◎【萩生田富司議長】
日程に従いまして進行します。
つきましては、日程第1、一般質問を行います。
順次、質問を許可します。
第40番、井上睦子議員。
〔40番議員登壇〕
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それでは、指定管理者制度と行政責任についてまずお伺いをいたします。
自治体が設置する公の施設は、地方自治法第244条の2の改正により、従来の管理委託制度から指定管理者制度に変わり、制度に移行するものは公の施設の管理条例を2006年8月までに改正しなければなりません。7月には、指定管理者制度導入に向けた本市の基本方針が確定しています。現在、高齢者在宅サービスセンターと学童保育については条例が制定され、募集、選定という手続が進行中であります。
私は、指定管理者制度の持つ問題点が大変たくさんあり、それを積極的に推進する立場ではありませんけれども、既に進行している施設について、市民サービスの質の確保、そして手続上の改善を求めて質問をし、同時に、問題点を少しでも克服する制度の提案をしたいと思っております。
基本方針では、指定管理者制度の導入については施設ごとに次のとおり3つに分類をするとして、既に管理委託を実施している施設は、原則として指定管理者制度を導入する。2点目として、新規に開設する施設は、施設の設置目的等を考慮の上、原則として指定管理者制度を導入する。3点目には、直営で管理している施設は、サービスの内容、人員配置等の状況を勘案しながら積極的に検討を行い、指定管理者制度の導入を図るというふうに示されております。すべての施設で指定管理者制度を導入するという基本方針になっています。
この方針では、自治体の事業の民間事業者への委託化、外部化が大規模に進むことになります。公園、市民会館、体育館、公民館、図書館、保育所、児童館、清掃工場や下水道の施設、保健センターなど、住民福祉を増進するための施設すべてが対象となってまいります。
指定管理者制度とは、施設の使用許可権限を持ち、税金でつくった施設で民間会社が利益を上げることができる制度とも言えます。逆に、行政の事務、すなわち公共サービスの委託化や外部化がどんどん進めば、行政責任を軽減し、または放棄するものにつながりかねないという危険性があります。
そこでお伺いをいたしますが、公共サービスにおける行政の責任についてどのように認識をしていらっしゃいますか。まずお伺いをいたします。
指定管理者制度は請負に該当しないため、地方自治法上の首長や議員の兼業禁止規定が適用されません。首長や議員からの影響力を排除し、政治的な中立性を確保し、選定過程の公正さを図るためには、兼業禁止規定を条例化して規制することが必要だとも考えます。この兼業禁止規定が適用されない、そして、ややもすると首長や議員からの政治的な影響力を受けやすくなってくるという問題点にどのように対応されるのでしょうか、お伺いをいたします。
8月26日の東京新聞には、選定方法や基準がはっきりせず、公正な選定ではないという不満の声があるということが報道されています。そして、情報公開請求や異議申し立てのケースが出ているとのことでした。既に行われた高齢者在宅サービスセンター中野の選定では、選定委員会は6名中2名が行政職員でありました。また、選考結果の評定は、大まかな評価項目に対応したものしか明らかにされておりません。中野の場合、基本方針を決定する以前だったという事情があったかもしれませんけれども、会議録の作成も行われておりませんでした。
市民の信頼を得る公正で透明な選定を行うために、まず1点目として、選定委員会は外部委員の構成とし、審査や会議録の公開、そして2点目には、公平な選考基準の作成と市民への公開が不可欠であると考えますが、見解をお示しください。
第2回定例会でも議論となりました外郭団体については、検討組織を設置することになっていますが、整理や職員の処遇という難しい問題が出てまいります。基本的にどのような解決策等を求めているのか。すなわち、当面、外郭団体に指定管理者を限定していくのか、あるいは外郭団体を整理をしていく方向なのか。基本的な方向についてお答えください。
従来の公の施設の管理運営と指定管理者制度の違いの1つに、管理権限があります。施設の使用許可や許可の取り消しに関する業務は、従来の受託者にはできませんでしたが、指定管理者は行うことができます。それでは基本的な利用条件の設定や使用の中止、施設の退去命令、施設整備の点検、過料の賦課、あるいは使用料の強制徴収、また不服申し立てに対する決定、行政財産の目的外使用の許可などという権限について、この権限は指定管理者の権限範囲となるのか、それとも自治体の権限範囲となるのか、お答えいただきたいと思います。
また、利用者に損害を与えた場合、損害賠償を負うのは自治体であるのか、指定管理者となるのか、お尋ねをいたします。
次に、公共サービスが営利を求める民間事業者にまで開放される指定管理者制度では、利用者にとって良質なサービスが確保されるということが重要でもありますが、現在、指定管理者を募集している高齢者在宅サービスセンター長房の募集要項には、第三者評価への取り組みについて書類を提出することになっています。しかし、さきに選定された在宅サービスセンター中野の協定書の中では、第三者評価は義務づけられておりません。サービスの質を確保するため、行政はどのように指導監督を行うのか、そして行政としてのサービス評価の実施や第三者評価の義務づけをどうすべきと考えているのか、今後の対応策をお尋ねいたします。
次に、情報公開の課題についてお尋ねいたします。
情報公開条例では、出資法人に対し、情報公開の努力義務を課しております。学園都市文化ふれあい財団や住都公社、社協も情報公開規程を定めて、事務の公開に努力をしております。従来、出資法人に管理委託していた場合、また、直営の場合はもちろん、行政文書は情報公開の対象となっており、制度は業務運営の透明性を図ることとして行われてまいりました。しかし、指定管理者が民間業者になれば、基本的に民間事業者の事業に関する情報であるとして、非公開情報の対象となる可能性が高いと言えます。指定管理者制度により、民間事業者が管理運営することによって情報公開がされなくなったのでは、市民の監視や透明性の観点からは大きな後退となります。
今議会で審議をされる予定の個人情報保護条例の全面改正案では、指定管理者の個人情報保護の責務を明らかにしています。同様に、情報公開の責務を課すために、情報公開条例を改正し、指定管理者も情報公開の対象とし、協定書に情報公開規定の整備を明記すべきだと考えておりますけれども、どのようにお考えでしょうか、お答えください。
次に、この指定管理者制度が雇用環境に及ぼす影響についてお尋ねをいたします。
この制度は、公共サービスの委託化によって、地域経済や民間労働者の雇用環境に大きな影響を及ぼしてまいります。公共サービスの民間開放を推進する立場からではありますけれども、経済産業省が昨年5月に出したパブリックビジネスの影響に関する研究会報告書では、次のように指摘をしています。地域における働き手へのマイナス効果として、行政部門における雇用機会の減少、民間企業での雇用者数の増加も短時間雇用など不安定な雇用であり、非正規雇用が増加をする。そして、地域経済に対するマイナスの効果では、雇用者所得の減少、財政支出の削減に伴って財やサービス市場における需要減となり、地域経済の低迷、サービスの提供者が大都市の大企業へ集中する可能性があるというマイナス効果を指摘しております。
公共サービスの外部化は、そこで働く人々にも、そして地域経済にもプラスをもたらさないという結果が出ております。雇用政策や労働行政の一端を担っている自治体みずからが、公共サービスの委託化によって不安定な雇用労働者をつくり出すという大きな自己矛盾を発生させることになります。私たちはこうしたことに気づかなければならないのではないでしょうか。そして、この問題を解決しないで、行政改革の視点からだけ指定管理者制度を安易に導入してはならないというふうにも考えております。
現在手続が進行中の施設については、労働者の労働条件について厳密な評価をして、不安定な非正規労働者の人々が増加することのないような対応をしなければなりません。正当な労働条件を確保して、労働契約や労基法上の違反や、労働者への不利益な扱いがあった場合には、協定を解除できるなどの厳しい内容を協定書の中に盛り込まなければならないというふうに考えておりますけれども、指定管理者制度によって経済産業省も指摘をしている不安定非正規雇用者がふえるというこの問題点について、そしてまたそこで働く人々の労働者の労働条件の確保については、市としてはどのような対策を考えているのか。また、こうした問題点については認識をしているのかどうか、お伺いをしたいと思います。
次に、緑地を保全するために、質問をいたします。
1999年3月に、緑の基本計画が策定されております。緑地保全や自然環境の保全など、緑に関する総合的で体系的な計画として、その実現に大きな期待をしてまいりました。しかし、市街地の緑は毎年減少していく傾向にあり、有効な保全策もまだまだ確立されないでおります。今年度は大和田町七丁目の宅地開発に見られるように、市民からも緑地保全の請願が出されたり、それに対応して緑地保護地区の指定を大谷緑地とつながるところにされたというような努力をされていることは評価をいたしますけれども、決して有効な保全策がまだ確立できていないように思います。
緑の基本計画と環境基本計画によれば、1921年、これは大正時代でありますけれども、八王子市の樹林地率は65%でありました。高度成長以降、年々減少していき、1970年には61%、90年には51%に減少しています。その原因は、ニュータウンの住宅地、そして墓地や大学などによる大規模な改変によってこの樹林地率が減少されたということが指摘をされております。97年には47.5%にさらに減少しております。
現在の緑地の状況について、公園緑地、緑地保全地域、緑地保護地区等々、おのおのの現況面積及び増減の傾向とその原因について、まず明らかにしていただきたいと思います。
次に、緑化基金の現状と今後についてお聞きをいたします。
1986年に設立された緑化基金は、黒木開戸緑地など積極的な取得によって緑地保全の役割を果たしてまいりました。しかし、財政状況が悪化をたどる中で、一般財源からの積み立ては93年から全く行われておりません。今年度予算では、積立金は指定寄附金と植樹委託金、積立金利子合わせて213万1,000円にしかすぎませんし、基金の残高は2億8,000万円しかありません。基金は生け垣補助と指定協力奨励金にしか活用されておりません。
環境基本計画では、緑化基金について、緑化基金の有効活用などに重点を置いて緑の保全を進めていく方向が出されています。緑化基金の有効活用を重点に上げ、市民や事業者からの基金への協力を求めても、市が基金の財源を、財政が厳しくても一般財源から積極的に積み立てていく具体性がなければ、積極策がないと言わざるを得ません。緑化基金の現況及び有効な施策を今後どのように展開されていくのでしょうか。そして、基金への一般財源からの積み立ての計画はあるのか、お伺いをいたします。
以上で1回目の質問を終わります。
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