◎【40番井上睦子議員】
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それでは、まず、男女が共に生きる八王子の実現に向けて、プランの成果と課題についてお伺いをいたします。
八王子市が男女平等行政について意識化して取り組み始めたのは、1986年の八王子市婦人問題懇談会の設置からでした。1989年には、女性のための八王子プランが策定され、行政の施策全般にわたって男女平等の視点が貫かれるようになりました。これは、国連を中心に世界的な規模で取り組まれた、1975年の国連婦人年からの継続的な活動があったということは言うまでもありません。
女性のための八王子プランは、男女が共に生きるまち八王子プランと名称を変えましたが、今日まで20年間取り組まれてまいりました。20年間という時間の経過で見れば、まだ比率としては数%に過ぎませんが、女性の管理職がふえたこと、審議会などへの女性の参画率が意識化され、高まったことなどが挙げられます。市はプランの策定とその成果について、どのような評価をしているのか、お聞きをいたします。
次に、今後の課題、つまり、まだ何が変わっていないのかについて、総括的な市の見解をお伺いをいたします。
2007年度に実施された市民意識実態調査では、女性はすべての世代で、男性優先と思う人が8割程度を占めており、女性の中で最も不平等を感じているのは40代の女性で、約9割が男性優先だと感じています。いまだ社会の中に男女の不平等が存在をしているあかしでもあります。
また、夫は外で働き、妻は家庭を守るべきであるという固定的な性別役割分担の考え方について、「反対」と答えた人が、内閣府の調査では52.1%と半数を超えているのに、八王子の調査では39.6%と、12.5ポイントも少なくなっています。役割分担意識は、2002年の市の調査と比較しても、家事、育児とも、男女とも平等に分担するのが望ましいというのが減少し、「女性がかかわることが多くなるのはやむを得ない」が8ポイント増加をしています。
また、介護でも、「女性がかかわることが多くなるのはやむを得ない」というのが4.2ポイントも増加をしており、性別による役割分担意識にとらわれない地域づくりが進んでいるとは言えないと、調査結果を市も分析をしています。
国の調査結果や2002年度の調査と比べて、固定的な性別役割分担意識がより強くなっていることについて、その取り組みの不十分さをどのように受けとめているのか、お伺いをいたします。
国連開発計画の調査によると、人間開発報告2007・2008年版では、人間らしい生活の達成度をあらわす人間開発指数は、177ヵ国中、日本は8位ですが、女性が社会的、政治的、経済的にどれくらいの力を持っているのかの指標であるジェンダー・エンパワーメント指数は54位であります。上位は北欧の国々ですが、アジアの国ではシンガポールが16位と、日本より上位になっています。ジェンダー・エンパワーメント指数の数値は0.557で、依然として日本は男女格差が大きく、ジェンダーの不平等が著しい国であることがわかります。
男女賃金格差は、厚生労働省の調査によれば、2007年度、男性を100とした場合、女性は66.9でしかありません。これはアメリカ、イギリス、フランスと比較して、賃金格差は日本が最大となっています。
2007年の総務省労働力調査によれば、男性の正社員は81.7%に対し、女性の正社員は46.5%で、非正社員は50%を超えています。年々、女性の非正社員、非正規雇用がふえており、その賃金格差につながっているといえます。
女性の社会的、経済的な平等がなかなか達成されない要因について、市はどのようにとらえているのか、お答えください。
現在、格差や貧困の問題が社会問題として大きく取り上げられています。中でも、母子家庭や高齢女性の貧困の問題は深刻です。昨年のひとり親家庭のアンケート調査によれば、これは八王子市が実施をしたわけですが、母子家庭738世帯中、436世帯、56%の世帯が、200万円未満の収入状態でした。手当の受給者を対象にしたアンケートであることを考慮しても、低い収入状況であると、こども家庭部でも分析をしています。
また、高齢女性の年金は低額で、生活保護受給者の増加など、雇用と年金が十分確保されなかった高齢女性の貧困の問題も直視されなければなりません。
住民税課の調査では、2007年3月の数値ですが、市内65歳以上の男女の平均所得の格差は、男性が283万8,000円に対して、女性はたったの58万2,000円でしかありません。実に格差は225万6,000円にもなります。この格差は、前年度より20万円も開いています。
こうした女性の貧困化が進んでいる問題について、市はどのように把握をし、解決しなければならない課題として認識しているのでしょうか。お伺いをいたします。
次に、改正DV防止法と自治体の役割についてお伺いをいたします。
2008年1月に施行された改正DV防止法では、市町村に対して、被害者支援のための基本計画と配偶者暴力相談センターの設置を努力義務として課しました。11月11日の毎日新聞の報道によれば、全国で基本計画の策定は3市、配偶者暴力防止センターの設置は8市にとどまり、自治体の対応がおくれていることが指摘をされています。
八王子市では、DV被害者支援には、相談体制の充実を含めて積極的に取り組んできました。2007年度男女共同参画課の受けたDV相談件数は799件、生活福祉課が一時保護した件数は35件にもなっています。相談件数は年々増加の傾向にあります。
基本計画には、防止と被害者保護についての基本方針、施策の実施内容、それと重要事項を定めることになっています。
野田市では、基本計画に具体的に、シェルターへの保護や緊急生活支援資金の助成や同行支援、居住の場の確保などを定めています。
八王子市でも、被害者の保護と自立への支援を行うためには、生活保護の受給や保育園への入所、学校、母子自立支援施設など、多くの市の資源や施策を活用し、関係所管との連携も必要となってまいります。
市は、被害者支援についての体制を整えてきているのですから、早急に基本計画を策定する必要があります。決算の分科会の答弁では、男女が共に生きるまち八王子プランの改訂に合わせて策定をするという答弁がありました。男女共同参画施策推進委員会からも、プラン2009の策定について、配偶者からの暴力について、行動計画の策定が求められています。
基本計画の策定時期とパブリックコメントの実施についてお聞かせください。
また、計画の重要事項となる内容、ポイントについて明らかにしてください。
配偶者暴力防止センターについては、市町村が設置をする適切な施設において、その機能を果たすように市町村は努めるとしています。配偶者暴力防止センターの業務は、相談、心身の健康を回復させるための指導、緊急時における安全の確保と一時保護、自立のための就労や住宅の確保などの援助、保護命令の制度の利用についての助言や援助、居住し、保護する施設の利用についての助言や連絡調整と援助から成っています。
被害者に最も身近な市がセンターの機能を発揮することが、被害者の保護と自立を促すことになります。男女共同参画センター、あるいは生活福祉課がその機能を持つことができないのか、お答えください。
次に、虐待の防止についてお伺いをいたします。
まず、高齢者の虐待の問題についてです。高齢者虐待防止法は、2006年4月に施行され、自治体に高齢者虐待の防止、高齢者の保護、擁護者への支援をすることを求めています。
最近、介護現場の方たちから、認知症の母親に対して厳しくしかりつける家族など、高齢者虐待と疑われるケースが多く、気にかかるということをお聞きしました。2007年度の厚生労働省の調査でも、約1万3,300件と、前年度より高齢者虐待のケースは5.6%もふえています。
市として、高齢者虐待に対する組織的な対応がとられているのかという観点から質問をいたします。
まず、通報、相談件数、そして虐待の内容、また、それへの対応、例えば高齢者と家族との分離など、どのような対応、支援が行われたのか、明らかにしてください。
また、虐待が起こる要因は、介護疲れや認知症などに対する無理解などがあると指摘されていますが、その背景や要因について、どのように把握をしているのか、お伺いをいたします。
策定中の第4期介護保険事業計画の検討の中では、虐待が疑われるケースについては、高齢者虐待防止マニュアルに基づき、地域包括支援センター及び市が適切に対応に当たり、必要な場合には迅速に立ち入り、調査など実施するとしていますが、現在、高齢者虐待防止マニュアルは策定中と聞いておりますけれども、いつ整備をされるのか、お伺いをいたします。
高齢者虐待の判断基準がまちまちであったり、受付状況や対応の仕方に一貫性がないことなど、マニュアルがない場合には、そういう問題が起きてきます。こうした問題を避けるためには、通報システムを初め、各種機関に共通する実効ある虐待の予防、発見、援助、処遇の方法を実態に即して検討しておく、そのマニュアルが必要でありますけれども、その整備状況についてもお聞きをいたします。
次に、関係者、関係機関との連携、協力についてお伺いをいたします。
多くの場合、身体的な障害や精神的な落ち込みの異変を第一に発見するのは、地域の開業医や訪問介護士、保健師などの専門家であるといわれています。また、発見者は、地域の民生委員や、介護保険を利用している場合はホームヘルパーやケアマネジャー、市の調査員である場合もあります。
しかし、虐待と思われる兆候があったとしても、虐待に対する認識を持っていなければ、見逃したり、黙認してしまいます。高齢者にかかわる医師などの専門家やホームヘルパー、ケアマネジャーなどの事業者が、虐待の認識を深めるとともに、虐待予防とその解決に結びつくよう、市と連携、協力体制をつくることが重要でありますけれども、協力体制はどのようになっているのか、明らかにしてください。
さらに、虐待の中には、遺産相続や年金が高齢者の意に反して家族や親族に使われたりする財産や経済絡みの問題や、単身高齢者が住んでいる住宅から立ち退きを迫られる。そして行き場がないといった人権侵害問題なども起きてくることが予想されますし、現実には起きています。
また、同居の夫や息子に暴力を振るわれ、大けがをしているケースや、高齢者の財産をねらった詐欺、犯罪も後を絶っていません。
これらの問題は、単に福祉サービスで解決するという性質のものではなく、警察や裁判所、あるいは弁護士による法的な措置が必要になってきます。今後、これらの問題はますますふえることが予想されますけれども、高齢者の人権と福祉を擁護するために、こうした警察や裁判所あるいは弁護士などの法的な機関との連携、協力のことについては、どのようにシステム化を図ろうとしているのか、お聞きをしたいと思います。
次に、子ども虐待についてお伺いをいたします。
子どもの虐待も深刻です。2006年度に全国の児童相談所が対応した相談件数は約3万7,300件、児童虐待防止法が制定をされた2000年から比べて2倍になっています。虐待が子どもたちの成長に否定的な影響を与え、生きることへの希望を失いがちな状況にあります。早期発見と適切な援助が必要です。
2004年の児童福祉法改正によって、児童相談の体制が市の主体に改められ、児童虐待に対する子ども家庭支援センターの役割も大きくなっています。
まず、児童虐待の通報相談件数と、近年の傾向についてお伺いをいたします。
また、虐待を受けた子どもとその家族への対応について、お聞かせください。
そして、虐待の背景や要因についてはどのように把握をしているのか、お答えください。
子どもの虐待への対応は、対応マニュアルが策定され、関係機関とのネットワークも構築をされています。子どもについても、学校や保育園、認証保育所、幼稚園、学童保育所、児童館など関係機関との協力と連携が必要となってきます。近年、学童保育所などへの指定管理者の導入や、認証保育所では民間企業による経営もあり、個人情報の管理や専門的なケアの点については心配な面がありますが、どのような指導や対策がされているのか、明らかにしてください。
児童相談所の一時保護所は、虐待のために保護された子どもたちでいっぱいで、パンク状態となっています。2006年の東京都の一時保護所での平均保護日数は35日間と、年々長期化をしています。長期にわたって一時保護所に子どもたちがとめ置かれると、学校に通学できないため、授業に取り残されるようになること。そして、一時保護所で虐待を受けた子どもや、非行に走っている子などがずっと一緒に保護されるために、異年齢や男女も一緒というような状況があって、ケアが必要な子どもに適切なケアがされないという状況も生じてきています。
また、長期間保護所に閉じ込められることによるストレスも生じていると専門家は指摘をしています。
児童養護施設もいっぱいで、一時保護所から子どもたちを出すこともできないという悪循環に、東京あるいは首都圏の一時保護所、児童養護施設はなっています。
虐待を受けた子どもへの必要なケアは最優先されなければなりません。児童養護施設や一時保護施設の増設の必要性について、市はどのように考えているのか、見解をお伺いいたします。
次に、市長選挙の事務所問題についてお伺いをいたします。
選挙事務所問題については、さきの第3回定例会で私と鈴木勇次議員が取り上げ、移動事務所の土地は市の工事の請負業者の登記がされており、公職選挙法第199条の1項及び第200条の2項に違反するのではないかと指摘をいたしました。
市選管の答弁は、事業者と個人との関係については、選挙の取り締まり関係のそういう機関にゆだねていくというような形になる。市長は土地の名義人との関係まで踏み込んで判断する立場にない。個人からの寄附で違反だとは思っていないとの答弁でした。
10月16日の新聞各社は、選挙事務所として借りた土地は会社名義ではなく、寄附者の両親名義だったことがわかり、市長は10月15日、選挙管理委員会に土地の地番の変更を届け出たことを報道しています。
市選管に提出された書類を確認いたしますと、平成20年1月27日執行の八王子市長選挙において提出をした選挙事務所移動届について、事実と異なる記載が確認されましたので、下記のとおり修正いたしますとして、黒須隆一市長名で出ております。地番が変更されているわけでありますけれども、建物の名称は大城土木駐車場となっており、これは変更はされておりません。
選挙事務所への土地の無償提供が公選法違反ではないかと問われたこの問題は、7月に新聞報道され、9月には議会での質疑も行われています。
しかし、社長の両親の土地として登記されていることがわかったのは、各社の新聞報道によりますと、市民6人による告発を受けて精査した結果、あるいは同社からの連絡で調べた結果、あるいは今月7日、関係者の指摘でわかったというふうに報道されております。
問題が指摘された時点で、なぜ、市長において詳細な調査がされなかったのでしょうか。市民からの告発を受けて精査するというのは、議会や市民に対して誠実な対応とは言えません。
まず、修正に至る経過について御説明をいただきたいと思います。
また、7月の新聞報道の時点で、登記簿謄本や公図など調査をし、事実関係を明らかにし、指摘や問題に答えるということをなぜされなかったのか、お伺いをいたします。
土地の地番の変更によって、市長は、土地も個人のものだし、寄附者も個人、全く問題がないことがはっきりした。これは朝日新聞。当初から個人の寄附という認識だったが、これで個人の土地ということもはっきりした。これは東京新聞。駐車場の所有者は社長の両親、個人の土地なので、公選法の寄附行為の禁止に触れることはない。これは読売新聞ですが、というふうにコメントされたと報道されております。
7月の新聞報道でも、9月議会でも、土地は会社の所有であると指摘を受けても、市長は個人の寄附なので問題はないと繰り返し答弁をしています。しかし、個人の土地なので、公選法の寄附行為の禁止に触れることはないとは、土地が会社名義であれば公選法違反であるという認識に市長が至ったのか、お伺いをいたします。すなわち、9月議会の答弁は誤りだったと認めるのか、お答えください。
さて、選挙事務所の住所を修正しても疑問が残ります。提出書類では、寄附者は社長個人であり、その土地は大城土木駐車場と記載をされています。駐車場はふだんから会社の車や私用車を駐車させるなどしているというふうに東京新聞は報道しておりますが、その土地が日常、請負業者の駐車場として使われており、大城土木に占有権があったとすれば、請負業者と両親、あるいは社長と両親間で、または請負業者と社長との間で、どのような賃貸契約がされていたのかということが説明されなければなりません。土地の所有者と寄附者が異なることについての説明が必要であります。なぜ、両親の土地を社長個人が寄附するという行為ができたのか、市長には説明責任があります。この点について明らかにしていただきたいと思います。
以上で1回目の質問を終わります。
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