◎【40番井上睦子議員】
それでは、発言通告に基づきまして一般質問を行います。

 まず、高尾山は大丈夫かというテーマで質問をいたしますが、きょうの新聞は各社、高尾山の城山八王子トンネルの南坑口が崩落をしたということを報道しております。約4,000立方メートルにわたって突然崩れ落ちたということであります。昨年の高尾山のトンネル工事が始まる、そしてそれ以前の八王子城跡トンネル工事の御主殿の滝がれ、始まってずっと高尾山は大丈夫なのかということを心配してまいりました。これが現実的なものとなってきているのでないかというふうに大変危惧をしております。まず、この八王子城山トンネルの崩落の問題について、国交省から八王子市はどのような報告を受けて、この原因と対策についてどういうふうに対応していくのかということを情報としてきちんと確認をしているのかどうか。まず、冒頭それをお伺いをしたいと思います。

 新聞報道によりますと、学識経験者による調査委員会を設けて原因を究明するということであります。このトンネル工事は既に終わったということでありますけれども、現在、高尾山トンネルあるいは城山八王子トンネルも今後も工事は続くというふうに思いますが、全面的に工事を中止をして、ぜひこの原因の究明と対策というものを明らかにするということを、八王子市としても強く求めていただきたいと考えておりますが、まずこの問題について御回答をいただければと思います。

 次に、沢がれの問題であります。

 3月11日から3月19日まで、妙音谷の湧水がかれているという現実があります。3月15日の、これも新聞報道でありますが、市民団体が沢がれについて観測をしておりました。3月11日から19日まで、20日は大変な降雨がありましたので復活をしておりますけれども、その間、水がれをしているという問題であります。これは八王子城跡トンネルの掘削のスピードと御主殿の滝がかれていったという時間的な差からしても大変早いスピードで、市民団体も予想を上回るスピードでかれているということを大変心配をしております。

 これは、国交省からのホームページの図でありますけれども、これが高尾山トンネルの断面図です。上が上り線、下が下り線です。今、沢がれが起きているのは妙音谷というところでありますけれども、下り線の部分です。今、下り線は600メートル、シールド工法の部分すべて終わっております。終わる直前にかれていますから、シールドで5メートル間隔で掘り進んでいくと同じ時間帯でかれてきているというので、トンネルの工事の影響ではないかというのが市民団体の観測です。

 これが上り線、下り線です。下り線を拡大をして御説明いたしますと、かれているところ、妙音谷の湧水の地点はここになります。昨年の11月からシールド工法で進んで行って、3月の中旬には600メートルまで掘り進んで完了したということですから、この進み方と湧水がかれてきた時点というのが一致をするわけです。それが大変危惧をされています。

 もう一つは、これは地層でありますけれども、この黄色い部分が砂岩です。これは白亜紀の地層が下、上が新世紀の地層ですけれども、この砂岩はここですごく断層が入っています。地震か何かで海底から上の部分に隆起をしてくるときにいろんな段差が起きたのではないかと思われますが、この大きな断層があるのが前の沢です。この空洞のところにたくさんの水を含んでいて、豊かな自然体系が、この高尾山はそういった特色があるので保たれてきたのではないかというふうな観測があるわけです。

 この間、この前の沢の観測地点が、トンネル工事の前には観測孔が設置をされて観測をされておりましたが、トンネル工事が始まって、ここの地点は埋められてしまいました。断層があって水が大変豊かではないかというところが、工事が始まるとつぶされる、埋め戻されているということで、ここの水位が現在わかりません。したがって、この妙音谷湧水がかれたということが、こことの関係でどういう因果関係にあるのかということがデータ上は示せないという状況になっておりまして、大変問題だと私は考えております。

 八王子城跡トンネルのときには、国交省がホームページで逐一データを公表しておりましたので、それとの因果関係の中で水位の上昇なり滝がれの問題というのをチェックができたわけですけれども、今回はそういう八王子城跡の経験がありながらも、高尾山トンネルは重要な地点で観測地点がつぶされている、埋め戻されている、これが3地点あるわけです。ということで、実際のところ、何が科学的なデータに基づく根拠なのかということがわからなくなってしまっています。また、ほかの観測地点も、観測はしておりますけれども、そのデータはホームページに公表されておりません。

 さきの特別委員会の中で、八王子城跡の水位のデータは不都合な真実は隠すのか、隠さないというふうに、市長からもデータの開示を国交省に求めるという他の議員からの質問に、市長はアンフェアなことは嫌いなので早速それは求めるということでありましたが、実際、高尾山トンネルの観測データに関しては一切公表されておりません。東京都に対しては半期に1回かな、報告がされているわけですけれども公にはされていないし、市もそのデータを持っていないということを確認をしております。ぜひ、八王子城跡のような問題が起きては困るわけです。高尾山の水環境に異変が起きると困るわけですから、今回、妙音谷がかれたという問題について原因の究明と、そしてデータの開示というものを八王子市からもしっかりと求めてもらいたいと思いますが、その点についてお考えをお聞きをいたします。

 同時に、観測孔3ヵ所については、ナンバー8、ナンバー10、ナンバー3の1という番号が振ってあるモニタリング調査のところですけれども、ぜひそれを復活する、あるいはトンネルの工事の地点であるとするならば、その付近に掘って、もう一度地下水を観測をしてきちんと水環境に異変がないかどうかということを明らかにするための観測孔を設置をする。そして正確に高尾山の水環境が保全をされているかどうかということで、モニタリングの地点の見直しというものを市としても要請をしていただきたいと思いますが、その点についてもお答えをいただきたいと思います。

 それから3点目ですが、環境アセスに対して八王子市長はこの工事が始まる前にさまざまな条件をつけているわけです。八王子市長の意見として、これは前市長の時代ですが行政は継続をするものですから現在も責任があるというふうに思いますが、八王子市長は、市はもとより関係住民も関心が高いので下記事項について配慮するとともに住民の意見を十分に尊重して、事業実施に当たっては市と協議の上、評価書案に示された内容を遵守し環境保全に万全を期されたいというふうに意見を出していまして、国交省、事業主体の方からは見解として、事業の実施に際しては八王子市と協議するとともに評価書案を遵守し、周辺環境の保全に努める考えですという全体的な姿勢が示されています。

 そして水環境については、地下水の保全を図るため、施工に先立ち十分な調査を行うとともに最適な工法を採用されたいということに対しては、必要に応じ適切な治水対策等の施工計画の立案を行い、これに基づき慎重な施工を行う考えですという見解があります。

 高尾山トンネルの工事に入る前、大変な心配がいろいろとされたわけです。これに対しても、八王子市としてもミシュラン三つ星の高尾山、八王子市は高尾山は宝であるという考え方に立っていると思いますので、それを守るために国交省とどのような協議をしたのかということを明らかにしていただきたいと思います。協議をした時期、その内容について明らかにしてください。

 そして、八王子市からこの高尾山トンネル工事に対してどのような意見なり注文をつけているのかということも明らかにしてください。国交省の事業だからといって、地元が同意をしなければ始まらなかった工事でありますので、八王子市の責任というものもあるというふうに思います。そして工事直後から沢の水がかれ、そして湧水がかれているという事実が明らかになり、それ以前には八王子城跡トンネルも徐々に水位は上がってきましたが、また昨年の11月ごろから下降し始めていて全然上がる気配がないわけです。そういったことも心配の要因になっているわけですから、この問題、きちんと市としても取り組んでいただきたいと思いますが、その点について明らかにしていただきたいと思います。

 そして、高尾山を守ることは市の責任でもあるというふうに思いますが、工事の中止、それから原因究明あるいはアセスのやり直しというものが、開示をされたデータの中から明らかになるとすれば、きちんとそのことも求めていくという強い姿勢がなければいけないのではないかと思いますが、その点について高尾山の自然を守る市長の責務という点について、市長からお答えをいただきたいと思います。

 次に、障害者の権利条約についてお伺いをいたします。

 2006年12月に第61回国連総会で採択をされた障害のある人の権利に関する条約は、障害のない人が有している以上の権利を設けるというものではありませんが、障害があるがゆえに不平等がもたらされている状況を解消するための新しい考え方や制度のあり方を人権として認知をしたものです。そしてこれを世界共通の、そして最低限にこれだけは守らなければならない、社会の基本的なルールとすることを批准するよう各国に求めているものです。日本政府は2007年9月にこの条約に署名をしましたが、批准の時期についてはまだわかっていません。批准するには、条約の精神に基づく差別禁止法や既存の国内法の改正などが課題となっております。

 条約は従来の障害についてのとらえ方や考え方を転換をいたしました。障害というのは、その人の個人的なものとして考えられてきましたけれども、そうではなく、社会が障害をつくっているというふうに考え方を変えてまいりました。例えば駅にエレベーターが設置をされていれば、車いす利用者は移動が困難な障害者ではありませんが、なければ障害者になってしまうわけです。今まで障害を医学モデルというふうにとらえてきましたけれども、今度は障害を社会がつくっているという社会モデルというふうにとらえるということで転換をしたわけです。これが大きな障害者の権利条約の意味だというふうに思うわけです。そしてそのために社会が障害をつくらないような環境をつくり出さなければいけないという考え方に立って、新しい合理的配慮という考え方を生み出しました。それは例えば今さっきの車いす利用者のエレベーターの問題で言えば、エレベーターの設置というのは合理的な配慮になるということです。あるいは目の見えない人が大学受験をするときに、点字で試験を受けられるというような配慮をすることが合理的な配慮。それを社会に求めたのが障害者の権利条約であります。

 このように合理的な配慮を義務づける、そして実質的に平等を社会の中に保障するということは、差別をなくするということと深くかかわってまいります。条約は差別を直接差別と、それから意図しない差別すなわち間接差別ともに合理的配慮を行わないことも差別だとして禁止をいたしました。

 障害者の権利条約はこのように、障害は社会の仕組みによってつくられるものであり、社会がそのための環境をつくる合理的な配慮を規定をした点で大変画期的なものだと私は評価をしております。市は既に障害者の権利条約というのを条文などを読んで勉強されているというふうに思いますが、この条約の意義をどのようにとらえているのかお伺いをいたします。

 そして、権利条約の視点から教育や福祉、労働など障害者にかかわる施策を点検すると多くの課題があるように思います。

 まず、障害者自立支援法についてであります。

 条約は自立について、障害のない人と平等にだれとどこに住むかを選択できること。ある特定の生活様式を義務づけられないこと。障害者の地域生活のために必要な居宅や住宅サービスを提供することとしています。しかし、障害者自立支援法は、福祉サービスを権利ではなくサービスだからという理由で応益負担の考え方に立って利用料を取っています。サービスの量を何ができるか、できないかという基準で大部分を決めてしまうという自立支援法は、条約の考え方とは相入れないのではないかと私は考えます。条約の精神と矛盾をするこうした自立支援法は改正をされなければならないと考えておりますが、条約の規定との比較で何が課題だと市はお考えになるのか、お伺いをいたします。

 次に、障害者の雇用、働くことについてであります。

 権利条約ではあらゆる形態の雇用にかかわるすべての事項、募集、採用、雇用の条件、雇用の継続、昇進並びに安全かつ健康的な作業条件を含むことについて、障害に基づく差別をすることが禁止をされています。障害者が働くことについてはまだまだ多くの課題がありますが、本市の障害者雇用についてお伺いをしたいと思います。

 障害者の雇用率を達成するため、嘱託職員として障害者枠で障害者を雇用しています。嘱託職員は、障害者の場合5年間で雇いどめの規定がありますが、健常者についてはそうではありません。これは条約の規定からしても障害に基づく差別になると考えます。市は障害者の就労機会の拡大のため、多くの障害者に働くチャンスを与えるためとしていますが、5年で仕事を失う障害者個人にとっては重要で大変切実な生活の問題となっています。障害者の雇用枠を拡大をして健常者と同様に希望があれば雇用契約を継続できるというように改めるべきだと考えますが、そのお考えをお聞きをいたします。

 教育についてお伺いをいたします。

 条約の第24条で教育について定めてあります。そこでは障害のある人が他の者との平等を基礎として、自己の住む地域社会においてインクルーシブで質の高い無償の初等教育及び中等教育にアクセスすることができることとしています。日本の教育は原則として、障害児は特別な場でその子の障害に応じた教育を受けるべきだとする分離の考え方がとられてきました。特別支援教育も地域の通常学級に在籍する発達障害などの子どもたちへの支援が新たに加えられたとはいえ、原則、分離という考え方は変わっていません。就学時健診は、特別支援学校か通常学校かの振り分けに使うのではなく、すべての子どもを地域に入学をさせるためにも、就学時健診を変えていくという必要があると思います。

 また、障害を持った子どもが地域の通常学級に入学をした場合、クラスの一員として受け入れられるよう教育内容や施設、人員体制など、合理的な配慮が必要となってまいります。障害者の権利条約の示すインクルーシブで質の高い初等・中等教育にアクセスできることの実現のための教育の課題をお伺いをいたします。  以上で1回目の質問を終わります。


◎鈴木正之交通政策室長
圏央道について御質問いただきましたので、順次お答えをさせていただきます。

 まず初めに、圏央道城山八王子トンネルの坑口の土砂崩落についてでございますけれども、これは3月26日の午後8時8分に発生したものと聞いております。市へは翌日の3月27日に国土交通省から連絡をいただきました。原因につきましては、甲府国道事務所内に設置いたしました圏央道城山八王子トンネル坑口崩落調査委員会の学識経験者による調査、検討などを踏まえて解明をしていくということと聞いております。

 対策と工事の中止ということでございますけれども、昨日、独立行政法人の土木研究所の専門家が現地を確認いたしまして、これ以上崩落が進行することはないという意見をいただいていると聞いております。工事につきましては、この工事区間は既に完了いたしておりますので、工事は継続していくということを聞いておりますので、市も見守っていきたいと考えておるところでございます。

 次に、高尾山トンネルについてモニタリングの調査結果の入手ということでございますけれども、市といたしましては現在のところデータ等の入手はしておりませんけれども、なお今後必要な場合には事業者に対して説明を求めまして、そういうようなことが必要な場合には入手をしていきたいということも考えているところでございます。

 それから、高尾山の深層部の水位の観測でございますけれども、深層部の地下観測につきましては、観測孔につきましては、トンネル施工に必要な地質データを取得するために掘られたものでございまして、トンネルの施工による影響で観測が不可能となることから、昨年11月に観測孔を埋め戻したと聞いております。事業者からは、今後、トンネル施工に必要な地質データを把握するために実施するボーリング調査とあわせまして、観測することを検討していきたいと考えているところでございます。

 それからモニタリングの見直し等につきましては、先ほども御答弁させていただきましたように、まだ、必要なときにはモニタリング入手をして事業者等の説明を受けるよう考えておりますけれども、その時点でまた考えることとなるかと考えております。

 それから環境アセスの中で、事業者は市と協議をするということになっておりまして、どのような協議をしたかということでございますけれども、去年19年春に高尾山トンネルを施工するに当たりまして、トンネルの掘削工法はNATM工法プラスシールド工法による先進導坑との組み合わせで、水環境には十分配慮して掘削をするというような形で説明を受けております。注文につきましては、やはり水環境には十分配慮していただきたいということでお話をしているところでございます。

 それから最後に、今回の高尾山の沢がれにつきまして工事を中断して原因を究明すべきではないかということでございますけれども、昨年秋からの降雨量が例年に比べて非常に少ないという状況がございます。事業者によると、他の地点での調査では特段変化は見られないとしておりますので、市といたしましては今後の状況を見守っていきたいと、このように考えているところでございます。


◎橋本辰夫高齢者・障害者担当部長
障害者権利条約の関連でありますが、この権利条約は障害者の権利及び尊厳を保護、促進するための包括的、総合的な国際条約であり、昨年9月に日本国として署名いたしたことは重要な意味を持っている、そのようなものと認識しております。

 自立支援法を含めました課題といたしましては、障害者を取り巻く社会環境というものは改善されつつあるとはいえ、施設等ハード面や情報等へのアクセス等のソフト面に加えまして、就労面等にも課題が残されているのが現状であります。しかし、本市の障害者計画及び障害福祉計画はノーマライゼーションの理念を実現するための施策展開になっておりますので、これを確実に実現していくことが障害者が生きがいを持ち、地域の中で安心して暮らせるまちづくりにつながるものと認識しております。

 続きまして、本市の嘱託員であります。

 嘱託員として任用されている方の任用期間につきましては、障害の有無にかかわらず1年間が基本でありますが、任用期間を延長する場合、障害者枠で任用された方につきましては、5年間が原則となっております。これは障害者の方に幅広い就労機会を与えるといった趣旨の仕組みでありますが、6年目以降は任用できないということではないとのことでございます。

 障害者担当所管といたしましては、今後も障害者の勤労意欲を喚起するとともに、障害者就労への理解促進を図り、障害者の職域の拡大に努力をしてまいります。


◎石垣繁雄学校教育部長


権利条約の理念に照らした場合の学校教育への課題ということでございますけれども、昨年4月から特別支援教育が本格実施となったところでございます。特別支援教育におきましては、ノーマライゼーションの理念実現を目指しておりまして、障害のある児童、生徒一人一人の教育的ニーズに応じた支援が求められていると考えているところでございます。


◎黒須隆一市長


40番、井上睦子議員の私に対する質問にお答えをいたします。

 高尾山の自然を守る立場から現状、沢がれ等起きていることについて市長はどう考えるか、こういうことですね。よく質問がわからなかったんですけれども、そういうことだろうと思います。

 私は、工事についてはスタートの時点から報告は受けております。そして私が知りたい情報というものも常に開示をしていただいております。その結果、かつて城跡トンネルを工事中に御主殿の滝が一時かれておったときにも、私はこれは原因は工事によるものだから、トンネル工事が完成すれば滝がれはおさまる、もとに戻る、こういうことを私は言い切りました。御質問者の質問に答えて。現状、そのとおりになっておりまして、道路が開通以来、一度も滝がれは起きておりません。

 観測井戸が若干水が今落ちていると、ナンバー2の観測井戸の水位が低下をしている。これは自然現象ですから、そういうこともあろうかと思います。やはり、水位が低下をしたり、それからまた季節によっては上がってきたりということを繰り返しながらもとに戻ってくるんだろうと、私はそういうふうに解釈をいたしております。ですから、特にその点については心配しておりません。

 降雨量についても、先ほど担当者からお話しありましたけれども、実際昨年の秋から現状までの降雨量については、平年に比べて60%なんですね。ですから、40%も少ないと。こういう状況でも滝がれが起きていないということを考えますと、私はそう心配することはないんじゃなかろうか。

 そしてまた、現在の高尾山の新たなトンネルについても、城跡トンネルを掘った経験を生かしながら、それにさらに進化をさせたトンネルの工事ということを心がけていきたいというふうに答えをいただいておりますので、そういう点では、私は心配はないというふうに思っております。ですから、今、沢がかれたという具体的なお話もありましたけれども、これは水の少ない時期ということもありますし、トンネル工事に必ずしも結びつくものだと私は言い切れるものではないというふうに思っておりますから、しばらく様子は見ていきたい、このように思っています。


◎40番井上睦子議員


それでは、高尾山の問題について伺います。

 確認をいたしますが、水位の観測の問題です。今後、検討していきたいということだったようですが、では、高尾山のトンネル工事付近でボーリング調査を再度行って、観測孔を設置をするということを確認しているのかどうか。その点を明らかにしてください。

 とするならば、どの地点であるのかということも明らかにしていただきたいと思います。検討というのがどういう意味なのかわかりませんので、具体的な情報をつかんでいるとすれば、それを明らかにしていただきたいと思います。

 まだ検討段階であって、市側から水位の調査地点というものを求めるということができるのであれば、ぜひ埋め戻された3地点の付近、特に前の沢の部分は重要でありますから、その3地点について、その付近をぜひ観測地点として入れていただいて、全体の水位が確認できるように求めていただきたいと思いますが、それについてお考えをお聞かせください。

 それから市との協議は19年春行ったということでありまして、市長の答弁からも国交省の行う工事方法等については了解をしたというふうに理解をしていいわけでしょうか。市長も国交省の工事、それから現在の日本のトンネルの技術については、万全の信頼を持っているという立場でしょうから、そうだというふうに思いますが、もう一つは、八王子市民を代表する市長として見解書に対して意見を出しているわけですね。水環境に十分配慮するようにと。そういう意見を出して了解をしているわけですから、最終的には高尾山の工事が原因でさまざまな水環境に影響が起きたとき、国交省の問題もありますけれども、高尾山に対する、そうした工事を容認をした八王子市の立場、責任もあるのではないかと私は考えるのですが、その点についてはいかがでしょうか。明らかにしていただきたいと思います。

 やはり、八王子城山トンネルの南坑口が崩れる、あるいは水位が下がっている、沢がかれてきているというのは今までにない変化だというふうに思います。それから妙音谷の湧水に関して言えば、これは観測をしている住民の皆さんがおっしゃるわけですが、毎日あそこに掃除に来ている地域の人に言われると、20年間この水はかれたことがないと。大きな異変だというのが地元の人の意見、感覚であります。ですから、こういうふうに自然がいろいろと変化を起こして、ある意味では警鐘を鳴らしているのだと思いますから、そのことは正確に受けとめていただいて、過大な心配かもしれませんけれども、何らかの対策は打つという慎重さが行政にあっていいのではないかと思いますが、そういった意味でもぜひ高尾山を守るという立場に立って、国交省と住民や議会側の要望も伝えていただいて、慎重な対応をお願いをしたいと思いますが、この件についてもう一度市長にお伺いをいたします。

 そして先ほどデータの問題は、必要があれば求めるということでありましたが、ぜひこれは議会が必要だと言っているわけですから求めていただきたい。そして、市民に公表して高尾山はだから大丈夫なんだということを逆に明らかにしていただきたいと思いますが、その点についてお伺いをいたします。

 権利条約の問題です。
 さまざまな課題がありましたが、教育委員会の方は余り課題を認識していないようでありまして、ハード面やソフト面での具体的な検討をぜひしていただきたいと思います。

 それから、千葉県では権利条例というものを県民を守る立場からつくられておりますが、将来的には八王子市でも障害者の権利条例あるいは差別禁止条例といったものが必要だと考えておりますけれども、副市長の方はこの点については、条約の意義というものはあるというふうに担当者はおっしゃられましたので、具体的に市の基本方針として障害者差別禁止条例、あるいは障害者の権利条例というものをつくるという方向性についてのお考えをお聞きいたします。  以上で質問を終わります。


◎鈴木正之交通政策室長


それでは、3点ほど質問いただきましたのでお答えをさせていただきます。

 まず初めに、深層部の観測孔についてでございますけれども、これは検討するということを聞いていますので、具体的にどの場所を調査地点にするかということはまだ把握をしておりません。ただ、これはボーリング調査で地質調査が必要なところをボーリングするということでございますので、やはりその場所がどこかということもございますので、今後事業者ともちょっとお話はさせていただいて、いろいろと調査をしていきたいと考えております。

 それからデータを求めて、高尾山トンネルは大丈夫だということを言ってほしいということでございますけれども、これにつきましてもデータについても必要なときには入手いたしまして、私どもとしては高尾山トンネルは大丈夫だという考え方で進んでおりますので、データを求めた中で、いろいろと事業者との調整を図っていきたいと、このように考えております。


◎岡部一邦副市長


将来障害者権利条例なるものを制定する考えはあるかという御質問いただきました。本市の障害者施策におきましては、すべての障害者が必要な支援を受け、社会参加し、地域で安定し、充実した自立生活ができるまちづくりを基本目標に掲げまして、施策の充実に努めてきたところでございます。

 昨年9月、我が国が署名をいたしました障害者権利条約は、ノーマライゼーションをより推進をするという上で意義深いものがあると考えております。ただし、障害者の自立、非差別、社会参加を初めといたしまして、教育、さらには労働など広範な分野につきまして規定を設けておるものでございます。これらの要請にこたえることができる社会環境を整えてまいりますには、なお一層の施策の充実が必要であるというふうに考えております。

 障害者計画あるいは障害福祉計画に基づきまして施策の充実、強化に努めますとともに、本市におきます条例化につきましては、今後国や東京都の動向、さらには障害当事者の取り組み等を十分踏まえまして研究をしてまいります。


◎黒須隆一市長


高尾山を初めとした豊かな自然というのは、八王子の最大の財産でありますから、これは守るということは私自身としては御質問者に、その思いというものは負けないぐらいあります。私の方が多分勝ってるんじゃないかな。

 ただ、ここから先がちょっと違うんであってね、ただ守ればいいというんじゃないんですよ、私は。やっぱり例えばこの圏央道等については、やはり自然と調和をした中で圏央道の促進をするという私は立場でありますから、その点は違うというふうに思うんですね。

 御質問者はあくまでも圏央道は反対という立場ですから、どのような説明をしても賛成をするとは思えません。しかし、私どもはやはり、そういう中でも最大の努力をして御納得をいただけるようなことは考えていかなきゃならないという立場でありますから、そのように常にそういう考え方のもとに行動をしているつもりであります。

 ですから慎重にというお話しありましたけれども、まさに慎重に対応をしながら万全の体制をしきながら、工事が無事に完成できるように強く要請をしていきたいというふうに思っています。どんなデータをとっていても反対する方は反対をするでしょう、それはね。ですから、そうじゃないんですよ、それは。それは私は、それなりにきちんと情報は得ておりますし、それに基づいてこの工事は、あれだけの大工事をやるわけですから、若干の影響というのは一時的なものはあります。これは容認すべきじゃないですか。しかし、結果として環境と利便性というものが両立ができるということが、私は最大の目的だというふうに思っておりますから、そのような視点でこれからも対応をしていきたい。このように思っています。