◎井上睦子委員 。                   
 それでは、引き続いて質問します。

 まず、行財政運営についてですが、市税収入のことについて伺います。午前中も質疑が交わされましたが、地方税の収入は01年から04年までずっと減少していて、昨年度は813億円、個人市民税は291億円で、300億円を切りました。これは4年間ずっと減少傾向にあるわけですが、こうした要因というのをどのように分析をされているのか。そして、この傾向は今後も続くというふうに予想されるのかどうか、お伺いします。


◎中村税務部長                   
 個人市民税の減の理由でありますけれども、個人市民税の80%を占めます給与所得者、ここの所得が減になったことによって前年よりマイナスとなったわけであります。その理由でありますけれども、一般的な説明にはなりますが、企業が事業を継続していく中でさまざまな努力をしているわけですが、その1つとして人件費の削減に取り組んでいる。その影響が個人市民税の税収に影響を与えていると、そのように判断しております。

 それから、今後の見通しでありますけれども、17年度の当初課税におきましては、今まで減少しておりました給与の総支給額がプラスに転じました。また、納税義務者の数もふえました。そういう中で雇用環境、あるいは所得環境も改善してきたという中で、税務部としましては、今のところ、見通しとしては明るくなってきたのかなと、そのように判断しております。


◎井上睦子委員                   
見通しとしては明るいということなんですが、それは、17年度の当初の予算のベースでということだと思います。80%の給与所得者の中で、給与の削減、人件費の削減が進んでいるという傾向の中で、個人市民税の所得割の段階別納税義務者数の表が毎年、市税の報告書の中に示されるわけですけれども、16年度に関して言えば、200万円以下の層が増大をしていて、300万円以下の層が減少しているということがこの4年間続いています。したがって、市民の所得の低さの傾向が全体的なことであらわれていて、17年度の予算のところでは明るい見通しであったとしても、これがどのように続いていくか、なかなか不確定ではないかと思います。

 加えて、三位一体改革と税制度の改正の中で、歳入全体がどのような見通しになっていくのかということについて伺いたいと思うんですが、三位一体改革は、17年度、18年度というところで終わっていくわけですけれども、補助金の削減と税財源の移譲ということで所得税のフラット化ということが言われております。このことが税総体と歳入総体に対してどのような影響をあらわしてくるのかということについての見込みをお答えください。


◎中村税務部長                   
 今、三位一体改革につきましては議論のただ中にありまして、質問者のおっしゃるとおり税率のフラット化を基本としておりますが、一方で、その10%の国庫補助負担金の取り合いの関係で、都道府県と市町村との割合がまだ明確に示されておりません。そういう中で、今後の三位一体による影響額というのは、税収を出すのにはちょっと困難なところにあります。


◎井上睦子委員                   
 税収としては困難であるということ、歳入総体としては、ゆめおりプランの中では歳入歳出総額、10年間で1兆6,100億円なんですね。それがゆめおりプラン当初策定のときと状況が違ってくるということもあって、このことはどのように変動していくのか、10年間の歳入総体としてどういう動きがあるかということは、どういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。


◎西田総合政策部長                   
 15年の3月にゆめおりプランを策定したわけですけれども、確かにお話のように、その中の財政見通しという形で10年間のおおむねのフレームといいますか、見通しを掲げているところでございますけれども、この中で、15年3月の段階でのこれからの10年というのはなかなか見通せないということで、正確な長期推計というのは非常に困難であるというようなことから、財政計画ではなくて財政見通しとし、具体的な個々のフレームについては、実施計画でローリングをし管理をしていくという形でこれまで進めてきたところでございます。

 ここで新しく実施計画を策定いたしましたけれども、三位一体改革につきましては、やはりまだまだ国と地方の意見の開きもありますし、また18年度はどういうふうにいくかということもまだ見通せないという状況の中でありますから、実施計画のフレームの中では位置づけをしておりませんし、そういう意味からしますと、ゆめおりプランのこの財政見通しというのは非常に大きく変わってくるのかなというふうに感じております。


◎井上睦子委員                   
 10年の見通しは大きく変わってくる。それから税収についても見通せないというような御答弁でした。したがって、3年間の実施計画、ローリングを毎年していっているわけですが、財政計画は3年に1回というふうに出てきているわけですが、かなり柔軟にゆめおりプランに盛られたプランというのは見直していかなければ、これからの三位一体改革、あるいは税制度の改正、改悪というふうに言わざるを得ませんけれども、それについていけなくなるということを指摘しておきたいと思います。

 次に、財政指標についてですが、午前中も、かなり努力をされたという評価がありました。私も一定の評価をしたいと思います。いわゆる返す以上にお金は借りない、あるいは1人当たりの市民の借金は1年当たり10万円ずつ下げていくという努力をされたと思うんですが、この努力は今後も引き継がなければいけないと思いますが、16年度の財政運営の工夫点と、今後の引き締めの方策といいますか、その辺はどういうふうに考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。


◎原島財務部長                   
16年度の財政運営での強調点というよりも、これまで続けてまいりました、例えば御質問者がおっしゃった市債残高の縮減の問題ですとか、それから、人件費の圧縮、こうした市長就任以来の財政再建への取り組みが具体的な効果を示した結果だというふうに考えております。そういうふうに一定の成果を上げつつはありますけれども、減ったとはいえ、まだ2,800億円に及ぶ市債残高がございます。一方で減少をたどる基金残高という状況、今後も増加が見込まれる扶助費や繰出金、こうした状況を考えますと、市税の収入の見通しにつきましても不透明であることから、引き続き財政再建への取り組みというものは必要な状況にあると考えております。


◎井上睦子委員
 私も財政再建への取り組みは必要だと思いますし、やはり2,808億円という市債残高というのは、これは八王子市の今後の行財政運営にとっても大きな問題だと思っております。そのことは今後もきちんと投資的経費を抑制する中で考えていかなければいけないと考えております。その点は今後も努力をされるようお願いをしたいと思います。  次に、行革プランの問題について何点か御質問をいたします。

 八王子市の行財政改革レポートが、ことしの9月に減量改革から仕組み改革へということで出されました。その中で、職員の削減、あるいは市民との協働によって大きな成果を上げたというふうに行政当局は自画自賛をしているわけであります。一定の成果があったというふうには思いますが、しかし、一方で、市民との協働、あるいは職員の削減というものがどういうふうな問題を起こしているかということを示していきたいと思います。

 自画自賛といいますのは、きょう他の委員から指摘があったんですけれども、市長が、経営という言葉が自治体にはふさわしくない、サービスカットの方針を示すものだというような誤解、曲解をなされている方も少数ながらおられると。この少数者はだれなのかというふうに思うんですけれども、そういうことを意識しながら自画自賛をしているんだなと私は思ったわけです。

 それで、職員定数の削減のところで、5年間で452人が削減をされたと、それが成果だというふうに言われています。しかし、人口はふえ、行政のサービス課題はふえている中で、では、この部分をどこで、何を、どのように対応しているのかということです。1つは、非正規職員が増加をしているということになると思います。正規職員が452人減少した分だけ非正規職員はどのようにふえているのか、あるいは正規職員の残業時間はどのような傾向にあるのかということをお示しいただきたいと思います。


◎池田行政経営部長
確かに職員につきましては、業務の見直し等を行いまして、いわゆる雇用ポートフォリオの考えに基づいて、嘱託あるいは臨職でできることはその方たちに担っていただくということがありますので、そういう事実はございます。そういう中で臨職の状況ですけれども、13年度からの4年間で申し上げますと、13年度は267名でありましたものが、17年度の初めでは364名で、97名ふえております。嘱託員につきましては、やはり100人ほどふえている状況がございます。


◎井上睦子委員
 残業時間はどうでしょうか。16年度は23時間程度になっていますが、どの程度ふえているのか、お示しください。


◎下田総務部長
時間外の関係につきましては、各年度でそれぞれ特殊事情がございますので、例えば昨年においては、ごみ減量化の方が、有料化の準備、それから、それの施行ということで、環境部の方で4万時間以上の時間外になっております。額といたしましては、一般会計の方で、そういう特殊要因を含めてでございますけれども、12年度が7億2,000万円、13年度、7億1,000万円、14年度、6億4,000万円、15年度、8億6,000万円、16年度、8億7,000万円、このような状況です。


◎井上睦子委員
正規職員については長時間労働というのがあるわけですよね。そして非正規がふえているということがあって、職員を減らしたというだけが成果ではなくて──成果だというふうにおっしゃっていますけれども、一方で非正規がふえ、時間外労働がふえているということも直視をしなければいけないと思います。

 その中でどのようなことが起こっているかというと、図書館の、これは行革のレポートの中に雇用ポートフォリオというので3種類の、一般職員と嘱託職員と臨時職員という形で仕事の内容を分けて、いわゆる同一価値労働・同一賃金ではないのだということのあかしだというふうに行政の方は思っているのかもしれませんけれども、例えば臨時職員は、土・日の職員の募集をしているわけです。土・日だけ働くアルバイトの職員が公民館にはいるわけです。それはなぜかというと、正規の職員が土・日に休みをとって、その人の穴埋めに臨時職員が入るという形態になっていて、職場の中に3つの働き方があって、そして家族を持っていたりすれば、土・日は社会全体が休日ですから、休みたいと思うのだけれども、それは臨時職員で対応しているという実態があるというふうに思いますが、そういう実態ではないでしょうか。


◎池田行政経営部長
図書館の実態については、ちょっと私、承知しておりませんけれども、私どもも、ただ職員を削減する、これは市民サービスに影響が出かねないということの中で、業務をやはり見直し精査する中で、先ほども申し上げましたけれども、定量型の業務につきましては、嘱託あるいは臨時職員の方にお願いをしているという前提がございます。そういう中で臨時職員の担うべき仕事、言ってみれば定型的な、単純と言ったら失礼かもしれませんけれども、そういった業務、あるいは補助的な業務、これを臨時職員に担っていただいているということで、図書館もそういう活用の仕方をしているというように思っております。


◎井上睦子委員
 思っているだけで実態は知らないというふうにおっしゃいましたので、正規職員の穴埋め的な働き方が現実的にはあるんじゃないかと思うんです。それで、働き方を3種類に分けたとしても、現実的にはそうなっている。そして、職場では身分の違いによる疎外感というのも生まれかねないと思うんです。そのことが、さきの市税収入の中で、非正規の働き方がふえているので市税収入が減少しているという1つの大きな社会の問題になっているわけですが、行政も一方でそれを推進しているんですよね。そのことの矛盾をぜひ自覚をしていただきたいし、同じ職場で働く人たちにとって同じような働き方ができるように、もう少し工夫をすべきだと思いますし、ある意味で無理やり3分類をしているような気もいたします。ぜひそのことは変えていかなければいけないと思います。

 もう一方で、例えば障害者福祉課は、支援費利用者が1万5,000人です。職員は10人で対応しています。1人の職員で1,500人の障害者のケアプランをつくり、いろいろなケアをしなければいけない。でも、実際にはこれは手は回りません。あるいは生活保護で、これは16年度でしたか、外部監査の指摘だったと思いますが、6,000人弱に対して30人のケースワーカー。だから、国の基準を大幅に上回っていて、きちんと対応できないというようなことが指摘をされていました。したがって、職員を減らすということが、成果ではなくて、きちんとした行政サービスが行き届いていない。そして、働く職場では差別感や不公平感などが漂い始めてきているということを認識すべきだと思いますが、その辺はどういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。


◎池田行政経営部長
今御指摘のありました生保の事務、あるいは障害者の事務につきましては、一定程度やはり必要性はあるというふうには思っておりまして、生保につきましては、この間、17年度に2人増員を図っております。障害者についても増員しております。そういう中で、全体的に私どもが、最終的には行革というものは市民へのサービスを向上させるためのものというふうに言われている中で、業務に見合った、きちんとした適正配置をしていくということは、これは避けることができないといいますか、やらなければいけないことであります。個々のサービスにつきましては、各所管の方でも分析をしておりますので、所管とも協議しながら適切な人員配置に今後も努めていきたいと思っております。


◎井上睦子委員
では、その福祉部門が不足をしているということは自覚をしていらっしゃるということですね。


◎池田行政経営部長
例えば生保で言えば、確かに国の基準がございました。ただ、それも相当前の基準でございまして、今はその後に生保のシステム化、こういうものも図られております。そういう中で、私ども、確かに今の状況が十分だというふうには思っておりませんけれども、今、職員はその中で頑張っている。状況を見ながらそこについても、今後も増員等についてもできる範囲で目を配っていくことは必要だなというふうには思っております。


◎井上睦子委員
担当からの要求があったときには適正な人員配置をするということの答弁ですから、不足をしている部分については、手当てをぜひしていただきたいと思います。

 もう一方で、足りない中でも職員は頑張るのだというような答弁がございましたけれども、職員が減っているに従って療養休暇取得者数がふえています。療養休暇の取得者数は、平成12年度、185名であったものが、16年度には215名というふうにふえておりますし、30日以上休養している人が、12年度は58人で、16年度は67人、その中で心の病は21人から27人にふえて、長期療養は12人から22人というふうに、職員が減ることに反比例をして療養者はふえているという傾向があるわけです。職場の忙しさやストレス、そういったものとの関連についてはどのように把握をしていらっしゃいますか。


◎下田総務部長
御質問者のおっしゃるとおりに一般的な傾向としてはあろうかと思います。ただ、それは本市だけの問題ではなくて、全国共通の問題かなというふうに認識しています。といいますのは、今、行政経営部長がお答えしましたとおり、効率的な運用をしない限りは市民の信託にこたえていくことはできません。そうした中では一定程度の必要な体制という中での対応になります。それをやることが、イコール八王子だけが、では、メンタル面の病気の療養者がふえているかといえば、イコール八王子だけということにはつながっていないというふうに思っております。


◎井上睦子委員
八王子だけではなくて、これは全国的な傾向なんです。だから、八王子は何にもしなくていいという話ではないと思うんですよね。長期の病気の療養休暇者が67人、そのうち心の病の方が27人、これは効率的な行財政運営の中で、なかなかそこについていけないというか、ストレスが生じてくるという職場環境があるからこそ発生をしているわけで、そこのところを改善することによって、この22人の人たちが、長期以外も含めれば27人ですね。またふえる傾向にあるかもしれませんけれども、その人たちが職場の中で自分の持っている能力を発揮して働ける環境というのはつくらなければいけないと思うんですが、そのことはどういうふうに考えていらっしゃいますか。全国的な傾向だからといって、現在放置をしているということでしょうか。


◎下田総務部長
メンタルの面についての対応なんですが、昨年の9月から2年間かけまして、来年の一応9月をめどにしているんですが、全職員を対象に、メンタル面に陥らないこと、それから、陥ったとしたら、管理職なり周りの職員がどう対応するか。そういうメンタル面での傾向があったら、早期に発見して早期に対応するにはどうしていったらいいかというようなことを、管理職、主査職、それから、それ以外の職ということで、増加を防ぐ方法についての研修ということで、事例を取り上げながらやっております。  また、市内の精神科医にお願いいたしまして、職員のメンタル面での健康相談ということも実施しているところでございまして、そういう中で、ふやさない努力については推進しているところでございます。