◎【40番井上睦子議員】
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それでは、一般質問を行います。
混乱の幕開け、全国でトラブル発生、保険料年金天引き、うば捨て山よりひどい後期高齢者医療、これは4月15日の各新聞社の見出しです。このように混乱のスタートをした後期高齢者医療制度についてまず質問をいたします。
沖縄県議選では、与党が過半数割れをし、与野党逆転という結果となりました。敗因について、福田首相は、後期高齢者医療制度への批判があったと認めたように、この制度への国民の批判、反対は大きく、制度の小手先の見直しではなく、一たん廃止して、十分な議論をする必要があります。
昨日の質疑で市民からの苦情や問い合わせについては他の質問者から詳細な紹介がありましたが、市に寄せられた苦情、問い合わせは2月から5月16日までに1万3,115件、そのうち4月は約8,800件にもなっています。件数の多さは周知不足もありますが、制度への批判が強いことをあらわしています。担当所管は、この問い合わせや苦情の対応に追われ、大変だったというふうに思います。市民からの苦情、問い合わせの件数の多さやその内容について、市はどのように受けとめたのか、お伺いいたします。
次に、保険料についてであります。
厚生労働省は、保険料は、低所得者は負担軽減、高所得者は負担増と説明したにもかかわらず、先日発表された調査結果は逆で、特に大都市部では低所得者の約8割が負担増との結果が出ました。本市の場合も12のケースすべてで負担増、広域連合29のケースでも20ケースで負担増という結果になっています。昨日の市長答弁によれば、対象者の70%が負担増となることが明らかとなりました。
負担増と言っても所得の低い層では年間300円から800円程度だから、大した負担増ではない。だからいいのではないかというような問題ではありません。年金受給額は減るのに、介護保険料や後期高齢者医療保険料はふえ続け、高齢者の生活を圧迫します。保険料は2年ごとに見直しをされ、現役世代との負担割合をはっきりさせるとして、医療費が増大すれば、高齢者の負担する保険料に連動していくという仕組みも問題であります。厚生労働省試算でも、7年後には1万3,000円保険料が増加し、負担割合は10%から10.8%になるとしています。医療費が増大すれば、将来の負担増加は避けられないと考えますが、市はどのようにとらえているのか、お伺いいたします。
また、保険料の負担に耐えられなくなった場合は、医療費を抑制せざるを得ず、その結果、医療内容も制限され、十分な治療を受けられなくなるというふうにこの制度では考えられますが、どうでしょうか。お答えください。
次に、障害者、扶養家族への影響について伺います。
65歳以上の重度障害者も原則後期高齢者医療制度へと統合されます。本市の場合、障害者の皆さんはどのような選択をされたのか。国保にとどまった人数、後期高齢者医療制度へ移行した人数について、また国保にとどまった場合、重度心身障害者医療の受給資格や窓口負担はどのようになるのか、お伺いいたします。
高齢者と障害者はどちらも医療を必要とする機会が多く、ハイリスクのグループだけで保険料を負担して、保険制度が続くということは困難です。なぜ障害者もこの制度に原則組み込まれるということになったのでしょうか。お伺いいたします。
次に、扶養家族の保険料負担についてであります。与党見直し案では先送りとなりましたけれども、子どもなどの被扶養者でこれまで保険料を払ってこなかった高齢者の保険料は、現在全額免除となっています。10月からは来年3月まで均等割の1割負担、来年4月から2010年3月まで均等割の5割負担と、2年間の激変緩和措置がとられましたが、2010年4月から全額負担となってまいります。厚生労働省の子どもと同居している世帯のケースでは、高齢者の保険料は、単身世帯の同額年金受給者と比べて多くなっています。年金79万円の単身世帯では保険料が1万1,300円でありますけれども、事業所得が180万円ある子ども夫婦と同居している年金79万円の高齢者の保険料は3万7,800円となります。これは世帯収入が259万円となり、軽減策が適用されないからです。このように扶養家族の保険料は、軽減策終了後、全額負担となった場合、大変な負担となることが予想されます。凍結後、全国で200万人が年間平均8万4,000円を新たに負担することになると言われておりますが、本市の場合の対象人数、負担額の試算についてお伺いいたします。
5月29日の読売新聞は、広域連合に扶養家族の情報届かずと報じています。原因は、社会保険庁による企業からの情報収集が進まなかったこととしています。事務的なことですら進んでいないわけですが、現在、扶養家族の情報収集についての見通しは立っているのでしょうか、お伺いいたします。
次に担当医の状況についてです。後期高齢者医療制度では、外来診療に包括払いと担当医制度が導入されました。包括払い方式は、月額6,000円の診療報酬という決まった額の中で医療行為をすることになり、医療機関からすると、丁寧な検査や処置をするほど赤字になります。この報酬を受け取れる担当医は、患者の主な病気を診察する1人のみです。担当医制度について、多くの地方医師会が複数の慢性疾患を持つ患者が本当に必要な治療を受けられなくなるとして反対しており、全国では2割程度の届け出になっています。八王子市内の医療機関で担当医の研修を受け、届け出をしている件数及びわかりましたら4月、5月の利用状況についてお尋ねいたします。
担当医制度は、74歳まで受けていた治療と75歳からの治療を差別化することであります。ほかにも、75歳以上の高齢者と65歳以上の重度障害者について、医療を差別化していく内容があります。終末期相談支援料は、与党の見直し案では当面凍結というふうな方向が出されておりますが、死に瀕した高齢者と障害者に延命治療をするかどうか自己決定させ、それを書面に残せば、2,000円の診療報酬が払われるというものです。
また、診療報酬の改定で、10月から、脳卒中や認知症から重度障害を負った後期高齢者、障害者が91日以上入院すると減額されることになり、医療機関から受け入れを拒否されたり、退院を迫られるのではないか、治療が続けられるのかという不安の声が上がっています。
このように年齢で受ける医療を差別化することは、高齢者の命を尊重しない、早く死ねと言わんばかりの制度ではないでしょうか。この医療の差別化について、市の見解をお伺いいたします。
次に、格差のない働き方の実現について伺います。
非正規雇用の拡大はワーキングプアを生み、格差と貧困を拡大する社会問題となっています。公共サービス部門においても例外ではなく、全国の自治体で働く臨時・非常勤職員は45万人とも言われています。八王子市の場合、2008年4月1日現在、正規職員は3,036人、嘱託職員は545人、臨時職員は1,181人で、非正規職員の割合は36%にもなっています。八王子市役所で働く3人に1人が非正規という割合になっています。これが11年前の1997年では正規職員は3,950人、嘱託職員は233人、臨時職員は613人と、非正規職員の割合は18%でありました。この11年間に非正規職員の割合は2倍にも拡大しています。他方、正規職員は914人も減少しているのです。
行革プランでは、2011年の新たな目標が掲げられています。正規職員は2,849人と、また減っていきます。逆に嘱託職員は、545人から602人へとふえるということになっており、さらに非正規職員が増加していくという傾向が強まってまいります。そこでお伺いいたしますが、自治体の職場、公共部門でも非正規、不安定な雇用形態をつくり出しているという社会問題、この問題をどのように認識しているのか、お伺いいたします。
非正規で働く人たちの賃金や労働条件は、正規職員に比べて、均等な待遇ではありません。2006年に八王子職員組合など3団体が共同で行った八王子市臨時・非常勤職員アンケート調査の結果では、812人の回答が寄せられています。その中で、仕事と収入の関係については、興味深い回答が出ています。仕事について満足、やや満足が61.2%、しかし、収入については不満、やや不満が40.7%という結果です。仕事にやりがいや満足感はあるけれども、収入については不満が高いという結果になっているわけです。そして、収入の使い道は生活費や子どもの教育、ローン返済など、80%の人が生活に必要な収入と答えています。そして、休暇制度や福利厚生に関する意見では、特例臨時職員でも正規職員と同じ出勤・退勤時間、勤務日数なのだから、有給の特別休暇をつくってほしい。正規と同じ仕事量で、仕事もできた特例臨時職員が、長期療養が必要になったため、療休がなく、退職せざるを得なかった。育休がとりたい。育休があれば、もっと働きやすくなる。育休を設けてほしい。安心して子どもを産める環境をつくってほしい。身分が違っても、病気や性にかかわる生理休暇、療養休暇、育休などの休暇は同様に取得できないのはおかしい。まだたくさんの意見や要望があるわけですけれども、このような切実な声が寄せられています。市は、現在1,700人もの臨時・非常勤職員が働いている、このひとりひとりが働く人としての収入や、いろいろと職場に対する意見、要望についてどのような把握をしているのか、お伺いしたいと思います。
正規職員の減少は、保育園や学童保育所の指定管理者への移行、あるいは学校給食などの民間委託化によって正規職員も減っています。先日の議会では、社会福祉協議会が受託している学童保育所で45人の指導員が派遣会社からの派遣であることが明らかになりました。また、八王子市が委託する高齢者在宅サービスセンターでは、事務スタッフ、調理スタッフのパートを時給850円からとして普通の募集広告で募集しています。委託や指定管理者でも非正規で働く人たちがふえていくことが実感されますし、また、とても広がっているのだろうというふうに思います。公共サービスを担う職員の労働条件、こうした委託化、あるいは指定管理者で働く人たちの労働条件などは、市は把握しているのか、お伺いいたします。
委託などにおいても、いわゆる官製ワーキングプアというものが生み出されています。年収200万円にも届かない、働いても働いても生活できる賃金が得られないという状況が、民間だけではなく、公共の部門においても生み出されています。把握できていないとすれば、委託や契約条件にその実績の報告を求めることなどして、ぜひ委託先、指定管理者など、アウトソーシング部門で働く人たちの雇用実態の調査をしていただきたいと思いますが、これについて御答弁をお願いいたします。
次に、雇用ポートフォリオと市民サービスの問題について伺います。
行革プランでは、雇用ポートフォリオを積極的に導入するとしております。この雇用ポートフォリオとは、特定分野の専門知識を有する嘱託員や、必要に応じて雇用する臨時職員を適切に組み合わせるということで、正規と非正規の組み合わせによる働き方を積極的に導入されています。例えば図書館の司書、あるいは生活保護のケースワーカーなどに嘱託職員が入り、働いています。しかし、現在の地方公務員法は、こうした恒常的な非正規職員の働き方を想定しておりません。雇用ポートフォリオは地公法と矛盾する雇用形態ではないのか、お伺いいたします。
そして、そのために非正規職員は法の谷間にいると言えます。公務員は育児・介護休業法やパート労働法は適用されませんけれども、公務員向けの育休法でカバーされます。しかし、非正規職員は公務員向けの育休法からも適用除外となっており、非常勤という理由で適用されておりません。非常勤の身分や処遇をカバーする法の適用があるのかどうか。ないとすれば、今どのような形で雇用や処遇の問題が考えられているのか、明らかにしていただきたいと思います。
次に、非正規で働く人たちの働き方の問題です。
現在1,700人にもふえた嘱託、非常勤の臨時職の人たちは公共サービスにとって必要不可欠で重要な存在になってきています。正規職員の働くパートナーとして、そして、市民サービスをより豊かにしていく働き手として、大変大事な職員たちだというふうに思いますが、市はどのようにこの人たちの存在をとらえているのか、お伺いいたします。
雇用ポートフォリオによって健康福祉部、男女共同参画センター、図書館司書など、多くの職場で非常勤の人たちが働いていることは先ほど紹介いたしました。図書館司書では50人、生活保護のケースワーカーでは8人が働いています。各職場、専門職、相談員など、たくさんの人たちが働いているわけですけれども、この働いている、重要な公共サービスのパートナーである人たちが市民サービスを充実するためには、働く人たちの仕事に対する意欲ややりがい、誇り、スキルアップをすること、そして、正規との平等な待遇が必要だと考えます。さきに紹介したアンケートでも、仕事に満足しているが収入には不満と40%の人が考えています。
例えば生活福祉課では、8人の嘱託のケースワーカーが働いています。いただいた資料によりますと、昨年、この嘱託員のケースワーカーたちの1人当たりのケースの件数は184件です。正規の職員は120件、ことしは少し減りまして160件、正規の方はふえて129件となっています。昨日、若尾議員からもケースワークの仕事についてさまざまな質問がありましたけれども、東京都の指導検査の勧告事項では、ケースワーカーが31人不足して、増員するということを都からも強く求められていることが指摘されました。この件数の多さは、人員が不足しているという結果なのだと思います。私からも、ケースワーカーの早急な増員を強く求めたいと思います。
これはぜひ早期に実現してほしいと思いますけれども、今回はその非正規のケースワーカーたちの働き方が現在嘱託職員の基準報酬19万9,500円で妥当なのかどうなのかという問題です。これは一例にしかすぎませんが、例えば相談員、図書館司書もそういった金額が妥当なのかどうかということを再検証する必要があるというふうに思います。私は、例えば1人が160件から180件ものケースを任されているケースワーカーの責任や負担を考えますと、19万9,500円は極めて安いのではないかと疑問を持っております。ですから、ぜひ正規のケースワーカーと非正規のケースワーカーの職務評価を実施して、非正規のケースワーカーが働き方に応じた正当な報酬を支払われているのかどうか、きちんと評価すべきだというふうに考えます。これはケースワーカーだけではなく、図書館司書や他の職種でも非正規と正規職員の職務評価を実施し、公正な賃金と報酬、そして、待遇を出すべきだと考えますけれども、御見解をお伺いいたします。
以上で1回目の質問を終わります。
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