◎【40番井上睦子議員】
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午前10時から臨時会が始まりまして、もうかなりの時間がたちました。多くの議員が質問をいたしました。重複する場面もありますし、この後、総務企画委員会も開催をされます。私も総務企画委員でありますので、詳細についてはその委員会の中で質疑をしていきたいと思いますが、ここでは生活者ネットワーク・社会民主党を代表して、議員提出議案第1号、八王子市政治倫理条例案について、基本的な問題についてだけ質問をしたいと思います。
私たちの会派は、2007年6月議会で、八王子市住宅・都市整備公社が発注した楢原斎場の建設工事について、落札者が黒須建設であったこと、これはJVでありますけれども、そのことを契機として、市議や市長の親族企業の公共工事の受注は辞退をすることを定める政治倫理条例の必要性を強く訴えてまいりました。そのときの市長の答弁では、「例えばうちの身内の会社については、もう既に60年、70年家業として営んでいるわけですね。ですから、そういう中で私は政治の道を選んで、そして今こういう立場にあるわけですけれども、私ももう既に30年を超えてこの道を歩んでいるわけです。しかも、そのたびにきちんと市民の皆さんの選挙という手段を経て、そして私は選ばれているわけです」「本市でもし、私が携わらないところでも官製談合があったり、私自身が不正だということを指摘されるようなことがあるならば、私は即刻責任をとります。それだけの覚悟は常にいたしております」ということで、常に責任をとるという覚悟はしながら市政運営をやっている。したがって、政治倫理条例は必要がないというのがこの間一貫した市長の姿勢でありました。
その後、昨年の6月議会では、黒須建設の公共工事の受注高が市内企業トップであること、第七中学校の体育館の落札率が99.92%もの高落札率であったことから、多くの複数の議員が、黒須市長の親族企業である黒須建設と黒須市長の関係を問題視し、昨年6月24日、私たちは政治倫理条例の制定を目指すアピールを議員の会として発表し、9月市議会には政治倫理条例案を第15号として提案をした経過があります。このことは、他の議員からも説明がありました。この間の経過と、そして、今回自民党、公明党の共同提案によって政治倫理条例が提案をされましたけれども、その自民党、公明党がこの政治倫理条例が必要だというふうに認識するに至ったその経過と考え方について明らかにしていただきたいと思います。
9月、11月の委員会審議の中では、さまざまに私どもの出した条例案について質疑をいただきました。誠心誠意お答えし、修正も出して、皆さんから感謝をされたところであります。先ほどの対間議員の提案説明では、簡単に各条文と、そして、出される経過は、私たちが出したということと、そして、この条例は理念条例であるということが説明をされました。条例の必要性と、そして理念条例としたことの意味についてお答えをいただきたいと思います。
2点目は、この間問題となってきた黒須建設と黒須市長との関係についてであります。私たちが出しました八王子市政治倫理条例案については、この問題は八王子市の大きな政治倫理問題であるというふうに考えてまいりました。ですから、その政治倫理条例案をきちんと実効性のあるスタイルにつくりました。先ほど山口議員からも、陣内議員からも御紹介がありましたけれども、この条例案については、九州大学の政治倫理・九州ネットワークの顧問である斎藤文男さんが採点をしました。その結果、私たちの条例案は75点で、自民党、公明党共同提案の条例案は30点でありました。
これは、市川議員が、60点満点の自公案が55点、私たちの案が50点、それは何と人数が多いからにしかほかならないという採点の方法でありましたけれども、そういうことではなくて、75点と30点というのは、斎藤さんたちがさまざまな研究や各自治体の条例案を検討しながら客観的な採点基準でつけた採点であります。私は、社会的な信用としては、斎藤さんがつけた私たちが75点、自公案が30点というのが社会的な評価としては正しいだろうと思います。市川議員が55点、そして50点というのは、極めて私的であり、客観性のない条例の点数だというふうに思います。それは、22人と13人であるからということにもあらわされるように、それはが小学生が聞いても、多分点数としては理解できない点数だと思います。
それで、私たちが提案した条例案は、Aクラスで模範となる条例に近いという評価をいただきました。他方、自民・公明案は、政治倫理条例の名に値をしないとして、政治倫理条例をつくりましたというだけの免罪符にしかすぎない。最大の欠陥は、これでは請負問題の適正化が図れない。いや、むしろ請負をめぐる不公正、癒着、腐敗を政治倫理条例という小ぎれいなベールで覆い隠すものと評価せざるを得ませんとの厳しいコメントがついています。この厳しい評価について、自民党、公明党の両会派から率直な感想を伺いたいと思います。
私たちは、通常考えるに、6月議会、11月の委員会、2回私たちの条例案を審査いたしました。皆さんからも意見をいただいて、より合意をしやすい、合意を求めるべく努力をしてまいりました。そうした積み重ねがある中で、次に出てくる条例案というのは、通常私たちよりも点数が高くなければならないというのが本当ではないでしょうか。小学生でも勉強すれば勉強するほど点数が高くなっていくというのが当たり前でありまして、私たちの八王子市議会が学習をしても点数が上がらないということは大変残念なことだと思っております。したがって、率直に自民党、公明党、対間議員、市川議員から、この30点、大変恥ずかしい点数だというふうに思いますが、感想をお伺いいたします。
条例の実効性の問題についてであります。私たちは、条例案の第1条の「目的」において、「政治倫理の確立と政治腐敗の防止を図り」「いやしくもその権限又は地位による影響力を不正に行使して自己又は特定の者の利益を図ることのないよう必要な措置を定める」というふうにしました。私たちの条例の目的は、政治腐敗の防止にあります。これは、堺市の汚職事件がきっかけで、全国で政治倫理条例が制定をされ、近年では、不祥事が起こらぬよう、これは小林弘幸議員が常に言われますけれども、転ばぬ先のつえとして政治倫理条例案が現在は制定をされるに至っております。したがって、私たちの条例案の第1の目的は、政治腐敗を防止する。八王子市政において、汚職や談合、腐敗、癒着が起こらないというような工夫を条例に実効的に盛り込んでいく。実効性ある条例をつくっていくということが目的であります。
しかし、他方、自公案は、「人格と倫理の向上に努め、いやしくも自己の地位による影響力を不正に行使して、自己の利益を図らないことを市民に宣言するとともに」「職務を遂行する上での公正性を保持するために必要な措置を定め」というふうにしてありまして、政治腐敗の防止は目的となっておりません。これが大変大きな違いだというふうに思います。斎藤さんの点数が低いのも、この目的から具体的な条文の構成が、実効性が担保されていないからだと言えるというふうに思いますけれども、私たちは政治倫理の確立と政治腐敗の防止というものを大きな目的に掲げました。しかし、自公案は、政治腐敗の防止については文言がありません。そういった目的もあいまいになっているというふうに思いますけれども、政治腐敗の防止というのが全国で今つくられている条例案の中では大きなテーマとなっているにもかかわらず、なぜ自公案の中にはそれが明記をされていなかったのかお答えをいただきたいと思います。
次に、「市民の責務」についてのところであります。これは、事業者の責務も、先ほどの伊藤議員の定義では、市民参加条例は市民の中に事業者も入れているので、第3条では、市民の責務とともに、市民の中に事業者も含むという答弁でありました。しかし、対間議員からは、事業者にそういった責務を求めていいのだろうかという答弁もありまして、これは提案者の中の意見の不一致があるのではないかというふうに思いますけれども、お答えください。
と申しますのは、やはり条例の目的が政治腐敗を防止するということに基点を置いていないものですから、事業者の責務というものをきちんと明記をしていないのではないかというふうに私は考えるわけです。対間議員と伊藤議員の見解の相違、あるいは対間議員が間違ってお答えになったのか、間違っておられるのだったら訂正をしていただきたいというふうに思います。
そして、評点をしてくださった方、斎藤名誉教授によれば、この皆さんの条例案、自公案の最大の欠陥は、第5条にあるというふうに言われております。親族事業者は、市との請負契約を辞退ではなく自粛するよう努めなければならないとしている点であります。これは、小林信夫議員の方から、辞退と自粛の問題について、憲法上の解釈も含めてるる御説明がありました。小林議員の解釈によると、辞退とすれば事業者に義務規定を課すので、憲法上の抵触が起こる。したがって、自粛とする。したがって、辞退届も出させないということになっています。
しかし、私たちの条例案を9月の総務企画委員会で審査をしたときに、この条例案の表記の仕方については、八王子市の法制課長が憲法には抵触をしないということが明言されて、答弁として出てきております。したがって、私たちはこれは問題ないというふうに考えておりますが、小林信夫議員の説明によれば、自粛をするということで、主体的な努力を求めるということにとどまるということです。であるならば、主体的な努力をしない事業者は、やはり請負を続けることになる。とすれば、そこに対する規制もないわけですから、実質的には名ばかりの条例、親族企業が仕事を請け負うということを社会や市民が客観的には監視をできないというシステムになっていて、実効性がないのではないかというふうに思うわけです。この点を斎藤さんはイの一番に問題だというふうに指摘をされております。
少しその内容を紹介いたしますと、しかし、辞退と自粛は同じではありません。辞退とは、任命、受賞、出場、報酬、謝礼の辞退の用例が示すとおり、得べかりし地位、資格や利得の放棄を意味しております。これに対し自粛とは、自分で自分の行いを慎むことの意です。禁煙の誓いはその一例ですが、これは他者に法的効力が及ばず、禁を破ったからといって他人にとがめられる筋合いのものではありません。しかし、任命辞退や出場辞退となれば、辞退者を任命したり出場させたりすることはできませんというふうに書いてあって、その自粛と辞退の違い、そして、それが実効力をどのように持つか持たないかということを明確に説明をされております。
私たちは、政治腐敗を防ぐという実効ある条例をつくりたい、そして、つくりました。しかし、親族企業は、私たちは2親等と1親等の姻族でありますけれども、自公案は1親等で譲ったとしても、この自粛という名目では実効性がないのではないかというふうに思いますが、条例の実効性を皆さんの条例案の中ではどのように担保しているのか、それを明らかにしていただきたいと思います。
私は、最大の自公案の問題は、対間議員が図らずもおっしゃったように、コンプライアンス条例、理念条例だと。例えば何々を守りましょう、私たちの政治規範を示しましょう、頑張りましょう、守りましょうというだけであって、具体的にそれに反する行為をした場合に、市民が監視をし、そして、それに対して一定の行動を求めるというシステムが極めて不十分なのではないかというふうに思うわけです。その点について、この条例の実効性をどのように担保しているのかということを明らかにしていただきたいと思います。
具体的な実効性の問題について伺います。先ほど上島議員の方から、黒須建設の問題が出されました。1号のビラは、8月に配付したところに、私たちも黒須建設の役員がどのような構成であるかということを書いてあります。今正確に持っておりませんけれども、役員8人の中で、1親等がお母さんと息子さん、2親等が弟さん2人という構成であったと思います。そうしますと、皆さんの1親等以内の親族企業は自粛をするよう努めなければならないというのは、黒須建設というのは皆さんの条例が制定をされた場合自粛の対象となるのかならないのか、それをはっきり教えていただきたいと思います。
なるとすれは、私の考えでは、1親等のお母さんと息子さんが入っていらっしゃいますから、自粛の対象になるというふうに解釈されます。しかし、自粛をしなくて、市長は、私の身内だというだけで不公正なことはやっていないのだから、仕事を社員のためにも公共事業は取るのだというのがずっとこの間の姿勢です。去年の読売新聞の記事では、ほかの新聞の記事でも、条例が通ったら市長は辞職をするということも発言をされておりました。それは撤回をされましたけれども、心情としてはそういうものが発生をしたわけです。1親等以内というふうに自粛を規定した場合に、黒須建設、今の役員構成ですと対象となる。しかし、自粛をするよう努めるものとするとすれば、公共事業を取り続けるということも可能なのかどうか、それを明らかにしていただきたい。それを一定取ることはできないというような仕組みがあるのかないのか、それを具体的に示していただきたい。
一方で、1親等のお母さんと息子さんが役員から外れて、2親等と他の人で構成をされるということに黒須建設がなった場合、これは仕事を受けられるわけですね。私たちは、この間の黒須市長の姿勢からいけば、公共事業は黒須建設はずっと取り続けるのではないかというふうに思うわけです。なぜならば、ずっと市長がそのことは議会で主張し続けてきたことだからです。皆さんの条例が実効性がないというのは、1親等のお母さんと息子さんが役員から外れてしまえばいいという甘い条例の規定になっているのではないかということを多くの議員がこの間指摘をしているわけです。その点についてお答えをいただきたいと思います。
具体的な詳細な点については、これからの委員会の中でお伺いしたいと思います。
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