◎【萩生田富司議長】 第40番、井上睦子議員。

                   〔40番議員登壇〕                   
 それでは、ネット・社民を代表して、上程されております各議案に対して代表質疑を行います。

 まず、第54号議案、八王子市一般会計補正予算(第1号)及び第56号議案、八王子市組織条例の一部を改正する条例設定について及び第61号議案、八王子市手数料条例の一部を改正する条例設定についてお伺いいたします。

 まず最初に、組織条例の改正の問題についてであります。ゆめおりプランを実行するための全面的な組織改正として提案されました。私の第一印象は、黒須市長の新しい家ができたという感想を持ちました。それは、市長が常に政策的なテーマとして挙げている生活の安全であるとか、子どもの育成であるとか、生涯スポーツといった意味で、その名称からも強いメッセージ性のあるものだと思います。このことが組織の改正にとっていいのかどうかということは幾つかの問題がありますけれども、首長が変わることによって組織も変わるということを、2回の大きな組織改正を経験しておりますので、率直な感想として申し上げたいと思います。

 まず、地方主権の改正の視点として、地方主権の確立に向けた政策主導型市政の展開及び成熟社会における都市経営の視点を持った行政運営ということは、経済が縮小していく、また右肩上がりの経済成長ができない、あるいは少子社会ということで、これからは人口減少に入っていくという中で、極めて知恵を使った行政経営をしていかなければいけない時代の中で、こうした視点を持った行政の展開ということは一面評価をしたいと思います。この中には問題もあると思いますが、まず、地方主権や成熟社会において、このような政策主導展開の市政をしていくためには、人材の育成なり潜在的な市職員の能力、あるいは地域の力というものを活用していかなければなりません。この組織、あるいはゆめおりプランが実効性を持つために、この組織条例、組織改正の中では人材が育つ、あるいは政策主導型の展開ができるという組織機構について、どのような重点的な取り組みが配慮されたのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

 環境部であるとか、子ども家庭部などに政策課というのが配置をされ、各部から総合政策部に政策が上がっていく中で政策が形成されていくようなシステムになるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。この点が実行されれば、より職員の能力を生かした有意義な組織展開ができていけるのではないかという期待を持っておりますけれども、その点についてお答えをいただきたいと思います。

 次に、都市経営の視点を持ったという問題で、先ほどの議員からも問題点が指摘をされました。この間の行財政改革や財政再建の取り組みの中で、福祉の切り捨てというのが行われたわけです。このことについては、市民からも請願が出されました。市長は、株式会社八王子市というふうに言いまして、民間経営の視点から都市経営を行うということが就任以降行われてまいりました。そのことは、影の部分をもたらしているということもきちんと認識しなければならないと思います。

 私は、地方自治体というのは株式会社ではなくて、すべての住民の利益、あるいは幸福を図っていくためにどのように努力していくのかという基本的な視点に立たなければならないと思います。したがって、都市経営という民間的な視点というのはなじまないのではないか。非効率的な部分も公の責任として負わなければならないことがあると思いますが、この都市経営の視点という意味では、どのような観点からこれを使っていらっしゃるのか。弱い者にしわ寄せがいくというような政治は展開しないという決意をお示しいただきたいと思います。

 次に、各部各課の名称についてお伺いをしたいと思います。

 まず最初に、市民活動推進部についてであります。

 これはかつて生涯学習部、あるいはそれ以前は生活文化部という部署が担ってきた国際化の問題や男女平等行政、あるいは市民活動の部分でありました。この新しい行政的な役割を果たす市民との協働の部分について、名称としても変化をしてきたと思います。私は、市民との協働が市民と行政との対等な関係であるならば、市民活動推進部ということではなくて、市民協働部であるとかという形で名称も工夫をされるべきではなかったかと思います。推進部というのは、いかにも行政が市民活動を推進するという、対等なイメージとしては伝わってまいりません。この推進部という意味合い、どのように考えてつけられたのでしょうか、伺います。

 市民活動推進部の中には、男女共同参画に関することが所掌事務として入ってまいりました。男女共同参画課が新たに設置をされるということについては、かつてよりの前進として評価したいと思いますが、前の組織改正のときにも市民団体から請願がございまして、男女平等に関することは政策の中心的な部分に位置づけるようにということで、かつては企画政策部に位置づけてほしいというような請願が出た経過がございます。私はやはり、政策の中枢部としては総合政策部に男女共同参画課というものも位置づけながら、すべての政策に男女平等の視点を持っていくというのが妥当ではないかと思いますが、市民活動推進部という市民活動の一角の中に男女平等行政を位置づけた意味について、お答えをいただきたいと思います。

 次に、生活安全部の問題についてであります。

 これも先ほどの議員から指摘がございました。安全、安心条例の問題などで、市民生活への取り締まりや監視が強化されるのではないかという懸念が表明されましたが、私も同様な危惧を抱いております。市長は全くの希有であるというふうに答弁されましたけれども、最終的には警察行政との連携強化ということが言われました。漠然とした市民生活への市民の不安というのは、今日の経済情勢や犯罪の多発化という中であります。しかし、基本的には警察が担う部分は警察行政がしなければなりませんし、暴走族対策やつきまとい条例のように、私たちは2本の条例について反対をいたしましたけれども、行政が市民を監視する、取り締まるという部分の条例がこの間2本続けて提出されました。それは、市民の権利や生活に行政が入り込んでくるという危険性があるからであります。生活安全部という名称は、市民の安心、安全を守るという意味で、極めて心地よい名称ではありますけれども、しかし一方で、今持っている条例が市民監視という部分、危惧する部分があるということを指摘したいと思いますが、市民の権利や自由、生活について行政は立ち入らないということを明言していただきたいと思います。

 次に、子ども家庭部の名称とその業務の内容についてであります。

 私どもは、子ども家庭部ではなくて、子ども部という名称がいいのではないかと考えております。将来を担う子どもたちの健全な育成を進めるために、子ども家庭部を新たに設置するということでありますけれども、子育ては家庭の責任ということが一般的に言われています。しかし今、行政が行うさまざまな支援というのは、子ども自身がどのように育つかということであります。家庭に対する支援ではなくて子ども自身に対する支援でありますけれども、私どもは、家庭部という名称をつけることによって、行政が家庭のあり方にまで介入してくるのではないかという危惧を持っております。例えば、青少年対策地区委員会の活動などにもそのようなことが及んでくるのではないかと思いますが、子ども部ではなくて子ども家庭部とつけられた理由について、お示しいただきたいと思います。

 次に、生涯学習スポーツ部との関連でお伺いをいたします。

 社会教育部を廃止して生涯学習スポーツ部にするということは教育委員会の事務でありますので、教育委員会の規則の方で改正されるということでありました。このことについて、教育委員会とはどのような協議を進めてきたのかお伺いをしたいと思います。社会教育部の名称が変更されても、公民館など旧来からの社会教育法に規定されている行政は後退をしないということでありましたけれども、生涯学習スポーツ部への名称変更の問題について、教育委員会側との協議はどのようであったのか、お示しをいただきたいと思います。  次に、住民基本台帳ネットワークの問題についてお伺いをいたします。

 8月25日から第二次稼動が始まります。私たちは、住民基本台帳ネットワークは自己情報コントロール権が保証されていないという問題や、大変な情報の漏えいの危険性があるという意味から反対をしてまいりました。第二次稼動については、その情報の漏えいの危険性がより拡大するという意味で大きな懸念を持っておりますけれども、広域交付が始まることによって、市民がこうむるデメリット、そしてカード発行などによるメリットについて、市はどのように考えているのかお示しいただきたいと思います。

 2点目に、セキュリティーの問題についてであります。全国の地方自治体とも横のネットワークがつながっていくわけです。具体的には、DV被害者など、自分の情報を出してほしくない人たちの保護対策というのはきちんとできているのでしょうか、お伺いいたします。  3点目に、個人情報保護法が成立をいたしました。この成立を契機として、東京都知事は接続をしていない各市や区に対して接続要請を行っておりますけれども、私は基本的には個人情報コントロール権が確立されていない個人情報保護法は問題だと思っております。個人情報保護法の成立について、市はどのような見解をお持ちかお伺いをいたします。

 最後に、選択制の問題であります。法違反であるので、選択制は検討しないということでありましたけれども、選択制の動きは各自治体では広がっていく様相を呈しています。長野県の個人情報審議会は、住民基本台帳ネットワークからの離脱を提言いたしました。今後、長野県と総務省の間での公開討論会や各市町村の判断が待たれるわけでありますけれども、そういった状況、あるいは逗子市の個人情報保護審議会は、改めて市民の意向を問うようにという答申を出しております。いわゆる住民基本台帳ネットワークシステムは、自治体の固有事務、自治事務でありまして、そのことをどのようにするのかということは、自治体の判断でできることではないでしょうか。したがって、総務省が違反だと言っているから判断をしないということではなくて、自治事務として自治体みずからが判断すべき権利があるというふうに思いますが、その点について再度お答えをいただきたいと思います。

 次に、学力定着度調査の問題についてお伺いをいたします。

 小学校6年生に対して基礎的、基本的内容の学力定着度調査及びアンケート調査を行う。指導の改善を図るということが目的であります。しかし、この学力定着度という中での学力感というのは、市教育委員会はどのようにとらえているのか、大変疑問であります。学力感とは、子どもたちがみずから考える能力を持って、主体的に生きていく力を身につければいいというふうに思いますけれども、それが共通テストによってはかれるのかどうか、その点が大変疑問であります。学力感についてどのように考えているか、まずお示しください。  そして、現在さまざまな課題を抱えた子どもたちが学校に通学をしています。この学力テストを実施することに伴って、子どもたちの精神的な不安、ストレスというものをどのように考えているのでしょうか、お伺いをいたします。

 荒川区教育委員会などは、テストの結果を公開して論議を醸しました。市は公開についてはどのような見解でしょうか、お伺いをいたします。

 最後に、学力をめぐっての学校間競争がこの学力テストによって激しくなり、将来的には学校選択制などによって学校間格差がつく、あるいは、学力偏重の風潮を助長するというような結果になりはしないかという危惧がありますけれども、その点についてはどのようにお考えか御見解をお伺いいたします。

 最後に、第64号議案、八王子市立学校設置条例の一部を改正する条例設定についてお伺いいたします。

 不登校の子どもたちの学校として、構造改革特区の認定を受けて設置されるわけでありますけれども、ことし、不登校問題に対する調査研究協力者会議の最終報告が出されました。11年前に出された、不登校はどの子にも起こり得ることなので、子どもの気持ちを尊重し、見守るという姿勢から、今回は基本的に学校に戻す働きかけを強めるということが全面に出されています。全国で13万人と不登校の子どもはふえる一方なのに、なぜふえているのか現在の学校制度の問題点には踏み込まず、とにかく学校に戻すというのでは、根本的な解決にならないと私は考えています。

 長い間、学校に行かないことは悪いこととされ、たくさんの親子が苦しんでまいりました。しかし、11年前の行政の方針転換に前後して、全国に学校以外の学びの場が民間でもつくられるようになって、子どもも大人も学校とは何か、学ぶとは、生きるとは何かというふうに問い続けてきました。そんな場で学んだ子どもたちが社会の中でも力を発揮し、不登校が社会的に認められつつある現在、なぜもう一度学校に行かなければならないかというようなこの協力者会議の最終答申は極めて問題があるというふうに私は思います。不登校の子どもたちへの理解というものは、さまざまな子どもたちがいて、多様な子どもたちがいます。学校に行かなければならないという学校神話について、慎重な扱いをしなければならないと思いますが、不登校の子どもたちに対して、教育委員会はこの学校を設置するに当たりどのように考えているのか、基本的な見解をお示しいただきたいと思います。

 次に、高尾山学園の目的と内容についてであります。市長の、不登校の子どもたちが行ける学校をつくろうという発想から始まった学校でありますけれども、これが本当に子どもたちのニーズに合っているのかどうかということは、学校が始まってみないとよくわかりません。子どもたちが、この学校の内容を支持するのかどうか見守っていきたいと思いますけれども、子どもたちのニーズに多様にこたえることができるような授業内容やスタッフをきちんと配置すべきだと思います。内容、スタッフ、子どものニーズをどのようにとらえてこの学校の準備を進められてきたのかお伺いします。

 最後に、構造改革特別区域法に指定をされて、学習指導要領を弾力的に運用する学校でありますけれども、先ほども申し上げましたように、現行学校が持つ問題の矛盾点として不登校の子どもたちが出てきているのではないかと思います。子どもたち自身に問題があるのではなくて、学校にも問題があるというふうに思うわけであります。その学校の問題点を特区ということで改善しようとしたのがこの高尾山学園だと思います。したがって、特区で設置される学校というのは、今の学校教育の矛盾をある意味では反映した学校ではないかと思いますけれども、市教育委員会は準備をしながらその矛盾点をどのように考えてきたのか、お伺いをしたいというふうに思います。  以上で質疑を終わります。



◎【萩生田富司議長】 企画政策室参事。                   
  それでは、組織改正にかかわります御質問に御答弁させていただきます。

 まず、地方主権の確立に向けた政策機能の強化の具体的な展開はということでございますが、総合政策部におきます政策立案部門の純化を図っていきたいと考えております。そういう中では、現行、産業振興部や今度の新しい環境部等におきましては、それぞれ政策的な部門を担う課を立ち上げる中で、それぞれ各部門から全庁に対して、あるいは市民に対して、それぞれの分野の行政課題について発信していくといった庁内の分権、分化も考えているところでございます。

 次に、都市経営の視点についてでございますけれども、これはかつての合理化によく言われましたように、単なる経費の削減だけを目的にするものではございませんで、いわゆる構造改革といいましょうか、仕組みそのものを見直すことによって、最少の経費で最大の市民の福祉を確保していく。ひいては、これによって市民サービスの充実につなげようという考え方から設置を考えているものでございます。

 次に、市民活動推進部でございますが、確かに協働という名称で、協働という部分も検討いたしました。今現在では、こういった協働という言葉が市民サイドにまだ浸透していないことも踏まえまして、今回のような部名を提案させていただいたものでございます。これは、行政内部に対しまして積極的に市民との協働を推進していこうといった考えを表しているものでございます。

 また、男女の施策の市民活動推進へのくくりでございますが、今回は市民活動推進部も全庁に対して市民協働といった部分を発信していく、いわゆる企画系の部というとらえ方をしております。そういう中で、男女行政についても、市のあらゆる行政展開の中でこちらの方の担当所管から発信していくというような考え方でございます。

 次に、生活安全部でございますが、これはまさに現行の警察行政との谷間にあるような行政の分野というふうに考えております。現に、こういったことで毎日の生活に不安を感じている市民の方々がいらっしゃる。かつてはこういった分野は余り我々市町村行政の分野でなかった部分かと思いますが、こういったものにも責任を持って組織立てをし、対応していこうという考え方でございます。これにより、市民の権利や自由に立ち入らないようにという御質問、御指摘でございますが、まさに議員方のチェック機能で、そのようなことがあれば、チェックしていただければと思っております。

 それから次に、子ども家庭部の名称でございますが、子どもたちが健やかに育つ環境といたしまして、家庭は重要な役割を担っております。昨今、核家族化や都市化の進展に伴いまして、地域や家庭の育児機能が弱体化する中、子どもたちの健やかな育成を地域とともに支援していくといった考えから、子ども家庭部としたものでございます。

 最後に、生涯学習スポーツ部の名称に関する教育委員会との協議についてでございますが、今回の組織改正では、教育委員会への補助執行で行っていただいている事務の見直しを行っております。そういう中で、組織に関する調整を行ってきたものでありまして、新たに生涯学習や生涯スポーツを担う組織として、名称につきましても現在のところ生涯学習スポーツ部といったものでいきたいと考えているものでございます。



◎【萩生田富司議長】 市民部長。                   
  住民基本台帳ネットワークの関連で、私の方から3点お答えを申し上げます。

 8月25日の第二次稼動の中で、メリットということのお話でございましたけれども、1つには住民票の広域交付ができることになります。また、付記転出、転入にも簡素化がされるところでございます。また、カードの中で、写真つきのものを御希望の方は身分証明書としての利用もできるわけでございます。

 これは第二次稼動に限ったことではございませんけれども、いろいろな行政手続の中で、住民票の写しの提出が必要なくなりますので、例えば全国的には年間で約 2,500万件以上の住民票の写しの提出が省略されるであろうとか、国民年金、厚生年金の現況届の提出が原則不要になる、これが 2,000万件にも達するというようなことも大きなメリットと言えると思っております。

 デメリットの面でございますけれども、今回、私ども住民基本台帳カードの独自利用については取り上げておりません。そういう意味では当然でございますが、今度の住民基本台帳カードでさまざまな行政サービスが受けられるということができないわけでございます。ただ、これにつきましては、そのサービスのシステム構築に相当の経費がかかりますので、費用対効果から考えますと、直ちにデメリットと言っていいのかというふうにも思っております。

 2点目に、住民基本台帳ネットワークのセキュリティー対策についてでございますけれども、これは従前から申し上げているところでございますが、例えば制度面では行政機関等個人情報保護法、あるいは住民基本台帳法による罰則規定、セキュリティーについての技術的基準などが出されておりますし、技術面では暗号化や操作者カード、通信手当てを通常インターネットで使用されているものとは別の物としておりますし、通常使用されているプロトコルについても、これを遮断する仕組みなどによる安全対策がとられております。運用面では、全国センターにおきまして24時間不正通信監視や、職員研修なども行われているところでございます。

 また、今後実装されますアクセスログによる不正操作に対する抑止などもあると思います。本市といたしましても、本年度セキュリティー・ポリシーの策定や住民記録システムにアクセスログを残す仕組みを実装するほか、情報セキュリティー監査制度に則した外部監査を実施する予定でおります。

 また、今後職員の個人情報に対する意識を高め、モラルの向上と正しい操作手順の徹底を図るための研修も実施する予定でおります。  最後に、住民基本台帳ネットワークの選択制の件でございますが、先ほど理事者からも御答弁があったところでございますけれども、法律では市長は住民基本台帳を作成しなければなりませんし、住民は届け出を正確に行うように努め、虚偽の届け出、その他住民基本台帳の正確性を阻害するよう行為はしてはならないとありまして、市長は通信回線を利用しまして、都へ本人確認情報を送信しなければならないことになっております。私どもとしても、市民の自己選択権は認められていないと考えております。

 ただ、市民の一部に存在する不安を解消する努力を不断に続けていく責任が本市にもあると考えているところでございます。



◎【萩生田富司議長】 総務部長。                   
  個人情報保護法の市の見解ということでございますが、この法は、個人の人格尊重の理念のもとに慎重に取り扱われるべきものであるという基本理念のもとに、事業者に個人情報の適正な取得方法、あるいは利用目的の制限などや開示請求、訂正、利用停止を求めることができるなどを定めたものでございます。この成立には衆議院、参議院でもいろいろ議論がありました。

 先ほど話がありました自己情報コントロール権の規定、あるいはセンシティブ情報の扱い、あるいは第三者機関の設置、この辺の議論がありました。最終的には、衆議院、参議院の附帯決議によりまして、表現の自由等の基本的人権の尊重、あるいは個人情報の有効性に配慮しつつ、個人の利益の保護に万全を期するようにということで、例えば利用目的による制限、利用目的の通知、第三者提供の制限、個人情報データに関する公表、あるいは表現の自由、学問の自由、宗教の自由等の政治活動の自由を妨げてはいけないという規定の趣旨の徹底、また、この法律と別の行政機関に保有する個人情報の保護に関する法律案につきましては、先ほど言いましたセンシティブ情報の厳格な特定、あるいはDVの防止等の観点から、所要の措置の検討等の附帯決議のもとに可決をされております。そういう面から、適正な運用が図られるというふうに考えておりますし、罰則規定も設けられておりますので、それも1つの評価であると考えております。


◎【萩生田富司議長】 学校教育部付参事。                   
  教育委員会は学力をどうとらえているのかという第1の御質問でございますけれども、学力とは、学んだ知識や技術の量だけではなく、学ぶ意欲、思考力、判断力、表現力などまで含めて学力としてとらえております。また、このテストはそういった面も見られるように工夫して作問したいと考えております。

 2番目、子どもたちがこのテストによってストレスを受けるのではないかと。これはストレスのとらえ方もありますけれども、子どもは一斉に試験をするわけですから、テストをするというだけで何らかの緊張はあり、またその緊張がなければ困るわけでございます。ただ、今回予定している学力テストは、個人の結果をほかの生徒と比較したりすることは行わずに、今後の個人の学習や指導に役立てることを目指しているものでございます。調査を一斉に実施したとしても、大きなストレスにはならないと考えております。

 3点目でございますが、荒川区のように公開していくのかという御質問でございますけれども、今回、学校ごとの結果につきましては、広く市民に公開することは考えておりません。学校ごとの結果を市民に周知することは、学校間の安易な比較に利用される危険性があり、そのことは本事業の趣旨とは反するものでございます。また、学校選択制を導入する本市におきましては、限られた数値情報のみで学校が序列化されることがないように配慮する必要があると考えております。

 ただ、広く学校間競争ということについて考えますと、偏った価値観で一方的な比較というものはまずいわけでございますが、それぞれの学校のいいところを出し合いながら競い合っていくということは、今後大いにやっていくべきものだと考えております。


◎【萩生田富司議長】 学校教育部長。                   
 楢原の土地につきまして、私の方から改めて御答弁申し上げます。

  私の方から、高尾山学園につきましてお答えしたいと思います。

 文部省の協力者会議の報告でございますが、私も読ませていただきましたけれども、御質問者のおっしゃるとおり、学校に戻すという方向転換をしているわけでございます。本市も従前から適応指導教室を2校設置し、相談学級も1校設置しております。これはいずれも学校に戻そうというような制度でございますが、それでもなおかつ 600人以上の不登校の児童・生徒が現実の問題として存在するわけでございます。こうしたことから、不登校児童・生徒がさまざまな学び体験を通じまして社会に適応し、ひとりの人間として生きていく力を身につけ、自立できるようにすることが必要だと考えて設置するものでございます。

 次に、教育内容でございますが、特区の認定を受けたことによりまして、学年を超えた習熟度別のステップ学習が可能になるほか、ものづくり体験を中心とした教育課程や相談機能の充実が図られると考えております。また、スタッフでございますが、このような特色ある学校運営をするため、校長、教頭のほか、いわゆるスクールカウンセラー、メンタルサポーター、学習活動指導補助者、それから体験学習等の講師といったスタッフを十分に備えたいと考えております。

 次に、現行の教育制度に矛盾があるからこういう学校をつくるのではないかという御質問でございますが、この学校は、現行の教育制度に矛盾があるから開校するものではございません。現在、本市だけでも 600人以上の不登校児童・生徒がおり、このまま見過ごすわけにはいかないと。こうしたことから、これらの子どもたちのための学校をつくる必要があるという判断のもとに設置するものでございます。