◎井上睦子委員
 議員提出議案第2号、JR不採用問題の早期解決に関する意見書について、提案説明を行います。

 1987年4月に国鉄の分割民営化が実施され、JRが発足してから既に20年になります。1986年秋の国鉄国会で当時の政府は、国鉄職員に対し、1人も路頭に迷わせないと答弁し、参議院でも同様の附帯決議がつけられています。しかし、国鉄から新会社JRへの移行過程で、定員超過を理由に、北海道、九州を中心に7,600名の不採用者が出るという事態が発生いたしました。不採用者は、国鉄清算事業団、今の鉄道建設・運輸施設整備支援機構の配属となり、民営化3年後の1990年、再就職支援法が期限切れになったことを理由に、最終的にはJRに採用を求めた1,047名が一斉解雇となりました。解雇された1,047名とその家族は、この20年間、経済的にも精神的にも厳しい生活を余儀なくされながらも、不採用問題の解決を求め続けています。

 JR不採用問題については、2003年12月、最高裁が3対2の票決によってJRには責任を問えないとして、中央労働委員会の救済命令を取り消す判決を言い渡しました。法的にはこのことによって一定の決着がつけられたと言えます。

 その後、国連の専門機関であるILOは、2004年6月に6回目の勧告で、日本政府に対して話し合いによる解決の促進を求めるという勧告を、そして、昨年11月には日本政府に当事者すべてが満足できる解決に到達させるため、ILO援助の受け入れを真剣に検討するよう要請するという第7回目の勧告をいたしました。7回目の勧告時にはILOの労働局長が来日し、厚生労働省や国土交通省、労使関係者などに精力的に事情聴取を行っています。この来日は、20年近くも1,000名を超える大量解雇問題が解決されていないことへのILOの関心の高さと憂慮を示していると言えます。

 不採用となった1,047名のうち既に40名を超える人々が亡くなり、平均年齢は55歳となっています。20年の歳月は決して短いものではありませんでした。当事者とその家族の20年の苦難の人生を思い、そして、これを受けとめ、人間として誇りを持って働きたいという人道的な見地に立って、速やかなこの問題の解決が求められています。  本意見書は、速やかに人道的な見地に立って現実的な問題解決を求めるものであります。昨年12月末の時点では684の自治体で1,031本の同趣旨の意見書が採択され、国に提出されています。

 どうぞ議員各位の御賛同をお願いして、提案説明を終わります。