◎【40番井上睦子議員】
それでは、一般質問を行います。

 混乱の幕開け、全国でトラブル発生、保険料年金天引き、うば捨て山よりひどい後期高齢者医療、これは4月15日の各新聞社の見出しです。このように混乱のスタートをした後期高齢者医療制度についてまず質問をいたします。

 沖縄県議選では、与党が過半数割れをし、与野党逆転という結果となりました。敗因について、福田首相は、後期高齢者医療制度への批判があったと認めたように、この制度への国民の批判、反対は大きく、制度の小手先の見直しではなく、一たん廃止して、十分な議論をする必要があります。

 昨日の質疑で市民からの苦情や問い合わせについては他の質問者から詳細な紹介がありましたが、市に寄せられた苦情、問い合わせは2月から5月16日までに1万3,115件、そのうち4月は約8,800件にもなっています。件数の多さは周知不足もありますが、制度への批判が強いことをあらわしています。担当所管は、この問い合わせや苦情の対応に追われ、大変だったというふうに思います。市民からの苦情、問い合わせの件数の多さやその内容について、市はどのように受けとめたのか、お伺いいたします。

 次に、保険料についてであります。

 厚生労働省は、保険料は、低所得者は負担軽減、高所得者は負担増と説明したにもかかわらず、先日発表された調査結果は逆で、特に大都市部では低所得者の約8割が負担増との結果が出ました。本市の場合も12のケースすべてで負担増、広域連合29のケースでも20ケースで負担増という結果になっています。昨日の市長答弁によれば、対象者の70%が負担増となることが明らかとなりました。

 負担増と言っても所得の低い層では年間300円から800円程度だから、大した負担増ではない。だからいいのではないかというような問題ではありません。年金受給額は減るのに、介護保険料や後期高齢者医療保険料はふえ続け、高齢者の生活を圧迫します。保険料は2年ごとに見直しをされ、現役世代との負担割合をはっきりさせるとして、医療費が増大すれば、高齢者の負担する保険料に連動していくという仕組みも問題であります。厚生労働省試算でも、7年後には1万3,000円保険料が増加し、負担割合は10%から10.8%になるとしています。医療費が増大すれば、将来の負担増加は避けられないと考えますが、市はどのようにとらえているのか、お伺いいたします。

 また、保険料の負担に耐えられなくなった場合は、医療費を抑制せざるを得ず、その結果、医療内容も制限され、十分な治療を受けられなくなるというふうにこの制度では考えられますが、どうでしょうか。お答えください。

 次に、障害者、扶養家族への影響について伺います。

 65歳以上の重度障害者も原則後期高齢者医療制度へと統合されます。本市の場合、障害者の皆さんはどのような選択をされたのか。国保にとどまった人数、後期高齢者医療制度へ移行した人数について、また国保にとどまった場合、重度心身障害者医療の受給資格や窓口負担はどのようになるのか、お伺いいたします。

 高齢者と障害者はどちらも医療を必要とする機会が多く、ハイリスクのグループだけで保険料を負担して、保険制度が続くということは困難です。なぜ障害者もこの制度に原則組み込まれるということになったのでしょうか。お伺いいたします。

 次に、扶養家族の保険料負担についてであります。与党見直し案では先送りとなりましたけれども、子どもなどの被扶養者でこれまで保険料を払ってこなかった高齢者の保険料は、現在全額免除となっています。10月からは来年3月まで均等割の1割負担、来年4月から2010年3月まで均等割の5割負担と、2年間の激変緩和措置がとられましたが、2010年4月から全額負担となってまいります。厚生労働省の子どもと同居している世帯のケースでは、高齢者の保険料は、単身世帯の同額年金受給者と比べて多くなっています。年金79万円の単身世帯では保険料が1万1,300円でありますけれども、事業所得が180万円ある子ども夫婦と同居している年金79万円の高齢者の保険料は3万7,800円となります。これは世帯収入が259万円となり、軽減策が適用されないからです。このように扶養家族の保険料は、軽減策終了後、全額負担となった場合、大変な負担となることが予想されます。凍結後、全国で200万人が年間平均8万4,000円を新たに負担することになると言われておりますが、本市の場合の対象人数、負担額の試算についてお伺いいたします。

 5月29日の読売新聞は、広域連合に扶養家族の情報届かずと報じています。原因は、社会保険庁による企業からの情報収集が進まなかったこととしています。事務的なことですら進んでいないわけですが、現在、扶養家族の情報収集についての見通しは立っているのでしょうか、お伺いいたします。

 次に担当医の状況についてです。後期高齢者医療制度では、外来診療に包括払いと担当医制度が導入されました。包括払い方式は、月額6,000円の診療報酬という決まった額の中で医療行為をすることになり、医療機関からすると、丁寧な検査や処置をするほど赤字になります。この報酬を受け取れる担当医は、患者の主な病気を診察する1人のみです。担当医制度について、多くの地方医師会が複数の慢性疾患を持つ患者が本当に必要な治療を受けられなくなるとして反対しており、全国では2割程度の届け出になっています。八王子市内の医療機関で担当医の研修を受け、届け出をしている件数及びわかりましたら4月、5月の利用状況についてお尋ねいたします。

 担当医制度は、74歳まで受けていた治療と75歳からの治療を差別化することであります。ほかにも、75歳以上の高齢者と65歳以上の重度障害者について、医療を差別化していく内容があります。終末期相談支援料は、与党の見直し案では当面凍結というふうな方向が出されておりますが、死に瀕した高齢者と障害者に延命治療をするかどうか自己決定させ、それを書面に残せば、2,000円の診療報酬が払われるというものです。

 また、診療報酬の改定で、10月から、脳卒中や認知症から重度障害を負った後期高齢者、障害者が91日以上入院すると減額されることになり、医療機関から受け入れを拒否されたり、退院を迫られるのではないか、治療が続けられるのかという不安の声が上がっています。

 このように年齢で受ける医療を差別化することは、高齢者の命を尊重しない、早く死ねと言わんばかりの制度ではないでしょうか。この医療の差別化について、市の見解をお伺いいたします。

 次に、格差のない働き方の実現について伺います。

 非正規雇用の拡大はワーキングプアを生み、格差と貧困を拡大する社会問題となっています。公共サービス部門においても例外ではなく、全国の自治体で働く臨時・非常勤職員は45万人とも言われています。八王子市の場合、2008年4月1日現在、正規職員は3,036人、嘱託職員は545人、臨時職員は1,181人で、非正規職員の割合は36%にもなっています。八王子市役所で働く3人に1人が非正規という割合になっています。これが11年前の1997年では正規職員は3,950人、嘱託職員は233人、臨時職員は613人と、非正規職員の割合は18%でありました。この11年間に非正規職員の割合は2倍にも拡大しています。他方、正規職員は914人も減少しているのです。

 行革プランでは、2011年の新たな目標が掲げられています。正規職員は2,849人と、また減っていきます。逆に嘱託職員は、545人から602人へとふえるということになっており、さらに非正規職員が増加していくという傾向が強まってまいります。そこでお伺いいたしますが、自治体の職場、公共部門でも非正規、不安定な雇用形態をつくり出しているという社会問題、この問題をどのように認識しているのか、お伺いいたします。

 非正規で働く人たちの賃金や労働条件は、正規職員に比べて、均等な待遇ではありません。2006年に八王子職員組合など3団体が共同で行った八王子市臨時・非常勤職員アンケート調査の結果では、812人の回答が寄せられています。その中で、仕事と収入の関係については、興味深い回答が出ています。仕事について満足、やや満足が61.2%、しかし、収入については不満、やや不満が40.7%という結果です。仕事にやりがいや満足感はあるけれども、収入については不満が高いという結果になっているわけです。そして、収入の使い道は生活費や子どもの教育、ローン返済など、80%の人が生活に必要な収入と答えています。そして、休暇制度や福利厚生に関する意見では、特例臨時職員でも正規職員と同じ出勤・退勤時間、勤務日数なのだから、有給の特別休暇をつくってほしい。正規と同じ仕事量で、仕事もできた特例臨時職員が、長期療養が必要になったため、療休がなく、退職せざるを得なかった。育休がとりたい。育休があれば、もっと働きやすくなる。育休を設けてほしい。安心して子どもを産める環境をつくってほしい。身分が違っても、病気や性にかかわる生理休暇、療養休暇、育休などの休暇は同様に取得できないのはおかしい。まだたくさんの意見や要望があるわけですけれども、このような切実な声が寄せられています。市は、現在1,700人もの臨時・非常勤職員が働いている、このひとりひとりが働く人としての収入や、いろいろと職場に対する意見、要望についてどのような把握をしているのか、お伺いしたいと思います。

 正規職員の減少は、保育園や学童保育所の指定管理者への移行、あるいは学校給食などの民間委託化によって正規職員も減っています。先日の議会では、社会福祉協議会が受託している学童保育所で45人の指導員が派遣会社からの派遣であることが明らかになりました。また、八王子市が委託する高齢者在宅サービスセンターでは、事務スタッフ、調理スタッフのパートを時給850円からとして普通の募集広告で募集しています。委託や指定管理者でも非正規で働く人たちがふえていくことが実感されますし、また、とても広がっているのだろうというふうに思います。公共サービスを担う職員の労働条件、こうした委託化、あるいは指定管理者で働く人たちの労働条件などは、市は把握しているのか、お伺いいたします。

 委託などにおいても、いわゆる官製ワーキングプアというものが生み出されています。年収200万円にも届かない、働いても働いても生活できる賃金が得られないという状況が、民間だけではなく、公共の部門においても生み出されています。把握できていないとすれば、委託や契約条件にその実績の報告を求めることなどして、ぜひ委託先、指定管理者など、アウトソーシング部門で働く人たちの雇用実態の調査をしていただきたいと思いますが、これについて御答弁をお願いいたします。

 次に、雇用ポートフォリオと市民サービスの問題について伺います。

 行革プランでは、雇用ポートフォリオを積極的に導入するとしております。この雇用ポートフォリオとは、特定分野の専門知識を有する嘱託員や、必要に応じて雇用する臨時職員を適切に組み合わせるということで、正規と非正規の組み合わせによる働き方を積極的に導入されています。例えば図書館の司書、あるいは生活保護のケースワーカーなどに嘱託職員が入り、働いています。しかし、現在の地方公務員法は、こうした恒常的な非正規職員の働き方を想定しておりません。雇用ポートフォリオは地公法と矛盾する雇用形態ではないのか、お伺いいたします。

 そして、そのために非正規職員は法の谷間にいると言えます。公務員は育児・介護休業法やパート労働法は適用されませんけれども、公務員向けの育休法でカバーされます。しかし、非正規職員は公務員向けの育休法からも適用除外となっており、非常勤という理由で適用されておりません。非常勤の身分や処遇をカバーする法の適用があるのかどうか。ないとすれば、今どのような形で雇用や処遇の問題が考えられているのか、明らかにしていただきたいと思います。

 次に、非正規で働く人たちの働き方の問題です。

 現在1,700人にもふえた嘱託、非常勤の臨時職の人たちは公共サービスにとって必要不可欠で重要な存在になってきています。正規職員の働くパートナーとして、そして、市民サービスをより豊かにしていく働き手として、大変大事な職員たちだというふうに思いますが、市はどのようにこの人たちの存在をとらえているのか、お伺いいたします。

 雇用ポートフォリオによって健康福祉部、男女共同参画センター、図書館司書など、多くの職場で非常勤の人たちが働いていることは先ほど紹介いたしました。図書館司書では50人、生活保護のケースワーカーでは8人が働いています。各職場、専門職、相談員など、たくさんの人たちが働いているわけですけれども、この働いている、重要な公共サービスのパートナーである人たちが市民サービスを充実するためには、働く人たちの仕事に対する意欲ややりがい、誇り、スキルアップをすること、そして、正規との平等な待遇が必要だと考えます。さきに紹介したアンケートでも、仕事に満足しているが収入には不満と40%の人が考えています。

 例えば生活福祉課では、8人の嘱託のケースワーカーが働いています。いただいた資料によりますと、昨年、この嘱託員のケースワーカーたちの1人当たりのケースの件数は184件です。正規の職員は120件、ことしは少し減りまして160件、正規の方はふえて129件となっています。昨日、若尾議員からもケースワークの仕事についてさまざまな質問がありましたけれども、東京都の指導検査の勧告事項では、ケースワーカーが31人不足して、増員するということを都からも強く求められていることが指摘されました。この件数の多さは、人員が不足しているという結果なのだと思います。私からも、ケースワーカーの早急な増員を強く求めたいと思います。

 これはぜひ早期に実現してほしいと思いますけれども、今回はその非正規のケースワーカーたちの働き方が現在嘱託職員の基準報酬19万9,500円で妥当なのかどうなのかという問題です。これは一例にしかすぎませんが、例えば相談員、図書館司書もそういった金額が妥当なのかどうかということを再検証する必要があるというふうに思います。私は、例えば1人が160件から180件ものケースを任されているケースワーカーの責任や負担を考えますと、19万9,500円は極めて安いのではないかと疑問を持っております。ですから、ぜひ正規のケースワーカーと非正規のケースワーカーの職務評価を実施して、非正規のケースワーカーが働き方に応じた正当な報酬を支払われているのかどうか、きちんと評価すべきだというふうに考えます。これはケースワーカーだけではなく、図書館司書や他の職種でも非正規と正規職員の職務評価を実施し、公正な賃金と報酬、そして、待遇を出すべきだと考えますけれども、御見解をお伺いいたします。

 以上で1回目の質問を終わります。


◎橋本辰夫高齢者・障害者担当部長
後期高齢者長寿医療制度について、るる御質問いただきました。

 初めに、市民からの問い合わせ、苦情が非常に多く、これをどのように受けとめているかというような御質問でございます。八王子市では、制度の施行に向けまして、1月より38回に及びます市民への説明会や出前講座開催のほか、広報特集号を初め制度の周知に努めてまいったところであります。しかし、国や広域連合等からの制度周知につきましては3月に入ってからと非常に遅く、こういった国の対応につきましては、市町村の現場としては非常に国の認識不足を強く感じているところであります。

 また、法の成立から制度の施行の間、2ヵ年あったにもかかわらず、結果としてこのようなことが発生したということは、大変苦労して準備を進めてきた窓口の職場といたしましては、国の対応に対して強い不満を感じているところでございます。

 続きまして、保険料の値上がりについての御質問でございます。広域連合の事業計画によりますと、今後、高齢化率の増加に伴い、高齢者の医療費は増加すると推計されており、これに伴いまして、現在の財源の仕組みの中では、事業計画に従い2年ごとに改定されていくものと考えております。

 将来の負担増についても御質問いただきました。医療費の増嵩に伴い、保険料の負担もふえるものと考えておりますが、社会保障費の負担のあり方については、現在国でも検討しているところでありまして、本市としてはこの動向を注意深く見守っているところでございます。

 続きまして、医療費の質ということで御質問いただきました。今回の診療報酬の改定により、後期高齢者診察料等が新設され、その内容についてはさまざまな意見を承っております。これにつきましては、現在、中央社会保険医療協議会において検証中と聞いておりまして、本市といたしましても、国の動向を注意深く見守っていきたい、そのように考えております。

 次に、障害者の加入状況であります。障害者認定によります加入者数は4月1日現在405名、障害者認定撤回者数は4月1日現在318人であります。

 障害者への影響でありますが、東京都の医療費助成等は今までどおり公費負担も行われるため、影響についてはないものと考えてございます。

 65歳以上75歳未満の障害者を対象としたことにつきましては、現在の老人保健制度からの移行ということで、同様の取り扱いを行ったのではないか、そのように考えております。

 次に、扶養家族でございます。扶養家族の凍結後の負担増の試算でありますが、いろいろと流動的でありますが、平成20年度の保険料は1,800円、21年度は5割軽減のため均等割の半分に当たる1万8,900円となりますが、軽減措置に該当すれば1万1,300円となります。

 それから、被用者保険の被扶養者数の把握でありますが、全国でおおむね200万人ということで聞いております。被用者保険の本人は全国で35万人いると言われております。被用者保険の被扶養者数の把握につきましては社会保険庁が行っておりますが、これについてはおくれぎみということであります。これがおくれますと、保険料算定に影響が出ますことから、市といたしましては早期の対応を求めているところでございます。

 それから、包括支払制度等の御質問でありますが、これにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、中医協において検証中と聞いております。


◎小島敏行行政経営部長
非正規職員の関係で御質問いただきました。

 まず公共部門で非正規職員を大量に生み出していることへの認識ということでございますけれども、御質問者からも御紹介がありましたように、全国の自治体では45万人を超える非正規職員がおり、また、国家公務員におきましても33%の非常勤職員が勤務しているところでございます。これらは行政に寄せられる市民ニーズが拡大し、また、高度化、多様化する中での対応だろうというふうに認識をしているところでございます。市民サービスの充実につながるとともに、働き方の多様性を担保しているというふうに考えているところでございます。

 次に、雇用ポートフォリオの展開が現行の地公法上とのかかわりの中で問題を有しているのではないかという御質問でございますけれども、嘱託につきましては、特定分野の専門知識を有する中で、公務サービスの一翼を担っていただいております。個人というよりも資格で働いていただいておりますので、任期を区切った雇用ということになっておりますので、地公法には抵触しないというふうに考えております。

 それから、非常勤職員の公務サービスを展開する上で、パートナーということでの認識ということでございますけれど、これにつきましては私どもも御質問者と全く考えを一にしております。公務サービスを担う働き手が多様化している中では、非常勤職員につきましても常勤職員につきましても、市民サービスを展開していく上で必要不可欠なスタッフであるという認識に立っているところでございます。


◎小林昭代総務部長


まず非常勤職員の意見の把握ということですけれども、御質問者からも御紹介をいただきました職員団体が実施しましたアンケート調査、それから、同じく職員団体から出されます要求書、または職員満足度調査、そうしたことの中から実態を把握するという状況になっておりまして、実際には報酬について、経験や職務の考慮といったことや、休暇制度の充実などについて要望が寄せられているところです。

 それから、幾つかケースワーカーの例も出していただきまして、特に嘱託職員の報酬額の妥当性の再検証ということについてですけれども、これにつきましては、嘱託職員の報酬──申しわけありません。もう一つ、非常勤職員、嘱託職員の法的な位置づけという御質問をいただきましたけれども、これについては、特別職については、非専門職であるというようなことからして、地公法の適用を受けないということになっております。本市においては、非常勤特別職の報酬に関する条例や八王子市嘱託職員設置要綱等を定めて、その任用について適正化を図っているところです。

 それから、嘱託職員の金額の妥当性、再検証をするべきではないかということですけれども、嘱託職員の職のあり方、位置づけ等については、労使による検討会で引き続き検討するということになっております。また、嘱託職員の報酬につきましては、職務の複雑性とか、経験、そうしたことを勘案して、また、民間の同業種によります賃金の動向等も参考にして、個別に決定しているところですけれども、また、その職のあり方等については、引き続き検討するということにしております。

 また、非正規職員と正規職員の職務評価ということですけれども、期間の定めのない雇用を前提として任用します正規職員というのは、当然採用から退職までの間、長期にわたって、本市独自の人事制度と研修制度の中で幅広い視野で能力を発揮できるように育成し、さまざまな業務を経験することによって、技能形成、キャリア形成をしていくということにしております。任期を定めて、特定の分野を担うこととしている嘱託職員と、職務の価値というようなものを同様に職務評価をするということについては困難であるというふうに認識しております。


◎原島一総合政策部長


委託とか、指定管理者など、アウトソーシングしている場合の労働条件について把握しているかという、こういう御質問でございます。把握はしておりません。そうした業務を実際に現場で担うこととなります職員の労働条件につきましては、指定管理者の責任で対応する事項であり、市といたしましては、仕様や協定書に定める内容の確実な履行を求める立場、このように考えております。その仕様書や協定書への労働条件の明示とかいったことも現時点では考えておりません。


◎橋本辰夫高齢者・障害者担当部長


先ほど答弁に1つ漏れがございました。

 担当医の届け出状況でございますが、厚生労働省の発表によりますと、4月14日現在で、内科を主たる診療科とする診療所の届け出状況は、全国平均で24%となっております。八王子市独自では集約はしておりません。このため、八王子市における利用状況についても不明でございます。


◎40番井上睦子議員


それでは、後期高齢者医療制度についてお伺いいたします。

 先ほど市の担当者から、2年間苦労して実務を担当してきたのに、この間の国の対応には不満を抱いているという率直なお答えがありました。それはそうだろうというふうに思います。

 ただ、制度の内容については、中医協の対応を見守るとか、いろいろと中立的な答弁だったわけでありますが、現場が一番市民と接しているわけでありますから、制度の内容についてもどのように感じているのか、1万1,000件の問い合わせ、苦情の電話から何を感じたのかということをもう一度率直にお答えいただければというふうに思います。

 保険料負担の問題についても、2年ごとに改定し、それは社会保障制度のあり方の議論もあるので、動向を見守るということでありましたけれども、今の制度そのものでしたら、システムとして決まっているわけですから、医療費が増大すれば保険料を上げる。あるいは、保険料が上がらなければその枠の中での医療しか受けられないという結果になるのではないかというふうに思います。こうしたシステム自体が後期高齢者医療制度の持つ大きな問題点だと考えています。

 障害者の問題については、なぜ障害者の人たちが後期高齢者医療制度へ統合されたのかということは、老人保健制度に一緒に入っていたからだというような答弁がありましたけれども、私は疑問であります。後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子では、被保険者である後期高齢者は、この制度の中でいずれ避けることができない死を迎えることになるというふうに位置づけられているように、死が近い人たちのグループにリスクを抱えた障害者も65歳から入れるという、年齢差別に加えて障害者差別の側面がこの制度の中には思想としてあるのではないかと思います。障害者の医療制度として障害者の単独の1つの政策としてこれは確立すべきであります。

 後期高齢者医療制度へ参加した人たちは405人ということで、他の人たちは国保の方に残っているわけですが、窓口負担などで後期高齢者制度を選択せざるを得なかった障害者もいるのではないかというふうに思います。選択の結果ではなく、せざるを得なかったということではないでしょうか。

 提供される医療の問題については、中医協において検証するということでありますけれども、与党の見直し案の中でも、終末期の部分については、当面凍結ということになりました。極めて批判が強かったわけです。こうした問題、自治体としても率直に国に対して上げていくべきではないかというふうに思います。

 今後の課題としてお伺いいたします。スタート時から保険証が届かない、保険料の徴収ミスが起こるなど、大変混乱しましたけれども、扶養家族の情報もまだ届かないなど、事務的なおくれが現在も続いています。こうした事務的な問題はほかにもあるのでしょうか。お伺いいたします。

 低所得者の保険料の軽減策など、一昨日、与党の見直し案が発表されました。6月11日の朝日新聞は見直し小幅、先送り続出、議論紛糾、制度の根幹手つかずと報道しています。与党の見直し案は、市民の苦情にこたえられるものなのかどうなのか、現場からはどのようにお考えか、お伺いいたします。

 後期高齢者医療制度を含めた医療制度改革法案は、2006年6月、与党の強行採決によって成立したものです。十分な調査と審議がされず、問題を明らかにしなかったこと、何よりも当事者である高齢者の意見が反映されなかったことが、今日の混乱と、高齢者の怒り、批判を巻き起こしています。制度開始前から、与党は扶養家族の保険料軽減の経過措置をし、また、開始後2ヵ月で見直しをするというのは説明、準備不足ではなく、制度の根幹に欠陥があるからにほかなりません。

 後期高齢者医療制度の目的は、国民皆保険制度の維持ではなく、医療費の適正化、削減にあります。社会保障審議会では、2025年までに在宅死を2割から4割に上げ、年間5,000億円の終末期医療費を削減することを目標としています。その後の後期高齢者医療のあり方に関する特別部会では、終末期医療のヒアリングで、一般死の場合はこれは全く別ですから。老衰とかです。そんなたぐいは在宅死が一番いいわけですと、高齢者をそんなたぐいと呼び、命の尊厳に対する畏敬の念など全く感じられない議論が繰り返されています。先ほど紹介した内容は議事録の抜粋であります。それが終末期相談支援料となって、診療報酬に位置づけられてきたのであります。

 また、後期高齢者医療制度の広報役を務める国民健康保険課課長補佐の一連の発言が大きく報道されましたけれども、医療費が際限なく上がっていく痛みを、後期高齢者がみずから自分の感覚で感じ取っていただくことにしたと講演で語り、後期高齢者が亡くなりそうになり、いろいろな治療がされる。それがかさむと500万円とか、1,000万円の金額になってしまう。家族の感情から発生した医療費をあまねく若い世代が支援金として負担しなければならないということになると、若い世代の負担の意欲が薄らぐ可能性があると、著書にもこの課長補佐は記しています。そのように終末期、お年寄りが率直に感じているように、早く死ねということなのかというような議論が担当者からも、特別部会でも議論をされていたわけです。

 また、保険料が払えない場合は、保険証を取り上げ、窓口での10割負担を強いるなど、実質的に医療から遠ざかる人々、無保険者をつくり出していくことになります。これは国民皆保険制度が維持ではなく、崩壊することであります。

 昨日、市長は答弁で、この間、広域連合にかかわり大変苦労されてきた立場から、解決策をぜひ国に提言していただきたいというふうに私は思います。昨日の答弁で、小出しの見直しではなく、じっくり時間をかけて抜本的な解決策をというような御答弁の内容だったというふうに記憶しておりますけれども、市長はこの制度について言いたいことはたくさんあるということでありましたから、ぜひ抜本的な解決策についてはどのようなことが必要だと市長はこの間の経験からお考えなのか、明らかにしていただきたいというふうに思います。

 広域連合でも財源負担を国に求めるなど、さまざまな努力をされてまいりましたけれども、そういった点についてもお考えをお示しいただきたいと思います。

 次に、格差のない働き方の実現についてお伺いいたします。

 社会問題としての認識について、私は伺ったわけでありますけれども、そういった御答弁ではありませんでした。行政サービスが高度化、多様化するという中での働き方なのだということでした。私が質問いたしましたのは、今民間部門でも非正規労働がふえている。そして、生活するに足りる賃金を得ることができない。働いても働いても苦しいというワーキングプアが出現している。これが社会の安定性を欠き、人々の連帯を欠き、将来には社会保障費の負担として返ってくるだろうということが、昨日の若尾議員からも詳しく質疑をされたところであります。やはり同じような観点から、公務職場での官製ワーキングプアという人たちが出現しているという問題について、その責任についてどのように考えているのかということをお伺いいたしましたので、再度御意見を伺いたいと思います。

 収入の実態や意見、要望については理解しているということでありましたので、それを理解すると改善につなげていく努力をお願いしたいと思います。

 委託や指定管理者の職員の実態の問題についてであります。把握していない、今後把握するということもしないということでありましたけれども、例えば社会福祉協議会で派遣会社から職員を派遣してもらうというようなことは、市は把握して、社会福祉協議会が直接に雇用するということが議会でも答弁されたわけでありますけれども、どのような働き方をしているのか、そして、それが公共サービスの提供する働き方として適切なのかどうなのかということは、こうした例からもきちんと市が把握しなければならないことだと考えますけれども、ぜひその点について再度御意見を伺いたいというふうに思います。

 雇用ポートフォリオの問題について、重要なパートナーであり、そして、身分としては条例や要綱でその取り扱いについては適正を図るということでありました。とするならば、重要な働き手、パートナーであれば、さまざまに非常勤の人たちが要求している待遇の問題についても、きちんと条例や要綱でこれからも対応していく可能性があるものとして期待していきたいというふうに思います。

 千葉市では、手話通訳の非常勤の人が出産して、育休を求めたところ、解雇になった。その問題について、日弁連に人権救済の申し立てをして、日弁連が勧告し、千葉市の場合は臨時職員でも育休がとれるというようなシステムが確立しました。今、八王子市の特別職の人たちが条例や要綱で適正化を図っているとするならば、ぜひこうした取り組みも要望が多くあれば取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次に、職務評価の問題についてであります。職務評価は、性差や職種の違い、雇用形態の違いなどに関係なく、職務の客観的な分析と性に中立な評価によって職務の価値を数値化するということです。職務の価値を客観的に見直すことができる職務評価というのは、公正な賃金と雇用を実現するシステムだと言われています。

 この職務評価は、2001年、京ガス男女賃金差別裁判で採用されました。第1審では、原告と男性管理職の各職務を知識、技能、責任、精神的な負担と疲労度を比較して検討した結果、その各職務の価値に差はないとして、原告に勝利判決が出され、その後、和解判決に至っています。日本では、こうした男女賃金差別という裁判で使われてきているわけですが、これはILOの100号条約、男女同一価値労働同一賃金の考え方が背景としてあります。

 同一価値労働同一賃金は、パート労働法にも適用されている考え方でありますけれども、今、非正規雇用がどんどん拡大していく中で、非正規の正当な働き方、公平な働き方を求める1つの手法として職務評価というのが注目をされています。

 海外では、欧米先進国で80年代から同一価値労働同一賃金の実現に向けてさまざまな取り組みがされてまいりました。アメリカでは、男女賃金格差の是正を求めて、公務部門で実績を上げていますし、カナダでは1987年に同一価値労働同一賃金法が制定され、民間や公務を問わず、使用者にその実行を期限つきで義務づけ、不当な賃金差別は社会悪として淘汰されるという実績を上げています。そして、イギリスでは、裁判所にこの問題の申請を行い、客観的な評価が専門家によってされ、同一価値労働同一賃金原則による是正の実績を上げておりまして、全国の統一職務評価制度が確立されて、これはパートタイマーにも適用されてきています。

 今、非正規職員の雇用ポートフォリオによりますと、職務の分析など進めているようでありますが、それが終われば、非正規職員間でのそうした職務の分析ではなくて、同様の仕事をしている職員と非正規職員との職務の価値についてぜひ検討を始めていただきたいと思います。非正規労働だけでは本当にその人たちが働いている価値が、その価値に対して正当な報酬が支払われているのかどうかということは大変疑問でありますので、まだまだ確立していないと言えば確立していない手法でありますけれども、これは非正規の雇用が拡大する中で、非正規の賃金をどのように評価するのかという1つの大きな効果的な手法だというふうに思います。ぜひこのことに着手していただきたいと思いますが、再度御答弁をお願いいたします。


◎橋本辰夫高齢者・障害者担当部長


後期高齢者長寿医療制度につきまして御質問いただきました。

 さまざまな御質問者の御意見は御意見として十分承りました。所管の担当者として制度についてどういう見解を持っているかということでございますが、この制度そのものは、少子・高齢化の進展の中で適切な医療を確保するためには必要な制度であるというふうに認識しております。しかし、さまざまな声が国民から寄せられていることから、国は現在見直しを行っている事柄について、しっかりとした対応を行うとともに、十分に説明責任を果たしていただきたい、そのように感じております。

 また、都道府県間の所得格差を是正するための調整交付金制度が平均所得の高い東京都は満額交付されていない。このために、結果的に保険料が高くなっている。こういった点がありますので、国としては責任のある財政措置をしていただけるよう、強く思っているところでございます。


◎小島敏行行政経営部長


公務職場におきまして、非正規職員、ワーキングプアを発生させていることへの責任ということで再度御質問いただきましたけれども、民間における非正規社員、公務職場における非正規の役割というのは、処遇をめぐりまして、いささか違う面もあるのだろうというふうに思っております。

 雇用ポートフォリオについての説明は先ほどさせていただきましたけれども、厚労省のアンケート調査によりますと、非正規社員のうち、正規につきたいという考え方を持っているものはおよそ2割というようなデータもあるようです。そういった意味合いからすれば、働き方の多様性というものを担保している、そういった性格も有しているのではなかろうかと思います。

 処遇の問題につきましては、あくまでも当事者間で、勤務労働条件にかかわることですから、解決していく課題というふうに考えておりますし、その解決に当たりましては、昨年、企業買収をめぐってさまざまな課題がありました。その中で、会社はだれのものかというような議論もあったように記憶しております。ステークホルダー議論が進む中では、会社は株主だけのものではなく、経営者であり、また、消費者のものである。そういうような議論がされたことを記憶しておりますけれども、行政におきましても、雇用する側、雇用される側の労働問題だけではなく、行政サービスを享受する市民の立場というものも考えた上で、考えていかなければならない問題だろうというふうに思っております。公平と効率のバランスの中で、お互いの利益を実現することが必要でありますから、そういったものを踏まえながら、当事者間で処遇についても解決していくべきだろう、このように考えております。


◎小林昭代総務部長


正規職員と非常勤職員の職務分析について、再度御質問をいただきました。先ほどお答えしたとおりです。もともと正規職員と非常勤特別職の位置づけということが違う中での評価は非常に困難だというふうに考えております。これを仮に実施するということになりますと、それぞれの業務をすべて細分化して、厳密に評価していくということになりまして、さらなる職員の間に階層をつくっていくというようなことも懸念される状況が出てくるのではないかというふうに考えておりまして、現状の中では、非正規であります嘱託職員、それから、あり方または待遇については、今行政経営部長が答弁申し上げましたように、労使検討会の中で真摯に協議をしてまいりたいと考えております。


◎原島一総合政策部長


アウトソーシングしている場合の労働条件について再度お尋ねをいただきました。委託でありましても、指定管理者でありましても、受託者として法令の遵守は当然の前提としてとらえております。それに加えまして、雇用条件を示すべきとか、こうでなければならないとする、そういうような考え方は持っていないということであります。ただし、万が一労務管理等に起因して、サービス水準が低下したような場合、こういう場合には必要に応じまして改善の指示を行っていくことになってまいります。


◎黒須隆一市長


第40番、井上睦子議員の質問にお答えいたします。  後期高齢者医療制度についての御質問でございますけれども、この制度は、私は、現在の高齢社会が急速に進んでいる中で、将来にわたって国民皆保険制度を堅持するためには必要な医療制度の大改革だというふうには認識いたしております。なぜこんなに混乱しているのかといいますと、昨日もお答えしましたように、2年間の準備期間がある中で、厚生労働省が十分な説明をしてこなかった、準備が足りなかった、私はこういうことだと思います。特に、実態調査というものが十分じゃなかったというふうなところに私は要因があるんじゃないかというふうに思っております。  お尋ねですけれども、抜本的な解決策は何があるのか。これは私が答えることじゃないですよ。抜本的な解決策が例えばあるとしても、その実行というのはできないわけでありますし、我々はきちんとこういうふうにしたらいいんじゃないか、こういうところがまずいんじゃないかということは市長会等を通じてきちんと国へ届ける。そして、国にゆだねるということ。これが我々のやる道じゃないですか。私はそう考えます。