◎【40番井上睦子議員】
議員提出議案第3号、在沖縄米軍人による少女暴行事件に関する意見書について、全会派の御賛同をいただいて、提案説明を行います。

 去る2月10日、沖縄県北谷町において、在沖縄米海兵隊キャンプポート所属隊員による女子中学生への暴行事件が発生し、沖縄はもとより、全国に強い衝撃と怒りが広がりました。この事件は13年前の1995年に起こった3人の米兵によって小学生が暴行された痛ましい事件を思い出させるものです。この事件後も米軍人・軍属による犯罪は後を絶ちません。

 この半年でも、昨年10月1日、沖縄市で、米軍人の子弟による強姦致傷事件、10月14日には広島市内における米軍の岩国基地所属の海兵隊4名による未成年の女性集団暴行事件、そして、ことしの1月7日には沖縄市で、米海兵隊員2名によるタクシー強盗致傷事件が起きています。また、この2月10日の事件の後もアメリカ駐日大使が沖縄県知事に謝罪し、被害者と家族に謝罪の手紙を持参して、綱紀粛正を誓ったその後でも、それにもかかわらず、酒酔い運転と家宅侵入罪で米兵が相次ぎ逮捕され、さらに陸軍兵士によるフィリピン女性強姦致傷事件が続いて発生し、市民に不安と恐怖を与え続けています。

 沖縄では1972年の復帰の年から2005年までの33年間で殺人、強盗、強姦などの凶悪事件が543件、暴行、傷害などの粗暴事件が996件、窃盗事件2,748件など、計5,394件の米軍人・軍属による事件が発生しています。その中で強姦事件は120件を超えています。これ以外に表面化しないものも含めると、相当数に上ると言われております。

 女性に対する暴行は、肉体的、精神的苦痛を与えるだけではなく、人間としての尊厳を踏みにじる極めて悪質な犯罪であります。女性の人権を踏みにじる非人道的な行為で、絶対に許すことはできません。

 このような悪質で凶悪な事件が依然として後を絶たないことを考えると、米軍の綱紀粛正や軍人への教育のあり方に疑問を抱かざるを得ません。基地周辺住民や、基地を抱える自治体の受忍限度はとうに超えています。

 3月23日、沖縄県で米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民集会が激しい雨の中で開催されました。その中で、那覇市長は、日米安保体制のひずみを一身に担わざるを得ないことに満身の怒りと理不尽さを感じると発言をしています。沖縄で米軍犯罪が多い理由は、在日米軍の60%が沖縄に集中配備していることにあります。狭い沖縄本島の20%に約4万から5万人の米兵とその家族が、必要な施設を有した基地が占めており、地域住民は基地に隣接をして暮らしています。また、海兵隊が在沖縄米軍の60%から70%を占め、その80%が短期駐留で入れかわる18歳から22歳までの若年兵士であることです。基地との緩衝地帯はなく、入管法の適用除外を受けて、米兵は基地外での自由な行動を保障されているからです。

 したがって、米軍人の綱紀粛正と人権教育の徹底をし、二度と再びこのような事件が繰り返されることのないよう再発防止教育に万全を期すこと。そして、沖縄に過重な負担がかかっている米軍基地の整理縮小、米軍兵力の削減を強く求めるものです。

 2月29日、突然、少女はそっとしておいてほしいと告訴を取り下げました。本人はもとより、家族も大変な苦悩の毎日を送っていると思います。今回の事件が報道された直後から被害者に対する中傷がネット上にあふれ、さらに一部の週刊誌の記事が被害者を苦しめ、看過できない状態にもなっています。事件の被害に加えて、被害者の落ち度を探し、強調する風潮は、少女の安全や安心という心の回復を逆に困難にしています。だからこそ、問題は米軍兵士にあり、被害者の落ち度ではないことを明らかにし、本人の心身の早い回復のためにも被害者家族への謝罪と十分な補償も絶対に不可欠なことです。

 意見書は、国民の人権や生命、財産を守る立場から、2月に起きた少女暴行事件に対し、厳重に抗議し、被害者への謝罪と補償、再発防止教育の徹底、沖縄の米軍基地縮小と兵力の削減の推進を強く求めるものです。

 各議員の御賛同をお願いいたしまして、提案説明を終わります。


◎高木順一議長
提出者の説明は終わりました。
 本案について質疑はありませんか。
                 〔「なし」と呼ぶ者あり〕

質疑なしと認め、進行します。
 本案については討論の通告がありません。
 これより議員提出議案第3号を採決します。
 本案は原案のとおり決定することに御異議ありませんか。
                〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕


◎40番井上睦子議員
前の質問者が詳細に質問されましたので、私は今の答弁の中から疑問に思ったことを何点かお伺いしたいと思います。

 先ほど一般財源化の問題で、国において、与野党においてもきちんと議論して決めてもらいたいというのが提案者の御意見のようでございました。もう一方で、このように混乱してきたと。現実に今回の意見書が提案され、可決され、国に上げられたとしても、4月1日現在で暫定税率の維持ということはなくなって、廃止されるということが濃厚な情勢なわけですね。この責任は国にあるというふうにお話になられました。今福田首相は09年度からの一般財源化の問題や、中期計画への見直しを与党の指導者の方に指示しているという状況の中で、提案者の答弁からは、特定財源の制度維持ということは、将来において、国できちんと議論して決めてくれれば、一般財源化もいいし、暫定税率の廃止も、それは構わないというような答弁であったと思います。としますと、なぜこの意見書を今日において、きょうの時点で提案されるのかということがより疑問としてなってまいりました。

 私どもも、国民生活、市民生活、地方財政の立場から考えれば、こうした問題は、お互いが知恵を出し合って、新しい展開、新しい制度をどうつくっていくのかということが、これから知恵を出し合って始まろうとする。そのことはお互いの立場として一緒であるならば、ここでこの意見書を上げる意味が逆になくなってくるというふうに思いますので、ぜひこの意見書を取り下げていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。先ほどの答弁では、私たちの考え方と将来においては変わらないということが確認できましたので、ぜひこの場において意見書の取り下げを求めたいと思いますが、お答えをいただきたいというふうに思います。

 そして、2月だったかと思いますが、地元選出の代議士のところに小泉元首相が来られて、福田さんも突っ張らないで、妥協したらいいんじゃないかと。野党とよく話をした方がいいんじゃないかということをお話になって、八王子での集会ということが全国に広がったわけで、多分提案者もその場所におられたのではないかというふうに思いますが、そういった政治情勢がある中で、なぜ特定財源の制度維持に関する意見書に固執されるのかということが疑問でありますので、2月の段階で小泉さんがお話になったことを提案者はどのように受けとめられたのか、参考までにお伺いしたいと思います。

 さて、中期計画の問題であります。先ほども山越議員の方から、59兆円が過大ではないのかというような指摘がございました。私も過大だと思います。それは20年前の四全総をもとにした1万4,000キロの道路計画をそのまま当てはめているわけです。20年前の人口の推計は、増加するという推計でありますが、現時点では人口減少になっておりまして、過大な需要であるということが2002年度の国交省が委託した研究調査からも明らかになっています。とするならば、この中期計画は見直す。そして、暫定税率も廃止した中で、本則だけの税で今後の道路事業計画が立てられるのかどうかということも精査しなければ、暫定税率の維持が必要かどうかということはわからないというふうに思うんですね。まだその見直しに着手していない中で、暫定税率の維持ということは、やはり根拠がないのではないかというふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。お伺いいたします。

 最後ですが、地方自治体が年度末の予算編成、それから、年度初めの財政運営に大変困ると。だから、全国知事会が先頭に立って、この制度維持に向かって動いたのだということがお話になりました。全国知事会の会長は麻生知事であります。福岡県の知事ですが、福岡県の2008年度の道路予算は578億円です。そのうち9割の509億円が借金返済に回っているというのが福岡県の県財政の現実であります。道路特定財源が、道路をつくるための予算ではなくて、道路をつくった借金を返すための予算になっていて、これは新聞では、道路予算のための借金返済の地獄に陥っているというふうな評価をしているわけです。

 全国知事会が予算編成や道路がつくれないといったこともあると思いますが、こうした道路特定財源の仕組みが、どんどん道路をつくれ、そして、借金も膨らむという一方で赤字を招いていたシステムがあったのではないかというふうに思いますが、その点についてはいかがお考えでしょうか。

 まず1回目の質問といたします。


◎11番福安徹議員


ただいま御質問者から御質問いただいた4点だと思いますけれども、お答えしたいと思います。

 まず、発言通告をいただいてやっているわけではないので、詳細な内容が全部覚え切れておりませんけれども、端的に言うと、取り下げられないかというようなお話でしたけれども、取り下げる気持ちはございません。

 そしてまた、今、出している時期がずれているということも確かにございますし、私どもも、国でやっている施策、そして国がやっている動向、与党、野党を含めてですけれども、それを見て意見書を提出しますけれども、御質問者がおっしゃったように、福田総理も、最初から見れば、トーンや発言の内容が変わっているということは皆さんもおわかりのことだと思いますし、私もだからこそきちんと決めていただければ、みんなで国を代表する、私たちを代表して国へ行っている国会議員の皆さんみんなで決めれば、それが議会制民主主義のルールですから、道路特定財源という名前、暫定税率ということ自体も、今の時代に合った改革を受け入れる、そういう気持ちは私もございます。しかしながら、時期が地方自治体の行政運営には予算組みもありますし、執行できるかどうか、そんなことで、大きく動くわけですから、国からどのような補助が来るか、税金が来るか、確定しているのか、そんなことを、少しでも混乱を招かないためにも、一刻も早く、この問題にけりをつけていただきたいし、とりあえず今は道路特定財源、暫定税率のまま制度維持をしていただいて、また、きちんと時間をとって、この問題、根本から話し合っていただければ、僕も一番ありがたいんだと思います。

 また、八王子へ小泉元総理がいらっしゃったときに、一般財源化でいいじゃないかとおっしゃったというんですけど、だれがこう言った、彼がこう言ったとひとつひとつ言われても、僕も真意はわかりかねますし、ただ、小泉元総理の心中をはかれば、自分が総理の時代には一般財源化しようと決めたんだけれども、そのとおりにならなかったと。福田さんもこの辺で見直してもいいんじゃないかという思いでそういう話をされたんだと思います。ですからこそ、私は先ほどから再三申し上げておりますように、どういう施策が一番国民の民意に当たっているのか、民意を酌んだ施策なのかということを、きちんと与党も野党もテーブルについて、話し合っていただいて、決めていただきたい。そのことでございます。

 また、中期計画58兆円は人口の推移から見ても大きくないかという御質問でしたけれども、確かに本則の方で、道路整備がどの辺までできるのか。今の現状に合った道路整備、本則でこのぐらいまでできるから、それの上乗せである暫定税率は必要ないんじゃないか。本則の見直しが終わってない、実証が終わってないんだからという話は、私もそうだと思いますけれども、それはきちんと国会の方で見直しをしていただいて、また、地方自治体も、知事会の会長の地元の話を例に引き合いに出されましたけれども、道路特定財源が道路をつくった財源の借金の返済に充てられているじゃないかというお話もありましたけれども、道路をつくったわけですから、道路をつくったお金を後で返す。今返す。それはその知事の御判断だと思いますので、特に私が申し上げることはないと思います。

 それから、道路特定財源のシステムがあることによっていろいろな問題を引き起こしているんじゃないかという最後の御質問ですけれども、確かに道路だけ、先ほども申し上げましたけれども、福祉や教育に特定財源がないのに、道路にだけ特定財源が逆にあることでいろいろなゆがみが出ているんじゃないかというお話をいただきましたけれども、そうであるとするならば、私、再三申し上げていますけれども、きちんと整理して、道路特定財源がないと、どういうところができなくて、どういうところが地方は困って、国にどういうところをバックアップしてもらいたいのか。そんなことをきちんとみんなの代表で、それぞれ知事や議長や議員や大臣がいるわけですから、きちんと話し合って、意見の一番多いのが民意だと考えますから、そこできちんとこれからの税金、暫定税率を維持していくのか、また、変えていくのか、そんなこともきちんと話し合っていただければいいと思いますけれども、確かに御質問者がおっしゃるように、私どもが意見書を出したときと今と、少し時間がたっておりますから、若干状況は変わってきておりますけれども、何とか地方の声とすれば、道路の特定財源、暫定税率を維持していただかないと、これまでどおりの各自治体の道路行政にかかわることがきちんとできなくなるという地方の思いを中央に届けたい、そういう思いでございますので、意見書を取り下げる気持ちはございません。


◎40番井上睦子議員


大変誠実な答弁をいただきまして、ありがとうございました。といいますのは、状況が変わっていると。提出されたときと現段階は。それは認識が同じですね。だから、提出したとしても、暫定税率の維持ということには、現実には意見書は役に立たないわけです。(「そんなのわからないじゃないか」と呼ぶ者あり)いやいや、そうじゃないですか。4月1日で暫定税率は廃止になるわけですから。ですから、意味のない意見書は、出さない方がいいんじゃないですかというふうに私は再三申し上げております。

 提案者の方は、国会の中で十分に与野党が話し合って、一般財源化の問題についても、それから暫定税率の廃止の問題についても、民意の方向で取りまとめてもらいたいというのが気持ちだと、願いだというふうにおっしゃったので、とすれば、この意見書の内容と違うのではないですかと私は申し上げています。ですから、やはり取り下げるのが妥当だというふうに私は考えます。

 もう一つは、59兆円の使い道、これはやっぱり精査する必要があるだろうということもおっしゃいました。それも私も同様でございます。もし自治体の財政が大変厳しいという局面になったとすれば、野党側が言っているのは、さまざまな、9,000億円ですか、暫定税率廃止によって、自治体側に穴があくというのは9,000億円だというふうに試算されております。9,000億円については、全額国の責任において補てんしようじゃないかというのが野党案でもあります。どこから財源を持ってくるかということは各党によってさまざま議論があるわけですから、それは今後の議論の中で詰めていけばいいと思うので、決して自治体に9,000億円の穴をあけさせないというのが野党の提案でもありますので、自治体がこのことによって不安ということを表明する必要はないのではないかというのが私の考えです。

 それは、やるとすれば、国において首相のリーダーシップが不足したために自治体財政に影響があるとすれば、その影響額について国は責任を持ちなさいという意見であれば、私は筋が通るというふうに思いますが、1つの制度について維持させるということについては問題があるというふうに思います。

 最後に、地方分権と自治の観点から、一般財源の問題についてお伺いしたいと思います。私は、一般財源化した方がいいと思います。今まで特定財源であったがゆえに、アクアラインとか、さまざまなチェックがきかなくて、大幅な赤字を抱えてしまったというような問題があったというような問題があったというふうに思いますし、あるいはむだなさまざまなものに、例えばタクシー代23億円、5年間で使われている。これは議会のチェックがなかったからだというふうに思います。市民からの貴重な税金はきちんとチェックするシステム。それは、一般財源化して、地方に渡して、地方の首長や議会や市民がチェックして、自分たちに必要な道路であるか、あるいは福祉であるか、教育であるかということに使う判断を市民自身が持つ、議会自身が持つ、首長自身が、その3者によって持つということが、これからの地方分権の流れの中で税と財源の分権化という意味では今後の道なのではないかというふうに思いますが、その点について再度御答弁をお願いしたいと思います。


◎11番福安徹議員


 御質問者の2回目の御質問にお答えします。  長くて、よくわからなかったんですけど、1つは一般財源化した方がいいんじゃないかということだと思うんですけれども、だから、何度も申し上げますけれども、一般財源化が国民の民意なのか。暫定税率を維持することが国民の民意なのか。そしてまた、そのことはきちんと国会の場で与党も野党もテーブルについて話し合ってもらいたいと。私はそういうふうに思っているんです。それが議会制民主主義ですし、みんなの代表で出ているわけですから。

 ただ、今、3月の月末まで来て、地方自治体がさまざまな新年度予算を組んで、用意ドンで始まる。このときに、これだけ混乱を招いている税法が、少しの議論で、私も変わるとは思っておりませんので、日切れ法案になってしまって、また、例えば4月1日に御質問者がおっしゃるように、暫定税率が、期限が切れてしまう。そうすると、わかりやすいところで言えば、ガソリンが下がる。ほかに上がるものもありますけれども、ガソリンが下がる。そしてまた、1ヵ月議論を国会で重ねていく中で、4月末にもう一回暫定税率が例えば復活したとすると、それは国民生活に多大な影響を及ぼすし、きちんと決めるのにはある程度の時間が必要ですから、そんなことでこの意見書を出したわけでございますし、また、できれば時期的なことを申せば、意見書も議会の冒頭で出させていただければ、出したときと国の状態が狂わないで済んだとは思っております。

 一般財源化にした方がいいんじゃないかという話は、それが地方自治体にとって、国にとっていいことであるかという判断がきちんと行われていないからこそ、これだけもめているわけでございますから、それはきちんと国会の場で話し合っていただきたいと思います。


◎40番井上睦子議員


議員提出議案第7号、道路特定財源の制度維持に関する意見書に対して、生活者ネットワーク・社会民主党を代表して、反対の立場から討論を行います。

 ガソリンの暫定税率は、3月末で期限切れとなることが濃厚です。3月4日の朝日新聞によれば、3月1日、2日の世論調査では、道路特定財源に反対する国民の声は59%と大きくなり、2月に比べて5%、1月に比べて13%も増加しています。

 道路特定財源制度は、受益者負担の考え方に基づき、道路の利用者、つまり、自動車の所有者やその燃料を使用した人が道路の建設・維持費用を負担する制度として1954年にスタートしました。1974年に暫定税率が導入され、本来1リットル当たり本則24.3円の揮発油税を暫定48.6円にし、本則4.4円の地方道路税を暫定5.2円として徴収し、始めました。導入の理由は、道路5ヵ年計画とオイルショックのための消費抑制を目的としたため、2年間の暫定措置でありました。しかし、暫定措置が34年続き、さらに10年継続しようというのが政府の方針でありました。

 暫定という理由で増税をし、なれたら継続して、見直さないというのは、納税者をだます手法だと言えます。暫定で導入したものは一定期間で必ず廃止して、改めて導入の可否を議論し、国民に問うべきであります。

 道路整備は2006年4月には、総延長18万キロ、改良率は83%、舗装率は97%になり、高速道路も7,392キロに及んでいます。これまで54年間で特定財源の収入は150兆円、総額350兆円の道路投資を行ってまいりました。この制度は道路整備が立ちおくれていた時代にはそれなりに意義のある制度でありましたが、現在では世界と比較しても、道路密度が圧倒的に高く、既に役割を終えたと言えます。

 国会審議の中で、道路特定財源が道路建設とは関係のないミュージカルや利用されていない道の相談室、あるいは5年間で23億円のタクシー券の購入など、多くのむだ遣いが明るみになりました。また、八日町夢街道パーキングでは1日9万円の収益しかないことや、東京湾アクアラインや本州四国連絡橋も交通量が予想を大幅に下回り、赤字が続いていることなど、計画性の甘さや高い建設コストが指摘され、道路特定財源への信頼は失われています。

 長崎県佐世保市内では、工事中の西九州自動車道の8.3キロメートルの佐世保道路は、在日米海軍佐世保基地に近接し、事業費1,629億円で1キロ当たり約200億円と、他地域の約4倍から7倍に達しています。工事中の佐世保みなとインターチェンジと佐世保インターチェンジの区間はわずか2.9キロしかなく、米海軍佐世保基地前の佐世保インターチェンジの新設には軍用道路という指摘もあります。また、佐世保インターチェンジ建設に伴う米軍の幹部用住宅の移設には11戸分に28億円もの道路特定財源が支出されています。このように、道路特定財源がさまざまな理由をつけて米軍のために使われていることは大きな問題だと国会でも議論になりました。

 2008年度の道路特定財源の見積もり総額は5兆4,000億円で、その内訳を見ると、本則分2兆8,000億円に対して暫定分が2兆6,000億円となっています。今後10年間で59兆円をすべて道路に使う。中期計画では当初67兆円と発表されていました。しかし、1週間程度で59兆円に変更されていますが、その変更の理由は説明されていません。この道路中期計画は20年前の四全総に基づいて1万4,000キロメートルを前提として出されています。しかし、四全総は人口増を前提としていますが、近未来には急激に人口が減少します。2002年の交通需要推計を下回る推計値が国交省の委託研究でも明らかにされています。道路需要予測を過大に見積もった中期計画は、税金のむだ遣いということが明らかになりました。

 また、10年という長期計画の計画は、現在、この道路計画だけであります。この間、全国総合開発計画とともに、公共事業の5ヵ年計画は廃止され、社会資本整備計画に重点的に移行されました。なぜならば、暫定的な措置である計画を永遠に延長し、そして、予算消化だけに使われるむだな計画だという批判があったからです。道路計画だけが10ヵ年で59兆円もの計画を立てていることは、こうした財政の健全化、運営という面からでも大きな問題です。

 道路財源は自治体の持ち出しが2分の1で、道路がつくれる制度です。自治体にとって非常に魅力がありますが、そのまま道路に使えるわけではありません。全国の自治体で約3分の1強が道路に関する借金に回されています。全国知事会の会長である福岡県の麻生知事は、先ほども御紹介しましたが、道路特定財源制度の堅持を求める急先鋒です。その福岡県の2008年度道路予算は587億円のうち9割近くの509億円は借金返済に回っています。つまり、道路をつくるための予算のはずが、ほとんど借金返済に回り、新しい道路がつくれないという構造になっているのです。このように、地方自治体が道路整備のために借金地獄に陥っている実情もあります。

 また、道路特定財源の使い方も、自治体にとって決して使い勝手のよいものではありません。道路構造令に従い整備されなければ、道路特定財源による補助は受けられなくなっています。長野県下條村は、村民によって村道の整備をし、1メートル3,000円でこの事業を行っています。これを道路構造令どおりにつくれば、10倍から20倍はかかるというふうに言われており、画一的な構造令が公共事業の高コストの原因となっています。

 以上のように、59兆円もに上る過大な中期計画の見直し、あるいは事業の必要性について精査をすること、また、徹底したむだ遣いなどを排せば、暫定税率を廃しても、自治体に必要な生活道路は確保できるのではないでしょうか。

 野党の各党の案では、自治体の不足分9,000億円分は全額国の責任において補てんし、法人税や高額所得者の所得税減税廃止を復活する。あるいは、国の直轄事業への地方負担金制度の廃止分を充当することなど、さまざまな提案がされています。

 地方では、高齢化や過疎化が進み、公共交通のバス路線が廃止されていますが、自治体が運営するコミュニティバスやローカル電車など、こうした鉄道には、道路特定財源は使えません。少子・高齢化、人口減少社会の進行、そして、地方分権、自治の観点からも、道路特定財源は一般財源化すべきであります。道路が必要かどうか、だれが決めるのか。従来までは国交省とそれに伴う一部の人たち、国会議員や、あるいは権力を持った人によって決められてきました。しかし、一般財源化すると、道路が必要なのか否か、ほかの教育や福祉にこのお金を使うのかどうか、地域の住民が決められるようになります。これこそが地方分権ということになると考えます。

 全国知事会や地方自治体約1,800の自治体の首長のうち6名が道路特定財源の制度を維持することに署名しておりませんけれども、ただ一方で、こうした自治体が地方財政の危機感をあらわすことは、国が今まで進めてきた三位一体改革や地方交付税の切り捨て、カットということに原因があるというふうに思います。一般財源化をし、自治体の財源を保障するという国の姿勢があれば、各自治体の首長も一般財源化に賛成するのではないでしょうか。

 道路が必要かどうか、だれが決めるかということが、今問われておりますし、そして、実は地域の住民自身、そして、自治体が決められるようになれば、政治システムが大きく変わってきます。本当の地方分権ということが可能であります。今度の道路特定財源の廃止、そして、一般財源化の問題は、地方分権と私たち自身の自治という問題が大きく問われている問題だというふうに思います。したがって、本意見書には反対する立場を表明いたします。

 先ほど他の賛成討論者から野党の責任、民主党の責任ということが強く言われました。しかし、そうではありません。逆転した参議院の中で、民主党が野党が多数を占める国会運営が極めて困難であることは、昨年7月の参議院選以降、総理大臣初め与党の皆さんはおわかりのはずであります。今回の特定財源の問題修正協議の中に、なぜその協議に入れないのかという問題について、朝日新聞の社説は3月26日、このように書いています。それができないのはなぜか。与党の対応に問題がある。民主党の対案が参議院で可決されれば、政府案の否決と見なし、政府案を衆院の3分の2ですぐに再可決するとの構えをちらつかせているからだというふうに言っています。これは決して参議院の野党側の責任ではなく、国の運営全体に責任を持つ国及び与党の責任であることは明らかでありますし、先ほどの提案説明者もこれまでに政治的にも混乱をもたらし、地方自治体の財政にも心配をかける、こうした事態を生んだのは国の責任であるということを明確におっしゃったではないでしょうか。したがって、私どもはこうした混乱の原因は政府・与党にあるということを明らかにして、反対討論といたします。