◎【40番井上睦子議員】
行政監査報告についてお伺いをいたします。

 41ページに、関係規定の不整合により生じた交付の必要性について見直しを検討すべきものとして、体育協会の施設使用料補助金とレクリエーション協会の施設使用料補助金について指摘がございます。これは18年度の予算と決算の中では、体育協会については49万円、これは予算ですね。レクリエーション協会については4万4,000円、運動施設の利用料、あるいは市民センターや市民集会所等の使用料を補助対象としたものであるということです。

 これに対して、体育館条例の規則の中には、社会教育関係団体が体育、スポーツ及びレクリエーションを目的として行う行事に使用するときには5割減額という減免規定があるのに対し、運動施設条例の規則には減免規定がないために、競技連盟間に不公平が生じることから補助をしているということであります。

 しかしながら、体育館条例での減免規定と、一方では補助金の交付ということには不整合があるので、この補助金は適切であるとは言えないので、規定の整備をするようにというのが監査の指摘でありますけれども、先ほどの質疑の中でも明らかになったように、2003年度以降、新たな補助金の構築ということで、すべての補助金が見直されてきた経過があります。

 しかしながら、体育協会やレクリエーション協会については、これは施設の有料化が大変な議論となったときに出てきた補助金だというふうに思いますが、それが継続されて支給されている。そうした中で、今回、規定の矛盾ということで監査委員から指摘をされたわけですが、体育協会とレクリエーション協会のみについて使用料の補助金が行われてきた経過と、そして2003年度の新たな構築の中で、これが見直しをされないで継続をしてきた、そういった理由について、まず明らかにしていただきたいと思います。

 2点目には、監査委員は規定の整備をするようにということで求めているわけでありますが、これは補助金としてではなくて、各施設の条例施行規定を減額ができるように新たに求めるというふうに解釈をするわけですが、この提案をどのように受けとめて、今後どのような対応をしていくのかということが2点目。

 3点目は、他の市民活動をやっているさまざまな団体があるわけです。これは有料化のときにも大変問題になりましたが、市民センターや公民館などの施設を使って、今、この2つの協会に属する団体以外の団体も活発な活動を行っているわけですが、そこでもやはり使用料の負担というものは大きな問題となっています。他団体との公平性の問題については、これはどのように現在考えられているのか、その点について明らかにしていただきたいと思います。


◎菊谷文男生涯学習スポーツ部長
まず、補助金の経過でございますが、これにつきましては、平成7年の公共料金の有料化に端を発しているものでございます。今、御質問者もお話にありましたが、当時、この運動施設、滝ガ原等につきましては無料で使用していたわけでございますが、平成7年の有料化の議論を機に、その後、有料化になったということでございます。

 その当時、体育館が既に2分の1減額ということで取り扱いをしておりました。同じスポーツあるいはレクリエーションということの中で、当時の特別委員会の議論の議事録等も拝見させていただきましたが、これとの整合性を図るというようなことで、現在の補助に至っているというものでございます。

 それから、その後の補助金の見直しがあったけれども、この件について見直しされなかったのはどういうことかということでございます。これは、体育協会あるいはレクリエーション協会への補助金につきましては、既に平成13年のあり方検討会の提言を受けまして、廃止をしてございます。今回の補助金につきましては、これは施設の使用料の補助ということで、他の団体等につきましては、これは減額で対応しているというものでございます。

 それから、減額条例についてどう考えるかということでございます。これは監査の指摘もございますので、十分関係所管とも調整を図りながら、対応していきたいというふうに考えております。

 それから、他の団体との公平性が欠けるのではないかというような趣旨の御質問でございますが、体育協会への補助につきましては、たくさんの市民が参加をする全市的な大会に対する補助というものでございます。また、平成7年の議論等でも、連合体への補助は行うが、個別の団体への補助は難しいのではないかというような経過もございます。私どもといたしましては、そういうことからいたしましても、この補助については公平性を欠いているというふうには考えておりません。


◎40番井上睦子議員
体育協会とレクリエーション協会への補助金というのは、有料化に伴っての補助金であったということが経過として話されました。しかしながら、2003年度の新たな制度のもとで、従前のは廃止をしたけれども、また新たに補助金として設定をしたということなんですけれども、目的としては、有料化に起因をしているということで、これは実質的な継続ではなかったのでしょうか。その点は確認をさせていただきたいと思います。

 規定との整備ですけれども、それは各関係所管との整備をするということでありますが、体育館条例の規則の中では、ここにも指摘されているように、市内の社会教育関係団体が体育、スポーツ及びレクリエーションを目的として行う行事に使用するときには5割減額という減免規定。これは逆に言えば、体育協会やレクリエーション協会に加盟している団体以外でも、この規定に合えば5割減額ということになるのではないかと思いますが、その点、確認をさせてください。

 これの規則、規定に合わせるとするならば、他の施設についても、社会教育関係団体というふうに市長によって認められれば、この協会に属していない団体についても減額規定が設けられるということになってくるというふうに思いますが、そのことについて、他団体との公平性ということを考えるならば、そうした体育館の持つ施行規則と同様なものが望ましいというふうに考えますが、どのようにお考えでしょうか。


◎菊谷文男生涯学習スポーツ部長


まず、最初の新たな補助制度ではないかというような御趣旨でございますが、廃止をした補助金につきましては、体育協会の運営、あるいはレクリエーション協会の運営に対する補助だったわけでございます。それにつきましては、先ほど答弁申し上げたように、廃止をしたというものでございます。

 今回、監査から指摘を受けておりますのは、施設の使用料の補助ということでございまして、別のものというふうに私どもは理解をしております。これにつきましては、広範囲な市民がスポーツあるいはレクリエーションに参加をして健康増進等に役立てているということから、補助の趣旨には合致をしているというふうに考えております。

 それから、先ほど体育館条例というお話がございました。確かに、体育館条例では減免の、あるいは減額の範囲を決めてございます。今、全体といたしましては、障害者団体あるいは市が主催をする事業、そういうものに対して減額をとっております。そして、今回の体育協会あるいはレクリエーション協会については、補助という形ではございますが、同じように2分の1ということで対応してございます。今後、さっき御質問者もおっしゃいましたが、ほかの団体にも広げることが可能ではないかということでございますが、この公益性とかを判断いたしますと、これ以上範囲を広げるというふうには考えておりません。


◎40番井上睦子議員


監査の指摘は、条例上の規定整備をしなさい、条例規則の減免規定が整合するよう規定の整備を検討されたいということなわけです。それは、2つの協会に対する規定の整備ということではなくて、他の団体との公平性との観点から、それから体育館条例に記載をされている社会教育関係団体というところで考えるならば、より対象枠は広がるのではないか。そこにもきちんとした規定の公平性といいますか、それを適用しなければいけないのではないかと考えています。

 協会に属するから公益性があるというふうに判断をしていいのかどうかという問題もありますし、それから、市が社会教育関係団体というふうに体育館条例では規定をしているわけですから、そこと同様な規定を他の運動施設や市民集会施設でも規定をすることが、すべての市民に対して公平、平等なのではないかというふうに思いますし、それがある意味で公益性を担保するということにもつながっていくと思います。

 ですから、特定の団体だけが公益的な活動をやっているというふうな、その団体に属さない限り公益性ではないというような認定の仕方というのは、やはりおかしいのではないかということを指摘したいと思いますが、その点についていかがでしょうか。


◎菊谷文男生涯学習スポーツ部長


 これにつきましては、今、社会教育団体という御質問がございましたが、体育館につきましても、体育協会、あるいはレクリエーション協会もそうですが、全体で256団体がこの減額を受けているということもございます。それから、平成7年の有料化の議論の中でも、1つの個別の団体に補助を出すのは好ましくないだろうというような議論もございまして、今日を迎えております。

 これにつきましては、連合体、そういうものを念頭に置きながら補助をするということが適切ではないかと考えております。現在、利用者団体等から、これについての特に不満といいますか、そういうものも私どもは聞いておりませんし、当面は現在の内容でいきたいと思います。

 ただ、監査の指摘がございました内容につきましては、関係所管と調整をして検討をしていきたいというふうに考えております。


◎40番井上睦子議員


それでは、包括外部監査についてお伺いしますが、既に指摘された事項もありますので、何点かについてだけお伺いをいたします。

 まず、全体的に指定管理者にかかわる事務の執行等についてということで、9月、第2回定例会でも監査委員から指定管理者制度の問題点については指摘をされ、今回も包括外部監査人から指摘されていて、この制度全体を今、見直す、再評価をするという時期に来ているのだろうと思います。

 その中で、モニタリングと評価スキルの問題が指摘されております。これも第2回定例会で私も指摘したところですけれども、先ほどの答弁では、全国的な課題であるということで、まだ調査、研究の過程なのかもしれませんけれども、どのように評価をしていくのか。そして、評価のための能力を職員がどうつけていくのかということは課題であるわけですが、今、どの段階まで来ているのかということを明らかにしていただきたいと思いますし、同時に、そのためには、今後何をしなければいけないかということを、この包括外部監査の指摘を受けてどのように考えているかということを明らかにしていただきたいと思います。

 2点目は、労働条件等の問題で、先ほどからお二人の議員からも指摘されましたが、19ページに指摘されている職員の人材育成及び福利厚生等の充実義務の問題についてです。ここで紹介されている一部の地方公共団体の業務水準要求書等で明確に示されている職員の総合的な人材育成計画や研修計画、それから職員の雇用及び労働条件、有給休暇等の付与、福利厚生等の充実に関する要求を検討することを要望するということが出されております、この一部のというのは、千代田区で実施されているということなので、調べてみました。

 千代田区では、指定管理者の導入として、モニタリングの全体像の中の1つとして労働環境が位置づけられています。モニタリングの全体像としては、区としての責任の遂行ということで、これは八王子市もやっておりますが、事業計画の承認や、事業報告、それから月ごとの報告です。

 2点目は、区民、利用者の視点からということで、利用者懇談会の実施と、区民、利用者のアンケートによる声の把握、反映。これは八王子市で言うと満足度調査に値するかもしれません。

 3点目に、これが八王子市でまだ行われていないことで、労働環境にかかわる問題ですが、専門家からのアドバイスとして、施設経営と労働環境について。これは専門家がその指定管理者のところに入っていって、経営財務分析をする、あるいは労働環境についての聞き取り調査をするという3点セットでこのモニタリングが行われています。  やはり重要だと思うのは、この労働環境が充実するということが、一方で市民サービスの向上につながっていくということになりますので、こうした千代田区のモニタリングの制度、特に労働環境に対するシステムというのをどのように評価しているのかということをお聞きしたいと思います。

 先ほどの財政援助団体では、観光協会に対して時間外の労働に対する賃金が未払いであった問題や、社会保険への加入の不備などが指摘されておりました。公共サービスに準ずるもの、あるいは指定管理者は公共サービスでありますから、公平な労働としてきちんと確立していかなければならないと思います。従前の市の対応というのは、労働条件や労働環境の問題に対しては、使用者側と労働者側の関係性によって成り立つものであるから、市は不介入だという姿勢であったわけですが、こうした一部の先進的な自治体の取り組みが監査人からも指摘され、提案している中で、この制度をどのように評価し、今後の導入の方向についてお考えをお聞きしたいと思います。


◎原島一総合政策部長


まず、この指定管理者制度における最大の課題は、事業者が行う業務をいかにチェックして、また、市の責任の範囲を明確にすることだというふうに認識しております。そのためには、モニタリングの精度を高めていくことが課題となってくるわけでございます。

 市の職員がこのモニタリングにどうかかわっていき、そのスキルをどうしていくのかということでございますが、先ほど他の御質問者にもお答えしたとおりではございますけれども、職員には、施設の設置目的の再認識と、市民の視点から施設の管理、運営をチェックする能力が求められているんだと思います。そのためには、先ほど申し上げましたとおり、そのスキルというものは現場において報告書のチェックや実地調査、それから必要な指示、改善を行うことを通して育成されていき、また、それが組織として蓄積されていくことができるというふうに考えております。

 それから、千代田区の労働環境の点検等についてどう評価するかということでございます。本市と比べまして、労働環境点検、あるいは従業員の健康管理等の点検なども実施しておりまして、先行的な自治体だというふうには思いますけれども、ただ、財務分析にいたしましても、こうした労働環境の点検にいたしましても、千代田区の場合にはいずれも専門家に任せている形をとっております。指定管理者制度そのものが第三者、民間に委託するという形で進められておりまして、そのチェック機能もまた第三者に委託することが、本市に果たしていいのか悪いかについては、個人的には今の段階では、私どもとしてできるモニタリングの機能アップというということを目指すべきかなというふうに考えております。


◎40番井上睦子議員


モニタリングや評価のスキルの充実については認識されているようなんですが、具体的な方向性が見えてこないといいますか、例えば学童保育で指摘されているように、2名の担当者がいて、50ヵ所弱の学童保育をきちんと事業評価も含めてできるのかどうかというような課題もあります。現実にはなかなか難しいんじゃないかと思いますね。事務的な作業をやりつつ、すべての学童保育所に対して出向いていってチェックをしていくというのは。その辺、磨かなければいけないとすると、その体制なり何なり、これからの課題は何であるのかということを、実行に向けてもう少し明らかにしていただきたいと思いますし、これは私が従前からずっと指摘していることですが、直営事業が少なくなっていくことに比例して、職員のスキルというのも、その経験がないがゆえに蓄積をされていかないという矛盾が発生するのではないかということを指摘してまいりました。

 その点についてはどのように解決されるのかということをお聞きしたいと思いますし、福祉サービスにおいては、今、東京都の第三者評価というのが各保育園や高齢者施設などでも入っておりますけれども、市はそれを義務化をして指定管理を全施設で結んでいるという状況ではないと思いますが、こうした評価制度も一方で活用することが、サービス内容を点検していく1つの手段にもなると思いますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

 それから、労働環境についてのモニタリングですが、今まで市は労働者と使用者との関係というのは、お互いの関係であって、それに対して市は不介入であるという立場をとってきましたが、千代田区の場合にはそこが、だれがモニタリングをするかによって、それは専門家がするという、社会保険労務士がやっているわけですが、それは市の場合、市の職員がやってもいいというふうに思いますが、これは従来の市の見解よりも一歩踏み込んだ労働環境のモニタリングになっているわけですね。そういった方向性をやるという考えはあるのかどうか。そこを明らかにしていただきたいと思います。

 やるのは市の職員であっても、直営でやるのが、もちろんそういう能力を職員が持てばいいわけでありますから、そこについての、公共サービスにおいて働いても働いても満足に生活ができないというようなワーキングプアの問題というのが、ことしの正月でも朝日新聞などでも指摘をされました。全施設が導入されて経費が3億円浮いたというのは、一方で労働者の賃金が直営に比べて下がっているということのあかしではないかと思いますが、そういった公共サービスにおいて不適切な労働環境ができないように、そこをきちんと守っていくという役割が行政にはあるだろうと思います。こうした提案をされている労働環境のモニタリングについては、実施をするという方向で考えているのかどうか。先ほどの答弁では、やる人が問題なんだということだったんですけれども、実施をするということの方向性があるのかどうか。そこを確認したいと思います。


◎原島一総合政策部長


まず、職員のスキルですけれども、同一の施設に長年従事していれば、そこにスキルの蓄積というのはあるのかもしれませんけれども、必ずしも期間だけではなくて、その施設の管理担当として意識をどう持って対処、あるいはその施設のさらなる活性化を図っていくかということを考えるべきだと思っております。ですから、大基本となるのは職員の意識改革であり、それから利用者の声に耳を傾ける、こういうことだと思っています。

 それから、第三者評価につきましては、利用者の満足度調査だけでなくて、それよりも、より広く意見を求めるということは重要なことかなと考えておりますので、これについては、その方向で検討していきたいと思っています。

 それから、千代田区に絡んだ労働環境の点検の話ですけれども、これは先ほどもお答えしておりますけれども、基本的にはこれは受注者側の課題というふうに考えております。ただ、市民サービスに影響を及ぼすような、そういった労働環境問題等が生じた場合には、これは指示なり指導していくという、こういう立場で考えております。ですから、直ちに、千代田区のように専門家を入れてそういったチェックを行っていくという考え方は、現時点では持ってございません。


◎40番井上睦子議員


労働環境の問題ですが、きちんと包括外部監査人から指摘をされて、1つ、要求水準を出す、労働環境に対する要求書を検討するということについては、それは実施をするということなんでしょうか。だけれども、要求書を出した後に、それが履行されているかどうかということについては確認はしないということになるのでしょうか。その辺がもう少し明らかにしていただきたいと思うわけです。

 労使の中でさまざまな問題点が提起されたときに、市は介入するけれども、事前に入って日常的にそういう労働環境がきちんと保たれているかどうかということに対しては、入らないというのでは、チェックがなかなか行き届かない。それから、労働者側は解雇だとか、いろんな問題もあるわけですから、なかなか声を上げにくいという問題もあって、公共サービスであるからには、市がきちんと最後まで責任を持つという体制として、モニタリングはとても必要だと思いますが、再度、そこのところについて御見解をお聞きしたいと思います。


◎原島一総合政策部長


モニタリングというか、これは業者選定の段階での評価項目として設定するかどうかから始まる話なのかなと思っております。そういう意味では、従業員に対する健康管理の問題ですとか、労働時間の設定の問題ですとか、そういったものというのは評価項目にはなってくる話ですし、そういうことであるならば、途中において受注者の方から報告書を取り寄せ、それが実際にどうであるかについて点検をすることは、これはできる話ですし、必要な場合には現実的にもそういった報告書を徴したりはしているところでございます。その考え方で今後についても対応していくのが今の考え方ということで御理解いただきたいと思います。