◎【40番井上睦子議員】
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それでは、発言通告に基づきまして一般質問を行います。
まず、墓地開発の抑制についてお伺いをいたします。
4月から新しい墓地条例が施行されています。この墓地条例は、墓地を経営することができる宗教法人の資格や、説明対象範囲を拡大するなど、以前の都条例に比べて一定強化をされたものになっています。私は、墓地開発について近隣住民からの強い反対があり、かつ良好な緑の丘陵地を破壊をするという点からも、一貫をして墓地開発の抑制を求めてまいりました。新条例制定から余り日がたっていませんけれども、現在どのように運用されているのか、課題は何かについて質問をいたします。
まず、墓地開発のためには、申請前の協議や住民との合意形成への努力など、多くのハードルを課した条例だと、第1回定例会では市側から説明や答弁がありました。条例制定時には、3ヵ所の墓地開発について、住民との紛争、住民からの根強い反対の運動があり、まだ説明会が終了していないという状況でありました。また、この3ヵ所とは別に、新条例が制定された後、現在第6条に規定をされた新規墓地開発の申請前の協議は現在行われているのかどうか、相談があるのかどうか、そのことについて明らかにしていただきたいと思います。
新条例の第8条は説明会の開催をうたっていますが、説明は何をもって終了とみなすのか。保健所が説明会が終了したというふうに判断をするのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
条例制定時に3ヵ所の地域で住民との墓地開発が問題になっておりましたが、1ヵ所は3月時点では説明会が終了はしていないという判断であったものが、条例の本格施行を前に説明会を終了するというような判断が市側からされました。この第8条の説明の開催とその終了についてお答えをいただきたいというふうに思います。
条例第9条2項は、近隣住民等の申し出について、市長が正当な理由があると認めたとき、申請予定者は近隣住民と協議をしなければならない。「この場合において、申請予定者は近隣住民等の理解を得るよう努めるものとする。」と定めています。この部分は、私が条例審議のときにも最もこだわった点であります。この近隣住民との協議によって「理解を得るよう努めるものとする。」という努力義務規定でありますけれども、十分にこれを実質化するために、市は申請予定者に対してどのような指導と対応を行うのかお答えをいただきたいと思います。
さらに協議についての報告は事業者側から提出をされますが、その報告内容についての検証はどのように行うのか伺います。
また、協議終了は何をもって判断をし、協議不成立の場合、市は申請予定者に対してどのような対応をとるのかお伺いをいたします。
協議に入るということは、先ほども申し上げましたように、市長が正当な理由があるというふうに近隣住民等の意見の申し出を認めた場合に協議に入るわけでありますから、事業者側が近隣住民の意見の申し出に対して誠意ある対応をとらなかった場合、市はどのような指導なり対応をするのかということを明確にしていただきたいと思います。
新年度に入って、2つの墓地に関する請願が提出をされました。1件については、全会一致で採択をされております。請願には、墓地が住宅地に隣接することによる弊害や環境悪化への懸念が記され、もう1件には、明確に墓地開発には反対であるという請願の趣旨がうたわれております。こうした請願が提出される事実というものを、新条例ができた後にもかかわらず、ある意味で墓地開発を抑制をし宗教法人等の資格や手続等かなりハードルを高くしたにもかかわらず、住民側の不安が消えないという問題についてどう考えているのかお伺いをしたいと思います。
以前にも墓地の面積や墓基数について質問をしたことがありますが、市として正確な数値を持ち合わせておりませんでした。改めて市全体に占める墓地面積あるいは墓基数、そして、墓地を経営する宗教法人等の数やその宗教法人が保有する墓地面積等、調査が進んでおりましたら明らかにしていただきたいと思います。
次に、墓地と都市計画との関係についてであります。都市計画マスタープランでは、市街化調整区域の保全を行い、市街化調整区域の開発は規制をするということになっておりますけれども、現実には墓地開発が可能であります。宅地造成法や東京都の自然保護条例に課されたさまざまな制約をクリアをしていけば、これは墓地が開発をされることになります。これは、まちづくりの理念と政策が一致をせず矛盾をしていると言えます。
また、市街地内でも、市街地の緑を守ろうとして緑地の公有化をミニ公募債を充てて行いましたけれども、これは中野山王の場合ですが、隣地の緑地は墓地開発をされるという現実であります。これも市街地の緑を守ろうとして保全をする一方で開発がされてしまう。開発に対しても市側は具体的な──これは条例制定以前でありますけれども、手を打てなかったということが現実には進行してしまいました。これもまちづくりの理念とは矛盾をしていることであります。都市計画法で、またあるいはその関連する法や条例で都市計画マスタープランやまちづくりの方針に合った墓地の開発の規制や抑制をかけたりすることはできないのかお伺いをいたします。
厚生労働省が出している墓地経営管理の指針の中では、都市計画の中で墓地について配慮されることも重要であるとして、都市計画法では都市計画で定める都市施設として墓園が位置づけられており、墓地埋葬法第11条第1項にも、都市計画法第9条の認可をもって許可があったものとみなす旨の両法の調整規定が置かれているというふうに記されておりまして、都市計画の中で墓地について配慮されるということを求めておりますけれども、こうした墓地開発について、都市計画の手法をもって規制、抑制をしていくということは可能なのかお伺いをいたします。
次に、命と健康を守るために、後期高齢者医療制度及び特定健診・保健指導についてお伺いをいたします。
日本医師会のホームページのトップでは、現在上映中のマイケル・ムーア監督のアメリカ医療の実態を描いた「シッコ」を日本の医療改革に警鐘を鳴らす映画として紹介をしています。その理由を日本の医療の方向性がアメリカ型の市場原理主義に基づく医療民営化路線に限りなく近いからだと指摘をしています。2006年の医療制度改革は、医療費抑制、削減の目的から、昨年の10月からは現役並みに所得のある70歳以上の高齢者の医療費窓口負担を2割から3割に引き上げ、70歳以上の療養型病床に入院をしている患者の食費や住居費を全額自己負担するなど、高齢者への負担の増加を強いてきました。
来年4月から実施をされる後期高齢者医療制度や特定健診、保健指導についても負担の増大、あるいは必要な医療や健診を受けられるのかなどの問題が山積をしています。市民の命と健康を守るために、自治体は何をなすべきかという立場から質問をいたします。
まず、75歳以上のすべての高齢者から保険料を徴収する後期高齢者医療制度についてであります。先日の質疑では、保険料が調整交付金の割合によって年額9万6,000円から15万5,000円になることが明らかになりました。これは、法案審議のとき、厚労省が試算として示した年間7万4,400円を大幅に上回る保険料となっています。それでは、現在国保に加入をしている年金収入240万円の高齢者の場合、後期高齢者医療制度に移行するとどの程度の負担増となるのか。国保税と後期高齢者医療制度における保険料について、それぞれお示しください。
保険料は、子どもの健康保険に入っているなどの被用者保険の扶養家族は今まで負担がありませんでしたが、新たに保険料を徴収されるようになります。激変緩和策として、2年間は均等割の半額が軽減をされ、所得割は免除をされるようになります。また、低所得者に対しては、均等割部分を7割、5割、2割軽減をするという対策がとられるということが言われています。このような保険料の軽減策が2つの手法によってとられますが、他に広域連合独自の保険料軽減、減免策は可能なのでしょうか。
例えば東京都と各市町村から一般財源を投入して、高齢者の生活実態に沿った保険料の設定や各種の減免規定を設けるなど、弾力的な制度運営が法上可能なのかお伺いをいたします。
広域連合独自の軽減、減免制度が可能である場合、国からの調整交付金の減額などといった手法で、ペナルティや制裁措置が科せられるのかお答えをいただきたいと思います。
さらに、東京都広域連合では、保険料が厚労省が示した試算より大幅に上回り、急激な保険料の負担の増加となること、高齢者の生活を圧迫しかねないことなどから、独自の軽減や減免策についてどのような議論がされているのかお伺いをいたします。
保険料は年金月額1万5,000円以上の高齢者については年金からの天引きとなります。1万5,000円以下の高齢者については、口座振替など現金で払う普通徴収となります。普通徴収となるのは、大半が所得の低い層だと言えます。4ヵ月以上の保険料滞納で保険証が取り上げられ短期被保険者証が、そして、1年以上の滞納で資格証明書が発行され、患者の窓口負担が10割負担となります。資格証明書の発行から1年6ヵ月滞納した場合、保険給付が一時差しとめられ、無保険者となります。資格証明書の発行は、窓口での負担が10割となり、実質的に医療を受けられなくなるということになります。これは、命にかかわる問題にもなってまいります。こうした制度は、高齢者にとってとても冷酷な制度ではないのかお伺いをいたします。
あわせて、現行では、70歳以上の高齢者に対しては資格証明書は発行をしていません。その理由についてもお答えください。
保険料の徴収は各自治体が行い、広域連合に納入することになります。自治体の保険料の滞納率や資格証明書を発行しないということに対して、広域連合から、あるいは国からのペナルティはあるのかお伺いをいたします。
医療機関に支払われる診療報酬は、74歳以下の人より診療報酬を引き下げ、受けられる医療を制限する包括定額制となると言われています。後期高齢者医療の新たな診療報酬の体系はどのようになるのか、国の動向についてお伺いをいたします。
さらに、この新たな診療報酬について、日本医師会は、脳卒中や心筋梗塞、がんなどの急性期治療は出来高払いとして、個々の病態を配慮しない画一的な方式に陥らないようにすべきだと提言をしています。国の示す別立ての診療報酬で高齢者に真に必要な医療は確保されると市は考えるのかお伺いをいたします。
次に、特定健診・保健指導についてお聞きします。これまで市が行ってきた老人保健法による基本健康診査は、40歳以上のすべての市民を対象として、疾病の早期発見、早期治療の実績を重ねてきました。来年4月から、この基本健康診査は、高齢者医療法に基づいて国保や健保などの保険者を事業実施主体とする特定健診へと変更されます。現行のサービス水準を後退させずに実施されるのか、以下の点についてお聞きをいたします。
まず、特定健診は実施主体が医療保険者となりますので、市が実施する特定健診の受診者は国保の加入者となります。そこで、生活保護者など保険未加入者や75歳以上の後期高齢者、また国保税滞納者の健診はどのようになるのかお聞きをいたします。
さらに、健保組合の被扶養者、サラリーマンの妻などは、国保が実施する特定健診を受診できるなど、健診を受けやすい環境をどのようにつくっていくのかについてもお答えください。
基本健康診査はこれまで無料で行われてきましたが、特定健診では自己負担を求めるのでしょうか。自己負担は受診抑制につながり、基本健康診査と同様無料で実施をすべきだと考えますが、お答えください。
財政負担についてでありますけれども、基本健診と特定健診の単価をお聞きをいたします。後期高齢者医療制度の発足や特定健診、保健指導の実施による国保財政への影響についてはどのように試算をされているのか明らかにしてください。
次に、健診項目についてでありますけれども、基本健康診査では実施をし、特定健診では行わない検査項目について明らかにしてください。
特定健診は、糖尿病を中心とする生活習慣予防に特化をした健診だと言われています。従来の基本健康診査との整合性を図る必要があります。疾病予防、早期発見のためのターゲットは生活習慣病に限定されるものではありません。そのため、従来行われていた検査項目については特定健診に上乗せをし、市の責任で実施をすることが必要だと考えますが、市の見解をお伺いをいたします。
健診業者が、特定健診、保健指導はビッグビジネスチャンスだとして積極的な動きをしていると聞きます。特定健診の実施機関、また保健指導の内容と実施機関についても明らかにしていただきたいと思います。
以上で1回目の質問を終わります。
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