◎【40番井上睦子議員】
それでは、まず、信託報酬についてお伺いをいたします。

 先日の総務企画委員会で土地信託につく信託報酬については、長年の協議の結果、信託報酬の料率を下げ、その分、信託配当に回すという御報告がありました。私ども議会もこの土地信託の30年後が大変心配であるということから、毎回報告があるたびにさまざまな提言、意見を述べてまいりました。積極的にその問題を受けとめていただいて、今回、報酬料率が引き下げられたという成果があったことについては、その御努力を評価したいと思います。

 しかし、その料率によって変化をし下がったのは300万円でありました。これが信託配当に回るわけですが、当初、信託配当の見通しは毎年5億円、30年後には150億円ということで、この5億円と300万円の落差の大きさにやはり愕然とするわけであります。今後、信託配当の見通しはどのように変化をしていくのか。中期計画をいただきましたけれども、毎年下がった信託報酬の料率分、平均的には300万円が積み立てられていくという計画にしかなっておりませんけれども、残り18年間総額、当初目標では150億円だった信託配当がどのような金額になるのか、まず見通しをお聞かせいただきたいと思います。

 2点目には、借入金の残高と今まで支払った利息の問題についてであります。これは、信託期間終了後、借入金はすべて返済できるという見通しがあるのかどうかということの確認も含めてお伺いをいたします。

 次に、修繕費用についてであります。以前の御答弁でも、修繕費用は総額約55億円という御答弁がございました。今の段階でも修繕費用、これは総額55億円ということで変化はないのか。そして、今までの修繕費用の支出総額はどのようになっているのか。そして、19年度末に積み立てられた修繕積立金はどの程度の残額があるのか。この残額と今後積み立てていく計画ですべての修繕費用55億円が賄っていけるという見通しがあるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

 次に、八王子市学園都市文化ふれあい財団についてであります。

 これは、ことしの3月に出されました包括外部監査の結果報告書においても財団については大変厳しい指摘がされております。何度も私も委員会でも指摘をいたしましたが、もう一度監査意見を紹介いたします。財団が民間経営主体と企画提案の競争を行うに当たり、人的資源の活用、経営ノウハウの蓄積などについてさらに改善されるべき余地が大きいことを認識した。また、経営に精通する役員が財団の経営理念や方針を明確に打ち出し、財団改革を行うことが財団にとっての自立化の近道であることも痛感をした。財団職員の人的能力の開発や職務遂行面における応用がさまざまな原因から行われていない状況も見受けられるというふうに指摘をされておりまして、全面的な改革の必要性が指摘をされたわけであります。ふれあい財団もこの指摘を受けて、指摘項目ごとに今後の対応方針を計画していると思いますけれども、現在それはどのような状況にあるのか、包括外部監査の指摘に現時点でどのように取り組んでいるのか、お伺いをしたいと思います。新しい執行体制もつくられてきているわけですが、そうした効果は出てきているのか、具体的にお聞かせをいただきたいと思います。

 包括外部監査の指摘にもありますが、まず、この財団の改革、いわゆるどのような高い能力を有するのかということは、ひとえに人的資源の開発、人材の育成ということが大きな課題となってまいります。ことしの事業計画でも人材育成についてということで、本財団職員の人材育成のため、職層別、実務専門別研修の充実を図り、職員の通信教育受講へ助成金を支出し支援する。また、講師を外部から招聘するとともに、積極的に外部研修会への参加を実施していくと、人材育成については書かれています。これだけではどのような人材をどのような手法で育成をしていくのか、スキルアップをしていくのかということがわかりません。現在の財団職員の人材育成、あらゆる高い能力を持った、特に文化振興にかかわる仕事でありますから、それについての精通した能力を備えなければならないと思います。その点についてどのような取り組みが今後されていくのか、お聞かせをいただきたいと思います。

 次に、指定管理者導入後2年が経過をするわけです。外部監査の指摘にもあるように、民間経営主体と企画提案の競争を行うに当たってはまだまだ改善の余地があると指摘をされた財団でありますが、指定管理者の指定期間終了後は今後民間との競争にさらされるという局面も今のままでは出てくるというふうに思います。それに向けてどのような素地といいますか、財団自身が成長してきているのかということを明らかにしていただきたいと思います。

 以上で1回目の質問を終わります。


◎田沼正輝財務部長
長年交渉をしてまいりましたみずほ信託銀行の信託報酬がこれまでの2.4%から2.16%へ見直しをした成果の部分として、これは目に見える形で本市の信託配当として受けとめていきたいというふうに考えております。年額はお示しいただきましたように300万円ほどですので、信託利益金の8億円から見ると少ない金額であることは承知をしておりますが、今後、残余期間である18年間、約5,000万円ほどになるというふうに見込んでおります。

 それから、信託配当の増額の見込みでありますが、19年度における平米当たりの月額平均賃料、これは2,218円ということで、この5年間で少しずつではありますが、上昇してきております。この平均賃料が募集時の2,700円に近づいたという場合には8,000万円ほどの増収になります。こういうふうになった場合には、修繕積立金の増額あるいは信託配当として受け取ることも可能となります。ただし、これはまさに市場経済の動向、とりわけオフィス需要の影響を受けますので、この点をよく把握の上、賃料引き上げ交渉を検討していきたいというふうに考えております。

 それから、借入金の関係でございます。当初借入額は167億円でございました。これまでの12年間の元本返済によりまして19年度末は111億円でございます。

 それから、修繕の関係でございます。30年間に要する修繕費用でございますが、これはたしか平成13年だと思いますが、試算によりまして55億円というふうにとらえております。これにつきましては現在変わってございません。

 それから、平成8年から19年までの修繕費用でございますが、3.3億円ほどでございます。これは建物の長期保全に必要最低限のものに取り組んできております。

 それから、19年度末の修繕積立金の残高の御質問がございました。この残高は現在11億円になってございます。

 それから、55億円の積み立てができるかどうか、そういう御質問もございました。18年度から入居率のアップによりまして信託利益金が8億円台に乗りました。ここから借入返済分を除いて2億円前後の修繕積み立てができるようになっております。引き続き経費節減に努めまして、55億円の積み立てができるように努力をしてまいります。


◎峯尾常雄市民活動推進部長
私の方からはふれあい財団に関してお答え申し上げます。

 まず、包括外部監査からの指摘等についての対応でございます。こちらにつきましては、内容を真摯に受けとめておりまして、現在、八王子市とふれあい財団双方協議しながら対応策につきまして鋭意検討を重ねているところでございます。また、ふれあい財団におきましては、内部に指摘に沿うような形でのプロジェクトチームを立ち上げまして、改善に現在鋭意取り組んでいるところでございます。

 続いて、財団におきます人材の育成ということですけれども、まず人事配置は適材適所を行いまして、職員の持てる知識とか経験が生かせるように行っておりますし、また、職員が積極的に研修会などに参加できる職場環境の整備を図っておりますほか、文化施設の業務運営あるいはマーケティングとか会計など、そうした分野につきましても専門家に指導を仰ぐなど、職員のスキルアップに努めているところでございます。

 続きまして、指定管理者導入後の財団の競争力の強化という点でございます。こちらにつきましてもいろいろ取り組みをしております。文化施設のトータル的な施設管理ですとか、業務運営のノウハウを蓄積するために、芸術文化会館などの舞台業務ですとかインフォメーションの業務、こうしたことにつきまして、これまでの委託業務を改めまして直営化も図っております。また、市民の方がより利用しやすくなるよう料金設定の変更を行うなど、きめ細かなサービス向上にも取り組んでいるところでございます。また、研修とも重なりますけども、少数精鋭型の組織の実現を目指しまして各部門で人員体制の見直しを行いますとともに、研修を通じまして職員一人一人のスキルアップと、そして意識改革にも努めております。財団では、こうした取り組みを継続することで徐々に競争力の強化を図ることとしております。


◎40番井上睦子議員


まず、土地信託についてです。

 今後の信託配当の見通しについては、毎年300万円積み立てていくと約5,400万円程度、そして賃料がアップをしてこのままこの状況が続けば、2,700円の賃料が確保できれば8,000万円というようなことでありました。当初導入したときの年間5億円の配当ということからすれば、土地信託期間終了後1億円にも届かないということになります。ぜひ信託配当が出る運営については今後も努力をしていただきたいというふうには思いますけれども、この土地信託の事業自体がこうした公共事業にとって本当によかったのかどうかということは、どこかできちんと議論をし、行政側の態度も明らかにしなければいけないというふうに思います。

 一方で、信託配当は最終的には5,000万円から8,000万円ということでありますが、みずほがこの間得てきた利益というのは、みずほから借り入れている借入金の利息約1億9,000万円、そしてこの12年間の信託報酬約3億5,000万円で、計5億4,000万円であります。信託銀行にとっては、この土地信託というのは経営上決して損はしないというシステムになっています。最終的に市場経済の動向によっては被害をこうむる、一定の投資金額も回収をできないというのは公共の立場にあるということが今回の南大沢の土地信託でも明らかになってくるのではないかと思います。

 そこで、この間5億4,000万円もの利益を得ているみずほとの今後の交渉でありますけれども、さらに信託報酬の引き下げ──実施をできたわけですが、でも、その成果の果実というのは300万円でしかないということを考えると、この交渉は引き続きやっていただきたいというふうに思いますし、料率の改定も、5年間料率は下がっているわけですが、それ以後もぜひみずほとの粘り強い交渉を続けていただいて、信託配当が出るという努力をお願いをしたいと思いますが、そのことについて今後どのような努力をするのか。そして、一定信託報酬の引き下げは実施ができましたけれども、信託配当を上げるための他の今後の課題というのはどこにあるのか、お答えをいただきたいと思います。

 あと、修繕積立金でありますけれども、毎年2億円程度積み立てていけば総計55億円に達するだろうということでありますけれども、中期計画では今年度以降約7,000万円から9,000万円の積立計画でしかありません。賃料の動向によって、入居率の動向によってここは大変不安定な部分でありますが、ぜひこの修繕積立金がきちんと総額55億円確保できるよう、今後も努力をお願いをしたいと思います。

 次に、学文ふれあい財団についてです。プロジェクトチームを立ち上げて外部監査の指摘に取り組んでいるという御報告がありました。2ヵ月程度ではその成果というのは出ないというふうに思いますが、今年度末の段階で一定の方向が出て、きちんと私ども議会にもその対策について報告が出るようお願いをしたいというふうに思います。

 あと、公益法人改革についても、他団体への視察についてということで事業計画に出されております。公益法人への移行をしなければいけないわけでありますけれども、公益法人には4つのタイプがありますけれども、どのタイプへ移行するという準備を進めているのか。そして、移行の時期についてはどのように考えているのか、最後にお伺いをいたします。


◎田沼正輝財務部長


先ほど第1回目の御質問のときに、借入残高の111億円がきちっと残余期間の中で返済できるのかという御質問がありました。大変申しわけございませんでした。これにつきましては、土地信託事業の中でみずほ信託銀行とその辺の連携をしておりまして、この残高の111億円はきちっとその期間内に返済をする予定でございます。

 それから、信託配当の御質問をいただきました。20年度から信託配当が生まれる形となりますけれども、賃料の増収に基づく信託配当を市として強く望んでおります。今後の課題でありますけれども、賃料収入、とりわけオフィス棟の増収が課題というふうに受けとめております。先ほどもちょっと触れましたように、市場経済あるいは京王相模原線沿線のオフィス需要の動向にもよりますけれども、高い入居率の維持とともに、現況の把握と将来を見込みながら賃料引き上げ交渉を検討していきたいというふうに考えております。


◎峯尾常雄市民活動推進部長


公益法人改革への対応ということでございますけども、こちらにつきましては本年12月1日に施行されることになっております。こうしたことを見据えまして、財団では、現在、総務省ですとか東京都あるいは公益法人協会などから資料、情報等の収集に努めているところでございます。改革の具体的な姿を描いての議論というのはこれから深めていくこととなると思いますけれども、いずれにしましても、新財団への移行というのは法の施行後5年のうちに行うこととされております。5年の間に、ふれあい財団設置の趣旨にかんがみまして、今後、公益認定を受ける方向で検討する考え方でございます。