◎【40番井上睦子議員】
土地信託についてお伺いをいたします。

 南大沢の土地信託の問題については、支払い利息の利率の引き下げ、あるいは入居率の向上に努力をされたということは、ここ数年の経過であろうというふうに思います。そういったことには評価をしたいというふうに思います。ただ、残された課題として、信託報酬の料率引き下げについては、これは一貫して信託銀行の方が拒否をしておりまして、実現をされておりません。昨年の答弁では、他の質問者も紹介をしましたように、利息の利率の引き下げにシフトするということでありましたけれども、信託報酬の引き下げの交渉については、打ち切るのではなくて、これもまた継続をしていくということでありました。昨年1年間、信託報酬の料率引き下げについてどのような議論があって、交渉があったのかということをお示しいただきたいと思います。

 なぜならば、やはり100分の24という料率が変わっておりません。これは、この事業が提案があったときに、毎年5億円の配当金が見込まれるということの中で100分の24の料率も決定をしていったわけです。しかし、現実にはそのような信託配当は今のところ、この15年間ゼロでありますから、今年度もゼロの見通しでありますから、極めて信託銀行の方の努力がされていないと、経済情勢はあったとしても、やはり信託銀行がどのようにこの問題の責任をとるのかということが問われているというふうに思いますので、引き続き信託報酬の料率引き下げについては市は交渉すべきだというふうに思いますが、交渉の経過と今後の方向性についてまずお答えください。

 そして、修繕計画についてであります。

 昨年の答弁では、昨年度、外壁の劣化の調査をして、一気に負担とならないような修繕計画をつくると。その修繕計画は18年度に策定をするということでありました。この修繕計画に基づいて19年度の事業計画の内容に出てきたのかなというふうに思いますが、この修繕計画というのは策定をされているのか、策定をされているとすればどのくらいの長期的なスパンで策定をされているのか、お示しいただきたいというふうに思いますし、修繕費の全体像が以前の答弁では55億円、そのうち、毎年積み立てておりますから、現在までの積立金と今後の積立額の計画、その辺もこの修繕計画とあわせて立てられているのならお示しをいただきたいと思います。

 3点目は、長期計画についてであります。

 今、5年先を見越した中期計画というのは、外部監査の指摘によって作成をされ、私どもにも提供されるようになりました。しかし、契約の第26条第3項では、契約書の中に、翌年度計画以降の事業計画を信託銀行側は市に対して報告をしなければいけないということになっていて、中期計画だけではなくて、長期計画、30年、信託期間が終わる最終年度までそれを出さなければいけないという契約になっております。しかし、これは、信託銀行側はこの契約書について履行していないわけです。このことについては、昨年の答弁では、信託銀行側が拒否をしていると。経済情勢が変動するので、そのような長期的なものはつくれないというふうに拒否をしているという答弁でありました。田中副市長は、長期計画の必要性についても理解はできるので求めていくというのが最終的な答弁でありましたので、このことについても、この1年間どのような交渉がされてきたのか、明らかにしていただきたいと思います。


◎田沼正輝財務部長
まず、信託報酬の件でございます。  この改定につきましては、実務的なものも含めまして、たび重なる協議にもかかわらず、残念ながら実現に至っておりませんが、この協議の中で御指摘の借入金の優遇利率の考え方を引き出すことができまして、いわば粘り強く交渉したことで市にとって向上してきたというふうに考えております。

 それから、修繕計画につきましては、5年間の計画がございます。この計画の上では、修繕積立金、現行9億1,400万円ございますが、今後その5年間の中で積立金として4億1,000万円を見込んでおりまして、当初計画の55億円に向けて引き続き努力をしていきたいというふうに考えております。

 それから、長期計画につきましては、みずほ信託銀行と協議を行う中では、この信託事業は30年にも及ぶことから、社会経済情勢など不透明な部分が多くあって、そのことで計画的にも影響を及ぼすことがあるため、現状では将来を見据えた確固とした計画策定は難しいというふうな協議の結果になっているところでございます。


◎40番井上睦子議員
信託報酬の料率引き下げと借入金の利率の引き下げ、リンクをさせながら交渉してきたということで、借入金の方の成果が出ているという答弁でありましたけれども、信託報酬の料率についても、信託銀行の責任を明らかにさせるという意味で、ぜひ八王子市としては粘り強くこの料率引き下げについても交渉していただきたいというふうに思いますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。

 公共施設の方の賃料4,000円というのは、当初計画から変わらないわけです。民間の賃料を同じ4,000円のレベルであったものを2,700円に下げて入居率をアップする努力をしてきているわけですけれども、他方考えれば、公共施設の賃料によって信託報酬を信託銀行側はこの15年間得てきているということにもなるわけです。また、その信託銀行から借り入れた利息を払いながら、信託銀行は経済の変動があったとしても痛みはそんなに受けていないわけですね。したがって、やはり信託報酬の料率引き下げということは、八王子市が求めるということは根拠のある話だというふうに思いますので、ぜひ引き続き努力をお願いしたいと思いますが、その点についてお考えをお示しください。

 それから、修繕計画は5年間の計画だということです。この5年間の中で約13億円の修繕積立金がされるということでありますけれども、もう15年、信託期間が過ぎておりまして、じゃあ、後半の15年で残りの40億円近くを積み立てられるのかどうか、途中で小さな修繕を積み重ねていっておりますから50億円ぴったりになるかどうかわかりませんけれども、しかし、後半に修繕積立金をするということの負担が大変大きくなってくるのではないかというふうに思いますが、その前半の15年で13億円、後半で約40億円というような金額を考えれば、後半の修繕積立金の負担が極めて過大であって、今後の計画にも大きな影響を及ぼすのではないかというふうに思いますが、その点の見通しをどのように立てていらっしゃるのか、伺いたいと思います。

 あわせて、長期計画についてです。

 30年間に及ぶ長期の計画なので予測が困難であるというのが信託銀行の言い分なのか、それとも八王子市の言い分なのか、そこは明らかにしていただきたいと思うのです。  そうしますと、そもそもこの30年間の信託契約というのが成立をしなくなるわけですね。当初提案をされたのは、毎年5億円の配当があり、そして30年の信託後には一定の利益と土地と建物が八王子市のものになるという、八王子市と、それから信託銀行側の計画書をもって合意したわけで、今になって経済的な変動があるからこれ以降の計画はつくれませんというのは、みずからが行っている事業の計画性を──当初ですよ、提案したものを全く否定する、そして信託制度自体を否定する考え方ではないかというふうに思います。

 信託銀行側が極めて時々によって言葉を使い分けるといいますか、理由を使い分けるというのは、決して八王子市は許してはならないというふうに思うんです。やはり財政、あるいは経済的なある意味では専門家集団なわけですから、幾つかのパターンの中で長期計画を示すということは可能だというふうに思いますし、同時に、修繕積立金の問題にしても、後半かなりの負担になってくるということがあれば、なおさら30年間の長期計画というのを出す必要があるというふうに思います。その場しのぎでやるということではなくて、きちんと信託側にその責任を求めるという強い姿勢が必要だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

 先ほど市長は、住都公社の川口地区の開発について、財政計画、財政見通しのできない計画なのでやらないんだ、それは私の姿勢だというふうにおっしゃいました。であるならば、この信託の問題についても、きちんと将来どのようになるのかということを明らかにさせるという姿勢は貫かなければならないというふうに思いますけれども、その点についてお伺いをいたします。


◎田沼正輝財務部長


 まず、信託報酬につきましては、これはもう実務的なものも含めて引き続き交渉をしているところでございます。

 それから、修繕積立金の関係でございますけども、18年度、信託利益が増加をしたということで、2億円を超える修繕積立金を確保することができました。積立金は、先ほど御説明したとおり、9億1,400万円となっておりますが、今後も信託収益の増加と経費節減を図りまして、当初計画の55億円を積み立てができるように努力をしていきたいというふうに思っております。

 それから、長期計画につきましては、これはみずほ信託銀行と八王子市との協議の中で、なかなか経済情勢を読み切れないということがあって、特に金利の動向も傾向は読めても実勢をきちんととらえることは難しいということがございまして、双方協議の中で計画の策定はなかなか困難であるという結論になっているところでございます。


◎40番井上睦子議員


 それでは、長期計画の策定については、長期計画を策定しなくてもいいということを八王子としても承認をしたということでしょうか。信託銀行側の言い分としてあるならば、それはそれで八王子市として長期計画の策定について求めなければならないと思いますが、八王子市もそのことを承諾したとなると、話としては私はおかしいのではないかと思うんです。

 当初計画としては、30年間で計画の提案があったわけです。外部監査でも、中長期計画についてはきちんと出させるようにという指摘があるわけです。そして、市長はすべての事業において財政計画なり見通しというものを持って事業は行うという姿勢がある中で、後半、あと15年になるわけですけれども、そこの部分の見通しを出さなくてもいいというふうに八王子市が判断するのは誤りではないかというふうに思います。やはり幾つかのパターンがあるとするならば、その幅のある中できちんと長期計画の内容を出させていくという姿勢が八王子市に求められるというふうに思いますが、その点について担当の理事者の方はどのようにお考えでしょうか。今後、八王子市はどのように信託銀行側と長期計画の策定について協議をしていくのか、それとも出さなくてもいいということで協議は打ち切っていくのか、明らかにしていただきたいと思います。


◎田中正美副市長


 土地信託事業につきましては、毎年この第2回定例会において信託報酬、あるいは家賃などを含めて質疑を重ねてまいりました。昨年は私みずからも信託銀行側の方に足を運んで、先ほど担当部長から御答弁を申し上げたような結果となったわけでございます。特に信託報酬の料率引き下げについては、私の力が不足していたのか、それとも信託銀行側の努力が足らなかったのか、いずれにしても、これについては、これからも双方が努力をしていかなければいけない、そういう課題だというふうに認識をしております。

 お尋ねの長期計画の策定でございますけれども、昨年と同様、その必要性というものは、御質問者の御意見というものは理解をしておりますけれども、社会経済情勢が不透明なことから予測の域を超えない計画書にならざるを得ない、このことも、信託銀行側の方が慎重にならざるを得ないというところは、私の方もまたこれについても理解できるところでございますので、現在のところは5年の中期計画、やむを得ないというのが私の判断でございますけれども、御質問者の御意見もございますし、その辺のことも受けとめて、今後、信託側の方ともこの件についても調整をしてまいりたいというふうに思っております。