◎【40番井上睦子議員】
議員提出議案第4号、障害者自立支援法の抜本的な改正を求める意見書について、全会派の御賛同をいただいておりますので、簡潔に提案説明を行います。

 2006年4月から施行された障害者自立支援法は、身体、知的、精神障害者福祉を統合し、負担は、所得に基づく応能負担から、サービス利用額の原則1割とする応益負担へとなりました。さらに、将来、介護保険との統合を目指して、サービスの種類と量を決める障害者認定区分が導入されました。しかし、自立支援法制定当時から、応益負担の1割は負担が重過ぎる。障害者のサービスに応益負担を導入すること自体、障害者福祉の理念に合わない。応益の益とは何か。人生の最低限のインフラを整備してほしいという要求に、サービスの応益負担という言葉は感覚的な違和感があるなど、応益負担に対する反対の声は強く出されていました。

 自立支援法が始まると、1割負担は障害者の生活を直撃し、負担に耐えかねた障害者は、みずからのサービスの利用を控えるようになりました。原則1割負担は、憲法の法のもとの平等に反すると訴えて、障害者やその家族が裁判を起こす事態にもなっています。

 3月13日の朝日新聞で報道されたAさんの例では、障害者年金8万3,000円から支払う施設入所費の1割負担と、食費、光熱費の負担は6万円を超え、自立支援法前の負担3万数千円から大きくふえたこと。残りの2万円も医療保険料や通院費で消えていくことが紹介されていました。

 また、サービス事業者も、現行の報酬体系では経営が厳しく、障害者を支える人材を確保することが困難となっています。そのために、既存施設の新体系サービスへの移行が進まず、サービス基盤が整わない実態があります。

 こうした障害者や、その団体、事業者、また自治体からの改善要求に対して、政府は2006年12月には特別対策を、2007年12月には緊急措置を講じ、法施行直後からたびたび見直しを行い、自己負担の軽減策や、事業者への激変緩和など、実施をしてまいりました。このことは一定の評価がありますが、現在、法施行3年後の見直しに当たり、障害者や家族、事業者の厳しくも切実な訴えを受けとめて、意見書は次の6点について政府に抜本的な改革を求めるものです。

 まず、第1点は、介護保険との整合性を考慮した仕組みを解消すること。

 2点目は、負担については、応益負担から応能負担の原則とすること。

 3点目は、サービス事業者に対する報酬については、支援法施行前の収入を保障すること。

 4点目は、障害者の範囲について、発達障害など対象となることを明確化し、障害者程度区分についても、障害の特殊性を反映すること。

 5点目には、生活支援事業については、自立支援給付とし、移動支援やコミュニケーション支援の充実を図ること。さらに、社会的な基盤整備については、立法措置を含めた拡充策を進めること。

 そして、最後、6点目として、福祉的就労分野での利用者の負担については、就労促進の点から、本人負担をなくすことを求めるものであります。

 2006年12月、国連総会で障害者の権利条約が全会一致で採択され、翌年9月には日本は署名を行っています。真の障害者の自立と社会参加を進めるために、障害者自立支援法の抜本的な改正を求める意見書を、こうした理由から提出をするものです。どうぞ議員皆様の御賛同をお願いして、提案説明を終わります。