◎40番【井上睦子君】
|
それでは、2006年度八王子市一般会計及び各特別会計予算並びに関連する議案について、生活者ネットワーク・社会民主党を代表いたしまして、質問をいたします。
まず、自治体の基本的課題と地方財政についてであります。
OECDが先進諸国の貧困に関する国際比較をしたところによると、日本の貧困率は15.3%と示され、アメリカの17.1%に次いで主要先進国の中では2番目の高さとなりました。最低の貧困率は福祉国家として名高いデンマークの4.3%で、日本の貧困率の高さが異様であると言えます。日本において格差が拡大した、そして、人々の間で二極分解が進んでいるという認識は共通したものになっています。勝ち組、負け組という言葉が頻繁に使われていることからも明らかです。これは、2つの分野で顕著になっていると言われています。第1に、所得の高い人と低い人の格差が顕著になっていること。第2に、恵まれた家庭に育った子どもは有利な人生を送れるのに対して、恵まれない家庭の子どもは不利なままであるということが続いているということです。
貧困の原因は、失業者が増大をしたこと、パートなど非正規労働で働く人たちが増大をしたこと、働いても最低基準の賃金にも満たない、したがって、生活保護の基準額にも満たない労働者がいること、そして、高齢化の進行によること、また、離婚率の上昇によって母子家庭が増加していること、このことが貧困の原因だと言われています。これは、高齢者や母子家庭の経済状況を改善する社会保障や社会政策が小泉政権下ではとってこられなかったこと、そして、非正規の労働者の数を減少させ、賃金を上げる政策が採用されていないということをあらわしています。これは小泉構造改革の規制緩和、そして、小さくて効率的な政府論が生み出した結果であると言えます。
本市の税収は、市長の提案説明では、国の景気の踊り場脱却宣言によって停滞期を脱したことが市税収入の一面からもわかるが、わずかにその兆しが感じられるとしていますが、市民の貧困化が進む中で、市民生活は極めて厳しく、市民の所得の格差が拡大しているということが市税収入の動向からも明らかでありますけれども、市は、市税収入の動向と市民生活の状況をどのように把握しているのか、お伺いいたします。
また、三位一体改革について、今回の改革では、3兆円の税源移譲が決まり、施設整備費、国庫負担補助金の一部が税源移譲対象とされ、生活保護負担金の地方転嫁がなかったことは評価できますけれども、児童扶養手当や児童手当、義務教育国庫負担金の負担率引き下げなど、真の地方分権や自治の推進につながらない内容も盛り込まれました。また、一般会計からの支出額ベースで1兆5,000億円以上圧縮され、14兆5,600億円となった地方交付税は、地方が受け取る出口ベースでは、対前年比5.9%減ともなりました。これは地方の公共サービスや市民生活へのしわ寄せが極めて懸念されることであります。
八王子市の税源移譲と補助金削減額との差は、約2億8,000万円となり、マイナスの影響は受けておりませんけれども、こうした三位一体改革の全体像からすれば、地方の財政がより厳しくなる、そして、地方の中でも人口が集中する都市部には有利ではあっても、人口の集中しない地方には不利であるということの改革の中身ではないかというふうに思います。このことによっても、三位一体改革が自治体にも勝ち組と負け組を生じさせてくる要因ともなっているというふうに思いますが、三位一体改革と地方財政について市長はどのように評価をされているのか、お伺いいたします。
次に、まちづくりについて伺います。
まず最初に、まちづくり条例についてでありますけれども、現在、条例骨子案がパブリックコメントにかけられています。まず、条例の意義、すなわちまちづくりにおいて何が解決できるのかについて伺います。
さらに、これまでのまちづくりの中で、マンションの建設や墓地開発など各法律に合っていれば、高さや面積など住民の意向が強くても、容易に変更することは困難でありました。このまちづくり条例は、法を上回る規制が可能なのか、お伺いをいたします。
さらに、まちづくりには都市計画法などの上位法を変更できる力が必要ですが、条例が規定するまちづくり協議会などは、都市計画変更の提案者となり得るのか、お聞きをいたします。
最後に、パブリックコメントの導入については評価をいたしますけれども、これがパブリックコメントの制度として実現をされ、条例素案の作成までパブリックコメントをすべきではないかと思いますが、どのように今後はされていくのか、お伺いをいたします。
次に、南口再開発について伺います。
再開発にかかわる予算が先日の都市建設委員会で正式に示されました。その内容は、市の純粋な負担額として112億円が示されています。再開発ビル建設費に対する補助概算額として約7億円、市民ホール・中央地域総合事務所保留床として約90億円、駅前広場デッキ整備概算額として約15億円が示されました。予算の示され方、資金計画についてはなかなか明らかになってこなかったわけでありますけれども、この概算が示されたことによって今後の市の財政運営にどのような影響を与えていくのか、そのことは検討されておられるのかどうか、お伺いいたします。
ゆめおりプランの財政計画の中にもこの金額としては明らかになっておりません。今後の実施計画の中で、112億円という金額は大変大きな影響を与えるというふうに思いますが、このことについてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
さらに、駅前広場デッキのアンケートが2回実施され、市役所または子安の町会、あるいは子安市民センターでの広聴会が開催されました。そこに参加した住民の意見は実に多様で、さまざまであります。南口再開発絶対反対という立場から、賛成ではあるけれども、デッキは要らないのではないか。あるいは、40階建ての建物は近隣の住民にとっては風害や電波障害を生じさせるために反対である。あるいは、野猿街道の機能回復道路はどのようになるのか。JRのビルはどのような役割を持ち、本当にまちの活性化になるのかなど、やっと再開発について市民がみずからの意見を語り始めたという段階だというふうに思います。しかし、市のスケジュールから行けば、ことしの6月には準備組合から組合を設立し、新年度中には工事に入るという計画になっております。さまざまな意見がある中でも、住民が合意してこの再開発に対して決定していくという手続が全くないままで、このまま建設が強行されるとするならば、地域にとって決していい結果をもたらさないというのが幾つかの広聴会や説明会に出ての思いでありますけれども、さまざまにある住民の意見をどのように取りまとめ、合意をとっていくのかということについてじっくり時間をかけるべきではないかというふうに思いますが、その点についてお考えをお示しください。
次に、高尾の里の整備についてであります。
本来的には、高尾自然科学博物館の機能をつくることが第1の目的でありました。しかし、検討委員会の議論は、国の森林センターの建設や金子邸の移築によって車人形の公演を行うといった問題が前面に出され、第1の目的としてあった高尾自然科学博物館の構想が後退しているように思われます。地域住民のみならず、都民にとっても重要な価値を持つ高尾山であります。多くの市民の意見を聞きながら、高尾山にある自然科学博物館の意義を踏まえた、本来的、本質的な議論にもう一度立ち返るべきだと考えますけれども、市はどのように今後高尾の里の整備方針を確立していくのか、お伺いをいたします。
次に、株式会社まちづくり八王子の今後についてお伺いいたします。
2月に開かれた住都公社の評議員会では、住都公社の解散が延期されました。当分、1年程度というニュアンスでありましたけれども、株式会社まちづくり八王子については今後どのようなお考えなのか、お伺いしたいと思います。
まず住都公社は、新年度、指定管理者がとれなかったという理由で、2名の希望退職を募りました。結果として5人が希望退職を望み、新年度の事業が立ち行かないという事態が生まれているとも聞いております。このことは、指定管理者の仕事がとれなかったから希望退職を募るということ、そして、5人もの希望退職者が出たということについては、住都公社の運営について極めて遺憾であり、働く人々の立場や権利というものをしっかり守らないという体質が露呈したというふうに思います。また、5人の希望退職者が出たということは、将来、株式会社八王子をつくるにしても、職員がそこに希望を見出せない結果としてあるのではないかと考えます。
12月議会では、新年度から株式会社を設立するための準備が始まるということでありましたけれども、これは議会の承認、理解を得られないということで、凍結という状態でありますけれども、こうした事態を市長はどのように考え、今後株式会社については設立する意向であるのかどうか、明確にお答えをいただきたいというふうに思います。
2月21日には西南部物流研究会が川口地区の整備方針の報告を出して解散したということでありますけれども、実際に担い手のいない株式会社でそのような事業がやれるのか、やれるとしても、提言は特定代行で行うようにという提言でもありますので、株式会社の新たな事業とはならないというふうに思いますが、この問題は極めて重要でありますので、市長はどのようにお考えになっているのか、お伺いをいたします。
次に、健康福祉行政についてお伺いいたします。
まず、介護保険の見直しと事業計画についてであります。
2000年にスタートした介護保険は、措置型サービスから事業所を選んで契約する選択型サービスへと大きく福祉サービスのあり方を変える役割を果たしましたけれども、5年後の見直しが国会で決議され、走りながら考える制度として始まりました。今回の改正法の前文には、高齢者の尊厳の保持がうたわれていますが、見直しの論点は給付抑制でした。給付抑制は介護保険財政の支出を抑制することですが、利用者の立場からは利用制限ともなります。
その具体的な内容は、介護予防の考え方に基づき、介護が必要になる人の増加を抑えること、昨年10月から導入された施設利用者の居住費、食費の自己負担による財政支出の抑制でありました。施設利用者からは利用料を払い続けられない、利用をあきらめるなどの訴えも寄せられています。財政支出の抑制を目的とした改正は、問題であったと言えます。
こうした改正法に基づく第3期介護保険事業計画は、介護が必要になっても、高齢者が尊厳を守り、自分らしく暮らしていく制度となるのでしょうか。まず介護予防サービスは、要支援1、要支援2の人たちが16の介護予防サービスを選び、利用して、1割の人たちが現状維持、改善することを目標としています。ケアマネジメントやケアプランは、地域包括支援センターで行うことになります。専門性を持つ保健師が考えるケアと本人や家族の希望するケアとの違いが出ることも考えられます。介護保険サービスの利用は選択と自己決定が基本でありますけれども、介護予防サービスにおいても、この原則は保障されるべきですが、市はどのようにお考えでしょうか。お答えください。
地域包括支援センターは、現在の在宅介護支援センターが移行いたします。国の示す日常生活圏域は、人口2万から3万人に1ヵ所の設置を目標としております。そして、介護福祉士、保健師、主任ケアマネジャーの配置が必須でありますけれども、本市の場合、日常生活圏域は3万5,000人から6万8,000人と多い人口と広大なエリアとなっています。高齢者が歩いていける範囲で、十分な職員体制によってサービスが整うことが大事でありますが、今後の日常圏域の見直しの方向性及び地域包括支援センターの人材確保と職員体制はどのようになるのでしょうか。
介護が必要になっても、可能な限り、住みなれた地域で生活できる地域密着型サービスは、その充実が望まれますけれども、夜間対応型訪問介護から小規模特養まで、合計14の施設の増設となっています。アンケート結果からは、介護保険を利用してできるだけ今の住まいで暮らしたいと希望する人が1号、2号被保険者で最も高くなっていることを考えると、この事業計画では十分な供給体制とは言えません。市民ニーズをどのように把握したのでしょうか。需要と供給はバランスがとれているのか、お答えください。
介護保険料は、8段階が導入されました。第1段階、第2段階の保険料は下がりますが、基準額である第4段階は年額1万3,000円、第8段階では年額2万8,800円の負担増となります。低所得者の保険料軽減のために高額所得者の保険料を上げるという手法は既に限界です。また、年金課税の見直しや高齢者の非課税限度額の廃止による税制改正によって保険料や利用料の段階が上がり、緩和措置が当面とられるとしても、負担の増加は避けられません。高額所得者の保険料負担の増加と税制改正による負担増について、どのように考え、保険料を設定したのか。また、介護保険制度を公平で持続的な制度としていくためには、国の介護給付費負担金の割合を引き上げ、保険料額を抑制するよう国へ働きかけを強化すべきと考えますが、市の今後の取り組みをお伺いいたします。
次に、障害者自立支援法とサービスについてであります。
多くの障害者や家族、関係者の不安や心配を押し切って、昨年10月、障害者自立支援法が成立いたしました。この法律の最大の問題点は、応益負担制度が導入されたことです。措置制度や支援費制度では、利用料負担が所得に応じて決まる応能負担が原則でありました。応益負担はサービスを利用すればするほど利用料負担がかかる仕組みで、利用抑制など、障害者に大きな影響を及ぼします。
障害者福祉に応益という概念は適しません。視覚、聴覚の重複障害を持つ福島智東大助教授は、障害者が生きる上で必要最低限な身体動作、移動、コミュニケーションなどを得ることが益なのか、これらは基本的な自由ではないのかと社会保障審議会障害者部会で指摘しています。
以上のような問題を持つ障害者自立支援法によるサービスが、現行の支援費によるサービスを後退させることなく提供できるのか、何点かお伺いいたします。
まず支援費制度で実施されていた全身性障害者への日常生活支援は、介護給付事業となります。従来のサービス量が確保されるのでしょうか。
また、移動支援は重度訪問介護や行動援助以外は国の財政責任が不明確な地域生活支援事業となります。市町村の財政力などによって格差が広がることが心配されています。移動支援サービスは社会参加のサービスの根幹をなすものです。利用の上限を設定することなく十分な財源確保をすべきですが、移動支援に対する考えをお聞きいたします。
これまでの支援費制度では、市の担当者が障害程度区分に基づき支給を決定していましたが、自立支援法では障害程度区分の判定は審査会が2次判定を行います。区分判定に当たっては、障害者の多様な特性とニーズを理解することが重要ですが、医師や専門家のみならず、障害者の生活実態をよりよくわかった障害当事者が審査会に参加することを保障すべきだと考えますが、審査会の構成はどのようになるのか、お示しください。
次に、こども育成計画の充実に対してであります。
子育てしやすいまちナンバーワンを目指してこども育成計画が策定され、子ども家庭支援センターの増設など、着実に計画が実行に移されていますが、子どもたちの育ちを保障するにはまだ多くの課題があります。子どもたちの育ちに大きな役割を担うのが保育園や学童保育所、児童館です。保育園は05年度の待機児は新基準によっても288人、06年度も同様の待機児数だと聞いています。また、学童保育所はことしの1月16日までの申し込みで、11ヵ所、134名の保留の子どもたちが出ています。これは早急に解決しなければならないことですが、保育所定員の弾力的な運用や学童保育所の施設拡大や設置などどのように取り組むのか、お示しください。
児童館は、条例改正により、対象年齢が拡大し、差別規定であった著しく心身に障害のある者などの利用制限が撤廃されました。このことは評価したいと思いますが、これは18歳までのすべての子どもたちが利用できると理解していいのでしょうか。全館直営となり、子育ち支援の中核施設として社会体験活動、中高生向けの居場所づくりなどの事業展開が挙げられています。障害の重い子どもたちを受け入れる居場所であるためには、施設のバリアフリー化やマンパワーも必要になりますが、施設の老朽化と狭さはこれからの事業展開にとって阻害要因ともなります。施設の建て替えや修繕を急ぐべきですが、どのような計画なのか、お伺いいたします。
また、18歳までの子どもたちの受け入れや時間延長、職員体制の充実によって多様で複雑な問題を抱えている子どもたちを包み込む児童館であり、子ども自身の成長が遂げられる居場所であってほしいと願いますが、新たな児童館の役割や具体的な事業についてお聞きをいたします。
また、児童虐待の受理件数は八王子市内で98年に16件であったものが、04年度にはその10倍にも増加をしています。相談件数の増加に比べて支援体制が追いつかないという指摘がありますが、子どもへの支援援助体制及びその充実策についてお答えください。
苦情解決のための制度について伺います。
市民からの福祉サービスに対する苦情などは窓口対応となっていますが、十分に苦情に対応できず、問題の解決がされておりません。自主や公立の学童保育所の入所基準やひとり親家庭へのホームヘルプサービスなどの苦情を市に訴えても、原因は何で、どのように解決したのか、市民にわからないという訴えが届いております。福祉サービスは、指定管理者の導入などによって、ますます民間事業者が担う比率が高くなっています。行政は、制度の構築や契約、管理などの事務が主体となり、具体的なサービスの担い手ではなくなっています。こうしたサービスの内容や制度について、市民からの苦情に迅速にこたえ、解決するために制度の変更なども行政に提言できる福祉オンブズパーソン制度の創設が必要ですが、市の見解を伺います。
次に、保健所政令市への移行と課題についてお伺いをいたします。
市は、2007年4月を目途に、市民の要望を取り入れた市立保健所として、再編、移行できる準備を新年度はするとしています。地方分権の立場からも、最も市民に近い行政が保健所業務を担うことは、福祉や医療との連携を図る上でも重要でありますけれども、保健所業務には都市計画にかかわるもの、障害者医療や福祉にかかわるものなど、多岐にわたります。また、市の保有する保健センターや保健福祉センターでの事業の連携など、さまざまなことを解決していかなければなりません。保健、医療、福祉などの全体的な計画というのはいつごろ、どのように策定されるのでしょうか。新年度移管に向けて市民要望を取り入れるということはどのようになされるのか、スケジュールなどをお示しください。
次に、教育行政について伺います。
まず、教育条件の整備についてでありますけれども、市長は、教育の施設環境整備には、厳しい財政環境ではあるが、必要な予算を確保していると提案説明をされました。学校施設の耐震補強やトイレ改修は計画的に進んでおりますけれども、老朽化した校舎の修繕や改修というものはまだまだ保護者や学校からの要望にこたえられていません。もっと予算配分すべきですが、御見解を伺います。
また、市費の指導主事を1名増員し、指導主事が9名体制となります。子どもたちの学力を伸ばし、行き届いた教育をしていくためには、指導主事の増員ではなく、学校現場への教員の増員が必要です。少人数学級の実現に向け、教員の増員を図るべきですが、御見解をお示しください。
次に、特別支援教育について伺います。
06年度は、04年度から実施されている特別支援教育移行への東京都のモデル事業の最終年になりますけれども、特別支援教育の目的である障害のある子もない子もともに学び育つということの成果は出ているのでしょうか。お伺いいたします。
昨年12月に出された中教審答申では、小中学校における制度的な見直しについては、特殊学級の弾力的な運用を進めるというふうにしておりますけれども、特別支援教室については今後の検討となっています。当初のともに学ぶという理念と実態は異なり、今後の方向性も中教審は出せないでいるようです。都のモデル事業終了後、教員や専門職の配置、そして、学校のバリアフリー化などの整備についてはどうなるのか、今後の方向性についてお答えください。
次に、日の丸・君が代と内心の自由の問題について伺います。
2003年9月の市教委の卒業式・入学式の実施指針、そして、同年10月の東京都教委の通達により、東京都の教員は日の丸を掲げ、君が代を歌うことを学校長からの職務命令という手段によって強制され、内心の自由を奪われたと言えます。今年度の卒業式でも同様の通知が出され、子どもへの学習指導要領に基づく指導という形で、子ども自身にも強制されようとしています。これは東京都の教育が極めて異常な事態にあると言わざるを得ません。
小泉首相は、靖国参拝を総理大臣の心の自由だと主張しています。しかし、憲法学者の樋口陽一さんは、次のようにその論理の矛盾を指摘しています。小泉氏の論理の矛盾は、内閣総理大臣という最高権力者にかけられている憲法の制限を取り払う根拠に、もともとは権力者を縛るはずの憲法を持ち出していることにある。最高権力者がみずからの意のままに振る舞うために心の自由を持ち出す一方で、思想、良心に照らして、個人がしたくないことを無理にさせるという強制が現実に起きている。入学式や卒業式での国旗掲揚や国歌斉唱をめぐり、起立できない、君が代を歌えないとして、起立しなかった教師の心の自由が子どもたちの前で押しつぶされている。かつては権力者の心の自由のままに、権力を持たぬ者の自由は切り捨て御免であった。王侯貴族の所有物だった政治が公共の手に移ったのが近代であったはずだ。その前提が失われようとしていると指摘をしています。
憲法は、市民の基本的な人権を保障し、それを大臣や国会議員、裁判官、公務員に守らせるために憲法尊重擁護義務を課し、権力者に縛りをかけています。すなわち、権力を制限して、個人の自由を守るということが憲法の基本的な原則であります。今学校現場で進行していることは、この憲法の原則を否定し、近代以前の封建的な、心の自由を保障されない、息苦しい時代への逆戻りであります。卒業式・入学式対策本部長から出された通知は、憲法に反するものです。教師や子どもの思想、良心の自由を侵害するものであり、99条に規定された公務員の憲法擁護義務にも反します。したがって、通知の撤回を強く求めますが、教育長の見解を伺います。
次に、図書館・公民館の充実について伺います。
図書館条例の改正によって学園都市文化ふれあい財団で運営されていた北野地区図書室が中央図書館の分室と位置づけられます。図書館分館への移行を求めた請願が採択されてから長い時間が経過し、請願者の皆さんにとってはやっと図書館行政のネットワーク下に入り、市民サービスの充実が図られるという思いがあります。7月から北野分室となり、開館時間は44時間に延長され、レファレンスなどの7つのサービスが実施されます。しかし、図書館が雇用する嘱託職員が当分の間配置されますが、運営は北野住民協に委託されます。住民協が2月に職員を募集した内容は図書室ボランティアとなっています。6月までは住民協の運営ですが、7月からは図書館が運営の主体となります。7月以前から図書館が指導に入り、スムーズに移行できる体制を築かなければなりませんが、このような募集内容で本当に運営ができるのか、心配です。図書館サービスは単に本の貸し出し、返却ではありません。本をよく知る職員がいてこそサービスの内容も充実します。住民協への委託理由及び中央図書館などのサービス機能を住民協は担える力量があるのか、お伺いいたします。
また、7月以降、中央図書館が責任を持つ体制をどのようにつくるのか、お聞きをいたします。
公民館については、市は、行政改革プランで公民館のあり方の見直しとして市民センターや生涯学習センターと役割を整理統合、廃止も含めた検討をすることになっています。しかし、昨年9月、公民館運営審議会は、市民の求める公民館についてという報告を出し、社会教育、生涯学習活動のリーダーとしての公民館の役割があるとして、今後の公民館のあり方についての提言を行いました。私も、市民の学習し集える場所として公民館の役割は決して終わってないし、市民センターとは異なる施設と考えるものですが、公運審の報告をどのように受けとめ、公民館事業の充実を図るのか、お聞きをいたします。
次に、中学校給食についてであります。
中学校給食の実施については、長年議論をされてきましたが、まだ実施への道筋が明らかではありません。市教委は実施に向けてどのような検討をされてきたのでしょうか、お伺いをいたします。
三多摩地域でも町田市や東久留米市は弁当併用スクールランチを今年度から実施しています。小学校の調理室を利用して、隣接する中学校の給食をつくる親子方式なども考えられますが、中学校は弁当併用方式にすれば食数も少なく、小学校の児童数の減少分で賄えるのではないかと考えますが、こうしたさまざまな実現に向けての手法を検討し、実施に向けたスケジュールを立てるべきですが、今後の方向性についてお伺いいたします。
次に、緑と農の循環型社会に向けて伺います。
最初にプラスチックごみの減量と資源化、生ごみの堆肥化であります。
容器リサイクル法の改正案が3月中に国会に出される予定でありますけれども、自治体や市民が強く求めていたリサイクル費用を製品の価格に組み入れて事業者の負担を重くするということでの法案作成はなかなか困難だというふうに伝えられています。容リ法が事業者責任を強め、発生抑制の法律となるよう働きかけていく必要があります。新年度はごみ処理基本計画が策定されます。ごみ減量については発生抑制が第一ですが、プラスチックごみの発生抑制と減量化、資源化は有料化当初からの懸案です。その方策について明らかにしてください。
また、生ごみの資源化については塩分などを含み、家庭からの生ごみでは堆肥化できないという答弁が繰り返しされておりますけれども、研究者の発表によると、塩分は関係ない、良好な堆肥ができるという研究成果が出ております。可燃ごみの大半を占める生ごみの減量化、資源化にはどのように取り組むのか、お示しください。
次に、農業振興計画の見直しの方向性について伺います。
八王子市の農業は高齢化による担い手不足が深刻で、耕作放棄地が増加しています。都市農業の課題に対応できる農業振興計画の見直しの方向性についてお伺いをいたします。
また、森林再生については、東京都の森林再生事業では、杉、ヒノキの人工林を間伐し、50年後には混合林を20%までにするという広大で長期的な計画となっています。現在の進行状況と課題を明らかにしてください。
また、間伐材の活用については、建設が予定されている高尾山自然博物館や学校改修など市の施設で積極的に活用し、技術者の育成もすべきでありますけれども、どのように取り組むのか、お伺いいたします。
次に、人権の保障とプライバシー保護について伺います。
まず、男女平等の推進についてでありますけれども、男女共同参画課と男女共同参画センターが設置され、3年が経過いたしました。男女共同参画センターでの相談事業など充実が図られておりますけれども、全庁的な男女平等の実現にはまだ課題があります。男女がともに生きるまち八王子プランの04年度の評価報告書が出されましたけれども、男女平等に対する理解はそれぞれの所管によって差があり、男女共同参画課がより強い権限を持ってプランの進行管理に当たることが実効性を高めますが、男女共同参画課の権限の強化についてお伺いをいたします。
また、DV被害者への相談や関係機関の協議会もつくられていますが、被害者の自立に向けた心のケアや職業訓練などの支援がより必要であります。その体制づくりについてお答えください。
次に、監視カメラの問題と運用についてであります。
安全・安心対策として、また、不法投棄対策として監視カメラが公共施設や公共の場に設置され、その運用に関する要綱が11月策定されました。要綱では、開示請求や削除請求などについては個人情報保護条例の規定によることにしています。監視カメラによって安全を得る社会は決していい社会ではありません。公共の場に監視カメラが設置されることは市民のプライバシーの侵害にもなりかねません。設置と運用は慎重であるべきですが、現在まで警察等への映像データ及び情報を提供したことがあるのかどうかお伺いをいたします。
また、運用状況についての公表を年1回は行うことが必要だと考えますが、公表はどのような形で行うのか、お伺いいたします。
第七小学校などにも監視カメラが設置されていますが、カメラを常時見ていなければ、不審者の侵入などを阻止することはできません。学校への監視カメラの設置の有効性について伺います。
次に、住基ネットの運用と住民基本台帳の閲覧制限について伺います。
住基ネットが稼働して3年が経過いたしました。市民の自己情報コントロール権からも、また、費用対効果の点からも住基ネットの接続に合理的な理由はないと考えています。運用状況についてお聞きをいたしますけれども、法令に定められた事務は270以上になります。国が発表している昨年4月から12月までの本人確認情報の提供状況では、利用されている事務は33件にすぎませんでした。市は実際に利用されている事務件数及び本市からの国機関への情報提供件数を把握しているのか、お聞きをいたします。
また、住基ネットの稼働によって常に情報の漏えいや流出、目的外利用の危険性がありますが、市は提供した個人情報を国機関や地方自治情報センターが適切に利用管理しているのか否かを確認すべきですが、できているのでしょうか。
また、住基カードの発行はまだ5,000枚程度でしかなく、国機関の事務も9ヵ月で33事務しか利用されていません。費用対効果をどのように評価しているのか。また、毎年度のセキュリティー対策についてお伺いいたします。
住民基本台帳の原則閲覧禁止は早急に実施されなければなりませんが、手数料の値上げによる条例改正による効果はあったのか、また、閲覧禁止に向けた今後の基本姿勢についてお伺いをいたします。
最後に、国際化と平和行政、そして国民保護計画について伺います。
市制90周年事業として海外友好都市交流が挙げられています。また、外国人市民会議も発足し、他文化の理解と外国籍の人々の市政参加が進むということは歓迎すべきことであります。海外友好都市としては韓国、中国、台湾の各都市が候補都市となり、市長や理事者が既に訪問されたと聞いています。海外と友好交流するに当たっては、歴史認識を明確にさせる必要があると考えます。3国はかつて日本の植民地であり、戦争の被害国であります。日本は加害を与えた国です。戦後60年たっても、小泉首相を初めとした閣僚の歴史認識に対するアジア諸国とのあつれきは大きく、日本の外交や経済に大きな影を落としています。市民レベル、自治体レベルでの交流では相手方が声を大きくしてそのことを言うことはないかもしれませんが、八王子市の基本的なスタンスを明らかにすべきであります。そのことによって、真の友好と交流、平和な関係が構築できると考えますが、市長の過去の戦争に対する歴史認識を明らかにしてください。
また、小泉首相の靖国参拝についての見解もお示しください。
最後に、国民保護計画の問題について伺います。
国民保護計画づくりは、改憲の動きなどとあわせ、戦争をすることができる国づくりの一環であると言えます。国民保護法は有事法制の1つでありますが、武力攻撃への軍事的な対応は他の法律にゆだね、攻撃によって生じた災害への対処という非軍事の措置を規定しています。もちろん、非軍事の措置でも自衛隊や米軍の軍事的対応への後方支援の1つであることは間違いありません。仮に武力攻撃が行われたとすると、自衛隊は武力で応戦することが主たる任務とされ、住民を守る任務には当たらないことが予想されます。そこを国民保護法に基づき行政が対応すれば、自衛隊は軍事行動に専念することができます。住民避難も、住民の安全確保のためではなく、自衛隊の作戦行動の障害になる住民を排除するということが目的かもしれないとも指摘をされております。
また、他の有事法制が有事になって初めて発動されるのに対し、国民保護法は計画策定や訓練などの規定が平時から適用されるという特徴もあります。
そこで、お伺いいたしますが、国民保護協議会の構成に自衛隊は入るのでしょうか。自衛隊は本当に国民を守るのでしょうか。お伺いをいたします。
最後に、国民保護計画の実効性についてはないように思います。最も市民を守るのは、戦争を国の努力で避けること。それは憲法9条の理念による平和外交と国際協調で有事を回避することが最も現実的ではないかというふうに考えますが、市長の見解をお伺いして、代表質疑を終わります。
|
|