理念自体は評価をするものでありますけれども、行政側は支援費制度の理念をどのようにとらえ、行政の役割を認識しているのかお答えいただきたいと思います。

 支援費制度は、障害者自身がサービスを選び契約するというものですが、サービスを選ぶためには基盤が十分に整備されていなくてはなりません。基盤整備について、国は11月29日、新障害者基本計画を策定することを明らかにいたしました。地域生活の基盤整備を重点課題とし、入所施設は真に必要なものに限定するとして、明確に脱施設化を打ち出しました。その内容は、入所施設は地域の実情を踏まえて真に必要なものに限定する。障害の重度化や高齢化に対応する専門的ケアの確立を行う。施設の一層の小規模化、個室化を図るというふうに明記をいたしました。大きく障害者が地域で生活できる基盤づくりへ、脱施設化へと動き出したということが報道されています。  本市の障害者プランはこうした支援費制度が導入をされる前に策定されました。きのう、そしてきょうの答弁の中では、ほぼサービスは充足をしている。ショートステイの部分等に問題が残るということでありましたけれども、しかし、支援費制度導入以前の計画ではこの理念を実現するということは難しいのではないでしょうか。障害者プランの改定が求められると思いますが、その点についてはどのように考えておられますでしょうか。

 そして、市はサービス基盤の整備について、ほぼ充足しているととらえているようでありますけれども、具体的に国の新障害者基本計画と現行のプラン、そして現行進んでいる基盤整備の問題についての整合性はどのように図っていくのかということを明らかにしていただきたいと思います。

 支給決定は市町村が行います。障害の状況や利用の意向、生活環境などの聞き取りを経て、その内容を勘案し、支援費の支給と、利用者の負担額を決定します。支給決定の内容が障害者の意向に合い、真の自立生活が営めるか大きく左右をいたします。支給決定の際の勘案事項は、介護を行う者の状況、あるいは指定居宅支援の提供体制の整備状況を勘案することになっています。昨日も佐久間議員から強く指摘がありましたように、財政負担の軽減やサービス基盤の未整備によって障害者の希望するサービスが受けられず、家族介護に頼ってしまう危険性を私も払拭できないのであります。支給決定に当たり、この2つのことを勘案して現在のサービスよりサービス水準が下がるという可能性があるということを懸念するわけですが、こうした事態は発生するのかどうか、その点について明確にお答えいただきたいと思います。

 また、支給決定に対して利用者である障害者が異議申し立てをする場合、どのような手続が保障されているのか具体的にお示しをいただきたいと思います。

 次に、やり直しのできる社会を目指して、具体的に雇用対策についてお伺いをいたします。

 10月の完全失業率は 5.5%と、9月から 0.1ポイント上昇し、過去最悪だった昨年12月の水準に並びました。男性の失業率が 5.9%と過去最悪を更新し、雇用情勢は依然として厳しい状況です。2001年の8月の段階で若年層、これは14歳から24歳の層ですが、失業率は 9.8%、そして高卒者に占める進路の未定者の割合も 9.8%、13万人と、若年層の失業の問題も深刻になっています。これは本人が苦労するだけではなく、国の社会保障制度が大きく揺らぎ、税の減収にも深刻な問題となっています。本市でも人々の暮らしの厳しさが伝わってまいります。生保受給者の増加はそれを裏づけています。

 そこでお伺いをいたしますが、市内の失業率及び失業者数、また、若年層や高卒者の就業状況について市はどのように把握をしているのか、お知らせください。

 また、政府は緊急地域雇用特別対策を続けています。この雇用対策の効果は 5.5%と高い失業率が続いていることからも、余り効果がないように思われます。市は国の雇用対策を3ヵ年補助事業で取り組んできましたけれども、その効果についてどのように評価をしているのかお示しをいただきたいと思います。

 また、雇用対策は国の仕事として市が取り組むには限界があり、補完的、補助的役割としてしか担ってまいりませんでした。市は地域の雇用を進めるいわゆる新しい産業を振興するということからも、こうした施策を今取り組んでいるところですけれども、その効果についてお答えをいただきたいというふうに思います。  以上で1回目の質問を終わります。


◎【三宅壮三健康福祉部長】
 それでは、私の方から児童扶養手当のことにつきましてお答え申し上げます。

 まず、児童手当の受給者は、本市におきましては今年度おおむね 3,200人ぐらいいらっしゃいます。全部支給につきましては、13年度につきまして 2,514人、14年度は 1,863人と、26%の減少となっております。一方、一部支給者につきましては 475人から 1,208人と、約 2.7倍になっております。減額される方の減額幅でございますが、これは母1人子1人のモデルケースの場合には、従前一部支給で年間34万 200円を受給していたところでございますが、これが年額21万 1,200円減額の支給額は12万 9,000円となるケースが最も減額幅の大きいものであるというふうに思います。総額で見てみますと、従前の額では年額14億 6,200万円、改定後が13億 9,700万円の支給額となりますので、おおむね年額 6,500万円の減額となる試算がございます。

 それから、どのような影響を与えるかということでございますけれども、今回のこの改正につきましては、全部支給は変わりませんけれども、一部支給が一律の中で2万 8,350円出ていたというケースにつきまして、それが見直し後では4万 2,360円から1万円までの10円刻みで細かく今回は設定されたということでございます。受給者の収入が就労等によりふえた場合は、手当を加えた総収入がなだらかに増加するように手当額がきめ細かく定められたということで、現状には合っているんではないかなというふうに思っております。  それから、貸付金の対象者数でございますが、私どもでは一応今年度は 100件を見込んでおります。貸付予算額についても、母子貸付金全体の中では1億 8,000万円を見込んでおるところでございます。

 それから、事実婚につきましてお話をいただきました。この取り扱いでございますけれども、住民基本台帳上で同一の住所にある場合は生計が同一というふうなことで考えておりますので、受給者等に事情聴取を行っております。この児童扶養手当は母子のみで生計を立てている方の扶助のためにあることから、婚姻または婚姻によらない事実上の夫婦の場合は支給することができない旨説明を行い、理解をしていただいておるところでございます。

 それから、事実婚の広報でございますが、一応取り扱いの中身については広報等でも記載をして周知をしているところでございます。   


◎【和田武雄健康福祉部付参事】
 私の方から支援費制度についてお答え申し上げます。

 まず、制度の理念と行政の役割ということでございますが、支援費制度の理念は、障害を持つ方が住みなれた地域で自立した生活を送り、さまざまな活動への参加を支援することだというふうに考えております。私どもの役割としましては、障害を持つ方の自立と社会参加を促進するために、利用者本意に立った支援費の支給決定、選択できるサービスの確保、情報提供、ケアマネジメント手法による支援などであるというふうに考えております。

 それから、現行の障害者福祉計画との関係でございますが、現在の障害者福祉計画は支援費制度を想定してつくった計画ではないわけでございますが、実態といたしましては、ノーマライゼーションの理念に基づきまして、地域社会で障害者が主体的に自立した生活や社会参加を促進するための計画でございまして、基本的な部分ではそごはないというふうに考えております。数値的な整合性でございますが、現在の計画と実態は現状では私どもはおおむね計画に沿った形でいっているというふうに考えております。

 それから、勘案事項によって現行サービスが低下をするのではないかという御心配でございますが、これにつきましては、私どもはこのことによりましてサービスは低下しないというふうに考えております。

 それから、支給決定に対しましての異議の申し立てでございますが、支給申請を受けました私どもとしては、行政手続法に従いまして適正な事務処理を行うわけでございます。支援費支給に関しまして、その決定に不服がある場合は、申請者は行政不服審査法に基づきまして市町村に対して異議申し立てをする。私ども福祉事務所で決定をしたそのことについて異議があれば、市町村長に対して異議申し立てをする、こういうふうな形になろうかと思っております。   


◎【水野直哉産業振興部長】
 私の方からは雇用対策につきまして3点ほど御質問をいただきましたので、順次お答えしたいと思います。

 まず、東京都の失業率と、若年層といいますか、高校新卒者の就職状況でございますけれども、東京都の完全失業率、7月、9月の平均でございますけれども、 5.8%でございます。全国の9月の完全失業率は5ヵ月連続で 5.4%ということでございますので、全国平均よりも多少高いというような状況でございます。また、高校新卒者の就職状況でございますが、来年3月の卒業予定者でございますけれども、就職内定率につきましては、八王子公共職業安定所管内、八王子と日野の地区を含むわけでございますけれども、43.8%でございまして、全国平均では33.4%。これは10月末の状況でございます。東京都の平均が35.7%でございますので、八王子地区の内定率は高いというふうに思っているところでございます。

 次に、国の緊急地域雇用創出特別補助金の効果でございますけれども、11年から13年度までの3ヵ年での本市の雇用創出はトータルで 377名。それから14年度から16年度までは、これは16年度までですので、初年度でございますけれども、3年間で 308名を予定しております。全国規模で集計いたしますと、国のこういった制度につきましては雇用対策に一定の効果があったものと考えております。

 次に、自治体の雇用対策の役割でございますけれども、御質問者もお話しのとおり、雇用の問題につきましては国の金融経済政策全般に起因する、そんなふうに考えておりますので、一義的には国の責任というふうに考えております。しかし、一方で自治体は市民が安定した生活を送るためにその経済的な基盤を整える役割を担っております。したがいまして、地域産業の振興策や、国の雇用対策と連携した対策を実施するなど、その役割は大きいというふうに認識しているところでございます。   


◎【40番井上睦子議員】
 それでは、母子家庭の支援の問題についてまずお伺いいたします。

 先ほど、本市での児童扶養手当の削減状況が示されました。26%の全部支給の方が減少し、一部支給では 2.7倍にふえているということで、これは個々人の支給額から考えれば削減をされたわけです。決して妥当になったということではないというふうに思いますので、市の認識は私は誤っていると思います。個々の母子世帯の生活の状況についてきちんと把握されるよう求めたいと思います。

 扶養手当の削減はどのように母子世帯にかかっているかといいますと、パートの年収が 180万円の人は年額10万円、毎月手取りが11万 5,000円の人は年額6万円の削減というふうになっておりまして、決してなだらかな形で現状に合ったものになったのではないということで、認識をぜひ改めていただきたいと思います。

 母子家庭の就労状況は数年前に比べて大変悪化をしています。先ほども産業振興部長の方から御答弁がありましたように、失業率が 5.5%を維持しているということ自体から見てもわかるように、特に女性の就労は厳しいという状況が続いている中で、この児童扶養手当の削減というのはそれに追い打ちをかけているというふうに思っておりますし、新たに就業支援ということを法律はうたいましたけれども、実際に仕事が本当に確保できるかどうかわからないという状況であります。かつては現業の公務員職場として小学校や保育園の給食調理がありましたけれども、これも民間委託などによって激変をしておりますし、正規職員の道はほとんど女性にはありません。そして職業についたとしても、仕事量が大変ふえて子育てができないという状況になっています。昨年の暮れにシングルマザーズフォーラムが 183人の母子家庭に調査をしたところ、平均年収は 158万円。パートや派遣の人たちがそのうちの52%。また、失業者は14%もいるということが明らかになりました。児童扶養手当の重要性は増しているにもかかわらず削減をされたわけであります。

 さて、児童扶養手当の削減と引きかえに就労の支援を自治体がするということになりました。母子相談員も母子自立支援員と名称が変わりました。就労支援で効果が上がるなら、児童扶養手当を見直ししなくても受給者は減るはずですが、この制度のミスマッチがどうしても解せません。市は就労支援についてどのような方策を考えているのか。そして平均年収 158万円。 200万円に満たないという今の状況の中で、就労支援は緊急かつ急務な課題であります。しかし、現実は大変困難であるという状況なわけですが、これが自治体の仕事になってまいりました。市はこの就労支援についてどのような手だてをとっていくのか、具体的にお示ししていただきたいというふうに思いますし、5年後には児童扶養手当を半減させるというような内容にもなっております。一定国会審議の中でそれについては歯どめをかけるというような動きもありましたけれども、やはり大変厳しい状況の中で母子世帯への自立支援の役割が自治体の仕事になりました。そのことについて今後の見通しと、具体的な支援内容をお示しいただきたいと思います。

 次に、父子家庭の問題についてもお聞きしたいと思います。

 市はヘルパー派遣など、母子家庭だけではなく、父子家庭にもひとり親家庭の支援として行っています。児童扶養手当を母子家庭だけに出すのは男女平等の観点からもおかしいというような意見があります。私もそうだと思います。栃木県の鹿沼市は児童扶養手当と同額の支給を父子家庭にも行いました。支給対象外の父子家庭にも児童扶養手当と同額の支援をしていくということについてどのようにお考えでしょうか。ぜひともひとり親家庭の支援という立場から市の独自策としてこの支援策を実現することが必要だというふうに思いますが、そのお考えをお示しいただきたいと思います。

 次に、支援費制度の問題について伺います。

 理念と行政の役割については御答弁がございました。ぜひその理念をきちんと実行できるよう、行政の役割を果たしていただきたいというふうに思います。

 障害者プランの問題でありますけれども、現状では基盤整備ができているということであります。しかし国は脱施設、そして地域での生活というふうに大きく移行するということになってまいりました。八王子市でも先ほどお答えがあったように、施設入所者が多数いるわけでありますが、本当に支援費制度の理念である地域で暮らすことを考えるならば、本人の意向を確かめて、地域で生活できる基盤を確保しなければなりません。特に生活寮などの充実というのは急務だと思います。障害者の皆さんが具体的にこれからどのように暮らしていきたいのか、地域でどのような暮らしを営んでいきたいのかという意向調査をしっかりしていただいて、新しい障害者プランの策定の中で生かしていただきたいというふうに思いますけれども、その点についてお伺いいたします。

 そして、現行では基盤整備はほぼ整っているとするならば、支援費制度は障害者が地域の中で尊厳を持って暮らしていくという新たなより高い障害者の暮らしへと目標を定めたわけであります。しかし、基盤整備が現状のままであるとするならば、その量と質において変化がないように思われます。これは金額の支給方法が変わっただけであって、障害者の暮らしの質が変わらないとすれば、この理念はかけ声だけに終わってしまうのではないでしょうか。ぜひ理念を実現する基盤の整備というものについて考え方をお示しいただきたいと思います。

 そして、ショートステイなどは具体的に整備をしていくという課題が出されましたが、具体的には長沼の療育センターなどは支援費に移行していくのかどうか。その点についてもお答えいただきたいと思います。

 現行のサービスを低下させないということが精いっぱいだとすると、やはり支援費の制度は理念のみに終わってしまうという危険性を強く指摘をしたいと思います。

 次に、支給決定について、勘案事項をしてもサービスの減少は起こり得ないというふうにお話しになりました。ぜひ障害者を家族介護に押しつけてしまうことのないように、支給の決定について十分な注意をしていただきたいと思いますし、本人の意向を十分に尊重する、それを第一義として支給決定を行うことをお約束をしていただきたいというふうに思いますが、その点に関してのお考えをお示しください。

 さて、支給決定に対する異議申し立ては、行政不服審査法による申し立てがあるというふうに言われました。障害者本人の意向と支給決定の内容が異なった場合、複雑な行政不服審査法による手続を行わなければなりません。さまざまな障害を持った障害者自身には大変困難な手続になってまいります。支給決定やサービス内容に対する苦情解決の窓口をこうした行政不服審査法によらないでできるやり方として、苦情受付体制をつくっていただきたいというふうに思います。介護保険制度では相談窓口が充実しており、そしてまたサービス調整員や介護保険のルートの中でもその認定に対する異議申し立てのルートがしっかりしておりますけれども、この支援費制度についてはそうした行政不服審査法の複雑な手続しかありません。このことについてぜひ苦情受付体制、あるいは権利擁護と一緒になったオンブズパーソン制度を確立していただきたいというふうに思いますが、その点についてお考えをお示しいただきたいと思います。

 最後にケアマネジメントの問題です。先ほども他の議員から触れられましたけれども、障害者自身が自分らしい暮らしをしていくためには、専門的なケアマネジメントによる援助によってそれを具体化していく必要があります。介護保険ではケアマネジャーが一定の資格を持って養成され、認定されておりますけれども、障害者についてはそれが行われませんでした。これは障害者の制度が極めて複雑であること、そしてその人その人に合ったケアマネジメントをするということが大切であるにもかかわらず、ケアマネジャーの養成は大変困難であるということからの理由でありました。いわゆるケアマネジメントをする市の職員の力量が試されるわけでありますけれども、その手法を具体化していくための予算や人員の確保をぜひともしていただきたいというふうに思いますが、それへの体制についてお示しをいただきたいと思います。

 最後に雇用政策の問題についてお伺いをいたします。

 市内の失業率は全国平均よりも高いということ、あるいは高校卒業者の内定率が全国平均よりは高いということをお示しいただきました。国の雇用対策も一定の評価をされておりますけれども、しかしこの3年間継続した雇用対策の取り組みがあったとしても、一向に失業率が改善をしないというところを見ると、産業構造の転換に伴っての雇用政策というのはうまくいっていないことが明らかであります。市も市民の暮らしを守る立場から大変その役割は大きいという決意が部長からなされました。ぜひとも市も積極的にこの雇用対策に取り組んでいただきたいというふうに思うわけですが、地域で仕事とお金が循環をするというシステムをこの八王子の中でつくっていただきたいと思います。1つには新たな雇用を創出すること。そして、失業した人々に対しては職業訓練をして、新たな職につけるような支援をすることを自治体としても取り組むべきではないかというふうに思います。

 例えば、福祉や環境政策が地域の中で循環をする産業として今注目を集めています。介護保険によって福祉労働の場が拡大いたしました。私の友人たちも何人も介護保険によってケアマネジャーやヘルパーの仕事を得、働くようになりました。しかし、労働条件としてはまだまだ不十分なわけでありますけれども、これが今後拡大をするとすれば、ぜひとも雇用創出として再就職へのチャレンジ講座を組んでいただきたいというふうに思います。福祉部門では、例えば訪問リハビリの機能を持った人材が不足しているということが挙げられています。市内の看護学校や大学との共同でカリキュラムを開発して、職種転換への援助を市がするというようなこと。あるいは環境政策では、森林の再生に雇用対策の補助金が使われておりますけれども、市としても八王子市の森を守っていくための人材の育成や、その雇用の場の確保、あるいはリサイクルや自然エネルギーの産業を起こしていくこととして、市が例えば公共施設への太陽光発電に取り組むとか、ごみのリサイクルにしっかりと取り組むことによって新たな産業をつくり出していくというようなことも考えられるのではないかと思いますが、地域で仕事とお金が循環する雇用の創出と、そして失業してももう一回やり直せる社会のために、職業訓練などの機会を市としても独自のプログラムをつくっていくということについて、どのようにお考えかお示しいただきたいと思います。

 さらに、自殺者が大変出ております。3万人とも言われております。あしながおじさん、これは交通遺児の会ですけれども、今は家族が自死をした子どもたちの援助も行っています。残された子どもたちの手記を読みますと、大変な苦労と、そして自殺をしてしまったお父さんを助けられなかった子ども自身の精神的な打撃がつづられています。失業によって自信をなくし、そして長い間再就職できないと、生きる希望を失っていくという悲惨な状況が生まれています。私は職業訓練や雇用創出の場だけではなくて、こうした生きる希望を失い、自尊心を失っている失業者の皆さんにもう一度生きる希望を取り戻す、あるいは自尊心を取り戻す活動、プログラムを市として準備をしたらどうかというふうに思います。

 私は94年にデンマークへまいりました。北欧は失業率が高いわけでありますけれども、成人学校や国民学校といった教会や労働組合などが経営をする学校があります。失業期間が長くなると人間は生きる意欲を失い、人間的な価値が全くないと自己嫌悪に陥り、また一般的に勇気がなくなり、非常に大きな精神的なダメージを受ける。そのことに対して、失業者の人々に連体というキーワードの中で再度生きる喜びや他の人と共同で何かをする楽しみを感じて、そうして再就職への意欲と可能性を与えるというようなプログラムがたくさんありました。そこでは20数人ぐらいの単位で学びながら、もう一度自分自身の自信を取り戻していく。そして社会にもう一回出てチャレンジする意欲を取り戻していくということが実現をするプログラムがありました。私は、こうしたたくさんの自殺者が出るというようなことを救っていくためにも、行政としてそういった精神の苦悩を救済するためのプログラムをぜひともつくっていただきたいというふうに思います。特に男性は一家を背負うことへの息苦しさから自殺に追い込まれるということもありますけれども、これはともに家計をどのように支えるのか、役割をどのように分担をしていくのかということ、男女平等の視点でも乗り切れるというメッセージをまた送れば、男性は自殺に追い込まれなくて済むのではないかなというふうにも思います。今、深刻になっている失業と、そして自信をなくしていく人々、また最悪には自殺をしてしまう人々を何とかもう一度社会の中でやり直しができるという希望を与えるプログラムをぜひ行政としてもつくっていただきたいというふうに思いますが、そうした支援策について市はどのようにお考えか、御見解をお伺いしたいと思います。   


◎【三宅壮三健康福祉部長】
 母子家庭等の自立支援ということで、就労対策についてお尋ねいただきました。

 本市ではどのような方策をとっておるかということでございますけれども、自立支援の対策大綱というものがせんだって出されたわけですけれども、例えばその支援の中の具体的な施策といたしまして、安心して子育てできるサービスと生活の場の整備、あるいは母子家庭等の経済的自立のための就労支援、子どもの幸せを第一に考えた養育費確保、自立を支援する経済的支援体制の整備、国、地方公共団体による総合的な自立支援体制の整備というふうなことがうたわれておりまして、これは今後国の考え方、力の入れ方が大変重要だというふうに思っております。そうした中で、私どもとすれば、これは15年度からの実施を国は目指しておるということでございますので、その内容を見た中で今後検討していきたいというふうに思っております。なお、本市におきましても、平成13年度から就労の際に有利な技術の修得ということで、母子あるいは寡婦を対象にしたパソコン教室を開催しておるところでもございます。

 それから、父子家庭の手当の関係でございますけれども、父子家庭にはこの児童扶養手当は出ておりませんが、東京都において父子家庭でも受給できる児童育成手当という制度がございます。今のところ市単独での支給は考えていないところでございます。   


◎【和田武雄健康福祉部付参事 】
 私の方から支援費に関しましてお答え申し上げます。

 まず、障害者計画でございますが、これにつきましては、確かに理念実現のための基盤整備等、課題もあろうと思います。これらにつきましては、17年度に向けまして取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 次に、介護保険と同様の苦情解決の仕組みでございますが、これにつきましては、介護保険では確かに訪問ふれあい員を置き、それぞれ苦情に至る前の不満、苦情等の解決に向かっているわけでございますが、当面私どもの方としては、障害者福祉課あるいは地域生活支援センターを苦情処理の窓口として、それぞれ苦情のある方の御意向等をよくお伺いをし、解決に向けて努力をしたいというふうに考えております。

 次に、長沼の障害者療育センター、これにつきましては、移行することが前提になろうかと思いますが、検討をしているところでございます。

 それから、サービスの低下の関係でございますが、これは現在調査を始めているわけでございますが、十分な聞き取りと、公正、公平な支給決定が大切であろうというふうに考えております。

 それから、ケアマネジメントの関係でございますが、確かにケアマネジメント手法によりましてプランをつくっていくわけでございますので、この研修については十分に対応し、障害者の自立に向けた支援の促進につながるよう努力していきたいというふうに考えております。   


◎【水野直哉産業振興部長】
  私の方からは雇用対策についてお答えいたします。

 まず、新たな雇用の創出といいますか、リサイクル、環境、また介護を含む福祉、そういった分野での新たな雇用の創出、それと職業訓練といいますか、スキルアップのいわゆる職業訓練、そういった就労支援プログラムの強化についての御提案を受けたところでございますけれども、従前からも国のハローワークや都と連携しながら一定の施策を実施してきたわけでございますけれども、さらにこれを強化する必要があるんじゃないかというふうに思っておるところでございます。しかし、抜本的な雇用促進を図るためには、今回10月に地域産業振興会議から御提言がございましたそういった地域での産業振興、これがいわゆる循環といいますか、めぐり回って雇用促進を図るもとになるんじゃないかというふうに考えておりますので、地域での産業振興を図ることが抜本的な雇用対策につながるというふうに考えているところでございます。

 それから、デンマーク等で行われております失業者に対する精神的なサポート講座の提案でございますけれども、東京都の労政事務所が市内にございますけれども、そこの共催によりまして実施しております労働セミナーがございます。そういった中で実施できるかどうか、関係機関と調整しながら研究をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。   


◎【40番井上睦子議員】
母子家庭の支援の問題については、来年度のことだということで、具体的なお答えがありませんでした。しかし、児童扶養手当の削減によって母子家庭の収入は激変をしたわけです。それにあわせて就労支援策がきちんと確立されないと、ますます生活が困難に追いやられるということになります。女性がなかなか仕事が見つからないというのは、今の雇用情勢の中でもよくおわかりだというふうに思いますし、既に男女の賃金格差は大変ありますし、女性がなかなか正規労働に入れないという状況の中で、この児童扶養手当の削減と引きかえに市は大変な重荷を国から背負わされたのだというふうに思います。しかし、市の役割となったからには、ぜひ母子家庭への就労支援がきちんとできるようにやっていただきたいということを強く求めたいというふうに思います。

 次に、支援費の問題でありますけれども、市長にお伺いをしたいと思います。

 行政の役割については前の議員にも、それから昨日の佐久間議員にもお答えがございました。現行のサービス水準を低下させないということでは、支援費の理念、地域で障害者がその人らしく尊厳を持って生きていけるということの理念には到達をしないと思います。今の水準をやっと維持するということでは、理念は実現をしない。すなわちサービスの質と量が増加しなければならないということになります。その役割を行政は担っているわけですから、そのために市長はどのような努力をされるのかという決意をお示しいただきたいと思います。

 最後に雇用の問題に対してであります。

 今、競争社会、勝つ者、そして負ける者がお互いにしのぎを削って競争した結果、敗者が出るというすさまじい弱肉強食の社会になっています。しかし、負けてももう一回社会にチャレンジしてやり直せるというような気持ちと、そのチャンスがなければなりません。市役所はそういった市民をサポートする大きな役割を担っているというふうに思います。市役所はまた一方で最大の雇用を生み出す職場でもあります。市はここ数年間新規採用をストップして、若い人々の就職先としての門戸を閉ざしてまいりました。市内の失業率、東京都の失業率は全国平均よりも高く、若年層もなかなか就職先がないという中で、来年度は新規採用をすべきだというふうに思いますけれども、そのことについてどのように考えているのかお伺いいたします。

 そして、ワークシェアリングの問題であります。現在、各地の自治体でやられているのは、残業手当を振り分けて、その部分をパート労働なり何なりに振り分けるというやり方でしかありませんが、オランダで成功しているのは、均等待遇によって労働時間を分け合うという流れであります。市では例えば同等の労働条件を付して短時間公務員制度などを導入すれば、このオランダモデルに近いワークシェアリングができるのかなというふうに思います。これは法律の改正を待たなければなりませんけれども、役所が雇用の場であるという中で、こうしたワークシェアリングの考え方について市長はどのように考えているのかお伺いをいたします。

 そして、最後にこれは市はさまざまな事業を委託をしておりますけれども、この委託契約との関係についてであります。さきの厚生水道委員会では不燃物収集の委託の問題で、委託額を20%カットしたがために、受託できなかった市内企業が倒産をしたということが委員から指摘されました。財政の切り詰めが地域の雇用をつぶしているという実態であります。委託契約金額の妥当性の問題、そして市が発注する仕事が市内の産業を活性化していく。雇用の維持にもつながるという役割もあるわけでありますけれども、その点について市長はどのように考えているのか。これは不燃物のごみ収集だけの問題ではありません。印刷業者からは、大手の業者が入って大変たたかれて、金額が下がっていて、この低い金額では受けられないのだけれども、仕事がないから受けているといったような悲鳴さえも聞こえてきます。行政の財政改革を進めるということは、一方では市内業者の息の根をとめることにもなりかねません。その点の兼ね合いをどのように考えていらっしゃるのか、市内の雇用政策との問題でのお考えをお聞きしたいと思います。  以上で質問を終わります。   


◎【黒須隆一市長】
40番、井上睦子議員の私に対する質問にお答えいたします。

 まず、障害者支援費制度に対する質問でございます。移行に向けての私の決意ということでございますけれども、スムーズな制度の移行ができて、そしてサービスの質、量の低下を招かないように、適切な支援をしてまいる所存であります。

 また、雇用の問題でございますけれども、来年度の職員の新規採用についての考え方ということでございますが、行財政改革を第1に考えまして、就任以来職員採用は見送ってまいりました。平成12年度以降、新規採用試験は、保育士、保健士の資格、免許が必要な専門職だけにとどめているところでございます。厳しい経済環境を反映して新規学卒者を初めとする就職状況が大変厳しくなっていることは十分認識をいたしております。また、同時に採用しないことによる組織のデメリットということについても認識をいたしております。来年度の職員の新規採用については、行財政改革の進捗状況を考慮しながら慎重に検討をしてまいりたいと思っております。

 また、ワークシェアリングに対する考え方でございますけれども、本市におきましても効率的、効果的な運営が図られる事務事業につきましては、嘱託員や臨時職員を活用している。このことは御承知のとおりでございまして、これらも1つのワークシェアリングと言えるんじゃないでしょうか。今後も業務分析等を通しまして、効率的な行政運営が図られる業務については嘱託員や臨時職員を活用してまいりたいと、このように思っております。

 それから、最後に行財政改革と雇用対策は相矛盾するものだというふうに思うが、市長の考え方、また、今の行政改革が市内業者の息の根をとめることになっていると思うがという御質問でございますけれども、行財政改革は単に人員を削減する、あるいは経費の削減ということのみを目的としたものではないわけでありまして、当然のことながら効率性はもとより、市民すなわち納税者が納得する行政を行い、社会経済環境の変化に常に適切に対応するための活動が行財政改革であります。その中で、事務の効率化の観点から積極的にアウトソーシングしていくことや、ワークシェアリング導入による雇用の場の創出などは新たな雇用の拡大につながるものであるというふうに考えております。ですから、行財政改革と雇用対策は決して相矛盾するものではないというふうに思っております。

 また、委託の内容等が大変厳しくなっているということは、これはやはりそれだけ今は経済環境が厳しい、そしてまた、それぞれ業者の皆さんの競争が激しいということになっていると思っております。市内業者の息の根をとめるようなことがあってはならないというふうに思っておりまして、適切な指導をしてまいりたいと思います。