◎【萩生田富司議長】
日程に従いまして進行します。 つきましては、日程第1、一般質問を行います。
 順次、質問を許可します。
 第40番、井上睦子議員。

〔40番議員登壇〕  
 それでは、指定管理者制度と行政責任についてまずお伺いをいたします。

 自治体が設置する公の施設は、地方自治法第244条の2の改正により、従来の管理委託制度から指定管理者制度に変わり、制度に移行するものは公の施設の管理条例を2006年8月までに改正しなければなりません。7月には、指定管理者制度導入に向けた本市の基本方針が確定しています。現在、高齢者在宅サービスセンターと学童保育については条例が制定され、募集、選定という手続が進行中であります。

 私は、指定管理者制度の持つ問題点が大変たくさんあり、それを積極的に推進する立場ではありませんけれども、既に進行している施設について、市民サービスの質の確保、そして手続上の改善を求めて質問をし、同時に、問題点を少しでも克服する制度の提案をしたいと思っております。

 基本方針では、指定管理者制度の導入については施設ごとに次のとおり3つに分類をするとして、既に管理委託を実施している施設は、原則として指定管理者制度を導入する。2点目として、新規に開設する施設は、施設の設置目的等を考慮の上、原則として指定管理者制度を導入する。3点目には、直営で管理している施設は、サービスの内容、人員配置等の状況を勘案しながら積極的に検討を行い、指定管理者制度の導入を図るというふうに示されております。すべての施設で指定管理者制度を導入するという基本方針になっています。

 この方針では、自治体の事業の民間事業者への委託化、外部化が大規模に進むことになります。公園、市民会館、体育館、公民館、図書館、保育所、児童館、清掃工場や下水道の施設、保健センターなど、住民福祉を増進するための施設すべてが対象となってまいります。

 指定管理者制度とは、施設の使用許可権限を持ち、税金でつくった施設で民間会社が利益を上げることができる制度とも言えます。逆に、行政の事務、すなわち公共サービスの委託化や外部化がどんどん進めば、行政責任を軽減し、または放棄するものにつながりかねないという危険性があります。

 そこでお伺いをいたしますが、公共サービスにおける行政の責任についてどのように認識をしていらっしゃいますか。まずお伺いをいたします。

 指定管理者制度は請負に該当しないため、地方自治法上の首長や議員の兼業禁止規定が適用されません。首長や議員からの影響力を排除し、政治的な中立性を確保し、選定過程の公正さを図るためには、兼業禁止規定を条例化して規制することが必要だとも考えます。この兼業禁止規定が適用されない、そして、ややもすると首長や議員からの政治的な影響力を受けやすくなってくるという問題点にどのように対応されるのでしょうか、お伺いをいたします。

 8月26日の東京新聞には、選定方法や基準がはっきりせず、公正な選定ではないという不満の声があるということが報道されています。そして、情報公開請求や異議申し立てのケースが出ているとのことでした。既に行われた高齢者在宅サービスセンター中野の選定では、選定委員会は6名中2名が行政職員でありました。また、選考結果の評定は、大まかな評価項目に対応したものしか明らかにされておりません。中野の場合、基本方針を決定する以前だったという事情があったかもしれませんけれども、会議録の作成も行われておりませんでした。

 市民の信頼を得る公正で透明な選定を行うために、まず1点目として、選定委員会は外部委員の構成とし、審査や会議録の公開、そして2点目には、公平な選考基準の作成と市民への公開が不可欠であると考えますが、見解をお示しください。

 第2回定例会でも議論となりました外郭団体については、検討組織を設置することになっていますが、整理や職員の処遇という難しい問題が出てまいります。基本的にどのような解決策等を求めているのか。すなわち、当面、外郭団体に指定管理者を限定していくのか、あるいは外郭団体を整理をしていく方向なのか。基本的な方向についてお答えください。

 従来の公の施設の管理運営と指定管理者制度の違いの1つに、管理権限があります。施設の使用許可や許可の取り消しに関する業務は、従来の受託者にはできませんでしたが、指定管理者は行うことができます。それでは基本的な利用条件の設定や使用の中止、施設の退去命令、施設整備の点検、過料の賦課、あるいは使用料の強制徴収、また不服申し立てに対する決定、行政財産の目的外使用の許可などという権限について、この権限は指定管理者の権限範囲となるのか、それとも自治体の権限範囲となるのか、お答えいただきたいと思います。

 また、利用者に損害を与えた場合、損害賠償を負うのは自治体であるのか、指定管理者となるのか、お尋ねをいたします。

 次に、公共サービスが営利を求める民間事業者にまで開放される指定管理者制度では、利用者にとって良質なサービスが確保されるということが重要でもありますが、現在、指定管理者を募集している高齢者在宅サービスセンター長房の募集要項には、第三者評価への取り組みについて書類を提出することになっています。しかし、さきに選定された在宅サービスセンター中野の協定書の中では、第三者評価は義務づけられておりません。サービスの質を確保するため、行政はどのように指導監督を行うのか、そして行政としてのサービス評価の実施や第三者評価の義務づけをどうすべきと考えているのか、今後の対応策をお尋ねいたします。

 次に、情報公開の課題についてお尋ねいたします。

 情報公開条例では、出資法人に対し、情報公開の努力義務を課しております。学園都市文化ふれあい財団や住都公社、社協も情報公開規程を定めて、事務の公開に努力をしております。従来、出資法人に管理委託していた場合、また、直営の場合はもちろん、行政文書は情報公開の対象となっており、制度は業務運営の透明性を図ることとして行われてまいりました。しかし、指定管理者が民間業者になれば、基本的に民間事業者の事業に関する情報であるとして、非公開情報の対象となる可能性が高いと言えます。指定管理者制度により、民間事業者が管理運営することによって情報公開がされなくなったのでは、市民の監視や透明性の観点からは大きな後退となります。

 今議会で審議をされる予定の個人情報保護条例の全面改正案では、指定管理者の個人情報保護の責務を明らかにしています。同様に、情報公開の責務を課すために、情報公開条例を改正し、指定管理者も情報公開の対象とし、協定書に情報公開規定の整備を明記すべきだと考えておりますけれども、どのようにお考えでしょうか、お答えください。

 次に、この指定管理者制度が雇用環境に及ぼす影響についてお尋ねをいたします。

 この制度は、公共サービスの委託化によって、地域経済や民間労働者の雇用環境に大きな影響を及ぼしてまいります。公共サービスの民間開放を推進する立場からではありますけれども、経済産業省が昨年5月に出したパブリックビジネスの影響に関する研究会報告書では、次のように指摘をしています。地域における働き手へのマイナス効果として、行政部門における雇用機会の減少、民間企業での雇用者数の増加も短時間雇用など不安定な雇用であり、非正規雇用が増加をする。そして、地域経済に対するマイナスの効果では、雇用者所得の減少、財政支出の削減に伴って財やサービス市場における需要減となり、地域経済の低迷、サービスの提供者が大都市の大企業へ集中する可能性があるというマイナス効果を指摘しております。

 公共サービスの外部化は、そこで働く人々にも、そして地域経済にもプラスをもたらさないという結果が出ております。雇用政策や労働行政の一端を担っている自治体みずからが、公共サービスの委託化によって不安定な雇用労働者をつくり出すという大きな自己矛盾を発生させることになります。私たちはこうしたことに気づかなければならないのではないでしょうか。そして、この問題を解決しないで、行政改革の視点からだけ指定管理者制度を安易に導入してはならないというふうにも考えております。

 現在手続が進行中の施設については、労働者の労働条件について厳密な評価をして、不安定な非正規労働者の人々が増加することのないような対応をしなければなりません。正当な労働条件を確保して、労働契約や労基法上の違反や、労働者への不利益な扱いがあった場合には、協定を解除できるなどの厳しい内容を協定書の中に盛り込まなければならないというふうに考えておりますけれども、指定管理者制度によって経済産業省も指摘をしている不安定非正規雇用者がふえるというこの問題点について、そしてまたそこで働く人々の労働者の労働条件の確保については、市としてはどのような対策を考えているのか。また、こうした問題点については認識をしているのかどうか、お伺いをしたいと思います。

 次に、緑地を保全するために、質問をいたします。

 1999年3月に、緑の基本計画が策定されております。緑地保全や自然環境の保全など、緑に関する総合的で体系的な計画として、その実現に大きな期待をしてまいりました。しかし、市街地の緑は毎年減少していく傾向にあり、有効な保全策もまだまだ確立されないでおります。今年度は大和田町七丁目の宅地開発に見られるように、市民からも緑地保全の請願が出されたり、それに対応して緑地保護地区の指定を大谷緑地とつながるところにされたというような努力をされていることは評価をいたしますけれども、決して有効な保全策がまだ確立できていないように思います。

 緑の基本計画と環境基本計画によれば、1921年、これは大正時代でありますけれども、八王子市の樹林地率は65%でありました。高度成長以降、年々減少していき、1970年には61%、90年には51%に減少しています。その原因は、ニュータウンの住宅地、そして墓地や大学などによる大規模な改変によってこの樹林地率が減少されたということが指摘をされております。97年には47.5%にさらに減少しております。

 現在の緑地の状況について、公園緑地、緑地保全地域、緑地保護地区等々、おのおのの現況面積及び増減の傾向とその原因について、まず明らかにしていただきたいと思います。

 次に、緑化基金の現状と今後についてお聞きをいたします。

 1986年に設立された緑化基金は、黒木開戸緑地など積極的な取得によって緑地保全の役割を果たしてまいりました。しかし、財政状況が悪化をたどる中で、一般財源からの積み立ては93年から全く行われておりません。今年度予算では、積立金は指定寄附金と植樹委託金、積立金利子合わせて213万1,000円にしかすぎませんし、基金の残高は2億8,000万円しかありません。基金は生け垣補助と指定協力奨励金にしか活用されておりません。

 環境基本計画では、緑化基金について、緑化基金の有効活用などに重点を置いて緑の保全を進めていく方向が出されています。緑化基金の有効活用を重点に上げ、市民や事業者からの基金への協力を求めても、市が基金の財源を、財政が厳しくても一般財源から積極的に積み立てていく具体性がなければ、積極策がないと言わざるを得ません。緑化基金の現況及び有効な施策を今後どのように展開されていくのでしょうか。そして、基金への一般財源からの積み立ての計画はあるのか、お伺いをいたします。  以上で1回目の質問を終わります。


◎【萩生田富司議長】 総合政策部長。                            
 指定管理者制度の関係につきまして、8点の質問をいただきました。

 まず1点目ですけれども、行政責任についてどう考えるかという御質問でございます。

 公の施設は、御質問者がおっしゃいましたように、住民福祉を増進する目的で住民利用に供する施設でございます。ここを適正な管理を確保するというのは当然のことでございますけれども、指定管理者制度が導入されましても、施設の適正管理を確保しつつ、住民サービスの向上に寄与するという行政の施設設置という責任は基本的に変わらないものと思っております。

 それから、議員、首長の兼業禁止規定の問題についてでございますけれども、おっしゃったように、指定管理者制度は契約による管理委託・受託の関係から、行政処分による指定管理者への委任、代行となるということから、入札制度の適用にはならないということでございます。また、請負に該当するものではないということから、首長や議員などの親族が指定管理者になることも可能となります。しかし、公正な指定管理者の選定という観点から、この問題については課題の1つというふうに考えているところでございます。

 それから、事業者の選定の問題でございますけれども、これも当然のことでありますが、事業者の選定は公正かつ透明性を持たせる必要があるということから、客観的な選定基準が必要であると考えております。現在、具体的には、庁内で指定管理者の検討委員会でいろいろ詰めておりますけれども、検討をしていきたいと思っております。  それから、公開をするのかということでございますが、選考過程では書類審査、あるいはプレゼンテーションなどを経る場合もあると考えておりますが、公開をするという考え方は今のところ持っておりません。

 それから、外郭団体に関してでございますけれども、外郭団体に現在でも公の施設の管理をゆだねているわけですが、これにつきましては、今までの実績を評価しながら、新たな制度に対応するよう体制の整備が必要であろうと思いますし、また、今後設置する指定管理者の導入課題を整理するために、基本方針の中でも検討組織を設置して、ここで外部の委員も含めた検討をいただこうと思っております。その審議結果を見て対応していきたいと思っております。

 住都公社、あるいはリサイクル公社につきましては、現在も改革検討会で検討しているところでございますから、引き続きこれについては検討をしてまいりたいと考えております。

 それと、指定管理者の管理権限、あるいは賠償責任はどこが負うのかという御質問でございました。指定管理者の権限につきましては、施設の使用許可等でございますけれども、行政財産の目的外使用であるとか、あるいは使用料の強制徴収、それから不服審査に対する決定、こういうものについては権限外と考えております。

 賠償責任につきましては、公の施設の設置または管理上の瑕疵に関する損害賠償責任については、国家賠償法によりまして、一義的には市に責任が生ずることになります。ただ、指定管理者に管理の瑕疵等があれば、市が指定管理者に対して賠償を求めるということとなります。したがって、指定管理者に対して市は必要な指導、監督を行うということでございます。

 それから、サービス評価の問題でございます。第三者評価も含めてお尋ねがあったわけでございますけれども、指定管理者は法によって事業報告を義務づけられておりますし、必要があればさらに報告を求め、実地について調査もできるというふうになっておりますから、施設の形態にもよりますけれども、指定管理の業務評価、これらによって可能というふうに考えております。

 また、指定管理者そのものの評価とは別に、施設担当所管では行政評価が必要と考えております。

 第三者評価につきましては、現在、福祉サービスの評価が先行しておりますので、福祉関係の施設についてはそれらと整合を図る必要があると考えております。制度の導入を促す措置も考える必要があろうというふうに思います。

 それから、情報公開の関係でございますけれども、指定管理者の情報につきましては、事業者本来が持つ情報と、公の施設管理にかかわる情報と、大きく2つに分類ができると思います。そのうち、施設管理にかかわる情報につきましては、これはできるだけ情報公開に対応できるよう検討してまいります。既に実施をしております指定管理者の協定におきましては、情報公開に対応するよう規定をしているところでございます。さらに具体的な取り扱いについては、今後、検討をしてまいります。

 それから、不安定労働者がふえていくのではないかということでございますけれども、例に出されました経済産業省の研究報告書の中でも、確かに「マイナスの経済効果も直面するが」というふうに言っていますが、「総じてプラスの経済効果になる可能性がある」とも言っておりますので、一概に論ぜられないところでございます。管理主体が大幅に拡大され、さまざまな経営形態の事業者が出てくると思われますけれども、そのことによってストレートに不安定労働者が増大していくというふうには考えていないところでございます。

 それから、労働条件の確保の問題でございますけれども、指定管理者の募集において一定の雇用条件を付すことは可能であるというふうに考えておりますが、この中に、例えば職員の身分を担保するとか、そういうものというのは新たな事業者内部の規定に基づくことになるため、身分の担保等のところまで盛り込むことは非常に難しいだろうと考えているところでございます。


◎【萩生田富司議長】 まちなみ整備部長。                            
 私の方からは、公園課が管理している緑地の現状につきましてお答えいたします。

 まず最初に、公園課が管理している緑地でございますけれども、市が土地を所有している、あるいは民間から土地を借用しているもので市が直接管理しているものを言いますが、年度別における緑地の面積でございますけれども、平成13年度末、113ヵ所、139.3ヘクタール、それから14年度末に121ヵ所、145.7ヘクタール、それから15年度末に128ヵ所、165.8ヘクタールでございます。13年度から15年度まで15ヵ所、26.5ヘクタールの増加となってございます。


◎【萩生田富司議長】 環境部長。                            
  同じく、緑地についての御質問にお答えを申し上げます。

 まず、緑化条例に基づく本市の緑地保護地区のここ3年間の推移でございますけれども、平成13年度が面積で約16.4ヘクタール、14年度が16.2ヘクタール、15年度が15.6ヘクタールとなっております。箇所数につきましては、各年度とも同じでございまして13ヵ所でございます。また、本年6月に新たに1ヵ所、0.6ヘクタールを追加指定したところでございます。

 なお、東京都の緑地保全地域につきましては、3ヵ年とも11ヵ所、面積が約60.6ヘクタールで推移している状況でございます。

 次に、緑地の傾向についてでございますが、全体的に面積の減少が進むとともに、所有者の高齢化、労働力不足などにより管理が行き届かない緑地が増加傾向にあるというふうに考えておりまして、その主な原因でございますけれども、都市化の進行に伴う土地利用の進展、あるいは維持管理面での土地所有者の負担増、こういったものが原因にあるのではないかと見ているところでございます。

 続きまして、緑化基金についてでございますけれども、平成11年度には6億7,000万円ありました額が、15年度では4億7,000万円となっておりまして、資金がなかなか集まらないという現状にございます。

 この緑の保全は、私ども環境基本計画におきましても最重点のテーマでございますので、効果的な活用に向けまして、現行の運用方法、財源調達のあり方を含め、さまざまな点から見直しを図っていく考え方でございます。


◎【萩生田富司議長】 第40番、井上睦子議員。                            
 それでは、まず指定管理者制度と行政責任についてお伺いをいたします。

 8項目にわたって御答弁をいただきました。行政の責任ということでは、設置の義務は変わらないということでありましたけれども、設置の義務ということではなくて、市民、利用者にとってサービスを提供していくという基本的な役割と、その質を確保していくということの役割は変わらないと思います。端的な答弁の中にそういった意味も含まれていたのかとも思いますけれども、指定管理者制度によって行政の責任が軽減されていくということではなく、より重くなっていくというふうに受けとめていただいて、行政の責任を自覚をしていただきたいと思います。

 次に、兼業禁止規定でございますけれども、これは公正な選定という点から、課題の1つであるというふうに御答弁がございました。現在、高齢者在宅サービスセンターの長房が今、指定管理者の募集をしておりますけれども、そこでは制限を、首長あるいは議員の兼業禁止の規定は設けていないというふうに思います。それに該当することが本市にあるかどうかはわかりませんけれども、もう既に指定管理者制度の手続が進行している中では、このことについては早急に結論を出さなければいけないのではないかと思いますが、いつごろまでにこの課題の解決をしていくのか、お尋ねをしたいと思いますし、禁止をきちんと条例で明記をするのが政治的な中立性を担保をする、逆に、政治的な立場にある者も、そのことによって疑われないということをきちんとするということも大切だと思いますが、制度として仕組みを整えていくということをぜひ積極的にやっていただきたいと思います。兼業禁止をするということをやることが、政治的な影響力を排除する有効な策だろうと思っておりますので、その点、再度御答弁をいただきたいと思います。

 そして、課題の1つであるというふうに言われましたけれども、その具体的な課題とは、すなわち問題とは、私が指摘をしたようなことだというふうに認識をしているのかどうかもお答えいただきたいと思います。

 公正で透明な選考過程の問題でありますけれども、現在、その選考基準をつくっているということでありました。しかし、書類審査やプレゼンテーションは公開をしないという答弁でありましたけれども、新宿区がことしの3月に環境学習情報センターや、新宿区立の区民ギャラリーの指定管理者を選考しております。これは、1次審査は書類審査でありましたけれども、2次審査は公開プレゼンテーションになっており、プレゼンテーション及び質疑を行って、傍聴者は約30名あったということであります。したがって、プレゼンテーションを公開したとしても、公正な選定手続には何ら支障がないと思いますので、公開はしないということではなくて、他の自治体では既に公開をしておりますので、より透明で公正さを確保するためには、こうした選考過程を、会議録として公開するのではなく、その経過途中を公開していただきたいと思いますけれども、新宿区の例などについてはどのように評価をされますでしょうか、お伺いをいたします。

 外郭団体についても御答弁ございました。したがって、リサイクル公社や住宅・都市整備公社については改革検討委員会の中で検討しているということは、整理を含めての議論があるということで認識をしてよろしいのか。そして、残るは学園都市文化ふれあい財団を今後どのように体制を整備していくのかということに課題は移っているというふうに認識をしていいのか、お伺いをいたします。

 管理権限と賠償責任については、管理権限は指定管理者にも、そして市民に対しても明らかにしていただきたいと思います。使用の許可及び取り消ししか指定管理者はできないわけでありますから、それ以上の公権力の行使ということはできないわけです。しかし、そのことがきちんと担保されていないと、施設を目的外利用して、そこから不当な利益を民間事業者が得るということも考えられますので、きちんと指導をしていただきたいというふうに、これは要望をしておきます。  賠償責任については、第一義的には市に責任があるということでした。市民と指定管理者とのトラブルが発生した場合、市民が困難な状況に陥ることのないよう、市がきちんとした責任をとるよう、これも求めておきたいと思います。

 第三者評価の義務づけについてでありますけれども、制度の導入を促すということでありますけれども、それは制度の実施とはまた異なっております。私は協定書の中に第三者評価の義務づけを明記していただきたい。特に福祉については、東京都の評価機構がその基準を確立しておりますので、このことも民間事業者に対するサービスの質の確保、すなわち、市民にとっての利益になるわけですから、ぜひ実施を義務づけていただきたいと思いますけれども、制度の導入を促すのと義務づけとは違うのか、それとも義務づけという意味なのか、お答えください。

 情報公開の問題についてです。既に協定書の中ではそれに対応しているということでありましたけれども、学童保育所と高齢者在宅サービスセンターの協定書を見てみますと、微妙に違います。高齢者在宅サービスセンター中野の管理に関する協定の中では、情報公開について、乙は、センターの管理を行うに当たって、前条に規定する個人情報にかかわるものを除き、保有する情報の公開を図らなければならないというふうな規定がございます。

 学童保育の方では、学童保育所の管理を行うに当たって、甲の指示に従い、保有する情報の公開を図るため、前条に規定する個人情報にかかわるものを除き、情報公開に関する規定を整備しなければならない。そして2項として、前項の規定によって情報公開に関する規定を整備するに当たっては、甲の承認を受けなければならないというふうに規定をしています。

 学童保育所は社協との契約、協定でありますので、社協は既に情報公開規程をつくっているというふうに伺っています。中野の方ではその規定をつくることは求めておりません。私は、情報公開の規定を入れるとするならば、学童保育に盛られたような、事業者自身が、指定管理者自身が情報公開に関する規定を整備すること、すなわち情報公開条例の中において出資法人等に求められている情報公開に関する規定の整備を、協定書の中でもきちんと求めていかなければ、これは実効性がないと思います。

 同時に、情報公開条例も、その指定管理者の責務としてこの条文を組み入れることが必要だと思いますけれども、その2点について、再度御答弁をいただきたいと思います。

 情報公開条例の改正の問題については、1回目の答弁では漏れておりましたので、御答弁をお願いしたいと思います。

 雇用労働者の雇用条件の厳密化の問題でございます。先ほどの経済産業省の報告書の中で、マイナスもあるけれども、プラスの効果も考えられるということでありますけれども、地域経済や地域における働き手の立場から見れば、プラス効果というのはそんなにはありません。プラスとマイナスの条件次第では、プラスに転じる可能性もあるということが言われているだけであって、この条件をきちんと整えなければ、不安定な雇用状況の人たちがたくさんたくさん生まれてくるということになるのではないでしょうか。

 今まで公共サービスでは、公務員という立場から、終身雇用といいますか、それが保障され、一定、皆さんの努力によってきちんと生活できる水準というものが確保されてまいりました。しかし、小泉構造改革以降、正規労働者と非正規労働者の割合は、正規労働者がどんどん減り、非正規労働者がふえているという状況にあります。指定管理者制度を導入するのは、サービスの質が上がるということが目的のように言われていますけれども、実は自治体の財政負担を軽減するということもまた大きな1つの目的ともされております。自治体の財政負担を軽減するということは、その少ない経費によって民間企業が利潤を生み出すとするならば、それは働く人たちの賃金や労働条件というものを切り下げなければ立ち行かないわけです。それは、そのような傾向にはないというようなことでもありましたけれども、この間、八王子市の中でも行政改革が進みましたけれども、嘱託職員やパートの人たちというのは、正規職員が減少するに従ってふえているのが現状ではないでしょうか。生涯学習スポーツ部は正規と非正規の数は逆転をしていると思います。

 ですから、この問題は、端的にそうとも言えないということではなくて、自治体は財政の圧縮、財政負担を軽くしていくということも1つにはあるかもしれませんけれども、一方では、地域の雇用を守っていく。創出をしていく。そして、社会的な価値といいますか、労働者の人たちがきちんとした労働条件の中で、きちんとした生活が送れるということを、きちんと保障していくという行政の役割もあるわけです。ですから、この導入に当たって、こうした不安定な働く人たちがふえないということをぜひやっていただきたいと思います。現在もう手続が進行しているサービスの内容については、働く人たちの雇用労働条件を守るということを工夫して、身分の保障の担保をぜひともしていただきたいというふうに、これは強く要望をしておきます。

 私は以前にも取り上げたことがございますけれども、公契約の問題です。今、新しい議会の指定管理者制度が入ってまいりましたけれども、自治体が発注する公共事業や業務委託について、何もかにも事業者の自由競争に任せていいということではなくて、地域の労働者の労働条件の健全な水準を維持する、公正な労働条件を確保するという意味で、生活賃金条例や公契約条例というものを以前提案をしたことがございます。こうした制度もあわせて、自治体として、今、指定管理者制度を導入している施設については、不安定な身分の人たちが増大しないような対策、先ほど言いました生活賃金条例や公契約条例というものをぜひ視野に入れていただいて、新しい制度設計をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。

 そして、法改正が行われて規制緩和も大変進んでおりますので、この状況は、好むと好まざるとにかかわらず、大規模な形で進行していくということが予想されます。しかし、八王子市が基本方針として示した3つの方針に大胆に進むのではなく、現在の委託をしている施設について徐々に導入が始まってきているわけですが、それの問題点なり成果なりをきちんと検証して、第2段階、第3段階に移るのは慎重に行った方がよいというふうにも思います。

 また、指定管理者制度は非営利の市民活動団体やNPO法人がなるというのは、市民との協力や、利用者へのよりよいサービスの提供という意味から、一定の評価をされる部分もありますけれども、そういった点も含めてきちんと、成果といいますか問題点を評価して、慎重な対応をしていただきたいと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

 そして、先ほど首長、議員の兼業禁止規定の問題について、これからの課題であるということで、少し希望が持てるかなというふうに思っておりますけれども、もう一つ、制度として提案をしたいのは、内部告発制度でございます。ことしの6月、公益通報者保護法が成立いたしました。自動車や食品、電力会社などの不正行為が明るみになったのは、内部告発がきっかけでした。外部委託化が進み、そして指定管理者制度などが導入されてきて、透明で公正な選考を経なければならないという中で、内部での不正や違法な行為があった場合には、内部から告発をし、自浄作用をつくっていくという制度です。千代田区や横浜市では既に導入されておりますけれども、こうした制度もあわせて、透明で公正な行政運営ということも仕組みとしてつくっていかなければならないのではないかと思います。

 ただいま申し上げました内部告発制度や、あるいは公契約条例や生活賃金条例、そしてまた、この指定管理者制度は慎重であるべきだということに関して、担当の田中助役としてはどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。

 総務企画委員会の審議の中では大変いい議論ができたというふうに、私ども議会の審議を評価されておりましたけれども、この制度の導入に当たって何に慎重にならなければならないのかということを明らかにしていただきたいと思います。

 次に、緑地保全について伺います。

 環境部長から御答弁がございましたように、緑地は減少傾向にあるということであります。公園課や緑地保護地区、あるいは緑地保全地区、一定の制度と都市計画の中で管理されているものはふえているという傾向にありますけれども、その対策が打てていないところは減少しているということが明らかになりました。緑の基本計画が策定をされて既に5年が経過をしています。計画の実効性の検証のためにも緑地調査が必要でありますけれども、調査の必要性とその時期についてお答えをいただきたいと思います。

 緑地の喪失の原因は、墓地や住宅建設だということが緑の基本計画にも書いてあるわけです。今後は大規模なショッピングセンターや物流基地などの開発も予定されておりますけれども、市街地の緑地開発が行われる場合、開発指導との事前協議が業者との間では行われます。こうした情報は、緑地保全や環境政策の担当部署へ連絡協議という体制ができているのでしょうか、お伺いをいたします。

 事前協議が調い、許可という段階では緑地の保全は不可能であります。できるだけ地権者の協力を得られるよう、事前の段階で情報を把握し、対応がとれるよう、関係部署の協議・連携の体制を整える必要がありますが、今後の対応についてお答えください。

 緑化基金については、今後の重要な課題であるというふうな認識が示されました。ぜひ緑化基金の充実に向けて御努力をお願いしたいと思います。

 緑地保全の有効な対策は、公有地化でありますけれども、東京都の緑地保全地域への指定はなかなか今後は進みそうにありません。また、市の緑地保護地区の制度も、地権者の相続問題等が発生した折には、その継続が難しくなってまいります。緑化基金に積み立て、その基金を活用して公有地化することが第一義的には必要であります。緑地を守りたいと願い、活動している皆さんからは、トラストで緑地を守れないだろうかという声があります。市民もその負担をする気持ちが強いということを感じております。

 私も以前、ナショナルトラストについて質問をいたしました。その折の答弁は、緑地保全について市民との協力が重要であり、トラストもその方法の1つである。体制づくりや運用方法など、十分検討する事項があるとのことでした。その後、トラストの体制づくりなどについてどのような検討がされてきたのか、お伺いをいたします。

 さて、緑地の公有地化の財源調達の手段として、市民債、住民参加型ミニ市場公募債の発行について提案をしたいと思います。

 2002年度から地方債計画において創設された住民参加型ミニ公募債は、自治体において積極的に活用されております。事業実施のための財源を確保する方法として、地域住民に発行するものでありますけれども、市政に対する市民の関心を高め、財政面からの市民参加を進めるものといわれています。市民が資金を提供することは、政策への合意と共感を得られるということになります。

 黒須市長は、水と緑を守ることを重点施策であるというふうに伺っております。緑地の保全の重要性についての認識と、公有地化のための資金調達の手段や仕組み、あるいはミニ市場公募債の発行などについて、どのようなお考えをお持ちか、お尋ねをして質問を終わります。


◎【萩生田富司議長】 総合政策部長。                            
 指定管理者制度に関係して、私に5点の質問をいただきました。

 まず、兼業禁止の関係でございますけれども、いつ結論を出すのかというような御質問でございます。

 お話にありましたように、高齢者在宅サービスセンター、それから、これからになりますけれども、学童保育所の公募に入ってまいります。そういうことがございますので、そういうものに間に合うように、できるだけ早く結論を出したいと思っております。

 それから、選考過程の公開の問題でございますけれども、新宿区の例についての評価はということですが、新宿区の例を、私、承知をしておりませんで、初めて聞いたわけですけれども、選考に当たって、そういう選考の対象になる団体あるいは事業者が、例えばプレゼンテーション等の中で、順番であるとか、あるいはそれぞれのノウハウを持っているということからの特殊性とか、そういうものをどこまで引き出せるかとかいうようなこと等で、いろいろ選考過程の中で公開をするという考え方もあるでしょうけれども、逆に、公開をしないことによってその辺が十分引き出せるというようなこともございますので、現在は公開というのは考えていないところでございます。

 それから、外郭団体に関して御質問がございました。住都公社であるとか、あるいはリサイクル公社の改革をどうするのかというのは、別途検討しているわけですけれども、その問題と、ここでの指定管理者制度に対する外郭団体への指定管理のあり方というのは別のものだというふうに思っておりますし、ふれあい財団については、現在、改革の検討課題というふうにはしていないところでございます。

 それから、第三者評価の関係で、明記をすべきだというような御提言でございましたけれども、第三者評価の基本というのは、サービスを提供する指定管理者みずからの意思に基づくものというふうに考えておりますので、そういう意味で、制度の導入を促す措置も考える必要があるというふうに御答弁を申し上げたところでございます。

 それから、情報公開の関係ですけれども、高齢者と学童保育について微妙に違うということはございます。そのあたりの条例の体制整備はしていく必要があろうかと思います。

 それから、指定管理者によりまして情報管理のあり方に温度差が相当あるというふうに思いますし、想定をしておりますので、情報公開に関しては、その制度の運営を進めながら充実をさせていきたいと思っているところでございます。


◎【萩生田富司議長】 環境部長。                            
 緑地についての御質問にお答えを申し上げます。

 まず、緑地調査についてでございますけれども、本市では平成11年度に緑の基本計画を策定いたしました。この計画の中間年次に当たります17年度に緑地の調査を予定しておりまして、こうした調査を通しまして、今後の緑化施策に反映し、環境基本計画、ゆめおりプランの実現を目指す考え方でございます。

 次に、開発が起こった場合の庁内連携についてでございますけれども、日ごろより緑地保全に関する情報収集に努めるとともに、庁内の関連部局との調整を図っているところでございます。環境保全、緑地保全という立場から、今後ともより一層これらの対応を充実させまして、実効性の高い体制づくりを目指していく考え方でございます。

 続きまして、公有地化の手法といたしまして、トラスト制度のお話をいただきました。私ども先進事例の情報収集等に努めたところでございますけれども、なかなかそうした事例の中では資金が集まらない、運用が困難というような課題が指摘されているところでございます。現状では、こうしたことから実施に向けては困難性が伴うというふうに考えております。


◎【萩生田富司議長】 田中助役。                            
 指定管理者制度についてお尋ねをいただきました。この制度の導入の背景でございますけれども、これまでの疲弊した行政システムの見直しはもとより、規制緩和によりまして、低成長時代における公共サービスの担い手を拡大して、地域経済に活力をもたらそうというような背景もあるというふうに理解をしております。この導入に当たっては、慎重かつ大胆にやる必要があると思っておりますけれども、市民サービスの低下があってはならないわけでございますので、一定、成果を検証することも必要だろうと思っております。

 次に、公契約でございますけれども、この制度導入によりまして、従業員の労働環境の悪化を心配なさるお気持ちはわからないわけではありませんけれども、賃金については最低賃金法などにより守られているものというふうに認識をしております。民間企業等における労務関係は、事業者と従業員との間で決定されるものでございまして、発注者側である私どもが関与をしたり立ち入ったりすることは、決して好ましいことではないと思っております。

 特に公契約制度につきましては、既に半世紀前にILOが94号条約として批准をしていることは承知をしておりますけれども、これについては、しばらくは国の動向を見守らざるを得ないと思っております。

 それから、内部告発の制度についてもお尋ねをいただきました。御案内のとおり、ことし6月に公益通報者保護法が成立をいたしまして、18年の春ころ施行の見通しということでございます。御質問者の中にも御紹介がございましたけれども、既に都内では千代田、中野、目黒、杉並など幾つかの区が制度化をしております。その多くは、通報の真偽あるいは守秘義務などの課題に柔軟に対応できるよう、要綱設置でスタートをさせております。本市ではまだ差し迫った状況にはないというふうに思っていますけれども、行政の倫理性の重要度からも、制度化が必要だというふうに判断した場合には、速やかに対応してまいりたいと思っています。


◎【萩生田富司議長】 黒須市長。                            
 40番、井上睦子議員の私に対する質問にお答えをいたします。

 市街地の緑地の保全についてでございますけれども、言うまでもなく、市街地に今も残る緑地は、市民共有の貴重な財産であります。ただ残念なことに、年々減少していることも事実でございまして、市民、事業者とともにその保全を図っていく必要性を痛感いたしているところでございます。一度失った緑の回復というものは、極めて困難なことでありますから。

 私はかねてから、住民参加型の市民債を発行して緑地を保全していく、この施策が有効だというふうに考えております。というのは、実際に今、東京都や市の保全策がございますけれども、これは地権者の協力をいただかなければいけないということもありまして、究極の保全策というのは公有地化をすることだろうと思っておりまして、過日行われましたタウンミーティングにおきましても、そのような趣旨をきちんとお答えをいたしております。もう既に公募債の発行につきまして、その具体的な内容を所管に検討させているところであります。