◎【萩生田富司議長】第40番、井上睦子議員。                            
  議員提出議案第14号、日米地位協定の抜本改正を求める意見書について、全会派からの御賛同をいただいておりますので、簡潔に提案説明を行います。

 我が国には日米安全保障条約に基づく日米地位協定によって、27都道府県にわたり134施設、約10万ヘクタールの米軍基地があります。東京都には、横田基地を初めとして8施設が所在しています。米国軍人等の法的地位や、基地の区域、管理などを定めた日米地位協定は、締結されて以来、43年間、一度も改定されていません。米軍基地周辺には多くの住民が生活していますが、米軍基地に起因する事件、事故や環境問題、軍人、軍属等による犯罪などが住民生活に大きな問題となり、人権侵害が起きています。特に全国の米軍施設面積の約75%に上る米軍基地が集中する沖縄県は、とても深刻です。

 1995年、沖縄県で起きた少女への米軍兵士3人による暴行事件は、許しがたい犯罪でしたが、地位協定によって米兵を警察は起訴前の逮捕、拘禁ができませんでした。事件後、凶悪な犯罪の場合は日米合同委員会によって、米国は好意的考慮を払うと合意されました。しかし、その後、98年に起きた女子高生ひき逃げ事件でも、起訴前の逮捕はできませんでした。こうした合意では不十分であり、すべての事案について被疑者の起訴が速やかに行われるようにする地位協定の見直しの声が高まっています。

 また、具志川市の米海兵隊キャンプ・コートニーの鉛汚染問題では、沖縄県は環境調査の立ち入りを求めましたが、地位協定で施設の管理運営権は米軍にあり、米軍の判断が優先されることを根拠として、拒否されました。環境保全については、日本の国内法を適用することなどが課題としてあります。

 ほかにも、米軍人や家族の自家用車の著しく低い自動車税率や、事件、事故の被害者に対する補償制度の確立等、たくさんの問題が指摘されています。

 沖縄県は日米地位協定の抜本的な改正を求めて、各都道府県や議会への要請を行い、東京都議会や福岡県議会などで日米地位協定の見直しに関する意見書が採択されています。国民の生活と人権を守る立場から本意見書を提案するものですが、皆様の御賛同をお願いいたしまして、提案説明を終わります。