◎40番井上睦子議員
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それでは、2回目の質問を行います。
入札制度の改善の問題です。八王子の場合、下請業者や労働者へのしわ寄せや事故の発生については、契約課の方に報告はない、情報は寄せられていないということでありました。情報は寄せられていないということなので、積極的に情報を収集したならばどういう結果になるのかということもありますので、ぜひこうした問題にも注意をしながら、適正に工事が行われているかどうか、働く人たちへのしわ寄せなり下請業者への赤字転嫁ということが発生していないかどうかということは、今後、注意をしていただきたいと思います。
今、公共工事の品質確保法で総合入札制度の施行導入ということになるわけですが、総合評価制度自体は、1999年の地方自治法の施行令の改正によって、一般競争入札において総合評価方式の導入が可能となっています。これは公共工事だけではなくて、労務提供型の委託業務などにしても、この総合評価方式というのが導入されている自治体がふえてきています。
例えば豊中市では、庁舎清掃業務と障害福祉センターの管理業務について、総合評価方式が採用をされています。価格での評価点は120点、あと、技術面で24点、公共評価ということで56点、計200点であります。価格が120点、あとが80点という配置ですから、価格だけで落札者を決定しないということです。
この技術的な評価の中には、研修制度があるか、あるいは適正な履行を確保するための業務体制があるか、既雇用者に対する継続雇用が保障されているか、あるいは品質ISOの認証がとれているか、自主検査をしているかということで技術的評価をしています。
また、公共評価というところでは、福祉への配慮ということで、これは清掃業務と総合管理業務でありますから、知的障害者の新規の雇用、あるいは知的障害者の雇用を実現するための支援体制、精神障害者の新規雇用、精神障害者の雇用を実現するための支援体制、身体障害者の新規雇用、障害者雇用率、就職困難者の新規雇用、これは野宿者、ホームレスの人たちへの雇用も意図されているものです。そして新規雇用者に対する雇用条件など、各5点と4点で39点、これが福祉への配慮ということで、企業にこうした役割を担わせています。
あと、男女共同参画への評価で4点。これは育児介護休暇・休業制度があるか。あるいは、セクシュアル・ハラスメント防止への取り組みがその企業としてあるか。また、環境への配慮としては、環境への取り組みや低公害車等の導入、再生品の使用をしているかどうかという公共評価をしています。
今、八王子市が公共工事において総合評価を試行導入するということを、私は一歩前進として評価をいたしますが、その発展的な課題として、こうした労務提供型の委託業務に関しても、社会的な評価を含んで、企業の社会的な責任を果たさせていく、あるいは障害者の雇用を促進させていくという意味で、こうした項目を評価点に入れていくということは、今後の入札制度改善の中で大きな取り組みの例となるのではないかというふうに思いますが、こうしたいわゆる政策入札といわれるものについては、行政はどのように評価をしていらっしゃるでしょうか。
数年前、予算等審査特別委員会でこの政策入札の導入について市長と議論をしたときには、まだまだ八王子市内の業者はそこまで至っていないということでありましたけれども、公共工事における入札総合評価が導入される段階になって、これはことしと来年にかけて結果があらわれてくるわけですけれども、その次のステップとして、公共工事だけでなく、委託業務においても、あるいは他の内容においても、この視点をより拡大していくという方向はこれから大切ではないかというふうに思いますが、その点についてお伺いをいたします。
次に、外郭団体の入札状況の把握や、制度改善への取り組みの連携であります。
住都公社に関しては、情報提供がされるという、緩やかな連携があるような答弁でありました。学文ふれあい財団に対しても、そのような連携と情報交換によって外郭団体の入札制度もより改善され、公正な契約制度が実現するように、市からも情報提供をお願いしたいというふうに、これは要望をしておきます。
次に、倫理条例の制定の考え方であります。
担当部長からは、職員の服務規程、あるいは公益通報制度、あるいは不当要求に対するマニュアルということで、職員レベルでの取り組みということが報告されました。私はもう一方で、政治倫理条例、これは議員にも、それから市長初め理事者にもかかわってくる問題でありますけれども、枚方市の談合事件や、数多く発生をしている県レベルでの官製談合から見れば、やはり市長、副市長、教育長、そして議員も含めた政治倫理条例の制定が必要ではないかと思っております。
住宅・都市整備公社の楢原斎場の建設工事について、私は住都公社の評議員でもありますので、評議員会でも指摘をした点でありますけれども、今回の楢原斎場の建築工事では、横瀬・黒須建設共同企業体が6億4,500万円で落札をいたしました。落札率は90.5%、他の3社の落札率は96%、そして97.9%、100%という結果でありました。横瀬・黒須建設共同企業体が90.5%で落札したわけです。あとの3社は、繰り返しますけれども、96%、97.9%、100%という高い率での入札をしているわけです。結果として横瀬・黒須建設共同企業体が落札をしたわけです。
これは市民から見れば、市民の目線で見ればということでありますけれども、兄が発注をして、弟が落札をするという構造はおかしいんじゃないかという素朴な声も届いているわけであります。市の工事平均落札率をも、90.5%というのは上回っているわけであります。
また、4月1日オープンした道の駅八王子滝山の造成工事も黒須建設でありましたが、こうした造成工事も含めた2005年度の黒須建設の公共工事の落札額は3億円を超えています。先ほどから入札制度の改善については報告があり、一定の成果があらわれているということでありました。でも、市民から見れば、何か変だな、おかしいな、いいのかなというような声が聞こえてくることも確かでありますし、それは市長の耳にも届いているかもしれません。
国分寺市の政治倫理条例は、目的として、「この条例は、市政が市民の厳粛な信託に基づくものであることにかんがみ、その担い手たる国分寺市長、副市長及び国分寺市教育委員会教育長並びに国分寺市議会議員が、市民全体の奉仕者としてその人格と倫理の向上に努め、いやしくも自己の地位による影響力を不正に行使して、自己の利益を図らないことを市民に宣言するとともに、市長等及び議員が職務を遂行する上での公正性及び高潔性を実証するために必要な措置を定め、あわせて市民も市政の主権者としての認識と自覚のもとに、公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする」として制定をされております。
そして、市長等及び議員の政治倫理基準というものが6項目にわたって記されております。市長等及び議員は、市民全体の奉仕者として品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関し不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないことのほか、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならないとして、いかなる金品も授受しないこと、あるいは、市が資本金の2分の1以上を出資している法人を、市が行う工事等の請負契約、業務委託契約、物品納入契約その他の契約及び指定管理者の指定に関して特定の業者を推薦し、又は紹介する等しないこと。あるいは、市職員等の採用に関して推薦又は紹介をしないこと。市職員等の昇格、異動等の人事について関与しないこと。あるいは、政治活動に関して会社、労働組合、職員団体その他から寄附等を受けないこと。その後援団体についても政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄附等を受けないことというふうに、政治倫理基準6項目を定めています。
そして、兼業や兼職報告書の提出を定め、政治倫理審査会の設置をしております。
また、市が行う契約等に関する遵守事項として、市長等及び議員が役員をしている継続的に一定の収益事業を行っている法人、その他の団体並びに市長等及び議員が実質的に経営又は運営に携わっている法人等は、市が行う工事等の請負契約、業務委託契約及び物品納入契約並びに指定管理者の指定を辞退し、その届を提出しなければならないというふうに規定をしておりまして、その実質的に経営又は運営に携わっている法人の内容として、市長等及び議員が資本金その他これらに準ずるものの3分の1以上を出資している法人等、市長等及び議員が年額300万円以上の報酬を受領している法人等、市長等及び議員がその経営方針に関与している法人等を指しています。
また、市長等及び議員の配偶者、2親等以内又は同居の親族が役員をしている法人等は、市が行う契約等を辞退するよう努めるものとするというふうにされておりまして、これは市が行う契約等に関する遵守事項としては6項目にわたって規定をされております。4項目以降は手続の問題でありますけれども、このように市民に疑惑の念を持たれないように、市長及び議員がみずからの倫理性を高めて行動していくということは、今の時代、必要なのではないかと思います。
市長は、みずからの倫理を向上させていく、もちろん高い倫理をお持ちなわけでありますけれども、それを市民に宣言をする。そして市の行政が、議会もあわせてですけれども、公正性及び高潔性を実証するあかしとして、政治倫理条例の制定をこうした内容でするということについては、どのようにお考えでしょうか。市民に対してみずからの高潔性と倫理性の高さというのを、各地域で談合が起きている中で示していくということが必要なのではないかと思います。
それは指定管理者の導入選定の際にも、私も議員がかかわる法人等に対して契約をするということについても問題提起をしてきました。これは市長のみならず、議員自身も身をたださなければならないことでありますけれども、こうした談合事件が続発する中で、八王子は幸いにして今のところ成果があったという報告なわけでありますけれども、談合事件が発覚するのは2、3年後というのが今までの他市の事例でもあります。私たちは、みずからが倫理性を高めるという決意を示すためにも、こうした条例の制定が必要だというふうに思っておりますが、お考えをお聞きしたいと思います。
次に、国民保護計画についてであります。
幾つかお聞きしたいと思うんですが、例えば鳥取県の問題で、人権の尊重と侵害排除というところで、県民が避難するために県道を使用したい。しかし、侵害排除のために自衛隊と米軍が県道を使用したいということが競合した場合、このことはまだ解決されていないわけです。市民が避難をする場所に自衛隊が作戦展開のために入ってくることはないんじゃないかという予想ではなくて、厳密に、そのことがどういうふうになるのかということは、法的にも調べていただきたい。想像ではなく、きちんと調べていただきたいと思います。
それから、外国人の問題です。例えば中国で反日というようなデモが起きれば、日本に住んでいる中国の人たちは極めて不安感を持つわけですね。日本と中国の関係がよくなければ、日本にいる中国の人たちは、中国語を話すことも少しためらわれるというような雰囲気が今の日本にもあるわけです。そして、在日朝鮮人の人についてもそういう雰囲気があるということはおわかりになると思います。これが戦争になったときに、どの国かということはわかりませんけれども、ある国が攻めてきた。でも、そこの国の人たちが日本の国内でどのような気持ちで過ごすかということは想像ができます。
一方で、侵害排除あるいは治安の面から、その国の在住の人たちの外国人登録の情報を提供せよというふうに政府なり他の機関から自治体に提供を求められたときに、基本的人権の尊重という立場であれば、これは情報提供をしてはいけないというのが自治体の立場だというふうに思うわけですが、先ほどの部長の答弁では、状況の判断の中で考えるということでありました。
しかし、過去の戦争の例を見てみれば、何の危害を加えない人たちが人権を侵害されたという歴史があるわけですから、そういったことも想定して、国民保護計画というのは何なのかということをぜひ考えていただきたいし、実際そういうことが可能なのかどうか。もし万が一、最悪の事態が起こった場合には、それは情報提供しない、その人たちも市民として守るという決意が行政側になければならないと思うわけですが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
最後に市長にお伺いいたしますけれども、国民保護計画が発動しないという事態が一番いいわけです。平和で、他国との協調がされている社会が一番いいわけで、そのためには平和行政を推進していくということが一番重要なのだと思います。八王子市も昨年、アジアの3都市と友好都市交流の締結を結び、ことしはもう既に韓国の子どもたちとのスポーツ交流というのがホームページにも掲載されておりました。一番身近な国々と平和的な視点で友好交流を進めていく、あるいは市内にあっても平和施策を十分に推進していくということが、一番平和で、国民を保護する、あるいは守っていくということにつながっていくと思いますが、平和行政の推進に対する決意をお伺いしたいと思います。
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