◎40番【井上睦子君】
 それでは、第31回オリンピック競技大会の東京招致に関する決議について、質疑をいたします。

 たくさんの質疑が出ておりまして重なっておりますので、なるべく簡潔にしたいと思いますが、重複をした場合はお許しいただきたいと思います。

 先ほど、オリンピック招致に関する石原都知事の独断専行型のやり方というのが、各市町村長並びに23区の中でも当該の区長から批判が出ているという紹介がありました。提案者は、この決議によって説明責任を果たさせていくのだというような御答弁だったというふうに思いますが、それでは、今回提案されている決議というのは、例えば、提案者は財政問題にしても、今明らかにされている数値しか知らない。費用対効果にしてもわからない。環境政策にしても、基本方針に書いてある以上はわからないという、わからない尽くしの中で提案をされて、この提案をすることによって説明責任を果たさせていくのだというような趣旨だったというふうに思います。

 それは、決議文の出し方としては極めて本末転倒な出し方であって、逆に言えば、都財政負担がどのようになるのか。そのことによって、都財政に対する影響、及び日本経済や東京地域の経済に対する影響、あるいは環境、そういったものをしっかりと評価して、このことが妥当なのかどうかということが明らかになってこそ、決議が出されるべきだというふうに思います。提案者は常々、一般質問等の中でも、行政改革には厳しくチェックをし、費用対効果についても厳しいチェックをされている議員でありますので、こうした経済的な効果や環境対策の問題に対しても、また財政運営に対しても、明らかでない、明確な答弁ができない中で決議を出されたことは、御本人の意思に反するのではないかというふうに思いますが、どのようにお考えでこの決議文を出されたのか、お伺いをしたいと思います。

 2点目は、都民合意はどこでされたのかということであります。先ほどでは、この決議を出すことによって、徐々に都民にも浸透していくということでありました。私たちが多くの市財政なり都財政、財源を使うときには、いわゆる市民の合意や都民の合意があってこそ、政策として実現化をしていくというやり方をするのでありますけれども、今度の場合には、決議をして都民の理解を広めていくのだと。これもやり方としては逆ではないかというふうに思います。したがって、都民との合意はまだできていないというふうに私は考えますが、提案者は都民合意はどのように図られたというふうに考えていらっしゃるのか。それとも、図られていないと考えていらっしゃるのか、明確にお答えをいただきたいと思います。

 提案者の決議文中、「世界平和を希求する強い意志をアピールする」という内容がございました。このことについて、石原都知事は世界平和を希求する都政であったのかどうかという批判がございました。私も、極めて、石原都政とこの「世界平和を希求する強い意志をアピールする」というのは合わないと率直に思います。なぜならば、尖閣諸島における行動、それから三国人発言。オリンピックが友情と差別のないフェアプレーの精神であるとするならば、この間の都知事のさまざまな発言は、これに反する行動であったわけであります。どのような平和のための都政を都知事は行ってきて、この決議文に相当する都知事の平和施策であったのかどうなのか。そのことはどのように提案者は評価をしていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

 イギリスのタイムズ紙が、石原都知事が北京オリンピックをボイコットしようという発言をしたと報じています。こうした世界平和を希求する強い意志をアピールし、世界の人々との友情をはぐくむオリンピックの開催地の候補者としての都知事が、北京オリンピックをボイコットしようなどという発言を、タイムズ紙の報道が正しければ、このことをどのようにお考えでしょうか。決してあってはならない発言だというふうに思いますが、お考えをお聞かせください。

 成熟した都市の姿を全世界に示す絶好の機会だということも決議文の中にはありますし、基本方針の中にも述べられています。これは要約すれば、東京はとてもすごいんだぞという東京都知事の自己満足にすぎないという批判が多くの都民からありますが、このことをどのように受けとめられるでしょうか。お伺いをいたします。

 3点目に、東京オリンピックを契機に、どのような東京のまちづくりビジョンがあるのか。そのことは、基本方針が出されておりますけれども、この中からは明らかになりません。生活のできるまちづくりというのを私たちは東京政策の基本にしておりますけれども、オリンピック会場の整備や何かで一定の破壊が進むということも思いますけれども、東京は生活のまちにしていくことと切り離された、もう一回、開発の都市になっていくという危険性をはらんではいないのか、お伺いをいたします。

 財政運営についてでありますが、よくわからないと。開設準備基金の1,000億円については、御説明があったように思いますが、あと、晴海のメーンスタジアムや選手村、メディアセンター、これがどのような開発手法と開発費用の調達によって行われているのかはわからないということでありましたけれども、このことがしっかりと明らかになって確信を持ってこそ、決議文を提案すべきではないかというふうに指摘をしておきたいと思います。

 最後に、多摩地域の問題についてであります。先ほど、多摩地域へのメリットがないというような答弁もあって、あとは都民としてオリンピックに参加をするというような、心情的な豊かさというんですか、それが効果があるというような御答弁だったというふうにも思います。それはそれぞれの都民の考え方であって、提案者が都民全体を代表するわけではありませんから、そう思う人もいるだろうし、思わない人もいるだろうというレベルではないかというふうに思います。

 瑞穂町議会がこの決議案を否決いたしました。今後、日本の中では、東京か福岡かという招致の駆け引きが始まっていくわけでありますけれども、東京都内の一自治体がオリンピック招致決議を否決するということは、招致にとって大変大きなマイナスだというふうに思いますが、こうした事態をどのように提案者は受けとめていらっしゃるのでしょうか。お伺いをいたします。

 そして、横田基地の軍民共用の問題が、1つには決議文の否決の要因になったとも言われておりますけれども、この基本方針の中には、交通輸送として、都心から11キロに位置する羽田空港を初め、複数の空の玄関口により、海外からのスムーズなアクセスを確保するというふうにあります。これは「羽田空港を初め」というふうに書いてありますけれども、横田基地の軍民共用というのが2016年のオリンピックを射程に入れて考えられているのかどうか。考えられているとすれば、本市への騒音問題等も含めて、大きな影響を及ぼしてくるというふうに思いますが、この交通輸送、オリンピックを契機とした交通政策については、どのように承知をされていて、このことはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、明らかにしていただきたいと思います。

 以上で1回目を終わります。


◎ 21番両角穣議員
 第40番、井上睦子議員の質疑にお答えをいたします。

 10点ほど質疑をいただいたようでございまして、まず1点目として、独断専行の意思決定であるのに、提案者はこの決議によって説明責任を果たすのだというのは本末転倒ではないですかというような質疑であったかと思います。

 私がお話をしたのは、確かに、独断専行とまでは言いませんけれど、説明責任に欠ける部分があるというふうに思っております。そうした中で、各地方議会、都内の自治体でこういった決議を通して議論をされることが、あるいは決議を通して東京都に、こういう決議をしたんだけど、こういう意見もあった、そんなことを伝えることが説明責任を果たすことの一助になるだろう、そういうことをお話をさせていただきました。

 2番目として、都民合意がなされていないのではないかというようなお話でございましたけれど、再三お話をしていますように、このオリンピックの招致につきましては、本年3月に、都民の代表である東京都議会で決議をしておりますので、一定の都民の合意はある、そのように理解をしております。

 3点目といたしまして、世界平和をアピールするといった平和の祭典であるのに、都知事の日々の行動は全く違うのではないかというような質疑であったかと思います。これについては、その行動がどういうふうにあらわれているかというのは別として、お気持ちの中には、平和を希求する気持ちをお持ちなんだろうなと、このようには理解をしております。

 4点目として、北京オリンピックのボイコット発言が石原都知事にあったというようなことで質疑がありましたけれど、私はその報道を確認していないので、それを前提としてお答えしていいかというところもありますけれど、もし、そういう発言があるとすれば、知事の真意はわかりかねますけれど、余りよろしくないんだろうなというふうには思います。

 それと、知事の自己満足ではないかというようなことでございますけれど、発意が知事にあったのか、知事周辺にあったのかということはあるかもしれませんけれど、オリンピックを東京で再度開催するということは、先ほど来お話をしているようなさまざまな意義がある、そのように考えておりますので、自己満足というふうに言い切ることは全くできない、そのように思っております。

 それと、生活のできる生活都市ということを御質問者は大切にして考えていらっしゃるけれど、オリンピックに当たって、開発中心のまちになってしまうのではないんですかというような御質問であったかと思います。東京オリンピックから40数年がたっておりますから、当然、都市というのは老朽化してきますし、下水だって古くなってきますし、都市更新というのをしてしかるべきだと思います。都市更新をして、過密な都市がより暮らしやすいまちになっていくことが生活都市につながっていく、そのように考えております。

 次に、メディアセンターあるいは築地の市場の整備等、はっきりしたやり方がわかっていないのではないんですかというようなことでございました。今、私の知る範囲では、具体的なことは詳細にはわかりません。しかしながら、オリンピックの基本方針の中で、民間活力、資金等を積極的に導入していく、PFIなどの手法を積極的に導入するということでございますので、私が日々、行財政の改革についてお話をしていますけれど、そういった観点からこの運営もなされていくのだろう、そのように考えております。

 それと、多摩地区のメリットということで、提案者が言っていることは心情的なメリットではないかということでございました。それでは、何をもってメリットとするかということでございますけれど、多摩に施設が整備をされて、経済の波及効果が出ることがメリットなのか。あるいは、競技がきちんと行われることがメリットなのか。それはいろんな考えがあると思いますけれど、私の先ほどお話をした、練習場として使われることによって、青少年がそういったオリンピック選手に触れることができるような機会があるとか、ボランタリースタッフとして多摩都民として運営に参加できるというのは、ただ単に心情的なメリットということで切って捨てるということではなくて、大変これは大きなメリットである、そのように考えております。

 9点目として、瑞穂町議会の否決はマイナスであると思うけれど、どのようにとらえているかということでございました。新聞報道等によると、事前には決議をしないというような話がなされていたようでございますので、その後の議会内調整に混乱があったのかな、そんな影響が出たのかなと、そのように理解をしているところでございます。

 最後に、オリンピックを契機とした交通政策をどのように考えているかということでございます。今のありきの交通体系で、今後、東京が50年、100年というように都市を維持していくということは、これはだれが考えても不可能なことであろうと思っております。ですので、そういった意味から、ただ、道路といえば、すべて開発ということではなくて、大都市に住んで、全国で税金を一番多く払っている東京都民の生活環境をよくする、そういった交通政策というのは必要であると思いますし、これは何もオリンピックを契機としてやるということではなくて、東京都として必要なことをやっていくんだろう、そのように理解をしているところでございます。


◎ 40番井上睦子議員
 いろいろ御答弁をいただきました。

 それでは都民合意の問題ですが、都議会の決議があったからといって都民合意になるとは私は考えておりません。6月22日の新聞報道でも、都民へのアピールが不足しているということで、都議会から注文がついたというような報道がされているように、都民は正確に詳細にこの問題については知らない。そして理解をしていない。したがって、オリンピックを東京に招致するということについて、合意も、そして否定もしていないという段階ではないでしょうか。都議会の決議があったからといって、このことについて都民合意ができているというふうに御答弁なさるのは、誤っているように思います。

 今、本市も、市民参加条例等も含めて、市民の合意をどのように図っていくのかというような手続を定める取り組みをしておりますけれども、東京オリンピック招致のこの経過を見る限りにおいては、私は都民合意は図られていないというふうに申し上げておきたいと思います。

 それから、都知事の日々の行動の問題について答弁がありました。北京オリンピックボイコット発言があったとすれば、それは大変よろしくないというような御答弁だったというふうに思います。往々にして都知事はこのような発言を繰り返されております。都知事のいるこの東京が、本当に国際的に平和で差別のない都市として世界から評価されるのかどうかということは、大変大きな問題だというふうに思っております。

 基本方針の中に、4ページでありますけれども、「日本は、戦後60年以上にわたって他国と一度として戦火を交えることなく、社会的な騒擾や内戦を起こすこともなく、徹底した平和を貫いてきた。その間、軍事を媒介とせずに独自の技術革新を続け、様々な分野で人類の平和と繁栄に貢献してきた。こうした日本の姿が国際社会に好感を持って受け入れられている事実を、私たちはもっと知るべきである」というふうに、これはだれが書いたのかわかりませんけれども、戦後60年にわたって平和を築いてきたということを誇りつつ、だからこそ、ここまで成熟してきたことの大いなるあかしとして、この東京オリンピックの第2回目を行おうというふうに誇っているわけですね。この前文の部分と、都知事の日々の行動とのギャップに私は驚くわけでありますけれども、いろいろと基本方針を示しながらも、東京の実態がそうではないということを指摘をしておきたいというふうに思います。

 財政運営の面については、民間活力を活用していくのだろうと。基本方針に書いてあるようにということでありましたけれども、東京都の臨海三セクが破綻をしていって、これが統合する。債務放棄の総額が2,100億円として、3,500億円の債務を抱える3社は民事再生法の適用を申請して、都や金融期間側に2,100億円の債務放棄をしてもらって、債務を圧縮して合併する。そして黒字の三セクと統合して経営の効率化を図って、臨海副都心の開発を進めるというふうなことが報道されているわけです。

 今回のオリンピックの誘致の場所である選手村やメディアセンター、それからスタジアムといったところが、臨海副都心の空き地対策、そして準備金が1,000億円で、それ以降に大会運営資金も何千億とかかるような指摘がありましたけれども、これは失政の穴埋めをするさらなる投資だというふうにも都民から批判がされています。こうした臨海副都心のもう一度、空き地対策として、オリンピックの施設として提供されていくという、こういった東京都のやり方、そのことについてはどのように思われるのでしょうか。このことが健全な都の財政運営だというふうに思われるのか、お伺いをしたいと思います。

 最後になりますが、私は交通政策一般についてお伺いをしたのではなくて、横田基地の軍民共用が2016年の東京オリンピック誘致に開始をされる。そのことを射程として東京都側は言っている。瑞穂町議会もそのことが大きな問題だったわけでありますけれども、このことが軍民共用として利用されていくことにつながっていくというふうに提案者はお考えかどうか。

 そして、つながっていくとすれば、八王子市においても騒音問題など大変大きな問題が出てくるだろうというふうに思いますが、その点についてはどのようにお考えなのかということをお聞きをいたしましたので、その点について明確にお答えをいただきたいというふうに思います。  以上で質疑を終わります。


◎ 21番両角穣議員
 井上議員の2度目の質疑にお答えをいたします。

 1点目として、都民合意、一定の議会の議決があったといっても、必ずしも都民合意が得られているとは思わないというようなことでございましたけれど、日本の国は憲法に基づいた法体系の中で動いていて、その中で地方自治体があって、代表制をとっているわけでございます。その中に東京都議会という議会があって、議会が都民の代表として機能している。それが、実態はどこまで代表しているかということは別として、これは当然、都民の代表として議会が代表権を持っているというふうに理解をしておりますので、都議会で決議をしたからといって都民合意がないと考えるのは、全くそれは合理性がないお考えではないかと、そのように考えております。

 2点目として、臨海の埋立地等の使い方についてどんなふうに考えるのかというような質疑であったかと思います。オリンピックを開催するに当たっては、当然、選手村とか競技場とかそういった施設が必要になってくるわけでございまして、この基本理念の中では、できるだけ既存の施設を活用する。あるいは、既存の施設でない場合は、仮設対応をしていくというようなことをうたっているわけでございまして、そういった意味では、そこを恒久的に何らかの形で使っていくということではなくて、その臨海の部分の有効活用になっていくのではないかなと、そんなふうに思っております。

 3点目ですけれど、横田の軍民共用化にオリンピックがつながっていくのではないかというようなことをどう考えるかということでございましたけれど、もともと石原都知事は横田の軍民共用化ということを当選以来おっしゃっておりましたので、オリンピックに関係なく、それは石原都知事が進めている、あるいは東京都が考えている施策なのだろうということで、直接的に大きな影響がオリンピックによって軍民共用化がなされるということではないのではないかなと思っております。