◎40番【井上睦子君】
 それでは、議員提出議案第5号、次期定数改善計画の実施と義務教育国庫負担制度の堅持を求める意見書について、提案説明を行います。

 子どもたちに豊かな教育を保障することは、子どもたち自身の成長を支えるとともに、安定した社会の基礎となります。
 公立小中学校の義務制では、1959年から定数改善計画が立てられ、第7次計画──これは2001年から2005年ですけれども、少人数学級による授業や養護教諭の複数配置の拡充など、改善総数は2万6,900人となっています。公立高等学校も同様に、1962年から定数改善計画が立てられ、今年度で第6次計画が終了いたします。

 文部科学省は、2006年度から2010年度までの5ヵ年間を計画期間とし、第8次公立義務教育諸学校の教員定数の改善計画を策定いたしました。これは1万5,000人の改善総数を予定したものであります。内容は、豊かな学力を保障することを趣旨としており、1万5,000人の内訳は、少人数教育に5,722人、小1問題、不登校への対応として、副担任の配置や、35人程度の少人数学級編成が可能となるために3,667人を、そして、読書活動推進のための司書教諭の配置として1,027人、外国人子女等日本語指導対応の充実として305人、特別支援教育の充実として2,830人などとなっております。

 2006年度の予算では、1万5,000人のうち1,000人分が予算要求方針でした。しかし、2006年度予算の財務省との折衝の中で、昨年12月16日、現下の総人件費改革をめぐる議論の状況にかんがみ、第8次の義務制の定数改善計画は実施しないという合意に至りました。この合意によって、来年度の教職員定数は、自然減で、義務制1,000人、高校5,000人の約6,000人分が減少となります。教職員定数が減少することは、定数改善計画がスタートして初めてのことです。こうした動向は、教育の重要性やさまざまな教育課程を踏まえた上での検討ではなく、総人件費改革という財政縮減のみの考え方で、容認できないことです。

 日本の教育予算は、OECD諸国に比べて極めて低い水準にあります。教員1人当たりの児童生徒数では、日本が初等教育で19.9人に対し、OECD平均は16.5人となっており、OECD平均を上回っています。また、初等中等教育における日本の教育機関への公財政支出対GDP比はOECD平均の3.5%を下回るわずか2.7%にとどまっています。日本の教育への財政投資は、世界的にも決して高いものではありません。

 また、三位一体改革の中で、義務教育国庫負担金制度が大きな焦点であり、制度の存続は文部科学省や自治体、全国PTA連合会など教育関係団体からの強い要請でありました。しかし、義務教育国庫負担金については、2006年度から国負担が2分の1から3分の1に変更されます。三位一体改革の中で4兆円の補助金のうち、義務教育国庫負担金の削減は1兆3,000億円にもなります。20兆円にも上る国庫負担金の中で、義務教育国庫負担金を大幅に削減することは、まさに教育の切り捨てと言わざるを得ません。また、3分の1にすることは、地方交付税に依存する割合が高まることになります。今後の三位一体改革の議論では、地方交付税が焦点となりますが、交付税削減という方向が出されれば、全国的な教育水準の確保が困難となり、地方財政を圧迫することになります。

 本意見書は、憲法で保障された義務教育の無償、教育の機会均等を実現し、子どもたちに行き届いた教育の条件整備を進めるために、次期定数改善計画の実施と義務教育国庫負担金制度の2分の1への復元を求める制度の堅持を求めるものです。

 次期定数改善計画の実施は全国知事会、全国市長会も要望しています。義務教育国庫負担金制度の堅持を求める意見書は2004年度から1,393議会が採択しております。

 ぜひとも皆様の御賛同をお願いいたしまして、提案説明を終わります。