◎【40番井上睦子議員】
それでは、入札・契約制度の改善について、まずお伺いいたします。

 枚方市の清掃工場での談合事件、これは現職の警官がブローカーの役割をし、大林組と、そして現職の副市長、また元市議、あるいは市長に対する強制捜査が入るという事態に発展しております。

 また、緑資源機構の林道測量、建設コンサルタント業務の入札談合では自殺者が出ております。こうした官製談合事件が後を絶ちません。

 本市でも、多摩ニュータウン清掃工場の建設や、新都市建設公社に委託をした下水道工事の問題で、その談合した事業者に対して損害賠償請求をしているところです。談合防止への取り組みがさらに強化されなければなりませんが、本市でも水道工事の談合事件以来、解除条件付一般競争入札の導入など、改善に取り組んでまいりました。  制度改善の取り組みの成果についてお伺いしたいと思います。その成果や落札率の変化、あるいは談合監視委員会や公正入札調査委員会の開催状況など、この間、取り組みの成果についてお示しをいただきたいと思います。

 次に、7月から総合評価方式が試行導入をされます。この導入に当たってのガイドラインでは、総合評価方式導入の背景として、公共工事に関しては、厳しい財政事情のもと、公共投資が減少している中で、その受注をめぐる価格競争が激化し、著しい低価格による入札が急増しており、下請業者や労働者等へのしわ寄せによる品質低下による懸念、また、くじ引きによる落札者の決定の増加による偶発性の顕在化などが顕著となっているというふうに記されています。

 国土交通省が発注した工事では、落札率がおおむね65%未満では、工事成績評定点が平均点未満、または下請企業が赤字の工事であることが明らかになっています。そして、06年度中に発生した死亡事故3件のうち2件が低入札工事で発生し、そして、低入札工事の事故発生率は05年度に比べ約3倍に急増していることが報告されています。

 八王子市では、ガイドラインで、著しい低価格による入札が急増し、下請業者や労働者等へのしわ寄せによる品質低下の懸念が顕著となっているというふうに記されております。先ほど報告したとおりですけれども、八王子市でくじ引きで落札を決定した件数は、06年度で49件となっています。総合評価方式の導入理由としては、これは読売新聞6月6日の報道ですが、価格だけでは不良・不適格業者を排除できないとしています。こうしたくじ引きでの入札によって、事故の発生や、下請業者や労働者へのしわ寄せなどの実態の問題が、現在、八王子市内の公共工事で起きているのかどうか、その点について把握をしているのかどうか、お伺いをいたします。

 総合評価方式は、価格だけでなく、工事の質も評価するというものです。予定価格2億円以上の工事は施工計画評価型、2億円未満の工事は工事成績評価型と分類をされています。

 施工計画評価型では、企業の技術力に加えて、企業の信頼性、社会性も評価項目に加えられています。具体的には、対象評価項目の地域精通度は、市内に本店があるかないかという点が評価されます。地域貢献度では、これは評価をすることは選択項目になっていますが、そして評価の点数も各項目1点と低いものですけれども、災害協定などによる地域貢献の実績、緊急工事の契約実績、ボランティア活動による地域貢献の実績など、11項目が、総合評価方式に企業の信頼性、社会性ということで項目として入れられています。

 具体的にお示しいたしますと、地域貢献度では、災害協定等による地域貢献の実績として、過去5年間に本市との災害協定があるかないかということ。そして緊急工事の契約実績では、過去5年間に本市との契約実績があるかないかという点が評価されます。

 また、ボランティア活動による地域貢献の実績では、過去5年間、市内でのボランティア活動の実績があるかないかということが評価をされてきます。

 障害者の雇用状況では、障害者雇用の有無について。
 男女共同参画の状況では、育児介護休業制度の有無について。
 高齢者の雇用状況については、高齢者雇用の有無について。
 子育て支援状況では、本市の子育て支援優良企業登録者であるかどうか。
 また、労働環境の状況では、建設業退職金共済制度の加入、または退職一時金制度の導入をしているか、していないか。
 エコアクション21の取得状況では、その認証・登録があるかどうか。

 また、地産品の使用状況では、エコセメントというのは問題だとは思いますが、多摩産材等の使用についてあるかないかというような地域貢献度として10項目が評価され、地域精通度として1項目、企業の信頼性、社会性では計11項目が、価格以外の評価として取り入れられるようになりました。

 私は、これは総合評価方式を施行するという意味で、そして価格だけではない企業の信頼性や社会性を評価項目に加えたという意味で、評価をするものでありますけれども、市としては、この総合評価方式に企業の信頼性、社会性を11項目にわたって入れた意義についてはどのように考えているのか、お示しください。

 次に、外郭団体の入札状況についてお伺いをいたします。

 学園都市文化ふれあい財団や住宅・都市整備公社は、市とは独立した議決機関を持つ団体でありますけれども、市が出資をする団体でもあり、指定管理者として市の事業を行っています。外郭団体の入札状況の把握や、市の進めている入札・契約制度の改善について、市は外郭団体とどのような連携をとっているのか、お伺いをいたします。

 談合を防止し、工事や委託事業において公正な入札が行われるよう、市の経験や実績を外郭団体にも広げていく必要性について、私は大変重要だというふうに思っておりますけれども、それについての認識をお伺いいたします。

 次に、倫理条例の制定の問題について伺います。

 各地で官製談合事件が起き、市民の行政や政治に対する不信は広がっています。各自治体では、政治倫理条例や職員倫理条例を制定し、市長や議員、職員が市民全体の奉仕者として、人格と倫理の向上に努めることを宣言し、そのための必要な措置を定めています。八王子市では倫理条例は策定をされておりませんけれども、その必要性について、これまでどのような検討がされてきたのか、お伺いしたいと思います。

 次に、国民保護計画についてお伺いをいたします。

 ことし3月、国民保護計画が策定されました。私は、この国民保護計画については極めて問題があり、本市として国民保護計画を定めなくてもよいという立場であります。  そもそも国民保護計画は、武力攻撃事態法と連動する周辺事態法によって組み立てられた1つの法律の内容となっています。この国民保護計画がどのように動いていくのかと考えたときに、周辺事態と武力攻撃予測事態が密接につながって、いわゆる戦争が起きた段階でこの国民保護計画が発動されるのではなく、平時から、米軍が日本の周辺で戦争を起こしたときに、既に予測事態となって、この戦争体制に日本が巻き込まれていくという内容の計画になっています。

 したがって、相手国なり侵入者から日本が攻められたときに、どのように日本や八王子市民を守っていくのかという攻撃ではなく、日米の軍事的な行動によって、その事態が発生する予測事態のときに、既に先制攻撃のための備えを進めるという計画と内容だと思います。したがって、このこと自体が憲法9条に反することはもちろんのこと、外国から攻められたらというときの備えではなく、先制攻撃のための備えという意味で、計画自体、大変問題だと思います。

 一方で、つくられたこの計画は、本当に国民を守るのかというと、これも大変大きな矛盾をはらんでいます。武力攻撃事態法が予測する事態は、武力攻撃事態と予測事態と、そして緊急対処事態です。この緊急対処事態では、危険性を有する物質が施設で、原子力事業所の破壊やダムの破壊などが起きたとき、あるいは多数の人が集合する施設や大量輸送機関に対する攻撃が行われたとき、ターミナル駅や大規模集客施設の攻撃、爆破、それから多くの人を殺傷する化学物質による攻撃が行われた事態、もう一つは、破壊の手段として、航空機等による多数の死傷者を伴う自爆テロなどという4つの類型が示されています。

 八王子市の計画は、この緊急対処事態を中心とした計画になっていますけれども、このような事態が起こったときに、本当に市民を守れるのかどうかということは定かではありません。予算質疑やさまざまな質疑の機会を通して質問をしてまいりましたけれども、市民が避難をする堅牢な施設がないこと、あるいはターミナルを爆破されるとなると、これは交通機関も麻痺しますし、指示、命令、避難誘導などということは一切できないという混乱事態になってしまいます。私は、この計画自体が本当に国民を守るのかどうか、極めて疑問があります。

 そこで改めてお伺いいたしますけれども、こうした緊急対処事態、4つのところをメーンに市は計画を立てているわけでありますけれども、こうした場合、本当に国民、市民を守るということができるのでしょうか。それはどのように担保されているのか、お伺いをいたします。

 そして、島根県の例でもわかるように、実際には保護計画を作成して、市民を市外あるいは県外に避難させるには相当の日数がかかったということであり、計画は現実的には不可能であったということが各地の例からも明らかであります。さまざまな事態が想定されておりますけれども、市民の命や、そして生活というものを本当にこの計画は守れるのかどうか。再度、この具体的な実効性についてお伺いをしたいと思います。

 次に、人権の尊重と侵害排除ということです。

 計画の中では、武力攻撃事態が起きた場合に、国民保護と同時に、敵を排除するために自衛隊や米軍が侵害排除の活動も行うようになります。島根県のシミュレーションでは、例えば県道を利用して県民を県外に避難させるという計画を自治体は持ちましたけれども、そこで自衛隊がその県道を利用して侵害排除をするということで、県民の避難と自衛隊の作戦が、県道をどちらが優先して使うかということで衝突して、このことはいまだに解決されておりません。

 八王子市内でも、市民が避難をする避難場所に指定されたところを、自衛隊や米軍が作戦を展開するために、そこを市民に対して立ち退いてほしいというような状況が発生したとき、どちらが優先されるのか。本当にこの場合に市民の安全が守れるのかどうかということについては、この間、どのような検討がされてきたのか、お伺いしたいと思います。

 そして、基本的人権の問題については、再三、この計画の中でも、憲法の保障する基本的人権を尊重する。あるいは高齢者、障害者、外国人等への配慮及び国際人道法の的確な実施を確保する。あるいは外国人についても国民保護措置の対象であることに留意をするとして、市民の基本的な人権、そして外国人についても排除をしない、保護の対象であるということを明確にうたっております。

 しかし、実際の非常事態において、そのことが本当に確保されるのかどうかということは、過去の例からも大変疑問があります。例えば、アメリカの9.11以降の情勢は、イスラム系の住民の排除や差別という問題がありますし、第2次世界大戦では、日米の戦争ということで、アメリカにおいては日系人が強制収容されるということがありました。

 そういった反省の中で、外国人についても国民保護措置の対象であるというふうにこの計画は述べられていると思うのですが、でも実際にそのことが可能なのかどうなのか。今でもさまざまな外国からの外交上のトラブルがあったときに、居住する在日外国人の人たちは大変な目に遭っているという日本の実情があります。そういったことについて、人権尊重という立場を貫くためにはどのようなことができるというふうに考えているのか、お伺いをします。

 以上で1回目の質問を終わります。


◎田沼正輝財務部長
それでは、入札制度の関係で御答弁申し上げます。

 入札・契約制度の見直しの経過でございますが、平成14年度の現場説明会の廃止と予定価格の事前公表、そして15年度の最低制限価格の事前公表と郵便入札の実施、加えて、指名停止基準の強化がございます。16年度には、解除条件付一般競争入札の導入、そして昨年度、電子入札などに取り組んでまいりました。

 これらの成果といたしましては、平均落札率が86%前後に推移していること、それから工事成績評定における75%以上の案件が順調に増加しておりまして、競争性と品質確保の向上が図られたものと受けとめております。

 それらの制度改革に伴いまして、今申し上げました平均落札率は86%に推移をしておりますが、これ以前の落札率との比較で申し上げますと、平成11、12、13年ではおおむね90%というふうな落札率となっておりまして、制度改革によって落札率が改善をしてきている、競争性が働いてきているということでございます。

 次に、談合監視委員会の関係でございますが、談合情報が市に寄せられる場合には、談合監視委員会を開催しております。今年度は今のところ、談合監視委員会の開催はございません。17年度に3回ほど開催をしておりまして、その答申によりましては、解除条件付一般競争入札によって解除をしているということでございます。

 それから、最低制限価格での受注による労働問題の関係を御質問いただきました。契約担当には、最低制限価格によってくじ引きによっての労働問題にかかわる情報は寄せられておりません。

 それから、最低制限価格によって工事成績にかかわるものはどうかというふうな御質問でございました。平成17年度で申し上げますと、建築については平均が74.5%、土木は77.4%、設備は75.2%でございまして、これらの平均では77.1%というふうなことで、工事成績の標準的な75点を超えているということで、くじ引きがあったから工事成績が悪いということにはなってございません。

 次は、総合評価方式の関係の御質問でございます。

 本年度、来月7月からこれまでの入札価格だけでなく、企業の技術力や信頼性、社会性を評価要素に取り入れまして、多くの評価要素を設定いたしましたので、談合防止策にもなると思いますし、それから御指摘のくじ引きなどのダンピングの防止にもなると思っております。それから公共工事のより一層の品質確保にもつながるということでございますので、この施行につきましては着実に進めていきたいと考えております。

 それから、外郭団体につきましても私の方から御答弁申し上げます。

 住宅・都市整備公社につきましては、公社の内部規定に基づいて独自に入札・契約事務を執行しておりますが、その結果である入札経過調書は本市の方にも寄せられております。逆に、本市の方からは制度見直しに伴ってその都度情報提供もしておりますし、住宅・都市整備公社からの問い合わせや相談には積極的に答えているところであります。

 冒頭申し上げました標準的な工事の点数が75%と申し上げたかもしれません。75点以上が正しいものでございます。失礼いたしました。


◎小林昭代総務部長
倫理条例の検討の経過についてですけれども、職員の公務員としての倫理につきましては、本市としまして、平成14年1月1日、職員服務規程を施行し、平成18年1月4日、不当要求行為等対策要綱を施行する中で、不当要求行為等対応マニュアルを作成いたしております。また、同じ平成18年4月1日、公益通報者保護法の施行を受けまして、公益通報の処理に関する要綱を制定しているところでございます。御質問者が言われましたような倫理条例については、検討はいたしておりません。


◎宮住哲也生活安全部長


 まず、第1点目でございますが、国民保護計画の目的及びその実効性でございますが、国民保護計画の目的は、武力攻撃やテロそのものに対処するものではなくて、これらの被害から住民を保護することにありますので、その目的に基づいて計画を設定しております。

 実効性でございますが、住民の避難については、その地域や規模、時間的余裕などは状況によって異なると考えておりますが、いずれの場合も迅速、的確な情報伝達や誘導が必要なことは言うまでもありません。そのためにあらかじめ対応を定めておく必要があり、計画を策定することは重要な意味を持つものであると考えております。また、今年度は具体的な避難の要領をパターン化することとしており、より現実に即した実効性のあるものにしていきたいと考えております。

 次に、3点目で、侵害排除活動という御質問をいただきました。市民が避難している場所について、それを自衛隊が要求した場合というような具体的なお話をいただきましたが、基本的には、民間の施設あるいは土地を使用する場合については、公用負担と申しまして、一定の手続の中で許されているものでありまして、土地、家屋等の使用については、国民保護は国民保護法で、自衛隊の活動については自衛隊法でそれぞれ定められておりまして、いずれの場合におきましても、公正な手続のもとに行うことや、損失補償との権利利益の救済措置が定められております。

 先ほどの想定のお話でございますが、現実的に想定いたしますと、自衛隊が出動いたしますのは、少なくともそういう避難のための場所ではなくて、その先の侵害を排除するという場所になるかと思います。避難場所の中に自衛隊がそういう対応をするということはちょっと考えられないのかなというふうに考えております。

 4点目でございますが、外国人の基本的人権でございます。国民保護法では、武力攻撃事態等における国民保護措置を的確かつ迅速に実施することを目的としております。そういう意味からいきますと、国籍を問題としたそういう活動は国民保護法の中では想定されておりませんが、基本的人権の尊重や個人情報の保護が重要視されているのは当然でございますが、そういう要求がありましたら、どのような法や、あるいはその根拠を点検いたしまして、必要な情報や、その影響を十分に考慮して対応していく必要があるかと考えております。


◎40番井上睦子議員
それでは、2回目の質問を行います。

 入札制度の改善の問題です。八王子の場合、下請業者や労働者へのしわ寄せや事故の発生については、契約課の方に報告はない、情報は寄せられていないということでありました。情報は寄せられていないということなので、積極的に情報を収集したならばどういう結果になるのかということもありますので、ぜひこうした問題にも注意をしながら、適正に工事が行われているかどうか、働く人たちへのしわ寄せなり下請業者への赤字転嫁ということが発生していないかどうかということは、今後、注意をしていただきたいと思います。

 今、公共工事の品質確保法で総合入札制度の施行導入ということになるわけですが、総合評価制度自体は、1999年の地方自治法の施行令の改正によって、一般競争入札において総合評価方式の導入が可能となっています。これは公共工事だけではなくて、労務提供型の委託業務などにしても、この総合評価方式というのが導入されている自治体がふえてきています。

 例えば豊中市では、庁舎清掃業務と障害福祉センターの管理業務について、総合評価方式が採用をされています。価格での評価点は120点、あと、技術面で24点、公共評価ということで56点、計200点であります。価格が120点、あとが80点という配置ですから、価格だけで落札者を決定しないということです。

 この技術的な評価の中には、研修制度があるか、あるいは適正な履行を確保するための業務体制があるか、既雇用者に対する継続雇用が保障されているか、あるいは品質ISOの認証がとれているか、自主検査をしているかということで技術的評価をしています。

 また、公共評価というところでは、福祉への配慮ということで、これは清掃業務と総合管理業務でありますから、知的障害者の新規の雇用、あるいは知的障害者の雇用を実現するための支援体制、精神障害者の新規雇用、精神障害者の雇用を実現するための支援体制、身体障害者の新規雇用、障害者雇用率、就職困難者の新規雇用、これは野宿者、ホームレスの人たちへの雇用も意図されているものです。そして新規雇用者に対する雇用条件など、各5点と4点で39点、これが福祉への配慮ということで、企業にこうした役割を担わせています。

 あと、男女共同参画への評価で4点。これは育児介護休暇・休業制度があるか。あるいは、セクシュアル・ハラスメント防止への取り組みがその企業としてあるか。また、環境への配慮としては、環境への取り組みや低公害車等の導入、再生品の使用をしているかどうかという公共評価をしています。

 今、八王子市が公共工事において総合評価を試行導入するということを、私は一歩前進として評価をいたしますが、その発展的な課題として、こうした労務提供型の委託業務に関しても、社会的な評価を含んで、企業の社会的な責任を果たさせていく、あるいは障害者の雇用を促進させていくという意味で、こうした項目を評価点に入れていくということは、今後の入札制度改善の中で大きな取り組みの例となるのではないかというふうに思いますが、こうしたいわゆる政策入札といわれるものについては、行政はどのように評価をしていらっしゃるでしょうか。

 数年前、予算等審査特別委員会でこの政策入札の導入について市長と議論をしたときには、まだまだ八王子市内の業者はそこまで至っていないということでありましたけれども、公共工事における入札総合評価が導入される段階になって、これはことしと来年にかけて結果があらわれてくるわけですけれども、その次のステップとして、公共工事だけでなく、委託業務においても、あるいは他の内容においても、この視点をより拡大していくという方向はこれから大切ではないかというふうに思いますが、その点についてお伺いをいたします。

 次に、外郭団体の入札状況の把握や、制度改善への取り組みの連携であります。

 住都公社に関しては、情報提供がされるという、緩やかな連携があるような答弁でありました。学文ふれあい財団に対しても、そのような連携と情報交換によって外郭団体の入札制度もより改善され、公正な契約制度が実現するように、市からも情報提供をお願いしたいというふうに、これは要望をしておきます。

 次に、倫理条例の制定の考え方であります。

 担当部長からは、職員の服務規程、あるいは公益通報制度、あるいは不当要求に対するマニュアルということで、職員レベルでの取り組みということが報告されました。私はもう一方で、政治倫理条例、これは議員にも、それから市長初め理事者にもかかわってくる問題でありますけれども、枚方市の談合事件や、数多く発生をしている県レベルでの官製談合から見れば、やはり市長、副市長、教育長、そして議員も含めた政治倫理条例の制定が必要ではないかと思っております。

 住宅・都市整備公社の楢原斎場の建設工事について、私は住都公社の評議員でもありますので、評議員会でも指摘をした点でありますけれども、今回の楢原斎場の建築工事では、横瀬・黒須建設共同企業体が6億4,500万円で落札をいたしました。落札率は90.5%、他の3社の落札率は96%、そして97.9%、100%という結果でありました。横瀬・黒須建設共同企業体が90.5%で落札したわけです。あとの3社は、繰り返しますけれども、96%、97.9%、100%という高い率での入札をしているわけです。結果として横瀬・黒須建設共同企業体が落札をしたわけです。

 これは市民から見れば、市民の目線で見ればということでありますけれども、兄が発注をして、弟が落札をするという構造はおかしいんじゃないかという素朴な声も届いているわけであります。市の工事平均落札率をも、90.5%というのは上回っているわけであります。

 また、4月1日オープンした道の駅八王子滝山の造成工事も黒須建設でありましたが、こうした造成工事も含めた2005年度の黒須建設の公共工事の落札額は3億円を超えています。先ほどから入札制度の改善については報告があり、一定の成果があらわれているということでありました。でも、市民から見れば、何か変だな、おかしいな、いいのかなというような声が聞こえてくることも確かでありますし、それは市長の耳にも届いているかもしれません。

 国分寺市の政治倫理条例は、目的として、「この条例は、市政が市民の厳粛な信託に基づくものであることにかんがみ、その担い手たる国分寺市長、副市長及び国分寺市教育委員会教育長並びに国分寺市議会議員が、市民全体の奉仕者としてその人格と倫理の向上に努め、いやしくも自己の地位による影響力を不正に行使して、自己の利益を図らないことを市民に宣言するとともに、市長等及び議員が職務を遂行する上での公正性及び高潔性を実証するために必要な措置を定め、あわせて市民も市政の主権者としての認識と自覚のもとに、公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする」として制定をされております。

 そして、市長等及び議員の政治倫理基準というものが6項目にわたって記されております。市長等及び議員は、市民全体の奉仕者として品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関し不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないことのほか、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならないとして、いかなる金品も授受しないこと、あるいは、市が資本金の2分の1以上を出資している法人を、市が行う工事等の請負契約、業務委託契約、物品納入契約その他の契約及び指定管理者の指定に関して特定の業者を推薦し、又は紹介する等しないこと。あるいは、市職員等の採用に関して推薦又は紹介をしないこと。市職員等の昇格、異動等の人事について関与しないこと。あるいは、政治活動に関して会社、労働組合、職員団体その他から寄附等を受けないこと。その後援団体についても政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄附等を受けないことというふうに、政治倫理基準6項目を定めています。

 そして、兼業や兼職報告書の提出を定め、政治倫理審査会の設置をしております。

 また、市が行う契約等に関する遵守事項として、市長等及び議員が役員をしている継続的に一定の収益事業を行っている法人、その他の団体並びに市長等及び議員が実質的に経営又は運営に携わっている法人等は、市が行う工事等の請負契約、業務委託契約及び物品納入契約並びに指定管理者の指定を辞退し、その届を提出しなければならないというふうに規定をしておりまして、その実質的に経営又は運営に携わっている法人の内容として、市長等及び議員が資本金その他これらに準ずるものの3分の1以上を出資している法人等、市長等及び議員が年額300万円以上の報酬を受領している法人等、市長等及び議員がその経営方針に関与している法人等を指しています。

 また、市長等及び議員の配偶者、2親等以内又は同居の親族が役員をしている法人等は、市が行う契約等を辞退するよう努めるものとするというふうにされておりまして、これは市が行う契約等に関する遵守事項としては6項目にわたって規定をされております。4項目以降は手続の問題でありますけれども、このように市民に疑惑の念を持たれないように、市長及び議員がみずからの倫理性を高めて行動していくということは、今の時代、必要なのではないかと思います。

 市長は、みずからの倫理を向上させていく、もちろん高い倫理をお持ちなわけでありますけれども、それを市民に宣言をする。そして市の行政が、議会もあわせてですけれども、公正性及び高潔性を実証するあかしとして、政治倫理条例の制定をこうした内容でするということについては、どのようにお考えでしょうか。市民に対してみずからの高潔性と倫理性の高さというのを、各地域で談合が起きている中で示していくということが必要なのではないかと思います。

 それは指定管理者の導入選定の際にも、私も議員がかかわる法人等に対して契約をするということについても問題提起をしてきました。これは市長のみならず、議員自身も身をたださなければならないことでありますけれども、こうした談合事件が続発する中で、八王子は幸いにして今のところ成果があったという報告なわけでありますけれども、談合事件が発覚するのは2、3年後というのが今までの他市の事例でもあります。私たちは、みずからが倫理性を高めるという決意を示すためにも、こうした条例の制定が必要だというふうに思っておりますが、お考えをお聞きしたいと思います。

 次に、国民保護計画についてであります。

 幾つかお聞きしたいと思うんですが、例えば鳥取県の問題で、人権の尊重と侵害排除というところで、県民が避難するために県道を使用したい。しかし、侵害排除のために自衛隊と米軍が県道を使用したいということが競合した場合、このことはまだ解決されていないわけです。市民が避難をする場所に自衛隊が作戦展開のために入ってくることはないんじゃないかという予想ではなくて、厳密に、そのことがどういうふうになるのかということは、法的にも調べていただきたい。想像ではなく、きちんと調べていただきたいと思います。

 それから、外国人の問題です。例えば中国で反日というようなデモが起きれば、日本に住んでいる中国の人たちは極めて不安感を持つわけですね。日本と中国の関係がよくなければ、日本にいる中国の人たちは、中国語を話すことも少しためらわれるというような雰囲気が今の日本にもあるわけです。そして、在日朝鮮人の人についてもそういう雰囲気があるということはおわかりになると思います。これが戦争になったときに、どの国かということはわかりませんけれども、ある国が攻めてきた。でも、そこの国の人たちが日本の国内でどのような気持ちで過ごすかということは想像ができます。

 一方で、侵害排除あるいは治安の面から、その国の在住の人たちの外国人登録の情報を提供せよというふうに政府なり他の機関から自治体に提供を求められたときに、基本的人権の尊重という立場であれば、これは情報提供をしてはいけないというのが自治体の立場だというふうに思うわけですが、先ほどの部長の答弁では、状況の判断の中で考えるということでありました。

 しかし、過去の戦争の例を見てみれば、何の危害を加えない人たちが人権を侵害されたという歴史があるわけですから、そういったことも想定して、国民保護計画というのは何なのかということをぜひ考えていただきたいし、実際そういうことが可能なのかどうか。もし万が一、最悪の事態が起こった場合には、それは情報提供しない、その人たちも市民として守るという決意が行政側になければならないと思うわけですが、その点についてお答えをいただきたいと思います。

 最後に市長にお伺いいたしますけれども、国民保護計画が発動しないという事態が一番いいわけです。平和で、他国との協調がされている社会が一番いいわけで、そのためには平和行政を推進していくということが一番重要なのだと思います。八王子市も昨年、アジアの3都市と友好都市交流の締結を結び、ことしはもう既に韓国の子どもたちとのスポーツ交流というのがホームページにも掲載されておりました。一番身近な国々と平和的な視点で友好交流を進めていく、あるいは市内にあっても平和施策を十分に推進していくということが、一番平和で、国民を保護する、あるいは守っていくということにつながっていくと思いますが、平和行政の推進に対する決意をお伺いしたいと思います。


◎田沼正輝財務部長
総合評価方式を委託業務まで拡大してはどうかという御質問をいただきました。これにつきましては、業者側のそれぞれの評価項目、それぞれの分野における体力あるいは備えなどが必要になってまいりますので、まずは公共工事について、この制度を浸透させていきたいと思います。  それから、政策入札でございますが、本市が施行を取り入れます総合評価方式におきましても、環境、福祉、労働など、それぞれの分野での自治体の市政、あるいは結果としての政策の推進につながるものと考えております。この施行結果を検証した上で、必要に応じて見直しを行っていく考えでおります。


◎宮住哲也生活安全部長
2回目の、鳥取の県道についての避難所で、法を調べてほしいという御質問がございました。  道路は、特定公共施設利用法等により調整が図られるということになっております。土地、建物の競合につきましては、法で定められたものはございませんが、この場合ですと、市民の生命、身体の保護を最優先に調整対応していく考えでございます。  それから、外国人の方の人権でございますが、これにつきましても、国民保護法自体の中には規定はございませんが、1回目の答弁と同じように、基本的には、すべての状況を判断した上で、基本的人権を守るという立場から検討をしていきたいと考えております。


◎黒須隆一市長
40番、井上睦子議員の私に対する2点の質問にお答えをいたします。

 まず、倫理条例の制定についての御質問でございますけれども、公務員の倫理につきましては、地方公務員法や本市職員服務規程の遵守が基本であるというふうにとらえておりまして、私自身も常に公明正大を旨とし、これまでも行政の透明性や公平性の向上については、私が最も重視をしてきたことは御承知だというふうに思います。ですから、その点については繰り返し発言をし、実行をしてきたところでございます。

 今、市あるいは外郭団体の工事に対する発注についてお話がありましたけれども、例えばうちの身内の会社については、もう既に60年、70年家業として営んでいるわけですね。ですから、そういう中で私は政治の道を選んで、そして今こういう立場にあるわけですけれども、私ももう既に30年を超えてこの道を歩んでいるわけです。しかも、そのたびにきちんと市民の皆さんの選挙という手段を経て、そして私は選ばれているわけです。

 私は、最も忌み嫌うことというのは、アンフェアだということを最も嫌っているわけです。ですから、身内の者がどういう仕事を取っているかということも私は知りません。知ろうともしていません。それは私は常にそういう姿勢で接しています。ですから、単に身内がそういう家業を営んでいるということだけで市民から疑惑の念を持たれているということだったとしたら、私は非常に残念であり、悲しいことだというふうに思っています。

 私のところにはそういう声は届いておりません。それはなぜかといったら、常に私が公明正大にやっているということを、市民の皆さんも選挙を通じてきちんと理解をしていただいている、こういうふうに私は認識をいたしております。これからもこの姿勢は貫きたい、このように思っております。これは胸を張って言えます。

 ですから、枚方市の官製談合といった問題を1つ例にとられましたけれども、本市でもし、私が携わらないところでも官製談合があったり、私自身が不正だということを指摘されるようなことがあるならば、私は即刻責任をとります。それだけの覚悟は常にいたしております。

 また、本市におきましては、服務規程のほかにも不当要求への対応マニュアル、あるいは公益通報に関する要綱を定めるなど、コンプライアンスを推進しておりまして、そういう点では新たな条例の制定は必要ない、このように考えております。

 それから2点目の平和行政の推進でございますけれども、我が国は唯一の被爆国であります。ですから、世界平和に果たす役割は極めて大きいと思っております。私も平和を願う気持ちはだれにも負けません。質問者にも多分負けないと思います。国民保護計画から見れば、今、本市で暮らす約8,300人の外国人がおられますけれども、これらの皆さんも当然市民であります。ですから、外国人も含めた市民の安全・安心を守るということは、市長であります私の大きな責務だと考えております。

 また、アジアの国々との友好関係というのは、国同士が政治的関係から一時的に緊張関係になるということは、これはあり得ることであります。しかし、そういう中で、都市間の交流、あるいは市民交流、すなわち都市外交とか市民外交とかという言葉もございますけれども、こういったことをさらに深めていく必要があるということは言うまでもありません。ですから、御質問者から先ほどお話がありましたように、昨年、韓国、中国、台湾の3都市と友好都市交流協定も結んだわけでございまして、私どもはこれからも、すべての場面における市民の安全・安心を守る。それから平和な社会の確立に向けた努力は続けてまいります。


◎40番井上睦子議員
市長から答弁をいただきました。平和行政には私と同じぐらい熱い思いがあるということですので、とても期待をしたいと思います。私は、第9条を守って、戦争しない国をこのまま続けていくべきだという立場でありますので、自治体においてもそうした平和行政がきちんと展開されるよう、求めていきたいと思っております。

 次に、政治倫理条例の制定の問題であります。

 市長は、だれからも指摘をされることなく、極めて公明正大に事業を行っていると自信を持って答弁をされました。その答弁を信じたいと思います。であるならば、ぜひ政治倫理条例を制定して、みずからが公正でかつ高潔であるということをこの条例において宣言をするということが、より明解ではないかと思いますが、いかがでしょうか。  だれからも後ろ指を指されることなく、すべての事業において市長が誠心誠意おやりになっているということを、政治倫理の確立ということからも示していくということが必要だと思いますし、議会としてもそういうことが求められていると思います。

 国分寺市は、市長、副市長、教育長、そして市議会議員というふうに、市政の中で自己の利益、自己の地位による影響力が大であるという、職員とは異なった立場の人たちの行動と倫理をきちんと明確に宣言をするこの条例が私は必要だと思いますので、市長が自信を持っているのであればこそ、この条例の制定をぜひ強く求めたいと思いますが、再度御答弁をいただきたいと思います。


◎黒須隆一市長
国分寺の例をお話しされましたけれども、国分寺は国分寺の事情があったんじゃなかろうかというふうに私は思います。  どんな条例をつくっても、悪いことをする人は悪いことをするんですよ。ですから、条例をつくればそれですべて解決するというものではないんです。私どもは、議員の皆さんも含めてですけれども、日々の行動をきちんと市民の皆さんが見られているわけですから、そういう中で公明正大に常に行動をする、このことで私は現状十分だと思っています。