◎井上睦子委員 。                   
 それでは、通告の順番ではありませんけれども、教育の問題について、まずお伺いをしたいと思います。

 先ごろ出されました八王子の教育改革アクションプランについて、まず伺います。

 アクションプランの内容を見てみますと、多岐にわたっております。そして、同時に、学校組織の効率化ということで、学校管理員の廃止や開閉員制度の見直し、あるいは用務員のセンター化、栄養士の2分の1化、給食調理室の統廃合など、学校の整備、それから、基本的な施策に関する部分まで財政的なメスが入るという中で、この間、代表質疑でも、そして予算の総括質疑でも、教育予算が余りにも少ない、特に学校予算は削られ過ぎているということが続きましたけれども、予算の削減とあわせて、この内容は管理と競争を進めていく大変な教育改革プランだというふうに驚愕をしております。ぜひこのアクションプランの見直しをしていただきたいという視点から質問をいたします。

 まず、教育改革アクションプランですが、これは行政主導のプランではなかったかということです。市民公募が4名、PTAの代表が4名、学校長9名、教育委員会9名ということで、多数が教育委員会側の人たちによって占められておりますし、分科会になっては25名のうち15名が教育委員会事務局の職員ということです。これは行政側が主導で、そして、行政側が原案作成というたたき台をつくったとも言われておりますけれども、自作自演のプランではないかというふうに思いますが、どのようにお考えでしょうか。


◎水野学校教育部長                   
 市民の公募の委員さん、それからP連の代表者、それから、従前ですと校長と教育委員会の管理職で議論していたものに、そういった市民の考え方を入れようと。それと、校長だけではなく、現場の先生からも聞こうということ、それから現場の事務局の職員からも聞こうということで、それぞれ教頭以下の教員20名、それから係長以下の教育委員会の職員約20名を募集いたしました。教育委員会事務局につきましては、若手中心に約20名ほぼ定数応募があったわけですけれども、現場の先生からは2人きり応募がなかったということでございます。私、すごく残念なんですけれども、そういった現状がございます。  そういったことで、教育委員会の事務局の職員が20名ということで多いわけですけれども、教育委員会職員に、自分の仕事だけではなく、いろんな大所高所から勉強していただきたいという意味も含めて公募いたしました。実際には、分科会の中でも議論に加わるということではなくて、いわゆる裏の仕事の事務局的な仕事をしていただいたということで、決して行政主導の検討会ではなかったというふうに判断しているところでございます。


◎井上睦子委員                   
子どもの視点に立った検討結果というふうになっておりますけれども、現実には子どもの視点というのはだれが持っていたのかということになります。保護者が子どもの視点からの代表であったかもしれません。しかし、子どもの視点に立った検討結果とは裏腹に、これは子どもが決して幸せにならない教育改革アクションプランだというふうに思います。

 学校教育部長も入った検討会で事務方が勉強をする、そして教育長の諮問機関であるというのは、とてもおかしな構造です。教育委員会が教育改革をもし本気で進めようとすれば、広範な市民の人たち、保護者の人たち、そして子ども自身をも入れて、何が問題なのかということをきちんと議論をしたということがなければならなかったというふうに思います。そういった意味では、行政が今後教育をどのようにしていこうかという、その主導権を持ったプランとして大変問題だというふうに申し上げておきたいというふうに思います。

 提言内容でありますけれども、先ほどの教育の設備とか施設、それから諸条件を財政上から削減をしていくと同時に、特色ある学校教育といいながら、学校選択制や外部評価制度、あるいは学力定着度調査の実施、そして公表ということで、これは東京都が進めている都立高校の改革、あるいは品川区や他区や他市でも進められている教育改革と極めて類似をした内容が提示をされております。特に品川区の教育改革プラン21と同質的なものだというふうにも考えられます。

 他市や他区で行われている教育改革、先行しているわけでありますけれども、それを検証したのか、そして問題点の把握などをきちんと議論をして、同一、そして類似的なものを提言をしてきたのか、お伺いしたいと思います。


◎水野学校教育部長                   
 議論ですから、いろんな情報を集めて議論のもとにいたしたわけでございまして、お尋ねの品川区についても、私の方については情報を委員さんに提供いたしました。

 そういった中から、初めて市民が入った議論をしたわけでございまして、質問者は子どもも入れてというご質問ですけれども、子どもの声というのは、いわゆる市民代表ですとか、保護者代表が成りかわって発言しておりますので、私どもの方といたしましては、検討会に直接子どもを入れるということについては、そういった仕組みは必要ないということで、大人だけで議論したところでございます。


◎井上睦子委員                   
 子どもの意見をどのように聞くかということは、さまざまな手法があるというふうに思います。そういった意味での欠陥があると思います。

 次に、品川区などの情報も集めたということですが、それがどのような問題を引き起こしているのか、あるいは評価するところがあるのかという検証をされたのかどうかということは答弁がなかったわけですが、情報を集めてということのみでございました。

 学力定着度調査についてですが、新年度も実施をすることになっています。そして、これはこの結果を公表するということになっていますが、どのような公表の方法をとるのかお示しください。


◎水野学校教育部長                   
 アクションプランでの提言は、ここに書いてあるように、「調査の目的に沿った公表の内容を検討する」という提言をいただいておりますので、その線に沿って、これから具体的な方法については検討していきたいというふうに思っております。


◎井上睦子委員                   
 今年度実施は公表しないということで実施をしたわけですが、公表しないとした理由は何ですか。


◎永関教育指導担当参事                   
 これにつきまして、全面的に公表しないということではなかったわけでございますけれども、公表することによって、その結果のみがひとり歩きをして、子どもたちが過度の学校の序列化につながるというふうなことがないようにということで、そのように申し上げました。


◎井上睦子委員
 今後公表するということは、序列化につながっていかないのでしょうか。


◎永関教育指導担当参事
 何をどう公表するかということだろうと思うんですね。学校で、子どもたちがどのようなところを問題点として、こうやっていけばいいとかいうふうなことについては、これはもう公表していく部分もありますけれども、学校のランキングのようなことを、ただ仮にするだけだったらば、これは問題はないというふうに考えております。


◎井上睦子委員
 荒川区は2002年度に学力テストをやりまして、基礎的学力の到達度、そして応用・発展的な学習の到達度を別々にして、学校ごとの比較をいたしました。このことは、中学校だったら受験校になるかどうか、難関校を突破しようと思っている子どもたちはそこに行くかもしれませんし、応用的な、発展的な学習の理解度が高い学校を選ぶ、あるいは基礎的学習の到達度、基礎を取りこぼしているところが何%とかということで、これができない学校という序列化につながるという危険が指摘をされておりまして、こうした公表の仕方についてはどのように考えていらっしゃいますか。


◎永関教育指導担当参事
 長期的に考えますと、例えばこの学校では基礎・基本が身についていない子がゼロであるというふうなことを目指して学校が競争するとしたら、これは大切なことだろうと思うんですね。そういうことを公表していくというふうなことは、必ずしもそれが学校の序列化につながるということではない、申し上げているように、むしろ健全な競争につながっていくような部分もあろうかと思います。

 ただ、一概に平均点でもって学校の順位を出すというふうなことにつきましては、これは意味がないことというふうにとらえております。そのあたりは十分に検討しながら、今後、学校としての特色という意味でも考えていく問題だろうと考えております。


◎井上睦子委員
 学校としての特色ではなくて、このことを受けとる側は、できる学校なのか、できない学校なのかというふうに、やはり保護者の側も子どもたちも受けとるというふうに思います。  公表をしないということで導入をした学力テストを、今度は公表をする方法を検討するということに変わってきて、それが、公表の方法によっては特色のある、その学校の意気込みだということで、子どもにとってとても悲しい思いをするような公表の仕方というのは避けなければならないというふうに思いますし、当初、教育委員会が、過度の競争を引き起こしてはならないと言ったことをきちんと守ってもらいたいというふうに思いますけれども、健全な競争と過度な競争というのはどのように違うんでしょうか。


◎永関教育指導担当参事
 大変難しいところでございまして、同じものでも、これが過度か、これが健全かというふうなことについては個人的な見解もあろうかと思います。

 ただ、学校がある1つのことに努力して、学校自体の力を高めていこうと、お互いに隣の学校がこうやっていいことをやったんだったらば、自分の学校もこんなことをやろう、そういうことをしながら、子どもたちに学力をつけていく方向をというのは、私はこれは健全な競争だろうと思うんですね。そのボーダーラインを示せというのは大変難しくて、私も今はお答えできません。


◎井上睦子委員
 答えができないというふうに、公表するということは極めて難しい問題だというふうに思います。

 過度な競争を引き起こすから公表しないというふうに今年度は決めたわけです。そして、学力テストの結果を公表することになれば、それはとても難しい、評価が分かれる問題であるということについては公表しないと、当初の導入の経過と教育委員会の決意というものをしっかり守っていただきたいというふうに思います。

 次に、学校選択制とのかかわりについて申し上げます。

 学校をどのように選択するのかということで、新年度から導入をされます。中学校は全学校区域フリーになるわけですけれども、保護者がどの学校を選ぶのか、子どもたちがどの学校を選ぶのかというのは、保護者の情報収集能力、あるいは情報の処理能力、あるいは経済的な、時間的な余裕とのかかわりがやはり起こってくるだろうというふうに思いますけれども、その点についてはどう考えていらっしゃいますか。


◎水野学校教育部長
保護者のそういった事情と、プラスいわゆる学校の特色、こういったものが選択の理由になるというふうに判断しております。


◎井上睦子委員
通学区域が遠ければ、通学費用だってかかるわけですね。そして、車で送り迎えをしなければならないというような事態になったときには、そのような時間的な余裕がある家庭がその学校を選ぶということになって、これは教育がすべての子どもたちにスタートラインで平等に開かれているとは言いがたいという結果をもたらすのではないかというふうに思います。

 今、義務教育の中でも私学を選択する子どもたちがいますけれども、その私学を選択する子どもたちの所得階層ということを考えたときに、そういったことはあるわけです。これが公教育の中でも、学校選択制の中で特色ある学校というのが、それぞれの本当の特色であればいいですけれども、学力差であるとか、その中学校が荒れているとか荒れていないとか、そういったことで選択をするようになると、選択できなかった子どもたちにとっては、選択できた子どもたちとさまざまな意味でスタートラインが異なってくる、そういった意味で機会の平等というのが保障されないんではないかというふうに思いますが、どうでしょうか。


◎水野学校教育部長
中学生につきましては、自転車通学等ができますし、すべての学校を選択できる、また、小学校については、そういった意味で通学距離との問題がございますので、隣接校ということで四、五校をやっておりますので、その中から選択ができますので、私は今の質問は当たらないというふうに思っております。


◎井上睦子委員
今年度スタートです。品川では数年前にスタートをして、選択する選択希望者がふえてきています。小学校では20%以上、中学校では30%以上というふうに、かなり動いてきている。その動いてきている結果が、経済的な力と、そして、さまざまな親の教育力、家庭が持っている教育力とどのような相関関係があるのかということは、きちんと見なければいけないというふうに思います。子どもたちが集まらない学校は逆につぶれていくかもしれないという、公教育の中でもそういう危険性があるわけで、選べない子どもたちはどのような子どもたちであるのかということも問題になってくるというふうに思いますので、選択制の問題は極めて慎重に行わなければならないというふうに思いますし、そういった問題を内包しているとすれば、そういう子どもたちにも配慮をしなければいけないというふうに思います。

 次に、学校予算の問題です。

 これは、ずっと総括質疑を通じて、各会派から、予算が足りない、減少している、教育長も減額していることは確かであるというふうにお認めになりました。これは、基本的にさまざまな学校が教育活動をやっていく上で、学校予算が足りないというふうな悲鳴を上げています。しかし、基礎的な予算配分ができない中で、意欲ある学校あるいは特色ある学校には予算の重点配分をするというふうになっておりますけれども、予算の重点配分をする予算の総額は、新年度幾らになりますか。


◎水野学校教育部長
色ある教育予算につきましては、小中合わせて約2,500万円でございます。


◎井上睦子委員
ぜひ、その2,500万を各学校に均等に配分をしていただきたいというふうに思います。同時に、学校予算への配分を格上げしながら、均等に配分をしていただきたいというふうに思うのです。

 なぜならば、意欲ある校長の学校には予算を重点配分するということは、教育を受ける主体である子どもたちに教育の機会均等が保障されないということではないですか。A学校に行く子どもとB学校に行く子どもは、重点配分がつかないとすれば、教育の受益が異なってくるわけです。そういったことを公教育が行っていいとは思いません。そのことについてはどうでしょうか。


◎水野学校教育部長
公教育、義務教育ですから、指導要領に求められます最低限の、いわゆる社会に出るための基礎知識、そういったものについてはすべての学校にいたしますが、それに上積みする、いわゆる特色、これについてはそれぞれの学校が知恵を働かせて、いろんな上乗せをいたします。そこに教育委員会がどういうふうに応援するかという仕組みが必要でありまして、これをすべての学校に配分いたしますと、必要を感じない学校までも予算消化をするということで、投資効果があらわれないということになりますので、今の御質問者に対するお答えといいますか、私の方としましては、今までも主張したとおり、これからは学校によって差をつける、学校長のやる気を見ながら、そういった方法でやりたいというふうに思っております。


◎井上睦子委員
いや、最低限の要求にこたえられてないんですよ。こたえられてないから、学校図書館の予算が足りない、備品が足りないというふうに言われているんですよ。そのことをやっていないにもかかわらず、差別化をしていくというのは誤りだというふうに思います。基本的には、まず最低限整えるべきだ、そのことは教育を受ける子どもたちに不利益をもたらすということを強く主張したいというふうに思います。

 次に、日の丸、君が代と、内心の自由について伺います。

 教育長に伺いますが、憲法、教育基本法に基づいて教育を行っていくというふうに代表質疑では御答弁があったように思います。憲法、教育基本法に従って法律を守っていく教育長の自覚というものはどういうものであるのか、お示しいただきたいと思います。


◎成田教育長
国旗、国歌についての御質問をいただきました。式典で子どもたちに国歌斉唱をすることを指導することは、平和的な国家及び社会の形成者としての国民を育成するということを目的としたものでございますので、これは憲法を逸脱しているとは思っておりません。


◎井上睦子委員
私は、憲法、教育基本法に従って、すべての教育活動をやる教育長の見解を聞いたので、まだ日の丸、君が代のところに入ってないんですけど。


◎成田教育長
確かに国旗、国歌につきましても、すべて教育を行う、これは学習指導要領に従って私どもは指導しているわけでございまして、学校という機関、教職員の職務、特性を考えれば、私はこれは職務として当然行うべき行為というふうに思っております。


◎井上睦子委員
ちょっと何を答弁していらっしゃるのかわからないんですが、まあ日の丸、君が代のことが頭におありになるんでしょう。

 憲法のすべての条文あるいは教育基本法の、11条しかないですけれども、この条文を守って教育活動を行うという教育長の役割があるということを確認したいというふうに思います。

 そして、教育長は、昨年の第1回定例会の中で、教育基本法の改正の問題に言及をされて、国や郷土を愛する心、公共に主体的に参画する態度を育成するという視点が、やはり欠けているというふうに、現行の教育基本法を否定的に言われました。そういう否定的に言われた教育長が現行の教育基本法をしっかり守って教育行政をつかさどっているのかどうか、確認をしたいと思います。


◎成田教育長
私ども、憲法あるいは教育基本法に基づいて、さらには学習指導要領に基づいた教育を、責任を持って行っております。


◎井上睦子委員
では、教育基本法の改正の必要はないというふうに考えていらっしゃるということでいいですか。


◎成田教育長
教育基本法の改正についてですが、さきも答弁させていただきましたように、やはり子どもたちの現況を見るときに、この公共性、あるいは国や郷土を愛する心、これについては私どもはさらに踏み入って教育をしていく必要性があるので、そこについては改正の姿勢を示したところでございます。


◎井上睦子委員
大変問題だと思いますね。教育基本法や憲法をしっかり守っていかなければいけない教育長が改正を示唆するということは、極めて大きな問題だというふうに思います。

 そういう思想を持って、今、教育行政を行っているからこそ、9月の実施指針のような卒業式、入学式に対する指針が出るのではないかと危惧をしています。極めてこれは重大な問題だというふうに思いますが、日の丸、君が代について、子どもの思想、良心の自由は保障されるべきだというふうに考えております。これは卒業式や入学式、いかなる場合においても保障されるべきですけれども、教育長はどのようにお考えですか。


◎成田教育長
思想、良心の自由あるいは内心の自由、これはすべて国民について存在するわけでございますけれども、教育活動にはやはり行わなければならないわけでありますから、それについて、また教育活動として、私どもが教師を通して児童・生徒に指導するということは当然のことでございます


◎井上睦子委員
子どもの思想、良心の自由は存在をし、保障されるべきだとお考えですか。


◎成田教育長
内心の自由は存在するわけですが、これは教育活動として行われたり、あるいはこれは学習指導要領にも明記されておりますので、児童はそれを指導されるべきだというふうに考えております。


◎井上睦子委員
教育の目的というのは、教育基本法では人格の完成ですね。教育長は、この人格の完成という意味をどのようにとらえていらっしゃいますか。


◎成田教育長
人格の完成といいますのは、やはり国民として将来にわたって基礎的、基本的に育成されるべき学力であり、豊かな心の育成だろう、そんなふうに考えております。


◎井上睦子委員
人格の完成というのは、私は昨年の12月議会でも申し上げましたけれども、子どもたちがどのように生きていくのか、永関参事は「生きる力」というふうにおっしゃいましたけれども、自分で考え、判断して、そして生きる道なり行動するということをつかんでいく力だというふうに思います。

 そうして考えたときに、この日の丸、君が代に対して子ども自身がどのように考えるか、思うかということの保障はしっかりして、そして、人格の完成を目指して、教育がその手助けをするとすれば、教育においても子どもの思想、良心の自由は保障されるべきであるというふうに考えますけれども、国会答弁でも、99年、国旗・国歌法が制定をされたときに、内心の自由を侵すものではない、そして無理やり子どもたちに歌わせるものでもない、あるいは教職員が今までの教育指導を変えるものでもないという国会答弁が繰り返されました。そのことを教育長はよくよく理解をしていらっしゃるのか、そのことについて伺います。


◎永関教育指導担当参事
子どもたちにとって内心の自由というのはあるという教育長のお答えのとおりだと思います。

 ただ、子どもたちというのはまだ人格が完成されていない、その過程で教育というものがあるわけでございます。子どもたちが今思っていることを何でも尊重している、それでは教育というのは成り立ちません。どう教育をすべきかということを、学習指導要領にのっとって、国を愛する気持ちも当然大切なことなんです。そのことを教える意味で、学校で指導が行われて、それが子どもの気持ちと食い違いがあるから、それはおかしい、それでは教育というようなものは根幹から揺らぐというふうに考えます。


◎井上睦子委員
国を愛する気持ちというのは、教育の目標ですか。


◎永関教育指導担当参事
国を思う気持ちというのは、目標の1つであると考えてよろしいと思います。


◎井上睦子委員
それはどこの法律に規定をされた目的なんでしょうか。


◎永関教育指導担当参事
学習指導要領の中に「我が国の国旗と国歌の意義を理解させ、これを尊重する態度を育てるとともに、諸外国の国旗と国歌も同様に尊重する態度を育てるよう配慮する」と、こういうふうに書いてございます。こんなことを出すまでもなく、自国のことを大切に思う気持ちが教育の目標ではないということ自体が、私は大変いかがなものかと考えます。


◎井上睦子委員
いやいや、違いますよ。教育基本法の改正の論議の中で、教育長は、今の教育基本法の中に国を愛する心がないから改正しなければならないというふうに言っているんです。ですから、法的には国を愛する心を目標とする教育の目的というのはない、存在しないんですよ。

 学習指導要領は「指導するものとする」ということになっていて、この学習指導要領は法的な拘束力は持たないわけですね。基準なわけです。そこを誤って、参事は理解をしている、そして教育委員会は理解をしているというふうに思います。

 私たちがよって立つ基盤というのは現行の憲法であり、教育基本法であるということをしっかり考えるならば、国を愛する心を育てなければならない、あるいは歌や旗を尊重しなければならないということの強制は、一切教育の場でもできないはずです。そのことを確認したいと思いますが、いかがでしょうか。


◎永関教育指導担当参事
今おっしゃられたことの確認は、私はできません。

 基本的には、現行の教育基本法の中にも、公共性とか郷土や国を思う気持ちというふうなもののもとになるものはあるんだろうというふうに考えております。そういう意味で、これからの見直しについてはそういったものをこれまで以上に盛り込もうという論議ではないかというふうに理解しております。


◎井上睦子委員
盛り込まれても、憲法が上位法にあるわけですね。そして、そこに思想、良心の自由が保障されているわけです。私はすべての人たちに保障されなければいけないと思いますし、今回、実施指針で、日の丸、君が代が卒業式、入学式で、教師に職務命令まで出して、処分まで出して、子どもたちの思想、良心の自由を侵害し、そして日の丸、君が代というものを尊重するという一方的なイデオロギーを押しつけることは極めて問題だというふうに思います。そういったことが教育の場で決して行われてはいけないというふうに思いますし、そのことによって教師自身が処分をされてもいけないと思います。教師は、教師自身の思想、良心の自由もございますが、教師の教育活動を通じて子どもたちに歌わせるという、教師自身が子どもの思想、良心の自由を侵害をするという立場にも立つわけです。そのことを肝に命じていただきたいというふうに思います。