それでは、2005年度八王子市一般会計及び特別会計予算、並びに関連する諸議案について、生活者ネットワーク・社会民主党の意見を申し上げます。

 2005年度予算は、一般会計1,542億円、特別会計1,619億円で、合計3,233億円となりました。予算編成の基本的な考え方では、財政は極めて厳しい状況にあり、基金の取り崩しなど、臨時的な財源対策ももはや限界とし、提案説明でも、やらなければならない課題が山積する中、大幅な財源不足のもとでの予算編成となったと、新年度予算も大変厳しい状況下で編成をされました。

 こうした中で、数年間削減され続けていた学校購入物品の予算の増額や学校トイレの改修、扇風機設置など、教育環境の整備、また、平和の継承を目的とした戦後60年事業、防災対策の充実、市街地内丘陵地のみどりの保全に関する条例設定などの施策については、高く評価をしたいと思います。

 三位一体改革に伴う負担増は、現在の段階では免れていますが、国の目的は、国の財政再建であり、地方への負担転嫁にあります。生活保護費や義務教育国庫負担金については結論を先送りされ、補助率の変更に伴う地方への負担増が懸念されております。真の地方分権に見合う税源移譲がされるのか、極めて不透明な今後の財政運営だと言えます。

 市債残高は数年間の努力によって2005年度末でも2,769億円となりました。一定の努力を評価いたしますけれども、まだまだ過去の過大な市債発行により硬直化した財政から脱却できていないのが市の財政の現状です。今後の三位一体改革、少子・高齢化による市民ニーズの多様化や税収減といった新たな課題にも対応しながらの財政運営が求められています。そのためには、行政評価を行い、政策の妥当性を追及し、過去の失敗を繰り返さないということが必要です。

 2006年度から起債は許可制から協議制に移行し、自治体の格付が始まってまいります。歳出の自律性も求められております。しかし、中央道インター北地区の商業集積構想や南口再開発事業、西南部物流構想の三大開発事業は、質疑の中でも、民間の事業であるとの理由で、その構想そのものが明らかではなく、総事業費、投入する税金の額も明確にはなりませんでした。税収増につながると答弁されておりますが、正確な調査分析も行われていません。

 まずは、新規開発事業について、人口や市税収入の増減、産業の動向など、客観的なデータに基づく事前評価を行うこと、そして、計画と事前評価、環境への負荷を市民に明らかにし、計画の妥当性があるか否かを市民に問うべきですが、全く事前評価も情報公開もされておりません。  全国総合開発計画は廃止をされました。人口減少による経済規模の縮小が予想される中、こうした開発計画は社会状況との乖離を指摘せざるを得ません。

 さらに、西南部物流構想は、オオタカの森を半減させる開発になります。ミニ公募債の発行による市街地のみどりの公有化を図りながら、他方で市街化調整区域のみどりは破壊するというのは、政策の矛盾ではないでしょうか。

 福祉施策については、介護予防にもなる高齢者の配食サービス予算が削減されたのは問題です。小規模、多機能、地域密着型の施設などの重要性は介護保険法の見直しでも共通の理解となっておりますが、グループホームなどの地域資源を充実し、介護予防などに対する市の積極性は、質疑を通じても見出せませんでした。

 教育現場では、入学式、卒業式での日の丸・君が代の実施指針と教師への職務命令が、子ども、教師の思想、良心の自由を侵害し、校長と教師、校長と子どもとの信頼関係が崩壊しています。市教委は、公務員として憲法を遵守する規定を守らなければなりません。基本的な人権である思想、良心の自由を保障するために、入学式、卒業式に関する通達を速やかに撤回することを強く求めてまいります。今後も強く求めてまいりたいというふうに思っております。

 他に、ごみの有料化実施後の課題は、可燃ごみの半分を占める生ごみの資源化と指摘をしてきましたけれども、その具体化への取り組みがありません。

 農業、森林保全策について、高齢化した農業者や遊休地対策として、ボランティア制度の導入、援農のしくみなど、農業生産を高めることが求められていますが、新たな事業やレベルアップもなく、特に畜産についてはほとんど支援策がないことを問題として指摘をいたします。

 包括外部監査契約の締結については、監査人の過去2年間の監査実績から、監査の結果や意見についての有効性に疑問を持っております。

 また、国民健康保険税の税率が改定され、医療保険分、介護保険分がそれぞれ負担増となりました。国保には、高齢者や低所得者層が多数加入しており、厳しい生活に追い打ちをかけることになります。

 2005年度の予算編成に当たっては、職員の皆さんの御努力には敬意を表しますけれども、以上の問題点を指摘し、予算案に反対の意見といたします。