◎40番【井上睦子君】
|
それでは、生活者ネットワーク・社会民主党を代表して、ただいま上程されました各議案に対して代表質疑を行います。
まず、第72号議案、2006年度八王子市一般会計補正予算(第2号)についてです。
地域福祉計画の策定に先立ち、サービスの利用実態、意向などを把握するためのアンケート調査費が計上されています。先ほどは利用者の実態をきちんと把握するようにというような御質疑がありましたけれども、ぜひそのようにしていただきたいというふうに思いますし、同時に、地域保健福祉計画の策定委員会の設置や策定のスケジュール、策定委員会の構成について明らかにしていただきたいと思います。
既にこども育成計画、介護保険事業計画が策定され、現在、障害者基本計画についてはパブリックコメントを募集中です。これらの計画との整合性をどのように図っていくのか、お答えください。
また、統合化する意義についてもお聞きいたします。
次に、保健所政令市移行準備についてですけれども、10月から職員9名を保健所に研修派遣する予定になっています。来年度から5年間で職員体制の充実を図らなければなりませんが、保健所の業務数及び職員数、最終的にはどのような職種で何人確保しなければいけないのかをお聞きいたします。
さらに、5年間で職員はどのように移行していくのか。また、所長である医師の確保、保健所移行に伴う市庁内の組織体制についてもお答えをいただきたいと思います。
次に、高尾の里整備計画についてお聞きいたします。
本年3月、高尾の里整備については検討協議会から提言が出されています。提言では、高尾の里には新しい門前町、現代に生きる門前町というコンセプト、拠点施設となる博物館跡地等の活用には高尾の自然、歴史、文化や市全体の伝統文化の発見、発信の場というコンセプトを与えています。
東京都高尾自然科学博物館が暖帯林から温帯林に移り変わるところに位置し、1,200種もの植物や多くの動物の生息など、高尾の自然に焦点を当てた博物館であったものから、自然に加え、歴史や文化も加味した観光へと博物館跡地が大きくシフトする提言の内容となっています。観光へと大きく変化することによって博物館としての機能は縮小し、博物館法に規定された施設ではなく、博物館機能を有する施設となってしまっています。
博物館法は、第3条で、博物館の事業として、博物館資料の収集、保管、展示や専門的な、そして、技術的な調査研究など、10の事業を行うこととなっています。東京都の合意事項で、継続する機能は明記されておりますけれども、計画されている施設の博物館機能とはどのような事業なのか、具体的に示してください。
私は、東京都が高尾の動植物などの収集した資料や蓄積してきた調査研究をさらに継続、発展させ、博物館法に規定される博物館として存続させることが必要だと考えています。なぜなら、高尾の自然を観光という経済的な価値だけで評価するのではなく、純粋に自然科学として調査研究することは高尾山の価値に深みと多様性をもたらし、子どもたちにとっても将来の研究者を生み出すかもしれないという教育の充実にもなると思うからであります。
博物館法に基づく施設としての考え方について、お伺いいたします。
提言では、構想する博物館機能は、サテライト機能とし、保管、収集、調査研究等は、旧稲荷山小学校で行うことが適当としています。さらに、博物館機能、観光機能等が入る新施設は1,500平米とされています。これは市全体の博物館構想というソフト部分について十分な検討がされないままに新施設のハード部分が固まっていくという逆転現象が起きています。きちんと市全体の博物館構想を練り上げることが先決ではないでしょうか。御見解をお聞きいたします。
次に、登校支援ネットワークの整備についてです。
これは登校支援として、スクールカウンセラー、メンタルサポーターの増員を行うというものですが、学校に行かない、行けない子どもたちが増加している要因について、市教委はどのように理解しているのでしょうか。また、学校以外のフリースクールなど、子どもの居場所との連携はどのようにとれているのか、お伺いいたします。
今までの不登校対策として、市教委は小学校高学年における人的支援不足や登校支援ネットワーク全体を統括する組織への人的な人材の不足が問題であるというふうにしておりますが、今回の増員によって、それは解決されるのでしょうか。メンタルサポーターなどの増員による効果をどのように期待しているのか、お答えください。
人的不足とは、私は、何より教師が子どもと十分に接し、目が行き届くことが大切だと考えています。教師と異なった立場の人が子どもたちと接することにも意義はありますが、少人数学級の実現などによっても不登校の子どもたちの問題を解決できるのではないでしょうか。お伺いいたします。
次に、第73号議案、2006年度八王子市国民健康保険事業特別会計補正予算(第1号)及び第80号議案、八王子市国民健康保険条例の一部を改正する条例設定について伺います。
さきの通常国会で、医療費の抑制を目的とした医療関連法案が成立し、国の医療費への負担を減らし、患者には医療費の負担増を押しつける医療制度の改悪が始まってしまいました。国保特別会計について、保険財政共同安定化事業の創設によって歳入では共同事業交付金として18億2,200万円、歳出では共同事業拠出金として17億8,000万円が支出されています。この共同安定化事業は国保の都道府県単位の広域化を図り、財政リスクの分散や保険基盤の強化という点ではメリットがありますが、財政的な基盤の弱い市町村が多い県では根本的な問題は解決しないと言われています。また、保険税の標準化によって保険税が相対的にアップする可能性があるとも言われています。
保険財政共同安定化事業の創設、高額医療共同事業交付金制度は、本市にとってどういう影響を及ぼすのか、保険税への影響はあるのか、お答えください。
国保条例の一部改正によって現役並みに所得のある70歳以上の高齢者の自己負担が2割から3割に増加します。公的年金控除の縮減、老年者控除の廃止に伴い、新たに現役並み所得に移行する高齢者もありますが、負担増となる対象人数については先ほどお答えがありましたので、これについては省略いたしますが、こうした中で、1人当たりの負担額はどのようになるのか。そして、影響の合計額についてもお答えいただきたいと思います。
ことし10月から、高齢者70歳から74歳の医療費窓口負担を現行の1割から2割へ、一定所得以上は、先ほども申しましたように、3割となります。また、高額療養費の患者負担の上限の引き上げが始まります。70歳以上の高齢者では、現役、現行で一般並みに引き上げ、一般の人たちは現行の月額上限の大幅引き上げと入院や外来での金額が大幅引き上げとなっていきます。今回、議案提案されているひとり親家庭の医療費助成制度の食費、居住費の負担増にもあるように、70歳以上の療養病床入院患者の食費、居住費が全額患者負担となりますし、また同時に、人工透析患者の負担上限の引き上げという4つもの改悪がことし10月から始まり、患者の負担増が強行されていきます。日本の患者の負担は既にアメリカを上回っていると指摘をされています。このように患者の自己負担が増えれば、患者の医療機関へのアクセスが、特に低所得層で悪化する、すなわち受診抑制が起こると、日本福祉大学教授の近藤克則さんは警告しています。
こうした患者の自己負担の増加は、患者にどのような影響をもたらすと市はとらえているのか、お伺いいたします。
住民税の増税、介護保険料の値上げによって多数の市民からの苦情や問い合わせが殺到したように、市の担当窓口にも、10月からの制度改悪で同様のことが起きる可能性がありますが、市民の不安や苦情に市はどのようにこたえていくのか、お答えください。
次に、第85号議案、八王子市姫木平自然の家条例の一部を改正する条例設定についてであります。
これは指定管理者制度を導入するための条例改正でありますが、現在、株式会社長和町振興公社への委託業務となっています。この姫木平自然の家への指定管理者導入の理由、また、期待される効果についてお伺いいたします。
長和町振興公社は第三セクターですけれども、一般公募で行うのか、特命で行うのか、またその理由についてもお答えください。
ふじみ野市のプールでの子どもの死亡事故というのは、指定管理者がまた管理を委託して、その管理責任を果たさず、行政の管理手法も不十分であったことが明らかになっています。施設管理が行政から離れていくことに対する安全性への不安があります。指定管理者制度は、このような問題も、この間露呈してまいりましたけれども、この安全性の確保の問題についてはどのように考えているのか、明らかにしていただきたいというふうに思います。
そしてまた、自治総研が全国の指定管理者制度導入の実態を調査いたしました。1割強という程度でありますし、民間は利益が上がる施設には参入するけれども、利益が上がらない施設には参入しないのではないかというような指摘もありますけれども、指定管理者制度導入を、もろ手を挙げて導入していくことには極めて危険がつきまとうというふうに思いますが、その点についてお伺いいたします。
次に、第86号議案、八王子市土砂等の埋立て事業の適正化に関する条例設定について、伺います。
残土処理については、里山の風景の残る谷戸が不法な残土処理によって埋められるという事態が続いていました。市はこれまでも現在の残土条例を改正し、そして、それを強化することによって対応してきましたけれども、周辺関係者への事前説明や土地再生管理計画の届け出、保証金の預託によってさらなる強化をする今回の条例設定に対しては評価をするものです。
この条例の内容について幾つか確認したいというふうに思います。まず、条例設定の背景となる問題及びそうした問題を今回の条例は解決するという効果が期待されるのかどうか、明らかにしてください。
そして、第3条1項で適用範囲を定め、2項では適用除外のものを定めています。その中で、事業面積が3,000平米未満かつ盛土の高さが3メートル未満の事業については適用除外になっておりますけれども、これは以前に農地改良に名をかりた不法残土処理が過去行われたという経緯がありますが、こうした事態を予防できるのでありましょうか。こうした小規模な盛土について、除外することによって農地改良に名をかりた不法残土の処理ということは起きないのかどうか、お伺いいたします。
そして、その他市規則で定める事業というものも適用除外となっています。市規則で定める適用除外となる事業というものはどのようなものなのか、明らかにしてください。
3点目として、周辺関係者への事前説明等について伺います。これは手続を細かく定めて十分な周辺住民に対して理解を得られるよう努めなければならないし、また、安全確保に関し、関係者と協定書を締結するよう努めなければならないというふうに事業者に対する努力規定となっています。この効果についてどのように考えてこの内容を設定したのか、そして、周辺関係者とはどの範囲を示すのか、そのことを明らかにしていただきたいと思います。例えば自然環境保護団体なども周辺関係者ということになるのかどうか、お示しいただきたいと思います。
保証金の問題についてでありますけれども、1立方メートル当たり200円を乗じた額と定められております。この妥当性について御説明をいただきたいと思います。
最後になりますが、この条例の課題として私が感じますのは、残土を発生する開発事業、発生段階からの管理が必要ではないかと考えております。今回の条例は残土を適正に処理するということでありますけれども、残土が発生する時点から最終的な処理まで一貫した管理システムを今後はつくっていく必要性についてどのように考えているのか、そして、自然や環境保護の観点からもさらなる強化が必要なのではないかというふうに思いますが、この点について条例検討の経過の中で、こうした問題についてはどのように考えられてきたのか、明らかにしていただきたいと思います。
最後になりますけれども、第87号議案、八王子市地区まちづくり推進条例の設定について伺います。
まちづくり条例の制定が各地で相次いでいます。地域で起きているさまざまな開発や環境問題に対して、法制度が有効に機能しないという問題があるからこそ、こうした各自治体ごとのまちづくり条例が制定されると思います。建設行為の規制と誘導を定めた真鶴町のまちづくり条例などは、その先進的な内容によって高く評価をされています。
各自治体のまちづくり条例の特徴は、例えば日野では市民主体のまちづくり、あるいは協働による重点的なまちづくり、また、協調協議のまちづくりということで、理念として市民主体が盛り込まれ、開発事業に対しても協調協議という形で手続が詳細に記されています。これは練馬区も国分寺も同様の条例の立て方になっています。今回提案された本市のまちづくり条例とは決定的な相違がこの3自治体の条例とはあるわけですが、この決定的な違いとは、開発事業に対する手続が八王子市の場合定められていない。そして、これに対する住民参加が保障されていないということです。地区まちづくりについてのみの協働によるまちづくりというのが本市の特徴です。他の自治体のように、開発事業に対する手続や住民参加もきちんと条例に定めなければ、目的を達成することはできないというふうに考えておりますけれども、この地区まちづくり協議会を主体とした、自主的な、その地区だけによるまちということに限定し、開発事業に対する手続の強化を定めなかったのはなぜなのか、明らかにしていただきたいと思います。
今回の議会でも、先ほど新しい残土条例の設定というように手続の強化が定められました。また、ペット霊園の開発、建設についても、6月議会で、事業者に周辺への説明、市の指導を定めた手続を強化していく内容として、さまざまに起こってきている問題に対しては対応するようになっています。したがって、今回のまちづくり条例も、こうした開発事業に対して起こってくる問題について、総合的に手続を強化する条例の制定の必要があったというふうに私は考えておりますが、このことは残念ながら定められておりません。さきの問題とも重複しますが、個別条例では手続を強化しながら、まちづくりの基本となるまちづくり条例ではこれを定めないというのはどのような考え方なのか、お聞きいたします。
また、先ほども、さきの質問者からも問題提起がありましたけれども、明星大学の高層の校舎建設について、あるいは大谷緑地に連なる斜面の住宅開発について、また、プラスチックの処理場の建設についてさまざまな開発事業について住民からは反対請願などが出されました。こうした問題にこのまちづくり条例はきちんと対応できていく内容になっているのかどうかということは極めて疑問であります。もし対応できるとすれば、どのような手続によってこれを解決することができるのか、詳細に明らかにしていただきたいというふうに思います。
目的では、マスタープランに掲げる将来都市像を実現するためのものとしています。それでは、例えば具体的な問題として、川口リサーチパーク跡地の物流基地構想については市民の間に大きな反対があります。所有者の中でもこの反対があるわけですが、この条例に定められたまちづくり協議会が物流基地ではない計画案を策定した場合、市長はその計画案を認定するのでしょうか。お伺いいたします。
マスタープランと異なるという理由で認定しない可能性がこの条例の中では高いわけですが、この場合、市民参加は保障されていないということになります。市民参加、市民主体のまちづくりといっても、マスタープランに相違しない限りにおいてという限定された市民参加になるのではないでしょうか。この限定された市民参加は、真の市民との協働によるまちづくりになるのかどうかということについてもお伺いをいたします。
以上で代表質疑を終わります。
|
|