第40番、井上睦子議員の質疑を許可します。                   
それでは、発言通告に基づきまして一般質問を行います。

 まず、教育行政についてお伺いいたします。

 学校を息苦しいと感じ、学校へ行かないことを選択する子どもたちがふえています。新年度予算では、不登校の子どもたちへの支援策として、登校支援ネットワークが教育センターを中心に整備され、2004年度開設に向けてジュニアマイスター・スクールの予算が計上されています。不登校の子どもたちに対する支援がより手厚くなることは評価されることですし、子どもたちの学びの場の選択肢が広がっていくということも、今後、子どもたちがどのように選択をするかという意味でも注目をしていきたいというふうに思っておりますが、これらの施策の基本には、不登校の子どもたちをどのように理解するのかが問われていると思います。
 かつて怠学、学ぶことを怠けるというふうに呼ばれていた不登校の子どもたちは、子ども自身に問題があるとされてきました。しかし、学校や教育全体が抱える問題としてとらえられ、フリースクールへの通学なども認められるようになってまいりました。学校へ無理に戻そうとする指導も誤りだと、理解をされるようになってまいりました。教育委員会はどのように不登校の子どもたちを理解しているのかということをまず基本的にお伺いし、不登校の子どもたちへの支援策としての基本原則をお伺いしたいと思います。

 2点目に、登校支援ネットワークについては、 600人から 700人といわれるそれぞれの子どもたちについて、ひとりひとりの子どもの状況を把握し、理解し、適切な援助が求められていると思いますが、今度、よりレベルアップをされる支援ネットワークとは、不登校の子どもたちへの支援、すなわち学校や家庭、関係機関との連携、ひとりひとりに対して充実していくということでは、どこまでできるのか、お答えいただきたいと思います。

 3点目に、ジュニアマイスター・スクールについてお伺いをいたします。

 ジュニアマイスター・スクールの特徴としては、不登校の子どもたちを対象とした習熟度別のステップ学習であるということ、小中一貫教育であるということ、自立や生きる力を育てるということ、そして相談機能を充実するということが挙げられています。今、新年度になれば、教育課程においての構造改革特区の申請をするというふうに言われております。これがどのような成果をもたらし、どのような学校として出発をするのか、極めて未知数でありますけれども、私は公立版のフリースクールというものになるのかなと思いますけれども、しかし、規制がこれまた多くありそうとも考えております。さて、ジュニアマイスター・スクールの開学の理念とは何なのか、お示しをいただきたいと思います。

 次に、学校選択制についてお伺いいたします。  来年度から、小学校では隣接校へ、中学校では市内全域から学校選択の可能性が広がってまいります。昨日も質問がありましたけれども、その答弁を聞いておりますと、高校に続いて公教育、すなわち義務教育に、教育の自由化という名のもとに競争原理が導入されてくるという印象を強くいたしました。通学区域の利便性や、あるいは学校の特色から、保護者や子どもたちが学校の情報を得て学校を選択するということは、一面、保護者による学校教育へのアクセス権の一歩として評価できますし、学校運営への参加の可能性も持っていると思います。

 しかし、ここには大きな2つの問題があると考えます。問題の1つは、選択と競争という中で、デメリットにも挙げられておりましたけれども、学校間の特色ではなくて、格差というものが広がっていきはしないかという問題です。小学校では隣接校への選択ですから、そんなに明らかに出てくるということは考えられないかもしれませんが、中学校では市内全域から選択が可能になってまいりますし、高校進学を考えて、いわゆる学力の高い学校、そうではない学校という学力間格差が出てくるのではないか。あるいは、困難を抱える子どもたちが選択できなければ、その困難を抱える子どもたちばかりを受け入れるような学校ができはしないかという不安があります。

 品川区や日野市の例でも、通学の便だけではない選択の理由というのが挙げられておりますし、学力テストの導入によって、この学力間格差が学校間格差として広がっていくという懸念はないのか。その点について教育委員会はどのように認識されておられるか、お伺いしたいと思います。

 問題点の2つ目は、結果として選択されなくなった学校が廃校されるという運命をたどるのではないかということです。昨日の答弁でも、小規模校になった場合には統廃合もあり得るというような答弁だったと思いますが、行政改革を推進する立場から、学校統廃合をさらに進めたいという意図が、学校選択制の中に教育委員会としては持っているのではないかと思います。

 足立区や日野市は、選択制導入は統廃合政策と事実上セットで明示をされております。品川区は統廃合はないというふうに打ち出していますけれども、選択制が定着した後に小規模校が存在した場合には、統廃合が打ち出されるのではないかという懸念もされています。この学校選択制による2つの問題点について、市教委はどのようにお考えか、お示しいただきたいと思います。

 次に、JR八王子駅南口再開発についてお伺いいたします。

 この問題は、長年、地元の心配事項であり、事業の成立について期待をしながらも、また心配をしながら見守っているという事業であります。昨年、前計画を断念し、住宅を中心とした新たな基本計画の見直し案が発表されました。市長も早々、この見直し案を支持をし、市民会館を再開発ビルの中につくっていくということも市の計画として出されています。3月6日には、準備組合が募集した事業協力者に大林組が決定されたとの報告がありました。

 まず、この間のJR八王子駅南口再開発の経過について、時系列的にお示しをいただきたいと思います。全計画の経過、そして断念の理由、及び今見直し案が決定をされるに至る経過をお示しいただきたいと思います。さらに、今後のスケジュールについて、準備組合と市はどのような打ち合わせをしているのか、お示しをください。

 3点目に、この間、南口再開発にかかわる市のかかわりと責任についてお伺いいたします。

 基本計画にも、そして中心市街地の活性化の中にも、南口再開発は位置づけられています。そして、この間、補助金も支出をしてまいりました。理事会には援助、指導の立場からオブザーバー参加をしているというふうに聞いています。この間、市は、市の計画の中に明示をしながらも、再開発の内容については、準備組合のことであるからということで、積極的に私ども議会あるいは住民に対して情報提供をしてこなかったのではないかというふうに私自身は思っております。そしてまた、計画の今後のことについても、市がどのような指導的な立場をとっていくのかということについても明らかにしていただきたいと思います。

 この計画については、再開発の準備組合、あるいは今後設立されるであろう組合の主体的な意思と同時に、市の主体的な意思も相まっての計画だというふうに思います。その点、明確にしていただきたいと思いますし、この間の補助金の支出、及び今後の支出額についても明らかにしてください。

 最後に、事業協力者の選定過程がどうであったのかということを、市が知り得る範囲で、また情報提供できる範囲で明らかにしていただきたいと思います。4社が応募し、大林組に選定されたということは私どもに報告がありますけれども、その間の中で、今後の南口再開発の事業が成立の見通しを持って選定をされたのかどうか、あるいは、事業協力者である大林組や、コンサルタントとして既に決定されている日建設計が、今後、再開発事業の中でどのような役割を果たしていくのかということについてもお示しいただきたいと思います。  以上で1回目の質問を終わります。


◎【寺田元信議長】 学校教育部付参事。                   
不登校について教育委員会はどのようにとらえているのかという御質問でございます。

 まず、学校に行くということは、当然前提としてあるわけでございますけれども、不登校はどの子にも起こり得ることであり、当事者への理解を深める必要があるというふうにとらえております。この不登校という状況が継続することは、本人の進路や社会的自立のためにも望ましいことではなく、学校としても、教育委員会としても支援が必要であるというふうにとらえております。

 次に、登校支援ネットワーク事業のことでございますが、この事業につきましては、この事業を通して不登校についての事例の研究を進めまして、児童、生徒の理解を深める、そのための研修、あるいは担任教師等との相談を実施いたします。また、必要に応じまして家庭への訪問等も、これまで以上に行いまして、きめの細かい指導ができるようになるというふうに考えております。

 仮称ジュニアマイスター・スクールについての御質問でございますが、これはいわゆる公立版のフリースクールかということでございますが、フリースクールとは一線を画したいというふうに考えております。あくまでも不登校の子どもを対象にした公立の学校ということで、学習指導要領の趣旨にはのっとりながら、子どもたちの特性を生かすような形で進めてまいりたい。不登校の子どもたちの支援策の一つとして、この学校を開設するということでございます。

 この学校の中では、習熟度別の学習や体験学習など、多様な教育活動を通して、子どもたちがこれまでの学習のおくれを取り戻して、また物づくり等を通しまして、根源的な自信を取り戻すというふうなことをねらいとしておりまして、最終的には、社会の中で自立できる人をつくりたいというふうに願っております。これが開学の理念でございます。

 次に、学校選択のことにつきまして、学校間格差が広がるのではないか。特に中学校ではそのような傾向が強いのではないかというふうな御質問でございますけれども、学校では、どの学校でも特色というものは生かしながらも、基本は、学習指導要領の内容は全校でもって行っていく。その上で、さまざまなところでもって学習指導要領の内容を出したところで、特色を出しながら競争していくというわけでございます。

 それによって格差というのは、基礎的、基本的な学習の部分ですので、特にそのことによってそれが広がるとは思っておりません。ただ、学校が、少しでも自分の学校の特色を出して、保護者や子どもたちに喜んでもらう学校をつくろうという競争をすることによって、評判等の面で差が出てくるということは十分考えられることで、また、そのことがあることが刺激になって、それぞれ切磋琢磨するという学校ができていくのではないのか。これが教育改革の一つではないかなというふうに考えております。


◎【寺田元信議長】  学校教育部長。                   
統廃合の問題でございますが、選択制を取り入れましても、御承知のように学区は残しますし、当然、この選択制は統廃合を目的としたものではございません。全くそういう観点でこれを取り入れるということではございませんので。ただ、結果として、当然、学校には複数学級が必要だというふうに考えておりますので、結果として、どうしてもそういった状況になり、そしてまた近くに通学できる学校があれば、これは子どもたちのためにも、当然統廃合は進めていかなければいけないということにはなるのだろうと思います。

 しかしながら、そうならないための各校の努力、そしてまた各地域のかかわりが期待されますし、また教育委員会としては、当然、各校へ支援、または指導をしていかなければいけない、このように考えております。


◎【寺田元信議長】 都市整備部長。                   
 私の方からは、JR八王子駅南口の再開発事業につきまして御答弁申し上げます。

 まず、現在に至るまでの経過でございますが、昨年の4月、準備組合理事会におきまして現都市計画の見直しを決定しております。その後、6月には、事業推進のためのより事業成立性の高い、高層住宅と市民ホールを組み入れたプランに変えて、以降、組合設立に向け、事業協力者の公募を昨年11月から行いまして、企画力、技術力、資本力に富んだ民間企業の協力を仰ぐことといたしました。そこで、去る3月6日になりますけれども、準備組合では総会を開きまして、事業協力者が株式会社大林組に決定したところでございます。  この南口再開発につきましては、再開発の調査を始めてから約20年、準備組合を設立してから12年目にしまして、将来の見通しが立った事業として私どもとしては受け取ってございます。

 昨年4月に前計画を断念した理由でございますけれども、前計画は平成12年度に都市計画変更しまして、延べ床面積8万 4,000平米、地上13階、地下2階の計画がありました。それにつきましては、計画はあったのでございますが、それを事業する事業協力者、いわゆるデベロッパーが決まっていなかったということで、残念ながらこれを断念したところでございます。

 今後のスケジュールでございますけれども、事業協力者である大林組とともに、準備組合ではことしの夏をめどに、事業性のある計画づくりを行いまして、年内に都市計画変更、年度内に組合の設立を予定しているところでございます。

 市のかかわり方でございますけれども、これはいろいろなところで御説明申し上げているとおり、組合が主体性を持って事業を行う。市は、事業につきまして基本計画及び再開発法にのっとった事業の支援を行っていくという基本的な考え方を持っております。

 それから補助金につきましては、組合運営費や各調査費の一部、例えば、駅前広場を含んでございますけれども、そういうものの調査費を補助してございます。また今後につきましても、補助金につきましては、一般的に再開発事業費のおおむねの目安としましては、約3%から5%前後の再開発費の補助金を出していくというふうに考えております。

 事業協力者の役割でございますけれども、今回の大林組は、組合設立までの間、事業性の高い事業計画をつくって都市計画変更、それから事業組合設立までの役割を担っていくというのが事業協力者の役割でございます。

 コーディネーターの役割でございますけれども、都市計画、事業計画、権利変換計画の作成、権利者調整、保留床の取得候補者、いわゆるデベロッパー等の調整、関係機関調整の協議書をつくるなど、それぞれの事業に向けてのコンサルタントを行っていただくところでございます。


◎【寺田元信議長】 第40番、井上睦子議員。                   
それでは、まず、教育行政について2回目の質問を行います。

 不登校の子どもたちについての基本的な理解としては、どの子にも起こり得ることであり、長期間学校に行かないことは望ましいことではないので、自立のための支援をするというような答弁であったというふうに思います。ぜひ子ども自身の立場に立って、さまざまな支援策を強化していただきたいと思いますが、登校支援ネットワークでは、ただ単に事例の研究ではなく、すべての子どもたちに対して手厚い支援ができるよう、それぞれの関係機関や家庭との連携を密にしていただきたいと思います。そのことによって、悩んでいる子ども自身、それから取り巻く関係者への支援が教育委員会としてきちんとできるようお願いをしたいと思いますし、すべての子どもにそのケース・カンファレンスがつくよう求めたいと思います。

 ジュニアマイスター・スクールについては、再来年度、開校になった後、提供する教育内容が子どもたちにとってどのような評価をされ、選択をされるのかということは極めて未知数でありまして、一人の子どもにとってもいい内容であることが望ましいと思いますけれども、さまざまな子どもたちの声を聞いて、その子どもたちの意見が反映できるような学校にしていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。

 学校選択制の問題でありますけれども、学校間格差という問題では、学習指導要領を基本に置いて、その上乗せ部分において出てくるかもしれない。そして、評価が分かれてくるということもあるだろうということはお認めになりました。また、それが刺激になって切磋琢磨するということで、すなわち学校選択制というのは、競争の原理を義務教育にまで持ち込んできたという明確な答弁だったと思います。

 しかし、学力の格差が出てきて、そこの学校を選択されなかった学校、選択されない学校、でもその学校に行かざるを得ない子どもたちの存在があるわけです。そういった子どもたちや保護者にとっては、また別のまなざしで社会から評価をされるという結果になりはしないでしょうか。競争原理を持ち込むことによって、いわゆる学力間格差や学校間格差ができ、いわゆる評判のよい学校と、そうではない学校、困難を抱える学校に通う子どもたちや保護者の立場になってみたときに、学校の選択制の持つむごさというものを私は想像せざるを得ないわけでありますけれども、教育委員会はそのことに対して、各学校の努力をするためにどのように支援や指導をしていくのか。その点についても明確にお示しをいただきたいと思います。

 いわゆる風評によって、親や子どもたちが選択をしないということも出てきているようであります。それぞれの学校が本当に個性を伸ばすという意味で努力をするということならわかりますけれども、競争にいわゆる勝つ、負けるということがあって、負けたというふうに評価を世間からされた場合、教育本来の持つことから遠ざかっていくという危険性を私は強く思います。その点について、学校は人々、子どもたち自身に個性を尊重し、そしてお互いが尊重し合い、平等であるということを基本的に義務教育では学び、そのことを教えることを使命にしてきたと思います。そのことの原則が、学校選択制によって否定されていくということを、私はとても強く懸念をしているわけですけれども、その点について教育委員会はどのようにお考えでしょうか。競争の結果、何が生まれるのか、勝ち残って何が生まれるのかということまでお考えになっていらっしゃるのか、伺いたいと思います。

 次に、統廃合の問題でありますけれども、統廃合を目的とした学校選択制ではないと。そうならないための努力や支援をしていくということでありました。その点についても、学校間格差とのかかわりで同じような支援や指導の内容になるかもわかりませんけれども、その点について、そうならないための支援や指導の中身というのはどんなものであるのか、明確にしていただきたいと思います。

 さて、公立小中学校は、今まで地域のコミュニティの中心として機能をしてまいりました。学校評議員制度など、地域の住民が学校の運営に参加する、そして校長に進言をすることで、地域の中の学校という役割を強く持ってきたように思いますし、そういう取り組みが進められていると思います。しかし、この学校選択制によって、特に中学校では全地域の自由選択になるわけでありますから、地域を中心とした学校という役割は薄れていくのではないかと思います。逆に、社会階層の違いに応じた学校がつくられていくということになっていきはしないかというふうに思います。

 例えば、学校を選択できる社会階層というのは、経済的にも豊かな層でありましょうし、また、学力の問題などで学校を選んでいくとすれば、現在の社会では所得と学力の差は一定関係があるというふうにもいわれている中で、社会階層の違いに応じた学校がつくられていくとすると、今後の地域と学校とのかかわりというものを見直さざるを得ないということになっていくのではないかと思います。地域コミュニティと学校という問題についてはどのようにお考えなのか、お伺いをします。

 次に、教育の自由と規制緩和の問題について、かねがね私は疑問に思っておりますので、教育長の見解をお尋ねしたいと思いますが、この間、学校選択制や、あるいは2学期制、またはさまざまな教育の改革ということで規制緩和の波があります。このことは、一定、保護者や子どもたちに選択の幅を広げるという意味、あるいは教育の自治といいますか、地方自治体が教育の問題について自主権を発揮できるという意味で評価できる面もありますけれども、基本的には、教育の内容というのは学習指導要領の内容に縛られ、特に学校現場は、人事考課制度や、校長の権限の拡大などによって、本当に教育課程の自由ということは、この間、保障されなくなってきていますし、ゆとりある時間や、教師たちが極めて忙しい時間のやりくりの中で働かざるを得ないという状況にもなってきています。

 そうした中で、特色ある学校、子どもたちひとりひとりの個性を伸ばしていく学校とはほど遠い学校現場が存在しているのではないかと思います。本当に子どもたちの力を伸ばし、その子どもたちひとりひとりに応じた生きる力をはぐくむ教育の原点が薄れているのではないかと思います。そういった教育をより保障していくためには、教師の十分な力量や人数や教育予算が必要であると思います。

 形だけの規制緩和と自由化の中で、教育現場は逆に管理強化が進み、学習内容の自由というか、特色ある学校づくりと言えば、何を学ぶかということも、子どもや保護者、教師の自由裁量の部分が拡大しなくてはならないと思いますが、そのことは学習指導要領によって極めて厳格に決まっているというこの矛盾について、私は教育自身が本来の目的を失いつつある傾向だと思います。

 教育長は、学校現場出身の教育長として、このような現状をどのようにとらえているのか。それぞれの子どもたちが持っている力を伸ばす教育というのが、こうした競争原理によって、あるいは教師の管理強化によって保障されるとは私は思いませんけれども、教育長はどのようにお考えか、お示しいただきたいと思います。

 次に、南口再開発の問題についてお伺いいたします。

 今後の展望について伺いたいと思います。基本計画の見直し案では、60階建ての住宅を中心とした内容であります。そこに商業施設などが入るという計画でありますけれども、これが事業採算性がとれるかどうかということで、今後、事業協力者との詰めがあるというふうに思いますが、私は経済不況の中で、今後、これが本当に採算性のある事業として展望が切り開けるのかどうかという点について、極めて不安であります。これは計画ができて以来、20数年間、地元の地権者の皆さんは苦労をされてきたわけで、この事業の採算性が確立しない限り、また地権者が多大なる負債や困難を背負い込むという問題を、表裏一体の問題として今の状況は抱えていると思います。そのことの判断を再開発組合自身が行うでしょうし、また市もその決断に責任ある判断をしなければならないというふうに思います。

 この間、前再開発計画が断念されるという中で、権利床の取得のオーナーが見つからなかったりとかという問題があったわけですが、今回の見直し案について、今後の展望を市はどのようにお考えなのか、そして地権者に多大の負債なり迷惑というものをかけない事業として見通しを持っているのかどうかということをお伺いしたいと思います。

 かつてフレスコ南大沢の土地信託事業のときに、○○○○前市長は、その事業の成立、成功は神のみぞ知るというふうにしてその事業を行ったわけです。今、この経済不況の中で、土地信託事業も大変な困難を抱えているわけですが、でも、これは市の責任としてこの問題を処理しなければいけない立場にありますが、再開発事業は、地権者である組合員の皆さん、組合の人たちがこの責任をとるという事業になってまいります。そのことに多大なる負担をかけないために、行政もきちんとした判断をしなければならないと思いますが、その点、どのように判断をされているのか、伺いたいと思います。

 2点目には、かつての計画の中では、東急ストアや東急レクリエーションの床の賃貸ですか、それが内定をしているというふうにもお聞きしました。3月10日の建設通信新聞では、この報道の内容では、商業施設には東急ストア、シネマコンプレックスとして東急レクリエーションが内定しているという報道があるわけですが、そのような状況なのかどうか。この報道は正しいのかどうかよくわかりませんが、どのような状況なのでしょうか。お示しをいただきたいと思います。

 そして、同じ新聞の中には、特定業務代行方式の採用を視野に入れているというふうにも書かれておりますけれども、これはどのような方式で、今後の展開はどうなっていくのか、知り得る範囲でお示しをいただきたいと思います。

 次に、市の施設が入ってくるわけでありますけれども、この再開発事業が採算がとれないとして断念をされた場合、市民会館や南口駅前広場の整備はどのようになるのかということをお示しいただきたいと思います。断念をされないで、今後、市民会館や南口駅前広場の整備を進めるとした場合、市民の意見反映や市民への説明というのはどのように行っていくのかということをお示しください。

 昨年、60階建ての構想が発表されて以来、付近の住民には新聞報道のみで、それ以降、正確なる情報というのは、何も正式には準備組合からも市からも提供されておりません。それは、その計画が本当に成立するかどうかという判断がまだできていないからだと思いますけれども、この問題は、地域の住民や八王子市全体にとっても極めて重大な問題であります。そして、事業が成立し、組合側がこの事業の展開を決断したときには、市民の意見もその中に、特に市の施設や広場の整備については意見反映をさせなければいけないことだと思います。積極的な市民の意見反映、すなわちパブリックコメントをどのような形でやっていくのか、明らかにしていただきたいと思います。

 以上で2回目の質問を終わります。


◎【寺田元信議長】 学校教育部付参事。                   
 学校間の競争原理についての御質問でございますけれども、これは勝ち負けを決めるというようなことを目的にした競争ではないんですね。基本的には、学習指導要領で示される内容というのは、どこの学校でもやった上で、特色を競い合うということなんです。この競争によっては、低い学校ができるということよりも、どの学校も高まるんだということをねらっていきたいというふうに思っております。これは特に学校だけの問題ではなくて、どのような組織であっても、どのような部門であっても、そういう競争がないところには活性化というのはないんじゃないかなというふうに考えております。

 そして、格差が低いというふうに、仮に低いというところでもって評価が出てしまった学校にはどのような支援をするのかというふうな御質問でございますが、基本的には低いという学校が出ないように、それぞれ、よさみたいなものをフォローするということでは、これまでどおり、あるいはこれまで以上に教育委員会としても指導、助言してまいりますし、また、そうならないように学校が努力するという過程に本当のよさがあるんじゃないかなというふうに考えております。

 また、特色につきましても、それぞれの学校が、自分でこのことを特色にするんだといって予算を取れるようになっておりますので、十分にそういう意味では、学校の努力は平等だというふうに考えております。

 次に、地域の学校という意識が、特に中学校では薄れるのではないかというような御質問でございますが、地域というのはどの範囲でとらえるかということもございますけれども、基本的には、それほど薄れることはないというふうに考えております。まず、八王子の学校だということで、それが例えば、少し学区から外れるところに行ったからといって、そこに地域という線引きがしてあるわけではなく、その中でもって地域の子どもを育てようという意識は、これまでと特に変わったものではないんじゃないかと。むしろ、その学校を選んで行った、この学校に選んで来てもらったということが、地域としてのきずなも強めていくのではないかなというように考えております。  また、私立ではございませんので、社会的な階層というものが起きるということも、これも特に考えてはおりません。公立学校として、どこもそういう上下という意識を持つのではなく、それぞれの違いを大切にした学校ということで支援をしてまいりたいと考えております。


◎【寺田元信議長】 都市整備部長。                   
私の方からは、南口の再開発につきまして御答弁申し上げます。

 まず展望でございますが、先ほど御答弁申し上げたとおり、南口の事業の調査を始めてから20年目にして、特定業務代行を見据えた事業協力者が決まったということは、この事業を進めていく上に大きなインパクトだと考えております。

 展望でございますけれども、今までの計画に対しまして、住宅棟、いわゆるマンションを入れ込んだということ。それから、公共施設である市民ホールを計画していること。これは、私の方も全国51ヵ所の、北海道から九州までの再開発事業を拾い出してみたんですけれども、皆さんどこでも駐車場だとか美術館、市民ホール、音楽ホール等を入れ込んだ再開発事業を行っていくというのが、それが成功の一つの秘訣ではないかというふうなことでございます。したがいまして、展望としては、現在提案させていただいていますこの計画が、事業協力者とも今後、夏に向けて、事業採算性を含めた中で計画を立てていけば、展望は開けていくというふうに考えております。

 2点目の床の内定でございますけれども、これは以前から東急レクリエーション等、東急系との覚書がございますので、その覚書は今でも生きているということでございます。

 3点目の広場でございますけれども、駅前広場は交通のターミナル、スムーズな交通処理ができる施設ということで、計画の基本となります道路法、道路交通法、平成12年施行の交通バリアフリー法、それらによりまして施設面積、配置を定めております。

 市民からの意見ということでございますけれども、都市計画事業でございますので、法的手続の中で市民の皆さんの意見を聞きながら、市民の皆さんの利便性の高い駅前広場をつくっていきたいというふうに考えております。

 市民意見ということでございますけれども、市民意見につきましては、再開発事業でございまして、どこの再開発も資金計画というのがありまして、その資金計画を立てていくのに大変苦労しているところでございます。その事業のためにも、事業に市民意見を反映させていくということは、市が入った中でも大変難しいものがございます。しかしながら、都市計画事業でございますので、法的手続の中で市民の意見を聞き、事業を進めていくというふうに考えております。

 また、地元の皆さんにつきましては、適時、必要な説明や情報提供を準備組合とともに行っていきたいというふうに考えております。今まで、昨年6月にプレス発表した以降、示させていただいていないのは、ここで決まりました事業協力者とも、夏に向けて事業性の高い計画を検討した中で、それが決まれば、当然のことながら公表していきたいというふうに考えております。


◎【寺田元信議長】 生涯学習部長。                   
 市民会館について、再開発事業が断念された場合ということで御心配をいただきましたが、南口再開発事業につきましては、事業協力者も決まった中では、今後、事業の進捗が図られるというふうに期待しておりますし、市民会館もそれに合わせて整備を進めてまいりたいというふうに考えております。

 万が一ということでございますが、市民会館整備については、基本計画の中で位置づけているところでもございますし、それに基づいて推進を図っていく、そういうふうに思っております。


◎【寺田元信議長】 成田教育長。                   
特色ある学校づくり、あるいは教育の規制緩和を進めるには、教師の裁量の自由は保障されるべきではないか、このような御質問をいただきました。

 まさに、本市が進めようとしております教育改革につきましては、特色のある学校づくり、あるいは開かれた学校づくりを通しまして、まず第一に、教師との信頼づくりが今、大切であるわけです。次には地域との連携、それから市民の参加、これのさらなる強化を考えておるわけでございます。

 そういう中にありまして、特色ある学校づくりは、ひとりひとりの教師が学習指導要領の趣旨を踏まえた上で裁量を発揮し、さまざまな教育活動を工夫していくことこそが大きな推進力となる、そのように考えております。

 学校選択制の導入や、あるいは学力調査、あるいは特色ある学校づくり等々をつくりながら、教員研修等の事業のそういうような相互の関連を図りながら、私どもは保護者あるいは市民の方から、各学校ひとつひとつが一層信頼される学校づくりをしてもらいたい、そのように考えておりますので、教育委員会といたしましては全力を挙げて当たってまいりたい、そのように考えております。


◎【寺田元信議長】 第40番、井上睦子議員。                   
 教育行政について、学校選択制の問題でありますけれども、そのようなことがないようにということで力説されましたけれども、学校選択性が導入されているイギリスでは、困難な学校から評判のよい学校に子どもたちが奪われている。そして、困難な学校は一層大きな困難を抱えていくというふうに、いわゆる優秀な生徒自身が集まる学校と、そうではない学校が存在するという結果が既にあらわれています。ということを率直に考えなければいけないのではないかというふうに思います。

 今後、どのように展開をしていくのかということはありますけれども、そういった危険性をはらんでいるということを、私は強く指摘をしたいと思いますし、そのことが子どもたちの中にさまざまな格差をもたらしていく、また社会がそのように評価をしていくということ自体が問題だろうと思います。勝つ学校、負ける学校ということが存在しないよう、教育委員会は平等な立場から各学校への支援を強めていくよう、強く求めたいと思います。社会は、勝つ組と負ける組が存在して、いい社会にはならないと思いますし、学校がそうであってはならないというふうに思います。

 同時に、特色ある学校というのは、教師がひとりひとり、自由に伸び伸びとした教育を保障されていくという中にあってこそ実現されるものでありますし、子どもたち自身に直接に接する、子どもたちと一緒に学んでいる、教育をする教師自身の声が、学校教育や、そしてその内容に生かされなければならないと思います。そのことが極めて逆流をしている状況にあるということを、強く私は指摘をしたいというふうに思います。ぜひそのことが起こらないよう、教育委員会は取り組むことが必要だと思いますし、参事の答弁にあったような形で学校間格差を生じさせない、そのような取り組みをぜひお願いしたいと思います。

 再開発の問題でありますけれども、展望が開けてきたというようなことでありましたけれども、その決断は組合であった。しかし、失敗をして、組合が困難さを背負うということのないよう、的確な判断を行政がすることを私は強く要望したいと思います。

 以上で質問を終わります。