◎【40番井上睦子議員】
|
それでは、発言通告に基づきまして一般質問を行います。
まず、高尾山は大丈夫かというテーマで質問をいたしますが、きょうの新聞は各社、高尾山の城山八王子トンネルの南坑口が崩落をしたということを報道しております。約4,000立方メートルにわたって突然崩れ落ちたということであります。昨年の高尾山のトンネル工事が始まる、そしてそれ以前の八王子城跡トンネル工事の御主殿の滝がれ、始まってずっと高尾山は大丈夫なのかということを心配してまいりました。これが現実的なものとなってきているのでないかというふうに大変危惧をしております。まず、この八王子城山トンネルの崩落の問題について、国交省から八王子市はどのような報告を受けて、この原因と対策についてどういうふうに対応していくのかということを情報としてきちんと確認をしているのかどうか。まず、冒頭それをお伺いをしたいと思います。
新聞報道によりますと、学識経験者による調査委員会を設けて原因を究明するということであります。このトンネル工事は既に終わったということでありますけれども、現在、高尾山トンネルあるいは城山八王子トンネルも今後も工事は続くというふうに思いますが、全面的に工事を中止をして、ぜひこの原因の究明と対策というものを明らかにするということを、八王子市としても強く求めていただきたいと考えておりますが、まずこの問題について御回答をいただければと思います。
次に、沢がれの問題であります。
3月11日から3月19日まで、妙音谷の湧水がかれているという現実があります。3月15日の、これも新聞報道でありますが、市民団体が沢がれについて観測をしておりました。3月11日から19日まで、20日は大変な降雨がありましたので復活をしておりますけれども、その間、水がれをしているという問題であります。これは八王子城跡トンネルの掘削のスピードと御主殿の滝がかれていったという時間的な差からしても大変早いスピードで、市民団体も予想を上回るスピードでかれているということを大変心配をしております。
これは、国交省からのホームページの図でありますけれども、これが高尾山トンネルの断面図です。上が上り線、下が下り線です。今、沢がれが起きているのは妙音谷というところでありますけれども、下り線の部分です。今、下り線は600メートル、シールド工法の部分すべて終わっております。終わる直前にかれていますから、シールドで5メートル間隔で掘り進んでいくと同じ時間帯でかれてきているというので、トンネルの工事の影響ではないかというのが市民団体の観測です。
これが上り線、下り線です。下り線を拡大をして御説明いたしますと、かれているところ、妙音谷の湧水の地点はここになります。昨年の11月からシールド工法で進んで行って、3月の中旬には600メートルまで掘り進んで完了したということですから、この進み方と湧水がかれてきた時点というのが一致をするわけです。それが大変危惧をされています。
もう一つは、これは地層でありますけれども、この黄色い部分が砂岩です。これは白亜紀の地層が下、上が新世紀の地層ですけれども、この砂岩はここですごく断層が入っています。地震か何かで海底から上の部分に隆起をしてくるときにいろんな段差が起きたのではないかと思われますが、この大きな断層があるのが前の沢です。この空洞のところにたくさんの水を含んでいて、豊かな自然体系が、この高尾山はそういった特色があるので保たれてきたのではないかというふうな観測があるわけです。
この間、この前の沢の観測地点が、トンネル工事の前には観測孔が設置をされて観測をされておりましたが、トンネル工事が始まって、ここの地点は埋められてしまいました。断層があって水が大変豊かではないかというところが、工事が始まるとつぶされる、埋め戻されているということで、ここの水位が現在わかりません。したがって、この妙音谷湧水がかれたということが、こことの関係でどういう因果関係にあるのかということがデータ上は示せないという状況になっておりまして、大変問題だと私は考えております。
八王子城跡トンネルのときには、国交省がホームページで逐一データを公表しておりましたので、それとの因果関係の中で水位の上昇なり滝がれの問題というのをチェックができたわけですけれども、今回はそういう八王子城跡の経験がありながらも、高尾山トンネルは重要な地点で観測地点がつぶされている、埋め戻されている、これが3地点あるわけです。ということで、実際のところ、何が科学的なデータに基づく根拠なのかということがわからなくなってしまっています。また、ほかの観測地点も、観測はしておりますけれども、そのデータはホームページに公表されておりません。
さきの特別委員会の中で、八王子城跡の水位のデータは不都合な真実は隠すのか、隠さないというふうに、市長からもデータの開示を国交省に求めるという他の議員からの質問に、市長はアンフェアなことは嫌いなので早速それは求めるということでありましたが、実際、高尾山トンネルの観測データに関しては一切公表されておりません。東京都に対しては半期に1回かな、報告がされているわけですけれども公にはされていないし、市もそのデータを持っていないということを確認をしております。ぜひ、八王子城跡のような問題が起きては困るわけです。高尾山の水環境に異変が起きると困るわけですから、今回、妙音谷がかれたという問題について原因の究明と、そしてデータの開示というものを八王子市からもしっかりと求めてもらいたいと思いますが、その点についてお考えをお聞きをいたします。
同時に、観測孔3ヵ所については、ナンバー8、ナンバー10、ナンバー3の1という番号が振ってあるモニタリング調査のところですけれども、ぜひそれを復活する、あるいはトンネルの工事の地点であるとするならば、その付近に掘って、もう一度地下水を観測をしてきちんと水環境に異変がないかどうかということを明らかにするための観測孔を設置をする。そして正確に高尾山の水環境が保全をされているかどうかということで、モニタリングの地点の見直しというものを市としても要請をしていただきたいと思いますが、その点についてもお答えをいただきたいと思います。
それから3点目ですが、環境アセスに対して八王子市長はこの工事が始まる前にさまざまな条件をつけているわけです。八王子市長の意見として、これは前市長の時代ですが行政は継続をするものですから現在も責任があるというふうに思いますが、八王子市長は、市はもとより関係住民も関心が高いので下記事項について配慮するとともに住民の意見を十分に尊重して、事業実施に当たっては市と協議の上、評価書案に示された内容を遵守し環境保全に万全を期されたいというふうに意見を出していまして、国交省、事業主体の方からは見解として、事業の実施に際しては八王子市と協議するとともに評価書案を遵守し、周辺環境の保全に努める考えですという全体的な姿勢が示されています。
そして水環境については、地下水の保全を図るため、施工に先立ち十分な調査を行うとともに最適な工法を採用されたいということに対しては、必要に応じ適切な治水対策等の施工計画の立案を行い、これに基づき慎重な施工を行う考えですという見解があります。
高尾山トンネルの工事に入る前、大変な心配がいろいろとされたわけです。これに対しても、八王子市としてもミシュラン三つ星の高尾山、八王子市は高尾山は宝であるという考え方に立っていると思いますので、それを守るために国交省とどのような協議をしたのかということを明らかにしていただきたいと思います。協議をした時期、その内容について明らかにしてください。
そして、八王子市からこの高尾山トンネル工事に対してどのような意見なり注文をつけているのかということも明らかにしてください。国交省の事業だからといって、地元が同意をしなければ始まらなかった工事でありますので、八王子市の責任というものもあるというふうに思います。そして工事直後から沢の水がかれ、そして湧水がかれているという事実が明らかになり、それ以前には八王子城跡トンネルも徐々に水位は上がってきましたが、また昨年の11月ごろから下降し始めていて全然上がる気配がないわけです。そういったことも心配の要因になっているわけですから、この問題、きちんと市としても取り組んでいただきたいと思いますが、その点について明らかにしていただきたいと思います。
そして、高尾山を守ることは市の責任でもあるというふうに思いますが、工事の中止、それから原因究明あるいはアセスのやり直しというものが、開示をされたデータの中から明らかになるとすれば、きちんとそのことも求めていくという強い姿勢がなければいけないのではないかと思いますが、その点について高尾山の自然を守る市長の責務という点について、市長からお答えをいただきたいと思います。
次に、障害者の権利条約についてお伺いをいたします。
2006年12月に第61回国連総会で採択をされた障害のある人の権利に関する条約は、障害のない人が有している以上の権利を設けるというものではありませんが、障害があるがゆえに不平等がもたらされている状況を解消するための新しい考え方や制度のあり方を人権として認知をしたものです。そしてこれを世界共通の、そして最低限にこれだけは守らなければならない、社会の基本的なルールとすることを批准するよう各国に求めているものです。日本政府は2007年9月にこの条約に署名をしましたが、批准の時期についてはまだわかっていません。批准するには、条約の精神に基づく差別禁止法や既存の国内法の改正などが課題となっております。
条約は従来の障害についてのとらえ方や考え方を転換をいたしました。障害というのは、その人の個人的なものとして考えられてきましたけれども、そうではなく、社会が障害をつくっているというふうに考え方を変えてまいりました。例えば駅にエレベーターが設置をされていれば、車いす利用者は移動が困難な障害者ではありませんが、なければ障害者になってしまうわけです。今まで障害を医学モデルというふうにとらえてきましたけれども、今度は障害を社会がつくっているという社会モデルというふうにとらえるということで転換をしたわけです。これが大きな障害者の権利条約の意味だというふうに思うわけです。そしてそのために社会が障害をつくらないような環境をつくり出さなければいけないという考え方に立って、新しい合理的配慮という考え方を生み出しました。それは例えば今さっきの車いす利用者のエレベーターの問題で言えば、エレベーターの設置というのは合理的な配慮になるということです。あるいは目の見えない人が大学受験をするときに、点字で試験を受けられるというような配慮をすることが合理的な配慮。それを社会に求めたのが障害者の権利条約であります。
このように合理的な配慮を義務づける、そして実質的に平等を社会の中に保障するということは、差別をなくするということと深くかかわってまいります。条約は差別を直接差別と、それから意図しない差別すなわち間接差別ともに合理的配慮を行わないことも差別だとして禁止をいたしました。
障害者の権利条約はこのように、障害は社会の仕組みによってつくられるものであり、社会がそのための環境をつくる合理的な配慮を規定をした点で大変画期的なものだと私は評価をしております。市は既に障害者の権利条約というのを条文などを読んで勉強されているというふうに思いますが、この条約の意義をどのようにとらえているのかお伺いをいたします。
そして、権利条約の視点から教育や福祉、労働など障害者にかかわる施策を点検すると多くの課題があるように思います。
まず、障害者自立支援法についてであります。
条約は自立について、障害のない人と平等にだれとどこに住むかを選択できること。ある特定の生活様式を義務づけられないこと。障害者の地域生活のために必要な居宅や住宅サービスを提供することとしています。しかし、障害者自立支援法は、福祉サービスを権利ではなくサービスだからという理由で応益負担の考え方に立って利用料を取っています。サービスの量を何ができるか、できないかという基準で大部分を決めてしまうという自立支援法は、条約の考え方とは相入れないのではないかと私は考えます。条約の精神と矛盾をするこうした自立支援法は改正をされなければならないと考えておりますが、条約の規定との比較で何が課題だと市はお考えになるのか、お伺いをいたします。
次に、障害者の雇用、働くことについてであります。
権利条約ではあらゆる形態の雇用にかかわるすべての事項、募集、採用、雇用の条件、雇用の継続、昇進並びに安全かつ健康的な作業条件を含むことについて、障害に基づく差別をすることが禁止をされています。障害者が働くことについてはまだまだ多くの課題がありますが、本市の障害者雇用についてお伺いをしたいと思います。
障害者の雇用率を達成するため、嘱託職員として障害者枠で障害者を雇用しています。嘱託職員は、障害者の場合5年間で雇いどめの規定がありますが、健常者についてはそうではありません。これは条約の規定からしても障害に基づく差別になると考えます。市は障害者の就労機会の拡大のため、多くの障害者に働くチャンスを与えるためとしていますが、5年で仕事を失う障害者個人にとっては重要で大変切実な生活の問題となっています。障害者の雇用枠を拡大をして健常者と同様に希望があれば雇用契約を継続できるというように改めるべきだと考えますが、そのお考えをお聞きをいたします。
教育についてお伺いをいたします。
条約の第24条で教育について定めてあります。そこでは障害のある人が他の者との平等を基礎として、自己の住む地域社会においてインクルーシブで質の高い無償の初等教育及び中等教育にアクセスすることができることとしています。日本の教育は原則として、障害児は特別な場でその子の障害に応じた教育を受けるべきだとする分離の考え方がとられてきました。特別支援教育も地域の通常学級に在籍する発達障害などの子どもたちへの支援が新たに加えられたとはいえ、原則、分離という考え方は変わっていません。就学時健診は、特別支援学校か通常学校かの振り分けに使うのではなく、すべての子どもを地域に入学をさせるためにも、就学時健診を変えていくという必要があると思います。
また、障害を持った子どもが地域の通常学級に入学をした場合、クラスの一員として受け入れられるよう教育内容や施設、人員体制など、合理的な配慮が必要となってまいります。障害者の権利条約の示すインクルーシブで質の高い初等・中等教育にアクセスできることの実現のための教育の課題をお伺いをいたします。
以上で1回目の質問を終わります。
|
|