◎【萩生田富司議長】 第40番、井上睦子議員。
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それでは、2回目の質問を行います。
まず、女性への暴力の根絶に関してですが、相談から自立支援に至るさまざまな対応策をお伺いいたしました。DV被害者の二次被害をなくすために、今後研修をきちんとやっていただけるということなので、よろしくお願いをしたいというふうに思いますが、二次被害の苦情受け付けの体制はどうなるのかということについてお伺いをしたいと思います。改正DV法は第9条の2で、苦情の適切かつ迅速な処理を求めています。本市での苦情の受け付け期間、その対応、結果の公表などについて、現在、制度化はされておりませんけれども、現在のところ、こうした問題があったときにどのように対応されているのか。また、今後、法が定める適切かつ迅速な処理について、どのような体制をとっていくのか、お伺いをいたします。
次に、母子相談員、婦人相談員の体制について伺います。
来年の3月をもって三多摩地区に東京都から配置をされている婦人・母子相談員の一斉引き揚げがされるというふうに聞いておりますけれども、この理由及び東京都との協議、来年度の体制についてどうなるのか、お伺いをいたします。
次に、保険証の交付について、国民健康保険も、また社会保険の方も住民票の移動なしに交付をできるという体制がとられているようでありますけれども、厚労省はあす、各社会保険の事業者に対して、DV被害者については夫に知らせないで離脱証明を発行するよう通知をする予定であるそうです。そして、こうした情報をしっかりと市としては国保の窓口や男女共同参画センター等で市民に対して情報提供をし、被害者の保護のためにきちんとした対応をとっていただきたいというふうに、これはお願いをしておきます。
学校でも子どもが仮名でも登校できる、また、転出校への連絡体制についても配慮がされているようです。ぜひ、現場レベルでさまざまな情報が漏れないよう、今後もしっかりとやっていただきたいというふうに思います。
児童手当の問題です。御答弁がございましたように、夫の受給資格は夫自身が放棄をしなければ母親の方に児童手当が振り込まれないという問題があります。これは大変なトラブルになる問題でありますけれども、実際は、生活実態としては母の扶養になっているわけで、子どもが母の方に扶養されていても夫の方に児童扶養手当が支給をされているとすれば、それは不正受給ではないかと私は思います。経済的に困難を抱える被害女性が避難をした先で生活をしていくためには、児童手当はとても大切なものです。生活実態として母親が子どもを扶養しているという実態がある場合には、このことを根拠として夫の資格喪失を強制的にできるよう厚労省への対応を求めたいというふうに思いますけれども、それについては、今後、対応策があるのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
次に、生活保護にかかわる問題についてであります。女性のケースワーカーを個別には配置できないということでありましたけれども、男性である夫からひどい暴力を受けた場合には、精神的な外傷ストレスがあります。ですから、加害者ではない男性に対しても恐怖感を覚えるということは実態としてはあるわけです。そして、女性の被害者への家庭訪問などもされてさまざまな指導があるわけですが、そういうときにはぜひ女性のケースワーカーを同行させてほしい、あるいはそうした拒否感が強い場合には、女性へのケースワーカーの交代をお願いしたい。これはやはり精神的な安定を確保することにもなりますので、たくさんあるケースではないとは思いますが、被害者からの要請があれば、そうした配慮をしていただきたいと思いますが、その点、具体的には女性に対する女性の同行訪問などはぜひしていただきたいと思いますが、その点の見通しについて再度お答えいただきたいと思います。
医療券の仮名での発行の問題でありますけれども、個別の対応でやっていただけるところはぜひお願いをしたいと思いますが、例えば病院での診察、あるいは医療機関に入院をしている場合に、本名で出てしまいますと、それが発見の結果になってしまう。その結果、危害が加えられるということにもなりますので、ぜひ、そうした対応を丁寧にお願いをしたいというふうに思いますし、手続の流れからすれば、不正受給の問題もあって、申請段階での仮名使用というのは難しそうでありますけれども、そうしたことが一貫してとられれば保護策は整うわけでありまして、ぜひ、他市の状況も調べていただきながら、改正DV法は被害者の保護と自立支援ということを大きくうたっておりますので、そういった特別な配慮についての御検討をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、警察と医療機関との連携で、ことしの7月、その体制ができたということでありますけれども、支援者や被害者からは警察や医療機関でのさまざまな問題点が指摘をされております。例えば免許証の更新は現住所で発行が可能でありますけれども、夫が捜索願を出している場合は、コンピュータで検索をされて現住所が判明をした例があったということであります。ぜひ、DV被害者の届け出によって、夫からの捜索願があっても、そのことを非開示とするシステムを警察にはぜひつくっていただきたい。実施されているかもしれませんけれども、そこのところの確認と、なければ、そういったシステムをぜひ市からも要望をしていただきたいというふうに思います。
また、医療機関では被害者の診断書に夫の暴力によるけがであるということがはっきりした場合には、本人の申し出によっては通報するということも法律では書かれています。したがって、診断書にも夫の暴力によるというふうに明記をすることによって、裁判などでも有利に女性は闘えるという状況がありますので、そういったことの徹底、あるいは入院するときに、今度は医療機関の方が仮名での配慮をするということもぜひお願いをしたいというふうに思います。警察や医療機関、裁判所はなかなか市民から遠い存在であります。市がこうしたネットワークを通じて各関係機関への被害者の思いや、そして、今受けているさまざまな問題点についてきちんとお伝え願いたいというふうに思います。
公営住宅の入居の問題について、八王子市としては持っていない。東京都は優遇をし、優先入居については検討中ということでありました。ことしの3月31日、国交省から各都道府県知事に、配偶者からの暴力被害者の公営住宅への入居についてという通知が出ております。それは、公営住宅への優先入居あるいは目的外使用、そして関係機関との連携を求める内容でありますが、市の方はこのことを、この通知を承知しているのかどうか。承知をしているとすれば、この通知に従ってどのような援助策をつくっていくのか、お伺いをしたいというふうに思います。
次に、就労支援の問題についてであります。就労支援員が援助をしているということでありますが、心身ともに傷ついた女性は、なかなか就労をするという力もわいてこないわけですが、しっかりと休んで、安心感を取り戻していくこと。一方的な就労の強制となる指導などはしないで、その意欲が出たときには、そういう援助をお願いしたいというふうに思います。
ひとり親家庭へのホームヘルパーの派遣などは、その状況に応じて対応できるということでありますので、児童扶養手当の受給の基準によってひとり親の認定をしていると、認定まで1年間かかるというふうに聞いています。その間、サービスや支援が開始されないとなると大変な問題だというふうに思いますが、市としては柔軟な対応をとるということなので、ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思いますし、就労支援について、母子家庭については就労支援が市の役割としてありますけれども、DV被害者についてもぜひお願いをしたいというふうに思いますし、男女共同参画センターでも広く取り組んでいただきたい。そのための資金なり、援助として自立支援基金のようなものを設置して、市独自の施策を展開していただきたいと思いますが、その点の具体策等について御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。
さらに、就労の支援に関して、市内事業所への周知徹底と援助もお願いをしたいというふうに思います。DV被害者は住民票の移動ができず、賃金などの振り込みの銀行口座を開くことも困難であります。また、保証人もなかなか見つけられないという状況にもあります。ニューヨーク市は全雇用者に対して、配偶者、また別れた配偶者、あるいは親密な関係にあった者からおどかされ、つきまとわれ、あるいは暴力を振るわれる状況にある労働者を解雇したり不採用としたりすることを基本的に禁止する条例を制定しています。この条例によってDV被害者の雇用の安定と職場での安全が図られるならば、雇用関係面からの被害者の救済に一定の効果が期待されると言われています。日本ではDVが職場に与える影響について十分な検証がされておりませんけれども、被害者が自立への道を歩み始める職場の確保や働き続ける面での事業主側のサポートも得られるよう、被害者の抱える困難についての理解と援助を行政としても周知をしてもらいたいというふうに思います。この関係者の支援会議のようなものの中に事業者の代表が行って、こうしたことの理解と援助ということを求めていただきたいと思いますが、その辺の対応はどうなっているか、お伺いをいたします。
次に、DV改正法についての自治体の役割をお伺いいたします。
自立支援の具体的な機関として、配偶者暴力相談センターは本市ではどこの機関が担い、体制はどのように考えているのか、お伺いをいたします。また、法律の第26条は民間団体に対する援助をうたっておりますが、DV被害者の支援を行っている民間団体は三多摩地区でも複数ございます。シェルター運営や電話相談あるいは当事者支援など多様なサポートを行っています。こうした団体に対して、三多摩の幾つかの市はシェルター運営への援助、補助金を出しています。本市もさらに民間団体との連携を強め、援助をしていくべきだというふうに考えておりますけれども、多くの団体は市民からの寄附によって運営を賄っており、厳しい財政運営となっています。法律の言う民間団体に対する援助の考え方から、本市では今後、その民間団体への援助はどのように考えているのか、お伺いをいたします。
次に、市民が平和に生きるためについて伺います。
国民保護法はテロなどを対象としたものと考えられる緊急対処事態をも定めました。しかし、これは本来、警察や海上保安庁等が治安問題として対処すべき事態でありますけれども、そもそもあいまいであった武力攻撃事態の定義や範囲をさらに拡大させ、あいまいにするもので、政府の意図的な判断を許す内容となってしまいました。また、国民保護法は住民避難が中核となっております。先ほどの答弁でも、八王子市に求められる保護計画などはそういった内容ですけれども、具体的なシミュレーションでは、鳥取県の3町村、東部の3町村ですが、これは全部で2万6,000人の人口だそうです。この全員避難はバスで11日間要するとされています。このことからも、東京都民1,200万人、首都圏では3,000万人の避難というのは非現実的な構想ということが明らかになっています。ですから、国民保護法というのは、住民の避難、住民の保護ということではなく、別の目的があるというふうにも考えられます。市町村は国民保護法では、国の対処基本方針が定められたとき、市町村の計画は方針に基づいて作成をし、国と都道府県との整合性を確保しなければなりません。そして、知事と協議しなければならないとされています。これは市町村が国と東京都との強いコントロール権のもとのこの計画を策定するという仕組みになっています。これは、憲法の保障する地方自治を否定するものだと言えます。先ほど、市が求められる内容については御説明がございました。詳細な内容については、18年度に策定をされるその計画の内容によるというふうになっておりまして、具体的な内容はまだ明らかになりませんでした。
それでは、この国民保護法が求めるものは、市民の権利を侵害しないのかという観点からお伺いをいたしたいと思います。先ほども申し上げましたように、市町村の計画は、国の方針、都道府県の計画との整合性を求められ、知事との協議が必要であります。指定公共機関の業務計画も同様に国と都道府県のコントロール下に置かれ、公共機関が実施しない場合は、大臣または知事が実施を指示することができ、その公共機関の、公共団体の自主的な判断を規制するという重大な問題になっています。このように国民保護の実施計画は国の強いコントロールのもとにつくられ、国民は協力を求められることになります。この国や県そして市がつくった基本計画に基づいて地域ぐるみでの協力活動が行われるならば、国やアメリカが進めようとしている戦争に対して、思想、良心の自由から反対をする、拒否をするということはできなくなってくる危険性もあり、思想、良心の自由の保障という問題が出てまいります。さらに、知事、市町村長は、措置の実効性を確保するために数々の強制権限を与えられています。知事や市町村長は運送事業者に物資の運送を指示できます。そして、事業者は正当な理由がない限り拒否できません。あるいは市町村長は、土地、建物、その他の工作物を一時使用し、収用することもできます。また、市民、事業者は都道府県が行う立入検査を拒否した場合は罰金を科せられるという内容にもなっています。このように強制を伴う保護措置は、市民の財産や権利を侵害するものです。市町村長も強権力を付与されていますが、住民の生活を守るという立場とは全く反対の立場になるのではないか。市民を抑圧する立場に立つことに危機感を私は持ちますが、市町村長に付与される権限は市民の権利の侵害にならないのか、御見解をお示しください。
市町村は国民保護計画の策定、国民保護協議会の設置、運営が求められています。国民保護協議会は自衛隊の参加が想定をされているのか、お伺いをいたします。もし、自衛隊員の参加がされれば軍事色が強くなりますし、保護法では平時における組織整備と訓練が規定をされ、こうしたことが実施されれば、有事においてのみならず平時においても自治体や社会に戦争への協力体制を日常的につくっていくことになります。これは地域に住む外国籍の人々への排他的な傾向を生み出す危険性もあるのではないでしょうか。非現実的な特定の国に対する脅威論は、紛争の平和的な解決の可能性をみずからふさいでしまうおそれがあります。自治体をこのように有事法制の手先とする計画づくりや訓練は行うべきではありません。自治体には国よりも身近なところで住民の生命や安全を守る責務があります。武力攻撃事態の予測という戦争をすることへ協力をしていくというこの動きに、私は大変な危機感を持つわけでありますけれども、市はこうした計画が国民の保護を十分に行えると考えているのか、お伺いをいたします。
さて、有事法制下では自衛隊による土地、家屋の強制的な使用、物資の収用、業務従事命令などの手続の実務は自治体職員が行うことになります。職員の良心的な戦争協力拒否の保障をすべきだと思いますが、見解をお示しください。
次に、無防備地域宣言についてお伺いをいたします。このことは2002年の6月議会で1度お伺いをしておりますけれども、地域が無防備地域宣言をして、すべての戦闘員や兵器がない、また敵対行為がない、軍事行動を支援する活動が行われていないことを条件に、国際社会に対して無防備地域宣言をするものです。これによって攻撃をされない地域としてみずからが守っていこうという考え方でありますが、市長はこうした無防備地域宣言の意義についてどのようにお考えでしょうか。有事法制に依存しない平和への努力、これは国際フレンドなどという新しい制度でも、将来的には国際的な市民と市民との平和のつながりをつくっていきたいというような御答弁がありましたけれども、こうした日ごろの日常の不断の努力が平和をつくっていくものだというふうに思いますが、その点についてのお考えをお聞かせください。
以上で2回目の質問を終わります。
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