◎40番【井上睦子君】
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きょう最後の一般質問になります。大変お疲れだと思いますけれども、ぜひよろしくお願いをいたします。
八王子城跡の保全と圏央道の工事の問題についてまずお伺いをいたします。八王子城跡の滝がれ要因と対応についてでありますけれども、この八王子城跡トンネル工事と御主殿の滝がれ問題については、ことしの第1回定例会では請願が提出、審議をされ、今議会でも多数の議員が取り上げています。市教育委員会は、2月20日に私たち9名の議員で緊急要請を行った以降、この問題を重要な事態と受けとめ、国土交通省に対して、文化庁や都教育委員会とともに原因究明の申し入れを行っています。また、6月1日の再度の対応を求める私たちの要請に対して、早々の6月7日、八王子城跡トンネル工事の視察に教育長をはじめ関係者の方々が行かれ、そうした誠意ある対応をされたことには感謝をいたします。
しかし、市教育委員会の努力にもかかわらず、御主殿の滝は4月19日に6度目の滝がれとなり、5月24日の40ミリの降雨で復活するという状態です。5月は比較的雨が多かったわけですが、滝がれが長期に及ぶという深刻な状況になっていますし、御主殿の滝の供給源である城山川上流部には表流水が見られない状態が続いておりました。5月29日、保坂展人衆議院議員と同僚の議員の皆さんとともに私も八王子城跡トンネルを視察いたしました。
まず、北坑口から下り線に入りましたが、直径10メートルもの拡幅掘削工事は既に八王子城跡内はあと100メートルで終了という地点まで掘削が進んでおりました。拡幅掘削工事は24時間体制で行われており、1日7メートルから8メートル進むということです。トラブルなく掘り進めば2週間で史跡内を終了することになります。拡幅掘削した表面にはコンクリートが吹きつけられていましたが、水がしみ出し、水どめの凝固剤として使ったセメントミルクがほうき星のように流れ出していました。これは先ほど鈴木議員がお見せになったものと同様のものが天井の方では見られました。拡幅掘削開始地点、これは北坑口から約1,200メートルの地点では、既に吹きつけコンクリートの上にトンネル全周を防水シートで覆って、その内側に鉄筋が組まれ、1メートルの厚さの覆工コンクリートが巻かれておりました。覆工コンクリートの継ぎ目部分は長方形のシートで覆われておりました。そして、そのシートを取ってみると、細いビニールパイプを集めた部分から絶え間なく湧水が流れ出しておりました。
これがコンクリートとコンクリートの継ぎ目のところにあるビニールシートです。そして、このシートについては、私たちに対して国土交通省の職員は防水シートだというふうに説明をされました。何があるのか取ってくれというふうに言いまして、取ってもらいましたら、ビニールパイプを集めたところから、ビニールパイプからも水が流れておりましたし、その付近のセメントからも水がしみ出し、そしてセメントミルクも出ておりました。決してこれは防水シートの役割はしていなかったわけです。この水が流れているということを隠すためのシートではなかったかというふうに疑念を抱かざるを得ませんでした。
なぜこのシートで覆われていたのか。私たちには見せたくなかったのかもしれません。国土交通省に対して大変大きな疑念を抱きました。このシートは、左右両側に6メートル間隔だろうというふうに思いますが、均等に張ってありました。多分70枚から80枚はあったのではないかというふうに推測をされますけれども、きちんと現場を確認することは残念ながらできませんでした。このシートは、1枚だけではなく2枚はがしてみましたけれども、同じような状態で湧水が流れ出している。水道の蛇口を細くして常によどみなく流れているという状態でありました。この地点は拡幅掘削が始まった地点です。トンネル内部からは日量500から600立方メートルの湧水が出ているというふうに言われておりますけれども、このシートに隠れていた部分からの水量は計測をされているのかどうか、不明でありました。この事実について、こうした部分から湧水が流れ出ているという事実について、相武国道事務所はトンネル技術検討委員会に報告をしているのかどうかというふうに問いましたけれども、現場では報告をしているという明確な回答は職員から得られませんでした。
私は、トンネル工事の内部を視察してみて、止水のために入れたセメントミルクがなぜ流れ出しているのか、大変大きな疑問を持ちました。そして、セメントミルクとともに湧水も流れ出していました。覆工コンクリートの施工が完了しているということは、完全に止水工事が終わっているということです。しかし、それにもかかわらず水が出ているという事実は、止水工事が完全ではなく、この工法は失敗をしているのではないかと考えざるを得ませんでした。そしてまた、これが地下水位の低下の要因の一つではないかとも考えました。
教育長は6月7日にトンネル工事の現場を視察されましたが、シートで隠されていた出水の状況というのは確認をされたのでしょうか、お伺いをいたします。そして、工事の状況について何を確認し、どのようなことを感じられたのか、お伺いをいたします。現場では、シート部分からの出水量及びトンネル技術検討委員会への報告については、相武国道事務所からこれについて説明がしっかりとあったのでしょうか、お伺いをいたします。また、6月7日は文化庁、東京都教育委員会とともに視察をされたとお聞きしておりますが、今後の対応に関する協議は行われているのか、お伺いをいたします。
6月5日に私どもは文化庁に緊急な対応を求めて要請に参りましたけれども、そのとき文化庁は、国交省との協議は毎月行っており、6月は中旬ごろになるということでした。文化庁にもこうした映像をお見せして、ぜひ私たちの考え方も理解をしていただくというような働きかけをしてまいりました。文化庁や東京都教育委員会、そして市教育委員会との協議の状況及び国交省との協議日程をお示しください。
次に、地下水をもとの水準に戻し、御主殿の滝を復活させる、八王子城跡の水環境の保全のためには、要請書でも強く求めておりますけれども、拡幅掘削工事の中止を強く求めたいと考えております。既に他の議員からも第1回定例会また今議会で滝がれや沢がれの要因について詳細な分析と指摘がされておりますけれども、地下水位が35メートルも下がったのは拡幅掘削工事を開始した昨年の10月19日直後の22日からだと国土交通省も記者会見の資料で明らかにしております。それ以来地下水位は上がっておりません。国交省は昨年の段階では、表流水があるため、滝がれの原因は少雨であるとしていました。しかし、ことしの3月16日には、表流水が早く減少する傾向を重視するというふうに、昨年暮れからの見解を変えてきています。国交省の滝がれ要因についての見解は変わっています。二転三転しているように思いますし、いずれもそれが正確ではなかったということを自然が、すなわち雨が降る状況や地下水位の動向、そして滝がれがしばしば起こるということからも自然が証明をしています。滝がれの要因を明らかにするためにも、まず拡幅工事を中止し、地下水位の動向を見ることが緊急な課題だと言えます。
5月22日、国交省から市教委への報告では、掘削区間の工事を中断することは裸坑区間から連続的にわずかな湧水が発生することから、水環境保全の観点から好ましくない、止水構造を早期に完成すべきだという考えが示されました。しかし、先ほども申しましたけれども、拡幅掘削工事は1日に7メートルから8メートル進むのに対して、防水シートを張り、覆工コンクリートを巻いていく覆工工事は2日に10メートルという進捗状況です。これでは拡幅掘削を進めれば進めるほど裸坑区間は縮まらず、広がっていきます。したがって、拡幅工事を早急にとめることが緊急の課題だというふうに考えておりますけれども、教育長の見解を求めたいというふうに思います。
さきの議員の答弁に対しては、重大な事態だと受けとめて東京都や文化庁と情報の再確認をし、止水構造の早期完成を求めるというものでありましたけれども、これは具体的にはどのようなことを意味するのか、具体的にお示しいただきたいというふうに思います。
次に、高尾山トンネルについてでありますけれども、八王子城跡トンネルと同様の工法が採用されるというふうに発表されています。八王子城跡はこの高尾山トンネルの練習台とも言われておりまして、八王子城跡の滝がれ、地下水位の低下の要因と対応策が明らかにならない中で、高尾山でも同じような問題が起きる危険性は大変大きいというふうに考えております。
それでは、先ほどから担当部長からは高尾山トンネル工事についての見解が示されておりましたけれども、工事のスケジュール等について市はどのような協議をしているのか、情報はどのように提供されているのかということについてお示しをいただきたいというふうに思います。
そして、市は高尾山トンネル工事のアセスメントに対してどのような意見を過去において提出しているのか、お伺いをいたします。
次に、介護保険法の改正と高齢者の生活についてお伺いをいたします。
介護の社会化を理念としてスタートした介護保険制度は、それまで家族の介護に悩んでいた女性たちに歓迎され、サービス利用は広がり、介護に対する意識を大きく変えてきました。しかし、昨年の介護保険法の改正は、介護保険の4分の1のコストを負担する国、すなわち財務省の財政圧縮の圧力によって当初の理念から後退し、利用抑制へと改悪をされてしまいました。具体的には、施設サービスの食費や居住費の自己負担増、そして介護予防サービスの導入です。4月からの制度改正によって高齢者や家族からはサービスが使えなくなったなどの声が届いています。
東京都社会福祉協議会の介護保険制度改正に伴う利用者への影響調査の集計速報が5月29日に発表されました。この調査の対象は、改定前から介護保険を利用している人、そして要支援1、2、経過的要介護、要介護1、2の人、そして加えてサービス利用に変化のあったと思われるというこの3つの条件を満たすすべての人を対象としています。調査結果では、不都合、不便と答えた利用者は全体の8割でありました。具体的には、今まで利用していた時間や回数を減らさざるを得なくなったというのが訪問介護で62.8%、通所介護で43.6%、そして今まで利用していたサービスが使えなくなったという人の割合は、訪問介護で40.3%、通所介護で33.8%、福祉用具で54.5%となっています。意見として、外出支援がなくなって外に出られない、通所が週2回が1回になったので家に閉じこもり、体を動かすことも少なく、だれとも話をしなくなったなどの問題点が紹介されております。私のところにも、ベッドが使えなくなる、通院介助がなくなった、ヘルパーの時間が1時間半になり短くなった、デイサービスの回数が減ったなどの声が届いております。
今までの要支援の人全員と要介護1の70%から80%の人が要支援1、2の介護予防サービスに移行すると言われています。この要支援1、2の人たちに大変大きな影響が出ています。
そこでお伺いをいたしますが、この制度改正によって介護認定の新規、更新、区分変更が4月、5月に行われておりますけれども、要支援の人は新規でどのくらい、変更ではどのような状態になっているのか、お答えください。
次に、これまで要介護1であった人は、通院介助は利用できましたが、要支援では利用できませんでした。要支援であっても福祉用具の利用は可能でありましたけれども、改正では原則利用できなくなっています。そして、軽度の人たちのサービス利用限度額が変更され、要支援1は4万9,700円、これまでの要支援は6万1,500円でありましたから切り下げられております。そして、要支援2は10万4,000円、これまでの要介護1の人は16万5,800円でありましたので、これも大幅に使えるサービスの量が下がっております。このことによって、東京都社会福祉協議会の調査でも80%の人が利用を制限され、不便だと訴えています。
市は、訪問介護通所サービス、福祉用具の貸し付けなどにおいてどのような影響が出ているのか、実態を把握しているのでしょうか。具体的には福祉用具が使えなくなっている人の人数、デイサービスに行けなくなった、回数が減ったという人の人数、ホームヘルパーの派遣時間の減少などの変化があらわれている人の実数を把握していればお示しいただきたいというふうに思います。
次に、ケアプランについて伺います。介護予防のケアプランは原則、地域包括支援センターが作成をいたしますが、居宅介護支援事業所に委託することもできます。介護報酬の改定で介護予防のケアマネジメントの報酬は4,000円、これまでは8,500円でありましたけれども、減額をされ、委託の場合はさらに手数料が引かれるとも言われております。現在ケアマネは平均40件、そのうち2分の1は介護予防のケアプランを担当していると言われています。報酬の低さや10月以降、居宅介護支援事業所のケアマネジャー1人当たりの担当件数は8件までと限定される中で、午前中も質疑がありましたけれども、ケアプラン難民が出かねないというふうな危惧がされております。これに対して本市の場合は、地域包括支援センターを中心にどのような対応策を立てているのか、具体的にお尋ねをいたします。
要介護度の維持、改善を目指して、重度化を防止する目的で介護予防サービスが導入されました。おのおの事業所の提供するサービス内容はどのような変化があるのか、把握をしていらっしゃるでしょうか。そして、それを利用者はどのように評価しているのか、市としてつかんでいれば御紹介いただきたいというふうに思います。
最後に、事業所への影響についてであります。小規模事業所の多くは、軽度の人に対する訪問介護事業を中心としています。しかし、利用限度額の削減、ホームヘルプサービスの1時間半を上限として、それ以上は加算されるというようになったことから利用者が減少し、事業所は厳しい運営を強いられていると言われています。こうした実態を把握しているのか、事業所からのヒアリングなどをしているのか、お伺いいたします。
以上で1回目の質問を終わります。
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