◎【40番井上睦子議員】
午前10時から臨時会が始まりまして、もうかなりの時間がたちました。多くの議員が質問をいたしました。重複する場面もありますし、この後、総務企画委員会も開催をされます。私も総務企画委員でありますので、詳細についてはその委員会の中で質疑をしていきたいと思いますが、ここでは生活者ネットワーク・社会民主党を代表して、議員提出議案第1号、八王子市政治倫理条例案について、基本的な問題についてだけ質問をしたいと思います。

 私たちの会派は、2007年6月議会で、八王子市住宅・都市整備公社が発注した楢原斎場の建設工事について、落札者が黒須建設であったこと、これはJVでありますけれども、そのことを契機として、市議や市長の親族企業の公共工事の受注は辞退をすることを定める政治倫理条例の必要性を強く訴えてまいりました。そのときの市長の答弁では、「例えばうちの身内の会社については、もう既に60年、70年家業として営んでいるわけですね。ですから、そういう中で私は政治の道を選んで、そして今こういう立場にあるわけですけれども、私ももう既に30年を超えてこの道を歩んでいるわけです。しかも、そのたびにきちんと市民の皆さんの選挙という手段を経て、そして私は選ばれているわけです」「本市でもし、私が携わらないところでも官製談合があったり、私自身が不正だということを指摘されるようなことがあるならば、私は即刻責任をとります。それだけの覚悟は常にいたしております」ということで、常に責任をとるという覚悟はしながら市政運営をやっている。したがって、政治倫理条例は必要がないというのがこの間一貫した市長の姿勢でありました。

 その後、昨年の6月議会では、黒須建設の公共工事の受注高が市内企業トップであること、第七中学校の体育館の落札率が99.92%もの高落札率であったことから、多くの複数の議員が、黒須市長の親族企業である黒須建設と黒須市長の関係を問題視し、昨年6月24日、私たちは政治倫理条例の制定を目指すアピールを議員の会として発表し、9月市議会には政治倫理条例案を第15号として提案をした経過があります。このことは、他の議員からも説明がありました。この間の経過と、そして、今回自民党、公明党の共同提案によって政治倫理条例が提案をされましたけれども、その自民党、公明党がこの政治倫理条例が必要だというふうに認識するに至ったその経過と考え方について明らかにしていただきたいと思います。

 9月、11月の委員会審議の中では、さまざまに私どもの出した条例案について質疑をいただきました。誠心誠意お答えし、修正も出して、皆さんから感謝をされたところであります。先ほどの対間議員の提案説明では、簡単に各条文と、そして、出される経過は、私たちが出したということと、そして、この条例は理念条例であるということが説明をされました。条例の必要性と、そして理念条例としたことの意味についてお答えをいただきたいと思います。

 2点目は、この間問題となってきた黒須建設と黒須市長との関係についてであります。私たちが出しました八王子市政治倫理条例案については、この問題は八王子市の大きな政治倫理問題であるというふうに考えてまいりました。ですから、その政治倫理条例案をきちんと実効性のあるスタイルにつくりました。先ほど山口議員からも、陣内議員からも御紹介がありましたけれども、この条例案については、九州大学の政治倫理・九州ネットワークの顧問である斎藤文男さんが採点をしました。その結果、私たちの条例案は75点で、自民党、公明党共同提案の条例案は30点でありました。

 これは、市川議員が、60点満点の自公案が55点、私たちの案が50点、それは何と人数が多いからにしかほかならないという採点の方法でありましたけれども、そういうことではなくて、75点と30点というのは、斎藤さんたちがさまざまな研究や各自治体の条例案を検討しながら客観的な採点基準でつけた採点であります。私は、社会的な信用としては、斎藤さんがつけた私たちが75点、自公案が30点というのが社会的な評価としては正しいだろうと思います。市川議員が55点、そして50点というのは、極めて私的であり、客観性のない条例の点数だというふうに思います。それは、22人と13人であるからということにもあらわされるように、それはが小学生が聞いても、多分点数としては理解できない点数だと思います。

 それで、私たちが提案した条例案は、Aクラスで模範となる条例に近いという評価をいただきました。他方、自民・公明案は、政治倫理条例の名に値をしないとして、政治倫理条例をつくりましたというだけの免罪符にしかすぎない。最大の欠陥は、これでは請負問題の適正化が図れない。いや、むしろ請負をめぐる不公正、癒着、腐敗を政治倫理条例という小ぎれいなベールで覆い隠すものと評価せざるを得ませんとの厳しいコメントがついています。この厳しい評価について、自民党、公明党の両会派から率直な感想を伺いたいと思います。

 私たちは、通常考えるに、6月議会、11月の委員会、2回私たちの条例案を審査いたしました。皆さんからも意見をいただいて、より合意をしやすい、合意を求めるべく努力をしてまいりました。そうした積み重ねがある中で、次に出てくる条例案というのは、通常私たちよりも点数が高くなければならないというのが本当ではないでしょうか。小学生でも勉強すれば勉強するほど点数が高くなっていくというのが当たり前でありまして、私たちの八王子市議会が学習をしても点数が上がらないということは大変残念なことだと思っております。したがって、率直に自民党、公明党、対間議員、市川議員から、この30点、大変恥ずかしい点数だというふうに思いますが、感想をお伺いいたします。

 条例の実効性の問題についてであります。私たちは、条例案の第1条の「目的」において、「政治倫理の確立と政治腐敗の防止を図り」「いやしくもその権限又は地位による影響力を不正に行使して自己又は特定の者の利益を図ることのないよう必要な措置を定める」というふうにしました。私たちの条例の目的は、政治腐敗の防止にあります。これは、堺市の汚職事件がきっかけで、全国で政治倫理条例が制定をされ、近年では、不祥事が起こらぬよう、これは小林弘幸議員が常に言われますけれども、転ばぬ先のつえとして政治倫理条例案が現在は制定をされるに至っております。したがって、私たちの条例案の第1の目的は、政治腐敗を防止する。八王子市政において、汚職や談合、腐敗、癒着が起こらないというような工夫を条例に実効的に盛り込んでいく。実効性ある条例をつくっていくということが目的であります。

 しかし、他方、自公案は、「人格と倫理の向上に努め、いやしくも自己の地位による影響力を不正に行使して、自己の利益を図らないことを市民に宣言するとともに」「職務を遂行する上での公正性を保持するために必要な措置を定め」というふうにしてありまして、政治腐敗の防止は目的となっておりません。これが大変大きな違いだというふうに思います。斎藤さんの点数が低いのも、この目的から具体的な条文の構成が、実効性が担保されていないからだと言えるというふうに思いますけれども、私たちは政治倫理の確立と政治腐敗の防止というものを大きな目的に掲げました。しかし、自公案は、政治腐敗の防止については文言がありません。そういった目的もあいまいになっているというふうに思いますけれども、政治腐敗の防止というのが全国で今つくられている条例案の中では大きなテーマとなっているにもかかわらず、なぜ自公案の中にはそれが明記をされていなかったのかお答えをいただきたいと思います。

 次に、「市民の責務」についてのところであります。これは、事業者の責務も、先ほどの伊藤議員の定義では、市民参加条例は市民の中に事業者も入れているので、第3条では、市民の責務とともに、市民の中に事業者も含むという答弁でありました。しかし、対間議員からは、事業者にそういった責務を求めていいのだろうかという答弁もありまして、これは提案者の中の意見の不一致があるのではないかというふうに思いますけれども、お答えください。

 と申しますのは、やはり条例の目的が政治腐敗を防止するということに基点を置いていないものですから、事業者の責務というものをきちんと明記をしていないのではないかというふうに私は考えるわけです。対間議員と伊藤議員の見解の相違、あるいは対間議員が間違ってお答えになったのか、間違っておられるのだったら訂正をしていただきたいというふうに思います。

 そして、評点をしてくださった方、斎藤名誉教授によれば、この皆さんの条例案、自公案の最大の欠陥は、第5条にあるというふうに言われております。親族事業者は、市との請負契約を辞退ではなく自粛するよう努めなければならないとしている点であります。これは、小林信夫議員の方から、辞退と自粛の問題について、憲法上の解釈も含めてるる御説明がありました。小林議員の解釈によると、辞退とすれば事業者に義務規定を課すので、憲法上の抵触が起こる。したがって、自粛とする。したがって、辞退届も出させないということになっています。

 しかし、私たちの条例案を9月の総務企画委員会で審査をしたときに、この条例案の表記の仕方については、八王子市の法制課長が憲法には抵触をしないということが明言されて、答弁として出てきております。したがって、私たちはこれは問題ないというふうに考えておりますが、小林信夫議員の説明によれば、自粛をするということで、主体的な努力を求めるということにとどまるということです。であるならば、主体的な努力をしない事業者は、やはり請負を続けることになる。とすれば、そこに対する規制もないわけですから、実質的には名ばかりの条例、親族企業が仕事を請け負うということを社会や市民が客観的には監視をできないというシステムになっていて、実効性がないのではないかというふうに思うわけです。この点を斎藤さんはイの一番に問題だというふうに指摘をされております。

 少しその内容を紹介いたしますと、しかし、辞退と自粛は同じではありません。辞退とは、任命、受賞、出場、報酬、謝礼の辞退の用例が示すとおり、得べかりし地位、資格や利得の放棄を意味しております。これに対し自粛とは、自分で自分の行いを慎むことの意です。禁煙の誓いはその一例ですが、これは他者に法的効力が及ばず、禁を破ったからといって他人にとがめられる筋合いのものではありません。しかし、任命辞退や出場辞退となれば、辞退者を任命したり出場させたりすることはできませんというふうに書いてあって、その自粛と辞退の違い、そして、それが実効力をどのように持つか持たないかということを明確に説明をされております。

 私たちは、政治腐敗を防ぐという実効ある条例をつくりたい、そして、つくりました。しかし、親族企業は、私たちは2親等と1親等の姻族でありますけれども、自公案は1親等で譲ったとしても、この自粛という名目では実効性がないのではないかというふうに思いますが、条例の実効性を皆さんの条例案の中ではどのように担保しているのか、それを明らかにしていただきたいと思います。

 私は、最大の自公案の問題は、対間議員が図らずもおっしゃったように、コンプライアンス条例、理念条例だと。例えば何々を守りましょう、私たちの政治規範を示しましょう、頑張りましょう、守りましょうというだけであって、具体的にそれに反する行為をした場合に、市民が監視をし、そして、それに対して一定の行動を求めるというシステムが極めて不十分なのではないかというふうに思うわけです。その点について、この条例の実効性をどのように担保しているのかということを明らかにしていただきたいと思います。

 具体的な実効性の問題について伺います。先ほど上島議員の方から、黒須建設の問題が出されました。1号のビラは、8月に配付したところに、私たちも黒須建設の役員がどのような構成であるかということを書いてあります。今正確に持っておりませんけれども、役員8人の中で、1親等がお母さんと息子さん、2親等が弟さん2人という構成であったと思います。そうしますと、皆さんの1親等以内の親族企業は自粛をするよう努めなければならないというのは、黒須建設というのは皆さんの条例が制定をされた場合自粛の対象となるのかならないのか、それをはっきり教えていただきたいと思います。

 なるとすれは、私の考えでは、1親等のお母さんと息子さんが入っていらっしゃいますから、自粛の対象になるというふうに解釈されます。しかし、自粛をしなくて、市長は、私の身内だというだけで不公正なことはやっていないのだから、仕事を社員のためにも公共事業は取るのだというのがずっとこの間の姿勢です。去年の読売新聞の記事では、ほかの新聞の記事でも、条例が通ったら市長は辞職をするということも発言をされておりました。それは撤回をされましたけれども、心情としてはそういうものが発生をしたわけです。1親等以内というふうに自粛を規定した場合に、黒須建設、今の役員構成ですと対象となる。しかし、自粛をするよう努めるものとするとすれば、公共事業を取り続けるということも可能なのかどうか、それを明らかにしていただきたい。それを一定取ることはできないというような仕組みがあるのかないのか、それを具体的に示していただきたい。

 一方で、1親等のお母さんと息子さんが役員から外れて、2親等と他の人で構成をされるということに黒須建設がなった場合、これは仕事を受けられるわけですね。私たちは、この間の黒須市長の姿勢からいけば、公共事業は黒須建設はずっと取り続けるのではないかというふうに思うわけです。なぜならば、ずっと市長がそのことは議会で主張し続けてきたことだからです。皆さんの条例が実効性がないというのは、1親等のお母さんと息子さんが役員から外れてしまえばいいという甘い条例の規定になっているのではないかということを多くの議員がこの間指摘をしているわけです。その点についてお答えをいただきたいと思います。  具体的な詳細な点については、これからの委員会の中でお伺いしたいと思います。


◎【22番対間康久議員】
井上議員の質問にお答えします。

 まず、ちょっとひどいというか、自公案が30点だというんです。これはコンプライアンス条例というのは、九州の条例、いろいろなところを見ていただくと、むしろこれよりもっとコンプライアンスというか、これも先ほど市川幹事長からもお話がありましたけれども、我々はもう少しコンプライアンスでいきたかったんですが、公明案でいろいろ具体的になったというようなことでございまして、九州とか、いわゆる一朝有事でないというか、ごく一般的なところ、佐川急便事件だとか、いろいろなことがあるから、我々も襟元を正して、みんなで条例をつくりましょうというようなことで、殺伐とした、何をしてはいけない、何をしてはいけないというのが、むしろ逆に、こういうコンプライアンス条例というのは全国にたくさんありますので、ぜひそちらもごらんになっていただいて、30点の評価を70点、80点に上げていただけたらと、こんなふうに思っております。

 また、その大もととなっております黒須建設、市長との問題、これも先ほど来私と答弁者、違う人との意見の違いがあるのですが、両角議員は、これはあくまで黒須市長とか黒須建設ではないというお話は確かにあったと思いますし、今井上議員の話ですと、黒須建設だということで、お答えを2つ分けてしなきゃいけないのかなと。むしろ逆に私の方も困っているところでございますが、何度も回答していますように、黒須建設の記事が出て、我々も新聞社によっては黒須一派なんて、自民、公明が書かれて、大変迷惑しておるんですが、我々は我々でちゃんと調査をして、そして、こういうものが出て、黒須市長がそんなことをするはずはないけれども、一応は調査しようということで調査して、何の問題もないですし、そして、契約関係でも、別に黒須市長が来て、こうしてくれ、ああしてくれなんていう采配を振るったという事実もありませんし、また、ほかの議員が、先ほど来申し上げていますが、人のことは調べませんけれども、22名の議員がそういうことをだれも言っていない、また、そういうことをしていないというような自信がありましたので、私たちとすると、逆にこういうものを決めていない、そして、この罰則が必要なのかということが、逆に22名としては理解がし切れないということでございます。

 したがいまして、私どもは今のコンプライアンス条例、九州にもありますし、牛久市にもありますし、いろいろな市で取り入れている条例、ここら辺を参考にしましたけれども、これも大体条例はよく似せているという今回のあれも出ていますけれども、真剣に考えると似てしまうというケースは多いです。ということでございますので、この点数が30点だとか等々というのは、これは22名の議員が一生懸命考えて、一生懸命提案した議案でございますので、ぜひそこは尊重しながら議論していただきたい、こう強く要望しておきます。

 また、私と伊藤議員との言葉のやりとりの違いにつきましては、これから伊藤祥広議員から御答弁させていただきます。(「自粛の対象となるのか、ならないのか」と呼ぶ者あり)これは法令どおりでございますし、当然のことながら、私は市長の内部に入っているわけではございませんので、簡単に言うと、別に社長が市長の弟さんですから、当然1親等ではございません。ですから、黒須建設としては別に公共事業を取って差し支えないと思います。私は、大変申しわけありません、黒須建設のことはその役員等々についても理解しておりませんので、その答弁は私は控えさせていただきます。


◎【36番市川潔史議員】
井上議員の御質問にお答えします。

 55点と50点と言ったこと、余り感情的にお答えいただなくてもいいと思いますが、私が60点満点でそうですよということでございます。先ほど言いましたように、全会一致を目指すということを大前提で考えれば、その点の差がありますと。大学の先生の30点の感想はどうかということでございますが、歴史上、例えばエジソンやチャーチルは大変勉強が苦手で、小さいときは点数が低かった。しかし、歴史に残るような事業をやったという点から考えますと、最初の点数が低くても、今後、例えば介護保険は3年に1回見直しているわけです。法律上、たしかそうです。そういった意味からすれば、この倫理条例が成立したときに、我々の任期は4年ごとに選挙がありますので、例えば附則に、4年に1回見直すというようなことを入れてもいいと私は思います。そういった意味では、今後成長していくように頑張っていきたいと思います。

 斎藤先生云々という話は、また我が党の小林信夫議員がその点はお答えをいたします。

 現在の例えば役員構成であればどうかということでございますが、我々の条例案が成立した場合は、例えば1親等内の方がいれば、それは自粛をするというふうに私は理解をしております。

 その担保は何かということでございますが、我々の条例案が成立した場合に、1親等の方の内容を例えば市の法制課か契約課かわかりませんが、そこに提出をするという中で、でも、そういう方が応札をしたということになれば、それを規則で公表していただくということをもって、今度はその議員なり市長、また応札した会社が説明責任を求められるというふうに思いますので、そういった意味では担保はなされているというふうに思います。そういった意味で、私はこの条例案を何とか成立させたい。できれば13人の皆さんに御検討いただいて、何とかこの第1号議案に賛成をしていただきたいということをお願い申し上げまして、答弁といたします。


◎【25番小林信夫議員】
井上議員の御質問にお答えします。

突然の御指名でございますので御答弁します。

 まず、何点か質問がありましたけれども、その中で、端的に言えば、私どもの条例が仮に採用されたとして、黒須建設が仕事を取るのか取らないのかというお話なんだろうと思います。私は、この条例については、今回発端は多分黒須建設と市長との関係から始まったんだと思いますけれども、その中での違法性を感じておりません。

 したがって、一応1親等ということにはいたしましたけれども、確かに感情として、しょっちゅう黒須建設が仕事を取っている、いつでも1番だと。これがずっと続くようなことがあるとすると、これは市民感情としても納得ができないというのはよく理解をしているつもりです。そのために、私たちが先ほどから申し上げていますように、こういう傾向を助長させる、あるいは発生させる源である入札制度、契約の方法を見直すべきであると、これがまず第一だと考えています。その上で、公正な競争が確保されるのであれば、それは仮に身内の親族の企業であろうと、堂々と競争社会の中で争っていただいてもいいと思います。

 ただし、私たちはこの条例案の中では、例えば親族について、1親等については自粛という形で提案をさせていただきました。実は先ほどからいろいろな御質問と答弁が錯綜しておりますけれども、1親等を入れたということは、これは個人的なお話になりますけれども、黒須市長にとっては1親等の方が現在黒須建設の役員をしていらっしゃるわけですから、黒須建設の方が何らかの形で自粛という方向に努力をしてもらう。あるいは役職を解任して、別の形でやっていただく。ただし、そこで名前だけ変えたということにならないように、そこはきっちりとまた規則でフォローしていきたいと思っておりますけれども、そういう形になろうかと思います。

 この担保ですけれども、先ほど市川議員が申したように、担保はそういう形で後々フォローができるような形、あるいは入札、応札の情報については、これは幾らでも公開されているわけですから、その状況を見れば、大まかなことは確認ができるわけでございます。ただし、具体的に何件の募集があって、そのうち何件とったら自粛なんだと、そういうところが果たして数字的に示せるかどうかというのはわかりません。これは非常に難しい。

 先ほど質問者がおっしゃっていたように、確かに斎藤先生の点数は低いです。斎藤先生の書いているこの本、この内容にほとんど沿ったのが皆さんの条例なんだから当たり前なんだと思いますけれども、私はさっき指摘したのは、斎藤先生でさえ悩んでいるところがあるはずなんです。そこのところを申し上げました。例えば先ほど引用した両角議員の表現だって、やはり悩んでいるんです。要するに、法的にこれを規制することを義務づける形でやるというわけにはいかないんです。いかないから、表現を変えて、例えば皆さん方が出している条例案の中では、提出するものとするということがありますよね。

 これは確かに法制課はこれで努力規定です、大丈夫ですとおっしゃったかもしれないけれども、斎藤先生はこの本の中では、これは義務規定だと書いています。このようにしっかり読んでいかないと、まず第一に法的にどこまで許されるのか、ある意味で個人の基本的人権にかかわる問題についてどこまで、いかに条例とはいえ、倫理だからということで、努力規定なんだからいいんだという話ではなくて、具体的にこれは規制をする、禁止をする条項になりますから、極めて慎重でなければとんでもない間違いを犯すというふうに考えております。


◎【3番伊藤祥広議員】
第3条の「市民の責務」に事業者は入るのか入らないのかということで、対間代表と私の答弁が違うということなんですが、事業者は入ります。対間代表は質問が余りにも多いので、多分少し言い間違ってしまったと思うので、「市民の責務」の市民の中に事業者は入ります。


◎【40番井上睦子議員】
1回で終わろうと思ったんですが、余りにも対間代表の答弁に誠意がないので、再度確認をいたします。

 公明党は2親等と1親等の姻族ということなんだけれども、私たちの条例に修正提案も具体的にはいただきましたので、倫理条例をつくるということには積極的な姿勢があるんだなというふうなことは感触としてずっと委員会審査の中では思っておりました。ただ、自民党の方は、さまざまな議論がありましたけれども、同一発言者の中でも矛盾するような発言があったりとか、私たちも理解に苦しむところがありました。対間代表の最初の説明の中にもあったわけですけれども、私たち議員や市長は、選挙によって選ばれてきている人間だから、誤りは犯さないという市民の信託があるので、理念条例でいいのではないかというようなニュアンスの発言も先ほどの中でありましたよね。それを聞いて考えていると、政治倫理条例の制定には自民党では余り積極的ではなかったのかというふうに私は思っております。

 ただ、ここでその必要性を感じ、そして、12月末の期日を守って公表され、私たちが1月8日に臨時会の開催を請求をした。そのことについて、最初は対間代表は消極的でありましたけれども、先ほど市川代表の発言にもありましたように、私たちの求めに応じて努力をされたということで、条例の中身は随分違いますし、私は決して評価はできませんけれども、条例が必要であるという認識に変化をしてきたということは感じているわけです。なぜそれが必要なのかということについて明確なお答えがなかったわけです。どのように考え方が変わり、コンプライアンス条例、理念条例であるけれども、必要なんだというふうに至った考え方の変化、そこを明らかにしていただきたいということです。

 それから、実効性をどう担保するのかということについては、先ほど市川議員と小林議員の方から、具体的に親族企業の入札の問題については、法制課なり何なりに届け出をするようにして、そこで担保をするということでした。それは条例に書いていないわけです。どうも公明党と自民党の条例の解釈は、もしかしたら違うのではないかというふうに思うわけです。具体的に対間代表は、コンプライアンス、理念条例だとおっしゃる。でも、一方で公明党の方は、これは規則にゆだねる部分だというふうにお答えになる部分がある。それは、では、自民党、公明党が提案をしている条例案の性格と内容というものは何なんだろうかというのが私の疑問点なわけです。

 ですから、対間代表に、しっかりと実効性はどこに担保してあるんだ。私たちは政治腐敗を防ぐ、議員や市長の政治倫理の確立をきちんとするということの実効性をさまざまな辞退届や、兼職・兼業報告書や、あるいは政治倫理審査会や、市民の調査請求権ということで、幾重にも実効できるものを担保として条例の中に入れ込んでいます。だけれども、その部分は大変弱い。そして、具体的な説明が対間代表からないというのが、意見の相違があるのか、あるいはまだまだ条例に対してお考えが定まっていないのかどうか、そんな疑問を持つものですから、ここは本会議で、これから総務企画委員会に付託をされるわけですけれども、明確に提案代表者の対間代表の意見をお伺いをしたいと思います。

 それから、自粛というのは、市川代表の方からは、一定法制課への届け出なり何なりをして実効性を担保するということでありましたけれども、しかし、自粛というのは、逆に言えば、仕事を取ってもいいんだというのが黒須建設を例にしておっしゃいました。そうすると、10件の応札をして、そのうち3件は取ってもいいとか、そういうことを規則なり何なりで決めようというふうな考え方があるわけですか。私たちは、これは2親等以内の親族、1親等以内の姻族については、仕事は取らないということが、政治腐敗を防止する、市民から疑いの目で見られないようにするためには、ある意味では李下に冠を正さず、君子危うきに近づかずというようなシステムとして条例案の中に盛り込むべきだと思います。だけれども、先ほどの自粛というのは、取ってもいいという甘い内容になっているのか、再度確認したいと思います。


◎【25番小林信夫議員】
再度御質問がありましたので、まず自粛について、数字的に何分の何だったらいいとか、そういうことは難しいと思います。ですから、極めて条例としてはあいまいな表現だということは私も自覚をしております。ただ、先ほど申し上げたように、これを自粛という形でなくて具体的な禁止事項にすることについては、私はどう考えても上位法との関係で疑問が残るし、その疑問については、斎藤先生の書物の中でも解明をされていないと判断をしております。

 それから、もう一つ御質問がありましたよね。(「取ってもいいということなんですか」と呼ぶ者あり)取ってもいいと思います。これは、例えて言いますが、黒須建設に仕事を取ってもらいたいというのではなくて、取る権利もあります。それは制限をかけるべきではない。だけれども、その中で自発的に自粛をするということを呼びかける、そういう考え方でございます。条例はあくまでも条例ですから、法的拘束力が伴うことが多いわけですけれども、少なくとも上位法の地方自治法ですとか憲法とのそごを生じ得ることは私は見過ごせないと思っております。


◎【36番市川潔史議員】
小林信夫議員の補足の答弁をいたしますが、先ほど私が、法制課等で、また契約課等で、1親等の企業、事業所が応札した場合には、一定公表するという形になるだろうというふうに言いました。小林信夫議員は取ってもいいよということでございますが、その接点はどこかということです。私は、倫理条例の1親等の条項については、そういうことによって社会的な説明責任と社会的な制裁があるだろうということです。ですから、法的には取れるだろうけれども、社会的な制裁は当然これは負うわけです。ですから、例えばほかの事件等でいろいろとあった場合に、例えば社会的な制裁を受けて職を辞したことによって、本来の刑罰を猶予するというようなことが当然あるわけで、ただ、それはその議員なり市長なり、その事業所が判断をしていただくということだと思います。


◎【22番対間康久議員】
今御質問で、誠意のない回答だったので云々という話なんですが、これは考え方の違いというか、我々は、何度も言いますように、あくまで倫理条例をやらないというのではなくて、コンプライアンスで立派な倫理条例がたくさんあるから、それで十分で、いわゆる選挙で、そこで皆さんは洗礼を受けた立派な議員なので、時々忘れたらそれを見ながら自分を律しながらやっていこうというようなことなので、別に倫理条例で罰則規定を設ける、あるいはべからず集をつくるということにはちょっと賛成しかねると思います。

 それから、自民、公明の云々と言いますが、あくまで22名で共同提案しています。したがいまして、意見の違い等々については、議案として提出した段階ではございません。もちろん、その前には、例えば会派の中でも、13名の中で激論を戦わせていますし、それから、今度は公明の中、あるいは公明と自民、いろいろな論議を集中しまして、そして、きょうに至った、こんなことでございます。したがいまして、倫理をどう思っているのか。倫理条例が必要だからこうやって提案しているのでありますし、その思いが政治腐敗というか、我々は先ほど来何回も言っていますように、例えば黒須建設に皆さんが疑惑を抱くようなことが我々の調査の結果ないのでありますから、黒須建設あるいは議員の間で政治腐敗云々というのは、これはまたそう言うと政治腐敗がいいと言うのか、とんでもありません。政治腐敗なんかしないように、事前にみんなで自分を律したい、みんなで検討したりしながらやっていくということで、倫理条例をつくることについては、きょうの結果を見ていただければ、それを回答にかえさせていただきたい、こんなふうに思います。


◎【40番井上睦子議員】
最後で、委員会で具体的に質疑をしたいと思いますが、先ほどの小林議員、市川議員、それから対間議員の発言で、自公が出された倫理条例というのは極めて骨抜きであって、実効性がないということが明確になったというふうに思います。したがって、私たちが13人で連名で出した条例案というのが極めて市民の期待にこたえられる条例案だというふうに逆に自信を持ったということを申し上げたいというふうに思います。

 1親等ですとか、いろいろ議論をしてまいりましたけれども、それはお飾りであって、斎藤さんが指摘をしているように、倫理条例という名で、そういうきれいなベールで覆い隠された条例案でしかない。そして、何の実効性もない。腐敗の防止や汚職、そして、談合、そういったものに対する効果は全くない。だから、30点の点数というのは妥当なものだということを確信をして、質問を終わります。