◎井上睦子委員
 それでは、包括外部監査の結果報告書について何点か質問をいたします。

 本年度から包括外部監査人が変更になりました。また、前監査人とは異なった視点での監査がされたかというふうに思います。下水道事業における事務事業に関する全般的な指摘と意見が多岐にわたってあるわけですが、3点についてお伺いいたします。

 まず、58ページから59ページに指摘されております下水道使用料の減免についての指摘です。指摘の1点目は、判断基準を明文化するという指摘です。2点目は、減免実態を検証すべきであるという指摘です。3点目には、この減免の政策が政策としての効果を発揮しているのかどうか。それについて検証し、この政策の存続についても言及がされております。

 私は基本的には、下水道使用料の減免については、生活保護世帯や経済的に困難な市民、あるいは病院や保育園といった公共的な事業展開をする団体等に対して、その経済的な援助をする政策としては存続すべきだというふうに考えておりますが、包括外部監査人の指摘する判断基準の明文化と、減免実態の検証については、するべきだと思っております。こうした意見を受けて、下水道部としてはこれをどのように実行していくのかということをお伺いしたいと思います。

 そして、政策の効果の問題についてでありますが、例えば、この表で示されているのは、病院では17件で1,166万円の減免、保育園では33件で344万円の減免というデータが記されております。市内の保育園や、病院の数はこれ以上あるにもかかわらず、この制度が活用されていないとするならば、制度の運用に問題があるのかどうか。その点についても検証されなければいけないと思いますが、この点については指摘を受けて担当者の方はどのように考えているのか。

 最後になりますが、この減免制度の有効性についてはどのように考えているのか。私は先ほど述べましたように存続をすべきだという立場に立っておりますけれども、減免制度の有効性についてどのような考え方でこの政策展開をしてきたのかということをお伺いいたします。

 2点目は、工事請負の委託契約等についてであります。64ページになりますが、最低制限価格によるくじ引きの状況について意見が出されております。この64ページに示された表は、最低制限価格でのくじ引きとなった場合、その入札者の参加が3分の2以上にわたっているという問題の指摘です。

 こうした実態は、2つの問題点があるというふうに監査人は指摘しています。1つは、最低制限価格の水準そのものが適切であるのか否か。2点目は、適切であれば、それだけぎりぎりの金額で競い合って、落札した工事が適切に施工されているのかどうかという問題点です。

 このことは、極めて難しい問題点をはらんでいるというふうに指摘されておりまして、適切であったのかどうか。3分の2以上の事業者がくじ引きに参加するという実態は、もっと低い価格での落札でも適切な工事がなされ、落札業者も一定の利益を上げることができるのであれば、発注者としてはそれだけ高い負担をしたことになるという側面があるということと、もう一方の側面は、逆に落札価格が一定の限度を超えて、低過ぎれば、発注者としては一見低い負担では済むが、適切な工事がなされない、いわゆる手抜き工事、あるいは下請業者等に負担をしわ寄せするという、いわゆる下請いじめのような弊害が起きる可能性があるという2点についての最低制限価格でのくじ引きの問題を指摘しているわけです。

 このことによって、適切な最低制限価格を定めなければいけない。そのための精度を高めなければならないという指摘があるわけです。このことについては、最低制限価格のくじ引きによる問題点2点が指摘されているわけですが、担当者はどのように受けとめているのか。

 そして、最低制限価格の精度を高めていくような対応策としてはどのようなことが考えられているのか。具体的には、総合評価方式を取り入れるとの研究、検討ということがなされているというふうにも書かれているわけでありますが、とするならば、総合評価方式の検討会は、今、されていると思いますが、実施時期や、総合評価方式の内容、今検討されている内容はどのようなものであるのか。かつ、それは最低制限価格の精度を高めるという役割を果たすのかどうか。この点について、包括外部監査人が指摘する内容について、担当者の見解を伺いたいと思います。

 さらに、17年度の実績では、最低制限価格でくじ引きをした下水道工事における工事の総件数は16件です。この16件のうち、工期や金額の変更があったものは何件になるのかということを明らかにしていただきたいと思います。

 といいますのは、67ページには、追加変更契約についての意見ということが出されておりまして、入札による管渠工事の25件については、全件で変更契約が行われているというふうに出されているわけですが、最低制限価格のくじ引きではどのような状況であるのかということを明らかにしていただきたいと思います。

 まず1回目、その点についてお答えいただきたいと思います。


◎松本正下水道部長
 御質問にお答えをいたします。

 最初に、下水道使用料の減免制度についての監査人の意見について何点か質問を受けましたので、そのお答えをいたしますが、この減免制度については、東京都の附帯決議に基づいた基準等を考慮して減免制度を施行しているわけでございますが、今後、この効果、あるいは先ほど言われたように申請制度によって減免がなされているわけでございますので、先ほど保育園で減免がなされていない保育園もあるじゃないかという御指摘でございますが、この辺の効果あるいは制度、それと有効性について、真に必要性、その他政策効果、そういうものを十分に検証して、この取り扱いは検討してまいりたいと考えております。

 次に、下水道工事の契約でございますが、実績として16件の下水道工事があるという中で、変更契約があるのかということでございますが、16件の中で変更契約はすべてに関してございます。


◎原島一財務部長
 まず、最低制限価格の水準そのものの適切さ、あるいはその結果、適切な施行が確保されているのかという、それに対する見解ということでございます。

 最低制限価格につきましては、公正取引委員会の通知などをベースといたしまして、規則に定めた中でその設定を行っております。これは適切な水準にあるというふうに考えております。

 その結果、最低制限価格で落札した工事は、例えば手抜きや何かがあって、工事成績評点が非常に低いのかというと、結果としてはそういうふうにはなってございません。ですから、そのことが直接的に施行結果としての品質低下を招いているというふうには思っておりません。ただし、最低制限価格の見直しの必要性というのは、これは常に見直す必要があるというふうに考えておりますので、今後もその姿勢は崩すつもりはございません。

 それから、価格競争から総合評価方式というふうに契約制度を見直そうと思って、現在、取り組んでおります。昨年4月に総合評価活用準備委員会というものを設置いたしまして、これまでに8回の検討審議を行ってきております。19年度中には施行に入りたいということで、この3月中に取りまとめる予定で進めております。総合評価方式といいますのは、価格競争のみでなく、より技術力の高い企業を落札者として選定することを目的としております。品質の向上、不正行為の防止、それから今議論となっておりますくじ引きの抑制、こういった面での効果を期待しているところでございます。

 内容的には、現在、工事規模に応じて2つの評価型を採用するつもりでおりまして、価格以外の評価指標として、企業の技術力、企業の信頼性、社会性、これらに関する評価項目というものを設定いたしまして、入札価格と合わせて総合的に評価することで考えております。


◎40番井上睦子議員
 下水道使用料の減免については、今後、政策の妥当性も含めて検討していくということでありましたけれども、こうした指摘によってしか、こうした制度の活用状況なり有効性というのが検証されないというのは、極めて残念なことでありまして、日常的な業務の中で保育園や病院等の実績が低いということには、担当職員は疑問を持ち、そのことがどういう問題があるのかということを、日々の仕事の中で発見していくというような、そういった仕事のスタイルを確立していただきたいというふうには思います。ただ、減免制度については、効果としては経済的な弱者への支援という意味ではあると思いますので、存続を前提とした検証、そして制度の改善というものをぜひお願いしたいというふうに、これは要望しておきます。

 それから、工事請負委託契約の最低制限価格のくじ引きの問題であります。現状では工事としては適正に施工されているという報告がございました。総合評価方式は新年度の4月から施行されるということであります。価格競争だけによらない総合評価方式というのは、品質を高め、そして企業をより育てていく、そして政策的な、例えば環境や福祉、あるいは公正な労働といった意味での、企業を通して市が政策を実現していくという側面もある制度だと思いますので、この総合評価方式の導入については見守りたいというふうに思いますが、このことが最低制限価格のくじ引きを抑制し、工事の品質を高める結果となるよう希望しているわけですが、ぜひ万全の準備をして導入していただきたいというふうに思いますし、現状の中では、適切な工事の施行というものにきちんとした管理をしていただきたいと思います。

 先ほど、最低制限価格のくじ引きでの工事が16件。16件のうち、工期や価格、契約金額の変更があったものは16件。すなわち100%が工期と金額の変更がされているということになります。このことは、逆に言えば、先ほど、適切な水準にあるというふうな報告がありましたけれども、最低制限価格を決定する上で、工事内容や、そして状況そのものに対しての精査が不足しているということを逆にあらわしているのではないでしょうか。

 例えば、先ほどの包括外部監査の中では、68ページになりますが、2つの追加変更契約について、具体的な事例を挙げて指摘がされております。その中で、工法の変更には諸般の事情があるにしても、それを当初契約に織り込む事前の調査、調整においても最大限考慮し、事後の事務負担等の増加となる変更契約が少なくなる努力をさらに行う必要があるものと考えられる。その努力の結果として、当初契約の入札工事案件の内容、その入札の状況及び結果も変わってくる可能性があるからであるというふうになっております。

 正確な工事内容が示されない中で、くじ引きによる落札ということになってまいりますと、落札をした企業が、その工事を行うに適切な能力を持っているかどうかということもまた変わってくるというふうにも、この意見は指摘していると思います。

 さらに、2つの事例を取り上げて、事前の調査、検討は可能であったというふうに取り上げられ、そして当該工事の工期、工法も含め、当初工事契約を締結する前に一層の検討をすることが必要であったというふうに総括的な意見がついているわけで、下水道工事は変更内容が多いということは、地下のことですので、あるとは思いますが、しかし、16件中16件、そして管渠でも25件中25件、そのことによって工期や金額変更が行われるということは、事前の調査なり検討が不十分であるということのあかしではないかと思います。そのことを今後は十分に求めたいと思いますが、どのような対応をとるのかということが1点。

 それから、最低制限価格によるくじ引きへの事業者の参加率が3分の2以上を占めるというような状態について、例えば最低制限価格でくじ引きで仕事を取った。しかし、工期や金額を変更すれば、金額もアップするわけですから、やれるというふうに、企業の間にそういうふうな雰囲気というのが生まれるということは、公共工事に対する信頼性をも低めるという作用もしてくると思うんですが、その点についても、それを防止する意味で契約の内容、金額についてはきちんとした精査が、価格を設定する前に必要だと思いますが、そこのところをどのような対策をとるのか、明らかにしていただきたいと思います。

 最後に、70ページになりますが、財団法人東京都新都市建設公社への業務委託について、その契約のあり方について指摘されております。75ページにはその意見が出されておりますけれども、これは最初の2ページのところに、監査人が何に注目してこの指摘をしたのかということが記されております。

 2ページのところには、なお、今回の監査の終盤において、市下水道部の主要な業務委託先の過去の工事案件の係争事件につき、東京地裁判決があったが、その判決内容に記載されている入札参加者間の談合等の事実認定に関連して、今回の監査の計画段階及び監査の実施に際し、特別に検討すべき監査事項として、具体的な監査手続の中に織り込んでいたことを記しておくというふうにありまして、この東京地裁判決についてかなり注目されていると思います。

 意見の中では、下水道事業の多くが財団の新都市建設公社に業務委託をして八王子市の下水道事業というのは行われているわけでありますけれども、市は委託者として業務執行の効率性及び事務費の適正性などについて説明や報告を求める権利と責任があり、また、受託者である公社はそれを行う義務があるものと考えられる。このような契約関係における権利義務関係の中で、従前から決められた委託事務費の料率の踏襲や、結果報告の受け入れ方法については、さらに踏み込んだ改善が必要であると考えられるとして、2点にわたって指摘があります。

 1つは、落札率に応じた検証の必要性について。2つ目は委託事務費の料率について。3点あるんですが、3点目は工事委託の清算についてということで、3点について意見が記されております。

 その中の大きな問題として、落札率に応じた検証の必要性については、公社に委託した工事のうち、指名競争入札28件のうち18件の落札率は80%、残り10件の平均落札率は95.71%となっているという指摘がありまして、市の直接の工事契約であれば、落札率80%の工事については、設計金額の水準の妥当性及び工事の施工可能性について吟味されるであろうし、また、落札率95%以上の工事については入札手続の妥当性について検討することになる。したがって、委託契約においてもそれらの点を委託者として検証する必要があるものと考えられるというふうになっております。

 八王子市は入札制度の改善に取り組んできて、解除条件付など談合防止のためのシステムも導入されていて、落札率が従前より下がってきているという傾向があるわけですが、新都市建設公社の場合も入札制度についてはどのような状況で行われていて、95%以上の工事の入札の妥当性についてはどのように理解をしているのかということをお伺いいたします。

 もう1点は、昨年11月に出た東京地裁の判決です。これは、談合があったことを認定して、被告らに八王子市に対する損害賠償の1億9,800万円の支払いを命じるという内容です。この判決の中では、事件となっている談合の中で、13件中11件が99%以上の落札率であったという事実をもって談合があったというふうに認定しているわけでありますけれども、こうした95%以上、あるいは100%に近い落札率というのは、そういう疑いがある。そして、業務委託先である新都市建設公社が適切な入札をしていなかった、談合防止対策をとっていなかったというような事実だと思いますが、この判決を受けて新都市建設公社と入札の改善についてどのような検討をしているのか。また、意見を提起しているのか、明らかにしていただきたいと思います。


◎松本正下水道部長
 それでは、何点か質問を受けましたので、お答えをいたします。
 初めに、最低落札による工事の件についてお答えをいたします。

 下水道工事において最低落札で落札した工事については、調査あるいは検討がしっかりなされていなかったのではないかということでございますが、下水道工事においては設計の時点で地下の状況、構造等十分な調査を実施して、適正な積算、設計を行っております。その結果、工事において執行していく中で、地下のことですから、予測のつかない状態がどうしても起こってくるということで、この工事の変更契約についてはやむを得ない事情があるというふうに理解をしておるところでございます。

 そして、変更により、工事そのものが負担増になる、あるいは余計な費用を払っているんじゃないかというようなことでございますが、落札比率に応じた必要な事業の施行をしていくわけでありますので、形としては決して負担増になっているというふうには考えてございません。

 次に、新都市建設公社への委託についての御質問でございますが、まず、新都市建設公社の落札についてでございますが、新都市建設公社における入札の手続というのは、東京都の入札手続に準じて行っております。その結果、適正な契約がなされているというふうに私どもは考えているところでございます。しかしながら、今、東京都においては入札の手続について、先ほど御質問者の言われたような、八王子における形式をとってございません。そういう中から、その取り扱いについて、今後、新都市建設公社と協議をしてまいりたいと考えているところでございます。

 それと、もう1つ、今般の談合事件についてでございますが、この談合事件につきましては、一審の判決が出た後、当該業者が10社でございますが、すべて控訴をしておる状況にございます。そういうことから私どもとしましては、この裁判を見守っていきたいというふうに考えております。

 今後、新都市建設公社の工事におきまして、不正防止に向けた入札の制度等について、新都市建設公社と十分検討し、要望もしていきたい、そのように考えているところでございます。


◎40番井上睦子議員
 新都市建設公社への業務委託の問題について、談合事件については今後の推移を見守っていきたいということでありますけれども、判決文の中では、最後のところですね、八王子市長は損害賠償請求権を行使しておらず、その不行使は違法というべきであり、本件訴訟における原告らの損害賠償代理請求は主文の限度で理由があるというべきであるとしておりまして、現実としては、八王子市の住民が八王子市長にかわって損害賠償請求をしたという裁判なわけです。

 実は、税が談合によってむだに使われた。そのことによって八王子市長は損害賠償請求をすべきではないかという事件の内容であるわけですが、こうした一審の判決の内容は、控訴をしているということで、推移を見守るという立場が示されましたけれども、談合事件に厳しく取り組んできた市長としては、この監査報告にもあるように、委託者として業務執行の効率性や適正性などについて説明や報告を求める権利と責任というものが新都市建設公社に対してあるわけです。こうした判決を受けて、市長は新都市建設公社とどのような協議をし、行動をしているのかということが1点と、一審の判決を受けて八王子市が損害賠償請求をするというふうに、市民にかわって立たなければならないのではないかと思いますが、その点についてどのように思われているのでしょうか。

 現実としては、13件中、99%以上の工事の内容が、11件が99%以上の落札率というのは、これはどのように見ても異常な数字であると思いますし、こうした入札制度に精通している市長としてのお考えをお聞きしたいと思います。


◎黒須隆一市長
 40番、井上睦子議員の私に対する質問にお答えいたします。

 下水道事業における談合事件でありますけれども、新都市建設公社に委託をしているものでそういう事件が起こったということを、私は新都市建設公社を信頼しておりますので、大変残念に思っております。その後、新都市建設公社の理事長にも、適正な入札が行われるよう、不正防止に向けた入札制度の改善をしてほしい、こういう申し入れもいたしております。

 損害賠償請求をしておらないということですけれども、これは先ほど担当部長からも答弁をしましたけれども、まだ一審の判決が出たということだけで、11社すべてが控訴しているわけですね。ですから、その行方をきちんと見守らなければいけないんじゃないかと、私はそう思っております。別に逃げも隠れもするような会社ではありませんから。ですから、これを、言うならばおっ取り刀で、一審が出たからということで損害賠償をするということは、それは私は適切な処理だとは、現状のところでは思っておりません。ですから、推移を見守っていきたい、こう思っております。それで必要があれば、即、損害賠償は請求いたします。