◎【40番井上睦子議員】
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生活者ネットワーク・社会民主党を代表して、ただいま上程されました各議案に対して質疑を行います。
まず、第105号議案、八王子市一般会計補正予算について伺います。
世界的な金融危機は日本経済を失速させ、雇用の悪化や中小零細企業の資金繰り難による倒産の広がりのおそれが指摘されています。法人市民税確定申告額が予定申告額を下回ったことによる還付金の増額補正は、法人の業績悪化を示しています。また、生活保護世帯が昨年より384世帯ふえて、本年9月で6,000世帯を上回り、医療扶助費の増額補正は市民生活の困難さをもあらわしています。昨年度まで法人市民税は伸びを示していましたが、こうした状況から、先ほどからも大変厳しい局面に置かれるという答弁がございました。それでは、今後の市税収入をどの程度のものとして予測をしているのか。その金額について明確にお答えをいただきたいと思います。厳しい局面に置かれるということではなくて、金額についてお示しをしていただきたいと思います。どのくらいの減収になるのかを明らかにしてください。
また、生活保護世帯の増加と医療扶助の増加について、特徴的な要因があればお示しください。
さらに、生活保護のケースワーカーの人員不足については、常に多くの議員からも指摘をされています。1人当たりの担当ケースが国基準80を大幅に上回って、その2倍以上にもなっていることは、適切なケアができないと外部監査でも指摘をされ、東京都からも助言勧告がされています。生活保護世帯が約400世帯も増加をしたということに応じてケースワーカーの増員も図るべきですが、今後の対応についてお伺いをいたします。
次に、債務負担行為が設定された総合税システム改修委託費と、八王子駅南北自由通路についてお伺いをいたします。
地方税法の一部改定によって、住民税の公的年金からの特別徴収制度の導入が2009年10月から実施となります。後期高齢者医療保険料の年金からの天引きは、高齢者からの大きな批判があり、一部、普通徴収へと見直しがされています。国保料も介護保険料も後期高齢者保険料も住民税も年金から引かれてしまうと、老後の生活費がなくなってしまう世帯さえあります。経済的に厳しい生活環境だけに、高齢者の理解を得るのも難しいのではないでしょうか。
地方税法321条の3では、但し、当該市町村内に特別徴収対象年金者が少ないこと、その他特別の事情により、特別徴収を行うことが適当でないと認められる市町村においては、特別徴収の方法によらないことができるとしています。市の判断によって普通徴収にする、あるいは個人の判断によって普通徴収か特別徴収か選択制にすることができるということはできないのか、お伺いをいたします。
次に、八王子駅南北自由通路延伸に伴う階段昇降機の設置及び撤去等の工事負担金1億700万円の債務負担行為についてお伺いいたします。
まず、南北自由通路延伸の事業費総額をお答えください。
本年10月30日、八王子市長と東日本旅客鉄道株式会社とで交わされた基本協定書では、事業に要する費用については全額八王子市が負担し、八王子市の財産として維持管理するものはエスカレーターのみで、自由通路についてはJRの財産とし、維持管理をJRが行うとなっております。なぜ、JRの利用者も使用し、JRが建設するビルにも接続する自由通路の事業費総額を八王子市が負担しなければならないのか。さらに、どうしてJRの財産となるのか、疑問であります。JRとはこの間、どのような交渉をしてきたのか、御説明ください。
1992年、すなわち平成4年12月17日に、当時の○○○市長とJRとの間で、八王子駅南口再開発事業に関連する駅前広場都市計画変更に当たっての覚書が交わされています。この内容は、駅前広場整備や自由通路についての土地の所有区分や費用負担などについてでありますが、計画が現実化、具体化していない段階で駅前広場整備と自由通路は八王子市の負担とし、駅前広場東側地区の整備がなされ、八王子市が歩行者用専用デッキを増築する場合、八王子市はJRに費用負担を求めないものとするとの条項があります。この覚書の内容は、八王子市に事業費の負担を求めるもので、市にとっては実に不利な内容と言わざるを得ません。この覚書は、現在進んでいる再開発事業とは異なる都市計画変更時のものですが、ことし10月に締結した基本協定書は、この内容を踏襲したものです。覚書は白紙に戻して、新たな協議をすべきではなかったのかというふうに私は大変疑問に思いますが、御見解をお伺いいたします。
また、この覚書の位置づけについてもお聞かせください。
次に、中学校給食の準備経費についてお聞きいたします。
来年度より実施される中学校給食は、長年の多くの保護者からの要望にこたえたものですが、地場野菜の使用などで食の安全が確保されることを期待しています。
いただいた資料によると、中学校給食支援システムとは、コンビニ決済、インターネット予約、そして予約業務の省力化、学校で手間要らずと、4つの特徴が記載されており、食材費は給食調理業者の口座に直接前払いすることになっています。これは小学校で学校長が給食費を集金管理していた方法とは異なり、調理業者の管理となります。食材費が適切に業者によって管理されているのか。そのチェック体制はどのようになるのか、お聞きをいたします。
また、中学校の就学援助認定者数は、ここ数年、16%から17%となっています。給食費は前払いとなりますが、就学援助の子どもたちの給食費についてはどのような配慮がされるのか、お伺いをいたします。
このシステムでは、残高以上に予約ができないので、未納問題はありませんと説明をされています。当然、給食費は支払うべきものです。しかし、さまざまな事情で給食費を払えなくて、お弁当を持ってこれない子どもたちもいることが予想されます。例えば、ネグレクト、虐待など、保護者に養育保護能力がない場合など、どのような教育的な配慮がされるのか、お伺いをいたします。
第106号議案、八王子市介護保険特別会計補正予算について伺います。
来年度から認定調査項目が変わることに対応するシステム改修の補正予算が計上されています。調査項目は、現在の82項目から74項目となります。まず、調査項目の変更内容についてお伺いをいたします。
変更の理由は、調査項目が多く、煩雑なために認定調査員と介護認定審査会の作業負担の軽減が主目的とされています。要介護認定調査検討会の審議経過の中では、調査項目の削減について、これまで以上に認定が軽くなる可能性が高いこと、認知症関連の削除項目が多いために、認知症高齢者の認定が軽く出るのではないかとの心配が介護現場からは出されておりました。
新調査項目でのモデル事業を実施した全国の結果は、一次判定で現行より軽度に判定されたのが19.8%、重度に判定されたのが22.6%、二次判定では軽度に判定されたのが20.1%、重度に判定されたのが16.7%となっており、現行と一致するのはそれぞれ57.6%、63.2%となっております。約半数弱の人たちの要介護度が変わっています。市もモデル事業を実施していますが、その結果と、市認定調査項目がより正確に要介護度を判定できるものだと評価をしているのか、お伺いをいたします。
また、介護保険料の所得段階の多段階化対応のシステム改修についてもお伺いをいたします。
現在、パブリックコメント中の第4期介護保険事業計画の素案には、保険料についてはさらに多段階化を進め、被保険者の負担能力に配慮した保険料の設定をする。保険料基準額については、介護報酬改定の内容が不明であるため算定することができないとして、市民が最も関心があり、知りたいと思う情報が記載されておりません。
策定委員会では所得段階を11段階とし、保険料も0.45から2.5とした参考資料も出され、検討もされています。さらに、先ほどの部長答弁では、12段階とすること、そして保険料の基準額についても、現行を上回らないようにすることというような答弁が出されました。であるならば、なぜ、パブリックコメント中の素案にこのことを記載されなかったのか、大変疑問に思います。きちんとした情報公開をし、市民の意見を聞き、その保険料についても計画に反映させるという姿勢が求められていると思いますが、どのように考えているのか、お伺いをいたします。
さらに、議会では既にそのような答弁があったわけですから、素案に対する追加案内容として、この所得段階の12段階についてもパブリックコメントの内容の対象にするべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。お答えください。
第108号議案、八王子市市税賦課徴収条例の一部を改正する条例設定についてお伺いをいたします。
個人市民税における寄附金税制の拡充は、まず、自治体が指定した寄附金を寄附行為上の対象とする制度を創設すること。これは、納税市民が住んでいる市の特定の政策を支持し、選択をするということ。また、市民活動やNPO活動の促進という観点から、評価できる点もあります。しかし、居住地以外の自治体に寄附した場合、住民税の1割を限度に、寄附金額から5,000円を控除する、いわゆるふるさと納税は、税の所得再配分の考え方や、本来の納税地での負担と受益の関係という税の根本を損なうものといえます。
ふるさと納税は、地方税の偏在を理由に導入されました。この制度について東京都は、地域間の税収の偏在是正を名目に、地方税制の原則や地方分権改革に反するような税制の見直しを行うべきではないとして反対をしていました。地方税収の格差は、三位一体改革が実行され、地方から見ると、国庫補助負担金が4.7兆円、地方交付税が5.1兆円と大幅に削減された一方、所得税から住民税への税源移譲は3兆円にとどまり、結果として6.8兆円も地方への税配分が削られたことが原因です。
市は、東京都が税制のあるべき姿をゆがめるものと評したふるさと納税制度については、どのように評価をしているのか、お伺いをいたします。
市にはまだ1件もふるさと納税としての寄附はないそうですが、全国の状況について把握していれば、お示しください。
また、この制度のもとで市税収入にはどのような影響があるのか、お答えください。
次に、第109号議案、八王子市霊園条例の一部を改正する条例設定について、お聞きをいたします。
承継者のいない合葬式墓地の設置は評価をするところですが、区画墓地の使用料が1平方メートルにつき25万円と、現在の12万5,000円から2倍にも値上がっています。大変厳しい経済情勢ですが、使用料の大幅値上げの理由を明らかにしてください。
次に、第113号議案から第127号議案の指定管理者にかかわる条例設定についてお伺いをいたします。
まず、学童保育所の指定管理者の募集と決定についてであります。
あたご学童保育所を除いては、現在、社会福祉協議会が指定管理者となっている5施設が、すべて他の指定管理者へと移行します。まず、なぜ社会福祉協議会が応募しなかったのか。その理由について明らかにしてください。
あたご学童保育所は自主学童クラブから敬愛学園に、他の学童保育所は社会福祉協議会からそれぞれNPO法人、また恩方東学童保育の会へと引き継がれていきます。指定管理者と指導員の交代によって保育内容などの変更は、子どもたちの中に戸惑いなどを生じないのか、心配です。引き継ぎ等、どのようになるのか。また、社会福祉協議会の指導員の雇用は継続されていくのかどうか、お答えください。
今回の学童保育への指定管理者の応募は、2者応募が3ヵ所、1者応募が3ヵ所でしかありませんでした。以前の学童保育の応募者数に比べて減少しています。指定管理者導入のメリットは、競争によってよりよいサービスを選ぶことができるということでしたが、市が挙げたメリット、競争性は確保されておりません。応募者が少なかったのは、指定管理料の安さに原因があるのではないかと考えますが、理由についてはどのようにお考えでしょうか。お聞きをいたします。
学童保育所以外の施設についてお聞きをいたします。
長房ふれあい館、高齢者在宅サービスセンター中野など、9施設はすべて現在の指定管理者となり、長房ふれあい館では2者、夕やけ小やけふれあいの里では2者、駐車場の3者、を除いて、他の施設は1者のみの応募でした。学童保育と同様に競争性が働かなかったということについては、どのように考えているのか、お答えください。
指定管理者の導入から5年が経過しました。現在、446施設で導入されていますが、この制度の再評価を行う時期が来ていると考えます。まず、学童保育所や保育所、在宅サービスセンターなど、福祉サービスの分野では指定期間が定まっており、管理者が変わってしまうことは、地域との信頼関係、また子どもたちとの関係の中で大きな問題だというふうに思います。
高齢者在宅サービスセンター中野に対しては、地元自治会から推薦状が出されているように、事業の継続、地域との信頼という点から、慎重に考えなければならないというふうに思います。高齢者や子どもに対する福祉サービスについては、指定管理者制度はなじまないのだと考えますが、どのようにお考えか、お答えください。
指定管理者制度基本方針その2で、応募の欠格条項に、地方自治法の兼業禁止規定が適用されるようになりました。指定管理者については兼業禁止規定が定められておりませんが、法を上回っての規定は評価するところです。現在、政治倫理条例の審議がされている折からも、この兼業禁止規定の趣旨について、その考え方を再度、確認の意味でお聞きをしたいと思います。
最後に、公正で適正な労働確保のために、指定管理者制度のもとで働く職員、指導員の賃金、労働条件について市がきちんと把握をし、その確保に努めることが今最も問われていることです。指定管理者制度など公共サービスによって、非正規労働が大変拡大をしています。格差や貧困を自治体の政策によって生み出すという矛盾を指定管理者制度は持っています。
社会福祉協議会の職員構成を見ると、常勤の職員が89名、非常勤の職員が175名、派遣職員が57名となっており、非常勤と派遣で71%を占めています。指定管理料では常勤は雇用できないということが明らかであります。社会福祉協議会はアルバイトも募集しており、その募集の広告では、1日4時間以上、週3日以上勤務できる方として、保育士または教員免許の資格がある場合は990円、ない場合は930円として募集をしております。こうしたことで、子どもたちへのきちんとした保育、指導ができるのか、大変疑問に思います。
国分寺市は、調達に関する基本方針を定め、その具体化のために、社会的に適正な雇用水準の向上を個別目標に掲げて推進計画を定めています。先進市では、以前にも千代田区を紹介したように、契約の中における、そこで働く人々の労働条件について、公正な水準を確保するための努力、取り組みがされておりますけれども、市はこうした問題にも、指定管理者制度再評価の段階にあって、適正な賃金確保、労働条件の確保のために積極的な取り組みをすべきだと思いますが、その点についてお考えをお示しください。
以上で質問を終わります。
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