◎【市川潔史副議長】第40番、井上睦子議員の質問を許可いたします。

〔40番議員登壇〕  
  それでは、まず、より良い個人情報保護条例をということで質問をいたします。

 昨年9月、市長より個人情報保護条例の改正について、情報公開・個人情報保護運営審議会に諮問がされ、審議をされておりました。意見を求める理由として、八王子市は平成8年に条例を施行し、個人情報の保護に努めてきたところであるが、その後の社会情勢の変化や国の情報保護法制の整備に伴い、条例内容を見直し、必要な改正を行うことにより、個人情報保護制度のより一層の充実を図る必要があるとしております。個人情報保護の重要さは言うまでもありませんが、2002年に住基ネットが第1次稼働した、それを契機にその安全性や保護のあり方、また、市民本人の自己情報コントロール権ということが認識をされるようになってまいりました。急速に進むコンピュータやITの普及は、情報や技術の量、質においても私たちの生活や社会に大きな影響を与えています。それによって生活は著しく便利になった一方で、そこで流通する個人情報はほとんど無制限に収集をされ、蓄積をされ、本人の知らないところで利用されるという事態が生じています。

 私は先日、ある旅行業者からお客様情報流出に関するおわびと御報告というはがきを受け取りました。その会社が保有する氏名、住所、電話番号、生年月日、職種を記録した名簿の一部、62万人分が流出したというものです。そして、手元に心当たりのない請求書や架空請求書、不審なダイレクトメールに留意するようにという注意がありました。そして、それが来た場合には、速やかに警察署あるいは消費者センターに相談をするようにというはがきでありました。また、私の友人は、インターネットの接続会社からおわびということで500円の図書券が送られてきたということです。やっぱりこれも何百万人という名簿が流出をした事件の被害者でありました。これは民間の名簿の流出ですけれども、行政や自治体においても個人情報の流出などが起こっております。これは長野県の例ですが、高校が在学生の大学合格者情報を本人に知らせることなく受験予備校に渡していたことなど、個人の権利や利益に反する行為が行われたことが明らかになっています。

 条例改正に当たっては、このような事実から、本人の手を離れて流通し取り扱われる個人情報を規制し、市民の権利を尊重するものでなければなりません。よりよい制度となるために質問をいたします。

 国の個人情報保護関連5法案が昨年成立をいたしました。これによって、民間、行政における国レベルでの個人情報保護に関する基本的な枠組みが明確になったと言われています。しかし、個人情報保護関連法は、表現やメディアを含め、民間に一律に法の網をかける一方で、官に対しては厳格な規制を及ぼせないなどの重大な問題を数々抱えた法律だと言われています。具体的には、行政機関個人情報保護法は、本来行政機関に求められている民間より厳格な規制が欠如をし、民間規制法としての性格を持つ個人情報保護法よりも緩やかな規制しか課していないところがあります。例えば、法律では相当の関連性があれば、個人情報の利用や目的の変更が広く認められており、また、目的外の利用と提供も広範に許されています。また、開示しないことのできる情報が多く、本人情報の開示、訂正などの権利が及ばない例外も広くなっています。さらに、民間にさえ課している適正取得のルールが定められておらず、データマッチングの禁止や、思想や信条に関する情報、センシティブ情報の収集禁止も定められておりません。加えて、法律の運用をチェックする第三者機関の設置も、訴訟が起こせる特例措置も定められていないなどの、数多くの問題があります。

 逆に、地方が先行して制定した個人情報保護条例は、本市もそうですけれども、公正かつ適正な手段での収集と、本人からの直接収集を原則としています。また、オンライン結合やセンシティブ情報は、原則禁止となっています。例外的には、それを行う場合、第三者機関の意見を聞くことが義務づけられています。こうした意味で、八王子市の個人情報保護条例は、行政機関個人情報保護法より先進的な条例だと言えます。市は行政機関個人情報保護法をどのように評価をし、また、本市の条例の先進性をどのようにとらえているのか、まずお伺いをいたします。

 また、改正作業が進んでいますが、改正の課題はどのように整理をされているのか、お答えください。

 プライバシーの権利とは、憲法13条が保障する幸福追求権を根拠としています。この権利は、当初は私生活をみだりに公表されない権利、あるいは、1人でほうっておいてもらう権利と考えられていました。しかし、コンピュータが普及し、情報化が高度に進展した今日では、単に1人でほうっておいてもらう権利の保障だけでは不十分であることが認識されるようになりました。プライバシーの権利をより積極的に、自分が存在する、それにかかわる情報を開示する範囲を選択できる権利、あるいは、自己に関する情報をコントロールする権利ととらえ直されてきました。その権利は、個人についての情報の取得、収集、保有、利用のすべての段階に及ぶものと考えられるようになっています。この考えは、既に1995年7月、個人情報の新たな保護を目指して、これは八王子市個人情報保護懇談会の提言の名前でありますが、そのサブタイトルは人の多様な生き方をより尊重する市政発展のためにという、個人情報保護条例制定のための提言の中でも明らかになっています。

 個人情報の保護制度に限っていえば、自己に関する情報の流れをコントロールする権利と、積極的に理解をし、自己情報の開示、訂正、削除、利用停止の権利がそのプライバシー権から派生すると、この提言は明確にあらわしています。既に現条例は、自己情報コントロール権を確立する制度設計と運営になっていますが、市は自己情報のコントロール権を基本的な人権としてどのようにとらえているのか、改めてお伺いをいたします。

 さらに、この自己情報コントロール権の条例への定義の明確化と、それを担保する制度と運営の規定についてより法文化させるということを考えるべきだというふうに思いますので、お尋ねをいたします。例えば、現在八王子市ではストーカーやDV被害者の住民票の閲覧を第三者に閲覧させる、あるいは写しを交付するということが禁止されております。これは、被害者の生命や人権を守る仕組みとして評価をしております。これは要綱によるものですが、個人情報保護条例に外部提供禁止の項を設け、こうした事例をカバーできる仕組みはできないのでしょうか、お伺いをいたします。

 また、渋谷区は第三者による住民票の写しの請求に関して、その請求者を本人に開示しました。また、住民税や国保税、年金、福祉など、自分の情報をだれが見たのか、その記録を開示させる動きも各地で広がっています。こうした自分の情報をだれが利用したのかを知ることもコントロール権です。このことが可能となるよう、条例の規定整備をすべきと考えますが、お答えください。

 条例改正のスケジュールについてお伺いいたします。審議会からの報告と、市民意見の反映はどのように行われるのでしょうか。条例の改正の時期はいつを目標にしているのか、お答えください。  そして、個人情報の取り扱いや市民の権利にかかわる重要な条例改正となるため、条例素案の公表と、そして、パブリックコメントを実施すべきだと考えますが、その考えについてお伺いをいたします。

 次に、地域で働き生活できる新地域保健福祉計画の策定についてお伺いいたします。

 新地域保健福祉計画は、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画及び保健医療基本計画等を包括する、保健・医療・福祉の連携を図った総合的な計画として策定の準備が進められています。現行の地域福祉計画は策定から5年目を迎えますが、高齢者や介護保険事業計画、障害者や児童育成計画の4部門で構成されています。この中間年の見直しに当たって、計画の実施状況と、そして、それがどの程度目標に達しつつあるのか、お伺いをいたします。

 2000年の策定の折にも、少子・高齢化の進行とあわせ、障害者基本法の改正や介護保険制度の法制化など、新たな施策の展開が求められるようになったと趣旨に書かれています。今回の新地域保健福祉計画の策定においても、介護保険の施行から5年目となり、現在は制度の見直し段階にあります。支援費制度は措置から契約へ移行し、本人の意思を尊重したサービスの利用、事業所の自由化を目的としてスタートしました。高齢者、特に障害者について、国は施設から在宅へという大きな方向転換を示し、地域で働き暮らすことを選択する障害者が徐々にふえています。ハードのまちづくりの面では、バリアフリー基本構想ができ、特定経路を中心にバリアフリー化が進んでいるという状況があります。他方、介護保険や支援費制度によって民間事業者による福祉産業への参入が進み、福祉の市場化が好むと好まざるとにかかわらず進んでいます。こうした変化の中で新たな課題も提起をされています。高齢者や障害者の豊かな生活をいかに高めていくのか。あるいは、先日も質問がありましたが、移動の自由を保障し、生きがいを持って生活できる環境をどのようにつくっていくのかという課題も出てきています。そこで、新しい計画の改定に当たっての基本的視点を明らかにしてください。

 次に、策定のための組織とスケジュールについてお聞きいたします。5計画になりますが、保健医療計画は保健所の移管が明らかになった時点で策定していくと聞いています。5計画の足並みがそろうのは時間がかかりそうですが、審議会の設置や介護保険事業を除く4計画の策定状況はどのようになっていくのか。そして、その審議会とは違った当事者参加の組織についてはどのようになっていくのか。現在進められている策定のための組織とスケジュールを明らかにしていただきたいと思います。

 以上で1回目の質問を終わります。


◎【市川潔史副議長】総務部長。                            
 個人情報保護条例に関してお答えいたします。

 まず、行政機関個人情報保護法についての評価でございますが、これまで個人情報の保護に関しては、どちらかというと個々の地方自治体の方が先行的な面があったかと思いますが、国の方でこのような法律ができたことによって、国レベルで個人情報についての位置づけがなされたということで評価しているところでございます。

 それから、本市の条例の、国よりも先行している点でございますが、2つございます。まず、今回の行政機関個人情報保護法の中で、今まではどちらかというと磁気テープや磁気ディスク、それらに記録された個人情報のみを国では対象としておりましたけども、紙などに記載された個人情報も行政機関個人情報保護法の中では対象となりました。それから、2つ目が、自分の情報請求権については、従来国は開示請求だけであったのが、訂正請求権、利用停止請求権、これが新たに加えられましたけれども、本市におきましては既にこれらのことについては条例化、制度化しておりますので、先行しているととらえております。それから、もう1つありますのは、いわゆる請求の手数料、国については有料でございますけれども、本市においては無料でございます。これらは国より先行しているというふうに考えておりまして、このことについてはそれなりに妥当性があるので、引き続き対応していきたいと、このような考えでございます。

 それから、条例改正に当たっての課題でございますが、主なものが2つございます。法では行政に対する国民の信頼を一層確保することを目的に、行政機関の職員や受託業者に対して個人情報を漏えいした場合に罰則を設けるようにしております。本市においてもこれまで罰則規定がございませんので、罰則規定を条例の中に盛り込むべきかどうか、その点が1つ。それから、もう1つにつきましては、事業者と本人との間に生じた苦情について、いわゆる自治体の方が苦情処理のあっせんに努めることに法律の中でなっておりますので、この取り扱いについてどうしていくか、この点が2つ目でございます。

 それから、いわゆる自己情報コントロール権に関してのお尋ねでございますが、自己情報コントロール権につきましては、いまだ明確な概念として確立しておりません。法文上にそんなわけで明記されておりません。したがいまして、同様の観点から本市の条例上でも明記することは考えてございません。しかしながら、御質問の中にもありましたとおり、本市の条例の運用の中では、本人の請求権として開示、訂正、削除、利用等の中止請求権については現行の条例で明確に規定しておりますので、これらの権利を保障することによりまして個人の権利・利益を保護し、ひいては基本的人権の擁護は達せられるものと考えております。

 それから、いわゆるストーカー行為の防止に関して、個人の情報を個人情報保護条例の中に規定すべきではないかというような御質問でございますけども、市の条例では個人情報を保護するためにその取り扱いについて制限しておりますけども、法令なりその他の制度の中で個人情報を公開できるものについては、市の条例の中で制限することは難しいと思っておりますので、それぞれの制度において対応する必要があると考えております。ちなみに、ストーカー関係のことにつきましては、現在住民基本台帳の関係も要綱の中で対応しておりますけども、流れといたしましては、いわゆる法令というんですか、その中での対応がなされていくものと考えております。

 それから、条例改正関係のスケジュールでございますけれども、去年の9月に審議会の方に諮問いたしまして、今月の30日に答申をいただくことになっております。答申をいただきましたら、直ちに答申内容について市民の方々にお知らせして、その中で市民の方々から御意見をちょうだいしたいというふうに考えております。答申を十分踏まえまして、また、市民の方の意見を参考にしながら、条例の改正案、これを取りまとめたいと考えておりまして、改正条例の上程時期については第3回市議会定例会に上程したいということで進めているところでございます。

 それから、それに関連しての、いわゆる条例案のパブリックコメントの考えでございますけれども、いわゆる審議会につきましては、市民団体、いわゆる労働界、それから経済界、自治会長会、そういう団体の方、それから市民公募の方、それから学識経験者といたしまして大学教授、弁護士、人権擁護員、これらの方々から審議会が成り立っておりまして、審議の中でも大変貴重な御意見等をいただいております。そこから出された答申につきましては、十分市民の考え等を踏まえていると思います。その答申を公表することによりまして、その中で御意見をいただくことがパブリックコメントに準じたものとの考えでございますので、本市の条例改正案、それを改めてパブリックコメントする考えは持っておりません。


◎【市川潔史副議長】健康福祉部長。                            
 私からは、新地域保健福祉計画策定につきまして3点ほど御質問いただきました。

 まず、現行計画策定後5年間が経過して、その実施状況等という御質問でございますけれども、現行計画では主要事業の整備計画につきまして、数値目標を定めまして検証いたしております。目標の達成につきましては、全体としておおむね順調に達成しているというふうに考えております。

 次に、現行計画策定後における今後の計画づくりの基本的な視点ということでございますが、社会福祉法の改正や交通バリアフリー法、それから、次世代育成支援対策推進法の施行、あるいは支援費制度への移行など、こういった課題に対する対応の観点から検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

 そして、最後に、審議会の設置ですとかスケジュール、また、当事者の参加保障、それから、分野別計画の相互の連携、こういった御質問でございますが、地域福祉の共通課題につきましては、国の策定指針などを踏まえまして、計画の総論部分において施策として位置づけまして、それぞれの計画の有機的な連携を図っていきたいというふうに考えております。また、公募市民等で構成いたします審議会の設置につきましては、保健所移管とあわせまして保健医療基本計画の策定等も考慮して設置をする考えでございます。当面は障害者計画、それから高齢者計画につきまして、関係団体との懇談会を設置しまして検討を進めてまいりたいというふうに考えております。


◎【市川潔史副議長】第40番、井上睦子議員。                            
 ストーカーやDV被害者の情報の外部提供の禁止などは、個別、おのおのの制度で対応するという御答弁でした。そうしますと、例えばアクセスログの本人への開示でありますとか、あるいは、住民票の写しの請求者を本人に開示をするということも、個別の住基法なり、あるいは、内部での電算処理の手続の中で個人情報の保護といいますか、あるいは、コントロール権というものを保障していくべきだというふうに広がってのお考えなのかどうか。その辺も個人情報の保護ということで確認をしたいと思いますので、御答弁をお願いいたします。

 パブリックコメントについては、6月に答申を出して、その後市民からの意見を聞く機会を設けるということで、パブリックコメント制度にかわるものとしたいということでありました。条例改正についてこのような市民の意見を反映させていくという取り組みは、今まで余りありませんでした。環境基本条例などはあったようにも記憶しておりますが。そういった意味では一歩前進として評価をいたしますが、今後ぜひ条例素案を公表して、より幅広い市民の中で新たな条例をつくっていくというようなパブリックコメントの制度化を含めて御検討いただきたいというふうに思いますが、将来の展望についてはどのようにお考えでしょうか。

 次に、個人情報の適正管理の問題について伺います。条例の第9条は、正確かつ最新の状態に保つよう努めなければならない、そして、漏えいや改ざん、滅失及び毀損防止のために必要な措置を講ずるよう努めなければならないというふうに、この適正管理については努力義務を課しております。国の方の行政機関個人情報保護法では、これは義務規定になっておりますけれども、より個人情報の適正管理の中では、これは努力義務から義務規定へするべきではないかというふうに思いますけれども、その点どのように審議会の状況や市は考えているのか、伺います。

 また、日常的な個人情報保護の取り扱いについて、一定の水準に達しているのか、そうではないのかという点検は、内部責任により個人情報の保護を図る上で必要なものです。現行では個人情報を取り扱うという事務の届け出をし、その届け出のファイルを市民に公表するという手続になっておりますけれども、この内部での個人情報の取り扱いが適正に行われているかどうかということを監査するということが必要なのだと私は考えております。監査の規定を設けることについてはどのように考えていらっしゃるのか、お答えください。

 そして、個人情報の適正管理という、その内容に該当するのかどうか定かではないのですが、例えば生涯学習センターなどには防犯カメラが作動中ということで、エレベーターの前で作動しております。これは公共施設内での市民の映像を撮影しているという状況ですが、こうした映像はこの個人情報保護条例の取り扱いの対象となる映像になるのかどうか、伺いたいと思います。また、別の点で防犯カメラの映像の管理についてはされているのかどうか。別のところであれば、それもお答えいただきたいと思います。

 次に、条例の13条についてお聞きいたします。オンライン結合による提供の制限を13条は規定しています。これは、オンライン結合は原則的に禁止し、個人情報の必要な保護の措置が講じられていれば、審議会の意見を聞いて必要かつ適切と認められたときには結合できるということです。例えば、市議会の会議録のホームページへの掲載なども、個人情報をどう取り扱うかということで個人情報保護運営審議会にかけられた経過もありますし、大きなのは住基ネットのオンライン化のときにもこの審議会にかかっています。審議会の議論の中では、原則として法令に根拠がある場合には、このオンライン結合から外してもいいのではないかというような議論がされておりました。私は、原則として法令に根拠がある場合についても、自治体は独自に法令の解釈権を持っているわけですから、ぜひとも法令にある場合を除くという規定ではなく、安全性の確認も含めて審議会の意見を聞くべきだと考えておりますけれども、見解をお示しください。

 先ほども個人情報流出のはがきのことを紹介しましたけれども、オンライン結合は大量に、そして、最新の個人情報を瞬時にオンラインにより処理し、提供するもので、個人情報の提供や利用の形態としては、個人の情報の漏えい、不正利用といった甚大な被害が起こることになります。したがって、このことについては、法令に定めがある場合に限ってもやはり慎重な判断が求められるというふうに考えております。

 そして、同時に昨年6月16日、総務省が地方公共団体における個人情報保護対策についてという通達を出しております。その中で、いわゆるオンライン禁止規定については、一律に禁止をするのではなく、提供の目的、利用形態や権利・利益の侵害のおそれ、受領者側における保護措置の状況等を個別に検討した上で提供の可否を決定すべきであるというふうに言っておりまして、国の方はオンライン結合の禁止規定を外しなさいという基本的な考え方ではありますけれども、しかし、結合する相手先の安全対策がきちんとしているかどうかということを見きわめた上で結合しなさいというような通達の内容になっています。したがって、法令に定めがある場合でも相手方の保護対策がきちんとできていなければ、つないではいけないということをこの通達は指示しているものだというふうに私は考えます。したがって、法令に定めがあるものはオンライン結合の禁止の規定から除外をするということはできないのではないかというふうに思いますけれども、この点についても考えをお示しください。

 次に、死者の情報についてお伺いいたします。95年の個人情報保護懇談会の提言の中では、個人の中に死者の情報が入るかどうかは議論が分かれるところだけれども、死者に関する情報はその遺族または生前極めて親しかった友人や知人などの生者の個人情報として把握し、適切な措置をとるとしています。審議会では条例の趣旨を尊重し、現在の考え方を維持するという結論が出ています。死者の情報について、収集の制限や開示請求についての考えをお示しください。

 次に、苦情処理とあっせんについて伺います。先ほど国の法律の中で評価をされましたけれども、民間事業者と市民との間の苦情処理、あっせんを自治体も求められております。5,000件以上の個人情報を含む個人情報データベースを取り扱う事業者は個人情報保護法の対象となりますけれども、それ以下の事業者は自治体の支援が必要となってきます。法律12、13条は、個人情報の適正な取り扱いを確保するために、区域内の事業者や住民に対する支援や苦情処理のあっせんを講ずるなどの努力義務が課せられています。民間事業者の活動を規制せず、市民の権利や利益を守るシステムが求められていますけれども、具体的にはどのような規定になるのか、お伺いいたします。

 次に、新地域保健福祉計画について伺います。

 国の介護保険見直しへの対応の問題です。先ほども触れましたけれども、2005年度の見直しに向けて現在議論が活発化しておりますけれども、保険料を支払う人の年齢の拡大、そして、財政基盤の安定、あるいは支援費制度との統合といった課題が、介護保険見直しの中で言われています。また、市民からは、特養や老健施設入所への待機者が増大する傾向がある、しかし、なかなか入所できないという問題や、ついの住みかとして住みなれた地域で暮らしたい、しかし、食事や住まいが確保され、そして、小規模で家族的な住まいを求めるという希望もあります。また、移動や配食、介護予防のためにさまざまな提起がこの議会でもされてまいりました。国の介護保険制度の見直しの動向を今後10年間の新しい新地域保健福祉計画の中に取り込んでいくためには、現在の国の動向をどのように把握をし、計画との整合性を図っていくのかということが問われますけれども、前年度の基礎調査の中などで市民からの要望や、そして、現在進んでいる介護保険見直しの動向を市はどのようにつかんでいるのか、お伺いをいたします。

 次に、障害者の支援の問題、特に精神障害者の地域生活での支援の問題についてお伺いいたします。これは、ことしの新年度予算の代表質疑でもお伺いいたしましたけれども、やはり今後10年間で精神障害者の社会的入院を解消する目標を掲げて、東京都では将来5,000人が地域生活を送る予定になっています。しかし、通所授産施設や共同作業所などの活動の場や、福祉ホームやグループホームなど、生活の場の不足が大変指摘されております。これも今後10年間の動きの中で新地域保健福祉計画と一致していくわけでありますけれども、新年度予算の代表質疑の答弁では、財政状況を総合的に判断し、施策を決定していきたいというふうに答えておられます。やはり地域で暮らすことを優先し、その選択できるサービスを提供するためには、優先的な課題として取り組むことが必要だというふうに思います。財政状況を総合的に判断するということになってしまいますと、施策が後回しになる可能性もありますけれども、こうした状況の変化に対して政策の優先順位を精神障害者の施策の充実にしていくべきだというふうに考えますが、どのようにお考えか、お伺いをいたします。

 次に、福祉の市場化の問題です。先ほども申しましたように、好むと好まざるとにかかわらず、福祉事業への民間事業者の参入が介護保険の制度確立以来続いてまいりました。そしてそれは、市民にとっては選択と決定だというふうに言われましたけれども、今、課題となっているのはサービスの質をどのように確保するのか、そして、サービスを利用する人たちの権利をどのように擁護するのかという課題になっています。東京都は第三者評価システムの制度を確立し、東京都の外郭団体が評価者の養成をここ数年間行っております。そして、東京都が補助金を出して、各事業所に対して第三者評価を積極的に受けるよう奨励をしているという傾向もあります。第三者評価というのは、今の福祉サービスの市場は、価格が競争によって決まるわけではなくて、公定価格になっています。そのことによって事業者がどのようなサービスをするのかということの競い合いが起こらないというふうに、東京都は指摘しておりまして、利用者のサービスの選択やサービスの内容の透明性の確保のためには、第三者評価が必要である。そして、サービスの質を向上させるための取り組みを促進させるものとして、第三者評価の導入を積極的に進めております。現計画の中では、事業者の自己評価という形で第三者評価には触れられておりませんけれども、こうした東京都の第三者評価への積極的な取り組みとサービスの質の向上、そして、利用者の利益を守るという観点から、本市でも積極的に第三者評価に取り組む必要があると考えますけれども、どのようにお考えか、お示しをください。

 昨年度、八王子市内で第三者評価を実施した事業所の状況は、特養施設8施設、老健施設では1施設、保育所では3施設、認証保育所では1施設、デイサービスではゼロでした。まだまだ少ない状況です。この第三者評価の重要性と今後の導入の方向についてお答えをいただきたいと思います。

 もう1点、利用者の権利擁護の問題でありますけれども、私は、介護保険が導入されて以来、オンブズパーソン制度の導入を主張してまいりました。権利擁護として不可欠の制度だと考えますけれども、どのように考え、今後計画の中に盛り込んでいくのか、お答えをいただきたいというふうに思います。

 先ほど、基本的な視点の中でバリアフリーの基本構想ができたということも重要な視点だと言われました。現計画でもバリアフリーという言葉を使っておりまして、施設や道路の障壁をなくすということも言われております。先ほど、現計画はおおむね目標達成という高い評価をみずからされておりましたけれども、しかし、具体的に細かなことではたくさんの問題があります。例えば、大横福祉センターはリハビリを行っておりますけれども、とても古い施設で、トイレなどはほかのスリッパなどに履きかえなければならない。そこでリハビリをしている利用者にとっては、タイル張りでとても危険で、足の悪い人にとってはトイレに行くことがとても困難になっている、危険になっているということが利用者から言われております。担当課に問い合わせますと、予算の獲得が困難で改修できないとも聞いておりますけれども、細かくきちんと現状の福祉計画がそのレベルに到達しているかどうかを考えるときには、このような1つ1つの積み上げが必要ではないかと思います。

 おおむね到達しているとして、具体的な数値も、具体的な内容も、そして、これからの課題も一切答弁がありませんでしたけれども、ぜひ新しい計画を策定していく中では、現在の計画がどの水準に達し、そして、どこに問題があるかということをぜひ行政みずからが総点検していただきたいというふうに思います。こうした地域保健福祉計画の現在の細かな、具体的な評価と、そして、あるいはバリアフリーというふうにテーマには挙げても、個々具体的には問題があるということについて、どのように今後取り組んでいくのか伺います。

 以上で2回目の質問を終わります。


◎【市川潔史副議長】総務部長。                            
 まず、個人情報の保護と情報請求との関係についてでございますが、先ほど申し上げましたように、例えば住基法では、4種類ですか、氏名、住所、性別、生年月日、これについては法の中で閲覧できるようになっております。そうした中で現実にストーカー等の防止ということで要綱対応しているものでございまして、すべてのことを個人情報の条例の中での対応というのは十分できないのではないかなというふうに考えております。そうした中では、やはり個々の条例等の中でそれに合った形での対応をした方がより適切だという考えでおります。

 次に、個人情報の適正管理についてでございますが、個人情報の保護に関しましてはあらゆる施策を通じて可能な措置を講じております。具体的には、まず職員については個人情報の適正な管理を行うために職員に対する研修を行っているほか、各課に課長から成る個人情報保護管理責任者、これを置きまして部下の指導、助言などを行っております。

 また、コンピュータの管理につきましては、コンピュータへのアクセスの制限、それからデータの暗号化など技術的な保護措置を講じますとともに、セキュリティー面の対応をするなど、個人情報の保護に努めているところでございます。

 また、当然委託業者につきましても、個人情報を取り扱う事務を委託しようとする場合につきましては、契約書に安全管理、秘密の厳守等、個人情報の保護について必要な事項を明記するなどして、委託業者に個人情報の保護について責任を課しているところでございます。

 それから、防犯カメラのデータについて個人情報の対象となるのかどうかということでございますが、防犯カメラにつきましては施設の防犯上管理設置しているものでございまして、もともと特定の個人を認定するために収集する意図ではありませんし、また、映像についても短時間で消去することなどから、個人情報の条例の対象とはちょっと考えにくいのかなとは思うんですが、引き続き検討させていただきたいと思います。

 それから、オンライン結合についてでございますが、オンライン結合による外部提供については、現行では個人情報を保護する観点から原則禁止しておりまして、あらかじめ審議会の意見を聞いて必要かつ適切と認めた場合に提供することができるとしております。しかしながら、今回国で審議され、決定された制度という形になりますので、これについては市の審議会で再度検討することは制度的に難しい面があるために、法令による場合はオンライン結合できる規定を検討すべきというふうに考えております。  それから、オンライン結合についての総務省の考え方についての私どもの受けとめ方でございますが、総務省の方で言っているのは、一律にオンライン結合を禁止している地方自治体の取り扱いについて見直しを求めているものでありまして、本市におきましても法令による場合以外は今後も保護措置の状況等を検討し、審議会の意見を聞いた上でオンライン結合の可否を判断する方向でいるところでございます。

 それから、死者の個人情報についてでございますが、個人情報保護条例は個人の権利・利益を保護することを目的としておりまして、それができるのは生存する個人であるために、条例の対象は生存する個人となります。したがいまして、死者の個人情報は条例の対象外でございます。ではありますが、死者に関する情報でありましても、相続関係などで遺族が必要とする場合には、遺族等の生存する個人に関する情報という形になりますので、個人情報の対象となるところでございます。  それから、苦情処理、あっせんについての考え方ですが、苦情の処理につきましては個人情報保護法によりまして、地方公共団体は個人情報の取り扱いに関し、事業者と個人との間に生じた苦情が適切かつ迅速に処理されるようにするため、苦情処理のあっせんに努めることと今回の法律でなりました。このため本市におきましても苦情処理の体制について検討していく考えでございます。


◎【市川潔史副議長】総合政策部長。                            
 パブリックコメントについて御質問いただきました。パブリックコメントにつきましては、市民参加あるいは市民参画の手法として極めて重要であるというふうに認識をしております。これを制度化して実施するということにつきましては、整理すべき課題もございます。他市の先進事例も参考にしながら検討してまいりたいというふうに思っております。


◎【市川潔史副議長】高齢者・障害者担当部長。                            
 介護保険制度の見直しの動向でありますが、現在、国では介護保険制度施行後5年目の見直しとして、社会保障審議会の介護保険部会でさまざまな検討がなされているようでして、具体的な案については9月ごろに公表されるようなことを聞いております。

 また、市民の要望につきましては、第3期介護保険事業計画の策定に当たりまして、検討会への公募市民の参加及びアンケート調査等で適切に把握に努めたいと思っております。

 次の、精神障害者への地域生活支援策につきましては、現在実施しております地域生活支援センターでの相談業務や情報提供とともに、グループホームなどの施設への運営補助のほか、就労・生活支援センターでの実績、さらに、この7月から実施いたしますホームヘルプサービスの利用状況などを勘案いたしまして、障害者の地域生活に有効な施策について計画に位置づけていきたいと考えております。


◎【市川潔史副議長】健康福祉部長。                            
 福祉サービスに対しての第三者評価、オンブズパーソン制度導入についてのお尋ねをいただきました。東京都の福祉サービス評価の推進機構から認定を受けました第三者の評価機関が、専門かつ客観的に福祉のサービスの内容や質などを評価するシステム、いわゆる第三者評価システムにつきましては、現時点では検討してまいりたいというふうに考えております。

 それから、主要事業の計画に対します個別の具体的な課題等に対しての点検というお尋ねでございましたけれども、現在この目標、主要事業等につきましては、進行管理、目標管理を行っておりますが、これを行っていく中で確認していきたいというふうに思っております。


◎【市川潔史副議長】第40番、井上睦子議員。                            
 個人情報保護条例の改正の問題ですが、やっぱりオンライン結合の問題についてですが、法令に定めがある場合でも相手方の保護対策が十分でなければ接続できないということの担保はしなければいけないのではないでしょうか。それが昨年6月の総務省の通達の内容になっているわけです。ぜひ、法令に定めがある場合には制度的には無理だということではなくて、法令の解釈権がありますし、今、住基ネットは接続していない市もあるわけです。そしてそれは、総務省は違法だとは言いますが、具体的な制裁処分なり何なりはかけていないわけです。そして、選択制をとっているところもあります。そういったことも考えて、オンラインの結合については法令にある場合も原則禁止となるよう強く求めたいというふうに思いますが、そのことについてお答えください。

 新地域保健福祉計画の問題でありますけれども、第三者評価については検討するということですが、これは導入に向けて検討するということなのか、ただ単に検討するということなのか、お答えをいただきたいと思います。第三者評価の重要性についてはお答えがございませんでしたので、そのこともあわせてお尋ねをいたしますし、オンブズパーソン制度についてもお答えがございませんでした。そのことも御答弁いただきたいと思います。

 計画の策定に当たって、今議会でもさまざまな議員から指摘がありました。介護予防や難病の人への福祉と結合した総合相談の提供、あるいは、子育て支援や虐待の予防策、あるいは、オストメイト対応のトイレの設置やがん検診、あるいは移動の自由の保障、過去にもパワーリハビリや多機能小規模地域密着型の施設の提供など、新しい福祉のたくさんの課題として提起をされてまいりました。このことをしっかりと受けとめて、ぜひ懇談会や審議会で、議会からの提案としてリスト化をして議論の俎上にのせていただきたいというふうに思いますけれども、そのことについてお伺いをして、質問を終わります。


◎【市川潔史副議長】総務部長。                            
  オンライン結合の問題に関しましては、審議会の中でも十分論議された点でございまして、私どもといたしましては答申も踏まえまして対応していきたいと、このように考えているところでございます。


◎【市川潔史副議長】健康福祉部長。                            
 第三者評価の重要性、それから、導入に向けての検討かどうかというお尋ねでございますが、第三者評価の重要性については認識をしているところでございます。

 それから、この第三者評価につきましてどういう方向性でいくのかということを検討していきたいというふうにお答えをいたしました。

 それから、オンブズパーソンについてはどうかというお尋ねがございましたが、今申し上げたとおりでございます。

 それから、議会の関連で、いわゆるいろいろな御意見等をちょうだいしている部分につきまして、リスト化をして反映をというお話でございますが、今回の計画の策定に当たりましては、関連するいろいろな調査や検討も行いますけれども、これに加えまして今のお話の、議会での指摘等も踏まえまして、より実効性のあるものにしてまいりたいというふうに考えております。