◎【40番井上睦子議員】
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それでは、圏央道工事とその影響について、まずお伺いをいたします。
昨日、相武国道事務所より、八王子城跡トンネルの水位の観測データが示されました。2005年10月19日にトンネル拡幅掘削工事の開始に伴って、水位は315メートルまで下がり、御主殿の滝がれは2005年5月中旬から昨年12月までに14回、1月、2月、3月、6月、7月とことしになっては5回、計19回も滝がれがまだ起きています。御主殿の滝の水の復活、そして国史跡の完全な原状回復については、市長や教育長、それぞれ国土交通省に対して強い働きかけをいただきながら、今日まで御努力をされてきたというふうに思います。
国土交通省は、ことし2月、水位は上昇し始め、4月22日段階で331メートルまで上昇し、約5割回復したと発表しています。これが市民団体の方が国土交通省が発表した数値をもとに集計をした表でありますけれども、このオレンジの線が観測孔の水位です。この段階は、平成11年で文化庁が八王子城跡トンネルの工事について許可をした段階、351メートルの水位です。これが2005年10月の掘削によって345メートルから315メートルまで30メートル、水位が急激に落ちました。そして、ことしの2月になるまで315メートルという水位が続いたわけです。この期間に滝がれが十数回も起きています。
この問題について、滝がれの原因究明と、原状回復ということで、昨年の議会でも数多くの議員が質問をしてまいりました。その結果、止水工事の完全な履行、そして、そうした覆工工事を教育委員会としても求めてまいりましたが、ことしの2月ごろから徐々に水位は上昇し始め、現在では338メートルの段階まで戻ったというのが国土交通省の昨日のデータであります。
しかし、徐々に戻ると言いながらも、この2、3ヵ月間は338メートル前後を上下しておりまして、いつ、文化庁が認可をした351メートルまでに戻るのかということが今後の課題だとなっております。徐々に戻ってはおりましたけれども、ここで足踏み状態の状況であって、完全に351メートルまで回復するのだろうかという心配がとてもあるわけであります。
そこでお伺いいたしますけれども、文化庁が同意をした351メートルの水位まで回復するために、市教委は昨年12月の第4回定例会以降、これは多くの議員が質問をいたしましたが、その後、どのように相武国道事務所、国土交通省に対して対応してきたのか。昨年6月22日に教育長は、原因の特定や原状回復など3点の対策を求めてきましたけれども、具体的にどのような対応をとり、国土交通省の回答についてはどのようなものであったのか、お伺いをいたします。
先ほどもデータで示しましたように、11月28日、一昨日発表のデータによると、観測孔の水位は338メートルと、前回のデータよりもまた1メートル下がっている傾向にあり、決して回復傾向にあるとは言いがたいと言えます。国土交通省からは、完全に水位が回復する時期、すなわち351メートルに戻る時期について具体的な回答が来ているのかどうか、お伺いをいたします。
昨年の第3回定例会では、教育長は6月22日の依頼文に対して、国土交通省の対応は十分ではない。原因究明など期待した内容になっていないと答弁をしておりますけれども、ことし07年の対応はどのように評価をしているのか、お伺いをいたします。
市長は昨年の9月議会で、トンネル工事が原因で滝がれが起きていることは明確だと答弁をされました。また、ことしの6月15日に出された高尾山トンネル工事の差しとめなどを求めた民事訴訟の判決でも、滝がれについては工事の影響と追認されております。
ことしの5月7日、相武国道事務所長から市長に対して中間報告がされました。このとき、国土交通省からは、滝がれの原因について、市長に対する何らかの説明や言及があったのか、お伺いをいたします。
国土交通省は従前より、雨が降らない期間が続くと、この城山川や御主殿の滝は地表面の水が見えなくなるというようなことで、トンネルの工事と滝がれの原因については、原因がない、あるいは原因はそこにはないというようなことの考え方だったというふうに思います。市長と国土交通省の考えは異なりますけれども、5月7日、その説明のあった時点では、原因についてどのような議論と報告があったのか、お知らせいただきたいと思います。
八王子城跡トンネル工事だけでなく、城山八王子トンネル工事、高尾山トンネル工事についても、沢がれなどの異変が起きております。大変心配であります。
6月、城山八王子トンネルの上流を流れる榎窪川の一部で水がれが起こり、国土交通省もまた市民団体の皆さんもそれを確認をしています。私も昨日、現地を見てまいりましたけれども、現在も給水装置があり、スプリンクラーが取りつけられています。新聞報道では、国土交通省もトンネル掘削工事の影響と認め、地下水の流出をとめる止水工事が間もなく完了するので、影響はなくなるというのが6月時点の報道でありました。市はこの沢がれの実態や止水対策の実施についてどのように把握をしているのか、お示しください。
また、これは城山八王子トンネル工事の問題でありますけれども、地下水の観測データについて提供を受けて、その水位の変化を把握しているのかどうか、お示しください。
次に、高尾山トンネル工事についてであります。大変心配をし、そして高尾山は守りたいという私たちの思いもむなしく、残念ながらトンネル工事が始まりました。先ほども議会の中では、高尾山がミシュランの三つ星に選ばれて、高尾山の価値というものが観光面でも高い評価があるというようなことでありましたけれども、高尾山の価値というのはそういうことではなくて、豊かな動植物、水環境というものだというふうに思います。もし、このトンネル工事によって水環境に大きな変化が起こるならば、高尾山がミシュランの三つ星を維持できるかどうかということもわからないのではないでしょうか。八王子城跡トンネルではいまだに水位が上がらない状況の中で、高尾山のトンネル工事、本当に心配であります。
そこでお伺いいたしますけれども、高尾山トンネルの工法、工事による地下水、琵琶滝や蛇滝への影響について、国土交通省から市はどのような説明を受け、高尾山の水環境の保全について市として万全だと判断をしているのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
といいますのは、環境アセスメントに対して八王子市長は、環境アセスメントを尊重して工事をやるようにというふうに国に求めておりますし、貴重な高尾山の自然を守るという役割が八王子市にはあると思うわけです。すべての工法やデータの管理を国土交通省に任せないで、市がきちんと提供を受けて、市自身が判断をしながら、この工事が影響を及ぼさない、あるいは及ぼすというような判断をしながら、この工事については監視をしていかなければならないというふうに思いますが、そのことについてどのような対応をとっているのか、お答えいただきたいと思います。
次に、高尾山トンネル工事の起点の南坑口付近で、10月、沢の水がかれていることを自然保護団体のメンバーが確認しております。沢の状態や流量について、市はどのように把握をしているのか、お聞かせください。
高尾山トンネル工事の区間は、高尾国定公園に指定されているため、東京都より工事の進捗に伴う地下水位の状況については、四半期ごとに多摩環境事務所長に報告することが条件となっています。工事による地下水位の観測体制について、また、データの把握について、先ほどの質問と重なりますけれども、市は国土交通省とどのような協議をしているのか、お聞きをいたします。
次に、多民族共生教育の実現について、お聞きいたします。
ことし7月、外国人市民会議から提言書が出されました。提言は、外国人市民会議設置の目的を、外国人を支援の対象としてとらえるだけでなく、地域を担うパートナーとして受けとめ、外国人が地域で主体的に活動し、自己実現できるまちづくりを進めることだとしています。
提言は、子どもの教育の問題に焦点を当て、学校教育についての多様な言語による情報提供、日本語の学習支援、そして不就学の子どもへの対応、多文化共生の視点に立った国際理解教育の推進など8項目について14の提言と、早急に取り組むべきものとして、1点目、外国人児童、生徒の支援コーディネーターの設置、2点目として、外国人の当事者グループを活用すること、3点目、外国人に対して窓口での情報発信をすること、4点目、外国人の児童、生徒の教育方針、指導方針の策定の4項目というものを緊急な提言としてまとめています。
この提言は、八王子でも初めて外国人市民も参加し、外国人の子どもたちの教育について行政の行うべきことをまとめたものとして評価をしたいと思います。特に、日本語の習得と学習支援に加えて、第一言語の保持、母国語の保持も大切との考えから、第一言語を用いての教科学習支援や、第一言語を伝え、教えていく支援など、外国人や民族的な少数者の子どもたちのアイデンティティーに応じた教育の提言という点では、大いに評価できるというふうに考えております。
では、市はこの外国人市民会議からの提言をどのように受けとめているのか、お答えください。
また、提言は従来の国際交流、国際協力に加えて、新たな柱として地域における多文化共生を求める国の動きを受け、本市の多文化共生推進プランの策定を求めています。提言を実現するためのプラン策定及びそのスケジュールを明らかにしてください。
さらに、早急に取り組むべき4つの提言についての実施の考え方、また、8項目について14の提言の中で、来年度実現可能なものについてお示しいただきたいと思います。
本市の公立小中学校に通う外国籍の子どもたちは、昨年度、小学校で227名、中学校では67名、今年度は小学校218名、中学校108名と増加をしています。提言では、ここに含まれない日本国籍を有するけれども、外国にルーツを持ち、日本語を第一言語としない児童、生徒も相当数いると思われる。学齢期にありながら、学校教育を受けていない不就学児童、生徒の問題なども存在するとして、外国人と外国にルーツを持つ子どもたちの就学の実態調査を求めています。
文部科学省は、不就学外国人児童、生徒の学習保障事業の一環として、2005年から2006年にかけて、ニューカマーの外国人が多く住む1県11市の自治体に委嘱をして実態調査を行っています。その報告によれば、小中学校の就学年齢にある外国人登録者数9,889人のうち、日本学校に在籍している子どもは60.9%、外国人学校に在籍している子どもは20.5%、不就学者1.1%、連絡がとれなかった者17.5%でした。この連絡がとれなかった者の中に、相当数、不就学の子どもたちが含まれている可能性があると指摘されています。
子どもたちが不就学となった理由は、日本語がわからないから、勉強がわからないから、学校に行くといじめられるから、友達ができないからなどです。不就学によって子どもたちが学ぶ楽しさを知らず、人格の形成が阻害されていくということは、とても大きな問題だと言えます。
また、外国人学校は今、全国で210校とふえています。インターナショナルスクールや中華学校、植民地支配に起因する在日コリアンの子どもたちの通う韓国学校や朝鮮学校、入管法の改定によって90年代以降ふえたブラジル人やペルー人の学校などです。多くが未認可の外国人学校なので、公費の援助がなく、狭い教室や体育館など、教育環境には恵まれず、保護者は学費や交通費の重い負担を負っています。外国人と、外国にルーツを持つ子どもたちの就学の実態調査を行い、日本学校で学んでいても、外国人学校で学んでいても、すべての子どもたちに教育を保障するための課題を明らかにすることが必要ですが、提言も求めている子どもたちの就学状況についての実態調査、そして子どもたちの通う日本学校と外国人学校の実態調査の実施についてお伺いをいたします。
次に、戸吹地区の業務用地についてお伺いをいたします。
いきいき企業支援条例が適用される戸吹北地区の業務用地について、前議会では他の議員から質疑がありましたが、10月24日の都市計画審議会で市街化調整区域から市街化区域へ、用途地域を無指定から準工業地域への変更が承認されています。私は、特定企業に便宜を図る市街化区域への編入や、用途地域の変更は認められないとの立場から反対をいたしました。
そのときの都市計画審議会では、まちづくり計画部長が税の増収について、現在は1,500万円だが、3億1,500万円ふえると答弁し、計3億3,000万円の税収があることを明らかにしました。この金額の根拠と、固定資産税、都市計画税などの内訳を詳細にお答えいただきたいと思います。
また、いきいき企業支援条例の適用によってキャッシュバックされる金額については、事業所の規模などによるとして、その金額は明らかにされませんでした。しかし、条例は税相当額を3年間返金、キャッシュバックをするために、税収が3億3,000万円であれば、企業に還元される金額は9億9,000万円になるのではないでしょうか。キャッシュバックの金額について、ぜひお答えをいただきたいと思います。
また、いきいき企業支援条例の延長についても、市側は答弁で言及いたしました。2009年3月までの時限条例ですが、延長についての考え方と理由についてお答えください。
戸吹地区については、2006年9月7日の経営会議で、整備手法は個人施工の土地区画整理事業、そして都市計画の変更の内容について、また、いきいき企業支援条例の活用という3点が決定されています。経営会議に提出された資料では、06年9月ごろ、権利者準備会設立とあり、都市計画決定前に、また、いきいき企業支援条例の改正前に予定される事業者の会議が立ち上げられるスケジュールとなっています。都市計画審議会で確認したところ、既に権利者準備会は設立されたと答弁がありました。この権利者会はどのような形で設立されたのか。いつごろか。わかったら明らかにしていただきたいと思います。
これは条例改正や都市計画の変更について、特定の事業者の意向が反映されやすい流れと言えます。今回の業務用地によって約3億3,000万円の税収があるとするならば、条例改正によって約10億円の税金が企業に還元されることになります。用途地域の変更によって土地の評価が上がり、そういう利益も企業にもたらすということも決算審査特別委員会では指摘をされております。すなわち、特定事業者のための条例改正や都市計画変更であり、行政の公平性が失われることになるのではないでしょうか。
いきいき企業支援条例を改正する過程での対象事業者との接触、協議などは公平性を欠き、癒着が起きやすいなどの問題をはらんでいるのではないかと考えますが、こうした手法についてどのようにお考えか、お示しください。
9月7日の経営会議では、市の都市計画審議会に諮るまで1年もかかるのかというような発言がありました。戸吹地区の都市計画変更を急ぐというような発言があったわけでありますけれども、この発言はだれで、どのような真意であったのでしょうか。発言者がおられましたら、明らかにしていただきたいと思います。
以上で1回目の質問を終わります。
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