◎【萩生田富司議長】 次は、第40番、井上睦子議員。
〔40番議員登壇〕
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それでは、ネット・社民を代表して質疑を行います。
まず、第75号議案、八王子市一般会計補正予算(第2号)についてお伺いをいたします。
まちづくり交付金については、交通バリアフリー道路特定事業など約5,000万円が今回計上されました。このまちづくり交付金は今年度から新しく創設された制度で、市町村の自主性や裁量性を大幅に取り入れた助成措置として評価がある一方、全国知事会は、まちづくり交付金は税源移譲に比べ不完全な改革であると指摘をしています。真の意味での三位一体改革は、省庁に権限が残る交付金ではなく税源移譲であり、公共事業の削減においてこそ税源移譲であるとの主張からであります。国の三位一体改革の内容は、国庫補助負担金と地方交付税の削減を先行させ、税源移譲は中途半端なものでありました。それは、負担を地方に押しつけるだけのものです。市長は、まちづくり交付金について裁量性があると評価をされておりましたが、地方分権を推進する立場からは、交付税ではなく地方への税源移譲がされ、自治体の裁量と創意工夫を生かせる真の改革を追求すべきだと考えております。
さて、6月に採択された内容は、広域拠点形成地区で総事業費88億3,400万円のうち、交付金は27億円、高尾駅周辺地区の総事業費では36億3,700万円のうち14億円であります。2007年度、2008年度の事業は、詳細が確定をしていないため変更もあるということでありますけれども、この2地区の総事業費124億7,100万円の財源構成、すなわち地方債の発行額及び一般財源充当額をお示しください。
関連事業として、広域拠点形成地区では地方単独事業が21億円あります。ゆめおりプランでは、地方債の発行額を10年間で約800億円と見通しています。財政白書では単年度に80億円の発行額だとしています。この計画も税収の見通しで変化をいたしますが、この事業によって地方債の発行が増大をし、地方の負担の増加と他の事業の圧迫につながる危険性はないのか。2006年度までの3年間の実施計画はございますけれども、2007年度以降は市側も不確定であるというふうに認めているように、それ以降の地方債の発行管理をどのようにしていくのか、不確定な中でのまちづくり交付金と、その事業計画というのは、地方債の増大化を招かないのか、お伺いをいたしたいと思います。
次に、福祉サービス第三者評価についてお伺いをいたします。
東京都は全国に先駆けて福祉の第三者評価の機構を準備し、特養ホームや保育園などでは積極的に評価を受ける福祉事業所が増加をしています。市の支出金で、今回、認証保育所と痴呆対応型のグループホーム、共同生活の介護住宅について第三者評価を実施するということになりました。市は、この第三者評価の意義と制度の目的をどのようにとらえているのか、あらためてお伺いをいたします。痴呆性高齢者グループホームや認証保育所を対象とした理由について、先ほど、この制度を定着させること、そして、競い合いをさせることだとの御答弁でありましたけれども、この認証保育所の制度なり、また痴呆性高齢者グループホームが行っている事業について、利用者からの不安感やさまざまな要望があって、こうした事業が選定されたという理由が一方ではあるのではないかというふうに考えますけれども、そうした理由はあったのでしょうか、お伺いをいたします。
3点目には、福祉サービスの第三者評価というのは、先ほど、監査でもなく、いわゆる利用者の立場からの評価、第三者の立場からの評価として意義があるという理由でございました。市でもさまざまな福祉サービスを実施しておりますけれども、認証保育所や痴呆性高齢者グループホームだけに限らず、市の施設でもこうした第三者評価を実施するということは、私は必要であろうというふうに思いますが、その点についてのお考えをお示しください。
次に、保健所事務移譲関連経費についてお伺いをいたします。
提案説明では多摩地域の市町村と東京都との協議が整って、6項目の事務が移譲されるということの説明がありました。この6項目の事業は申請書の受理だけであって、その権限は移譲されておりません。この6項目の事務が移譲される背景というものはどこにあったのか。そして、現在、保健センターはとても狭隘で、利用者で込んでいるというふうに言われておりますけれども、本当に市民にとって利便性があり、事務の効率化になるのかどうか、お伺いをいたします。
東京都の支出金は1,148万円でありますけれども、職員体制は十分なのでありましょうか。幼児の訪問指導保健師などは嘱託ではなく正規の職員できちんと対応した方がよいというふうに思いますけれども、お伺いをいたします。
それに関連して、保健所の移管の協議の進行状況についてお示しをいただきたいというふうに思います。事務の移譲ではなく、真に市民にとっての保健・医療の体制が準備をされるというのは、保健所の事務をどのように自治体が担うかということにもかかわってくるというふうに思います。この保健所の移管については、その方向性がまだ定まっていないとして、地域保健福祉計画の審議会などは、まだ出発をできていない状況でもあるというふうに聞いておりますけれども、そうした保健所移管の協議の進行状況についてお示しいただきたいというふうに思います。
次に、緊急地域雇用創出特別補助事業についてお伺いをいたします。
高尾山一丁平桜並木の保全など4事業で5,214万円が計上をされており、今年度の緊急雇用での金額は3億3,600万円になります。この緊急地域雇用創出の事業は99年度からの事業で、今年度で収束をするというふうに聞いております。6年間の補助事業の雇用創出の成果と、4事業での今回の雇用創出はどのようなものがあるのか、お聞かせをいただいたというふうに思います。また、この雇用創出の補助金を活用して、迷惑駐車防止の指導員などさまざまな事業が継続をして取り組まれてまいりました。今年度で収束をするとなりますと、来年度以降、こうした事業はどのような形で継続をされていくのか、お伺いをいたします。
次に、第78号議案、八王子市個人情報保護条例設定についてお伺いをいたします。
1996年に制定された現在の個人情報保護条例は、公正かつ適法な手段での収集と、本人からの直接収集を原則としており、オンラインの結合やセンシティブ情報は原則禁止となっています。例外的にそうした収集を行う場合は、第三者機関の意見を聞くことが義務づけられております。昨年成立した行政機関個人情報保護法は、個人情報の利用や目的は、相互の関連性があれば広く認められ、目的外利用や提供も広範に許されております。不開示情報も多く、本人情報の開示、訂正請求権が及ばないという例外も多く、思想信条に関する情報の収集禁止も定められていません。本市の個人情報保護条例は、当時においても、また、今日においても大変すぐれた条例と言えます。2002年に稼動した住基ネットをめぐる矢祭町や国立市など、また横浜市などの自治体の対応や市民からの異議申し立ては、個人情報の重要さは言うまでもなく、自己情報のコントロール権の保障について大きな提起をいたしました。
条例改正に当たって、6点の改正点が先ほど市長から説明をされましたが、まず、条例の目的についてお伺いをいたします。プライバシーの権利とは、急速に進む情報化の中で、今まで私生活をみだりに公表されない、そっとしておいてほしいという権利から自己情報のコントロール、すなわち自分にかかわる情報を開示する範囲を選択すること、またはコントロールする権利ととらえ直されてまいりました。住基ネットの選択性を導入した横浜市などは、この自己情報コントロール権の考えに基づいています。条例の全面改正に当たり、第1条の目的は変わらないで同一であります。第1条は個人情報の開示、訂正、削除、利用等の中止を請求する権利を保障し、個人の権利利益を保護し、基本的人権の擁護をうたっております。この間、発展をしてきた基本的人権の擁護とあわせて個人情報コントロール権の保障をこの目的に明記すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
次に、第4条から第6条に、実施機関、事業者、市民の責務が規定をされております。事業者と市民の責務については、個人情報の保護に関する市の施策に協力するよう努めなければならないとの条文が新たに加わりました。これによって具体的には市民や事業者にどのような努力義務が課せられたのか、また、不利益につながることは直接ないのか、お伺いをいたします。
次に、実施機関の義務として、第2章から第4章に、個人情報の収集、管理、利用、提供について定められております。これは、現行条例と基本的に変わりませんが、これまで8年間の実績をお尋ねし、条例の理念と現実の運用の乖離がなかったかを検証したいというふうに考えます。よい条例があっても、守られていなければ、個人情報がきちんと保護されているとは言えないからであります。第7条2項は、思想、信教、信条に関するもの、そして、社会的差別の原因となる、またはなり得る事実に関するものの個人情報の収集を禁止しております。そして、例外として法や審議会が認めた場合は収集できるとしています。この条文は具体的にどのような情報を想定しているのか、お伺いをいたします。また、この規定に反して思想・信条に関するもの、社会的な差別の原因となるというような情報を市は収集したことはなかったのか、お伺いをいたします。また、審議会が認めて収集した案件はあったのか。あったとすれば、どのような内容なのか、お伺いをいたします。
次に、第10条、第11条は、実施機関の個人情報の適正な管理を定めています。過去において学童保育所でお絵かきに利用された紙に、市民の個人情報が記載されていたという事故がありました。他に個人情報の管理にかかわる事故はどのようなものがあったのか、お伺いをいたします。また、適正管理ができているのかという検証はどのように行われているのか。そして、今後、その検証はどのように行うのかもお聞きをいたします。
第12条、第13条は、個人情報の目的外利用及び外部提供の制限を定めています。条例に反して目的外利用、外部提供した事実はなかったのか、お伺いをいたします。また、審議会が認めて提供した内容については、先ほど目的外利用については御報告がございましたので省略をいたしますが、外部提供についてはそういうことがあったのかどうか、お伺いをいたします。具体的には、教育委員会と警察との生徒の情報の交換の問題などはこのことに入るのではないかというふうに思いますが、こうした外部提供の事実についてお答えください。
次に、受託者の責務についてお伺いをいたします。
第11条では、委託等に伴う措置として、指定管理者は個人情報の保護に関して必要な措置を講じなければならないと明記をされており、今回の改正点でもあります。また、45条、57条、59条には受託者等の責務、または罰則が規定をされております。指定管理者制度の導入によって、民間事業者が大量に市民の個人情報を扱うようになります。福祉サービスではセンシティブ情報も入ってまいります。厳しい個人情報の管理と秘密を保持することが必要であります。例えばある自治体の例では、斎場の管理運営を受託していた事業者が、死者の情報を他に提供した。これは墓地の開発業者に提供したということでありますが、大変大きな問題になりました。指定管理者が、特に福祉サービスなど個人情報をみずから担う他の事業に利用することは可能であり、事業者にとっては本当に欲しい情報でもあります。こうしたことは決してあってはなりませんが、今回の条例改正によって、指定管理者の責務とは具体的にどのような行動を指し、その実効性をどのように担保をしているのか、お伺いをいたします。
次に、不開示情報についてであります。個人情報の開示義務は第16条に定められています。開示しないことができる個人情報から、原則として開示の義務があると定めたことは評価をいたします。しかし、その原則とは異なり、現条例と比べて不開示理由が拡大をしています。現条例の不開示理由は5項目でしかありませんが、改正案では8項目になり、詳細な記述となりました。例えば第16条5項は、開示することにより、人の生命、健康、生活、または財産の保護、犯罪の予防、その他公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれがある情報は非開示となります。現条例にはありません。これは具体的にどのような情報が非開示となるのか、お示しをいただきたいというふうに思います。これは、情報公開条例においての不開示情報と表現を統一したものと言われています。しかし、情報公開は市民が行政の施策について知りたいときに請求をいたしますけれども、個人情報は、本人が個人の権利、利益を守るために請求をするものです。おのずと請求する目的と情報の対象は異なってまいります。基本的人権の擁護を目的とする条例であれば、非開示情報は限定的でなければならず、拡大されてはなりません。改正案は現条例に比べてどのような個人情報が非開示となっていくのか、明らかにしてください。
第13条のオンライン結合による提供の制限についてお尋ねをいたします。先ほどの質問者からもありましたように、現条例は原則としてオンライン結合を禁止しており、法令にある場合でも審議会の意見を聞いて、認められたときは結合できるとしています。具体的な例では、住基ネットのオンライン結合がそうでありました。しかし、改正案ではオンライン結合は原則禁止ですが、法令に定めがある場合は、審議会の意見を聞く手続を省略いたしました。これは大変大きな問題であります。オンライン結合は外部提供の相手先の保護策が万全でなければ、提供した個人情報が流出していくという危険性が大きくなってまいります。情報化の進展は、大量の個人情報が瞬時に収集され、処理され、そして提供することができるというものです。個人情報の提供、利用の形態としても、また、情報の漏えいや不正利用といった個人の権利、利益を極めて侵害するリスクが高い、こうした外部オンライン結合には極めて慎重な判断が求められると思います。法令にある場合であっても、相手方のセキュリティー対策に確信がなければ、とても危険であります。それに加えて、基本的には法令に根拠がある場合についても、自治体には独自の法令解釈権があります。したがって、安全性等の確認も含めて審議会の意見を聴取すべきであります。自治体の法令解釈権については、市はどのように考えているのか、お伺いをしたいと思います。
住民基本台帳法では、住民票の大量閲覧が認められておりますけれども、個人情報保護の立場からは、大量閲覧を規制する要望が全国の住基事務取り扱い者の会議からも出されております。熊本市では条例で大量閲覧を禁止しました。このように法で定められているものがあっても、正しいということは限りません。したがって、オンライン結合については、現条例のように法令にあるものも審議会の意見を聞くべきですが、御見解をお伺いいたします。さきの答弁では、答申書がそう出たからということでありまして、市側の積極的な判断はなかったということになります。私が先ほど指摘をいたしました危険性については、どのように防ぐ手だてがあるのか、お伺いをしたいと思います。
次に、第82号議案、八王子市サーチライト等の使用規制に関する条例設定についてお伺いをいたします。
サーチライトの使用規制を求める条例設定については、先ほども市長からも御答弁があり、また、新聞報道などでも評価をされております。市民や町会からの要請に早急に対応されたこと、そして、私どもの会派からも川村議員が6月議会で条例設定を求めました。大変早い対応にお礼を申し上げたいというふうに思います。地球温暖化の防止や住民の環境を守るという意味からも、条例が効果を発することを期待しています。既に2店舗のサーチライトは停止されているということでありますが、条例の効果が継続することを願っております。
条例策定に当たって、1点だけお尋ねをいたします。私どもはかねてよりパブリックコメントを求めてまいりました。今回のサーチライトの使用規制は市民からの要請でもありましたので、原案を市民とともに協議しながら作成をしていくという市民の意見の反映の機会があれば、よりよかったのではないかというふうに思いますけれども、どのように条例策定に当たっては対応されたのか、お伺いをいたします。
最後に、第83号議案、八王子市先端技術センター条例設定についてお伺いをいたします。
第3条にセンターの4事業が定められています。共同研究開発及び試作の場を提供すること、測定や分析、評価等の工業技術の支援に関すること、製品化、事業化等に向けた支援に関すること、4点目としては、3つ以外のことにも市長が認められた事業というふうになっております。条例ではこうした項目を支援するということに規定をされておりますけれども、具体的な条例の中身は、場の提供ということの可能性は見出せますけれども、具体的な技術の支援、あるいは能力開発の支援といったことでは、マンパワーと資金が必要となってまいります。先端技術センターが設置目的を達成するための人と経費は今後どのように準備をされるのか、お答えください。
以上で質疑を終わります。
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