◎【市川潔史副議長】次は、第40番、井上睦子議員。                            
  それではまず、子どもたちを大切にする教育をといたしまして、まず第1点目に知能検査についてお伺いいたします。

 学校保健法施行規則が2002年4月に改正されまして、就学時健診で行われる知能検査は標準化された知能検査法でなくてもよくなりました。現在の文章は、適切な就学時の健康診断における知能についての検査は、適切な検査によって行うものとすることというふうに改正されました。八王子市では、1996年に知能検査が各学校一斉に標準化された検査法で実施されました。しかし、今回の法改正によって適正な検査法によるというふうに変わったわけでありますから、市教委もそれに合わせて変えてもいいと私は思うわけですけれども、従前の標準化された知能検査を市は本年も実施しています。これは学校に対して委託して実施しています。法改正によって縛られなくなりましたので、学校現場がよいと考える方法で実施すべきだと私は思います。子どもたちの状況も多様になっておりまして、標準的な知能検査法では子どもたちの実情をしっかり把握できないという現場の声も聞いておりますので、どのような方法で子どもたちの状況を見るかということについては、学校自身の判断に任せた方がよいというふうに思っているわけです。今も、施行規則が改正された後、標準化された知能検査法を採用している理由をまずお示しいただきたいと思います。

 そもそも知能検査は、その信頼性において問題を指摘する専門家も少なくありません。滝沢武久さんという人は、「知能指数」という著書の中で、知能テストを受けた子どもたちがその後大人になってどんな分野で活躍し、生活をしているかということを調べた結果、よりよい知能を持っているとみなされた者も、また、知能が最低とされた者も、社会生活の面においては余り変わらないという結果を出しています。少なくとも1回だけの知能検査の結果だけでその子どもの知能のレッテルを張るのは誤りでありまして、仮に子どもの知能を検査に十分反映させることができたとしても、その得点の高低から固定的にその子の知能をとらえて将来を予測したり、子どもたちの進路、どこの学校に進むかというような振り分けに使うことは大いに危険だということを指摘しております。今回、ことしも実施されましたけれども、知能検査がそのような信頼性においても問題が指摘される中で、今回実施された目的についてお答えいただきたいと思います。

 次に、卒業式・入学式の実施指針についてであります。

 日の丸・君が代の強制をしている通達の撤回について、他の議員からも質問がありました。私も同趣旨で質問したいと思います。この指針の中で、その他の項目で、国歌は全員が起立をし、斉唱するよう指導するというふうになっています。ここで言う全員とは、子ども、保護者、教師、そして、その卒業式や入学式に参加した他の参加者だと考えられますが、これらの参加者すべての人に憲法第19条で定められた思想・良心の自由が保障されるべきものだと私は考えています。全員に起立を強制し、歌うことを求めるのは思想・良心の自由に反しないかという点についてお伺いしたいと思います。

 思想・良心の自由とは、早稲田大学の西原博史さんの講演の中ではこのように詳しく述べられています。思想・良心の自由とは、自分の善悪の判断や論理的な考え方をする際に、どのような考え方を採用するのかについては個人が決めることであって、国家が上から決めることではないという発想からでき上がった基本的人権なのです。宗教の問題で考えるとわかりやすいと思いますが、どの神や仏を信じるか、または、何も信じないかなどのいろいろな立場がある中、国家が特定の宗教を押しつけた場合、これに反対する人々は最終的に武器を持って戦った歴史的な経験があります。宗教戦争と呼ばれるものです。思想・良心の自由も基本的にはこれと同じ方向性を持っています。自分が自分らしく生きられることを保障していこうというのが基本的な人権であり、自分で考えられる人間、自分で判断し、自分の人生に責任をとれる人間に期待していこうというものです。思想・良心とは、自分の物の考え方の基準となるものです。どういう倫理的な判断基準に基づいて考えるか、どういう思想的な考え方で世界を見るのかということは、自分自身の生き方を支えていく上でその人が決めるべきことで、他の人から押しつけられるものではないということです。これが思想・良心の自由の出発点となるのですというふうに、思想・良心の自由について的確に表現していらっしゃいます。私たちすべての人間に保障されているこの思想・良心の自由について、市教育委員会はどのようにとらえているのか、まず明確にお示しいただきたいと思います。

 次に、私は、この思想・良心の自由が子ども、保護者、教師、他の参加者すべてに保障されるものだと考えておりますけれども、それはすべての人に保障されていると市教委も認識しているのかどうか、その点についてもお示しください。

 さて、さきの他の議員の質問に対して、教師には職務命令を、そして、保護者や子ども、他の参加者には歌ってもらうよう指導するというような答弁がありました。これは、立つこと、または歌うことへの強制であり、思想・良心の自由を侵害するものだと考えますけれども、どのように考えられますか、明快にお示しください。

 次に、卒業式・入学式での日の丸・君が代の実施の目的、これは教師が良心の自由という心の痛みを伴って拒否したいというときには、職務命令で処分もあり得るという形で実施しなさいというのが東京都の、そして市の考え方かもしれませんけれども、この卒業式・入学式の実施の目的は、さきの答弁によれば、健全な愛国心や正しい愛国心を育てるというふうに聞きました。そして、起立しない、歌わない人間をつくってはいけない。こうした場合、これは教育の失敗であるという答弁もあったように記憶しております。もう一度ここのところを詳しく確認したいというふうに思いますけれども、こうした卒業式・入学式の実施指針を策定し、そして、強い決意で対策本部までつくって行う卒業式・入学式を実施する目的は、正しい愛国心や健全な愛国心を育てるための目的なのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。

 それでは、健全で正しい愛国心とは何かということについてお伺いいたします。私は、日の丸・君が代に対して、戦前の歴史から歌いたくない、揚げたくないという思想の持ち主です。しかし、地方自治の場で仕事をし、すべての人々の幸せのために働きたいと考えている人間でもあります。こうした私は、健全で正しい愛国心の持ち主だと参事は評価されるのか、あるいは、教育の失敗の結果の存在だと思われるのか、伺いたいと思います。なぜ伺うのかと言えば、健全で正しい愛国心とは何か、全く私にはわからないからであります。そして、このことをどのように答弁されるかによって、憲法19条で示された思想・良心の自由を教育委員会がどのように考えているかということが明らかになるから、お聞きしたいというふうに思います。

 次に、学校配分予算についてお伺いいたします。

 学校に配分される予算が年々減少してきております。たびたびこの議会でも学校配分予算の増額が求められております。学校現場では、清掃費が不足して、ガラスがきちんと掃除できない、あるいは、子どもたちの教育に直接かかわる教材が足りないなど、たくさんの声を聞きますし、また、校舎が大変汚れていて、修繕もままならないというような実態をあちこちの学校で目にします。そこでお伺いいたしますが、平成12年度から15年度までの学校配分予算額の推移についてお示しください。そして、学校からの配当予算の要望や修繕料はどうなっているのかもお示しください。また、物品の整備費を児童、生徒の1人当たりに換算するとどのように推移しているのか、明らかにしてください。

 教育改革アクションプランでは、特色ある学校づくりの予算配分が出ています。方向性として、学校の取り組みを支援するため、複数年度予算の仕組みの導入など、予算面の弾力性を高める一方、効果をより高めるため、意欲のある学校へ重点配分するというふうに予算配分について書いてあります。この特色ある学校づくりへの予算の重点配分とは、具体的にどのようなことを指すのか。どの程度の金額を何校に対して重点配分するというような方向であるのか。また、こうした予算の配分に差をつけることは、学校間の格差を生むのではないかと心配いたしますが、この点についてお考えをお示しください。

 次に、個々の参政権の保障の問題について伺います。

 衆議院選挙が行われました。この選挙をめぐっても市民からたくさんの御意見がありました。さきに私どもの会派の川村議員も、不在者投票所の整備なり、公正な投票という意味から質問がありましたけれども、私も重ねて投票の公正さの保障という意味でお伺いいたします。

 だれに投票するのか、だれに投票したかは個人の自由であり、秘密であります。この基本が守られなければなりません。そして、投票所は立会人や管理者がいて、こうした秘密や自由を守る役割があります。私はある方からこのようなことを聞きました。一緒に不在者投票に行こうといって行ったのだけれども、自分がだれに投票しているのか、記載を隣で見られてしまったと。記載しているところを確認されて、投票を強要されたようで不愉快だったというような声が届きました。投票の自由や秘密を守るために、投票所は万全な体制を敷かなければなりませんけれども、このような状況を市は把握しているでしょうか。そして、投票の自由や秘密をしっかり守るために、今後どのような手だてをとるのか、お伺いしたいと思います。

 不在者投票所は、投票者がとても増加して、立会人は署名をするので手いっぱいで、投票所全体が公正に行われているかどうかということはなかなか手薄な感じがしたと、ほかの不在者投票に行った有権者の方もおっしゃっていました。ぜひ投票所がきちんと公正に、そして、秘密や自由がきちんと確保されるような体制のために今後どのようにするのか、お伺いいたします。

 入場整理券についても、これは6月議会で指摘いたしました。ぜひ個々人の参政権なのだから、個人単位で郵送すべきであるということを再三申し上げております。今回も世帯主あてで来たのはおかしいとたくさんの指摘がありました。選挙管理委員会の局長は6月議会で、参政権は、基本的には個人に属するということは十分承知している。行政事務の簡素化や経費の削減は、当然時代の流れであり、このような財政下で世帯ごとの発送はやむを得ないとの答弁でありました。しかし、信書の秘密があり、原則的には世帯主に来たものはその世帯主しか開封できないのであります。そこを逸脱して投票入場券を郵送するのはやはり問題であります。個人あてに出すべきです。衆議院選挙は全額国の負担で行われますけれども、郵送費は世帯単位との規定があるのでしょうか。規定がないのであれば、個人単位も可能ではないかというふうに思いますけれども、その点どのようになっているのか、お聞かせください。そして、入場券の封入作業はどのように行っているのかも、あわせてお伺いいたします。

 次に、ごみの有料化と発生抑制についてお伺いいたします。

 ごみの有料化実施に向けて、説明会や意見交換会が始まっています。有料化の目的は、環境に対する市民の意識を高め、ごみ減量及び資源化を図ること、市民の負担の公平性を担保することと説明されています。しかし、有料化がごみ減量、資源化、発生抑制のための最善の方法であるのかという視点からまず質問いたします。

 有料化は、市民に経済的な負担をかけて、減量や資源化を誘導する政策です。具体的には、分別し、ごみを出さないことが経済的にメリットがあるという動機を利用した政策です。この考え方は、基本的に行政と市民、市民と市民の信頼や協働より、行政が減量に努力しない市民に経済的な制裁をかけるという考え方です。これは、環境保全や資源の循環、ごみ処理コストの減少といった共通の目標に向かって、行政や市民、事業者が一緒に行動するといった意気込みに欠ける発想だと考えます。三者の共通理解と目標を欠いた有料化は、次の問題点が指摘されています。不法投棄の増大、また、減量は一時的で数年後には増加に転じる傾向があること、再使用・再利用できないごみを発生させないという生産自体の変革につながらない、すなわち、生産者の責任を問うことにつながらないこと、税金の二重取りとの批判があること、負担をすればよいだろうという、指定袋による大量廃棄を生み出すことなどの問題が挙げられます。こうした問題に対してどのような検討を行い、有料化導入へと政策判断をしたのか、明らかにしてください。

 ゆめおりプランでは有料化によって、2001年度で19.8%であったものを、2012年には総資源化率40%、家庭系ごみは1人1日666グラムを500グラムと達成目標値を定めています。中長期的にはごみ減量をさらに徹底し、ごみ処理施設の規模縮小などによって経費の削減も目指すとしていますが、資源物の収集回数の拡大、一部のプラスチック収集を全市に拡大するだけで、中長期的な目標は達成できるのでしょうか。可燃ごみの組成分析では、約35%を占める生ごみのリサイクルはほとんど行われていません。プラスチックも同様です。減量、資源化が目的であれば、完全なリサイクルが達成できるよう、資源物の回収についても徹底した対策がとられなければなりませんが、今後生ごみなどの完全リサイクルにどのように取り組むのか、お答えください。

 また、戸別収集は排出者責任を明確にして、一層の減量効果を見込むと説明されています。しかし、集合住宅はもちろん、狭い道路などの住宅地は戸別収集ではできません。戸別収集での収集箇所は11万3,000ヵ所、ステーション収集では1万1,000ヵ所です。世帯の割合では、戸別が52%、集合住宅が48%となります。戸別収集のコストは、ゆめおりプランの実施計画では4億1,500万円となっています。戸別収集は全世帯の52%でしかありません。約半数の集合住宅は従来どおりのダストボックスの収集になります。サービスの公平性からも、また、使用料の公平性からも、戸別収集にこれだけの経費をかける必要はないというふうに考えますが、御見解をお聞かせください。

 以上で1回目の質問を終わります。


◎【市川潔史副議長】 学校教育部長。                   
 私の方からは、就学時健診時の知能検査と学校配当予算についてお答えいたします。

 まず、知能検査でございますけれども、法改正後なぜ標準化された知能テストを採用しているのかというお尋ねでございますが、本市におきましても14年4月の法改正に際しまして、改めて検討いたしたところでございます。全校が統一的基準によりまして実施できる、なおかつ特別な研修等を積まなくても比較的簡便にできるといった判断から、従来から使っておりました知能テストである標準化された知能検査方法が最良だと、そのように判断し、継続して実施しているところでございます。

 次に、知能検査の目的でございますが、現時点におきましては、いわゆる適正就学を行うための知的障害の発見に努めることが目的でございます。

 次に、学校配当予算でございますが、12年度から15年度までの学校配当予算の推移でございますが、学校配当予算につきましては、学校の規模に応じまして管理運営や学習活動に必要な需用費、役務費、備品購入費を学校に配分しておるところでございます。この配当予算額につきましては、近年縮小させておりまして、12年度に比べますと15年度につきましては30%強の減となっているところでございます。

 次に、修繕料につきましては、物品と施設の2つがあるわけでございますけれども、物品については10%強の減、施設については19%減というふうになっております。

 次に、学校からの増額要望でございますけれども、校長会を通じ、要望が来ております。

 次に、物品の整備費の児童、生徒1人当たりの推移でございますけれども、教育用パソコンを含む物品の整備に限定して予算を見てみますと、平成12年度の1人当たり予算額につきましては3万6,000円、13年度が2万9,000円、14年度が3万5,000円、15年度が2万8,000円となっております。

 最後に、特色予算につきまして、アクションプランで重点配分するように検討されておるがという御質問でございますけれども、市教委では各学校の基礎的な学習環境につきましては、すべての学校につきまして平等に整備するよう努めております。特色ある学校づくりにつきましては、効果のある事業について重点的に予算配分をし、その上で学校間で適度な競い合い、こういったものは学校の活性化につながります。こうしたことから、いわゆる特色ある予算につきましては市全体の教育内容の向上を考えまして、学校間の差別化といいますか、特色化を図るための差別化をしているところでございます。




◎【市川潔史副議長】 教育指導担当参事。
  市立の小中学校の卒業式及び入学式の中で、参列者全員に起立を指導するのは憲法を逸脱した行為ではないかという御質問でございます。前提といたしまして、国旗・国歌は法で定められたものでございます。その上に立って卒業式・入学式は行われておりまして、学校は教育的目的を持ってこれらを行っております。参加者にその目的にかなった行動を求めるのは当然でありまして、厳密にはすべての方に強制はできないまでも、指導という言葉を使っていることもあり、憲法に定めている思想及び良心の自由を制約するものではないと考えております。

 ただし、教職員は違います。教職員につきましては、関係の法令や上司の職務上の命令に従って教育活動をしなければならないという職務上の義務がございます。この場合は、全員がやるということは指示できると考えております。

 次に、卒業式及び入学式の目的、あるいは教育的意義のことでございますけれども、これにつきましては、学習指導要領の解説、特別活動編にも明示されているとおり、学校生活に有意義な変化や折り目をつけ、厳粛かつ清新な雰囲気の中で新しい生活の展開への動機づけを行い、学校、社会、国家など、集団への所属感を深めるということでございます。前回の答弁の中で、正しく健全な愛国心というようなことを申し上げました。当然そういったものを育てるということはその根底にあるものでございます。御質問者が個人的に国を思う心がどうかというふうなことにつきましては、ここでは簡単に申し上げられるものではないというふうに思っておりますけれども、日本人としての自覚を持って、国を大切に思い、あるいは所属感、帰属意識を育てるということは、これは教育の大切な部分ではないかなというふうに考えております。そういったものを含めまして、健全な愛国心というふうに表現したわけでございます。


◎【市川潔史副議長】選挙管理委員会事務局長。                  
 選挙に関しまして3点御質問がございました。

 まず、第1点目の衆議院選挙で、車で送迎する等ということで不在者投票に誘われ、非常に不愉快な思いをしたというようなことを承知しているかというお話でございますけれども、選管には具体的にはそういった苦情、相談はございません。なお、同一の車が何回も送り迎えしているというような話は聞いております。

 それから、2点目の不在者投票所での機密保持、あるいは監視体制はどうなっているかというお話で、お話の中にもありましたけれども、立会人が不在者投票所の場合に署名というものをやらなければならないということで、非常に混雑しております。そういった中で投票所全体の秩序の維持に当たりましては、他の従事職員が行っているということでございます。なお、昨日施行の期日前投票では、この立会人の署名が不要になります。ただし、当日投票と同じように投票管理者1名、それから、投票立会人2名を置くことが義務づけられております。したがいまして、投票監視に力を注げるようになるというふうに見ております。また、今後、従事する職員への指示徹底等で、のぞき行為あるいは投票所内での不正行為は防止したいと、そのように考えております。

 最後に、入場整理券の話でございますけれども、入場整理券の発送方法については、現行の世帯ごとにまとめて封書で発送する方法を、費用面から考えますと、変えるということは非常に難しいというふうに思っております。ただ、あて名が世帯主となっているため、お話がありましたように、家族の分がないとか、あるいは他の者が開封できないというような御意見、苦情はいただいております。この御意見、苦情を解決するため、現在あて名欄に家族全員の名を併記する等の改善策を、経費面とあわせまして検討しているところでございます。

 それから、郵送料は規定されているかというお話がございましたけれども、これは事務費の中で運用していくということで、全体の中でいろいろ経費節減を考えていかなければならないということで、このようなやり方をしております。

 それから、封入作業はどうなっているかというお話でございますけれども、住民基本台帳に基づきまして名簿及び整理券を打ち出しております。世帯ごとに封入していくということで機械的に行っておりまして、これについてお隣の世帯の分が入ってきたと、そのようなトラブルは現在のところございません。



◎【市川潔史副議長】清掃事業担当部長。                   
 ごみの有料化につきまして3点ほど御質問いただきました。

 まず、有料化導入への政策判断でございますが、地球環境問題、循環型社会の構築など、国を挙げてごみの減量を図り、地球環境へできる限り負荷をかけない取り組みが今のところなされております。本市におきましても、平成9、13年度の廃棄物減量・再利用推進審議会からの家庭ごみの有料化の答申、平成13年度の東京都市長会での有料化実施の申し合わせ、それから、二ツ塚処分場延命への早期対応の必要性、これらのことからごみの減量を目的として資源物の収集拡充、戸別収集、有料化、この3つの施策を同時に実施することを決定いたしました。

 次に、生ごみなど完全リサイクルの取り組みについてということでございますが、御質問者のおっしゃるように、ごみ減量の徹底の方策の1つとして、完全なリサイクルを実施することは必要と考えております。組成割合の高い生ごみ、プラスチックの資源化につきましては、技術的手法も、例えばメタン発酵によるガス化、それを回収いたしまして取り出した水素による燃料電池化等、いろいろございますが、現在のところいずれも実験段階の域を出ておらず、技術としての安定性を得るためにはもう少し時間を要すると考えているところでございます。今後このような技術的手法の動向を注視しつつ、本市に合った手法を見きわめていきたいと思っております。

 最後に、戸別収集に多額の費用は不要ということでございますが、戸別収集の実施は他市の実施を踏まえまして、資源物収集の拡充及び有料化とあわせて減量の1つの政策として行うものでございます。ちなみに、福生市や多摩市では、戸別収集の実施をすることで10%の減量が図られております。



◎【市川潔史副議長】第40番、井上睦子議員。                   
  それではまず、子どもたちを大切にする教育をについて2回目の質問を行います。

 知能検査については、検討したけれども標準化された知能検査が統一的で、そして、訓練も要らなくていいということで決まったということでありますけれども、子どもたちは多様化してきて、従前の知能検査法では学校現場では間に合わないといいますか、多様な子どもたちの状況は見られないということが言われておりまして、不要な知能検査だという指摘もあります。したがって、規則が改正されたわけですので、それぞれの学校で判断できる形でよいのではないかというふうに私は思います。その点はまた御検討いただきたいと思います。

 この知能検査実施の目的は、知的障害の発見であるということが言われました。このことによって適正就学への指導が入ってくるんだろうというふうに思います。しかし、このことも、先ほどから特別支援教育の問題が議論されておりますように、根本的にはインクルージョン、あるいはノーマライゼーションという考え方を受けるとすれば、知能検査自体も廃止されてもいい方向になるのではないかというふうに思います。だからこそ規則が適正な検査というふうに限定しなくなってきているのではないでしょうか。どこの学校に行こうかというふうに思う、そして、普通学級に入りたいというふうに思う保護者にとっては、この知能検査によっていつまでも苦痛が続くわけです。これからインクルージョンやノーマライゼーションの考え方によって、保護者や子ども自身のニーズに合わせて決まっていくということがあるとすれば、こうした知能検査を実施する必要が、その考え方に立てばなくなるのではないかというふうに思いますけれども、このことをどのようにお考えになるか、お聞かせください。

 次に、学校配分予算の問題ですが、年々減少してきているという答弁がありました。学校配分予算ではこの4年間でマイナス30%、物品でも10%、施設整備でマイナス19%、そして、パソコンを含めても、上下はありますけれども、今年度15年度が2万8,000円と、1人当たりの子どもに対する教育費では最低になってきているという現状があります。この4年間は黒須市政の4年間と一致するわけでありますけれども、こうした基本的な子どもたちの教育内容や学校整備をするという予算が、こういう形で削減されてきているということは、大変ゆゆしき問題だというふうに思います。各学校から要望が校長会を通じてたくさん来ているということであります。基本的な学校の教材費や教育内容に配分される、あるいは修繕される予算というのは、これ以上削減をしない、増加傾向に転じていくのだという市長部局の方の判断が必要だというふうに思いますけれども、学校予算のこれ以上の削減はしない、そして、今後は行き届いた教育環境整備のために教育予算の増額を図っていくという決意を、ぜひ市長からお示しいただきたいというふうに思います。ぜひ御答弁をお願いいたします。

 次に、日の丸・君が代の問題に移ります。思想・良心の自由の保障の問題については御答弁がありませんでした。思想・良心の自由ということを、私は西原さんの講演の内容を詳細に紹介しながら、市教委は思想・良心の自由とは何かということを明確に答えていただきたかったわけでありますけれども、そのお答えがありませんでした。思想・良心の自由という憲法に示された私たちの基本的な人権の問題について、どのようにきちんと理解しているのか明らかにしていただきたいと思います。

 さて、答弁の中で、全員には思想・良心の自由はないと。教職員にはないと。しかし、他の者にはあるというような答弁であったかというふうに思いますが、もう少し明確にしていただきたいと思います。子ども、保護者、他の参加者については、第19条の思想・良心の自由というものはきちんと保障されていると明確にお答えいただきたいと思います。そのことを明らかにしてください。そして、教師はこれがないということでありますけれども、やはり教師も人間であります。思想・良心の自由はどこにいても保障されるべきだというふうに思いますが、憲法上規定された基本的人権が学校教育のその場においてないというのはどういうことでしょうか。明らかにしてください。

 さて、日の丸・君が代の問題は、私の例を申し上げて、私が愛国心を持っているのかどうかということについては、簡単には評価できないというふうにおっしゃいました。別に評価してもらいたくありませんけれども、愛国心とはだれにも評価できないというものなんじゃないですか、逆に言えば。目に見えない心の問題です。日の丸・君が代を卒業式・入学式で実施することによって愛国心を育てる、それも健全で正しい愛国心を育てるということは、教育の目標になってはいけないことではないでしょうか。そのことは良心と思想の自由に属する問題であるからです。そこのところが教育委員会はよく理解できていないようなので、ぜひとも明らかにしていただきたいというふうに思います。私が子どもであっても、大人であっても、日の丸や君が代をどのように思うかということは自由でありまして、そのことを学校教育の場で命令によって歌いなさいとか、立ちなさいとかいうことは、決してあってはならないはずです。そのことが1999年の国旗・国歌法の中で論議があったときも、それは審議の中で明らかになった問題でありまして、そのことの尊重規定はだからこそ入っていないわけです。ただ単に日本の旗を日の丸として、歌を君が代とするというのが国旗・国歌法であって、そこをだれかによって歌いなさいとか掲揚しなさいというような強制をされる力はどこにもないわけです。そこは教育委員会は誤っているというふうに思いますので、ぜひ明確にしていただきたいというふうに考えます。

 また、仮に教師は、心が苦しくて痛んでいるけれども、その命令に従って立ちなさい、また、歌いなさいという指導をしたとすると、子どもは教師からそのことを強制されるという立場になりますね。逆に言えば、教師自身が子どもたちに対して歌いなさい、立ちなさいという強制をしていくことになります。職務命令によって処分を出すぞと教師たちをおどかしながら、日の丸や君が代を実施させていくことは、この2つの問題を含んでいるのだと私は思います。1つは、子ども自身の思想・良心の自由を教師みずからが強制する、その教師自身も自分の考え方、思い、さまざまにあるんだけれども、処分が下るという理由で服従しなければならない、そういう教師に対する強制と子どもに対する強制ということを生んでくるわけです。こうした教育現場がどうして正しいということが言えるのでしょうか。思想・良心の自由というのは、どこにいても、どんな存在であっても、私は私でありたいと思う気持ちではないでしょうか。そのことが教育現場で保障されないということは、教育現場自身が荒廃していく、崩壊していくということだというふうに思います。ぜひ、対策本部ですか、つくられて、そして力によってこの問題を実施されようとしている教育委員会の皆さんは、自分の良心もあれば他の人の良心もあるということをきちんととらえていただいて、この問題を扱っていただきたいというふうに思います。したがって、これは憲法19条が保障するすべての人の思想・良心の自由を侵害するものだからこそ、やはりこの実施指針及び通達は撤回しなければならないというふうに思いますけれども、撤回の意思を明らかにしていただきたいと思います。

 そして、教育基本法第10条をどのように理解しているかということを明らかにしていただきたいと思います。教育基本法の第10条は、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」というふうに、不当な支配に屈してはいけないというふうに書いてあります。第2項では、「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない」というふうにして、教育行政自身も教育に不当な介入をしてはいけない、教育行政が行うことは、この目的を遂行するために必要な諸条件の整備確立を目標としなければならないというふうに言っているわけです。したがって、通達や実施指針によってすべての人々の心の中に、思想の自由、良心の自由の中に踏み込んでくることは、この教育基本法の考え方からいっても誤りだと私は強く指摘したいと思います。ぜひその点について明らかにしていただきたいと思います。

 次に、ごみの有料化と発生抑制について伺います。

 有料化についての政策目標はわかりましたけれども、有料化が生み出すさまざまな問題点に対してどのように考えているのか、それを克服していくのかという答弁はございませんでした。有料化は、市民との環境に対する共通の目標を持って行うことが前提でありまして、その合意がない限りの有料化というのは大変大きな問題が発生すると思います。ごみ有料化による手数料の収入は、先ほどの議員の質疑の中では15億円だというふうに言われました。有料化導入によるコストは、ゆめおりプランでは指定袋、カレンダーの作成で6億4,700万円、資源物の収集実施団体への助成で9億4,500万円、戸別収集で4億1,500万円、計20億700万円となります。有料化を前提としても約5億円の負担増が発生いたします。負担の増大を招き、また、集合住宅に住む市民とのサービスの公平性が担保されないというのが戸別収集なわけでありますけれども、ぜひ戸別収集ではなく、有料化を前提としても従来のステーション収集でいいのではないかというふうに思います。

 有料化は市民の抵抗が多いので、戸別収集と一緒でなくては導入できないと先行市の担当者から聞いたことがあります。戸別収集で減量の効果があるというのは、有料化導入のための理由づけだとすれば、戸別収集は必要ありません。日野市の戸別収集の現場を見たとき、ステップ乗車でとても重労働、かつ危険な作業でありました。働き方としては決してよいとは思えません。ごみに責任を持つことは、ステーション収集でも十分可能であります。コストのかかる戸別収集ではなく、ステーション収集の維持についてどのようにお考えでしょうか、お答えください。

 11月24日の朝日新聞で、2020年ごみゼロ宣言をした徳島県の上勝町が紹介されました。上勝町は、ごみを34分別して、2002年度のリサイクル率は79%、全国トップクラスと評価されています。9月の町議会で「ごみゼロ宣言」をいたしました。このごみゼロ宣言というのは、ただ単に廃棄物をゼロにするということではなくて、まず一定期間にごみをゼロにするという挑戦的な目標を定めて、それぞれの地域に合った方法でごみゼロを目指す政策で、ごみに対する意識改革を促します。ごみをゼロにするということは、まず焼却をしない、生産者にクリーンプロダクション、ごみにならないものを生産するよう求めていくということ、そして、いつまでにどの程度までごみを減らすのか、具体的かつ挑戦的な目標を定めるというものです。この方策は、ゼロ・ウェイストという言い方で言われておりますけれども、日本では上勝町が一番目の宣言をした都市であります。

 有料化導入には高い目標がありません。有料化は減量の手段だとしていますけれども、有料化導入が目的になって今説明会が行われているような気がいたします。市民との合意はごみゼロに向けた合意であり、そのための方法として、手段として有料化を採用するのか、または、他の方法を採用するのかということを合意してその政策化をし、行動していくことだというふうに思いますけれども、先ほど紹介いたしました上勝町などのごみゼロの観点から、今後どのように具体的で長期的、そして挑戦的な目標、長期計画を立てていくのか。その長期計画の策定についてのお考えをお伺いいたします。

 以上で2回目の質問を終わります。


◎【市川潔史副議長】学校教育部長。                   
  私の方からは、知能検査の継続についてお答えいたします。

 現行では法規制されておりますので、継続いたすわけでございますけれども、いわゆる特別支援教育等の動き、こういった動きに伴って国の動きがどういうふうになるか、今後国の動向を見きわめて対応してまいりたいというふうに考えております。


◎【市川潔史副議長】教育指導担当参事。                   
 私の方からは、国旗・国歌の問題についてお答えいたします。

 思想及び良心の自由というのはみんなにあるのではないかと、これはおっしゃるとおり国民すべてが持っているものだと私も思っております。ただ、話がどんどん広がっていきますとなかなか難しい問題にも発展していくだろうというふうに思います。やや哲学的になってまいりますので、ここでは入学式・卒業式のことにつきましてお話を焦点化したいというふうに思っております。お答えした中で、思想及び良心の自由があるのだから、起立しなくてもいいのではないかということで、保護者はどうか、児童・生徒はどうか、教師はどうかという話がございました。教師については先ほどお答えしたとおりでございます。これは法によって決まっていることを上司の命令でやるわけですから、この場合には思想及び良心の自由の範疇とはまた違うんだろうというふうに思っております。児童につきましては、これはきちんとこうあるべきだという姿を教えるのが教育じゃないかというふうに考えておりますので、起立するように指導するということは、これは当然教育委員会としても学校に命じているところでございます。保護者につきましても、学校のそういう趣旨を御理解いただき、全員協力していただきたいという思いでございますけれども、どうしてもという場合があれば、これは強制ではないかなというふうに思っております。これは、子どもにつきましても強制と言っているわけではございませんが、それをこうあるべきだといって指導するのが教育だというふうに、この中ではとらえているわけでございます。

 また、このことが教育基本法にある不当な支配だと。これにつきましては、憲法も法ですけれども、国旗・国歌に関する法律というのも法でございます。法に従って公教育としてやっているものですから、それが不当な介入に当たるわけがないというふうに考えております。よって、このことにつきましての撤回は考えておりません。  なお、子どもたち、これを極論すればですけれども、国旗や国歌をどんなふうに感じたって子どもの自由じゃないかというように受け取れる部分があったわけでございますが、やはり自分の国を誇りに思ったり、日本人としての自覚を持ったり、日本人であることをよかったなと思ったり、日の丸を見て気持ちの上で支持する気持ちになったりということは、そうあるべき姿だというふうに私は思います。それを目指して、そういう国民にみんななってほしいと思って子どもを育てているというのが私どもの姿勢でございます。御理解いただきたいと思います。


◎【市川潔史副議長】清掃事業担当部長。                   
  2つほど御質問いただきました。

 ステーション収集の維持につきましては、いろいろ御意見をいただきました。資源化拡充及び有料化で市民の減量意識が高まることで、まず減量が図れると考えております。さらに、戸別収集によりましてより一層排出者の責任が明確となり、減量・資源化の促進が図られることによりまして、ごみの減量効果が高くなると考えております。

 最後に、ごみゼロの観点から長期計画の策定についてということでございますが、有料化の導入はごみ減量のワンステップと考えているところでございます。一層の減量を図るため、そして、ごみゼロを目指すためにも、中長期的な視点に立った計画は必要と考えております。



◎【市川潔史副議長】黒須市長。                   
 40番、井上睦子議員の私に対する質問にお答えいたします。

 学校教育予算について御質問をいただきました。学校教育予算につきましては、備品費や消耗品費など一部の予算の増減のみで一概に教育内容を論じることは適当でないというふうに考えております。苦しいときにはどの分野においても一定の我慢をするということも必要ではないでしょうか。私は、よい教育を行う基本は人、すなわち教師ではないかというふうに考えています。よい教師のもとでなくてはよい教育は不可能であります。指導力不足の教員や、あるいはM教員、わいせつ教員等がごろごろしている中でいい教育が行われるはずがないわけですから、こうしたことからこの4年間、学習活動指導補助者の配置、メンタルサポーターの派遣、特色ある学校づくりの予算化、パワーアップ研修の実施など、教育の内容に深くかかわる予算を積極的に確保してまいりました。今後もこうした考えのもと、厳しい財政状況により限られた予算の中ではありますが、創意工夫により効率的な予算の執行に努め、教育内容の充実を図ってまいりたいと考えております。


◎【市川潔史副議長】第40番、井上睦子議員。                   
 市長から答弁をいただきました。指導力不足やセクハラ教師がごろごろいるというような答弁は、極めて不謹慎だというふうに思いますので、ぜひそのことは撤回していただきたいというふうに思います。ぜひきちんとした撤回の答弁をいただきたいと思います。市の最高の長としては恥ずべき発言ではないでしょうか。

 さて、参事からの答弁でありますけれども、哲学的になるというふうにおっしゃいましたが、私たちの最高法規は憲法です。憲法に基づいてすべてを考えていけば、これはとても簡単なことで、第19条の思想・良心の自由が上位法にあるわけですから、そのことをきちんと、どの場所においても、だれにも保障されなければいけないことだというふうに思います。これは決して哲学的なことではなくて、論理的なことでありますので、頭を論理的にして今後教育基本法及び憲法を守る教育行政をしっかりと行っていただきたいというふうに強く申し上げて終わります。


◎【市川潔史副議長】黒須市長。                   
 昨晩のテレビをご覧になったかどうか、学力不足が極めて大きな問題だと。だから、ゆとり教育も改めるんだと。これについてのいろいろな議論が出ておりました。その中でも出ておりましたけれども、東京都においてもわいせつ教員が、そして免職になった教員が毎年数十人いるという問題、これでごろごろしているという表現はおかしいと思いますか。教育の世界でこういう教員が1人でも2人でもいて免職になるということ自体が問題のはずですよ。それが数十人いるということは、私は極めて大きな問題だと思います。