◎【萩生田富司議長】 次は、第40番、井上睦子議員。

                   〔40番議員登壇〕                   
◎【40番井上睦子議員】 それでは、まず、1945年前後に上川町に建設された相模海軍工廠・八王子分工場の建設経過、そして、概要、安全性の問題についてお伺いしたいと思います。

 相模海軍工廠は、イペリット爆弾等の化学兵器や加工兵器の本格的な量産を目的に、海軍技術研究所の化学研究部から昇格した工廠であり、その本廠を現在の神奈川県寒川町一之宮に置くとともに、寒川町の本廠以外にも化学実験部、これは平塚でありますけれども、海軍技術研究所において工廠として稼働していました。そして、この寒川で毒ガス製造にかかわった人々は、健康被害に陥り、現在、国からの補償を受けています。

 旧日本軍の毒ガスが原因と見られる健康被害が現在相次いで発生しております。まず、ことしの3月には茨城県神栖町で井戸水から環境基準の 450倍の砒素が検出されました。付近の20人の住民にしびれや、子どもたちには言葉や運動のおくれなど、深刻な症状が出ています。分析から、旧日本軍の化学兵器の分解物質の可能性が指摘されています。  また、昨年9月には、八王子に疎開してまいりました神奈川県の寒川の相模海軍工廠跡地で、相模縦貫道路工事現場においてビールびんに入った毒ガスマスタードと催涙剤、クロロアセトフェノンが発見され、掘削作業を行っていた作業員にマスタードが付着して健康被害が生じています。

 同様に、神奈川県平塚市でも工事現場から旧日本軍の使った硫酸びんが発見され、土壌から高濃度の砒素が検出されております。そして、その工事現場での工事関係者が頭痛で入院するという被害も起きています。

 また、栃木県益子町では、小学校の校庭に埋められているという記録も出てきています。

 この毒ガスの被害は中国でも発生しており、日本政府は、1997年に発効した化学兵器禁止条約にのっとり、今、中国国内で廃棄作業に従事しております。戦後58年を経て、旧日本軍が製造した毒ガスが国内外に健康被害を与えていることに、私は大きな恐怖を覚えます。

 さて、八王子に建設された相模海軍工廠南多摩分廠について、1985年に発行された「八王子の空襲と戦災の記録」には、川口村の軍事施設として次のように記されています。川口村にあった軍事関係施設の中で最も大がかりだったのが上川口の黒沢入、現上川町の円福寺の北側に疎開した相模海軍工廠南多摩分廠である。相模海軍工廠は、太平洋戦争下、海軍の戦力増強を図るため、昭和18年5月1日に神奈川県の座間、海老名、綾瀬にまたがる地域に設立された。南多摩分廠の建設は19年ごろから始まり、20年ごろには徴用工、挺身隊員、勤労学徒による火薬の爆弾への充てん作業が行われたらしい。50坪内外の木造のバラックが38棟あり、元村長○○○○さんの織物工場を食堂にしていたらしいという。

 第3工場の主任だった○○○○さん、この方は海軍技術少佐ですけれども、疎開の概要と生活という項の中で、この南多摩分廠について次のように記している。20年3月ごろには約3分の1程度を移した。当時、川口村村長の○○○○さんが極めて強力に我々を支援し、全村挙げて、協力していただいたものであった。

 動員学徒や挺身隊の女子工員等は、寺院や民宿に分散して居住し、懸命に全員で建設に努力した。当時、米軍の空襲も多くなり、当然、不発弾等もたくさん発見されたので、それらを南多摩分廠の山の中の空き地に運び、蓄えた。これは万一の場合の兵器材料として活用することを考えていた。終戦後、分廠接収のため、約50名ぐらいの米軍が駐留していたのであるが、彼らも不発弾の山を見て驚いていたのを今でもよく思い起こすというふうに、これは当時の海軍技術少佐の○○○○さんの回想録から引用されたものです。

 そして、同時に、終戦になると、すぐ米軍がやってきて、バラックを別に建てて、火薬工廠を整理するため、1週間くらい滞在していたというふうに当時の状況を村の人たちは語っています。

 また、学徒動員で来ていた湘南中の学生であった人たちが、相模海軍工廠学徒動員の歴史を訪ねてという冊子を発行していますけれども、その中に当時の住民の言葉として、工廠は完成しませんでしたが、工場は30棟ぐらい建っていました。地下ごうも掘りましたが、10メートルぐらい掘り進んだところで敗戦になりました。戦争が終わって、進駐軍が来て、残っていた火薬をその掘りかけの地下ごうの中に集め、爆発させました。ごうの前に5間と10間の工場が建っていましたが、爆風で吹っ飛んでしまいました。地下ごうもつぶれました。昭和20年10月のことでしたというような記載がされています。

 この旧日本軍のさまざまな施設や資料については、国際法違反の毒ガスを製造していたということから、証拠隠滅のため、その基礎的資料が失われていると一般的には言われています。今、「八王子の空襲と戦災の記録」と、学徒動員の人たちの聞き取り調査の中から幾つかを紹介いたしましたけれども、市は1945年前後に旧川口村に建設された相模海軍工廠南多摩分廠の工場について、この工場の目的、工事の進捗状況、工事の稼働状況についてどのように把握しているのか、お知らせいただきたいと思います。  また、2点目に、敗戦後の処理について、先ほどの「八王子の空襲と戦災の記録」では、米軍が来て爆発させたというような記録がありましたけれども、敗戦後どのような処理がされたのか、そして、その責任者について、市としては知り得ていることがあれば、お示しいただきたいというふうに思います。

 心配されるのは、安全性の問題であります。相模海軍工廠は、広く毒ガスを製造していたことで知られています。そして、昨年からことしにかけて、毒ガスが各地で発見され、重大な健康被害をもたらしています。私は、この上川の南多摩分廠で何が製造され、貯蔵されていたのかわかりません。そして、今もそれが残っているのか、ないのか。神栖町や寒川、平塚でのあのような事態が起こらないことを強く願っておりますけれども、安全性についてはどのように確認されているのか、お答えをいただきたいと思います。

 次に、投票権を行使するためにということでお伺いいたします。

 この4月に行われました都知事選挙、市議会議員選挙については、さきに他の議員からも投票率の低さ等の問題点が指摘されました。私は、入場整理券の配布の問題と、投票所に行くことが困難な有権者のために投票の機会を保障するという2点について質問をしたいと思います。

 まず、入場整理券の配布の問題でありますけれども、都知事選挙、市議選挙では共通入場整理券が郵送を、それも世帯単位でされました。これは、他の議員の質問に対して、その理由は財政的な問題との答弁がありました。しかし、個人の参政権の保障、そして、投票を知らせるということからも、各選挙ごとの通知、また、個人単位での通知をすべきではないかと私は考えております。

 まず、共通入場整理券の問題ですが、都知事選挙、市議選挙は、投票日が異なるため、投票できる人の条件が異なってまいります。投票当日の有権者は、都知事選挙で約41万 8,700人、市議会議員選挙で41万 4,900人でございました。市議選では、約 3,800人の有権者数が減少しています。これは共通入場整理券が郵送されても、都知事選挙後、転居等した場合、投票できない有権者が約 3,800人、これはその前後の数があると思いますけれども、いることになります。八王子市議選挙の投票ができるという誤解や、不正が発生する危険性があるのではないかと考えますが、このようなトラブルは、この選挙の中で起こらなかったのかどうかお伺いいたします。

 そして、市議会議員選挙の投票日は4月27日、共通の入場整理券の郵送は3月27日前後でありました。1ヵ月も前の知らせは紛失などのトラブルを生むし、また、選挙を知らせるという機会が2回から1回となり、有権者への周知という点では不十分ではなかったかというふうに考えますが、市選管はどのようにお考えでしょうか。

 そして、入場整理券が共通ということで、市民からの問い合わせや苦情はどのようなものがあったか、お伺いいたします。

 また、共通で入場整理券を郵送することによるコスト負担の問題ですが、どの程度の削減になっているのか、お答えをいただきたいと思います。

 次に、世帯単位での郵送の問題です。選挙権は言うまでもなく、個人固有の権利であります。したがって、個人単位でこの入場整理券も取り扱うべきではないかと考えています。以前は、個人単位で郵送されていた時期もあったというふうに思いますけれども、いつから世帯単位あての郵便となったのか、お伺いしたいというふうに思います。私は、この2つの選挙を通じて、たくさんの方から個人単位で送ってほしいという意見をいただきました。世帯主あての郵便物を他の家族は開封できない。夫が入場整理券を渡さない。そして、1925年、戦前は男性のみが普通選挙権を獲得したわけですが、戦後、1946年、女性がやっと選挙権を得ることができました。やはりひとりひとり個人として確立していくためには個人単位で、そして、世帯単位で来るのは従属的であるというような気がするということを多くの方からいただきました。私は、ぜひ個人単位で郵送していただきたいというふうに思いますけれども、基本的には選挙権は個人のものでありますから個人単位で送るのが原則だというふうに考えますが、市選管はどのような考えでしょうか。

 そして、個別に郵送した場合の費用はどの程度のコスト増になるのか、お示しをいただきたいと思います。

 次に、投票機会の保障の問題についてお伺いいたします。

 これもたくさんの方からの声をいただきましたが、在宅で介護を受けている高齢者や障害者の皆さん、そして、在宅で闘病生活を送る方々は、投票する意思はあっても、投票所まで行くことがとても困難なため、投票できないという声が、今回の選挙ほど多く聞かれたことはありませんでした。市選管にはこのような実態が届いているでしょうか。そして、もし市民からの問い合わせなどがありましたら、どのような実情としてとらえているのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。

 次に、郵便による不在者投票がありますけれども、制度が利用できるのは、自分で署名ができて、身体障害者手帳を持つという、その身体障害者手帳でも、それぞれに細かく、1級、2級というような形で限定されています。そして、この郵便による不在者投票ができるのは極めて限られた人々でありますけれども、投票の意思を持ちながら、その機会が保障されていない有権者の存在について、市選管はどのような見解であるのか、お答えをいただきたいと思います。

 以上で1回目の質問を終わります。



◎【萩生田富司議長】 社会教育部長。                   
 八王子分工場の目的と工事の状況でございますが、空襲の激化などのため、昭和19年から20年に、福島県、長野県、そして当時の川口村に分廠がつくられました。学徒動員などの体験記録によれば、当時の川口村では、昭和20年6月から工場設置のための整地、道路の拡幅、材料の運搬などが行われ、作業員の泊舎、木造の工場などが建てられました。8月15日には終戦となり、工場は稼働しなかったものと伝えられております。

 次に、敗戦後の処理等でございますが、これも体験記録などによれば、終戦になりますと、軍服、日用品、食品などは地域の人や従事した方に配給され、工場の施設などは米軍が接収に訪れたとあります。また、歴史としての記録保存の作業は、郷土資料館において日常業務として、地域の方々や研究者と共同し、聞き書きなど、調査研究、保存を行っております。



◎【萩生田富司議長】 総務部長。                   
 安全性についてお答えします。

 本市では、水質汚濁防止法に基づきまして地下水の調査を市内全域を対象に計画的に行っております。平成6年、7年度に実施いたしました調査結果では、当該地域周辺の異常は見受けられなかったとの結果が出ております。



◎【萩生田富司議長】 選挙管理委員会事務局長。                   
 投票権を行使するためにということで、何点かいただいております。

 まず、今回の2つの選挙に使う投票入場整理券の配布でトラブル等はあったかというお話でございますけれども、入場整理券にも書いてありますし、封筒にも書いております。それから、広報、選挙特集号にも掲載し、投票所でもお話しさせていただいていますので、特にトラブルはなかったというふうに考えております。

 悪用の関係ですけれども、あくまでもあれは入場整理券でございまして、投票日当日、投票所で選挙人名簿とチェックしておりますので、悪用はなかったというふうに思っております。

 処分してしまったがどうかというような問い合わせはあったかというお話ですけれども、全体から見れば、先日もお話しさせていただきましたけれども、ごく一部というふうに考えております。これは昭和58年の統一地方選挙から、選挙の日程間隔が短い場合、2つを兼ねているということで、単独の選挙の場合には当然兼ねてない、そういうことでございます。


 個人あての関係でございますけれども、54年から平成9年までは個人あてで送っておりました。それ以前は世帯主あての4名連記ということでやっております。現在の封書に各個人個人の入場整理券を入れているのは平成10年の参議院選からということでございまして、これは郵送料等の削減を図ったということでございます。ちなみに、経費でございますけれども、現行方式で 1,600万円、個人あてのはがきですと、 2,100万円ぐらいになりますので、1つの選挙で 500万円ぐらい違ってくるわけです。冒頭お話がありました選挙ごとに、あるいは今御答弁しています個人あてということになりますと、ダブりますので、今回の統一地方選挙では 4,200万円になるということで、かなりの額を減額しているというふうに考えております。

 それから、投票困難者の関係でございますけれども、正確には問い合わせ等については数えておりませんけれども、二、三十程度というふうに考えております。内容は、在宅で寝たきりで、投票所に行けない。あるいは、指定施設でないけども、どうしたらいいかというような問い合わせでございました。

 郵便投票の該当者ですけれども、知事選で 239、市議選で 249、このうち投票された方は約71%前後、そういうことでございます。



◎【萩生田富司議長】 第40番、井上睦子議員。                   
 それでは、まず、相模海軍工廠のことについて、工場の概要や稼働状況、安全性の問題について答弁がございました。

 先ほど社会教育部長から、工場の目的、あるいは概要などのお話がございましたけれども、これは体験記等の記録によればということでありましたが、現存する、郷土資料館でしょうか、中心になって保存に当たっているというような答弁がありましたけれども、資料としてはどのようなものがあるのか。先ほど体験記等ということでありましたけれども、その程度であるのかどうか。旧軍関係の資料も郷土資料館としては収集しているのかどうか。その辺、今、工場の概要なり、稼働状況なり、お答えのあった根拠となる資料をお示しいただければというふうに思います。

 先ほど「八王子の空襲と戦災の記録」の中で、○○○○さんの回想記を御紹介いたしました。教育委員会が編集したのは、昭和20年3月ごろには約3分の1程度、工場としては移したというところからでありますが、その前段がございまして、南多摩分廠、出典は相模海軍工廠追想、相模海軍工廠刊行会、昭和59年に発行された資料でありますけれども、同一のものを「八王子の空襲と戦災の記録」の中にも転記してあるわけですが、削除された、記録されていない部分について補充して御紹介いたしますと、南多摩分廠として戦況が悪化するに及んで、第3工場の作業を分散させて生産を維持するため、八王子市川口町───現在地である───当時の南多摩郡川口村に疎開することに決し、同村の上川口で準備に入った。19年になると本格的に工事に着手し、地下設備や分散工場を建設しながら、20年3月ごろには約3分の1程度を移したというふうに、その前段がございます。この○○○○さんの回想記によると、地下設備や分散工場を建設したというふうになっています。また、先ほど御紹介いたしました「八王子の空襲と戦災の記録」の中にも、唐松日待帳というんでしょうか、その記載の中に、黒沢に海軍部隊が駐屯し、陸海軍物資貯蔵の横穴掘り等行わるという記載もありまして、これは同一の場所ではないかもしれませんけれども、地下ごうのようなものが掘られたのではないかと想像される記述になっています。

 この地域に地下ごうがあったのかどうかということを工場全体の概要なり、設計をつかむ上で、私は興味を持ったわけですけれども、国土交通省は、94年から95年にかけて、初めて全国での特殊地下ごうの実態調査を行っています。2001年には補足調査をしています。この実態調査は、陥没など、危険とされる防空ごうを押し戻すためのものでありました。八王子でも、浅川地下壕の問題もあり、この地下ごう調査を行っているのではないかというふうに思いますが、この全国で行われた地下ごう調査のとき、旧相模海軍工廠南多摩工場跡地付近及び近隣での地下ごう調査などは行われたのかどうか、そして、それは確認しているのかどうか、その辺について記録があればお示しをいただきたいというふうに思います。

 次に、安全性の問題についてであります。水質検査の結果をお示しいただいて、水質検査からは安全であるというようなことが言われました。水質検査だけではなく、ぜひ土壌検査からも安全性を確認していただきたいというふうに私は思っています。

 被害が起きた神栖町などでは、先ほど御紹介いたしましたように、人体に対して大変な健康被害が起きており、これは将来にわたって完治できるかどうかわからないというふうにも専門家から指摘をされています。こうしたことが起こらないように、万全を期して、土壌調査も行ってほしいというふうに私は考えているわけですが、調査の必要性をどのように認識しているか、お伺いいたします。

 環境省は、相次ぐ昨年からことしにかけての毒ガスの被害を受けて、毒ガスの全国調査を開始するとしています。国は、1973年に旧日本軍が製造した化学兵器について調査をしています。しかし、報告書では、敗戦時に大量のびらん剤やくしゃみ剤などの毒ガスが日本国内18ヵ所の軍施設で保管され、大半は翌年までに海洋投棄されたとしています。しかし、この報告書には、神栖町に関する記載はなく、寒川町も危険予測材料なしとされていました。18ヵ所以外で毒ガスが埋まっている可能性は、残念ながら否定できません。保管や廃棄状況、健康に対する被害の有無について環境省が全都道府県を対象に調査を始めるということは、私は、当然であり、八王子としてもこれに沿って調査をすべきだというふうに考えています。環境省の調査の状況について、八王子市には何らかの資料提供なり、あるいは問い合わせなりということが来ているのかどうか、その状況についてお知らせをいただきたいと思います。

 次に、投票権を行使するためにということで、入場整理券の問題について先ほどから御答弁をいただきました。個々の選挙で郵送すること、そして、個人単位で郵送することは 4,200万円もの財政負担だというふうに言われましたが、都知事選挙は都の負担でありますので、市の負担は市議選だけの 2,100万円ということで理解しますけれども、それでいいのでしょうか。事務局長のお答えは違っているように思いますが、その点間違いであれば、訂正していただきたいと思います。

 入場整理券でのトラブルなり苦情なりはそんなになかったということで、悪用などもなかったと思いますというような答弁で、断定的ではありませんでした。

 実は、いろいろな人々の有権者の声をつかんでないのかなとも思うわけでありますけれども、私は、個人単位、そして、個々の選挙をしっかりと市民に知らせるということは、市民にわかりやすく混乱のない方法で選挙が行われること、そして、参政権は個人の固有の権利であることを、これはしっかりと、民主主義のコストとして負担すべきだと考えています。費用の問題から言えば、今、即日開票でありますけれども、翌日開票にして、この人件費を削減することによって郵送費に回すことなど、基本的な考え方として選挙の何に重点を置いていくのかということを考えなければならないのではないでしょうか。この点について、例えば即日開票を翌日開票にして費用の削減をし、逆に、郵送費に充てていくというような方法についてはどのようにお考えでしょうか。

 投票の機会の保障の問題について御答弁をいただきました。寝たきりの高齢者などから問い合わせがあったということでありますけれども、日弁連は、ことしの2月21日に、投票の機会の保障を求める意見書というものを出しています。これはALS患者の投票の機会を求める裁判、あるいは引きこもりの人たちの裁判を経て意見書が出ているわけでありますけれども、意見書の内容は、選挙権は最も基本的な権利であるとしています。そして、その基本的な権利が公選法の具体的な選挙制度によって規制される結果、選挙人資格がありながら投票できない状況に置かれている人が多数生み出されていると指摘をし、井上英夫金沢大学教授の試算によれば、全国で 300万人の人たちが投票の機会を奪われているということを紹介しています。

 現行の投票制度では、選挙人が選挙の当日、みずから投票所に行き、候補者の氏名ないし記号等をみずから記載することにより投票することが原則とされています。その例外として不在者投票制度と代理投票制度がありますけれども、不在者投票制度としての郵便制度は、利用できる選挙人の範囲が一定の身体障害者手帳や戦傷病者手帳の被交付者に限られている結果、高齢者や障害者で寝たきり状態になった人や、自閉症などで引きこもり状態を持つ人は投票することができない。さらに、郵便投票にあっては、事前手続に自書が必要とされているため、寝たきり状態にある点字使用者やALS患者のうち自書できない患者は投票することができない。また、代理投票においては、補助者が投票管理者により定められているため、手話でコミュニケーションする人たちは代理投票を十分に活用できず、危険を誘発するというふうにしています。

 この解決のためには、郵便投票の対象の拡大、あるいは代理投票の創設や点字投票、あるいは巡回投票の新設によって、この投票の意思があっても投票の機会を奪われている人たちに対するきちんとした法制度の改正をこの意見書は求めているわけであります。市としても、市民の参政権を保障する立場から、こうした法改正についての働きかけをしていくべきだというふうに考えますけれども、どのような御見解をお持ちでしょうか。市民から、寝たきりで投票に行きたくても行けないという訴えをどのように受けとめて、市はどのように行動しているのか、お示しいただきたいと思います。

 以上で2回目の質問を終わります。



◎【萩生田富司議長】 社会教育部長。                   
 体験記録などの御質問でございますけれども、あくまでも住民からの聞き取り調査や体験記録でございまして、資料館に米軍の記録はございません。



◎【萩生田富司議長】 総務部長。                   
 地下ごうについてお答えいたします。

 記録によりますと、工場のあった場所から2キロほど西の場所に防空ごうがありまして、その中に旧陸軍の被服関係物資が保管されていたという記載があります。本市としてもその範囲内で承知しておりますが、確認はしておりません。

 また、以前行われました国の地下ごうの調査は、ここは実施されておりません。



◎【萩生田富司議長】 環境部長。                   
 水質と土壌調査を行うべきとの質問でございますけれども、茨城県の神栖町で新たに行われた水質調査につきましては高濃度の砒素が検出された井戸について、より詳細に形態別調査を行っていると聞いております。本市の調査では、人の健康を保護する項目として、砒素を含む25物質について調査を実施しておりまして、すべての項目で環境基準を達成しております。今後、さらに調査を実施する必要があるかにつきましては、国や都と連携しながら対応が必要と考えております。

 それと、環境省から全国調査を行う連絡があったか、また、市はどのように関与していくのかという御質問ですけれども、現在、都には説明会の連絡が来ているようですけれども、本市にはまだ来ておりません。市の関与につきましては、今後都を通じまして情報収集を行いたいと考えております。



◎【萩生田富司議長】 選挙管理委員会事務局長。                   
 まず、経費の関係でありますけれども、都知事選で兼ねていますので、市負担というのはほとんどそちら側でやっておりますので、市議選のときに資格があった方だけ、市が負担している、そういうことでございますので、ぜひとも御理解いただきたいと思います。

 それから、即日開票を翌日にというお話ですけれども、私どもの方も、その方が経費面から考えますと当然安くなるわけですけれども、ただ、統一地方選挙ということで、八王子単独に翌日というわけにもいきませんので、その辺はぜひとも御理解いただきたいと思います。また、国の考え方は、できるだけ早く開票を終わらせろということ、できるだけ当日にやれということでございますので、ぜひとも……。ただ、実施部隊とすれば、翌日の方がいいというふうに考えています。

 それから、投票できない方の市の対応の問題でございますけれども、これは公選法の関係で、八王子市単独でどうのこうのということはできません。市あるいは区町村、それぞれのレベルで選挙管理委員会連合会というのがございまして、それが都道府県段階の連合会になり、全国選挙管理委員会連合会という大きな組織になりますけれども、それが下部組織から上がってきた要望を取りまとめまして、高齢化により投票所で投票できない方への機会を何とか与えるような要望書は出しております。私ども単独でやっても効果がございませんので、そういう連合会を通じまして国の方に要請している、そういうことでございます。



◎【萩生田富司議長】 第40番、井上睦子議員。                   
 まず、選挙の関係ですけれども、 4,200万円なのか、 2,100万円なのか、明確に御答弁いただきたいと思うんですが、御理解をいただきたいと言っても、理由が示されないと理解はできません。都知事選挙の郵送料は都が全額負担ですね。そうすると、市議選でかかる郵送料というのは具体的に幾らになるのかということをお示しいただければいいと思います。

 そして、私は、世帯単位ではなく、個人単位で郵送すべきだというふうに思っています。これは、費用の負担の問題がなければ、原則個人単位でやるのが最善だというふうに市選管は判断しているのかどうか。そこを明確にお答えいただきたいと思います。

 そして、翌日開票と即日開票のことですけれども、全国一斉に行われる選挙、あるいは他の市町村と足並みをそろえなければいけない選挙についてはあろうかというふうに思いますが、市議選なり、例えば市長選などは翌日開票でも構わないんじゃないかなというふうに私は思うわけですが、市長も何かそのような発言が先ほどあったような気がいたしますが、どのようにその辺も考えながら、コスト削減を、基本的な選挙としてやらなければいけないことを、どこを優先するかという意味において、先ほど私は民主主義のコストというふうに申し上げましたけれども、その辺はぜひ再考していただきたいというふうに思います。

 そして、相模海軍工廠の問題であります。環境省の全国調査は始まったばかりのようでありまして、東京都には連絡が来ているけれども、八王子市にはまだ連絡が来ていないということでありました。情報収集をしながら、今後どのように対応するかということは考えていくということでありますけれども、ぜひ積極的にこの調査を行っていただきたいというふうに考えております。いたずらに市民の不安をあおることは慎まなければなりません。そのために、市は事実を十分に調査して、根拠と責任のある安全宣言を出すことが必要だというふうに思います。そういった決意を持っているのかどうか、明確にしていただきたいというふうに思います。安全宣言をするためにはその根拠となるものがなければならないわけですし、これは調査が絶対に必要だというふうに思います。

 加えて、2回目の質問のときには土壌調査の問題については御答弁がありませんでしたけれども、その点についてもお答えをいただきたいというふうに思います。

 八王子にあった相模海軍工廠の南多摩分廠の実像はまだまだ明らかになりません。市としても米軍の資料なり、旧日本軍の資料なりは持ってなく、聞き取り調査とか、体験記といったようなものからの報告でありました。寒川町は、93年、95年、97年の町史研究で、相模海軍工廠の実像について、学徒動員の人々や毒ガス製造にかかわった人たちの証言を集めて解明する努力を続けています。しかし、海軍工廠の相模分廠という実態について、その時期や組織、業務を確定し得る資料はまだ集まっていない、不明なことばかりである。だが、この空白を埋める作業は当分続けなければならないだろうというふうに寒川町史95年の資料の中では明言をしています。八王子市としても、現代史として、そして、郷土史を掘り起こしていく視点からも、浅川地下壕などとあわせて、この南多摩分廠についてもきちんとした調査が必要であるというふうに思います。この問題に郷土資料館を中心に、今後どのような取り組みをしていくのか、お伺いしたいというふうに思います。

 「八王子の空襲と戦災の記録」は、市民からの要求によって編さんされました。その監修の言葉に、戦争の与えた意味について深く探ることに努めたと。現代の戦争は総力戦であって、戦場と後方、軍隊と一般国民という区別を許さない。本書はそうした状況に答えようとする試みでもあるとして、この記録を若い世代に引き継ぎながら平和のための努力をしていきたいというのが、この記録の全巻を通じての編集者の意思であったというふうに思います。安全性の問題についても、事実の解明についても、戦争直後の旧日本軍の状況がはっきりしない点があるわけです。行政機関だけでなく、当時を知る地元住民や研究者からの協力を得るのが大きな、そして、大切なことだというふうに思っています。神栖町や寒川、あるいは平塚に続いて新たな被害を防ぐためには、詳細に調べていく時期であるというふうに思いますけれども、この安全性の問題、あるいは歴史的な事実の掘り起こしの調査について、市はどのような決意を持って取り組んでいくのか、お伺いして、質問を終わります。



◎【萩生田富司議長】 選挙管理委員会事務局長。                   
◎【小牧喬明選挙管理委員会事務局長】 入場券の経費の関係ですけれども、まず1つの選挙で、八王子のやり方の封書で複数の入場券を入れた場合では 1,600万円かかります。それから、個人あてで封書にしますと 3,000万円かかります。個人あてのはがきで送った場合には 2,100万円ということになります。これは作成費と郵送料込みでそういった格好になります。大変申しわけございませんでしたが、今回の封書で出した経費は全部東京都の方で持ってもらったという話をしました、大変失礼いたしましたけれども、按分ということで、半分ということになりますので、八王子のやり方ですと市が 800万円、都が 800万円、大枠ではそういう格好になります。

 それから、個人あてに出す市選管の考え方ということでいろいろ御教示いただきましたけれども、私どもの方も参政権は基本的には個人に属するということは十分承知しております。ただ、一方、行政事務の簡素化、あるいは経費の削減というのも当然時代の流れでございますので、その辺のところ、十分注意を喚起しながら発送しております。このような財政状況下での世帯ごとの発送はやむを得ないものというふうに考えております。



◎【萩生田富司議長】 社会教育部長。                   
 資料の収集についてでございますけれども、教育委員会としましては、従前より戦災資料などの収集記録、保存、普及活動に努めてまいりましたが、今後とも、研究者と連携し、米軍資料を確認したり、市民と協力して、資料収集に努めてまいりたいと思っています。



◎【萩生田富司議長】 環境部長。                   
◎【小峯俊男環境部長】 土壌調査の実施の必要性につきましても、水質調査同様に、今後、国、都と連携をとりながら、対応が必要と考えたときには実施してまいりたいと考えております。

 また、今回、国が行おうとしている調査がどのようなものかは、現段階でははっきりしておりませんので、市民が安心して暮らすために必要な情報収集に努めまして、今後適切な対応をしていきたいと考えております。