◎【秋山進副議長】 次は、第40番、井上睦子議員 。                   
 それではまず、介護保険の見直しと事業計画についてお伺いいたします。

 2000年にスタートした介護保険の理念は、家族介護から介護の社会化を目指すこと、そして高齢者の尊厳を守り、選択と自己決定を尊重するということでした。しかし、今回の見直しは、新介護保険制度と言われるほどの大幅な改定になっています。財政面からの見直しに主眼が置かれ、給付抑制が前提となってしまいました。これは介護保険の理念を大きく後退させかねないものとなっています。特に、10月から先行実施された施設利用者の食費、居住費の自己負担は、経済的に大きな負担を利用者に余儀なくさせています。また、介護予防の導入によって、要支援、要介護1の人々は、従来のサービスが受けられるのか不安になっています。市は、介護保険事業計画を策定中ですが、多くの問題点が指摘される介護保険を利用者の立場に立ったよりよい制度として運営実施することを求めて質問をいたします。

 まず、10月から実施された居住費、食費の利用者負担増加の影響についてお伺いいたします。

 まず、利用者への影響についてですが、特定入所の申請者数、そして入所・通所利用者の負担増について、個別的なケースの例をお示しいただきたいと思います。また、介護報酬が減額され、施設側は事業費の抑制をせざるを得ない状況になっていると聞いておりますけれども、事業者への影響についてはどのように把握をされていますか、お聞かせください。

 29日に開催された介護保険事業計画等策定検討委員会では、低所得者への軽減策が議題となっていました。荒川区では、通所サービス利用者の食費負担軽減策を来年の3月まで実施しているというような、委員側からの資料提供もなされておりました。利用者への負担軽減策はどのような方策が考えられるのでしょうか。そして9月の条例改正審議のときの厚生水道委員会では、補足的給付の実績を把握して検討するという答弁でありました。特養ホーム利用者では、各段階で、相部屋の場合ですけれども、平均約2万5,000円の負担増となっています。状況等も把握できつつあると思いますので、市としての実施の考えをお聞きいたします。

 2点目に、介護予防の導入についてお伺いいたします。

 要介護度の重度化を防止する目的で、現在の要支援、要介護1を基本的に対象とした介護予防サービスが新たに位置づけられました。介護予防の視点から見直した現行サービス、訪問介護や通所介護など12事業が、そして地域密着型介護予防サービス、これは認知症の通所介護、小規模・多機能型居宅介護、認知症の対応型共同生活介護の3事業が、また、介護予防ケアマネジメントとして1事業、計16事業が行われます。また、介護予防事業は、要支援、要介護状態になることを防止する目的で、要支援や要介護になるおそれのある特定高齢者を対象に、運動機能向上、栄養改善、閉じこもりやうつ、認知症の予防支援事業を行うということになります。介護予防は、生活を活発にさせることを目的としたものですが、高齢者の健康状態や障害は、それぞれ年齢や住環境あるいは疾患の個々の差があって、一律な介護予防で効果を上げることには多くの疑問が出されています。介護予防は給付抑制の隠れみのになっている感すらあると研究者も指摘するように、サービスが予防目的に限定され、サービスの抑制や利用限度額が低く抑えられれば、在宅の生活が困難になってまいります。介護予防の導入について何点かお伺いいたします。

 まず、本市では、介護予防サービス及び介護予防事業の対象者数をどの程度と予測しているのか、お答えください。

 2点目に、介護予防の効果については、国のモデル事業でも、筋肉トレーニングを実施した16.3%は介護度が悪化し、筋力向上では30.4%、栄養改善では42.2%が悪化しています。介護予防を行った結果悪化したという事態は看過できませんが、市は、介護予防の効果はあるとお考えでしょうか、お尋ねをいたします。

 3点目に、介護保険の理念は、利用者の選択がキーワードになりますが、介護予防サービスに利用者の選ぶ権利は保障されるのでしょうか。また、介護予防事業は市の事業となりますが、選ぶことはできるのでしょうか。介護予防サービスのケアマネジメントは、包括支援センターの保健師などが行うとされていますが、提供されるサービスメニューは、利用者のニーズに合っているのでしょうか。どのようにお考えか、お聞かせください。

 また、訪問介護は一番利用されているサービスですが、要支援、要介護1の利用者では、生活援助が多くを占めています。この援助が重度化防止のための役割を果たしてきたとも言えるわけですが、市は、従来果たしてきた訪問介護の役割をどのように評価しているのか。そして、介護予防サービスにおける訪問介護をどのように実施していく考えなのか、明らかにしてください。

 4点目として、今まで老人保健事業や地域支え合い事業として一般財源で実施していた事業が、地域支援事業として介護保険の事業となります。老健財政の負担が軽くなり、逆に介護保険財政の負担が増してまいります。おのおのの影響額はどの程度と予測していらっしゃるか、お答えください。このことは、介護保険の財政を圧迫し、必要な事業の縮小という危険性はないのか、お聞きいたします。

 次に、地域包括支援センターについてお尋ねいたします。

 地域包括支援センターは、生活圏を設定し、住みなれた地域で生活を継続していくために、高齢者の生活を包括的に支援していく中核的な機関と位置づけられています。生活圏の設定は、今回の改正での重要な点でもありますが、市は、29日の策定検討委員会に、日常生活圏域を12ヵ所とし、地域包括支援センターを1ヵ所ずつ設置する考えを明らかにしました。これは現在の在宅介護支援センターの生活圏域を踏襲するものです。現在、この12地域では、地区内人口は、3万5,000人から6万8,000人、高齢者人口は、6,700人から8,500人と、地域によって人口にばらつきがあります。この日常生活圏域は、高齢者が歩いて行ける範囲であることが望ましいと国は示し、人口2万から3万に1ヵ所の生活圏域を基準としています。現行では広過ぎますし、高齢者の日常生活圏域としては見直しが必要ではないかと考えますが、どのようにお考えでしょうか。  次に、地域包括支援センターは、介護予防のケアマネジメントを担うことになります。市の示す12ヵ所の設置では、1ヵ所のケアマネジメントの数はどの程度となるのか、お答えください。

 さらに、運営形態は、現在の在宅介護支援センターを受託している法人への委託の方向が示されています。地域ケアの中核的な施設として、包括支援センターは、安定的な運営と質の確保ということが一番大事であります。しかし、在宅介護支援センターの職員の離職や異動が激しく、なかなか定着しないといったような指摘もされております。包括支援センターの職員体制は、社会福祉士や主任ケアマネジャー、保健師の3職種の配置が求められています。現在、職員の異動が激しいと言われる在宅支援センターの受託法人で、人材確保や安定的な運営は可能なのでしょうか。法人との協議状況をお示しいただきたいと思います。

 次に、地域包括支援センターは、在宅支援センターが利用者の囲い込みをしていたという反省に立って、原則、市町村設置となりました。公平・中立の立場から介護予防マネジメント、総合相談支援事業、権利擁護事業、包括的・継続的マネジメント事業の4事業が必須事業だと言われています。包括支援センターの運営協議会は、行政やサービス事業者、保健・医療・福祉関係者で構成されますが、被保険者、すなわち市民の参加は不可欠と考えます。被保険者、利用者の参加についてどのようにお考えか伺います。

 次に、地域密着型サービスについてお聞きいたします。

 住みなれた地域で生活を継続していくための重要なサービスでありますけれども、在宅の中度、重度の高齢者がそのまま地域での生活を継続できる支援を強化することはとても大切なことです。市町村がサービス提供事業者の指定、指導監督を今度は行うことになります。新しいサービスとして、小規模・多機能型居宅介護、夜間対応型訪問介護の2事業が新しく加わり、さらに、従来ある29人以下のサテライト型の特養ホーム、29人以下の有料老人ホーム、認知症の高齢者グループホーム、認知症のデイサービスの6事業が地域密着型サービスだと言われています。この事業の展開に当たって、不足しているサービス及び市民のニーズ、また事業者の供給体制については、どのように調査をされているのか、お答えください。

 次に、サービスの質の確保と向上について伺います。

 今回の見直しでは、利用者に選択され、利用されるために事業者や施設に対する情報の公表が義務づけをされました。具体的には、都道府県または指定調査機関の調査員が、事業者、施設が公表する情報が事実かどうかを調査して確認し、公表するというものです。しかし、質の確保のためには利用者への調査も欠かせません。介護施設では、ケア職員が利用者を死亡させるという事件も残念ながら起きています。地域密着型は必須として、ぜひとも第三者評価の義務づけをするべきだと思います。現在、特養ホームなどでは、自主的に施設が第三者評価を受け、また、認知症のグループホームでは義務化をされておりますけれども、よりサービスの質の向上、そして管理をするという意味からは、第三者による外部評価を市としては義務づけるべきだと考えますが、どのようにお考えでしょうか。

 さらに、質の確保をするためには、ケアマネジャーへの支援体制も欠かせません。ケアマネジャーの激務と支援体制の弱さを改善することは急務であります。担当件数の適正化やケアマネジメントの質の向上を図るため、研修や、そして策定したプランについて点検や検証できる体制を市としてつくっていくということが必要だと思いますが、そのことについてのお考えをお伺いいたします。

 介護保険の最後に、保険料の設定について伺います。

 第2期の介護保険事業では、保険料を6段階として、低所得者への保険料負担の軽減を図りました。一方、第5段階以上の設定については、負担が重いといった批判もありました。普通徴収の納入率では、第2段階が84%、第5段階では92.1%、第6段階では94.8%、第3・第4段階では89%・88%というような納入率でありますけれども、6段階の保険料の設定について、市はどのように評価をしているのか、お伺いいたします。

 また、来年度から税制改正が行われ、公的年金の控除額の引き下げや、老齢者控除の廃止が行われ、住民税の非課税世帯が課税対象となるケースが、全国で概算では100万人と言われています。本市の場合、課税対象となる件数など、税制改正による影響はどのように考えられているのか、お伺いいたします。

 次に、下水道事業についてお聞きいたします。

 まず、下水道財政の現状と見通しについてです。2007年度末で100%の普及を目指していますが、普及後も多額な市債残高を抱えることになります。現在、公債費に占める下水道債の割合は、約40%にもなっています。2004年度の決算では、223億5,000万円の歳入のうち、起債額は76億円、一般会計からの繰入金は45億円、地方債残高は1,126億円となっています。また、2005年度予算でも同様の傾向がありますが、216億8,000万円の歳入のうち、起債は72億円、繰入金は43億円となっています。2006年度、2007年度、事業の終息期に向かうこの2ヵ年間、予算規模及び起債額、そして繰入額、市債残高はどのような推移になるのか、お答えください。そして、事業が終息をする2008年度以降の予算規模についてもお答えいただきたいと思います。また、地方債の償還の見通し、そして整備が終了した後も毎年公債費が発生するわけですが、それはどの程度になるのか、お答えください。

 また、耐用年数50年と言われる管渠の取りかえは、八王子市の下水道の整備が始まった1955年から考えると、来年度からでも順次取りかえをしていかなければいけないというような状態になってまいります。また、施設の建て替えなど、事業の終息後も投資が必要となってくるのではないかと考えますが、2008年度以降についてどのような場合に起債の必要性が出てくるのか、お答えいただきたいと思います。

 また、現在、17年度から21年度、5年間の中期経営計画を策定していると伺いましたけれども、この中期経営計画はどのような観点から策定しているのか、お答えください。

 また、浄化槽と下水道の損益分岐点について、お伺いしたいと思います。

 2004年度、市街化調整区域については下水道から浄化槽設置へ政策変更をいたしました。これは経済性を考慮したと言われていますが、2004年度実績からその検証はできるのでしょうか。決算が出ておりますので、お答えいただきたい思います。

 また、大阪市職員の加藤英一さんの試算では、1ヘクタール当たりの下水道の整備面積の投資額と人口密度から浄化槽と下水道の損益分岐点を出す方法も示されています。1ヘクタール当たりの建設費、人口密度との比較から損益分岐点は出ないのでしょうか。このような方法で浄化槽と下水道の経済性について計算をされたことがあるかどうか、お伺いしたいと思います。  以上で1回目の質問を終わります。


◎【秋山進副議長】 高齢者・障害者担当部長。                   
 介護保険の関係でございます。まず、負担限度額の認定申請数ですが、3,727人でありまして、非該当を除きますと3,564人の方が認定されております。

 次に、施設入所者の影響でありますが、特別養護老人ホームの多床室を例にとりますと、利用者負担第1段階の方は、約2万5,000円で負担は変わりません。第2段階の方は、約4万円の負担が3万7,000円になりますので、3,000円ほど減額となります。第3段階の方は、4万円の負担が5万5,000円になりますので、1万5,000円の増額となります。また、通所介護、通所リハビリ利用者につきましては、10月から食費400円が自己負担となっております。

 次に、事業者への影響につきましては、国が調査を行うと聞いておりまして、一部の介護保険施設の施設長から負担がふえる状況にあると聞いているところでございます。  利用者への負担軽減策につきましては、国が補足給付や、生計困難者利用者負担軽減など、低所得者対策を10月1日から講じているところでありますが、市単独の軽減策をどうするかにつきましては、現在、介護保険事業計画策定検討委員会で検討しているところでございます。

 次の、新予防給付の対象者につきましては、平成18年度の見込みで、要支援1、要支援2を合わせまして約5,800人と見込んでおります。また、地域支援事業における居宅高齢者の介護予防対象者数は、基本健康診査に基づくスクリーニングを行い、これは約3,000人と見込んでいるところでございます。

 引き続きまして、厚生労働省が昨年度69市町村で実施いたしました介護予防市町村モデル事業の結果では、筋力トレーニングの場合、要介護度が44%が改善、40%が維持、16%が悪化したとし、一定の効果があるものと受けとめております。

 一方、この新予防給付サービスの利用に当たりましては、利用者の選択に基づき行われるもので、強制されるものではないと認識をしております。また、提供されるサービスメニューは、地域包括支援センターの保健師が利用者と話し合いの上、状態と希望に応じて適切な介護予防プランを作成していくことになると考えております。なお、訪問介護につきましては、国から新予防給付の詳細な部分は示されておりませんが、これまで一人一人の状態に合わせた適切なサービスというものも今後も提供してまいる考えでございます。

 それから、今回の介護保険の改正では、既存メニューを見直し、持続可能な制度とするための改正と考えますので、地域支援事業が創設されることにより介護保険財政を圧迫するとは考えておりません。

 次に、生活圏域については、現在の在宅介護支援センターの担当区域としている12ヵ所を基本として進めてまいります。このため、包括支援センター1ヵ所当たりのケアマネジメント数でありますが、最大値で500件から700件程度を見込んでいるところでございます。

 次に、地域包括支援センターの運営体制につきましては、各担当地域の高齢者人口など、実情に見合った事業展開が図れる職員配置としてまいります。

 運営協議会の構成及び役割でございますが、公正・中立の確保、円滑かつ適正な運営を図るため、センターの設置に関すること、運営状況の評価などの役割を担うこととし、その構成員につきましては、御指摘の、1号、2号被保険者の代表者を含む考えでございます。

 それから、実態調査も昨年に引き続き今年度も実施したところでございます。その結果によりますと、需要がありながら不足しているサービスにつきましては、特別養護老人ホームがあると認識しております。このため、これが解消されるよう在宅介護サービスを手厚くしていく考えでございます。

 次の第三者評価につきましては、現在、認知症グループホームについて実施が義務づけられております。来年4月から介護サービス情報の公表制度が導入されることになっておりますので、これらの活用とあわせ、介護サービスの質の向上を図ってまいります。

 それから、ケアマネジャーに対しましては、地域包括支援センターに配置される主任ケアマネジャーが、各地域のケアマネジャーのネットワークをつくり、市と連携をとりながら、例えば認知症高齢者のケアプラン、金銭管理や家族との関係の悩みなど、対応困難ケースに対してケアマネジャーを指導、助言、支援してまいります。

 それから、本市が手がけました介護保険料の6段階につきましては、低所得者対策として効果があったと考えております。

 それから最後に、税制改正に伴い、住民税が非課税から課税となる本人及び住民税非課税から課税となる者が同じ世帯にいる住民税世帯非課税者については、保険料段階及び利用者負担段階が上昇することになりますが、保険料負担率を段階的に引き上げることが検討されておりますので、第3期の介護保険料につきましても、これらの激変緩和措置も考慮の上、決定していきたいと考えているところでございます。


◎【秋山進副議長】 下水道部長。                   
下水道の事業につきまして6点ばかり御質問を受けましたので、順次お答えいたします。

 まず、平成18年度、19年度の予算規模等でございますが、2ヵ年の合計でお答えをさせていただきます。予算規模につきましては、2ヵ年で約390億円を見込んでおります。うち、起債額は約120億円、一般会計の繰入金は約87億円、この結果、19年度の現債額は約1,185億円となる見込みでございます。また、平成20年度以降の予算規模は、約140億円前後を見込んでおります。

 次に、地方債償還の見通しでございますが、地方債は、世代間の負担の均衡を図るという機能から、償還につきましては、後年度の下水道使用料を含め、償還をしていくこととなります。

 次に、公債費でございますが、20年度以降の公債費でありますが、おおむね10年間は約85億円前後で推移し、その後減少に転ずるものと予測しております。

 次に、平成20年度以降の起債の必要性でございますが、この件に関しましては、新たに汚水が発生する土地の整備や、下水道施設の機能高度化等が生じた場合には、起債の必要性が予測されます。

 続きまして、下水道経営のうち、中期経営計画ということで御質問いただきました。現在、今後の下水道経営計画のうち、中期経営計画を策定しているところでございます。この計画につきましては、おおむね5ヵ年を期間として、効率的な事業運営の観点に立ち、一層の経営改善と経営基盤の強化に取り組み、経営の健全化及び事業の活性化を視点としております。内容につきましては、財政収支計画、将来の需要予測、定員管理等になる予定でございます。

 次に、下水道と浄化槽の損益分岐点のうちから、事業の検証ということで御質問を受けました。調整区域の事業につきましては、着手したばかりであります。また、この事業の検証は、事業完了後、水洗化による収支状況等を把握した後、事業評価として検証することが妥当であると考えております。

 最後ですが、ヘクタール当たりからの損益分岐はということでございますが、整備区域の設定に当たりましては、効率性、経済性、時間性、地域性を総合的に検討し、行っております。点在する広い地域特性から、一概に人口密度当たりにおける建設費の比較では大きなばらつきが出てしまい、妥当性に欠けると考えております。


◎【秋山進副議長】 第40番、井上睦子議員。                   
 それでは、介護保険の見直しと事業計画について、2回目の質問をいたします。

 居住費、食費の利用者負担の増加については、お答えがございました。3,564人の方が認定されるということで、一定の所得の低い層に対しての緩和政策というのはあるわけですが、第4段階以上についてはないわけです。10月から自己負担が導入されまして、私の知り合いの例ですと、ショートステイで9月に14日間利用していたものが、3万968円でした。10月は13日間利用しましたが、5万2,770円となっており、10月は1日少ないわけですが、約2万1,000円の上昇になっています。これは居住費、相部屋ですが、1日650円が加算され、食費は780円であったものが1,880円となっています。デイサービスでは食事代が5月に400円であったものが、10月に450円というふうになっております。

 というふうに、施設入所者の場合には軽減策が実施され、それでも第3段階では1万5,000円の負担増となるという中で、大変厳しい状況があると思いますが、ぜひとも集中的に、通所部分であるとか、第何段階の人たちに軽減策をとっていくのかということを詳細なデータを出していただいて、その軽減策を実施していただきたいというふうに思います。現在、検討委員会で検討中ということでありましたけれども、しっかりとしたデータを行政が示さない限り、検討委員会の委員たちも、どこに焦点を当てて考えていったらいいのかよくわからないんじゃないかなというのを、この前傍聴して思いましたので、客観的なデータがもうそろそろ、12月になりましたので出ると思いますので、ぜひそのことは実施をする方向で強く求めておきたいというふうに思います。

 次に、介護予防の導入についてであります。一定の効果があるということで、筋トレの例が出されました。しかし、悪化をした例も16%、栄養改善でも運動機能の向上についても、悪化の率というのは高いわけです。したがって、個々人によって効果があったりなかったりする。より悪化をさせていくということもあるわけで、一人一人の状況に合った介護予防をしていく、希望する人にはする、希望しない人には提供しない、また、別の提供の仕方を考えるということが必要ではないかというふうに思います。

 筋トレは強制しないということが国会答弁でありますけれども、特に今心配されているのは、要支援や要介護1の人には、訪問介護として家事援助が多く利用されていたわけです。今度はそれが介護予防という形で利用制限が出てくる。あるいはだれが適切かと判断することによって希望とずれてくるという不安が出ています。特に要支援や要介護1の人たちは、重度の介護者に比べて、ひとり暮らしや老夫婦の世帯が多くあります。家族が行う掃除や買い物等に支障があるのが実態であって、その家事援助自体が、介護度を悪化させないということにもつながっているというふうに思います。

 厚生労働省の資料によっても、要支援の人でこの家事援助を利用している人たちは、改善が26%、維持が74%、重度化をしているのはゼロパーセントです。要介護1でも改善が16.9%、維持が76.4%、重度化が6.7%となっていて、家事援助が決して重度化を招いているというふうには言えない。維持あるいは改善となっているわけでありますので、ぜひとも訪問介護の中で、介護予防というサービスに切りかわることによって、従前に使われていた家事援助が抑制されるということのないようにお願いをしたいというふうに思いますが、そのことについてはきちんと利用者の選択権というのは保障されるかどうか、もう一度確認させていただきたいと思います。

 厚生労働省は、介護予防の訪問介護の方向として、介護予防効果を短期間で上げるということを目的にしています。訪問介護は、以前していた行動、活動を、今はしていないけれども、そのサービスによって自分でするようになる生活行為だというふうに規定しています。そして、身体介護と生活援助、これは訪問介護でありますけれども、これは一本化して包括単価で示す。これは上限の規制があるということになります。そして報酬は月の定額払いとなって、効果があった事業者に対しては、成功報酬を出すというようなことも検討されていて、これでは逆に手間のかかる人は事業者が契約をしないのではないかというような不安も出されています。今までのように訪問介護の中の身体介護や生活援助といったことの評価を十分にしていただいて、こうした利用の抑制、あるいは成功報酬を受けることによって事業者が利用者を選択していくという逆の構造が起きないようにしなければならないというふうに思いますが、その点についてはどのように議論、検討され、確実に利用者の希望と選択というものを尊重していくということを約束していただきたいというふうに思いますが、どのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。

 次に、包括支援センターについて伺います。

 生活圏域は12地域で、地域によっても違いますけれども、ケアマネジメントの件数は500件から700件ということが示されました。職員体制は、高齢者人口を加味して配置するということでありますので、厚労省の示している人口2万から3万人に対して職員体制3名ということよりも、4名から5名の職員を配置するということで当面考えていいのかどうか、そこを明確にお示しいただきたいと思います。同時に、生活圏域がまだまだこれは広過ぎます。将来的にはこの生活圏域を見直して、高齢者が日常生活の中で歩いて行ける範囲でこの地域包括支援センターを設置していくという方向を目指さなければならないというふうに思いますが、将来にわたってどのように考えているのか、お示しをいただきたいと思います。

 またさらに、例えばめじろ台の在宅介護支援センターは区域が変わりました。山田地域はかつてめじろ台の在宅介護支援センターのエリアでありましたけれども、エリアの見直しによって片倉の在宅介護支援センターに移行をいたしました。それで、山田地区の人たちにとっては、めじろ台が生活圏域なわけですけれども、人口の割合で切られてしまったために、日常生活圏域と在支の区域がずれてきているということがあります。これはやはり適切な生活圏域の見直しというものを単純に高齢者人口で割るのではなくて、見直していかなければいけない。地域によっては高齢者人口の大小はあったとしても、一番高齢者の利便性にかなうような生活圏域を設定していかなければならないと思いますが、各地域地域でこのような矛盾が出てきていることを理解しているのか、そしてこれをどのように見直そうとしているのか、その点についてもお聞きしたいと思います。

 また、地域包括支援センターは、総合相談支援事業と権利擁護事業を行うことになっています。総合相談事業としては、地域におけるさまざまな関係者とのネットワークを構築すること、そしてネットワークを通じた高齢者の心身の状況や家庭環境などについての実態把握をすること、サービスに関する情報提供など、初期相談の対応や、継続的、専門的な相談、支援を行うというふうに示されておりますし、権利擁護事業では、被保険者に対する虐待の防止、早期発見、権利擁護の観点から対応が必要なものへの支援を行うとなっています。具体的にはどのような形で何が現実的にはできるのか、どこに力点を置こうとして取り組もうとしているのか、明らかにしていただきたいというふうに思います。

 今まで在宅介護支援センターがつくってきた地域とのネットワーク、民生委員や医療や福祉関係の人たちとの関係、権利擁護としては成年後見制度、あるいは虐待の発見そして防止というのは大変重要なテーマでありますけれども、この点についてはきちんと力を入れてほしいと考えておりますけれども、どのような方向で実施をされるのか、明らかにしていただきたいと思います。

 次に、地域密着型サービスであります。ニーズ調査については、実態調査を行ったということで、特養ホームが足りないということでありました。29日の検討委員会に出された中では、施設整備の方向として、小規模・多機能の認知症の在宅介護支援施設が6ヵ所、そして夜間対応型の訪問介護が2ヵ所、地域密着型、これは特養ホームの29人以下の施設が1ヵ所、そして認知症対応型のグループホームを3ヵ所ふやすということが案として出されました。これはこれから議論をされていくということなのですが、ここで出された施設数の根拠というのはどういうふうに調べられたのか。先ほどはニーズ調査は実態調査である、それは特養ホームに限ったというふうにも聞き取れましたが、新たな施設を設置していく上で、具体的な調査をかけられたというふうに思いますので、その根拠を明らかにしていただきたいと思います。

 国の方は、地域介護福祉空間整備等交付金というものを創設して、市町村がこうした地域密着型のサービスを整備・計画するとすれば、1億円の交付金を出すということも言われております。このことを利用して整備はしていただきたいと思いますが、どの地域にどのような施設を充実していくのかという根拠について明らかにしていただきたいというふうに思いますし、地域的な施設の偏在というものがあるわけです。例えば元八地域には21の施設がありますが、片倉地域では3つの施設しかないというような、福祉施設が偏在しているという状況の中で、地域的なバランスをどういうふうに考え、配置をしていくのか。そしてサービスの開始時期はいつごろになっていくのか、そのことも今どのように考えているかを明らかにしていただきたいというふうに思います。

 次に、サービスの質の確保と向上の問題についてであります。

 第三者評価の問題については、明確に実施するということではなかったような答弁でしたが、これは、第三者評価というのは事業者だけの聞き取りではなくて、利用者調査をちゃんと行います。そこで利用者の調査も行いますし、そこで働く職員からの調査も行って、経営全体そして施設運営全体をトータルで明らかにしていくという作業になっています。八王子市内の高齢者の施設、事業所も、徐々に、自主的にではありますが、導入をされています。ですから、今度新しい事業計画策定の中では、この第三者評価を市が監督権限のあるところについてはぜひ義務設置をしていただいて、サービスの質の確保というものをしていただきたいというふうに思いますが、ぜひこのことについて明快な答弁をお願いいたします。

 ケアマネジャーの支援については、ぜひその体制を確立していきたいということを強く要望いたします。

 もう一つ大きな問題になっているのは、介護施設や、介護サービスで働くヘルパーや職員の労働条件の問題です。昨年の8月に厚生労働省は、訪問介護労働者の法定労働条件の確保についてという通達を出しております。これは都道府県を通じて市町村からも事業所に徹底をするようにというような指導がなされたのではないかと思いますが、この通達の意味は、訪問介護労働者の定義をしています。正職員や嘱託職員等の名称にかかわらず所定労働時間で勤務する労働者である、短時間労働者であっても、きちんとさまざまな労働条件は確保されなければならないというようなことが詳しく書いてあります。そして、事業者は労働条件を明示すること、また労働時間を把握して、ヘルパーの移動時間や業務報告書の作成時間、待機時間、研修時間についても、これは労働時間としてきちんと該当して賃金を支払うようにという通達が出されております。このことを徹底することによって、介護職で働く人たちの労働条件を確保し、ひいてはサービスの質をきちんと担保していくということになりますが、この通達の徹底について、市はどのような取り組みをしてきたのか。さらに今後もどのように取り組んでいくのかということを明らかにしていただきたいと思います。

 次に、介護保険料の問題についてです。

 第2段階の納付率が昨年度の04年度決算では84%でありました。介護保険料の未納を続けると、サービス給付が制限をされてまいります。04年度決算審査の中では、不納欠損の層は第2段階との報告がされていました。今回の見直しによって、年金80万円以下であって年金以外に所得がない層、これは新第2段階というものが創設され、より保険料の納入段階が細分化されます。これで第2段階の人々の救済はできるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

 新宿区は、課税層を3区分から5区分により細分化をし、9段階にして、1,000万円以上の負担率を2倍に設定する案を示しています。一定の累進制を採用して、低所得者対策をより充実させるべきだと考えますが、どのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。

 次に、下水道事業について伺います。

 今後、12年間は毎年85億円前後の公債費を返し続けていかなければならないということになります。今、私が考えますのは、下水道の市債残高というのが大変大きな数値になっていて、このことが、下水道の経済性を追求したならば、より負担の少ない方法でできたのではないかということです。ただ、面積当たりの人口密度ということは経済性の観点から市としては採用してこなかったようでありますけれども、事業が終息した後、事業評価をし、そして人口が減少する時代に過大な人口推計というのは汚水発生量を誤らせていくことにもなります。維持管理・補修費にとっても大きな問題となってきます。ぜひとも市債残高を減らす努力をしつつ、より経済的な下水道財政の運営をすべきだというふうに思います。ぜひ、06年度、07年度、2ヵ年の事業でありますけれども、経済性を精査して事業実施に当たっていただきたいというふうに、これは要望しておきます。また中期経営計画ができた段階で質問をしたいと思います。  以上で2回目の質問を終わります。

◎【秋山進副議長】 会議時間も長くなりましたので、暫時休憩いたします。

◎【飯沢俊一議長】 休憩前に引き続き会議を開きます。
 第40番、井上睦子議員の第2回目の質問に対する答弁を求めます。
 高齢者・障害者担当部長。                   
 まず、事業計画策定委員会が適切に議論できるよう、詳細なデータにつきましては提示をしていく考えでございます。

 それから、利用者本位のサービスでありますが、サービス提供事業者が利用者を選択することのないよう市として指導してまいります。

 次の第3期介護保険事業計画では地域包括支援センターを12ヵ所と考えておりますが、将来的には、高齢者人口等の実情に合わせ検討してまいります。また、圏域における矛盾につきましては最低限にしていきたいというふうに努力をしていきます。

 次に、地域包括支援センターの運営体制につきましては、今申し上げました高齢者人口などの実情もございますので、人員はその動向に合わせ見直しをしていく必要があると考えているところでございます。

 それから、地域密着型サービスでございますが、国の交付金を利用していく考えでおります。また、サービスの偏在はしないように努めていきたいというふうに考えておりますし、小規模・多機能型のサービスにつきましては、認知症高齢者限定ものでありますので、市全体で6ヵ所としておりますが、これも策定検討委員会の議論をしていただくことになっております。また、あわせて小規模特養につきましても検討していく考えでございます。

 次の第三者評価につきましては、本来、事業者がサービスの向上に向けて考えていくべきものと思っておりますので、来年4月からの介護サービス情報の公表制度の導入にあわせ、その活用によってサービス向上を図ってまいりたいと思います。

 次に、新予防給付の利用に当たりましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、利用者の選択に基づき行われるもので、強制されるものではございません。現在、国から詳細は示されておりませんけれども、ホームヘルパーにつきましては、ヘルパーとお年寄りが一緒に食事づくりをしたり、一緒に洗濯物をたたむなどヘルパー利用の内容が変わるものでございます。

 次に、権利擁護につきましては、地域包括支援センターでは、高齢者が住みなれた地域で安心して生活を継続していくことができるよう、虐待防止や成年後見人制度の利用促進となるよう適切な情報提供や相談などの支援を行う予定でございます。また、この地域密着型サービス開始のスケジュールでございますが、平成18年4月の開始に向けて現在、努力しているところでございます。

 次の平成16年8月27日付の厚生労働省通知の「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」につきましては、東京都から事業者への周知依頼に基づきまして、16年9月22日付で市内の全訪問介護事業所に通知をし、周知を図ったところでありますが、さらに徹底を図ってまいります。

 最後に、介護保険料につきましては現在、事業計画策定検討委員会で活発な議論をしていただいているところでございますので、その中で適切に検討してまいります。


◎【飯沢俊一議長】 第40番、井上睦子議員。                   
 では、最後に、市長に介護保険制度の事業計画策定についてお伺いをいたします。

 市長は、子育てナンバーワンのまちを宣言し、NHK主催の土曜フォーラムにもシンポジストとして出席するなど、子育て支援策に力を入れ、内外にアピールをしています。介護保険の改正は数々の問題を含んでおり、市民や高齢者、事業者の不安を解決できる計画が市に求められています。介護保険制度の選択と自己決定、介護の社会化の理念をより実現できる、そして、市民や事業者の意見を反映したよりよい介護保険事業計画の策定を望んでおります。

 市長は第3期の介護保険事業計画をどのようにつくっていくのか、御見解と御決意をお伺いして、質問を終わります。


◎【飯沢俊一議長】 黒須市長。                   
 第40番、井上睦子議員の私に対する質問にお答えをいたします。

 第3期介護保険事業計画を本市としてどのような計画にしたいかという御質問でございますけれども、改正介護保険法の趣旨は、高齢化の一層の進展を踏まえ持続可能な制度を構築するとともに、高齢者が尊厳を保持しながら、その有する能力に応じた日常生活を送れるようにすることでございますので、この考えを尊重した、この趣旨に沿った事業計画にしてまいる所存です。