◎40番【井上睦子君】
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それではまず、圏央道建設と環境への影響ということで質問をいたします。
最初に、八王子城跡トンネル工事のその後についてお伺いいたします。
御主殿の滝がれは、8月26日にも起こり、10回目にもなりました。教育委員会の国土交通省や文化庁へのさまざまな働きかけにもかかわらず、一向に水環境は改善されておりません。6月12日の第2回定例会での私の一般質問について、教育長より、八王子城跡トンネル工事については、水環境を守る上では、先行する掘削をとめてでも覆工工事は急いでほしいということは強く申し入れをしたいとの答弁がありました。
しかし、6月13日に拡幅掘削工事が完了したとの記者発表があり、拡幅掘削工事はとめられませんでした。大変残念なことです。その後、6月22日にはなりましたけれども、教育長名で、相武国道事務所長あてに、国指定史跡八王子城跡における水環境の保全に対する取り組みについて、これは依頼という文書が出ております。その内容は、第1点として、表流水の減少及び御主殿の表流水が見られない状況について、その原因の特定。2点目として、万全な施工によるトンネル内の止水構造の早期完成。3点目として、施工完了後もこれが復することがないと考えられる場合には、水環境を復するために必要な対策を講ずることを求めた内容となっております。
こうした文書依頼について、相武国道はどのような対応と回答をしてきたのか。その後の経過について詳細にお答えいただきたいと思います。
そして、この相武国道の対応や回答は、市の教育委員会
が3点を求めていますけれども、それ自身が納得できるものであるのか。教育委員会はこの相武国道の回答についてどのような評価をしているのか、お伺いをいたします。
また、第2回定例会では、私はデータを取り寄せて、市としての独自の見解、私見を持つことを求めてまいりました。この作業は行っているのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
次に、八王子城跡トンネル工事の現況についてですが、先ほども申し上げましたように、6月13日、リーミング拡幅掘削工事が終了したと発表されています。掘削工事は全工程で終了しているのか。また、覆工工事の進捗状況及び覆工工事の完了時期、そして現在、観測孔2の水位の状況はどのように変化をしているのかについてお答えをいただきたいと思います。
次に、高尾山トンネル工事について伺います。
第2回定例会の答弁では、高尾山トンネルについては夏ごろより本格的に本体の掘削に取りかかるという答弁でありました。しかし、八王子城跡トンネル工事が原因と考えられる御主殿の滝がれが起き、その原因がまだ解明されていない状況では、高尾山にトンネルを掘ることは絶対にできないと考えます。市は、高尾山トンネル工事の現在の状況と、今後の予定についてどのように把握をしているのか、お答えください。
また、環境アセスメント時に市は住民の意見を十分に尊重し、事業実施に当たっては、市と協議の上、環境アセスに示されたことを遵守し、環境保全に万全を期されたいとの意見を付しています。そして、市の役割は、環境アセスが遵守されているかどうかというのをきちんと見守っていくことになると答弁をされています。
環境アセスでは、八王子城跡の水環境に影響は出ないことになっていますが、現実に御主殿の滝がれが起きている以上、国土交通省は環境アセスに示したことを守っていないことになります。市としてもこのことは市との協議対象になるのではないかと考えます。市教委だけではなく、市としても御主殿の滝がれ原因の追求と対策を国土交通省に対して求めるべきですが、見解を伺います。
3点目に、地元への影響の問題です。圏央道工事が裏高尾地区で始まって、地域の方からは、中央道のライトが圏央道に反射して、夜、明るくて眠れない。また、騒音もひどく、これも音ですけれども、圏央道に反射し、そしてそこからまた乱反射するということで、1日じゅう騒音で大変うるさいという声を聞きます。
また、今、換気塔が建設されておりますけれども、その後、排気ガスがどのような形で排気塔から出てくるのか。そのことによって裏高尾地区における大気汚染の問題は極めて深刻ではないかというふうに、圏央道が現実的になったときに多くの心配が出てきておりますけれども、こうした声に行政としてはどのように対応しているのか。こうした問題は環境アセスでは示されておりません。想定しなかったような問題が起きてきているわけですが、このことについての対応を伺いたいと思います。
次に、若者、そして非正規雇用の働き方に未来をということで伺います。
非正規で働く現実と実態として、大変深刻な事態が生まれています。格差拡大の要因として、非正規雇用の増大がありますが、1995年から2006年までの間に正規雇用は439万人減り、非正規雇用は662万人増加しました。この間の労働法制の緩和で、非正規労働者は増加をしています。全体の雇用者数の中でも非正規は32.2%と、3人に1人が非正規で働く人々です。15歳から24歳までの若者では48%、2人に1人となっています。賃金格差も、これは男性のデータですけれども、正規を100とした場合、非正規で働く人たちは64と、非正規の増加が所得格差の固定化となっています。
7月のNHKの番組であったと思いますけれども、ワーキングプアという番組がありました。働いても暮らせる賃金を得られないという内容です。2人の子どもを抱える父親は、2つのアルバイトをしながら生活を維持していますし、野宿生活で仕事を探す若者の姿など、厳しい雇用の現実が報道されていました。
トヨタなどの違法な請負労働なども、現在、摘発されているという実態もあります。
9月5日の朝日新聞では、若者の労働NPO、POSSEが下北沢や八王子市内などで、学生、社会人の15歳から34歳の2,776人を対象にアンケート調査した結果が報道されています。その内容は、フリーターで1日7時間以上働いていたのは71%、週5日以上は73%と、正社員並みの雇用の実態が明らかになりました。また、ある大企業の請負で働く知人は、雇用契約は3ヵ月、病気になったらすぐ首を切られる。単純な仕事で、働くことに喜びを感じない。ほかのことを積極的に行う気力もなくなってくると、心情を語ってくれました。
こうした非正規で働く人たちの現実について、市は把握をし、どのように考えているのか、お伺いをしたいと思います。
働くことが喜びであり、誇りであるという充実感を持てない人々が増大していく。そして、賃金が低く、常に雇用が不安定なため、生活が安定しない。そして、社会保障が不十分なために、将来の生活が極めて厳しい。最悪の場合には、望まなくても生活保護への移行というような問題も抱えてきています。
非正規の増大と、その働き方は深刻だというふうに思いますが、こうした問題についてどのようにお考えなのか。まずお伺いしたいと思います。
次に、労働法制の周知と、相談、支援体制の問題です。先ほど紹介したPOSSEの調査は、八王子市内でもたくさんのアンケートを取られたということで、八王子の実態も反映しているのではないかと思いますが、残業代を支払われていない正社員は、男性で42%、女性で49%、フリーターでは男性で30%、女性では27%、そして社会人になっている7%が、その残業代が支払われているかどうかわからないという結果が出ておりますし、労働基準法を知らないという正社員、フリーターの人たちは37%、社会保険に未加入のフリーターの人は65%、正社員の人は13%という結果が出ております。
また、労働基準法を知っていても、知らなくても、残業代の支払いや有給休暇の取得には余り違いは見られなかったという結果でもあります。
市は、産業政策課で労働法関係の周知を都と連携して行っておりますけれども、現実には労働基準法が守られていない実態があります。こうした実態を重視して、労働法制の周知を徹底し、労働相談や支援体制の仕組みをつくる必要性を私は強く感じますけれども、市はどのように考えておられるでしょうか。そして、この周知や支援、相談体制といったものについて、それを確立していくお考えについて伺いたいと思います。
次に、非正規労働と正規雇用の均等待遇の問題について伺います。
労働政策は国、そして労働法制などの権限は都が持ち、市役所の行政における労働政策というのは、周知や啓蒙といった意味で限界があることは確かです。しかし、その中で、行政として、非正規労働と正規の均等待遇を図り、それを市内に実態化していくための2つの方策が考えられます。
まず1点目は、公共事業や公共サービスを担う民間企業、すなわち、自治体が発注する公共事業や委託事業で、公正な働くルールづくりをすることです。ILO第94号条約は、国や自治体などの公的な機関が発注する事業について、社会的に適正、公正な水準の賃金、労働条件を確保することを契約に明記することを義務づけています。この条約の精神を自治体の条例として制定する。すなわち、公契約条例の制定を過去に何度も提起をしてまいりました。また、公正な労働を条件づけた総合入札制度の導入なども提案してきました。しかし、こうしたことは余り積極的な答弁を得られておりませんけれども、今後、非正規労働の問題を考えて、こうした公契約条例の制定や、総合入札制度の導入なども取り組みを進めていくことを強く求めたいと思います。
2点目の方策としては、現在、市行政で働く職員の人たちの待遇改善を図ることです。現在、市では、ことし7月1日現在ですが、正規の職員は3,171人、再任用の職員は42人、嘱託職員は1,525人と、嘱託職員と臨職の人たちが増大しています。非正規の職員の割合は32%、3人に1人の割合となっており、これは全国で働く非正規の割合の人たちと同じ状況となっています。
こうした中で、非正規の人たちが行政のサービスの中で大きな力となっていることが明らかなわけでありますけれども、それでは非正規で働く人たちと正規で働く人たちの均等待遇、待遇改善は市はどのように努力をしてきたのか、まず伺いたいと思います。
そして、嘱託職員の雇いどめの問題について、次には伺いたいと思います。
嘱託職員は、現在、514人、そのうち、27人が障害を持つ人たちです。市は、正規職員の中で障害者雇用をしていませんので、嘱託職員で障害者を雇用して、障害者の雇用率を達成しようという方策の1つでもありますけれども、ここでは障害を持たない人の雇用は1年の有期雇用ですが、更新は繰り返し可能です。しかし、障害を持つ人たちは、5年間で更新は中止となります。同じ嘱託の人の中でも、障害者と障害を持たない人では、その条件が異なっています。障害者の5年間という期限は、明らかに差別的な待遇ではないでしょうか。この理由と、5年の制限の撤廃についての考えをお伺いしたいと思います。
また、職員の働き方は多様化しており、短時間労働を望む人もおりますけれども、正規として働きたいと望む人たちもいます。嘱託などで働いて、数年間、キャリアを身につけ、希望すれば正規の職員となるチャンスも開かれるべきでありますけれども、現行の法体系の中でそれは可能でしょうか。障害があるとすれば何か、明らかにしていただきたいと思います。
最後に、使いやすい介護保険制度について伺います。
介護保険制度が4月から改定されて、認定調査が始まっています。介護認定の区分がこれまでの6段階から7段階に変更になりました。要支援の人は要支援1、要支援2、要介護1というふうに分かれていきます。ことし3月末から8月末までの更新認定結果は、要支援の人が要支援1というふうに、要支援1以下になるのは1,017人のうち655人、また、要介護1が要支援2以下というふうに、サービスのレベルが下がってくるのが、1,556人の中で803人となっており、要支援の人々では、要支援1と非該当になる率が高く、従来のサービス料が利用できないという状態が起きています。
ことしの6月まで不服申し立ては1件、6月までに区分変更申請をしたのは387件という数字を見ても、こうした認定に不服を持っている人たちが多くいることがわかります。
市民の方からは、介護認定が厳しくなり、要介護3から1になった、要介護1から要支援1になったとの指摘があります。介護保険財政の圧縮のために利用を抑制する。そのために認定が軽く出る傾向があるのではないかと危惧をいたしますが、そのようなことはないのでしょうか、お伺いをいたします。
次に、介護認定の1次判定のプログラムは、訪問調査79項目に加えて、要介護1を要支援2、要介護1に分けるための3項目が追加されています。認定が軽く出るのは、施設入所のデータだけで設計されており、在宅生活に必要な通院や外出、買い物、住宅についての調査項目がないために、認定結果と利用者の生活実態にそごが生まれているという指摘があります。これは、1次判定の欠陥ではないでしょうか。1次判定のプログラムは、厚生労働省が作成し、全国統一のものでありますけれども、1次判定の実施者として適切なプログラムと評価をしているのか。行政の立場としてお答えをいただきたいと思います。
また、このプログラムの欠陥を補うために、申請者の生活状況を調査員は詳細に把握をしなければなりませんけれども、本市では調査員が申請者の生活状況を詳細に把握するためにどのような指示を市として出しているのか、伺います。
次に、福祉用具等について、要支援の人々が制限されたサービスの支給について伺います。
介護保険は、行政の措置から契約へと、福祉サービスの考えを変えました。契約とは、サービスの選択と決定ができるということです。しかし、要支援1、2の人は、支援や介護が必要であるにもかかわらず、自分の使いたいサービスを利用できないというのでは、介護保険の信頼は失われます。これは介護保険料の納入率にも反映されてまいります。東社協の調査でも、80%の人が不便、不都合を訴えておりましたけれども、ある自治体では、今年度に入って複数の高齢者が介護保険証を返却しに来たということです。介護保険制度の信頼を得るには、高齢者のニーズに合ったサービス提供が不可欠です。
今回の改定は、介護保険の信頼を失いかねない内容だと考えます。高齢期の障害や、慢性的な病気が進行するのを防ぐために、介護予防を望む人たちもおりますけれども、介護サービスを利用して自立した生活を辛うじて維持している人たちもいます。厚生労働省も、介護予防サービスを利用しても、現状維持あるいは改善されるのは1、2割としています。介護予防サービスを利用しても、8割以上の人たちの要介護状態は重くなってきます。私たちもそうであるように、限定されたサービスではなく、その人に合ったサービスが必要でありますし、高齢者の生活スタイルや価値観は多様になっていますので、なおさら、その人に合ったサービスが必要となってきます。
例えば、妻が要介護1の方では、夫婦で月額1万円の介護保険料を払っているが、使いたいサービスがない。せめて通院のための介護タクシーとベッドは利用したいという意見があります。市のパンフレットには、要介護の人は、ホームヘルプサービスは同居家族の支援がある場合には受けられないと記載されています。これは家族介護への逆戻りとも言えますけれども、限度額の中で自由にサービスを選択するということは、介護保険の理念ではなかったでしょうか。
多様な利用者の生活を支えるためには、従来の介護サービスも必要でありますし、サービスを選択することを妨げるべきではありません。介護保険制度の選択と決定の原則は保障するというのが、これまでの市の答弁でありました。であるならば、要介護の人が利用できる介護サービスを、要支援の人も利用できるよう、選択肢を広げることはできないのでしょうか。これは利用限度額内での利用とすれば、介護保険財政を圧迫することもありません。おのおの個人の状況に応じて、自分にとって最もよいケアができるよう、サービスの選択肢を広げることについての見解をお示しください。
以上で1回目の質問を終わります。
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